JP2000353515A - 電池用シート電極の製造方法 - Google Patents
電池用シート電極の製造方法Info
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Abstract
工するに際して、活物質の目付量を均一にすることがで
きる電池用シート電極の製造方法を提供すること。 【解決手段】 集電体シート12面に活物質のペースト
材料をロールコータにより塗布し乾燥させて電池用シー
ト電極を製造するに際し、集電体シート12面に塗工さ
れる活物質のペースト粘度、塗工乾燥前後のウェット状
態あるいはドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量を非破
壊測定によりモニタし、これらのモニタ値に基づいて目
標とする目付量を得るための塗工ギャップ量を決定し、
ドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量と塗工ギャップ量
とのフィードバック制御により塗工するようにした。
Description
の製造方法に関し、更に詳しくは、正極或いは負極を構
成する集電体シート面に正極或いは負極活物質のペース
ト材料をロールコータにより塗布した後に乾燥させて電
池用シート電極を製造するに際し、そのシート面に塗布
されるペースト材料の塗膜厚さを制御する技術に関する
ものである。
えば、正極であれば、正極活物質とその正極活物質に導
電性を付与する導電材(カーボングラファイトなど)
と、これらの活物質と導電材とを結着させる結着剤(有
機バインダなど)とを混合し有機溶剤などに溶かしたペ
ースト材料を金属箔(Al)等の集電体シート面に塗工
した後乾燥させることにより製造するようにしている。
また、負極であれば、金属箔(Cu)等の表面に負極活
物質(グラファイトなど)を溶剤に溶かしたペースト材
料を同様に塗工乾燥することにより製造している。
ト表面に塗料やインク等をコーティングする塗工機とし
て、コンマロールコータ或いはダイコータ(リップコー
タ)と呼ばれるものが知られており、このような塗工機
においては、通常所定の塗工膜厚が得られるよう、ロー
ルコータやダイコータのギャップ量の調整が行われるよ
うになっている。
ート電極の製造に用いることは勿論可能であり、その場
合製造された電池シートの塗膜厚さ等を測定評価する方
法としては、その製品の中から一部を切り出しにより採
取し、その採取サンプルについて破壊検査(厚さ、重量
測定等)を行うことで製品全体の品質評価を行うことが
一般になされている。
シート電極面に塗工されるペースト材料は、フィルムや
紙等の表面に塗工される塗料などのペースト材料と違っ
て、活物質や導電物質などを溶剤に混合したものである
から、非常に高粘度でチクソトロピー性があり、経時変
化を生じやすいという性質を持っている。したがって、
従来のフィルムや紙等にコーティングする塗工機を用い
て長時間(2〜3時間)或いは長距離(400〜500
m以上)に亘って塗工していると、ペースト粘度等の経
時的変化によって集電体シート面に塗工される活物質の
目付量(単位面積当たりの重量)も変動してしまう。そ
のために集電体シート面の全面に亘ってペースト材料を
均一に塗工することは非常に困難なものとなっていた。
る電池では、その使用する多数の電池間において電池容
量にバラツキがないことが求められるが、活物質の目付
量が不均一なシート電極を用いて作製された電池では電
池容量のバラツキが避けられない。したがって、このよ
うにして製造されたシート電極を実際の自動車用電池へ
適用した場合には所望の電池性能を得ることができない
場合もあるという問題がある。
てその一部を切り取りにより採取して破壊検査を行う評
価方法は、その製品間のバラツキが激しいことから、そ
の一部の製品の保証はできても製品全体を保証できる程
度の評価には程遠いものとなっている。さらに、破壊検
査を前提として製造を行う場合には、その破壊する分を
余分に製造しなければならず、極めて経済性の劣るもの
となっている。
造技術に関して、長時間(長距離)に亘って金属箔等の
集電体シート表面に活物質を含むペースト材料を均一な
目付量で塗工する方法は開示されておらず、また、これ
らの製品を破壊することなく、検査でき、しかも製品全
体の品質を保証する方法も開示されていない状況にあ
る。
燥ライン上で集電体シート面に活物質を含むペースト材
料を塗工乾燥することにより電池用シート電極を製造す
るに際して、その集電体シート面に塗工される活物質の
目付量が全面に亘って均一となるように、しかも破壊検
査をすることなく塗工乾燥ライン上で塗膜厚さ等の品質
検査を行うことができる電池用シート電極の製造方法を
提供することにある。
本発明の請求項1記載に係る電池用シート電極の製造方
法は、集電体シート面に電極活物質のペースト材料をロ
ールコータにより塗布し乾燥させて電池用シート電極を
製造する際に、集電体シート面に塗工される電極活物質
のペースト材料のペースト粘度、および塗工乾燥後のド
ライ状態の塗工膜厚若しくは目付量を非破壊測定により
モニタし、モニタされるペースト粘度に基づき前記ロー
ルコータの塗工ギャップ量とドライ状態の塗工膜厚若し
くは目付量との関係を示す収縮率を求め、この求められ
た収縮率と前記ドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量の
モニタ値とに基づき塗工ギャップ量を決定し、ドライ状
態の塗工膜厚若しくは目付量と塗工ギャップ量とのフィ
ードバック制御により塗工するようにしたことを要旨と
するものである。
実施形態の説明時に述べるが、塗工ギャップ量Gと塗工
乾燥後のドライ状態の塗工膜厚TDの関係を示す収縮率
Sが次の数1の関係式で表され、またペースト粘度
(η)と塗膜の収縮率Sとは図2に示したような関係で
把えられることから、あらかじめペースト粘度(η)と
収縮率Sとの関係を把握しておき、運転稼動中にペース
ト粘度(η)をモニタすることにより目標とする目付量
(単位面積当たりの重量)を得るための収縮率S0を求
めて、数1の関係式により目標とする塗工膜厚TD0を
得るための塗工ギャップ量G0を決定する。
変動すれば、収縮率Sが変動するので、その変動後の収
縮率S1の値を前述のあらかじめ把握されるペースト粘
度(η)と収縮率Sとの関係より求め、その変動後の収
縮率S1の値を用いて数1の関係式により変更すべき塗
工ギャップ量(G0→G1)を算出する。
塗工膜厚TD(或いは目付量)は、やはり詳細は後述す
るが、図3に示したような関係にあるので、ドライ状態
の塗工膜厚TDのモニタによって収縮率Sが変動(S0
→S1)すれば、数1の関係式より塗工ギャップ量Gの
値が変更され(G0→G1)、その塗工ギャップ量Gの
変更によりドライ状態の塗工膜厚TDが変更される(T
D0→TD1)。
変更(TD0→TD1)はやはりモニタされていること
から、ドライ状態の塗工膜厚TD(或いは目付量)と塗
工ギャップ量Gとのフィードバック制御により適正な塗
工ギャップ量Gに調整され、目標とする目付量となるた
めのドライ状態の塗工膜厚TDでの塗工が行われる。し
たがって、ペースト粘度(η)が運転途中に変動するこ
とがあっても目標とする目付量が集電体シート面に均一
に得られるように塗工ギャップ量Gの調整が行われ、良
好な活物質の塗膜が形成された電極シートが製造される
こととなる。
シート電極の製造方法は、集電体シート面に電極活物質
のペースト材料をロールコータにより塗布し乾燥させて
電池用シート電極を製造する際に、集電体シート面に塗
工される電極活物質のペースト材料の塗工後乾燥前のウ
ェット状態の膜厚若しくは目付量と、塗工乾燥後のドラ
イ状態の膜厚若しくは目付量とを非破壊測定によりモニ
タし、これらのモニタ値に基づいて両者の関係を示す乾
燥率を求め、この乾燥率をもとに前記ロールコータの塗
工ギャップ量とドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量と
の関係を示す収縮率を求め、この求められた収縮率と前
記ドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量のモニタ値とに
基づき塗工ギャップ量を決定し、ドライ状態の塗工膜厚
若しくは目付量と塗工ギャップ量とのフィードバック制
御により塗工するようにしたことを要旨とするものであ
る。
はり後述するが、塗工乾燥後のドライ状態の塗工膜厚T
D(若しくは目付量)と乾燥前のウェット状態の塗工膜
厚T W(若しくは目付量)との関係を示す乾燥率Dが次
の数2の関係式で表され、またペースト粘度(η)と収
縮率Sとの関係は、請求項1に記載の発明について説明
したようにあらかじめ把握されているものとする。
係は次の数3の関係式で表される。この数3の関係式で
用いられる係数Zはペースト粘度(η)によって変動す
る定数として用いられるものであるが、ペースト粘度
(η)と収縮率Sとの関係、および数1と数2の関係式
より把握される塗工ギャップ量G、ドライ状態の塗工膜
厚TD、ウェット状態の塗工膜厚TW間の学習並びにデ
ータ蓄積により知ることができる。
くは目付量)とウェット状態の塗工膜厚TW0(若しく
は目付量)とがモニタされることにより、前述の数2の
関係式により乾燥率D0が求められ、さらに数3の関係
式により収縮率S0が算出される。そして、収縮率S0
が算出されれば、数1の関係式により目標とする目付量
を得るためのドライ状態の塗工膜厚TD0となるように
塗工ギャップ量G0が決定される。
変動すれば、モニタされているドライ状態の塗工膜厚T
Dとウェット状態の塗工膜厚TWが変化する(TD0→
TD 1,TW0→TW1)ので、それらの膜厚TD1、
TW1のモニタ値から数2の関係式により乾燥率D1が
求められ、さらに数3の関係式により収縮率S1が算出
される。
の関係式によりドライ状態の塗工膜厚TDがモニタされ
ているので収縮率Sの変動(S0→S1)により塗工ギ
ャップ量Gが変更され(G0→G1)、その塗工ギャッ
プ量Gの変更によりドライ状態の塗工膜厚TDが変更さ
れる(TD0→TD1)。
更(TD0→TD1)は、やはりモニタされていること
から、ドライ状態の塗工膜厚TD(若しくは目付量)と
塗工ギャップ量Gとのフィードバック制御により適正な
塗工ギャップ量Gに調整されて目標とする塗工膜厚Tで
の塗工が行なわれる。したがって、この発明の場合も、
ペースト粘度(η)が運転途中に変動することがあって
も均一な目付量が得られるように塗工ギャップ量Gが調
整されて目標とする塗工塗膜が形成された電極シートが
製造されるものである。
は、運転稼働中にペースト粘度(η)をモニタしていな
くとも、乾燥前後のウェット状態とドライ状態の塗工膜
厚をそれぞれモニタすることにより塗工ギャップ量が調
整(制御)されることに特長がある。
用シート電極の製造方法は、集電体シート面に電極活物
質のペーストをロールコータにより塗布し乾燥させて電
池用シート電極を製造する際に、集電体シート面に塗工
される電極活物質のペースト材料のペースト粘度、およ
び塗工後乾燥前のウェット状態の塗工膜厚若しくは目付
量を非破壊測定によりモニタし、これらのモニタ値から
塗工乾燥後のドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量を推
定し、これらのウェット状態の塗工膜厚若しくは目付量
とドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量の値とから両者
の関係を示す乾燥率を求め、この乾燥率と予めデータ蓄
積されるペースト粘度に応じた収縮率との関係により塗
工ギャップ量を決定し、塗工ギャップ量をリアルタイム
にフィードバック制御しながら塗工するようにしたこと
を要旨とするものである。
ースト粘度(η)のモニタにより収縮率Sが求められ、
その時の塗工ギャップ量Gがわかっておれば、数1の関
係式によりドライ状態の塗工膜厚TDが推定される。そ
してこの発明ではウェット状態の塗工膜厚TWがモニタ
されているので数2の関係式により乾燥率Dが求めら
れ、さらに収縮率Sが求められているので数3の関係式
により係数Zの値も決定される。
示したように、ウェット状態の塗工膜厚TW(若しくは
目付量)とドライ状態の塗工膜厚TD(若しくは目付
量)との関係は、ペースト粘度(η)により変化するも
のの相関性があるので、ペースト粘度(η)とウェット
状態の塗工膜厚TWをモニタしていれば、ドライ状態の
塗工膜厚TDが求められ、そのドライ状態の塗工膜厚T
Dが得られるための塗工ギャップ量Gが数1の関係式に
より決定される。
変動すれば、そのペースト粘度(η)とウェット状態の
塗工膜厚TWのモニタにより変動後のドライ状態の塗工
膜厚TDが推定されるので、その推定される塗工膜厚T
Dが目標とする目付量が得られるための塗工膜厚に維持
されるよう塗工ギャップ量Gが変更調整される。 した
がって、ドライ状態の塗工膜厚TDをモニタしなくとも
その塗工膜厚TDを制御できることとなり、ペースト材
料塗工後の乾燥ラインが長い場合にその乾燥ラインの通
過を待たずにリアルタイムで塗工ギャップ量の調整を行
えるものである。
形態を図面を参照して詳細に説明する。初めに、図1は
本発明に係る電池用シート電極の製造方法を実現するた
めの塗工ラインの一例を概略的に示したものである。
がモータ(図示せず)により図中矢示A方向へ回転駆動
される塗工ロール14を周回するように設置され、この
集電体シート12は塗工ロール14と該塗工ロール14
に対して離間接近自在に対峙されるコンマロール16と
の間を通過するように構成されている。このコンマロー
ル16は、鉛直方向に移動自在に設けられ、この移動に
よってコンマロール16と塗工ロール14との隙間G
(塗工ギャップ量)が調節されるようになっている。
ート12面に塗工されるペースト材料のペースト液溜め
17が備えられ、塗工ロール14の回転駆動に伴って該
ペースト液溜め17内のペースト材料が集電体シート1
2面に塗着され、塗工ロール14、コンマロール16間
を通過する。そして、ペースト材料が塗着された集電体
シート12はシート状のまま乾燥室18へ送られ、該乾
燥室18内を通過する間にドライ乾燥されて送出される
ようになっている。
ト液溜め17にはペースト材料の粘度(η)を測定する
ための粘度センサ20が設けられる。また、塗工ロール
14と乾燥室18との間には、集電体シート12面にペ
ースト材料が塗工された直後のウェット状態の塗工膜厚
TWを測定するためのウェット膜厚測定センサ22が設
けられ、さらに乾燥室18の出口側には集電体シート1
2面に塗工されたペースト材料のドライ状態の塗工膜厚
TDを測定するためのドライ膜厚測定センサ22bが設
けられている。
膜厚測定センサ22aおよびドライ膜厚測定センサ22
bは、それぞれ中央演算処理装置(CPU)24に電気
的に接続されており、これらのセンサ20,22a,2
2bにより測定されるペースト粘度(η)、ウェット状
態の塗工膜厚TW、ドライ状態の塗工膜厚TD等のデー
タがCPU24に送信されるようになっている。また、
前記コンマロール16もCPU24に電気的に接続され
ており、CPU24からの指令信号により上下方向に移
動制御され、これにより塗工ロール14とコンマロール
16との間の塗工ギャップ量Gの大きさが調節されるよ
うに構成されている。
スト粘度をインラインで測定する手段としては、細管
式、落体方式、或いは圧電セラミックス(共振式)を利
用したもの等が挙げられる。これらの測定センサの取付
場所としては、この実施形態のように塗工機のペースト
液溜め17内に直接配置するほか、図示しないが、ペー
スト圧送配管のバイパス管路に設けるようにしてもよ
い。更に、このペースト粘度測定センサは、ペースト粘
度の経時変化を測定するものであるが、温度センサを取
り付けてペースト材料の温度を測定し、温度に対する粘
度補正を行うようにすれば、さらに精度良く塗工ギャッ
プ量Gを制御できることとなる。
ースト材料の塗工膜厚の測定手段としては、非破壊計測
のものであれば、γ線を用いたものでも、β線を用いた
ものでもよい。特に、γ線膜厚測定センサは、エネルギ
ー効率が高く、線源容量を小さくできることから配置ス
ペースを確保しやすいという利点があり、更に、非接触
で測定できることから空気層の温度の影響を受けること
なく測定することができる。そして、後方散乱タイプの
ものが良く、後方散乱したγ線は主にシート電極の活物
質の質量(重量)も比例して散乱するということを利用
して、重量採取法等により予めキャリブレーションして
おけば、目標とする目付量を得ることができる。
初めに、CPU24からの指令信号により塗工ロール1
4とコンマロール16との間の塗工ギャップ量Gがg0
(初期設定値)に設定され、しかる後モータ駆動により
塗工ロール14が回転駆動されることにより集電体シー
ト12がシート状に搬送されていき、そのシート12面
にペースト材料が塗布される。そしてこのときのペース
ト粘度(η)は、粘度センサ20により計測され、その
検知信号がCPU24に送信されることによりペースト
粘度(η)が把握される。
12は乾燥室18に搬送されることとなるが、その乾燥
室18に入る前にウェット膜厚測定センサ22aによ
り、非接触で乾燥前のウェット状態の塗工膜厚TWが測
定され、やはりその検知信号がCPU24に送信される
ことによりウェット状態の塗工膜厚が把握され、さらに
乾燥室18で乾燥された後にも、同様にドライ膜厚測定
センサ22bにより、非接触でドライ状態の塗工膜厚T
Dが測定され、その検知信号もCPU24に送信される
ことによりドライ状態の塗工膜厚も把握されることとな
る。
目標とする目付量となる塗工膜厚の電極シートが得られ
るように塗工ギャップ量Gの制御を行うものであるが、
これら各種の測定センサ20,22a,22bからの検
知信号によって得られるペースト粘度(η)、ウェット
状態の塗工膜厚TW、ドライ状態の塗工膜厚TDの各種
データに基づいて、図2〜図4の関係が得られるのでこ
れらについて説明する。初めに図2は、ペースト粘度
(η)と既述の数1に示した収縮率Sとの関係を示した
ものである。横軸にペースト粘度(η)を採り、縦軸に
収縮率Dを採っている。
率Sとの関係は、ペースト材料の組成等によって異なる
ものの、ペースト粘度(η)が小さければ収縮率Sの値
は大きくなり、ペースト粘度(η)が大きければ収縮率
Sの値は小さくなるという関係にあることを示してい
る。
るドライ状態での塗工膜厚TD(若しくは目付量)と塗
工ギャップ量Gとの関係を示したものである。横軸にド
ライ状態の塗工膜厚TD(若しくは目付量)を採り、縦
軸に塗工ギャップ量Gを採っている。今、ある値のペー
スト粘度(η)の時の数1に示した収縮率Dの関係式に
おいて、ドライ状態の塗工膜厚TD(若しくは目付量)
とその時の塗工ギャップ量Gとが定められている時(膜
厚TD0,塗工ギャップ量G0)、ペースト粘度(η)
の変動により収縮率Dが変動(D0→D1)したとす
る。
するドライ状態の塗工膜厚TDが決まっていれば、その
時の必要とする塗工ギャップ量Gが算出されるし、逆
に、ある塗工ギャップ量Gの時のドライ状態での塗工膜
厚TDも算出されることを示している。
るが、収縮率Dはペースト粘度(η)によって変わる。
そこである時点のペースト粘度(η)から図1を用いて
収縮率Dを求める。この収縮率Dの値によって数1より
図2の直線の式が決まる。この式が決まれば、最初に設
定された塗工ギャップg0の時に膜厚がt0であれば、
狙い値t1にするためには塗工ギャップ量g1をどれだ
けにすればよいか計算できる。ペースト粘度が経時変化
によって変わると、その都度、数1の収縮率Dの値が変
わり、図2の直線の式が変わるので、その時点のペース
ト粘度から計算される数1を用いて塗工ギャップ量Gの
値を計算し制御することができる。
W(若しくは目付量)とドライ状態の塗工膜厚TD(若
しくは目付量)の関係を示したものである。横軸にドラ
イ状態の塗工膜厚TD(若しくは目付量)を採り、縦軸
にウェット状態の塗工膜厚T W(若しくは目付量)を採
っている。この図4では、ドライ状態の塗工膜厚T
D(若しくは目付量)とウェット状態の塗工膜厚T
W(若しくは目付量)との関係はペースト粘度(η)に
よって変化するものの、ペースト粘度(η)がわかって
おれば、ウェット状態の塗工膜厚TWをモニタすること
によりドライ状態の塗工膜厚TDを推定できることを示
している。
施形態について説明する。初めに、第1の実施形態で
は、粘度センサ20からの検知信号により把握されるペ
ースト粘度(η)と、ドライ膜厚測定センサ22bから
の検知信号により把握されるドライ状態の塗工膜厚TD
のモニタにより塗工ロール14とコンマロール16との
間の塗工ギャップ量Gを制御するものである。この第1
の実施形態では、センサ20からの信号入力により集電
体シート12面に塗工されるペースト材料のペースト粘
度(η)が把握されると、このペースト粘度(η)にお
いて目標とする目付量となるように所定のドライ状態の
塗工膜厚TDを得るための収縮率S0がCPU24での
演算により求められる。
の塗工ライン10において、ペースト粘度(η)と、そ
のペースト粘度(η)の時の塗工ギャップ量Gおよびド
ライ状態の塗工膜厚TDの測定によりあらかじめ多数の
サンプリングを行って学習によるデータ蓄積を行ってお
くことにより求められる。すなわち、ペースト粘度
(η)と収縮率Sとの関係は、前述の図2に示したよう
な関係で把えられるから、このデータ蓄積によりあらか
じめペースト粘度(η)と収縮率Sとの関係を把握して
おけば、ペースト粘度(η)のモニタによりその時の収
縮率Sが求められるものである。
おいては、塗工ギャップ量Gが目標とする目付量を得る
ためのドライ状態の塗工膜厚TDとなるようには設定さ
れていない場合が多い。そこで目標とする目付量となる
ドライ状態の塗工膜厚TDが形成されるように塗工ギャ
ップ量Gが調整されるが、その時ドライ膜厚測定センサ
22bからの信号入力により実際のドライ状態の塗工膜
厚TDが把握されるので、数1の関係式により目標とす
る目付量となるドライ状態の塗工膜厚TD0を得るため
の塗工ギャップ量G0がCPU24による演算により算
出される。そして、この演算により算出された塗工ギャ
ップ量G0となるように、CPU24からの指令信号に
よりコンマロール16が上下方向に移動されることによ
り塗工ロール14、コンマロール16間の塗工ギャップ
量Gの調整が行われる。
スト粘度(η)が変化した時には、そのペースト粘度
(η)は、粘度センサ20によりモニタされているの
で、その検知信号に基づいて収縮率の変動値(S0→S
1)がCPU24により求められる。
もとに、数1の関係式において、ドライ状態の塗工膜厚
TDはモニタされているので塗工ギャップ量G1の値が
CPU24により算出され、その算出結果に基づいて、
CPU24からの指令信号によりコンマロール16の移
動(G0→G1)が行われる。
TDも変動し(TD0→TD1)、数1の関係式の演算
処理の繰り返し(いわゆる、フィードバック制御)によ
り、目標となる目付量が得られる塗工膜厚TDとなるよ
うに、塗工ロール14、コンマロール16間の塗工ギャ
ップ量Gの調整が行われる。したがって、運転稼働中に
ペースト粘度(η)が変化してもそれに追従して塗工ギ
ャップ量Gの調整が行われ、集電体シート面に目標とす
る目付量の塗膜が均一に形成されることとなる。
では、ウェット状態の塗工膜厚TW(ウェット膜厚測定
センサ22aによる測定値)と、ドライ状態の塗工膜厚
TD(ドライ膜厚測定センサ22bによる測定値)をモ
ニタすることにより塗工ロール14とコンマロール16
との間の塗工ギャップ量Gを制御するものである。この
第2の実施形態では、モニタされるウェット状態の塗工
膜厚TWとドライ状態の塗工膜厚TDとから既述の数2
の関係式により乾燥率Dを求め、この乾燥率Dの値から
数3の関係式により収縮率Sの値を求める。
Zは、既述したように、ペースト粘度(η)によって変
動する定数として用いられるものであるが、図1に表さ
れるペースト粘度(η)と収縮率Sとの関係、および数
1の関係式で表される塗工ギャップ量Gとドライ状態の
塗工膜厚TDとの関係、および数2の関係式で表される
ドライ状態の塗工膜厚TDとウェット状態の塗工膜厚T
Wとの関係等のデータ蓄積により知ることができる。
数1の関係式により目標とする目付量を得るためのドラ
イ状態の塗工膜厚TDとなるように塗工ギャップ量Gが
算出されるので、CPU24からの指令信号によりコン
マロール16が上下方向に移動し塗工ギャップ量Gが調
整される。
この塗工ラインの運転稼働中にペースト粘度(η)が変
化することがあるが、この時には塗工膜厚の変動が生じ
るので、前述のウェット膜厚測定センサ22a、および
ドライ膜厚測定センサ22bからの検知信号に基づいて
ウェット状態の膜厚TWとドライ状態の膜厚TDの変動
値が把握されこの変動値をもとに数2の関係式により乾
燥率D1の値が求められる。
に数3の関係式により収縮率S1の値が算出され、この
収縮率S1の値に基づいて数1の関係式により目標とす
る目付量と得るためのドライ状態の塗工膜厚TDとなる
ように塗工ギャップ量G1が算出され、この算出結果に
基づいてCPU24からの指令信号によりコンマロール
16の移動調整(G0→G1)が行われる。これにより
ペースト粘度(η)が変化してもそれに追従して塗工ギ
ャップ量Gの調整が行われ、集電体シート面に目標とす
る目付量となるための塗工膜厚が均一に形成されること
となる。
塗工ラインの運転中にペースト粘度(η)のモニタを行
っていなくても、乾燥室18での塗膜の乾燥前後におけ
る、ウェット状態の膜厚TWとドライ状態の膜厚TDと
をモニタしておれば、シート電極表面の塗膜の厚さが均
一にかつ一定の厚さに制御されるものである。
態では、ペースト粘度(η)と、ウェット状態の膜厚
(ウェット膜厚測定センサ22aによる測定値)のモニ
タにより塗工ロール14とコンマロール16との間の塗
工ギャップ量Gを制御するものである。この第3の実施
形態では、ペースト粘度(η)のモニタにより収縮率S
が求められると、その時の塗工ギャップ量Gから数1の
関係式によりドライ状態の塗工膜厚TDが推定される。
そして、この実施形態の場合には、ウェット状態の塗工
膜厚TWがモニタされているので、数2の関係式により
乾燥率Dが求められ、されに収縮率Sが求められている
ので数3の関係式により係数Zの値が決定される。
態の塗工膜厚TWとドライ状態の塗工膜厚TDとの関係
は、相関性があるので、ペースト粘度(η)とウェット
状態の塗工膜厚TWをモニタすることにより、ドライ状
態の塗工膜厚TDが求められ、そのドライ状態の塗工膜
厚TDが得られるための塗工ギャップ量Gが数1の関係
式により決定されることとなる。
変動すれば、そのペースト粘度(η)とウェット状態の
塗工膜厚TWのモニタにより変動後のドライ状態の塗工
膜厚TDが推定されるので、このドライ状態の塗工膜厚
TDの推定値とモニタされているウェット状態の塗工膜
厚TWとを用いて数2の関係式により乾燥率D(D0→
D1)が求められ、さらにペースト粘度(η)のモニタ
により収縮率S(S0→S1)もわかっているので数3
の関係式により係数Z(Z1)の値が決定される。
塗工ギャップ量G(G0→G1)が算出され、その塗工
ギャップ量G1となるように塗工ロール14、コンマロ
ール16間の隙間が調整される。この第3の実施形態の
場合には、ドライ状態の塗工膜厚TDをモニタしなくと
も塗工ギャップ量Gを制御できるものであるから、リア
ルタイムで塗工ギャップ量Gを調整でき、集電体シート
が乾燥室18を通過する間の不良品の発生を回避できる
こととなる。
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例ではロールコ
ータ特にコンマロール方式の塗工機に適用した場合につ
いて説明したが、ダイコータ(リップコータ)方式の塗
工機にも適用することができる。尚、このダイコータ方
式等に適用する場合には、塗工ギャップの制御以外にも
ペースト圧送圧力等も調節する必要がある。
スト材料の塗工膜厚と目付量の測定(モニタ)値に基づ
いて、塗工されるシート電極の活物質の密度も同時に算
出し、この活物質密度もモニタすることにより作製され
るシート電極を更に高い品質精度で製造することもでき
る。尚、本発明のシート電極は、リチウムイオン二次電
池のほか、各種のアルカリ二次電池、或いはニッケル水
素電池などのニッケル系水素電池、コンデンサ、燃料電
池などの各種シート電極の製造に適用できるものであ
る。
ト電極の製造方法によれば、集電体シート面に塗工され
るペースト材料のペースト粘度、および塗工乾燥後の塗
工膜厚若しくは目付量をモニタすることにより塗工ギャ
ップ量と塗工膜厚との関係を表す収縮率の関係式によ
り、塗工ギャップ量を決定し、またペースト粘度の変動
等によって塗工膜厚に変動が生じ得る場合も塗工膜厚と
塗工ギャップ量とのフィードバック制御により塗工ギャ
ップ量を調整し塗工するから、集電体シート面に均一に
活物質の塗膜が形成されたシート電極を安定して製造す
ることができる。
電極の製造方法によれば、塗工乾燥前後のウェット状態
の塗工膜厚若しくは目付量と、ドライ状態の塗工膜厚若
しくは目付量をモニタすることにより両者間の関係を表
す乾燥率、およびこれより求められる収縮率の関係式に
より塗工ギャップ量を決定し、またペースト粘度の変動
等があった場合も乾燥前後のウェット状態とドライ状態
の塗工膜厚若しくは目付量の変動をモニタすることによ
り塗工ギャップ量へのフィードバック制御により塗工ギ
ャップ量を調整し塗工するようにしたものであるから、
この場合も集電体シート面に均一に活物質の塗膜が形成
されたシート電極を安定して製造することができる。そ
して、この場合にはペースト粘度をモニタしなくとも実
現できるものである。
ト電極の製造方法によれば、正極或いは負極物質のペー
スト粘度と、乾燥前のウェット状態の塗工膜厚若しく
は、目付量をモニタすることにより塗工ギャップ量を制
御するようにしたものであり、塗工乾燥後のドライ状態
の塗工膜厚をモニタすることなくリアルタイムで塗工ギ
ャップ量を制御できるものであるから、途中、塗工膜厚
の変動が生じ得るような状態が発生した場合等にも速や
かに対処することができる。したがって、歩留り良くシ
ート電極を製造でき、経済性の高いものである。
転稼働中に非破壊検査により製品品質の評価ができるも
のであるから極めて高い精度での品質保証をすることが
でき、電池容量の安定性が求められる電気自動車用電池
等のシート電極の製造への適用は、産業上極めて有益な
ことである。
現するための実施形態である塗工ラインの概略構成を示
した図である。
縮率(集電体シート面の塗工膜厚若しくは目付量と塗工
ギャップ量とにより定義される)との関係を示した図で
ある。
ート面の塗工膜厚若しくは目付量と塗工ギャップ量との
関係を示した図である。
ライ状態の塗工膜厚との関係を示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 集電体シート面に電極活物質のペースト
材料をロールコータにより塗布し乾燥させて電池用シー
ト電極を製造する方法において、集電体シート面に塗工
される電極活物質のペースト材料のペースト粘度、およ
び塗工乾燥後のドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量を
非破壊測定によりモニタし、モニタされるペースト粘度
に基づき前記ロールコータの塗工ギャップ量とドライ状
態の塗工膜厚若しくは目付量との関係を示す収縮率を求
め、この求められた収縮率と前記ドライ状態の塗工膜厚
若しくは目付量のモニタ値とに基づき塗工ギャップ量を
決定し、ドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量と塗工ギ
ャップ量とのフィードバック制御により塗工するように
したことを特徴とする電池用シート電極の製造方法。 - 【請求項2】 集電体シート面に電極活物質のペースト
材料をロールコータにより塗布し乾燥させて電池用シー
ト電極を製造する方法において、集電体シート面に塗工
される電極活物質のペースト材料の塗工後乾燥前のウェ
ット状態の膜厚若しくは目付量と、塗工乾燥後のドライ
状態の膜厚若しくは目付量とを非破壊測定によりモニタ
し、これらのモニタ値に基づいて両者の関係を示す乾燥
率を求め、この乾燥率をもとに前記ロールコータの塗工
ギャップ量とドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量との
関係を示す収縮率を求め、この求められた収縮率と前記
ドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量のモニタ値とに基
づき塗工ギャップ量を決定し、ドライ状態の塗工膜厚若
しくは目付量と塗工ギャップ量とのフィードバック制御
により塗工するようにしたことを特徴とする電池用シー
ト電極の製造方法。 - 【請求項3】 集電体シート面に電極活物質のペースト
材料をロールコータにより塗布し乾燥させて電池用シー
ト電極を製造する方法において、集電体シート面に塗工
される電極活物質のペースト材料のペースト粘度、およ
び塗工後乾燥前のウェット状態の塗工膜厚若しくは目付
量を非破壊測定によりモニタし、これらのモニタ値から
塗工乾燥後のドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量を推
定し、これらのウェット状態の塗工膜厚若しくは目付量
とドライ状態の塗工膜厚若しくは目付量の値とから両者
の関係を示す乾燥率を求め、この乾燥率と予めデータ蓄
積されるペースト粘度に応じた収縮率との関係により塗
工ギャップ量を決定し、塗工ギャップ量をリアルタイム
にフィードバック制御しながら塗工するようにしたこと
を特徴とする電池用シート電極の製造方法。
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