JP7127771B2 - 樹脂組成物、成形体、積層体、ガスバリア材、コーティング材及び接着剤 - Google Patents

樹脂組成物、成形体、積層体、ガスバリア材、コーティング材及び接着剤 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、成形体、積層体、ガスバリア材、コーティング材及び接着剤に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下「PAS樹脂」と略すことがある。)は優れた耐熱性、耐薬品性、難燃性、剛性、機械的特性を有しており、いわゆるエンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、構造部品等に広く使用されている。
特許文献1には、ポリアリーレンスルフィドと有機変性層状ケイ酸塩とからなる複合材料が開示されており、両者がイオン結合又は共有結合を生じているため、耐熱性、剛性及び結晶化速度が優れているとされている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂と、層状珪酸塩との紛体混合物を用いた熱可塑性樹脂組成物の製造方法が開示されており、熱可塑性樹脂としてポリアリーレンスルフィド系樹脂が例示されている。本方法によれば、微細な劈開状態で分散できるとされている。
特開平5-194851号公報 特許第3296100号公報
しかしながら、特許文献1においては、耐熱性、剛性及び結晶化速度の改善を課題としており、ガスバリア性については全く考慮されていない。一方、特許文献2では酸素透過速度が評価されているものの、ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物の評価はなく、当該樹脂とは物理的・化学的特性の全く異なるポリアミドについて評価されているのみである。
本発明の目的は、ポリアリーレンスルフィド樹脂と層状粘土鉱物を含有する樹脂組成物であって、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性及び酸素バリア性が優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、ポリアリーレンフルフィド樹脂とリチウム部分固定型スメクタイトとを含有する樹脂組成物を提供する。
PAS樹脂は上述の特性を有することから、従来、高耐久性を持つ配管類、タンク、フィルムとして内容物の透過遮断に対するニーズは存在していたものの、水蒸気、酸素等のガスや、燃料などを遮断する性能、いわゆるバリア性能は、他の熱可塑性樹脂と比較しても特段に優れてはいないために、バリア性能に着目した組成物は検討されてこなかった。
上記文献1及び2にはPAS樹脂が言及されているため、本発明者らは、これらの文献に開示された有機変性層状ケイ酸塩又は層状珪酸塩とPAS樹脂を用いて、樹脂組成物を作製し、水蒸気バリア性及び酸素バリア性等のガスバリア性を評価したところ、これらの特性は非常に劣ることが判明した。
このように、十分なガスバリア性を得られない一因としては、本発明者らは以下を想定している。すなわち、上記文献1及び2に開示された組成物を得るために、PAS樹脂を成形加工すると、加熱温度が300℃以上と高温になってしまうため、組成物に含まれる成分が分解、燃焼し、ガスが発生し、これにより、成形材料に欠陥が生じることが想定される。
これに対し、ポリアリーレンフルフィド樹脂に添加する層状粘土鉱物としてリチウム部分固定型スメクタイトを用いた、本発明の樹脂組成物においては、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性、酸素バリア性が顕著に優れることが見出された。
リチウム部分固定型スメクタイトは、陽イオン交換容量が1~70meq/100gであることが好ましい。これにより、水蒸気バリア性及び酸素バリア性がより一層優れたものとなる。
リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、樹脂組成物の不揮発分全量に対し、3~70質量%であることが好ましい。このような含有量にすることで、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れるとともに成形性がより一層優れたものとなる。
樹脂組成物の構成成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記式(1)で表される構造部位を有するポリフェニレンスルフィド樹脂であってよい。
Figure 0007127771000001
樹脂組成物の構成成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記式(2)で表される構造部位を有するポリフェニレンスルフィド樹脂であってもよい。
Figure 0007127771000002
本発明は更に、上述した樹脂組成物の成形体、及びこの成形体を基材上に備える積層体、を提供する。
本発明の樹脂組成物は、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れているため、ガスバリア材、コーティング材、接着剤等の用途に好適に利用可能である。
本発明によれば、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性及び酸素バリア性が更に優れた樹脂組成物の提供が可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
実施形態に係る樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、リチウム部分固定型スメクタイトとを含有する。
スメクタイトとは、層構造を有するフィロケイ酸塩鉱物(層状粘土鉱物)の一種である。スメクタイトの具体的な構造としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、ソーコナイト等の構造が知られている。これらのうち、粘土材料の構造としてはモンモリロナイト及びスティーブンサイトからなる群より選択される少なくとも一種の構造が好ましい。これらの構造は、八面体シートの金属元素の一部に、低原子価金属元素との同型置換、欠陥等を有する。そのため、八面体シートが負に帯電している。その結果、これらの構造は八面体シートに空きサイトを有しており、これらの構造を有するスメクタイトでは、後述するようにリチウムイオンが移動後に安定して存在できる。
保有する陽イオンがリチウムイオンであるスメクタイトをリチウム型スメクタイトという(但し、本明細書において、後述するリチウム部分固定型スメクタイトは除く。)。スメクタイトの有する陽イオンをリチウムイオンに交換する方法としては、例えば天然のナトリウム型スメクタイトの分散液(分散スラリー)に、水酸化リチウム、塩化リチウム等のリチウム塩を添加し、陽イオン交換させる方法が挙げられる。分散液中に添加するリチウムの量を調節することで、得られるリチウム型スメクタイトの浸出陽イオン量に占めるリチウムイオンの量を適宜に調節することができる。また、リチウム型スメクタイトは、陽イオン交換樹脂をリチウムイオンにイオン交換した樹脂を用いたカラム法、又はバッチ法によっても得ることができる。
実施形態において、リチウム部分固定型スメクタイトとは、リチウム型スメクタイトにおけるリチウムイオンの一部が八面体シートの空きサイトに固定化されたスメクタイトのことをいう。リチウム部分固定型スメクタイトは、例えばリチウム型スメクタイトの加熱処理により、層間のリチウムイオンが八面体シートの空きサイトに固定化されることで得られる。リチウムイオンが固定化されることで、スメクタイトが耐水化される。
リチウムを部分固定する加熱処理の温度条件は、リチウムイオンを固定化できれば特に制限はない。後述するように、陽イオン交換容量(CEC:Cation Exchange Capacity)が小さい場合、リチウム部分固定型スメクタイトを配合した樹脂組成物の水蒸気バリア性及び酸素バリア性がより向上する。そこで、リチウムイオンを効率的に固定化し、陽イオン交換容量を大きく低下させる観点から、150℃以上で加熱することが好ましい。上記加熱処理の温度は、より好ましくは150~600℃であり、更に好ましくは180~600℃であり、特に好ましくは200~500℃であり、最も好ましくは250~500℃である。上記温度で加熱することにより、陽イオン交換容量をより効率的に低下させることができると同時に、スメクタイト中の水酸基の脱水反応等を抑えることができる。上記加熱処理は開放系の電気炉で実施することが好ましい。この場合、加熱時の相対湿度は5%以下となり、圧力は常圧となる。上記加熱処理の時間は、リチウムを部分的に固定できれば特に制限はないが、生産の効率性の観点から、0.5~48時間とすることが好ましく、1~24時間とすることがより好ましい。
リチウム部分固定型スメクタイトであるか否かは、X線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析によって判断できる。具体的には、XPS分析によって測定されるXPSスペクトルにおける、Liイオン由来の結合エネルギーのピーク位置を確認する。例えば、スメクタイトがモンモリロナイトである場合、リチウム型スメクタイトを加熱処理等によりリチウム部分固定型スメクタイトとすることで、XPSスぺクトルにおけるLiイオン由来の結合エネルギーのピーク位置が57.0evから55.4evへシフトする。したがって、スメクタイトがモンモリロナイトである場合、55.4evの結合エネルギーピークを有するか否かによって部分固定型であるか否かを判断できる。
リチウム部分固定型スメクタイトの陽イオン交換容量は、水蒸気バリア性及び酸素バリア性(例えば高湿度下での酸素バリア性)により一層優れる観点から、好ましくは70meq/100g以下であり、より好ましくは60meq/100g以下である。リチウム部分固定型スメクタイトの陽イオン交換容量は、水蒸気バリア性及び酸素バリア性(例えば高湿度下での酸素バリア性)により一層優れる観点から、1meq/100g以上であり、より好ましくは5meq/100g以上であり、更に好ましくは10meq/100g以上である。これらの観点から、リチウム部分固定型スメクタイトの陽イオン交換容量は、1~70meq/100gであり、より好ましくは5~70meq/100gであり、更に好ましくは10~60meq/100gである。例えば、スメクタイトがモンモリロナイトの場合、通常、イオン交換容量は80~150meq/100g程度であるが、部分固定化処理を行うことで5~70meq/100gとすることができる。リチウム部分固定型スメクタイトの陽イオン交換容量は、60meq/100g未満であってよく、50meq/100g以下であってもよい。例えば、リチウム部分固定型スメクタイトの陽イオン交換容量は、1meq/100g以上60meq/100g未満であってよく、5meq/100g以上60meq/100g未満であってよく、10meq/100g以上60meq/100g未満であってよい。
スメクタイトの陽イオン交換容量は、Schollenberger法(粘土ハンドブック第三版、日本粘土学会編、2009年5月、p.453-454)に準じた方法で測定することができる。より具体的には、日本ベントナイト工業会標準試験方法JBAS-106-77に記載の方法で測定することができる。
スメクタイトの浸出陽イオン量は、スメクタイトの層間陽イオンをスメクタイト0.5gに対して100mLの1M酢酸アンモニウム水溶液を用いて4時間以上かけて浸出させ、得られた溶液中の各種陽イオンの濃度を、ICP発光分析、原子吸光分析等により測定し、算出することができる。
リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、樹脂組成物中の不揮発分全量に対し、好ましくは3質量%以上である。リチウム部分固定型スメクタイトの含有量が不揮発分全量に対し3質量%以上である場合、水蒸気バリア性及び酸素バリア性(例えば高湿度下での酸素バリア性)がより一層優れたものとなる。同様の観点から、リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、樹脂組成物中の不揮発分全量に対し、5質量%以上、7質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、18質量%以上、20質量%以上、25質量%以上又は30質量%以上であってよい。リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、好ましくは、樹脂組成物中の不揮発分全量に対し、70質量%以下である。リチウム部分固定型スメクタイトの含有量が70質量%以下である場合、樹脂組成物の成形性がより一層優れたものとなり、かつ、基材への密着性が向上する。また、高湿度下においてより高い酸素バリア性が得られる。同様の観点から、リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、樹脂組成物中の不揮発分全量に対し、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下であってよい。上述の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。すなわち、リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、例えば、樹脂組成物中の不揮発分全量に対し、3~70質量%、3~50質量%、3~35質量%、5~35質量%、5~30質量%、7~30質量%、9~30質量%、10~30質量%等であってよい。本明細書中の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。なお、不揮発分とは、樹脂組成物全質量から、希釈溶剤質量、並びに、ポリアリーレンスルフィド樹脂、修飾剤及び各種添加剤に含まれる揮発成分質量を除く質量とする。
実施形態においてポリアリーレンスルフィド樹脂とは、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造部位を有する樹脂であり、具体的には、下記式(3)
Figure 0007127771000003

(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位を有し、必要に応じてさらに下記式(4)
Figure 0007127771000004

で表される3官能性の構造部位を含みうる。式(4)で表される構造部位は、他の構造部位繰り返し単位との合計モル数に対して0.001~3モル%の範囲が好ましく、特に0.01~1モル%の範囲であることが好ましい。
ここで、式(3)で表される構造部位は、特に式中のR及びRが、樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(5)で表されるパラ位で結合する構造部位、及び下記式(6)で表されるメタ位で結合する構造部位が挙げられる。
Figure 0007127771000005
Figure 0007127771000006

これらの中でも、特に式(5)で表されるパラ位で結合した構造部位が、樹脂の耐熱性及び結晶性の面で好ましい。
また、実施形態のポリアリーレンスルフィド樹脂は、式(3)や(4)で表される構造部位のみならず、下記式(7)~(10)
Figure 0007127771000007
Figure 0007127771000008
Figure 0007127771000009
Figure 0007127771000010

で表される構造部位を、式(5)と式(6)で表される構造部位との合計モル数に対して30モル%以下で含んでいてもよい。特に実施形態のポリアリーレンスルフィド樹脂は、式(7)~(10)で表される構造部位を、式(5)と式(6)で表される構造部位との合計モル数に対して10モル%以下であることが、樹脂の耐熱性及び機械的強度の点から好ましい。実施形態のポリアリーレンスルフィド樹脂中に、式(7)~(10)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、実施形態のポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂の物性は、実施形態の効果を損ねない限り特に限定されないが、以下のとおりである。
(溶融粘度)
実施形態に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、300℃で測定した溶融粘度(V6)が、2~1000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに樹脂の流動性及び機械的強度のバランスが良好となることから2~500Pa・sの範囲がより好ましく、2~200Pa・sの範囲であることが特に好ましい。ここで、溶融粘度(V6)の測定は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT-500Cを用いて行い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10/1にて、6分間保持した後に測定した溶融粘度を測定値とする。
実施形態に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートン指数は、実施形態の効果を損ねない限り特に限定されないが、0.90~2.00の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90~1.50の範囲であることが好ましく、さらに0.95~1.20の範囲であることがより好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、実施形態において非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて融点+20℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度(SR)及び剪断応力(SS)を測定し、下記式を用いて算出した値である。非ニュートン指数(N値)が1に近いほど線状に近い構造であり、非ニュートン指数(N値)が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
SR=K・SS
[ただし、SRは剪断速度(秒-1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]
樹脂組成物は、更に修飾剤を含有してもよい。修飾剤としては、カップリング剤、シラン化合物、酸無水物等が挙げられる。樹脂組成物がこれらの修飾剤を含有する場合、リチウム部分固定型スメクタイトの濡れ性が向上し、樹脂組成物への分散性が向上する。修飾剤は、1種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミカップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。イソシアネート基含有シランカップリング剤としては、例えば3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウム等が挙げられる。
アルミカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
シラン化合物としては、アルコキシシラン、シラザン、シロキサン等が挙げられる。アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。シラザンとしてはヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。シロキサンとしては加水分解性基含有シロキサン等が挙げられる。
酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、アルケニル無水コハク酸等が挙げられる。
修飾剤の配合量としては、リチウム部分固定型スメクタイト全量に対し、0.1~50質量%であることが好ましい。修飾剤の配合量は、0.1質量%以上であればリチウム部分固定型スメクタイトの樹脂組成物への分散性がより良好なものとなる。また、修飾剤の配合量は、50質量%以下であれば樹脂組成物に対する修飾剤の機械物性への影響をより抑えることができる。修飾剤の配合量は、好ましくは0.3~30質量%であり、より好ましくは0.5~15質量%である。
樹脂組成物は、使用用途に応じて溶剤を含有してもよい。溶剤としては有機溶剤が挙げられ、例えばメチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。溶剤の種類及び使用量は使用用途によって適宜選択すればよい。
樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤(ポリアリーレンスルフィド樹脂、リチウム部分固定型スメクタイト、及び修飾剤に該当する化合物は除く。)を含有してもよい。添加剤としては、例えば、有機フィラー、無機フィラー、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤、酸素捕捉剤(酸素捕捉機能を有する化合物)、粘着付与剤等が例示できる。これらの各種添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用される。
添加剤のうち、無機フィラーとしては、金属、金属酸化物、樹脂、鉱物等の無機物及びこれらの複合物が挙げられる。無機フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、チタン、ジルコニア、銅、鉄、銀、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、粘土鉱物等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性を向上させる目的で、粘土鉱物を使用することが好ましく、粘土鉱物の中でも膨潤性無機層状化合物を使用することがより好ましい。
膨潤性無機層状化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)などが挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。膨潤性無機層状化合物は単独でまたは二種以上組み合わせて使用される。
酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
粘着付与剤としては、キシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂等が挙げられる。粘着付与剤を添加することで塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させることができる。粘着性付与剤の添加量は樹脂組成物全量100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましい。
実施形態の成形体は、上述した樹脂組成物を成形して得ることができる。成形方法は任意であり、用途によって適時選択すればよい。成形体は、樹脂組成物からなっていてよく、樹脂組成物の硬化物からなっていてもよい。成形体の形状に制限はなく、板状、シート状、又はフィルム状であってもよく、立体形状を有していてもよく、基材に塗布されたものであってもよく、基材と基材の間に存在する形で成形されたものであってもよい。
板状、シート状の成形体を製造する場合、例えば押し出し成形法、平面プレス、異形押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いて樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。また、フィルム状の成形体を製造する場合、例えば溶融押出法、溶液キャスト法、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形が挙げられる。熱又は活性エネルギー線で硬化する樹脂組成物である場合、熱又は活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて樹脂組成物を成形してもよい。
樹脂組成物が液状である場合、塗工により成形してもよい。塗工方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法等が挙げられる。
実施形態の積層体は、上述した成形体を基材上に備えるものである。積層体は2層構造であってもよく、3層構造以上であってもよい。
基材の材質は特に限定はなく、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば木材、金属、プラスチック、紙、シリコン又は変性シリコン等が挙げられ、異なる素材を接合して得られた基材であってもよい。基材の形状は特に制限はなく、平板、シート状、又は3次元形状全面に、若しくは一部に、曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚さ等にも制限はない。
積層体は、基材上に上述した成形体を積層することで得ることができる。基材上に積層する成形体は、基材に対し直接塗工又は直接成形により形成してもよく、樹脂組成物の成形体を積層してもよい。直接塗工する場合、塗工方法としては特に限定はなく、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。直接成形する場合は、インモールド成形、インサート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プレス成形等が挙げられる。樹脂組成物の成形体を積層する場合、未硬化又は半硬化の樹脂組成物層を基材上に積層してから硬化させてもよく、樹脂組成物を完全硬化した硬化物層を基材上に積層してもよい。
また、積層体は、樹脂組成物の硬化物に対して基材の前駆体を塗工して硬化させることで得てもよく、基材の前駆体又は樹脂組成物が未硬化若しくは半硬化の状態で接着させた後に硬化させて得てもよい。基材の前駆体としては特に限定はなく、各種硬化性樹脂組成物等が挙げられる。また、実施形態の樹脂組成物を接着剤として用いることで積層体を作製してもよい。
上述した樹脂組成物は、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れるため、ガスバリア材として好適に用いることができる。ガスバリア材は、上述した樹脂組成物を含むものであればよい。
また、上述した樹脂組成物は、コーティング材として好適に用いることができる。コーティング材は、上述した樹脂組成物を含むものであればよい。バリアコーティング材料としての諸特性を満たせば、コーティング材の形態は限定されない。例えば、熱硬化タイプのコーティング材であれば、あらかじめポリアリーレンスルフィド樹脂と硬化剤を混合させた後、リチウム部分固定型スメクタイトを配合した1液型のコーティング材としてもよいし、ポリアリーレンスルフィド樹脂と硬化剤とを別にした2液混合型のコーティング材としてもよい。2液混合型の場合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂及び硬化剤のいずれか一方又は両方にリチウム部分固定型スメクタイトを混合しておくことができる。
コーティング材のコーティング方法としては特に制限はない。具体的な方法としては、ロールコート、グラビアコート等の各種コーティング方法を例示することができる。また、コーティング装置についても特に限定はない。上述した樹脂組成物は、高いガスバリア性を有することから、ガスバリア用コーティング材として好適に利用可能である。上述した樹脂組成物は、高いガスバリア性を有することから、ガスバリア用コーティング材として好適に利用可能である。
また、上述した樹脂組成物は、接着性に優れるため、接着剤として好適に用いることができる。接着剤は、上述した樹脂組成物を含むものであればよい。接着剤の形態には特に限定はなく、液状又はペースト状の接着剤としてもよく、固形状の接着剤としてもよい。樹脂組成物は、高いガスバリア性を有することから、この接着剤はガスバリア用接着剤として好適に利用可能である。
液状又はペースト状の接着剤の場合、1液型の接着剤としてもよく、硬化剤を別にした2液型の接着剤としてもよい。液状又はペースト状の接着剤の場合は、使用方法としては特に限定はないが、一方の接着面に塗布後、他方の接着面を貼り合わせ、接着させてよく、接着面の界面に注入後、接着させてよい。
固形状の接着剤の場合は、粉末状、チップ状、又はシート状に成形した接着剤を、接着面の界面に設置し、熱溶解させることで接着し、硬化させてよい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂組成物に含有するフィラーとしてはリチウム部分固定型スメクタイト又はリチウム部分固定でないスメクタイト、及び有機変性スメクタイトを用いた。リチウム部分固定型スメクタイトは、クニミネ工業株式会社製のモンモリロナイトスラリー(商品名:RCEC-W、陽イオン交換容量39.0meq/100g)を用いた。この分散スラリー中のリチウム部分固定型スメクタイトの含有量(w/w%)は20w/w%であった。また、リチウム部分固定でないスメクタイトは、クニミネ工業株式会社製のナトリウム型モンモリロナイト(商品名:クニピアF、陽イオン交換容量108meq/100g)を用いた。更に、有機変性スメクタイトとして、層間の金属カチオンを四級アンモニウム塩でイオン交換された株式会社ホージュンの有機変性スメクタイト(商品名エスベンN-400、陽イオン交換容量100meq/100g)を用いた。
(実施例1)
温度センサー及び、窒素ガスライン(入口、出口各1)を連結した内容積2Lの攪拌翼(パドル翼)付チタン製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社)に、N-メチル-2-ピロリドン1000g、リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wを100g入れ30分間攪拌した。この操作を事前分散と称する。この事前分散後に内容物を確認するとフィラーが均一分散した透明性があるやや粘調な液体が得られた。これにポリアリーレンスルフィド樹脂としてDIC株式会社製、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、MA-510(ピーク分子量32000、溶融粘度(V6)70Pa・s)を100g入れ、オートクレーブ中で完全密閉した。その後、窒素ガス用の入口、出口を開け、窒素ガスを1L/分の流量で10分間流通させることで容器中の空気を置換したのち窒素ガス用の入口、出口を閉じた。300min-1の回転速度で槽内を攪拌しつつ200℃/時間の昇温速度で250℃まで加温の後、1時間250℃を維持した。その後、攪拌を維持しつつ槽内を100℃/分で降温させ70℃に到達したところで攪拌を停止し釜を開放した。内部は均一略白色の均一なゲル状物があり、加温前のNMPへの粘土分散体と、PPS樹脂との混合物とは完全に異なる状態となっていた。該ゲル状物を5Lのイオン交換水中にいれ室温下で30分間攪拌することで分散洗浄を行い、この分散スラリーを300mmφのヌッチェに桐山ロート5B濾紙を敷いた上から注ぎ減圧濾過を行った。濾紙上の樹脂組成物を5Lのイオン交換水で分散洗浄する操作をもう2回繰り返すことで洗浄濾過液が透明になった。ここで回収した濾紙上の樹脂組成物を金属バット上に広げ、180℃で14時間熱風乾燥することで、ポリフェニレンスルフィド樹脂にリチウム部分固定型スメクタイトが分散した実施例1の樹脂組成物を得た。
上記実施例1の樹脂組成物において、リチウム部分固定型スメクタイトの含有量(フィラー量)は不揮発分全量に対して19質量%であった。
(実施例2)
前記リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wを21gに減らしたこと以外は実施例1と同様にして仕込を行い、加温する前の事前分散を行なった。この事前分散によりフィラーが均一分散した透明性がある低粘度な液体が得られた。本操作以降は、実施例1と同様な複合化、洗浄、乾燥操作を行うことでポリフェニレンスルフィド樹脂にリチウム部分固定型スメクタイトが分散した実施例2の樹脂組成物を得た。
上記実施例2の樹脂組成物において、リチウム部分固定型スメクタイトの含有量(フィラー量)は不揮発分全量に対して4.5質量%であった。
(実施例3)
前記リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wを290gに増やしたこと以外は実施例1と同様にして仕込を行い、加温する前の事前分散を行なった。この事前分散によりフィラーが均一分散した透明性がある高粘度液体が得られた。本操作以降は、実施例1と同様な複合化、洗浄、乾燥操作を行うことでポリフェニレンスルフィド樹脂にリチウム部分固定型スメクタイトが分散した実施例3の樹脂組成物を得た。
上記実施例3の樹脂組成物において、リチウム部分固定型スメクタイトの含有量(フィラー量)は不揮発分全量に対して43質量%であった。
(比較例1)
前記リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wの代わりにナトリウム型モンモリロナイト粉末クニピアFを20g用いたこと以外は実施例1と同様にして事前分散を行なった。この場合、RCEC-Wを用いた場合とは異なり粘調な透明均一分散体ではなく、NMP中に粗大なフィラーが分散した分散体となった。本操作以降は、実施例1と同様な複合化、洗浄、乾燥操作を行うことでポリフェニレンスルフィド樹脂にナトリウムスメクタイトが分散した比較例1の樹脂組成物を得た。
上記比較例1の樹脂組成物において、ナトリウム型モンモリロナイト粉末クニピアFの含有量(フィラー量)は不揮発分全量に対して18質量%であった。
(比較例2)
前記リチウム部分固定型スメクタイトスラリーRCEC-Wの代わりに四級アンモニウム塩でイオン交換された有機変性スメクタイトとして、商品名エスベンN-400を20g用いたこと以外は実施例1と同様にして事前分散を行なった。この場合、RCEC-Wを用いた場合と類似な粘調な透明均一分散体が得られた。本操作以降は、実施例1と同様な加熱複合化、洗浄、乾燥操作を行うことでポリフェニレンスルフィド樹脂に有機化スメクタイトが分散した比較例2の樹脂組成物を得た。
上記比較例2の樹脂組成物において、エスベンN-400の含有量(フィラー量)は不揮発分全量に対して13質量%であった。
(参考例)
実施例1で用いたポリフェニレンスルフィド樹脂、MA-510に対して、各実施例、比較例で行なったフィラー複合化処理を行なわずに樹脂をそのままで用いたものを参考例とした。
<評価>
評価用のフィルムとして実施例1~3及び比較例1、2で得られた各種樹脂組成物、及び参考例1のポリアリーレンスルフィド樹脂について、320℃に加熱した真空熱プレス(株式会社井元製作所製)を用い10cm角、厚み100μmの欠陥のない単独膜を得た。
(酸素透過率)
酸素透過率の測定は、JIS-K7126(等圧法)に準じ、モコン社製酸素透過率測定装置OX-TRAN1/50を用いて、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で実施した。なお、RHとは相対湿度を表す。
(水蒸気透過率)
水蒸気透過率の測定は、JIS-K7129に準じ、イリノイ社製水蒸気透過率測定装置7001を用いて、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で測定した。
(無機含有率)
各実施例、比較例で作製した各種の樹脂組成物を約7mg、TG-DTA測定用のPt製パンに入れ質量を正確に測定した。試料をいれたPtパンをTG-DTA(セイコーインスツル株式会社製、EXSTAR6000)空気気流下で室温から800℃まで10℃/分の昇温速度で焼成処理を行い、焼成の残存量からフィラー含有率を算出した。尚、参考例のPPS樹脂単独物では500℃付近から重量減が始まり、約700℃で完全に焼失することを確認した。
(NMPへのフィラー分散性)
各実施例、比較例でのNMPと、フィラーとを事前分散させた際の分散液の均一性を評価した。スメクタイトが均一分散し、液が略透明化しこれに伴い液の増粘が見られる場合は○、不均一でフィラー由来の粒子が目視できる場合は×とした。
Figure 0007127771000011
Figure 0007127771000012
本発明の樹脂組成物は、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れることから、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、構造部品等、様々な分野に好適に使用可能である。

Claims (9)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂と、リチウム部分固定型スメクタイトとを含有する、樹脂組成物であって、
    前記リチウム部分固定型スメクタイトの含有量は、前記樹脂組成物中の不揮発分全量に対し、3~50質量%である、樹脂組成物
  2. 前記リチウム部分固定型スメクタイトは、陽イオン交換容量が1~70meq/100gである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記式(1)で表される構造部位を有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    Figure 0007127771000013
  4. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記式(2)で表される構造部位を有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    Figure 0007127771000014
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物の成形体。
  6. 基材と、該基材上に設けられた請求項に記載の成形体と、を備える積層体。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むガスバリア材。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むコーティング材。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む接着剤。
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