JP7135506B2 - インキ、および印刷物 - Google Patents
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性、加工性といった機能が要求される。内容物の品質保持のためには、特にガスバリア機能が重要となる。
スメクタイトとは、層構造を有するフィロケイ酸塩鉱物(層状粘土鉱物)の一種である。スメクタイトの具体的な構造としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、ソーコナイト等の構造が知られている。これらのうち、粘土材料の構造としてはモンモリロナイト及びスティーブンサイトからなる群より選択される少なくとも一種の構造が好ましい。これらの構造は、八面体シートの金属元素の一部に、低原子価金属元素との同型置換、欠陥等を有する。そのため、八面体シートが負に帯電している。その結果、これらの構造は八面体シートに空きサイトを有しており、これらの構造を有するスメクタイトでは、後述するようにリチウムイオンが移動後に安定して存在できる。
本発明のインキは着色剤を含む。着色剤とは一般にインキに含まれる樹脂や溶剤に溶解する染料と、溶解しない顔料とが挙げられる。本発明のインキは、顔料と染料のどちらか一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
実施形態において樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。具体的には、ロジン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレン・マレイン酸樹脂、スチレン・アクリル樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、環化ゴム、塩素化ポリオレフィン樹脂等が例示できる。樹脂としては、インキに含まれる着色材を均質に分散させ、且つフィルム、板、成形材料などの被印刷材料に接着させることができるものであると好ましい。特に好ましい樹脂は軟包装用のインキに広く使用されている、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ尿素樹脂、アクリル樹脂である。
本発明のインキは塗工適性付与の粘度調整等を目的として溶剤を含んでもよい。溶剤としては、水の他、炭化水素系溶剤としてはミネラルスピリット、石油ナフサ、トルエン、キシレン、テトラリン、テレピン油が例示できる。また、エステル系としては酢酸n-ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸エチル、酢酸プロピルが明示できる。また、ケトン系としては、MIBK、MEK シクロヘキサノン、アルコール系としてはイソプロピルアルコール、ブタノール、エタノール、メタノールが多価アルコール誘導体としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、 セロソルブアセテート、 ブチルセロソルブアセテート、 ブチルカルビトールが、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル等の化合物を例示できる。また、これらは2種類以上を組み合わせて用いても良い。
インキには、更にインキとしての性能を高めるための各種助剤を含有してもよい。助剤としては、修飾剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、ブロッキング防止材、粘着付与材等が例示できる。例えば修飾剤としては、カップリング剤が例示され カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミカップリング剤等や、シラン化合物、シラザン化合物、酸無水物等が挙げられる。インキがこれらの修飾剤を含有する場合、のインキ用樹脂との濡れ性が向上し、インキへの分散性が向上する。修飾剤は、1種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインキには、上記助剤に加えて本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、各種フィラー、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤、酸素捕捉剤(酸素捕捉機能を有する化合物)、粘着付与剤等が例示できる。特に、ガスバリア機能を高める目的で他の無機層状化合物をリチウム部分固定型スメクタイトと併用しても良い。無機層状化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等)、アンチゴライト族粘土鉱物(アンチゴライト、クリソタイル等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。
本発明のインキの印刷方法としては特に限定されない。凸版式としては、凸版、フレキソ、ドライオフセット、凹版としてはグラビア、グラビアオフセット、パッド、平版としてはオフセット、孔版としてはスクリーン、これらに加えてインクジェットを例示することができるが、これらには限定されない。
インキの固着方法としては、蒸発乾燥型、酸化重合型、2液反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、浸透乾燥型などを例示することができるが、これらには限定されない。
インキに含有するフィラーとしてはリチウム部分固定型スメクタイト又はリチウム部分固定でないスメクタイト、及び有機変性スメクタイトを用いた。リチウム部分固定型スメクタイトは、クニミネ工業株式会社製のモンモリロナイトスラリー(商品名:RCEC-W、陽イオン交換容量39.0meq/100g)を用いた。この分散スラリー中のリチウム部分固定型スメクタイトの含有量(w/w%)は20w/w%であった。また、リチウム部分固定でないスメクタイトとしてクニミネ工業株式会社製のナトリウム型モンモリロナイト(商品名:クニピアF、陽イオン交換容量108meq/100g)を用いた。更に、有機変性スメクタイトとして、層間の金属カチオンを四級アンモニウム塩でイオン交換された株式会社ホージュン性の有機変性スメクタイト(商品名エスベンN-400、陽イオン交換容量100meq/100g)を用いた。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、エチレングリコールとネオペンチルグリコールの混合物(モル比=1/1)とアジピン酸とを反応させて得た数平均分子量1,800のポリエステルジオール605.9部およびイソホロンジイソシアネート94部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、遊離イソシアネート価1.02重量%のプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル300部を加えてウレタンプレポリマーを得た。
続いて、イソホロンジアミン18.1部、酢酸エチル873部およびIPA503部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で8時間攪拌反応させて、樹脂固形分濃度30.5質量%、重量平均分子量58,000、アミン価5.3(mgKOH/g)のポリウレタン樹脂溶液(A)を得た。
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸n-プロピルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液(B)とした。
ポリウレタン樹脂溶液(A)(固形分30%)を25部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)(固形分15%)10部、酸化チタン顔料(石原産業(株)製R-780)35部、酢酸エチル15部、イソプロピルアルコール15部からなる混合物をダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェノン社製)を用いて混練し、更にRECE-Wを12.5部添加し、均一分散させることで白色のインキを作製した。尚、本インキ中の部分固定リチウムスメクタイトの含有量は、不揮発分全量に対して5.3質量%であった。
RECE-Wの添加量を25部にしたこと以外は、実施例1と同様な方法により白色のインキを作製した。尚、本インキ中の部分固定リチウムスメクタイトの含有量は、不揮発分全量に対して10.2質量%であった。
RECE-Wの添加量を50部にしたこと以外は、実施例1と同様な方法により白色のインキを作製した。尚、本インキ中の部分固定リチウムスメクタイトの含有量は、不揮発分全量に対して18.5質量%であった。
前記リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wの代わりにナトリウム型モンモリロナイト粉末クニピアFを5g用いたこと以外は実施例1と同様にして白色のインキを作製した。尚、本インキ中のナトリウム型モンモリロナイトの含有量は、不揮発分全量に対して10.2質量%であった。
前記リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wの代わりに四級アンモニウム塩でイオン交換された有機変性スメクタイトとして、エスベンN-400を5g用いたこと以外は実施例1と同様にして白色のインキを作製した。尚、本インキ中のナトリウム型モンモリロナイトの含有量は、不揮発分全量に対して10.2質量%であった。
実施例1でのリチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wを加えない以外は、実施例1と同様な方法として白色のインキを作成した。
実施例1~3、比較例1、2及び参考例で得られた白色のインキの粘度を、酢酸エチル及びイソプロピルアルコール(IPA)で希釈しザーンカップ#3(離合社製)で12~約16秒になるように調整した。本白インキをバーコーター#4を用い、片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、PETフィルム、東洋紡績株式会社製 E-5100 厚さ12μm)に印刷し、白インキの印刷物を得た。
上記印刷物に、エーテル系のドライラミネート接着剤であるディックドライLX-401A/SP-60(DIC株式会社)をバーコーターを用いて、塗膜量が2.5g/m2となるように塗布、乾燥後、無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPP:東洋紡(株)製 P1128 20μm)を積層し、40℃で3日間エージング施し、白インキが印刷されたラミネート物を得た。
酸素透過率の測定は、JIS-K7126(等圧法)に準じ、モコン社製酸素透過率測定装置OX-TRAN1/50を用いて、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で実施した。なお、RHとは相対湿度を表す。尚、12μmのPETフィルムでの酸素透過率は、約135cc/m2・日・atmである。
前記の印刷物の作製で得られた、PETフィルムへの白インキの印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を次の5段階で目視判定した。
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の70%以上~90%未満がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の50%以上~70%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の30%以上~50%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜が30%未満しか残らなかった。
エージングが終了した多層フィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、PETフィルムとCPPフィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、90度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度を接着強度とした。接着強度の単位はN/15mmとした。
本発明のインキは、ガスバリア機能能特に酸素バリア性に優れた。また実用上、充分なセロハンテープ密着性とラミネート強度を示した。そのため、ガスバリア機能を持つ包装材料等に好適に用いることができる。
Claims (7)
- 着色剤と、樹脂と、リチウム部分固定型スメクタイトとを含有するインキであり、前記リチウム部分固定型スメクタイトの含有量が、前記インキの不揮発分全量に対し、1~30質量%であるインキ。
- 着色剤が無機顔料である、請求項1に記載のインキ。
- 無機顔料が、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、カーボンブラックから選ばれる少なくともひとつである、請求項2に記載のインキ。
- 前記リチウム部分固定型スメクタイトの陽イオン交換容量が1~70meq/100gである、請求項1~3のいずれか一項に記載のインキ。
- 前記樹脂が、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ尿素樹脂、アクリル樹脂の何れかである請求項1~4のいずれか一項に記載のインキ。
- 請求項1~5のいずれかに記載のインキを印刷して得られる印刷物。
- 包装材料である、請求項6に記載の印刷物。
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