JP7135718B2 - 基板保持機構、成膜装置および多結晶膜の成膜方法 - Google Patents

基板保持機構、成膜装置および多結晶膜の成膜方法 Download PDF

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本発明は、基板保持機構、成膜装置および多結晶膜の成膜方法に関する。
多結晶膜の材料として用いられる炭化珪素は、珪素と炭素で構成される化合物半導体材料である。絶縁破壊電界強度が珪素の10倍であり、バンドギャップが珪素の3倍と優れているだけでなく、デバイスの作製に必要なp型、n型の制御が広い範囲で可能であること等から、珪素の限界を超えるパワーデバイス用材料として期待されている。
また、炭化珪素は、より薄い厚さでも高い耐電圧が得られるため、薄く構成することにより、ON抵抗が小さく、低損失の半導体が得られることが特徴である。
しかしながら、炭化珪素半導体は、広く普及するSi半導体と比較し、大面積のウェハが得られず、製造工程も複雑であることから、Si半導体と比較して大量生産ができず、高価であった。
そこで、炭化珪素半導体のコストを下げるため、様々な工夫が行われてきた。例えば、特許文献1には、単結晶炭化珪素基板と多結晶炭化珪素基板を貼り合わせて得る炭化珪素基板の製造方法が開示されている。この方法は、水素イオン注入を行って薄い水素イオン注入層の形成された単結晶炭化珪素基板と、多結晶炭化珪素基板とを貼り合わせた後に、貼り合わせた基板を加熱して、水素イオン注入層にて単結晶炭化珪素基板を剥離するものである。
特開2009-117533
特許文献1に記載の方法によって得た炭化珪素基板は、単結晶炭化珪素基板が薄膜であり、厚さの大部分が多結晶炭化珪素基板である。これは、炭化珪素基板が研磨等のハンドリングの際に損傷しないよう、機械的な強度を有するように十分な厚さの多結晶炭化珪素の基板を使用するためである。そのため、多結晶炭化珪素の基板の厚さとしては、半導体として機能するために必要な厚さよりも厚いものを用いることとなる。
また、従来この多結晶膜の基板は、CVD法(化学気相成長法)等の気相成長法で、所定の厚さまで多結晶膜の成膜を実施することで得ていた。しかしながら、気相成長法での成膜速度は、一時間あたり数~数十μmであり、機械的強度を有する多結晶膜の基板を得るためには、数十時間の成膜時間が必要となり、生産性の面で問題がある。
また、多結晶炭化珪素基板をCVD法で作製する際、熱CVD法で作製することが一般的であり、この際、炉内を1300℃以上の熱環境として、ここにSiH4等のSi系原材料ガス、CH4等のC系原材料ガスと、不純物ガスである窒素ガス、キャリアガスである水素ガスを導入し、熱反応により、多結晶炭化珪素を母材の基板のおもて面とうら面の両面上に析出させて、多結晶炭化珪素基板を得ている。
多結晶炭化珪素基板は、半導体である単結晶炭化珪素を貼り合せて使用されるものであるため、金属汚染がないことが要求されている。上記の理由から、金属汚染を生じない材料で、高温の環境に耐えうる材料として、母材を保持する材料は、高純度カーボン材等が使用されている。
しかしながら、カーボン材料は、高温に耐えうるものの、機械的強度は弱く、ばね性を有することが難しいため、蒸着対象となる母材であるSi基板またはカーボン基板等をカーボン材で固定する際は、カーボン材のナット等の治具や押さえ板等で母材を挟み込んで固定をする等の方法が取られている。この状態で、多結晶炭化珪素等の成膜を実施し、炭化珪素等を析出させると、母材であるSi基板またはカーボン基板とともにカーボン製の治具等にも炭化珪素等が析出し、治具等と母材とが炭化珪素等によって固着する。
このように治具等と母材とが固着した場合、多結晶膜を成膜終了後に母材を高温環境から冷却する際に生じる多結晶膜の収縮等により、治具等と多結晶膜との間に生じる応力によって、多結晶膜や母材の破壊が生じてしまうことがある。
また、応力等による多結晶膜の割れが生じない母材についても、治具等との固着部分を取り外す際に、治具等の固定部分を切断する等の方法で母材から取り外す必要があり、この切断過程で多結晶膜と母材が破壊されて多結晶膜を回収できないことがある。
このように、多結晶炭化珪素基板等をSi基板またはカーボン基板等の上にCVD成膜法によって厚膜を形成することにより製造する方法において、基板保持治具等とSi基板またはカーボン基板との連結部分に多結晶炭化珪素等が析出してしまうことにより、基板保持治具等と基板の固着による応力が発生し、この応力によって成膜した基板が割れる等などの問題が発生する場合がある。また、応力による基板の割れが発生しない場合でも、多結晶膜を成膜後に基板を治具等から外す際に、基板と多結晶膜の破壊が生じる場合がある。この基板と多結晶膜の破壊によって、基板と多結晶膜の歩留まりが著しく低下し、成膜のコストを大きく押し上げている。そのため、固着による問題を解決することが、多結晶炭化珪素基板等の作製にあたり強くのぞまれている。
上記の問題点に鑑み、本発明では、多結晶膜の成膜による母材と保持治具等の固着を防止することができ、工業的に歩留りの高い成膜を実現することが可能な、多結晶膜の成膜方法等を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱CVD法等により多結晶膜を母材へ厚膜に形成する際に、治具等と母材とが固着することなく、これらを固定する法について鋭意研究を重ねた。その結果、保持治具等が母材となる基板を保持する保持部分に多結晶膜が成膜して固着しないようにカバーを設け、さらに、多結晶膜の成膜中にカバー内部に不活性ガスを流すことにより、保持治具等が基板を保持する保持部分に多結晶膜が成膜することを防止することができ、保持部分の固着を生じさせることなく、所定の厚膜の多結晶膜が成膜できることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の基板保持機構は、基板を保持する保持部と、前記保持部および前記保持部に保持された基板の一部を覆うカバーと、前記カバーの内部にガスを導入するノズルとを備える。
前記保持部は前記基板を載置する円環状の載置部を有し、前記基板保持機構は前記保持部を有する円柱状のロッドを備え、前記ノズルの内径と前記ロッドの断面の直径が略同一であり、前記載置部の外径は前記ロッドの断面の直径の3倍以内であり、前記載置部の外径方向における前記カバーの内寸幅は、前記載置部の外径の1.5倍以内であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の成膜装置は、上記の基板保持機構を備える。
また、上記課題を解決するために、本発明の多結晶膜の成膜方法は、上記の成膜装置を用いた、基板に多結晶膜を成膜する方法であって、前記保持部に前記基板を保持する保持工程と、前記保持工程後、化学蒸着によって前記基板に前記多結晶膜を成膜する成膜工程と、前記ノズルより前記カバーの内部に不活性ガスを導入する不活性ガス導入工程と、を含む。
前記不活性ガスの流速は、前記多結晶膜の原料ガスおよびキャリアガスの混合ガスの流速以上であってもよい。
不活性ガスの流速が0.5m/s~1.0m/sであってもよい。
前記基板がSi基板またはカーボン基板であってもよい。
前記多結晶膜は、炭化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンまたはダイヤモンドライクカーボンの膜であってもよい。
本発明によれば、多結晶膜の成膜時に、保持治具等が母材となる基板を保持する保持部分にカバーを備え、カバーの内部に不活性ガスを導入することにより、多結晶膜の成膜による基板と保持治具等の固着を防止することができる。その結果、工業的に歩留りの高い成膜方法を実現することができ、炭化珪素膜等の多結晶膜の成膜にあたり、その品質および歩留りに好影響を与えることができる。
本発明の基板保持機構の一例を示す概略図である。 図1とは異なる本発明の基板保持機構の一例を示す概略図である。 図1とは異なる本発明の保持部の一例を示す概略図である。 図1の基板保持機構を備えた成膜装置の概略断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[基板保持機構]
本発明の基板保持機構は、保持部と、カバーと、ノズルとを備える。これらの構成を備えることで、基板と保持部との固着を防止することができる。図1に、本発明の基板保持機構の一例を概略図として示す。図1(a)は、基板保持機構100の側面図であり、基板ホルダー10と、カバー20と、ノズル30を備えている。図1(b)は、カバー20の内部が見えるよう切断した基板保持機構100の一部の断面図である。図1(c)は、図1(a)のAA線で切断したAA断面図である。また、図1(d)は、カバー20およびノズル30を用いずに化学蒸着によって多結晶膜300を成膜した後の保持部40および基板200の断面図である。
(基板ホルダー)
基板ホルダー10は、後述する保持部40を備え、保持部40によって母材となる基板200を保持するものであり、原料ガスやキャリアガスが導入される成膜装置のチャンバー内に設置されるものである。基板ホルダー10は、鉛直方向と平行な2つの柱11を備えている。2つの柱11は、上部と下部で連結されていてもよい。
〈保持部〉
基板ホルダー10が備える保持部40は、母材となる基板を保持するものであり、カバー20によって覆われている。例えば、保持部40は基板ホルダー10の柱11に備えられ、0.3mm~5mm程度の基板200を上下より把持して締結することができるよう、上座金41aと下座金41bからなる一対の座金41を有し、また、上座金41aの上部および下座金41bの下部に位置し、座金41による基板200の締結状態を調節可能とする上ナット42aと下ナット42bからなる一対のナット42を有している。これらの座金41とナット42が保持部40となって、基板200を上下より把持している。1つの柱11において、保持部40を複数備えることができ、これにより、基板200を複数把持することができる。また、柱11、座金41、ナット42は、化学蒸着によって多結晶膜を成膜する条件において安定な、1300℃~1600℃程度の温度に対して耐熱性を有するものを使用することができ、具体的には、カーボン製、炭化珪素製、またはこれらの複合材料を加工したものを使用することができる。
基板ホルダー10は、基板200の中心線上に2つの柱11が位置するように配置されており、基板200を2か所で把持している(図1(c))。なお、基板200の把持は2か所に限定されず、柱11を追加して、3か所や4か所で把持してもよく、5か所以上で把持することもできる。
図1(d)に示すように、保持部40によって基板200を上下より把持した状態で、例えば原料ガスやキャリアガスを導入して化学蒸着によって多結晶膜を成膜した場合、基板200の表面のみならず、保持部40や柱11の表面にも、0.3mm~3mm程度の多結晶膜300が連続膜となって成膜する。そのため、基板200と保持部40が多結晶膜300によって固着してしまう。例えば、冷却による多結晶膜300の収縮による保持部40と多結晶膜300との間の応力で、多結晶膜300や基板200が破壊されてしまう場合がある。また、固着後に基板200を保持部40から取り外すためには、保持部40の座金41やナット42を欠損させることとなる。ただし、以下に説明するカバー20およびノズル30を備えることで、これらの問題を解消することができる。
〈カバー〉
カバー20は、保持部40および保持部40に保持された基板200の一部を覆うものである。基板200の全てをカバー20で覆ってしまうと、基板200に多結晶膜を成膜することができないため、保持部40周辺のみをカバー20で覆い、基板200をカバー20の外部へ露出させるためのスリット21を備えることが好ましい。また、ノズル30から導入されたガスを内部22に導入できるよう、開口部23を備える。例えば、カバー20は、断面がコの字形状の箱の態様をとることができる。
カバー20としては、例えば、化学蒸着によって多結晶膜を成膜する条件において安定な、1300℃~1600℃程度の温度に対して耐熱性を有するものを使用することができ、具体的には、カーボン製、炭化珪素製、またはこれらの複合材料をボックス状に加工したものを使用することができる。
〈ノズル〉
ノズル30は、カバー20の内部22にガスを導入するものである。外部よりノズル30の内部31へ送り込まれたガスを開口部32より内部22へ導入することができる。例えば、ノズル30の開口部32が、カバー20の開口部23よりも内部22側にあることで、ガスを無駄なく内部22へ導入することができる。
ノズル30としては、例えば、化学蒸着によって多結晶膜を成膜する条件において安定な、1300℃~1600℃程度の温度に対して耐熱性を有するものを使用することができ、具体的には、カーボン製、炭化珪素製、またはこれらの複合材料をチューブ状に加工したものを使用することができる。また、ノズル30の断面形状は特に限定されず、円形状や多角形状であってもよい。
ノズル30より導入されたガスは、カバー20の内部22へ導入され(図1(c)G1)、内部22がガスにより充満されると、余分なガスはカバー20の開口部23よりカバーの外へ排出される(図1(c)G2)。
保持部40は基板200を載置する円環状の載置部として下座金41bを有し、基板保持機構100は保持部40を有する円柱状のロッドとして柱11を備え、ノズル30の内径d1とロッドの断面の直径d2が略同一であり、載置部(下座金41b)の外径d3はロッドの断面の直径d2の3倍以内であり、載置部(下座金41b)の外径方向におけるカバーの水平方向の内寸幅d4は、載置部(下座金41b)の外径d3の1.5倍以内であり、カバー20の垂直方向の内寸幅d5は、保持部40の厚さ(すなわち、上座金41a、下座金41b、上ナット42a、下ナット42bの厚さの合計)の1.5倍以内であることが好ましい。これらの条件を満たすことにより、基板200と保持部40が多結晶膜300によって固着してしまうことを、少ないガス量でより効果的に防止することができる。
ノズル30の内径d1とロッドの断面の直径d2が略同一でない場合には、ノズル30を通すガスの流量と流速のバランスをとることが困難となるおそれがある。例えば、ノズルの内径d1がロッドの断面の直径d2よりも大きい場合、ガスの流速として標準的な速度である0.5m/sの流速を維持するために、多量の不活性ガス等のノズル30への導入が必要となる場合がある。また、ノズルの内径d1がロッドの断面の直径d2よりも小さい場合、流速を0.5m/sに維持することは容易であるものの、カバー20へ導入される不活性ガスの量が少なくなることで、カバー20内へ原料ガスが侵入してしまうおそれがある。なお、本発明において、内径d1が直径d2と同一の場合、内径d1が直径d2よりも10%短い場合や10%長い場合について、略同一の範囲に含まれる。
そして、載置部(下座金41b)の外径d3はロッドの断面の直径d2の3倍よりも大きいと、ノズル30よりカバー20の内部22へ導入されたガス(図1(c)G1)が、カバー20の開口部23よりカバーの外へ排出される(図1(c)G2)というガスの流れに不具合が生じる場合があり、この場合には、図1(d)に示すような、保持部40の表面と基板200の表面に連続した多結晶膜300が成膜することで、保持部40と基板200とが固着してしまうおそれがある。
また、載置部(下座金41b)の外径方向におけるカバーの水平方向の内寸幅d4が、載置部(下座金41b)の外径d3の1.5倍よりも大きい場合や、カバー20の垂直方向の内寸幅d5が、保持部40の厚さの1.5倍よりも大きい場合には、ノズル30より導入されたガスが保持部40へ十分に当らないため、保持部40の表面に多結晶膜300が成膜することで、上座金41a、下座金41b、上ナット42aおよび下ナット42bがそれぞれ固着してしまうおそれがある。また、保持部40の表面と基板200の表面に連続した多結晶膜300が成膜することで、保持部40と基板200とが固着してしまうおそれがある。
〈その他の構成〉
本発明の基板保持機構は、保持部、カバーおよびノズル以外にも、他の構成を備えることができる。例えば、前述した基板ホルダー10の他、基板ホルダー10、カバー20、ノズル30等を固定する固定部材等を備えることができる。
図2に、図1とは異なる本発明の基板保持機構の一例を示す概略図である。本発明は、図1の基板保持機構100のように、基板200を1つの保持部40にて1か所を保持することもできるが、図2の基板保持機構110のように、基板200を2つの保持部40にて2か所を保持してもよい(図2(a)、(b))。また、保持部40と共にカバー20やノズル30等も増やすことができる。なお、本発明では、基板200を3か所以上で保持することもできる。
図3の概略図により、図1とは異なる本発明の保持部の一例を示す。本発明では、図1に示す保持部40に変えて、基板200を載置することができるよう、例えば爪状に突起した載置部45を保持部として柱11が有してもよい(図3(a))。1つの柱11において、載置部45を複数備えることができ、これにより、基板ホルダー10は基板200を複数保持することができる。
載置部45としては、例えば、化学蒸着によって多結晶膜を成膜する条件において安定な、1300℃~1600℃程度の温度に対して耐熱性を有するものを使用することができ、具体的には、カーボン製、炭化珪素製、またはこれらの複合材料を加工したものを使用することができる。
図3(b)は、図1(c)と同様に、基板保持機構100のAA線で切断したAA断面図である。基板ホルダー10は、基板200の中心線上に2つの柱11が位置するように配置されており、基板200を2か所で保持している(図3(b))。なお、基板200の保持は2か所に限定されず、柱11を追加して、3か所や4か所で把持してもよく、5か所以上で把持することもできる。
[成膜装置]
本発明の成膜装置は、上記した本発明の基板保持機構を備える。この成膜装置を用いれば、母材となる基板と保持部との固着を防止しつつ、多結晶膜を成膜することができる。
図4に図1の基板保持機構100を備えた成膜装置1000の概略断面図を示す。基板保持機構100としては、保持部40を備えるものでも良く、また、載置部45を備えるものでもよい。また、本発明の成膜装置1000は、基板保持機構100以外にも、他の構成を備えることができる。例えば、基板200に多結晶膜300を成膜する成膜室1010、成膜室1010へ原料ガスやキャリアガスを導入する導入口1020、成膜室1010より排出された原料ガスやキャリアガスを成膜装置1000の外部へ排気する排気口1030、成膜室1010より排出された原料ガスやキャリアガスを排気口1030へ導入する排出ガス導入室1040、排出ガス導入室を覆うボックス1050、ボックス1050の外部より成膜室1010内の温度を制御するヒーター1060、ヒーター1060の外側にあり、成膜装置1000の外装となる水冷されたステンレス製の筐体1100を備えることができる。
[多結晶膜の成膜方法]
本発明の多結晶膜の成膜方法は、上記した本発明の成膜装置1000を用いた、基板200に多結晶膜300を成膜する方法であり、保持工程と、成膜工程と、不活性ガス導入工程と、を含む。
(基板)
多結晶膜300を成膜する対象となる基板200(母材)としては、特に限定されないが、例えばSi基板またはカーボン基板を挙げることができる。
(多結晶膜)
基板200に成膜する多結晶膜300としては、特に限定されないが、例えば炭化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンまたはダイヤモンドライクカーボンの膜を挙げることができる。
〈保持工程〉
保持工程は、保持部に基板200を保持する工程である。保持部として保持部40を用いる場合には、座金41とナット42により、基板200を上下より把持する工程が挙げられる。また、保持部として載置部45を用いる場合には、基板200を載置部45に載置する工程が挙げられる。
〈成膜工程〉
成膜工程は、保持工程後、化学蒸着によって基板200に多結晶膜300を成膜する工程である。化学蒸着の具体例としては、加熱した基板200上に、多結晶膜300の成分を含む原料ガスやキャリアガス等を供給し、基板200の表面や気相での化学反応により、多結晶膜を堆積する方法が挙げられる。
(原料ガス)
多結晶膜300を成膜することができれば、特に限定されず、一般的に使用される原料ガスを用いることができる。例えば、炭化珪素の多結晶膜を形成する場合には、SiCl4ガス、SiCl3CH3ガス、CH4ガス、C38ガス等を用いることができる。窒化チタンの多結晶膜300を形成する場合には、TiCl4ガス、N2ガス等を用いることができる。窒化アルミニウムの多結晶膜300を形成する場合には、AlCl3ガス、NH3ガス等を用いることができる。炭化チタンの多結晶膜300を形成する場合には、TiCl4ガス、CH4ガス等を用いることができる。ダイヤモンドライクカーボンの多結晶膜300を形成する場合には、アセチレン等の炭化水素ガスを用いることができる。
(キャリアガス)
多結晶膜300の成膜を阻害することなく、原料ガスを基板へ展開することができれば、一般的に使用されるキャリアガスを用いることができる。例えば、H2ガス等をキャリアガスとして用いることができる。
〈不活性ガス導入工程〉
不活性ガス導入工程は、ノズル30よりカバー20の内部22に不活性ガスを導入する工程である。本工程により、カバー20の内部22において不活性ガスが充満して多結晶膜300が基板200に成膜することができないため、基板200と保持部40(または載置部45)が多結晶膜300によって固着してしまうことを防止することができる。
不活性ガス導入工程は、保持工程後であって成膜工程前に開始し、成膜工程後に終了することが好ましい。すなわち、成膜工程中はカバー20の内部22に不活性ガスが導入されていることで、上記の固着を効果的に防止することができる。なお、多結晶膜300により基板200が固着されないことを条件とすれば、成膜工程中に不活性ガス導入工程を開始することが可能であり、また、成膜工程中に不活性ガス導入工程を終了することが可能である。
(不活性ガス)
導入する不活性ガスとしては、カバー20の内部22において基板200へ多結晶膜300が成膜することを防ぎ、上記の固着を防止できるガスであれば特に限定されない。例えば、希ガスや窒素ガスを用いることができ、ドーパントのおそれがない希ガスを用いることが好ましく、安価で汎用的なアルゴンガスを用いることができる。
不活性ガスの流速は、保持部、基板の大きさや質量等により異なるが、多結晶膜300の原料ガスおよびキャリアガスの混合ガスの流速以上であることが好ましい。この条件であることにより、カバー20の内部22において基板200へ多結晶膜300が成膜することをより防ぎやすくなる。
具体的には、不活性ガスの流速が0.5m/s~1.0m/sであることが好ましい。この条件であることにより、基板200やカバー20の大きさ等が異なるような場合であっても、カバー20の内部22において基板200へ多結晶膜300が成膜することを効果的に防止することができる。不活性ガスの流速が0.5m/s未満の場合には、内部22においても多結晶膜300が成膜するおそれがある。また、不活性ガスの流速が1.0m/sより速いと、カバー20の外部における基板200への多結晶膜300の成膜に、不活性ガスが影響するおそれがある。
〈その他の工程〉
本発明の成膜方法は、保持工程、成膜工程および不活性ガス導入工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、保持工程と成膜工程との間に基板を所定温度に加熱する加熱工程や、化学蒸着前の基板に、成膜を阻害するような何らかの反応が生じないよう、基板を不活性雰囲気下とするべく、希ガスや窒素ガス等の不活性ガスを流通させる工程等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の内容に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1(a)に示す基板ホルダー10、カバー20、ノズル30と、保持部40を備える基板保持機構100を備える、図4に示す成膜装置1000を使用した。保持部40に基板200(4インチで厚み0.5mmのカーボン基板)を保持し(保持工程)、ノズル30よりカバー20の内部22へアルゴンガスを0.5m/sの流速にて導入した(不活性ガス導入工程)。そして、カバー20の外部の基板200のおもて面とうら面の両面に、多結晶膜300として厚み0.3mmの炭化珪素膜を成膜した(成膜工程)。成膜条件は、成膜室1010内の圧力を25kPa、温度を1350度とし、原料ガスとしてSiCl4ガスとCH4ガスを各800sccm、キャリアガスとして水素ガスを5000sccmで導入し、10時間の成膜を実施した。成膜工程終了後、不活性ガス導入工程を終了し、多結晶膜300が成膜した基板200を冷却後に成膜装置1000から取り出し、保持部40における基板200と多結晶膜300の固着の有無を確認した。結果を表1に示す。
基板200は平行となるように2枚保持した。柱11としては、断面直径d2が5mmのカーボンロッドを使用した。保持部40は、カーボン製であり、座金41の外径は15mmとした。また、ノズル30はカーボン製であり、内径d1は柱11の断面直径d2と略同一の6mmとした。そして、カバー20はカーボン製であり、内寸幅は20mmとした。
(実施例2)
不活性ガス導入工程において、アルゴンガスの流速を1.0m/sとすること以外は、実施例1と同様の条件で多結晶膜300を基板200へ成膜した。
(比較例1)
カバー20の内部22へアルゴンガスを導入しないこと以外は、実施例1と同様の条件で多結晶膜300を基板200へ成膜した。
(比較例2)
カバー20を備えない基板保持機構100を使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で多結晶膜300を基板200へ成膜した。
Figure 0007135718000001
(結果)
実施例1、2では、カバー20を備える基板保持機構100を使用し、カバー20の内部22へアルゴンガスを0.5m/s~1.0m/sの条件で導入する不活性ガス導入工程を行うことにより、カバー20の内部22へ原料ガスおよびキャリアガスが侵入することを防止することができた。その結果として、カバー20の外部においては基板200へ多結晶膜300が均一に成膜し、その一方で、カバー20の内部においては、図1(d)に示すような多結晶膜300による基板200と保持部40との固着は認められず、基板200を保持部40から無理なく取り外すことができた。
一方で、比較例1では、不活性ガス導入工程を行わなかった結果、カバー20の内部22へ原料ガスが侵入し、多結晶膜300による基板200と保持部40との固着が認められた。その結果、基板200を保持部40から取り外す際に、基板200と多結晶膜300が一部破壊された。
また、比較例2では、カバー20を備えない基板保持機構100を使用したことにより、ノズル30から不活性ガスを導入しても、その効果は得られず、多結晶膜300による基板200と保持部40との固着が認められた。その結果、基板200を保持部40から取り外す際に、基板200と多結晶膜300が一部破壊された。なお、不活性ガスが成膜室1010内へ導入されることによる、基板200への多結晶膜300の成膜不良は認められなかった。
[まとめ]
上記の実施例の結果から、本発明によれば、カーボン基板に炭化珪素膜を成膜する際に生じていた基板と保持部との固着を防ぐことができ、その結果、多結晶膜の応力や固着による基板の破損を抑制することができる効果が得られたことは明らかである。実施例では、その一例として、カーボン基板に炭化珪素の多結晶膜を成膜する場合について紹介したが、本発明の効果は、この場合のみならず、カーボン基板やSi基板等に対し、炭化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンまたはダイヤモンドライクカーボン等の多結晶膜を成膜する場合においても、得られるものである。
10 基板ホルダー
11 柱
20 カバー
21 スリット
22 内部
23 開口部
30 ノズル
31 内部
32 開口部
40 保持部
41 座金
41a 上座金
41b 下座金
42 ナット
42a 上ナット
42b 下ナット
45 載置部
100 基板保持機構
110 基板保持機構
200 基板
300 多結晶膜
1000 成膜装置
1010 成膜室
1020 導入口
1030 排気口
1040 排出ガス導入室
1050 ボックス
1060 ヒーター
1100 筐体
d1 ノズルの内径
d2 柱の断面の直径
d3 下座金の外径
d4 カバーの水平方向の内寸幅
d5 カバーの垂直方向の内寸幅
G1 矢印
G2 矢印

Claims (7)

  1. 基板を保持する保持部と、
    前記保持部および前記保持部に保持された基板の一部を覆うカバーと、
    前記カバーの内部にガスを導入するノズルと
    を備える基板保持機構であって
    前記保持部は前記基板を載置する円環状の載置部を有し、
    前記基板保持機構は前記保持部を有する円柱状のロッドを備え、
    前記ノズルの内径と前記ロッドの断面の直径が略同一であり、
    前記載置部の外径は前記ロッドの断面の直径の3倍以内であり、
    前記載置部の外径方向における前記カバーの内寸幅は、前記載置部の外径の1.5倍以内である、基板保持機構。
  2. 請求項1に記載の基板保持機構を備える、成膜装置。
  3. 請求項2に記載の成膜装置を用いた、基板に多結晶膜を成膜する方法であって、
    前記保持部に前記基板を保持する保持工程と、
    前記保持工程後、化学蒸着によって前記基板に前記多結晶膜を成膜する成膜工程と、
    前記ノズルより前記カバーの内部に不活性ガスを導入する不活性ガス導入工程と、を含む、多結晶膜の成膜方法。
  4. 前記不活性ガスの流速は、前記多結晶膜の原料ガスおよびキャリアガスの混合ガスの流速以上である、請求項3に記載の多結晶膜の成膜方法。
  5. 前記不活性ガスの流速が0.5m/s~1.0m/sである、請求項3または4に記載の多結晶膜の成膜方法。
  6. 前記基板がSi基板またはカーボン基板である、請求項3~5のいずれか1項に記載の多結晶膜の成膜方法。
  7. 前記多結晶膜は、炭化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンまたはダイヤモンドライクカーボンの膜である、請求項3~6のいずれか1項に記載の多結晶膜の成膜方法。
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