JP7137303B2 - 二次電池製造システムの制御方法 - Google Patents
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Description
その他、蓄電池に関連する公報として、特許文献2がある。
二次電池の製造には、多数の製造パラメータが設定されるため、このような設定パラメータと実測の製造パラメータのズレが重なり、図17のように稀に製造された二次電池の品質が全体的に向上する場合がある。この品質の向上は、偶発的なものであるため、品質が向上したにもかかわらず、従来はそのまま現状の設定を維持したまま製造を続けていた。
そこで、本発明者は、上記の偶発的な品質の向上に着目し、高品質の二次電池を量産することを試みた。
(1)前記スラリー形成工程における、混練温度、環境温度、環境湿度、前記電極材料の粘度、前記電動プロペラの回転数、及び前記電動プロペラの駆動電力から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(2)前記塗工工程における、環境温度、環境湿度、前記電極材料の粘度、塗布速度、電極の厚み、乾燥温度、及び乾燥雰囲気から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(3)前記電極体形成工程における、環境温度、環境湿度、電極とセパレータとの接触面積、電極とセパレータの重なり数、及び電極とセパレータとの重なり順序から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(4)前記取出電極接続工程における、環境温度、環境湿度、溶接温度、溶接圧力、保持時間、及び溶接のセンシング時期から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
「環境温度」とは、工程を実施する際に仕掛品又は製品が晒される環境の温度であり、例えば、ドライルームで製造工程が実施される場合には、ドライルーム内の温度をいう。
「環境湿度」とは、製造工程を実施する際に仕掛品又は製品が晒される環境の湿度であり、例えば、ドライルームで製造工程が実施される場合には、ドライルーム内の湿度、例えば露点をいう。
「乾燥温度」とは、塗工工程で仕掛品を乾燥する際に仕掛品を晒す仕掛品周囲の温度をいう。
「乾燥湿度」とは、塗工工程で仕掛品を乾燥する際に仕掛品を晒す仕掛品周囲の湿度をいう。
「乾燥雰囲気」とは、塗工工程で仕掛品を乾燥する際に仕掛品を晒す仕掛品周囲の気体をいう。
「電極とセパレータとの接触面積」とは、電極とセパレータが接触する面積をいう。例えば、積層型の二次電池の場合には、一枚の電極と一枚のセパレータが接触する面積であってもよいし、電極とセパレータが接触する総面積であってもよい。
「電極とセパレータの重なり数」とは、電極とセパレータが重なる数をいう。例えば、積層型の二次電池の場合には、積層数をいい、巻回型の二次電池の場合には、径方向における内外の電極の一部とセパレータの一部の重なり数をいう。
「電極とセパレータとの重なり順序」とは、電極とセパレータが重なる順番をいう。例えば、積層型の二次電池の場合には、積層方向の重なり順序をいい、巻回型の二次電池の場合には、径方向における内外の電極の一部とセパレータの一部の重なり順序をいう。
「溶接のセンシング時期」とは、溶接が完了したと判断する時期をいう。
(5)前記電極成形工程における、環境温度、環境湿度、切断後の電極のバリの発生数、及び切断後の電極体のバリの面積から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
ここでいう「切断後の電極体のバリの面積」とは、切断部によって電極の縁に形成されるバリの一つの面積又は総面積をいう。
(6)前記真空乾燥工程における、乾燥温度、乾燥湿度、真空度、及び真空ポンプの使用電力から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(7)前記電解液注入工程における、環境温度、環境湿度、前記封止部材の溶着温度、前記封止部材の溶着圧力、前記封止部材の溶着時間、前記封止部材のセンシング時期、前記電解液の注入量、及び前記電解液の濃度から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(8)前記電極圧延工程における、環境温度、環境湿度、前記一対のロールの回転速度、前記一対のロールの間隔、圧延後の電極密度、及び電極の厚みから選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
本発明の二次電池製造システムによれば、機械学習部によって一の製造部で製造された二次電池の製造パラメータの中から品質向上を誘因する誘因パラメータを特定し、誘因パラメータを他の製造部での設定パラメータに再設定するため、各製造部で製造される二次電池の品質を向上できる。
そして、本実施形態の二次電池製造システム1は、各製造部2a~2cでの所定数の二次電池200の製造ごとに、特定の二次電池200を抽出して、又は、全ての二次電池200を評価部4で性能を評価し、一の製造部2(例えば、製造部2a)によって製造された二次電池200の評価部4による評価結果が所定の基準より向上した場合に、制御部3のディープラーニング部170(機械学習部)がデータ蓄積部171で記憶された過去のパラメータ及び過去の評価結果から評価結果の向上に影響を与える誘因パラメータを選出し、誘因パラメータを一の製造部2(例えば、製造部2a)及び他の製造部2(例えば、製造部2b,2c)の設定パラメータとして再設定するパラメータ調整動作を実施することを主な特徴の一つとする。
以下、このことを踏まえながら、本実施形態の二次電池製造システム1の各構成について説明する。
なお、各製造部2a~2cは、同一の建屋に設けられていてもよいし、異なる建屋に設けられていてもよい。また、各製造部2a~2cは、無線又は有線を介して相互通信可能であってもよい。
正極210を形成する電極形成装置5aと負極211を形成する電極形成装置5bは、構造的に同様のものであるため、以下、電極形成装置5aの構成のみ説明し、電極形成装置5bの構成については、説明を省略する。また、第一混練塗工装置20と第二混練塗工装置21とで共通する部材については、共通の付番を振って説明を省略する。
第一混練塗工装置20は、図2,図3から読み取れるように、温度や湿度等の環境調整が可能な製造室(図示せず)内に材料供給部30と、材料送出部31と、吐出装置32と、搬送装置33と、乾燥装置34を備えている。
材料容器40は、電極活物質等の電極材料を収容するホッパーであり、漏斗状であって上方が開放した容器である。
材料容器40の下端部には、供給口42が設けられており、供給口42を介して材料送出部31に接続されている。
蓋部45は、材料容器40の上部を閉塞し、材料容器40内の空間を密閉する蓋である。
電動プロペラ部46は、駆動モーター47と、プロペラ本体48と、軸部49で構成されている。電動プロペラ部46は、軸部49を駆動モーター47の回転軸に接続し、駆動モーター47を駆動することで、プロペラ本体48により電極材料を混練することが可能となっている。
駆動モーター47は、プロペラ本体48を回転させるモーターであり、外部の制御部3(図1参照)によってプロペラ本体48の回転速度を制御可能となっている。
シリンダー部55は、混練装置41の供給口42に接続され、スラリー状態の電極材料が収容される筒状の部位である。
スクリュー部56は、螺旋状の羽根を有するスクリューであり、シリンダー部26に挿入されている。
駆動モーター57は、スクリュー部56を回転させるモーターであり、外部の制御部3によってスクリュー部56の回転速度を制御可能となっている。
シリンダー部55は、材料容器40の下部にあって、材料容器40の軸線に対して交差する方向に延びている。材料容器40の下部とシリンダー部55の内部は連通している。シリンダー部55の長手方向は、駆動モーター57の回転軸の軸方向と一致している。
吐出装置32は、図2のように、スラリー状の電極材料を一時的に留めるキャビティ部60と、電極材料を吐出する吐出口61と、吐出口61の幅を調整する調整部材62を備えている。
吐出口61は、図3のように、搬送装置33で搬送される金属箔202の移動方向MDに対して直交する方向に直線状の延びたスリットである。
調整部材62は、吐出口61の開口幅を制御する部材であり、吐出口61の長手方向に調整ボルトが並設されて構成されている。
材料リール部65は、金属箔202がリール状に巻かれた金属箔リールが取り付けられ、当該金属箔リールの金属箔202を下流側に流す部位である。
搬送ローラー66a~66cは、金属箔202を下流側に搬送するローラーである。
押さえローラー67は、片面に電極層201が形成された金属箔202を押さえて金属箔202にテンションをかけるローラーである。
乾燥装置34は、加熱装置、除湿装置、及び雰囲気制御装置を備えており、電極層201が塗布された金属箔202を所望の乾燥温度、乾燥湿度、及び乾燥雰囲気で乾燥可能となっている。
第二混練塗工装置21は、図4のように、温度や湿度等の環境調整が可能な製造室(図示せず)内に、材料供給部30と、材料送出部31と、吐出装置32と、搬送装置36と、乾燥装置34を備えている。
搬送装置36は、図4のように材料リール部65がなく、搬送ローラー66d~66eと、押さえローラー67を備えている。
すなわち、プレス装置22は、搬送ローラー72a,72bで電極210(211)を搬送しながら、圧延ロール70,71で電極210(211)を圧縮することで金属箔202上の電極層201の厚み及び密度を調整可能となっている。
プレス装置22は、制御部3と接続されており、圧延ロール70,71間の間隔及び圧延ロール70,71の回転速度を調整可能となっている。
成形装置23は、図6,図7のように、温度や湿度等の環境調整が可能なドライルーム内に打抜装置80(電極切断機)と、第1分断装置81(電極切断機)と、第2分断装置82(電極切断機)と、搬送装置83を備えている。
打抜装置80は、金属箔202を矩形波状に打ち抜き可能となっており、図示しない切断部で四角形状の接続部205を形成可能となっている。
第2分断装置82は、電極210(211)の一部を切断する切断装置であって、分断歯91を有し、分断歯91(切断部)を回転させることで電極210(211)を幅方向TDに分断する装置である。
搬送コンベア95a~95dは、ベルトコンベアであり、ベルト部材96と、回転ローラー97を備えている。搬送コンベア95a~95dのうち最も下流側に位置する搬送コンベア95c,95dは、搬送コンベア95bよりも一段低くなっており、搬送コンベア95c,95dの間には、分別部材98が配されている。
分別部材98は、第2分断装置82で分断された電極210(211)を個々に分別する部材であり、搬送コンベア95c,95dの間から搬送コンベア95c,95dの最上面に対して立設されている。
電極積層装置6は、図8のように、温度や湿度等の環境調整が可能なドライルーム(図示せず)内に、電極搬送ライン100,101と、セパレータ搬送ライン102と、ステージ103と、セル搬送ライン105を備えている。
電極搬送ライン100,101は、電極形成装置5a,5bの成形装置23の搬送コンベア95c又は搬送コンベア95dから電極210,211が搬送される搬送ラインである。すなわち、電極搬送ライン100では、電極形成装置5aで製造された正極210が搬送され、電極搬送ライン101では、電極形成装置5bで製造された負極211が搬送される。
セパレータ搬送ライン102は、所定の形状に切り取られたセパレータ212が搬送される搬送ラインである。
電極搬送ライン100,101とセパレータ搬送ライン102は、下流端がステージ103に向かっている。
ステージ103は、セル搬送ライン105上に配され、各搬送ライン100~102から搬送される電極210,211及びセパレータ212を所定の積層順で積層させる部位である。
セル搬送ライン105は、ステージ103で積層された電極210,211及びセパレータ212を溶接装置7に搬送する搬送ラインである。
溶接装置7は、図9のように、温度や湿度等の環境調整が可能なドライルーム(図示せず)内にロボットアーム(図示せず)と、ホールド部110と、溶接部111と、撮影手段(図示せず)を備えている。
ロボットアームは、セル搬送ライン105で搬送されたステージ103を所望の位置に移動させる装置であり、タブ電極部材213,214をステージ103上の電極体218に載置する装置でもある。
ホールド部110は、ステージ103を固定し、位置決めする部位であり、アンビルとして機能する部位である。
本体部115は、超音波振動子を内蔵し、ホーン部116a,116bを介してステージ103内の電極体218側に荷重を与える部位である。
ホーン部116a,116bは、本体部115の超音波振動子に共振し、電極体218及びタブ電極部材213,214に対して振動及び荷重を加える部位である。
撮影手段は、電極体218及びタブ電極部材213,214の界面を撮影し、溶接状況を検知する装置である。
第1溶着装置130は、2枚のラミネートフィルム230,231で少なくとも電極体218を挟んだ状態で2枚のラミネートフィルム230,231を溶着させ、ラミネートフィルム230,231で一辺に開口をもち、電極体218等を収容した収容体を形成する装置である。
溶着部材135,136は、共に面状に広がりをもち、対向する面に溶着部137,138を備えている。
溶着部137,138は、「コ」字状であって、熱により、ラミネートフィルム230,231の電極体218周囲の三辺が溶着可能となっている。
真空乾燥室140は、搬送方向の上流側と下流側に開口部145a,145bを備える本体部146と、開口部145a,145bを開閉する扉部材147a,147bと、真空ポンプ148を備えている。そして、真空乾燥室140は、扉部材147a,147bをともに閉状態とし真空ポンプ148を駆動することで本体部146内を実質的な真空空間にすることが可能となっている。
搬送装置141は、ステージ150に載置されラミネートフィルム230,231で覆われた電極体218を搬送する装置であり、具体的には、ローラーコンベアである。
注入部155は、図示しない電解液タンクから電解液215を注入するノズルを有する。
搬送装置156は、真空乾燥された電極体218等を搬送する装置であり、ローラーコンベアやベルトコンベアを採用できる。
溶着部160は、ラミネートフィルム230,231の開口付近を溶着し、電極体218をラミネートフィルム230,231内に封止する部位である。
真空ポンプ161は、溶着部160に接続され、溶着部160を通過するラミネートフィルム230,231内を真空引きを行う装置である。
搬送装置162は、電極体218等を搬送する装置であり、ローラーコンベアやベルトコンベアを採用できる。
制御部3は、各製造部2や評価部4と異なる建屋に設けられていてもよい。この場合、制御部3は、各製造部2や評価部4とイントラネット等のネットワークを介して通信可能に相互接続されていることが好ましい。また、制御部3は、製造部2や評価部4とインターネット等を介して接続されていてもよい。こうすることで、建屋の異なる複数拠点で各製造部2及び評価部4を一括管理することもできる。
ディープラーニング部170は、データ蓄積部171に蓄積された過去の製造パラメータ、評価結果、及び判定結果を使用して自ら機械学習をする機能をもち、当該学習に基づいて品質の低下を誘因する誘因パラメータを特定し、データ蓄積部171に記憶可能となっている。
ここで、「教師あり学習」とは、教師データ、すなわち、ある入力と結果のデータの組を大量にディープラーニング部170に与えることで、それらのデータセットにある特徴を学習し、入力から結果を推定するモデル(誤差モデル)、すなわち、入力と結果の関係性を帰納的に獲得するものである。
すなわち、ディープラーニング部170は、過去の製造パラメータの変動と、その製造パラメータを用いて製造された二次電池200の評価結果及びその判定結果を紐付けし、製造パラメータの変動と二次電池200の品質との相関関係を学習する。そして、品質が一定の基準を下回ると、二次電池200の品質との相関関係に基づいて、主に品質低下をもたらす誘因パラメータを抽出可能となっている。
本実施形態のディープラーニング部170の詳細については、後述する。
評価結果取得部172は、各評価装置11~16から二次電池200の評価結果を取得し、データ蓄積部171及び判定部173に送信する部位である。
判定部173は、評価結果取得部172で取得した二次電池200の評価結果をデータ蓄積部171で記憶された判定基準により二次電池200の品質を判定する部位である。
出力制御部174は、各製造部2の各装置5~8の製造パラメータを制御し、使用又は計測した製造パラメータをデータ蓄積部171に送信する部位である。また出力制御部174は、ディープラーニング部170で抽出した誘因パラメータを制御する部位でもある。
電気特性評価装置11は、二次電池200の電気特性に関する評価を行う装置であり、充放電サイクル試験や充放電特性試験、定電流試験、レート特性試験、過充電試験、外部短絡試験、逆充電試験を行う装置である。
抵抗特性評価装置12は、二次電池200の抵抗特性に関する評価を行う装置であり、インピーダンス測定を行う装置である。
形状評価装置13は、二次電池200の外形形状に関する評価を行う装置であり、寸法や体積、重量を測定し、膨張等の発生を評価する装置である。
温度評価装置14は、二次電池200の充放電時の温度に関する評価を行う装置であり、加熱サイクル試験や異常加熱試験を行う装置である。
安全性評価装置15は、二次電池200の安全性に関する評価を行う装置であり、圧壊試験や釘差し試験、落下試験、振動試験、浸水試験、衝撃試験を行ったりする装置である。
構造評価装置16は、二次電池200の構造等に関する評価を行う装置であり、例えば、X線CT装置により内部構造を観察する装置である。
電極形成工程では、主要工程としてスラリー形成工程と、送出工程と、塗工工程と、乾燥工程と、圧延工程がある。
電極形成工程では、まず、スラリー形成工程を行い、電極活物質、溶媒、導電助剤、バインダー等の電極材料を材料容器40に導入し、所定の粘度になるまで電動プロペラ部46で混練することによって流動性を帯びたスラリー状の電極材料を形成する。
なお、常時粘度を測定する必要はなく、任意のタイミングで電極材料の粘度を測定してもよい。
送出工程では、シリンダー部55内の温度及び湿度、駆動モーター57の駆動時の電力量、スクリュー部56の回転数、電極材料の粘度を検知し、製造パラメータとして制御部3のデータ蓄積部171に送信する。
塗工工程及び乾燥工程では、吐出口61の開口幅、塗布速度、環境温度(製造室内の温度)、環境湿度(製造室内の湿度)、搬送ローラー66dの最上部と押さえローラー67の最下部との落差(高低差)、乾燥装置34での乾燥温度、乾燥雰囲気を検知し、製造パラメータとして制御部3のデータ蓄積部171に送信する。
各電極搬送ライン100,101で搬送される電極210,211は、図8のように、セパレータ搬送ライン102で搬送されるセパレータ212とともにステージ103上で交互に積層されて電極体218が形成される。
具体的には、ステージ103の底から順にセパレータ212、負極211、セパレータ212、正極210、セパレータ212、負極211、セパレータ212、正極210、・・・、正極210、セパレータ212の順に電極210,211の間にセパレータ212が介在するように積層されて電極体218が形成される(電極体形成工程)。
またこのとき、環境温度(製造室内の温度)、環境湿度(製造室内の湿度)、電極210,211とセパレータ212との接触面積、電極210,211とセパレータ212の積層数、及び電極210,211とセパレータ212との積層順序をそれぞれ製造パラメータとして制御部3のデータ蓄積部171に送信する。
電解液注入工程では、まず、図示しないロボットアームにより、溶着部材135の溶着部137を覆うように載置されたラミネートフィルム230上にタブ電極部材213,214が取り付けられた電極体218を載置する。次に、図10のように電極体218を覆うようにあらかじめ凹部加工されたラミネートフィルム231を被せる。そして、溶着部材136を下降させ、溶着部138でラミネートフィルム231を押圧し、ラミネートフィルム230,231の3辺が溶着部137,138で挟持される状態とする。その状態で溶着部137,138を加熱し、ラミネートフィルム230,231同士を溶着し、ラミネートフィルム230,231を袋状にする(第1ラミネート工程)。
このときの二次電池200の割合の閾値は、60%以上であることが好ましい。二次電池200の割合の閾値は、90%以下であることが好ましい。
品質は、主に4つに分類され、設計に関する品質、設備に関する品質、不良に関する品質、抜き取り検査で用いるための品質がある。設計に関する品質は、電池の形状に伴う電池部材の使用可能量を基準として判断され、例えば、打ち抜き後の残った電極が多いほど、設計に関する品質は低いことを意味する。設備に関する品質は、製造設備に残ってしまう電極材料を基準として判断され、例えば電極活物質が製造ラインに付着し、電池製造に直接用いられた使用量が、初期の投入量を大きく下回った場合、設備に関する品質は低いことを意味する。不良に関する品質とは、最終製品として製造した二次電池が所定の特性を得られなかった場合の品質をいう。抜き取り検査で用いるための品質とは、抜き取り検査で使用したため出荷できなくなった場合の品質をいう。当該4つの品質の兼ね合いから、上記の閾値が有効と考えられる。
電極形成工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、材料容器40内の混練温度及び混練湿度、駆動モーター47の駆動時の駆動電力、電動プロペラ部46の回転数、及び電極材料の粘度を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
スラリー形成工程では、製造パラメータとして、材料容器40内の温度及び湿度、駆動モーター47の駆動時の電力量、電動プロペラ部46の回転数、電極材料の粘度を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
送出工程では、製造パラメータとして、シリンダー部55内の温度及び湿度、駆動モーター57の駆動時の駆動電力、スクリュー部56の回転数、及び電極材料の粘度を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
塗工工程及び乾燥工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、混練塗工装置20,21の吐出口61,61の開口幅、塗工速度、混練塗工装置20,21の搬送ローラー66b,66dの最上部と押さえローラー67の最下部との落差、混練塗工装置20,21の乾燥装置34,34内の乾燥温度、及び乾燥雰囲気を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
電極圧延工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、圧延ロール70,71の間隔、各圧延ロール70,71の回転速度、圧延後の電極密度及び電極層201の厚みを含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
電極成形工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、切断後の電極210(211)のバリの発生数、バリの面積、バリの位置、接続部205の位置、接続部205の面積を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
電極体形成工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、電極210,211とセパレータ212との接触面積、電極210,211とセパレータ212の積層数、及び電極210,211とセパレータ212との積層順序を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
取出電極接続工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、ホーン部116a,116bによる溶接温度、溶接圧力、保持時間、及び溶接のセンシング時期を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
第1ラミネート工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、溶着部137,138の溶着温度、溶着部137,138の溶着圧力、溶着部137,138の溶着時間、溶着のセンシング時期を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
真空乾燥工程では、製造パラメータとして、真空乾燥室140内の乾燥温度、乾燥湿度、真空度、及び真空ポンプ148の使用電力を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
注液工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、電解液215の注入量、電解液215の濃度を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
第2ラミネート工程では、製造パラメータとして、環境温度、環境湿度、溶着部160の溶着温度、溶着部160の溶着圧力、溶着部160の溶着時間、溶着のセンシング時期を含み、これらの製造パラメータのうち特定された誘因パラメータを設定パラメータとして再設定する。
すなわち、ニューロンは、図15(a)のように、m個の入力xi(iは正の整数)に対する出力yを出力するものであり、各xiには、この入力xiに対応する重みwiが掛けられ、下記式(1)により表現される出力yを出力する。なお、入力xi、出力y、及び重みwiは全てベクトルである。
本実施形態のニューラルネットワークは、入力層180からS個の入力X(X1~XS:Sは、正の整数)が入力され、中間層181を経て、出力層182からT個の結果Y(Y1~YT:Tは、正の整数)が出力される。
特徴ベクトルZ1は、中間層181の第2中間層D2の各ニューロンN2に対して、対応する重みW2がかけられて入力される。
第2中間層D2のニューロンN2は、それぞれ特徴ベクトルZ2を出力し、特徴ベクトルZ2は、中間層181の第3中間層D3の各ニューロンN3に対して、対応する重みW3がかけられて入力される。
中間層181の各中間層で上記の処理が繰り返されていき、末端の第P中間層DpのニューロンNpは、それぞれ特徴ベクトルZpを出力し、特徴ベクトルZpは、出力層182に出力される。その結果、ニューラルネットワークは、結果Y(Y1~YT)を出力する。
重みW1~Wpは、誤差逆伝搬法により学習可能なものである。誤差逆伝搬法は、各ニューロンについて、入力xが入力されたときの出力yと真の出力y(教師)との差分を小さくするように、それぞれの重みWを調整(学習)する手法である。
本実施形態の二次電池200は、非水電解質二次電池であり、具体的には非電解液を電解質とするリチウムイオン二次電池である。
二次電池200は、正極210と、負極211と、セパレータ212と、タブ電極部材213,214(取出電極)と、電解液215と、封入体216を備えている。
正極210は、金属箔202の一部が他の部分に比べて面状に張り出し、タブ電極部材213と接続可能な接続部205aを備えている。
負極211は、金属箔202の一部が他の部分に比べて面状に張り出し、タブ電極部材214と接続可能な接続部205bを備えている。
タブ電極部材213は、充電時に正極210から電子を取り出し、放電時に正極210に電子を注入する部材である。
タブ電極部材214は、充電時に負極211に電子を注入し、放電時に負極211から電子を取り出す部材である。
封入体216は、正極210、負極211、セパレータ212、及び電解液215と、タブ電極部材213,214の一部を封入する部材であり、ラミネートフィルム230,231で形成されている。
各正極210の接続部205aは、平面視したときに重なっており、当該重なり部分にタブ電極部材213が接続されている。
同様に、各負極211の接続部205bは、平面視したときに重なっており、当該重なり部分にタブ電極部材214が接続されている。
封入体216は、その内部が密閉されており、実質的に空気が入っていない状態となっている。
2 製造部
3 制御部
4 評価部
5,5a,5b 電極形成装置
6 電極積層装置
7 溶接装置
8 封止装置
11 電気特性評価装置
12 抵抗特性評価装置
13 形状評価装置
14 温度評価装置
15 安全性評価装置
16 構造評価装置
20 第一混練塗工装置
21 第二混練塗工装置
22 プレス装置
23 成形装置
46 電動プロペラ部
47 駆動モーター
55 シリンダー部
70,71 圧延ロール
80 打抜装置
81 第1分断装置
82 第2分断装置
90 分断刃(切断部)
91 分断歯(切断部)
100,101 電極搬送ライン
102 セパレータ搬送ライン
105 セル搬送ライン
116a,116b ホーン部
130 第1溶着装置
131 真空乾燥装置
132 電解液注入装置
133 第2溶着装置
148 真空ポンプ
161 真空ポンプ
170 ディープラーニング部(機械学習部)
171 データ蓄積部(記憶部)
200 二次電池
201a 正極
201b 負極
202 金属箔
205,205a,205b 接続部
210 正極(電極)
211 負極(電極)
212 セパレータ
213,214 タブ電極部材
215 電解液
216 封入体(封止部材)
218 電極体
230,231 ラミネートフィルム
Claims (9)
- 制御部と、二次電池の一部又は全部の製造工程を自動で行う製造部と、前記製造部によって製造された前記二次電池の品質を評価する評価部を備え、
前記制御部は、記憶部と、機械学習部を有するものであって、前記製造部での製造に使用する製造パラメータを制御可能であり、
前記記憶部は、現在及び過去の製造パラメータと、当該過去の製造パラメータを用いて製造した二次電池の前記評価部による評価結果を紐づけて記憶するものであり、
前記制御部は、前記製造部によって製造された二次電池の品質が所定の基準よりも向上したかどうかを判断し、前記製造部によって製造された二次電池の品質が前記所定の基準よりも向上した場合に、前記記憶部で記憶された過去の製造パラメータ及び過去の評価結果の関係により、製造パラメータの中から品質の向上に影響を与える誘因パラメータを特定し、当該誘因パラメータを前記製造部の設定パラメータとして再設定することを特徴とする二次電池製造システムの制御方法。 - 制御部と、二次電池の一部又は全部の製造工程を自動で行う少なくとも2つの製造部と、前記製造部によって製造された前記二次電池の品質を評価する評価部を備え、
前記制御部は、記憶部と、機械学習部を有するものであって、各製造部での製造に使用する製造パラメータを制御可能であり、
前記記憶部は、現在及び過去の製造パラメータと、当該過去の製造パラメータを用いて製造した二次電池の前記評価部による評価結果を紐づけて記憶するものであり、
前記制御部は、前記2つの製造部のうち一の製造部によって製造された二次電池の品質が所定の基準よりも向上したかどうかを判断し、前記一の製造部によって製造された二次電池の品質が前記所定の基準よりも向上した場合に、前記記憶部で記憶された過去の製造パラメータ及び過去の評価結果の関係により、製造パラメータの中から品質の向上に影響を与える誘因パラメータを特定し、当該誘因パラメータを前記2つの製造部のうち他の製造部の設定パラメータとして再設定することを特徴とする二次電池製造システムの制御方法。 - 前記二次電池の製造工程には、少なくともスラリー形成工程と、塗工工程と、電極体形成工程と、取出電極接続工程を含み、
前記スラリー形成工程は、電動プロペラにより、少なくとも電極活物質と溶媒とバインダーを混練しスラリー状の電極材料を形成する工程であり、
前記塗工工程は、前記スラリー状の電極材料を金属箔に塗布し乾燥させて電極を形成する工程であり、
前記電極体形成工程は、前記電極及びセパレータを重ねて電極体を形成する工程であり、
前記取出電極接続工程は、取出電極を溶接により前記電極体に接続する工程であり、
前記製造パラメータは、以下(1)~(4)の各パラメータを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池製造システムの制御方法。
(1)前記スラリー形成工程における、混練温度、環境温度、環境湿度、前記電極材料の粘度、前記電動プロペラの回転数、及び前記電動プロペラの駆動電力から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(2)前記塗工工程における、環境温度、環境湿度、前記電極材料の粘度、塗布速度、電極の厚み、乾燥温度、及び乾燥雰囲気から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(3)前記電極体形成工程における、環境温度、環境湿度、電極とセパレータとの接触面積、電極とセパレータの重なり数、及び電極とセパレータとの重なり順序から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(4)前記取出電極接続工程における、環境温度、環境湿度、溶接温度、溶接圧力、保持時間、及び溶接のセンシング時期から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。 - 前記二次電池の製造工程には、電極切断機の切断部によって前記電極を切断し、前記電極の形状を整える電極成形工程を含み、
前記製造パラメータは、以下(5)のパラメータを含むことを特徴とする請求項3に記載の二次電池製造システムの制御方法。
(5)前記電極成形工程における、環境温度、環境湿度、切断後の電極のバリの発生数、及び切断後の電極体のバリの面積から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。 - 前記二次電池の製造工程には、前記電極体の一部を袋状の封止部材の内部に収容し真空ポンプにて真空引きしながら乾燥させる真空乾燥工程と、電解液を前記封止部材に注入して前記封止部材の一部を溶着して封止する電解液注入工程を含み、
前記製造パラメータは、以下(6)及び(7)の各パラメータを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の二次電池製造システムの制御方法。
(6)前記真空乾燥工程における、乾燥温度、乾燥湿度、真空度、及び真空ポンプの使用電力から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。
(7)前記電解液注入工程における、環境温度、環境湿度、前記封止部材の溶着温度、前記封止部材の溶着圧力、前記封止部材の溶着時間、前記封止部材のセンシング時期、前記電解液の注入量、及び前記電解液の濃度から選ばれる少なくとも一つのパラメータ。 - 前記二次電池の製造工程には、一対のロールで挟むことで前記電極を圧延する電極圧延工程を含み、
前記製造パラメータは、以下(8)のパラメータを含むことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の二次電池製造システムの制御方法。
(8)前記電極圧延工程における、環境温度、環境湿度、前記一対のロールの回転速度、前記一対のロールの間隔、圧延後の電極密度、及び電極の厚みから選ばれる少なくとも一つのパラメータ。 - 前記二次電池の製造工程には、少なくともスラリー形成工程と、塗工工程と、圧延工程を含んだ電極形成工程を含み、
前記スラリー形成工程は、電動プロペラにより、少なくとも電極活物質と溶媒とバインダーを混練しスラリー状の電極材料を形成する工程であり、
前記塗工工程は、前記スラリー状の電極材料を金属箔に塗布し乾燥させて電極を形成する工程であり、
前記圧延工程は、前記電極が形成された金属箔を圧延する工程であり、
前記電極形成工程は、自動で行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の二次電池製造システムの制御方法。 - 前記機械学習部は、教師あり学習を行うものであって、前記記憶部で記憶された過去の製造パラメータ及び過去の評価結果の関係を教師データとして学習することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の二次電池製造システムの制御方法。
- 前記機械学習部は、4層以上のニューラルネットワークに則して学習するディープラーニング部であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の二次電池製造システムの制御方法。
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