JP5585532B2 - 電池とその製造方法および電極板補修装置 - Google Patents

電池とその製造方法および電極板補修装置 Download PDF

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Description

本発明は,電池とその製造方法および電極板補修装置に関する。さらに詳細には,電極板の欠陥部分を補修する電極板補修装置とこれにより補修された電極板を備える電池とその製造方法に関するものである。
二次電池は,携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器,ハイブリッド車両や電気自動車等の車両など,多岐にわたる分野で利用されている。二次電池には,リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池では,エネルギー密度が高く,メモリ効果がない。したがって,各種の機器に搭載する上で好適である。
リチウムイオン二次電池では,正極板と負極板とを,これらの間にセパレータを介在させて積層した積層電極体を備えていることが多い。有効面積を広くとることで,多くの活物質を電極反応に寄与させて高い出力を得るためである。これらの正極板および負極板(以下,「電極板」という)は,それぞれ正極芯材および負極芯材(以下,「電極芯材」という)に正極用塗工液および負極用塗工液(以下,「塗工液」という)を塗工して乾燥させることで作成される。乾燥した塗工層を,それぞれ正極合材層および負極合材層(以下,「電極合材層」という)はそれぞれ,正極活物質および負極活物質を含む層である。
しかし,電極芯材に塗工液を塗工する際に,塗工層に塗工ムラが生じることがある。この塗工ムラは,ポンプの圧力や塗工液の粘度等の種々の条件にばらつきがあるために生ずる。この塗工ムラにより,塗工層間のピッチや相対位置のずれ,非塗工部の幅のばらつきといった不具合を生じることがある。これは,電池性能のばらつきや電池性能そのものの低下の原因となる。
そのため,塗工層の良否判定を行う検査技術が開発されてきている。例えば特許文献1には,塗工層の位置情報を測定して,電極合材層の塗工の良否を判定する検査装置が開示されている(特許文献1の段落[0009]や図2等参照)。この検査装置では,センサにより検出される電極板の移送速度を管理するとともに,間欠塗工ピッチ,非塗工部の幅,表裏面の相対位置のずれ(特許文献1の図2参照)を算出して,これらの値が許容範囲内であるか否かを判別することとしている(特許文献1の段落[0028]参照)。
特開2003−323886号公報
ところで,塗工ムラの大きい箇所では,電極合材層の一部に電極芯材が露出している欠陥部分が生じることがある。この欠陥部分では,場合によっては,リチウムが析出することがある。リチウムが析出すると,内部短絡を起こす可能性がある。内部短絡が生ずると,電池性能は低下する。したがって,欠陥部分があると判断された電極体は,廃棄されることとなる。しかし,それでは歩留まりが悪い。
本発明は,前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,電極板の欠陥部分を補修する電極板補修装置とこれにより補修された電極板を備える電池とその製造方法を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の一態様における電池の製造方法は,電極芯材の少なくとも一方の面に塗工液を塗工して乾燥させて電極板とする電極板作成工程と,電極板とセパレータとを積層して積層電極体とする電極体作成工程と,積層電極体を電池容器に収容するとともに電池容器に電解液を注入して電池とする電池組立工程とを有する方法である。そして,電極芯材に塗工液を塗工してから電極板をセパレータとともに積層するまでの間に,塗工不良である欠陥部分に補修液を塗布して乾燥させる電極板補修工程を有する。かかる電池の製造方法では,電極板に塗工不良による欠陥部分が生じたときに,その欠陥部分を補修液により補修することができる。そのため,歩留まりはよい。
上記に記載の電池の製造方法において,補修液として,絶縁性の樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いるとよい。補修液の乾燥後に絶縁被膜が形成されるからである。
上記に記載の電池の製造方法において,電極板補修工程では,欠陥部分の範囲が,予め定めた補修可能領域より大きい場合に,欠陥部分を補修せず,欠陥部分の範囲が,予め定めた補修可能領域より小さい場合に,欠陥部分を補修するとよい。欠陥部分が大きい場合には,補修を行ったとしても,電池容量の不足など,電池性能が低い場合があるからである。
上記に記載の電池の製造方法において,電極板作成工程で,電極芯材に塗工液を塗工してから乾燥炉内で乾燥するまでの間に,電極板補修工程を行うとよい。補修液の供給後に,塗工液と補修液とを同時に乾燥させることができるからである。電極板作成工程と電極板補修工程とが一体の工程となっているため,サイクルタイムは短い。
また,本発明の別の態様における電極板補修装置は,電極板を巻き出す電極板巻き出し部と,電極板の欠陥部分の有無を検出するとともに欠陥部分の位置および範囲を検出する欠陥部分検出部と,欠陥部分に補修液を供給する1以上の補修液供給部と,補修済みの電極板を巻き取る電極板巻取り部とを有するものである。かかる電極板補修装置では,電極板の塗工不良である欠陥部分に補修液を塗布し,その欠陥部分の補修を行うことができる。
上記に記載の電極板補修装置において,補修液供給部により欠陥部分に供給された補修液を乾燥させる補修液乾燥部を有するとよい。補修液の乾燥を確実に行うことができるからである。また,サイクルタイムを短くすることができるからである。
上記に記載の電極板補修装置において,補修液供給部より下流の位置に,補修されていない欠陥部分未補修部の有無を検出する未補修部検査部を有するとよい。補修されていない欠陥部分未補修部を検出することができるからである。
上記に記載の電極板補修装置において,未補修部検査部より下流の位置に,欠陥部分未補修部に補修液を供給する補修液供給部を有するとよい。欠陥部分未補修部を補修することで,より確実に電極板の欠陥部分の補修を行うことができるからである。
上記に記載の電極板補修装置において,欠陥部分検出部より上流の位置に,電極芯材に塗工液を塗工する塗工部を有するとよい。補修液の供給後に,塗工液と補修液とを同時に乾燥させることができるからである。電極板の作成および電極板の補修を一つの設備で行うことができる。そのため,サイクルタイムは短い。
また,本発明のさらに別の態様における電池は,正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極板と,正極板および負極板の間に配置されるセパレータとが積層された積層電極体と,積層電極体および電解液を収容する電池容器とを有するものである。そして,正極合材層および負極合材層の少なくとも一方に,正極芯材および負極芯材の少なくとも一方を底面とするとともに,電極合材層を側面とする凹部が形成されており,凹部には,少なくとも凹部の底面を覆う絶縁被膜が形成されている。かかる電池では,電極板の塗工不良である欠陥部分が補修されている。
上記に記載の電池において,絶縁被膜の材質は,色素を含有する樹脂であるとよい。電極板の欠陥部分の補修後に,補修が好適になされたか否かを検出することができるからである。
本発明によれば,電極板の欠陥部分を補修する電極板補修装置とこれにより補修された電極板を備える電池とその製造方法が提供されている。
実施形態に係るバッテリパックの概略構成を説明するための斜視図である。 実施形態に係るバッテリの概略構成を説明するための断面図である。 実施形態に係るバッテリの捲回電極体を説明するための斜視図である。 実施形態に係るバッテリの捲回電極体の捲回構造を説明するための展開図である。 実施形態に係るバッテリの正極板(負極板)の断面構造を説明するための斜視断面図である。 実施形態に係るバッテリの負極板に欠陥部分が生じた場合を示す断面図である。 実施形態に係るバッテリの欠陥部分の補修方法を説明するための断面図である。 実施形態に係るバッテリの負極板の補修箇所を説明するための断面図である。 実施形態に係る電極板補修装置を説明するための概略構成図である。 実施形態に係る電極板補修装置の欠陥部分補修機構を説明するための図である。 実施形態に係る電極板補修装置における欠陥部分の補修方法を説明するための図である。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電極板の塗工不良である欠陥部分を補修する電極板補修装置および電池とその製造方法について,本発明を具体化したものである。
1.電池の構造
1−1.バッテリパック
本形態のバッテリパックBPは,図1に示すように,バッテリ100を直列に接続した組電池である。バッテリ100は,角型の単電池である。バッテリパックBPでは,図1に示すように,バッテリ100の正極端子と,そのバッテリ100に隣り合うバッテリ100の負極端子とが,バスバー190を介して締結されている。この締結は,ボルトとナットによりなされている。
1−2.バッテリセル
バッテリ100の概略構成を図2の断面図に示す。図2は,図1に示したバッテリパックBPからバッテリ100を取り出して描いたものである。バッテリ100は,リチウムイオン二次電池である。電池容器110は,図2に示すように,電池容器本体120と,封口板130とを備えるものである。電池容器110の内部には,捲回電極体10が配置されている。この捲回電極体10は,実際に発電に寄与する発電要素である。封口板130は,電池容器本体120の開口部を塞ぐためのものである。そのため,電池容器本体120に接合されている。
電池容器110の内部には,電解液が注入されている。この電解液は,有機溶媒に電解質を溶解させたものである。有機溶媒として例えば,プロピレンカーボネート(PC),エチレンカーボネート(EC),ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),1,2−ジメトキシエタン,1,2−ジエトキシエタン,テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン,ジオキサン,1,3−ジオキソラン,エチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,アセトニトリル,プロピオニトリル,ニトロメタン,N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,スルホラン,γ−ブチロラクトン等の非水系溶媒またはこれらを組み合わせた溶媒を用いることができる。
また,電解質である塩として,過塩素酸リチウム(LiClO)やホウフッ化リチウム(LiBF),六フッ化リン酸リチウム(LiPF),六フッ化砒酸リチウム(LiAsF),LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO,LiIなどのリチウム塩を用いることができる。
図2に示すように,バッテリ100は,正極端子50と,負極端子60と,絶縁部材150と,絶縁部材160とを有している。絶縁部材150は,正極端子50と封口板130とを絶縁するための部材である。絶縁部材160は,負極端子60と封口板130とを絶縁するための部材である。
図2に示すように,封口板130には注液孔140が設けられている。注液孔140は,封口板130を貫通する貫通孔である。注液孔140は,電解液を電池容器110の内部に注入するためのものである。蓋体170は,封口板130の注液孔140を塞ぐための注液孔用蓋体である。したがって,蓋体170は,注液孔140の開口部分を覆っている。蓋体170は,封口板130の外側から封口板130にシーム溶接されている。
1−3.捲回電極体の構造
図3は,捲回電極体10を示す斜視図である。図3に示すように,捲回電極体10は扁平形状をしている。捲回電極体10の一方の端部には,正極端部30が突出している。正極端部30は,後述するように,正極板の正極芯材が突出している箇所である。捲回電極体10の他方の端部には,負極端部40が突出している。負極端部40は,後述するように,負極板の負極芯材が突出している箇所である。
図4は,捲回電極体10の捲回構造を示す展開図である。捲回電極体10は,図4に示すように,内側から正極板P,セパレータS,負極板N,セパレータTの順に積み重ねた状態で捲回されたものである。すなわち,捲回電極体10は,正極板Pと負極板Nとをこれらの間にセパレータS,Tを介在させて交互に配置したものである。
正極板Pは,正極芯材であるアルミ箔にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む合材を塗布したものである。負極板Nは,負極芯材である銅箔にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む合材を塗布したものである。
図4に示すように正極板Pには,正極塗工部P1と,正極非塗工部P2とがある。正極塗工部P1は,正極芯材に正極活物質等を含む正極合材層を形成した箇所である。正極非塗工部P2は,正極芯材に正極合材層を形成していない箇所である。負極板Nには,負極塗工部N1と,負極非塗工部N2とがある。負極塗工部N1は,負極芯材に負極活物質等を含む負極合材層を形成した箇所である。負極非塗工部N2は,負極芯材に負極合材層を形成していない箇所である。
図4中の矢印Aは,正極板P,負極板N,セパレータS,Tの幅方向(図3でいえば横方向)を示している。図4中の矢印Bは,正極板P,負極板N,セパレータS,Tの長手方向(図3の捲回電極体10の周方向)を示している。
セパレータS,Tは,ポリエチレンやポリプロピレン等の多孔性フィルムである。セパレータS,Tの厚みは,10〜50μm程度である。ここで,セパレータSとセパレータTとは同じ材質のものである。上記の捲回順の理解のために符号をS,Tとして区別しただけである。
1−4.電極板の構造
図5は,正極板P(もしくは負極板N)の斜視断面図である。図5中の括弧外の各符号は,正極の場合の各部を,括弧内の各符号は,負極の場合の各部を示している。図5中の矢印Aが示す方向は,図4中の矢印Aが示す方向と同じである。すなわち,正極板P(もしくは負極板N)の幅方向である。図5中の矢印Bが示す方向は,図4中の矢印Bが示す方向と同じである。すなわち,正極板P(もしくは負極板N)の長手方向である。
図5に示すように,正極板Pは,帯状の正極芯材PBの両面の一部に正極合材層PAが形成されたものである。図5中左側には,正極板Pの正極非塗工部P2が幅方向に突出している。正極非塗工部P2は,帯状に形成されている。正極非塗工部P2は,正極芯材PBの両面ともに正極活物質が塗布されていない領域である。したがって正極非塗工部P2では,正極芯材PBがむき出したままの状態にある。一方,図5中右側には,正極非塗工部P2に対応するような突出部はない。正極塗工部P1では,正極芯材PBの両面に一様の厚みで正極合材層PAが形成されている。
正極合材層PAは,正極芯材PBであるアルミ箔にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質の他に,導電材,結着材,増粘材を含む合材を塗布して形成された層である。正極活物質として,ニッケル酸リチウム(LiNiO),マンガン酸リチウム(LiMn),コバルト酸リチウム(LiCoO),LiNi1/3Co1/3Mn1/3等のリチウム複合酸化物などが用いられる。
正極用の導電材として,カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料を用いることができる。例えば,アセチレンブラック,ファーネスブラック,ケッチェンブラック等のカーボンブラック,グラファイト粉末,などのカーボン粉末である。
正極用の結着材は,電解液に不溶性(または難溶性)であって,正極用ペーストに用いる溶媒に分散するポリマーであるとよい。例えば,ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂,酢酸ビニル共重合体,スチレンブタジエンゴム(SBR),アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス),アラビアゴム等のゴムを用いることができる。または,これらの組み合わせを用いてもよい。結着材は,必ずしも上記のポリマーに限定されない。
正極用の増粘材として,カルボキシメチルセルロース(CMC),メチルセルロース(MC),酢酸フタル酸セルロース(CAP),ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロースが用いられる。ただし,必ずしも上記したようなセルロースに限らず用いることができる。
溶媒として,水が挙げられる。その他に,N−メチル−2−ピロリドン(NMP,以下NMPという)を用いてもよい。また,その他の低級アルコールや低級ケトンを用いることもできる。
図5の括弧内の符号で示すように,負極板Nは,帯状の負極芯材NBの両面の一部に負極合材層NAが形成されたものである。図5中左側には,負極板Nの負極非塗工部N2が幅方向に突出している。負極非塗工部N2は,帯状に形成されている。負極非塗工部N2は,負極芯材NBの両面ともに負極活物質が塗布されていない領域である。したがって負極非塗工部N2では,負極芯材NBがむき出したままの状態にある。一方,図5中右側には,負極非塗工部N2に対応するような突出部はない。負極塗工部N1では,負極芯材NBの両面に一様の厚みで負極合材層NAが形成されている。ただし,図4に示したように,捲回時には,正極非塗工部P2と負極非塗工部N2とは,反対側に突出した状態で捲回されることとなる。
負極合材層NAは,負極芯材NBである銅箔に負極活物質,結着材,増粘材を含む合材を塗布して乾燥させた層である。負極活物質は,リチウムイオンを吸蔵・放出可能な物質である。負極活物質として,少なくとも一部にグラファイト構造を含む炭素系物質が用いられる。例えば,非晶質炭素,難黒鉛化炭素(ハードカーボン),易黒鉛化炭素(ソフトカーボン),黒鉛(グラファイト),またはこれらを組み合わせた構造を有する炭素材料を用いることができる。
負極用の結着材は,電解液に不溶性(または難溶性)であって,負極用ペーストに用いる溶媒に分散するポリマーであるとよい。例えば,ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂,酢酸ビニル共重合体,スチレンブタジエンゴム(SBR),アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス),アラビアゴム等のゴムを用いることができる。または,これらの組み合わせを用いてもよい。結着材は,必ずしも上記のポリマーに限定されない。
負極用の増粘材として,カルボキシメチルセルロース(CMC),メチルセルロース(MC),酢酸フタル酸セルロース(CAP),ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロースが用いられる。ただし,必ずしも上記したようなセルロースに限らず用いることができる。
溶媒として,水が挙げられる。NMPを用いてもよい。また,その他の低級アルコールや低級ケトンを用いることもできる。
1−5.電極板の補修箇所
また,図5には,電極板P,Nの補修箇所Xが描かれている。図5は,補修箇所Xを示すために概念的に描いたものである。この補修箇所Xの構造については,後に詳しく説明する。
2.電極板の補修方法
本形態では,電極板の欠陥部分を補修する点に特徴点を有する。そのため,電極板補修装置の構成を説明する前に,電極板の補修方法について説明する。この補修方法については,正極板Pおよび負極板Nで同様の方法を用いることができる。したがって,以下,これらを代表して負極板Nを例に挙げて説明する。
2−1.補修前の電極板
ここで,補修前の負極板Nについて説明する。図6は,補修前の負極板Nを示す断面図である。図6に示すように,負極板Nには欠陥部分Wがある。この欠陥部分Wは,塗工の際の塗工不良によりできてしまったものである。欠陥部分Wは,負極板Nの厚み方向に凹んでいる凹部である。そして,欠陥部分Wの底面W1では,負極芯材NBが露出している。欠陥部分Wの内側面W2は,負極合材層NAの一部である。
2−2.電極板の補修
ここで,負極板Nの欠陥部分Wの補修について説明する。図7に示すように,欠陥部分Wに補修液を滴下し,欠陥部分Wに塗る。ここで,補修液Uが欠陥部分Wの底面W1および内側面W2を覆いつくすようにする。図7のU1で示すように,欠陥部分Wのやや外側にも補修液が覆うように塗り広げる。つまり,欠陥部分Wのすぐ外側の負極合材層NAの箇所にも,補修液がかかるようにするのである。これは,欠陥部分Wで負極芯材NBが露出しないようにするためである。
補修液として,絶縁性の樹脂を溶媒に溶かしたものを用いることができる。絶縁性の樹脂として,例えば,ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられる。その他に,カルボキシメチルセルロース(CMC)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いてもよい。また溶媒として,水やNMP,その他の溶媒を用いることができる。
補修液として採用するには,次の条件を満たすことが必要である。
条件1.絶縁性のものであること
条件2.電解液に不溶性であること
条件3.電気化学的に安定であること
条件4.乾燥後に被膜となるものであること
条件5.被膜となった後にリチウムイオンをほとんど透過させいないこと
そのため,補修液として,電極板P,Nを作成するために用いることのできる前述の結着材や増粘材を用いることができる。また,上記の条件を満たす材質であれば,樹脂に限らず採用してよい。
補修液を塗った後には,負極合材層NAの上に塗布されている補修液U1は,負極合材層NAに浸透する。また,欠陥部分Wの内側面W2からも,補修液Uの一部が負極合材層NAに浸透する。そして,やがて補修液Uは乾燥する。また,補修液Uに熱風をあてるなどして,乾燥させてもよい。
2−3.補修後の電極板
補修後の負極板Nを図8に示す。図8に示すように,補修後には,負極板Nに補修箇所Xが形成されている。補修箇所Xには,被膜Vが形成されている。被膜Vは,補修液Uが乾燥したものである。被膜Vは,上記の条件1〜5を満たすものである。そして,被膜Vは,欠陥部分Wを覆いつくしている。したがって,補修箇所Xに負極芯材NBが露出している箇所はない。すなわち,被膜Vは,少なくとも凹部の底面を覆っている。
前述のとおり,被膜Vは電解液に不溶性のものである。したがって,電池としての使用開始後にも,負極芯材NBが露出することはない。そのため,負極芯材NBからリチウムが析出するおそれはほとんどない。また,被膜Vにおける剥離強度の低下もない。ただし,負極合材層NAのうち補修液が浸透した箇所では,補修液の浸透していない箇所に比べてリチウムイオンの透過性はやや悪い。
3.電極板補修装置
3−1.電極板補修装置の構成
ここで,前述の電極板の補修方法を実施するための電極板補修装置について説明する。本形態の電極板補修装置1000を図9に示す。電極板補修装置1000は,図9に示すように,巻き出し部1010と,ローラ1001と,巻取り部1020と,モータ1030と,撮像部1100と,補修液供給部1200と,乾燥炉1300と,制御部1500とを有している。
巻き出し部1010は,補修前の負極板Nを図9中の矢印C1の向きに巻き出すための電極板巻き出し部である。ローラ1001は,搬送される負極板Nを支持するためのローラである。そのため,フリーローラでよい。巻取り部1020は,補修済みの負極板Nを図9中の矢印C2の向きに巻き取るための電極板巻取り部である。巻取り部1020は,モータ1030により,回転駆動をかけられる。これにより,補修済みの負極板Nを巻き取ることができる。モータ1030は,巻取り部1020に回転駆動をかけるためのものである。
撮像部1100は,図10に示すように,CCDカメラ1101を有している。図10は,電極板製造装置1000を上方からみた透視図である。CCDカメラ1101は,負極板Nに欠陥部分Wがあるか否かを検出するための欠陥部分検出部である。また,負極板Nから欠陥部分Wを検出した場合に,その位置および範囲を座標データとして取得するためのものである。なお,図10では,CCDカメラ1101が負極板Nの幅方向に3台配置されている。もちろんこれは例示であり,台数は変えてもよい。ただし,負極板Nの幅方向にわたって測定できるように配置する必要がある。
補修液供給部1200は,撮像部1100により取得された欠陥部分Wの位置および範囲の座標データに基づいて,欠陥部分Wの補修を行うためのものである。したがって,補修液供給部1200は,負極板Nの搬送経路における撮像部1100より下流の位置に配置されている。なお,負極板Nの搬送方向は,図10の矢印D1の向きである。
補修液供給部1200は,補修液塗布部1201を有している。補修液塗布部1201は,負極板Nの欠陥部分Wに補修液を塗布するためのものである。補修液塗布部1201は,補修液タンク(図示せず)に貯蔵されている補修液を負極板Nの欠陥部分Wに塗布する。補修液塗布部1201は,図10の矢印D2,D3に示すように,負極板Nの搬送方向と交差する方向に移動することができるようになっている。これにより,負極板Nのいずれの位置にできた欠陥部分Wをも補修することができる。なお,補修液供給部1200は,複数の補修液塗布部1201を備えていてもよい。また,撮像部1100と,補修液供給部1200とを合わせて,欠陥部分補修機構Zということとする。
乾燥炉1300は,欠陥部分Wに塗布された補修液を乾燥させるための補修液乾燥部である。乾燥炉1300には,熱風を噴き付ける熱風ノズルが設けられている。熱風ノズルは,一定の速度で搬送される負極板Nに向けて熱風を噴出する。負極板Nは,熱風ノズルから噴き付けられる熱風と,炉内の雰囲気とにより乾燥される。また,乾燥炉1300の内部には,負極板Nを搬送するためのローラ(図示せず)が設けられている。
制御部1500は,撮像部1100から欠陥部分Wの位置および範囲の座標データを取得するとともに,欠陥部分Wの座標データに基づいて補修液供給部1200に欠陥部分Wの補修を指令するためのものである。また,制御部1500は,その他の制御を行うためのものでもある。
3−2.電極板補修装置による補修
ここで,本形態の電極板補修装置1000を用いた欠陥部分Wの補修について説明する。負極板Nは,図11の矢印D1の向きに搬送される。そして,撮像部1100のCCDカメラ1101は,負極板Nの幅方向の全幅にわたって欠陥部分Wの有無を検出する。前述のとおり,欠陥部分Wがある場合には,その位置および範囲に関する座標を取得する。
そして,撮像部1100は,欠陥部分Wの位置および範囲に関する座標を,制御部1500に送信する。制御部1500は,欠陥部分Wの範囲が,予め定めた補修可能領域より大きい場合に,その欠陥部分を補修不可能と判断する。一方,欠陥部分Wの範囲が,予め定めた補修可能領域より小さい場合に,その欠陥部分を補修可能と判断する。
この欠陥部分Wの領域の大小の判断については,予め定めた種々の閾値を用いることができる。例えば,欠陥部分Wの直径が20mm以上である場合に,欠陥部分Wの範囲が大きいと判断する。そして,欠陥部分Wの直径が20mmより小さい場合に,欠陥部分Wの範囲が小さいと判断する。
または,欠陥部分Wの面積が400mm以上である場合に,欠陥部分Wの範囲が大きいと判断してもよい。その場合には,欠陥部分Wの面積が400mm未満である場合に,欠陥部分Wの範囲が小さいと判断する。ただし,これらの閾値の数値は,あくまで例示であり,これら以外の値を用いることもできる。
3−2−1.補修不可能な場合
欠陥部分Wが補修不可能な場合には,負極板Nの欠陥部分Wを補修しない。その代わりに,負極板NにNGマークを付与するとよい。そのNGマークは,大きい欠陥部分Wの位置から幅方向にずれた端部,すなわち負極非塗工部N2に付与すればよい。従来のとおり,インク等を塗ることができる。なお,このNGマークを付与する機構については,図に示されていない。
3−2−2.補修可能な場合
欠陥部分Wが補修可能な場合には,負極板Nの欠陥部分Wを補修する。具体的には,補修液供給部1200の補修液塗布部1201が,欠陥部分Wの位置および範囲の座標に基づいて,欠陥部分Wに補修液を塗布する。図11に,欠陥部分W(破線)および補修液の塗布領域Y(実線)を示す。補修液の塗布領域Y(実線)は,欠陥部分W(破線)の領域を含む領域である。そして,図7で示したように,塗布領域Y(実線)は,欠陥部分W(破線)よりやや広い。そして,補修液の塗布領域Y(実線)の形状は,欠陥部分W(破線)の形状とほぼ相似している。
この後,補修液の塗布領域Y(実線)は,乾燥炉1300の内部に搬送される。そして,塗布領域Y(実線)の補修液は乾燥する。これにより,欠陥部分Wは補修されて補修箇所Xとなる。その断面構造は,図8に示したとおりである。
なお,図9の電極板補修装置1000は,負極板Nの片面を補修するものである。したがって,負極板Nの第1面を補修した後に,第2面を補修すればよい。または,第2面の補修を行うために,乾燥炉1300の下流の位置に撮像部1100と,補修液供給部1200と,乾燥炉1300とを設けることとしてもよい。これまで,負極板Nの補修について説明してきた。もちろん,正極板Pについても同様に欠陥部分Wの補修を行うことができる。
4.電池の製造方法
ここで,本実施の形態に係る電池の製造方法について説明する。本形態の電池の製造方法は,次に示すように,電極板作成工程と,電極板補修工程と,電極体作成工程と,電池組立工程とを有する方法である。そして,本形態の電池の製造方法では,電極板補修工程を有することに特徴がある。
(A)電極板作成工程
(B)電極板補修工程
(C)電極体作成工程
(D)電池組立工程
4−1.(A)電極板作成工程
まず,正極芯材PBであるアルミニウム箔の一部に正極用塗工液を塗工して,正極芯材PBの上に正極用ペースト層を形成する。この正極用塗工液は,溶媒に上記の正極活物質等を混練したものである。次に,正極用ペースト層の形成された正極芯材PBを乾燥炉の内部に搬送しつつその正極用ペースト層を乾燥させる。これにより,正極芯材PBに正極合材層PAが形成される。正極合材層PAは,正極活物質を含む層である。なお,正極芯材PBの両面に正極合材層PAを形成することが好ましい。これにより,正極板Pが作成される。負極板Nについても同様に作成することができる。なお,ロールプレス機により,これらの電極板P,Nに適宜ロールプレスを施してもよい。
4−2.(B)電極板補修工程
続いて,作成された正極板Pおよび負極板Nについて,電極板補修装置1000を用いて欠陥部分Wの補修を行う。前述のとおり,補修液を欠陥部分Wに塗布して,その補修液を乾燥させる。これにより,補修箇所Xが形成される。補修箇所Xでは,欠陥部分Wに被膜Vが形成されている。
4−3.(C)電極体作成工程
続いて,捲回電極体10を作成する。その際に,図4に示したように,正極板Pおよび負極板Nに,これらの間にセパレータS,Tを介在させて捲回する。これにより,正極板P,負極板N,セパレータS,Tが積層された円筒形状の捲回電極体が作成される。この円筒形状の捲回電極体を円筒の径方向から圧縮することにより,図3に示したような扁平形状の捲回電極体10が作成される。
4−4.(D)電池組立工程
次に,捲回電極体10を電池容器本体120に収容する。また,封口板130を電池容器本体120に接合する。この接合にレーザ溶接を用いるとよい。もちろん,その他の接合方法を用いてもよい。そして,注液孔140から電池容器本体120の内部に電解液を注入する。次に,蓋体170を封口板130に接合する。これにより,バッテリ100が組み立てられる。
4−5.その他の工程
電池容器110の内部に電解液を注入した後,電解液は捲回電極体10の正極合材層PAおよび負極合材層NAに徐々に含浸していく。この電解液の含浸後に,初期充電工程や高温エージング工程等を施すこととするとよい。また,その他の各種の検査工程を行ってもよい。以上の工程を経ることにより,本形態のバッテリ100が製造される。
本形態の電池の製造方法では,正極板Pや負極板Nに塗工不良による欠陥部分Wがあった場合に,その欠陥部分Wを補修して補修箇所Xとする。そのため,若干の塗工不良があったとしても,その部分を不良品として廃棄する必要はない。したがって,本形態の電池の製造方法では,歩留まりはよい。
4−6.製造された電池
本形態のバッテリ100には,電極板P,Nに補修箇所Xが形成されている。補修箇所Xでは,電極芯材PB,NBが被膜Vで覆われている。被膜Vは,リチウムイオンを透過しにくい材質である。したがって,被膜Vに覆われている電極芯材PB,NBの箇所ではリチウムがほとんど析出しない。
5.変形例
5−1.固定方式
本形態では,可動式の補修液塗布部1201を補修液供給部1200に設けることとした。その代わりに,搬送される電極板の幅方向に固定式のノズルを多数配置することとしてもよい。このようにしても,欠陥部分Wを補修できるからである。
5−2.塗布領域
本形態では,補修液の塗布領域Y(図11の実線)を,欠陥部分W(図11の破線)の形状に合わせることとした。しかし,塗布形状を予め定めておいてもよい。例えば,塗布形状を直径25mmの円形状としてもよい。または,一辺25mmの正方形形状としてもよい。
この場合には,予め定めた塗布形状に欠陥部分Wが入る場合に,欠陥部分Wが小さいと判断するとともに,予め定めた塗布形状に欠陥部分Wが入らない場合に,欠陥部分Wが大きいと判断すればよい。
5−3.多段補修
本形態では,補修液供給部1200を1個だけ設けることとした。しかし,複数の補修液供給部1200を設けることとしてもよい。このようにすれば,欠陥部分Wの個数が多い場合であっても,確実に補修することができるからである。また,1段目で大きい欠陥部分Wを補修し,2段目で小さい欠陥部分Wを補修するなど,使い分けてもよい。
5−4.補修箇所検査装置
本形態では,欠陥部分Wに補修液を塗布することで,補修箇所Xを形成することとした。これにより,ほとんどの場合には,欠陥部分Wの補修がなされる。しかし,場合によっては,欠陥部分Wの補修が好適になされないこともありうる。したがって,補修が好適になされたか否かを検査するとよい。そして,補修が好適になされていない場合には,再度補修してもよい。または,補修がなされていない箇所や補修が不充分な箇所を不良品と判断して,捲回電極体10の作成に用いないこととしてもよい。補修が好適になされている場合にはもちろん,そのまま次の工程にまわせばよい。
補修が好適になされているか否かを判断するために,電極芯材の搬送方向における補修液供給部1200より上流に位置する撮像部1100に加えて,補修液供給部1200より下流の位置にも,撮像部を配置するとよい。この撮像部は,補修されていない欠陥部分未補修部の有無を検出するための未補修部検出部である。この撮像部を配置する位置は,乾燥炉1300の上流の位置であっても下流の位置であってもよい。また,補修が好適になされたか否かを確実に判断するために,補修液に色素を混入するとよい。なお,欠陥部分未補修部を補修するには,未補修部検出部より下流の位置に未補修の欠陥部分に補修液を供給する補修液供給部を別途設けることとすればよい。
5−5.電極板補修工程の工程順序
本形態では,電極板作成工程と,電極体作成工程との間に電極板補修工程を設けることとした。しかし,この工程順序を変えてもよい。電極芯材に活物質を含む塗工液を塗工した後,電極板を積層しつつ捲回する前であれば,補修可能であるからである。
5−5−1.電極板製造装置
例えば,電極芯材に塗工液を塗工した後,乾燥炉内で乾燥させる前に,欠陥部分Wに補修液を供給することとしてもよい。そのため,電極板製造装置に欠陥部分補修機構Z(図9参照)を設けるのである。この場合には,塗工液を塗工する塗工用ダイやグラビアロール等の塗工装置より下流の位置であって,乾燥炉より上流の位置に,撮像部1100および補修液供給部1200を配置するとよい。つまり,電極芯材の搬送経路における撮像部1100より上流の位置に,電極芯材に塗工液を塗工する塗工部を設けるのである。
5−5−2.ロールプレス機
また,ロールプレス機に欠陥部分補修機構Zを設けることとしてもよい。欠陥部分補修機構Zを設ける位置は,ロールプレスを行う位置より上流の位置であってもよいし,下流の位置であってもよい。ただし,ロールプレスを行う位置よりも上流の位置に欠陥部分補修機構Zを設けるほうがよい。プレス後の電極板の厚みを薄いものとすることができるからである。
5−5−3.電極板捲回装置
また,正極板Pと負極板Nとを,セパレータS,Tを間に介して捲回して捲回電極体10を作成する電極板捲回装置に,欠陥部分補修機構Zを設けることとしてもよい。ただし,正極板Pや負極板Nを巻き出した後,捲回軸に供給する前に,欠陥部分Wの補修を行う必要がある。
5−6.乾燥炉
本形態では,乾燥炉1300における負極板Nの搬送を,ローラを設けることで行うこととした。しかし,エアフローティングで負極板Nを搬送することとしてもよい。また,熱風を噴き付けることにより負極板Nの乾燥を行うこととした。しかし,加熱装置として,熱風ノズルの代わりに,赤外線加熱(IR)や誘導加熱(IH)を用いてもよい。また,これらを併用してもよい。つまり,加熱方式によらず,本形態に適用することができる。また,補修液の塗布領域Yを十分に狭く設定した場合には,乾燥炉が不要となる場合もある。
5−7.電極体の形状
本形態では,扁平形状の捲回電極体10を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法について説明した。しかし,扁平形状の捲回電極体10を有する電池に限らない。円筒形状の捲回電極体を用いることもできる。また,捲回しないで正極板と負極板とを平積みした電極体を用いる電池にも適用することができる。その他,正極板と負極板とを積層した積層電極体を備える電池であれば適用可能である。
6.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る電池の製造方法では,電極板に欠陥部分Wが生じた場合に,その欠陥部分Wを補修液で補修して補修箇所Xとする方法である。そのため,塗工時に,塗工不良による欠陥部分Wが生じたとしても,その欠陥部分Wを補修することができる。そのため,欠陥部分Wを含む部分,例えば捲回電極体10を不良品として廃棄する必要がない。したがって,本形態の電池の製造方法では,歩留まりがよい。
また,本形態のバッテリ100には,電極板P,Nに補修箇所Xが形成されている。補修箇所Xでは,電極芯材PB,NBが被膜Vで覆われている。被膜Vは,リチウムイオンを透過しにくい材質である。したがって,被膜Vに覆われている電極芯材PB,NBの箇所ではリチウムがほとんど析出しない。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,リチウムイオン二次電池に限らない。その他の電池であっても,電極芯材に塗工液を塗布して乾燥させることで作成した電極板を備える電池であれば,適用することができる。また,電池であれば,二次電池に限らず,一次電池にも適用することができる。
1.実験方法
この実験は,補修液により補修した負極板を備える電池(実施例)と補修していない負極板を備える電池(比較例)とで,リチウムの析出の有無について比較するためのものである。そのために,表1に示す材料を用いて,正極板および負極板を作成した。そして,負極板に直径5mmの欠陥部分を人工的に作成した。実施例では,補修液により補修を行った。一方比較例では,他方について補修液による補修を行わなかった。そして,これらの負極板を用いてラミネートセルを作成した。
すなわち,次のラミネートセルを作成した。
実施例 補修した負極板
比較例 補修していない負極板
なお,実施例および比較例において,正極板には欠陥部分の作成を行っていない。また,正極芯材としてアルミニウム箔,負極芯材として銅箔を用いた。
[表1]
正極用塗工液
正極活物質 LiNi1/3Co1/3Mn1/3
導電材 アセチレンブラック(AB)
結着材 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
溶媒 NMP
負極用塗工液
負極活物質 グラファイト
結着材 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
溶媒 NMP
補修液
補修材 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
溶媒 NMP
2.評価手順
評価項目は,リチウムの析出の有無である。そのために,実施例および比較例の電池について,電流値1Cで充放電を20回繰り返した。そして,ラミネートセルを分解した。分解したラミネートセルから,負極板を取り出して,欠陥部分を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
3.実験結果
本実験の結果は,次のとおりである。
実施例 リチウムの析出無し
比較例 リチウムの析出有り
このように,欠陥部分を補修した負極板を備える電池(実施例)では,リチウムの析出が起こらなかった。一方,欠陥部分を補修しなかった負極板を備える電池(比較例)では,リチウムの析出が起こった。なお,リチウムの析出は,負極側でより起こりやすい。したがって,正極板に欠陥部分を形成して補修を行うこととしても,リチウムの析出はおこりえない。
10…捲回電極体
30…正極端部
40…負極端部
50…正極端子
60…負極端子
100…バッテリ
110…電池容器
120…電池容器本体
130…封口板
140…注液孔
150…絶縁部材
160…絶縁部材
170…蓋体
1000…電極板補修装置
1100…撮像部
1101…CCDカメラ
1200…補修液供給部
1201…補修液塗布部
1300…乾燥炉
BP…バッテリパック
P…正極板
P1…正極塗工部
P2…正極非塗工部
N…負極板
N1…負極塗工部
N2…負極非塗工部
S,T…セパレータ
U…補修液
V…被膜
W…欠陥部分
X…補修箇所
Y…塗布領域
Z…欠陥部分補修機構

Claims (11)

  1. 電極芯材の少なくとも一方の面に塗工液を塗工して乾燥させて電極板とする電極板作成工程と,
    前記電極板とセパレータとを積層して積層電極体とする電極体作成工程と,
    前記積層電極体を電池容器に収容するとともに前記電池容器に電解液を注入して電池とする電池組立工程とを有し,
    前記電極芯材に前記塗工液を塗工してから前記電極板を前記セパレータとともに積層するまでの間に,
    塗工不良である欠陥部分に補修液を塗布して乾燥させる電極板補修工程を有することを特徴とする電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載の電池の製造方法であって,
    前記補修液として,
    絶縁性の樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いることを特徴とする電池の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電池の製造方法であって,
    前記電極板補修工程では,
    前記欠陥部分の範囲が,予め定めた補修可能領域より大きい場合に,
    前記欠陥部分を補修せず,
    前記欠陥部分の範囲が,予め定めた補修可能領域より小さい場合に,
    前記欠陥部分を補修することを特徴とする電池の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電池の製造方法であって,
    前記電極板作成工程で,
    前記電極芯材に前記塗工液を塗工してから乾燥炉内で乾燥するまでの間に,
    前記電極板補修工程を行うことを特徴とする電池の製造方法。
  5. 電極板を巻き出す電極板巻き出し部と,
    前記電極板の欠陥部分の有無を検出するとともに前記欠陥部分の位置および範囲を検出する欠陥部分検出部と,
    前記欠陥部分に補修液を供給する1以上の補修液供給部と,
    補修済みの電極板を巻き取る電極板巻取り部とを有することを特徴とする電極板補修装置。
  6. 請求項5に記載の電極板補修装置であって,
    前記補修液供給部により前記欠陥部分に供給された補修液を乾燥させる補修液乾燥部を有することを特徴とする電極板補修装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の電極板補修装置であって,
    前記補修液供給部より下流の位置に,補修されていない欠陥部分未補修部の有無を検出する未補修部検査部を有することを特徴とする電極板補修装置。
  8. 請求項7に記載の電極板補修装置であって,
    前記未補修部検査部より下流の位置に,
    前記欠陥部分未補修部に補修液を供給する補修液供給部を有することを特徴とする電極板補修装置。
  9. 請求項5から請求項8までのいずれかに記載の電極板補修装置であって,
    前記欠陥部分検出部より上流の位置に,電極芯材に塗工液を塗工する塗工部を有することを特徴とする電極板補修装置。
  10. 正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極板と,前記正極板および前記負極板の間に配置されるセパレータとが積層された積層電極体と,
    前記積層電極体および電解液を収容する電池容器とを有し,
    前記正極合材層および前記負極合材層(以下,「電極合材層」という)の少なくとも一方に,前記正極芯材および前記負極芯材の少なくとも一方を底面とするとともに,前記電極合材層を側面とする凹部が形成されており,
    前記凹部には,少なくとも前記凹部の底面を覆う絶縁被膜が形成されていることを特徴とする電池。
  11. 請求項10に記載の電池であって,
    前記絶縁被膜の材質は,
    色素を含有する樹脂であることを特徴とする電池。
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KR20180108268A (ko) * 2017-03-24 2018-10-04 주식회사 엘지화학 결함 검사 장치
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