JP5521944B2 - 電池の評価用治具および電池の評価方法 - Google Patents
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Description
図1に,本形態に係る評価用治具100の概略構成を示す。評価用治具100は,製造ラインにおける塗工・乾燥工程を経ることなく,その内部に作成される評価用電池の電池性能を評価するための治具である。評価用治具100は,容器110と,蓋体120と,Oリング130と,正極集電部150と,負極集電部160とを有している。
本形態で用いられる評価用電池は,製造ラインで塗工液を電極芯材に塗工することなく,電池としての性能を評価することのできるものである。
正極用塗工液は,溶媒に正極活物質,導電材,結着材,増粘材を混入して混練されることにより作成される。
負極用塗工液は,溶媒に負極活物質,結着材,増粘材を混入して混練されることにより作成される。
2−3−1.ペースト積層工程
まず,容器110の内部に,負極用塗工液を供給する。負極用塗工液はペースト状である。そのため,負極用塗工液は,容器110の底面に濡れ広がる。これにより,図2に示すような負極ペースト層NA1が形成される。
続いて,図3に示すように,内部に積層体の形成された評価用治具100を真空チャンバ201の内部に載置する。図3は,その様子を模式的に表した図である。真空チャンバ201には,大気開放用バルブ202,排気バルブ203,グローブボックス205が設けられている。真空チャンバ201は,排気バルブ203を介して真空ポンプ204とつながっている。
次に,大気開放用バルブ202を開放する。これにより,図4の矢印Eで示すように,真空チャンバ201の内部にエアが流入する。それにつれて,真空チャンバ201の内部の気圧は徐々に大気圧に近づく。大気開放用バルブ202から真空チャンバ201の内部へのエアの流入がなくなったところで,逆止弁122から容器110の内部に電解液を注入する。このとき,逆止弁122はもちろん開いた状態である。そのため,電解液は図4の矢印Fで示すように評価用治具100の内部に供給される。この電解液の注入には,ピペット等が用いられる。この電解液の注入により,評価用治具100の内部には電池が構成されることとなる。
評価用治具100へ電解液を注入した後に,再び真空チャンバ201の内部を減圧する。これにより,評価用治具100の内部も減圧される。そのため,評価用治具100の内部の電解液は,セパレータSの内部に含浸する。真空チャンバ201の内圧が予め定めた圧力となったところで,再び大気開放用バルブ202を開放する。そして,評価用治具100を真空チャンバ201から外部に取り出す。
続いて,評価用治具100を加圧した状態で拘束する。図5に示すように,拘束治具301,302で評価用治具100を挟み込む。その際に,拘束治具301は,容器110の底面111を加圧する。拘束治具302は,蓋体120の上面121を加圧する。具体的には,拘束治具301と拘束治具302とをネジにより締め付ける。これにより,評価用治具100を図5の矢印Gの向きに一定の圧力で加圧するとともに,その加圧した状態で拘束することができる。
続いて,図6に示すように,充放電可能な評価用電池が内部に形成された評価用治具100を回路に接続する。ここで評価用治具100は,拘束治具301,302に加圧されて拘束された状態のままである。そのため,評価用治具100の内部に形成された評価用電池は,拘束状態のままで各種評価項目について測定される。
ここで,実際の評価例について説明する。例えば,正極用塗工液を混練する際のせん断速度(1/s)と電池の内部抵抗(Ω)との関係について実験を行うことができる。まず,あるせん断速度で混練された正極用塗工液を作成する。せん断速度とは,正極用塗工液を混練する際の回転羽根の回転速度と対応する速度である。そして,その正極用塗工液を用いて評価用治具100の内部に評価用電池を形成する。続いて,その評価用電池の内部抵抗を測定するのである。
4−1.正極集電部および負極集電部の配置
本形態では,正極集電部150を蓋体120に設けるとともに,負極集電部160を容器110に設けることとした。しかし,これら正極集電部150および負極集電部160の配置は,入れ替えてもよい。すなわち,正極集電部150を容器110に設けるとともに,負極集電部160を蓋体120に設けることとしてもよい。このようにしても,正極集電部150の表面151に正極合材層PAを形成するとともに,負極集電部160の表面161に負極合材層NAを形成することに変わりはない。その場合,正極用塗工液と負極用塗工液を容器110に供給する順序は逆になる。このように,容器の内部に正極集電部と負極集電部との少なくとも一方が設けられていればよい。
本形態では,逆止弁122,123を蓋体120に設けることとした。しかし,それ以外の個所に形成することとしてもよい。例えば,容器110の側面に形成することとしてもよい。もちろん,それ以外の個所でもよい。
本形態では,評価用治具100に電解液を注入した後に,評価用治具100の内部を減圧することとした。セパレータSに電解液を含浸させるためである。しかし,電解液を注入した評価用治具100を放置しておけば,評価用治具100の内部を減圧しなくても,電解液はセパレータSに浸透する。したがって,必ずしも評価用治具100の内部を減圧する必要はない。ただし,評価用治具100の内部を減圧する電解液含浸工程を行ったほうが,電解液のセパレータSへの浸透は早い。
本形態では,評価用電池を形成した評価用治具100を加圧するとともに拘束することとした。しかし,リチウムイオン二次電池以外の評価用電池を形成する際には,評価用電池100を加圧するとともに拘束する必要はない。その場合には,積層体拘束工程はなくてもよい。
評価用治具100の加圧および拘束に,拘束治具301,302を用いた。しかし,これ以外にプレス機を用いても構わない。そして,その加圧状態を維持する拘束具で評価用治具100を拘束すればよい。このように評価用電池の測定時に,評価用治具100を上下から加圧した状態にすれば,その他の治具や装置を用いてもかまわない。
本形態では,評価用治具100の内部に形成された電池の評価項目として,充放電容量,電池の内部抵抗,インピーダンスを測定した。しかし,もちろんこれ以外の評価項目を設定することができる。例えば,評価用治具100に変位センサを設けることにより,負極合材層NAの膨張収縮現象における変位量を測定することができる。また,評価用治具100に面圧センサを設けることにより,負極合材層NAの膨張収縮現象を面圧で測定することもできる。その場合には,例えば蓋体120の本体と正極集電部150との間に面圧センサを設けるとよい。
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る評価用治具100は,その内部に評価用のリチウムイオン二次電池を形成するものである。ここで,製造ラインにおける塗工・乾燥工程を経ていないため,塗工液とリチウムイオン二次電池の性能とを対応して評価することができる。
110…容器
111…底面
120…蓋体
121…上面
122,123…逆止弁
130…Oリング
150…正極集電部
151…表面
160…負極集電部
161…表面
201…真空チャンバ
202…大気開放用バルブ
203…排気バルブ
204…真空ポンプ
205…グローブボックス
301,302…拘束治具
400…制御用PC
410…充放電装置
420…インピーダンス測定装置
PA…正極合材層
PA1…正極ペースト層
NA…負極合材層
NA1…負極ペースト層
S…セパレータ
Claims (7)
- 正極合材層を形成される正極集電部と,
負極合材層を形成される負極集電部と,
前記正極集電部と前記負極集電部との少なくとも一方が設けられた容器と,
前記容器の開口部を覆う蓋体と,
前記容器と前記蓋体との間の隙間を密閉する密閉部材と,
前記容器の内部に向かって電解液を流入させる電解液流入部と,
前記容器の外部に向かって気体を流出させる気体流出部とを有することを特徴とする電池の評価用治具。 - 請求項1に記載の電池の評価用治具であって,
前記電解液流入部は,
前記容器の内部に向かう向きに流体を流入させる逆止弁であり,
前記気体流出部は,
前記容器の外部に向かう向きに流体を流出させる逆止弁であることを特徴とする電池の評価用治具。 - 請求項1または請求項2に記載の電池の評価用治具であって,
前記蓋体は,
前記容器の内側壁に沿って可動なものであることを特徴とする電池の評価用治具。 - 容器に正極用塗工液と負極用塗工液との一方を供給して第1のペースト層とし,前記第1のペースト層の上にセパレータを載置し,前記セパレータの上に正極用塗工液と負極用塗工液との他方を供給して第2のペースト層として積層体を形成するペースト積層工程と,
前記容器の内部を減圧することで第1のペースト層および第2のペースト層に含まれる溶媒を揮発させて積層電極体を作成する溶媒揮発工程と,
前記容器に電解液を注入して前記容器の内部に評価用電池を形成する電解液注入工程と,
前記評価用電池の電池性能を測定する測定工程とを有することを特徴とする電池の評価方法。 - 請求項4に記載の電池の評価方法であって,
前記電解液注入工程の後に,
前記容器の内部を減圧して電解液を前記セパレータに含浸させる電解液含浸工程を有することを特徴とする電池の評価方法。 - 請求項4または請求項5に記載の電池の評価方法であって,
前記測定工程の前に,
前記積層電極体を一定の圧力で加圧して拘束する積層体拘束工程を有し,
前記測定工程では,
前記積層電極体を加圧して拘束したままの状態で前記評価用電池の電池性能を測定することを特徴とする電池の評価方法。 - 請求項4から請求項6までのいずれかに記載の電池の評価方法であって,
前記測定工程では,
前記評価用電池の充放電容量と,前記評価用電池の内部抵抗と,前記評価用電池のインピーダンスとの少なくとも一つについて測定することを特徴とする電池の評価方法。
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