JP7138594B2 - 船舶 - Google Patents
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Description
このような船舶では、船舶に装備されたランプウェイを岸壁に渡し、輸送する貨物(自動車)が自走して積み込めるよう、車両甲板に設けるランプウェイの高さを、岸壁と揃えるか少し高くするのが一般的である。岸壁に対する船舶の高さは海の干満潮の影響を受けることから、ランプウェイを装備する位置を喫水からある程度高い位置に設ける必要がある。しかしながら、比較的小さな輸送船及び自動車運搬船では、ランプウェイを装備する位置を高くすると、ランプウェイが装備されている車両甲板が高くなり、船舶の重心が上がるので、復原性が悪化する。
なお、この「乗込スペース」は、車両が通過でき、ランプウェイの船内側端部が設けられる場所であればよく、乗込甲板であってもよく、乗込用通路であってもよい。 また、この「乗下船用傾斜路」は、車両エレベータであってもよい。
また、車両を搭載/揚陸する際に、直上の暴露甲板が、くり抜かれて開口されるか、上側に凸の形状に形成されている乗下船用傾斜路を車両が通行する。そのため、車両甲板の天井となる暴露甲板の高さが低くても、乗下船用傾斜路を通行する車両の上部が暴露甲板に当たることが無く、車両は、車両甲板から乗込スペースに昇ったり、乗込スペースから車両甲板に降りたりすることができる。
従って、車両甲板を低い位置に設けたまま、乗込スペースに装備されるランプウェイの船内側端部の位置を高い位置に配置しても、暴露甲板の全体を高くする必要が無くなる。そのため、暴露甲板に車両やコンテナ等が搭載される際において、船舶の重心の上昇を抑制することができ、船舶の復原性能を確保し易い構造となる。
また、ランプウェイの装備位置を高くすることで、水面付近の船型を絞れるので、凌波性能が向上し、燃費改善を図ることができる。
まず図1~図3を参照して本実施形態に係る船舶の構成を説明する。ここでは船舶として、車両の揚陸用の船舶が例示されている。
図1~図3に示すように船舶1は、船体3、車両甲板5、暴露甲板7、ランプウェイ9、乗込スペース11、及び乗下船用傾斜路13を備える。
なお、暴露甲板7のうち、船首楼4a及び船尾楼4bに設けられた部分は、天井甲板6a、6bとして、他の部分よりも高い位置に設けられている。
図1ではランプウェイ9は、船体3との接続部が車両甲板5よりも高い位置に設けられている。
ランプウェイ9の橋板の枚数は2枚には限定されない。例えば橋板の枚数を3枚以上とすることで、揚陸可能な岸壁の高さの範囲をさらに広げられる。また、揚陸可能な岸壁の高さの範囲次第では、ランプウェイ9の橋板の枚数を1枚にしてもよい。
具体的には乗込スペース11は、図1に示すように船首側ランプウェイ9aの船内側端部10aと接続される船首側乗込スペース11aを備えるとともに、図2に示すように船尾側ランプウェイ9bの船内側端部10bと接続される船尾側乗込スペース11bも備える。船首側乗込スペース11aは、船首側ランプウェイ9aが展開された状態では水平方向に開放される開放部12a(図4参照)を備え、ランプウェイ9が展開された状態でこの開放部12aを車両200が通過することで、乗下船を行う。船尾側乗込スペース11bも、船尾側ランプウェイ9bが展開された状態では水平方向に開放される開放部12b(図8参照)を備え、船尾側ランプウェイ9bが展開された状態でこの開放部12bを車両200が通過することで、乗下船を行う。
乗込スペース11は図1では平甲板である。ただし、車両200の通行に支障がない範囲で傾斜していてもよい。
乗下船用傾斜路13を設けると、車両甲板5の高さとランプウェイ9の高さに差があっても、車両200が乗込スペース11と車両甲板5との間を通行できる。そのため、船体3の重心を下げつつも、揚陸可能な岸壁の高さの範囲を広げられる。
具体的には、船首側乗下船用傾斜路13aに対して天井となる暴露甲板7の部分で、かつ、船首側乗下船用傾斜路13aの直上となる部分は、船首楼4aの天井甲板6aとして、暴露甲板7よりも高い位置に設けられている。よって、暴露甲板7は天井甲板6aが上側に凸の形状に形成されている。船首側乗下船用傾斜路13aから天井甲板6aまでの高さは、船首側乗下船用傾斜路13aを通行する車両200が天井甲板6aに接触しない程度の高さである。
また、船尾側乗下船用傾斜路13bに対して天井となる暴露甲板7の部分で、かつ、船尾側乗下船用傾斜路13bの直上となる部分は、船尾楼4bの天井甲板6bとして、暴露甲板7よりも高い位置に設けられている。よって、暴露甲板7は天井甲板6bが上側に凸の形状に形成されている。船尾側乗下船用傾斜路13bから天井甲板6bまでの高さは、船尾側乗下船用傾斜路13bを通行する車両200が天井甲板6bに接触しない程度の高さである。
加えて、ランプウェイ9の装備位置より低い位置に車両甲板を設けることで重心を低く出来る。この構成では船舶1の重心が下がる分と同程度のKM(メタセンター高さ)の減少量を許容できるので、船幅の増加を抑制でき、同じ船長であっても、船幅を小さくできるので、推進性能を向上でき、燃費の改善を図ることができる。これにより、建造コスト、運航コスト等を低減できる。
さらに、この構成では乗下船用傾斜路13直上の暴露甲板7の一部を上に凸に形成して乗下船用傾斜路13の天井高さを確保するため、ランプウェイ9や車両甲板5の大幅な設計変更が不要である。
船首側乗下船用傾斜路13aを船幅方向の船体中央になるべく近い位置に設けることで、船首部における水面付近の船体3の形状が横方向に広がることを回避でき、船首部の水面より下の形状を細い形状とすることができ、凌波性能をより向上でき、燃費をより改善できる。
図1では船内傾斜路14は船尾側乗込スペース11bと暴露甲板7との間を接続する通路である。
具体的には、船尾側乗下船用傾斜路13bが船幅中央部に対して左舷側にオフセットして設けられており、船内傾斜路14は船尾側乗下船用傾斜路13bが船幅中央部に対して右舷側にオフセットして並列配置されている。
図1、図6、図8に示すように船内傾斜路14は船尾側乗込スペース11bから暴露甲板7に向けて上方に傾斜するように設けられており、傾斜する向きが船尾側乗下船用傾斜路13bと逆になっている。船内傾斜路14の暴露甲板7側の終端は、ここでは図7に示すように、居住区4cの前面を暴露甲板7に向けて開放した開放部12cを形成している。この開放部12cを車両200が通過することで、暴露甲板7と船尾側乗込スペース11bとの間で車両200が自走で移動できる。
なお、図1及び図7に示すように船尾楼4bを設けて、この内部に船尾側乗込スペース11bを設けると、暴露甲板7へアクセスする船内傾斜路14を船尾側乗込スペース11bから架けることで船内傾斜路14を短くできる。これにより、暴露甲板7の平坦な部分の面積を広くすることができ、船内傾斜路14を設けた場合でも暴露甲板7上の貨物を積載可能な面積を確保できる。
以上が本実施形態に係る船舶1の構成の説明である。
乗船の際は、まず船舶1を岸壁に接岸し、船首側ランプウェイ9a又は船尾側ランプウェイ9bの橋板を折り畳んだ状態から展開し、岸壁に架け渡す。
次に、岸壁側から車両200が自走で車両甲板5に進入する。例えば船首側ランプウェイ9aを岸壁に架け渡した場合は、岸壁の車両200は、船首側ランプウェイ9aから船首側乗込スペース11a及び船首側乗下船用傾斜路13aを走行して車両甲板5に進入する(図2の矢印D1参照)。船尾側ランプウェイ9bを岸壁に架け渡した場合は、岸壁の車両200は、船尾側ランプウェイ9bから船尾側乗込スペース11b及び船尾側乗下船用傾斜路13bを走行して車両甲板5に進入する(図2の矢印E1参照)。
この際、船首側乗下船用傾斜路13a又は船尾側乗下船用傾斜路13bの上方の暴露甲板7は、天井甲板6a、6bとして上側に凸の形状に形成されているため、走行中の車両200の上面が天井甲板6a、6bに接触する恐れはない。
車両甲板5に進入した車両200は所定の位置で停車し、ラッシング等で車両甲板5に固縛される。
まず、船首側ランプウェイ9aを岸壁に架け渡した場合は、まず岸壁側から船首側ランプウェイ9aを渡り、船首側乗込スペース11a及び船首側乗下船用傾斜路13aを走行して車両200が車両甲板5に進入する。進入した車両200は車両甲板5から船尾側乗下船用傾斜路13b、船尾側乗込スペース11b、及び船内傾斜路14を走行して暴露甲板7に進入する(図6の矢印D3’及びD3参照)。
船尾側ランプウェイ9bを岸壁に架け渡した場合は、船尾側ランプウェイ9bから、船尾側乗込スペース11b及び船内傾斜路14を走行して岸壁側から車両200が暴露甲板7に進入する(図6の矢印D3参照)。暴露甲板7に進入した車両200は所定の位置で停車し、ラッシング等で暴露甲板7に固縛される。
車両200の乗船が完了すると、船首側ランプウェイ9a又は船尾側ランプウェイ9bの橋板を折り畳む。
以上が乗船の際の手順の説明である。
下船の際は、まず船舶1を岸壁に接岸し、船首側ランプウェイ9a又は船尾側ランプウェイ9bの橋板を折り畳んだ状態から展開して岸壁に架け渡し、車両200の固縛を解除する。
次に、船首側ランプウェイ9aを岸壁に架け渡している場合は車両甲板5から自走で船首側乗込スペース11aに車両200を移動させる。さらに船首側ランプウェイ9aから車両200を岸壁に揚陸させる(図2の矢印D2参照)。
船尾側ランプウェイ9bを岸壁に架け渡している場合は車両甲板5から自走で船尾側乗込スペース11bに車両200を移動させる。さらに船尾側ランプウェイ9bから車両200を岸壁に揚陸させる(図2の矢印E2参照)。
この際、船首側乗下船用傾斜路13a又は船尾側乗下船用傾斜路13bの上方の暴露甲板7は、天井甲板6a、6bとして上側に凸の形状に形成されているため、走行中の車両200の上面が天井甲板6a、6bに接触する恐れはない。
次に、船首側ランプウェイ9aを岸壁に架け渡している場合は、車両200を船尾側乗下船用傾斜路13b、車両甲板5、船首側乗下船用傾斜路13a、及び船首側乗込スペース11aを走行させ、船首側ランプウェイ9aから岸壁に揚陸させる(図6の矢印D4’参照)。
船尾側ランプウェイ9bを岸壁に架け渡している場合は、車両200を船尾側ランプウェイ9bから岸壁に揚陸させる。
以上が本実施形態に係る船舶1における車両200の乗下船の手順の説明である。
そのため、ランプウェイ9の船内側端部10a、10bを高い位置に設けることができ、Ro_Ro方式による荷役が可能な港湾岸壁を増やすことができる。
従って、車両甲板5を低い位置に設けたまま、乗込スペース11に装備されるランプウェイ9の船内側端部の位置を高い位置に配置しても、暴露甲板7の全体を高くする必要が無くなる。そのため、暴露甲板7に車両200やコンテナ等の貨物が搭載される際に船舶1の重心の上昇を抑制でき、船舶1の復原性能を確保し易い構造となる。
例えば上記した実施形態では船舶1として車両の揚陸用の船舶を例示したが、本発明の船舶は揚陸用の船舶に限定されない。車両200を搭載する車両甲板5と、車両甲板5の上に設けられた暴露甲板7と、車両200が岸壁との間で通行するための可動式のランプウェイ9とを備えた船舶であれば、カーフェリー、RO_RO船等でもよい。また、船首ランプ及び船尾ランプの両方を備える必要はなく、どちらか一方だけでも良い。
3 船体
4a 船首楼
4b 船尾楼
4c 居住区
5 車両甲板
6a、6b 天井甲板
6c 居住区の床
7 暴露甲板
9 ランプウェイ
9a 船首側ランプウェイ
9b 船尾側ランプウェイ
10a、10b 船内側端部
11 乗込スペース
11a 船首側乗込スペース
11b 船尾側乗込スペース
12a、12b、12c 開放部
13 乗下船用傾斜路
13a 船首側乗下船用傾斜路
13b 船尾側乗下船用傾斜路
14 船内傾斜路
15 船底
17 側壁
200 車両
Claims (4)
- 車両を搭載する車両甲板と、前記車両甲板の上に設けられた暴露甲板と、前記車両が岸壁との間で通行するための可動式のランプウェイとを備えた船舶であって、
船首又は船尾の少なくとも一方で前記車両甲板よりも高い位置に設けられ、かつ、前記ランプウェイの船内側端部が設けられる乗込スペースと、前記乗込スペースと前記車両甲板との間を前記車両が通行するための乗下船用傾斜路を備えると共に、
前記乗下船用傾斜路に対して天井となる前記暴露甲板の部分で、かつ、前記乗下船用傾斜路の直上となる部分の一部が開口していることを特徴とする船舶。 - 前記乗下船用傾斜路は、上部構造物の甲板の少なくとも一部を天井とする請求項1に記載の船舶。
- 前記乗込スペースと前記暴露甲板との間を前記車両が通行するための船内傾斜路を備え、
前記船内傾斜路に対して天井となる前記暴露甲板の部分で、かつ、前記船内傾斜路の直
上となる部分の一部が開口している請求項1又は2に記載の船舶。 - 前記船内傾斜路は、上部構造物の甲板の少なくとも一部を天井とする請求項3に記載の船舶。
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