JP6372635B1 - インキ組成物及び印刷物 - Google Patents
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Abstract
Description
この中で、内容物を保護するためのガスや水蒸気バリア性を満たす方法として最も一般的な方法は、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリビニルアルコール等のガスバリア性を有するフィルムを用いることであるが、これらの重合体からなる包装材料は、高湿度条件下において、その親水性に起因して酸素バリア性が大きく低下する問題や、湿度や熱水に対する耐性が劣る問題があった。
これら湿度条件等でも一定のバリア性を発揮させるために、前記プラスチックフィルム、金属や金属酸化物を蒸着させた蒸着フィルム、金属箔等を多層ラミネートする際に使用する接着剤にガスバリア機能を持たせる方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
本発明で使用するガスバリア性樹脂は、ガスバリアを有する樹脂であれば特に限定なく使用することができる。具体的にはポリエステル樹脂又はポリエステルウレタン樹脂であることが好ましく、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分との重縮合体であるエステル骨格(1)を有する非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)が好ましい。
本発明で使用する非晶性ポリエステル樹脂(1−1)は、オルト配向芳香族多価カルボン酸成分を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合して得られる。
オルト配向芳香族多価カルボン酸成分は具体的には、オルトフタル酸及びその酸無水物である。オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とガスバリア性に優れると推定される。さらにグラビアインキとして用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
前記オルト配向芳香族多価カルボン酸は、他の芳香族多価カルボン酸と併用しても良く好ましい。芳香族多価カルボン酸として具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらは単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でもテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
本発明で使用する非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)は、前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)のうち末端に水酸基を有するポリエステルポリオール樹脂とイソシアネート化合物との反応物である。イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;これらのポリイソシアネートに由来するアルファネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、及びこのアルファネート化合物;これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体;これらのポリイソシアネートに由来するアロファネート体;これらのポリイソシアネートに由来するビゥレット体;トリメチロールプロパン変性したアダクト体;前記した各種のポリイソシアネートとポリオール成分との反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)の数平均分子量が450未満の場合には、得られるインキの組成物の耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低くなる傾向があり、50000を超える場合には、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、印刷被膜の光沢が低くなる傾向がある。
特に、本発明のインキ組成物を、プラスチックフィルム等のいわゆる軟包装材料用の印刷インキに適用する場合は、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の併用が好ましい。
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(4)としては、水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95重量%であるが好ましい。
本発明で使用する着色剤(2)は、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている着色を目的とした有機、無機顔料や染料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。藍インキには銅フタロシアニン、透明黄インキにはコスト・耐光性の点からC. I. Pigment No Yellow83を用いることが好ましい。
本発明で使用するインキ化するための溶媒(3)は、前記バインダー樹脂を溶解できる溶媒であるならば使用可能であるが、一般的には有機溶剤が乾燥性の問題から好ましく、更に昨今の作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤を用いないことが望ましい。例えばノントルエン系グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n−プロパノール、イノプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。
本発明で使用するポリイソシアネート(5)は硬化剤として機能し、本発明のインキ組成物で使用する前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)が有する水酸基と反応し、3次元架橋構造を与える。ポリイソシアネート(5)は中でも芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物(5−1)が好ましい。
芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物(5−1)としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。例えばキシリレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートや、該ジイソシアネートと一価のアルコールとの反応生成物や2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、カルボジイミド変性物等があげられる。
また3価以上のポリイソシアネート化合物としては、前記ジイソシアネートの過剰量を、多官能のアルコール体、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、などの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとの反応生成物であるアダクト体が挙げられる。また、上記ジイソシアネートの多量体であるヌレート体等も好ましく使用することができる。
本発明では、硬化剤として前記の芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物(5−1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物を併用するとなお好ましい。従来の芳香族環を有するポリイソシアネートでは硬化塗膜が硬くなり、良好な接着強度を得ることが困難であったが、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物、特にアロファネート体の様なジイソシアネートを併用することでバリア性を維持しつつ、塗膜に柔軟性が付与され、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム等の金属系基材に対する密着性が向上し、且つ、バリア性も向上する。
また3価以上のポリイソシアネート化合物としては、前記ジイソシアネートの過剰量を、多官能のアルコール体、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、などの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとの反応生成物であるアダクト体が挙げられる。また、上記ジイソシアネートの多量体であるヌレート体等も好ましく使用することができる。
前記脂環式骨格を有するポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添メタキシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート、水添メチルフェニルエタンジイソシアネート、水添ナフタレン−1,5−ジソシアナートが好ましい。またこれらのイソシアネート化合物の前記反応生成物や変性物、多量体を用いても良い。
芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物(5−1)と、環状骨格を有し芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(5−2)の混合比は、使用する各々の化合物の分子量あるいは価数に依存するため一概には言えない。従って、芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物(5−1)と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物(5−2)の混合比はイソシアネート含有率換算で、1:5〜10:1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、1:3〜5:1である。
前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)と前記ポリイソシアネート(5)とは、前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)と前記ポリイソシアネート(5)との割合が、前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)が有する水酸基と前記ポリイソシアネート(5)が有するイソシアネート基とが1/0.01〜1/10(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは1/0.1〜1/5である。ポリイソシアネート(5)を配合する事でインキの基材への密着性、ボイルやレトルト処理時の耐熱性が向上する。該範囲を超えて前記ポリイソシアネート(B)が過剰な場合、余剰な前記ポリイソシアネート(5)が残留することで接着後に接着層からブリードアウトするおそれがある。
本発明のインキ組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、芳香剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤等が例示できる。
本発明のインキ組成物には、より高いガスバリア機能を付与する目的で板状無機化合物を含有させても良い。板状無機化合物を併用した場合には形状が板状であることによりラミネート強度とバリア性が向上する特徴がある。本発明で使用される板状無機化合物としては、例えば含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。
無地が多い印刷部物では上記、メジウム、エキステンダーを基材全面に印刷することで包装材料にバリア性を付与する事ができる。
本発明のインキ組成物は、樹脂、着色剤などを溶媒中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料等を非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
本発明の印刷物は、基材と、基材上に本発明のインキ組成物を印刷後、硬化した印刷層とを備える印刷物である。
基材は、軟包装材料と称される各種プラスチックフィルムが利用でき、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、紙、アルミなど、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状もしくはシート状のものがある。また上記プラスチックフィルムに金属や金属酸化物を蒸着させた蒸着フィルムも使用できる。
また印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で印刷できるが、特にグラビア印刷方式で印刷することが好ましい。グラビア印刷に用いられるシリンダーは、彫刻タイプ、腐食タイプ等公知のものが用いられる。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール84.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量900の水酸基価126.2mgKOH/g、酸価0.36mgKOH/gのポリエステルポリオール(PE1)を得た。更に酢酸エチルで希釈して、不揮発分70%のポリエステルポリオール樹脂(PE1)溶液を得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを92.09部、無水フタル酸888.72部、エチレングリコール372部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.13部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、設計官能基数 N=3、水酸基価=135.2、水酸基価から計算される理論数平均分子量1245.10のポリエステル樹脂(PE2)を得た。更に酢酸エチルで希釈して、不揮発分70%のポリエステルポリオール樹脂(PE2)溶液を得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸98.1部、エチレングリコール78.5部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.01部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600のポリエステルポリオール(PE3)を得た。メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分70%のポリエステルポリオール樹脂溶液(PE3)とした。
ポリエステルポリオール樹脂溶液(PE1)100部に対し、メタキシリレンジイソシアネート12.0部を加え、80℃に加熱して遊離のイソシアナト基(以下NCO基と略す)が実質的に無くなるまでウレタン化反応を行い、更にメチルエチルケトンで希釈して、数平均分子量1500、不揮発分70%のポリエステルウレタンポリオール樹脂(PEU31)溶液を得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール84.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600のポリエステルポリオール(PE3)を得た。メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分70%のポリエステルポリオール樹脂溶液(PE3)とした。
ポリエステルポリオール樹脂溶液(PE3)100部に対し、イソホロンジイソシアネート22.2部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的に無くなるまでウレタン化反応を行い、更にメチルエチルケトンで希釈して、数平均分子量5000、不揮発分70%のポリエステルウレタンポリオール樹脂(PEU32)溶液を得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、ネオペンチルグリコール153.4部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600のポリエステルポリオール(PE4)を得た。メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分70%のポリエステルポリオール樹脂溶液(PE4)とした。
ポリエステルポリオール樹脂溶液(PE4)100部に対し、メタキシリレンジイソシアネート18.9部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的に無くなるまでウレタン化反応を行い、更にメチルエチルケトンで希釈して、数平均分子量5000、不揮発分70%のポリエステルウレタンポリオール樹脂(PEU41)溶液を得た。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール90部(水酸基価:21.2mgKOH/g)とポリエチレングリコール10部(水酸基価:111mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート13.79部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.60重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル61.3部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン6.06部、ジ−n−ブチルアミン0.45部、酢酸エチル121.2部およびイソプロピルアルコール98.3部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタンポリウレア樹脂(PEU51)を得た。更に酢酸エチルで希釈して、数平均分子量は20000、樹脂固形分濃度30重量%のポリウレタンポリウレア樹脂(PEU51)溶液を得た。
(インキの調製法)
表1〜3に記載の配合比率で混合した混合物をダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製)を用いて混練し、実施例1〜10及び比較例1〜4に記載のインキを調製した。
・Fastogen Blue 5380:DIC(株)製のC.I.Pig. No.15:3
・R−780:石原産業(株)製の酸化チタン顔料 平均粒子径0.24μm、吸油量33
・ソルバインA:日信化学工業(株)製の樹脂構成「塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5(重量比)」である塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂 数平均分子量30,000、ガラス転移点76℃、K値=48
・HM6025:HENGHAO社製のマイカ(KAL2(ALSi3 O10)(OH)2)、非膨潤性、板状、平均粒径10μm、アスペクト比100以上
・タケネートD110N:三井化学社製のXDI系ポリイソシアネート(芳香族環を有する)、不揮発分/75%
表1〜3に記載のインキ組成物を、インキ作成に使用した同一比率の混合有機溶剤で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。それを、版深度35μmを有するグラビア版を取り付けたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(PET、東洋紡績株式会社製 E−5100 厚さ12μm)および二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、フタムラ化学社製 FOR 厚さ20μm)のコロナ処理面にベタ印刷を行った。硬化剤を使用した印刷物は40℃、1日のエージングを行った。
(1)酸素透過率
印刷およびエージングが終了した印刷物について、23℃の雰囲気下における酸素バリア性を測定した。
23℃/0%RHの酸素バリア性(OTR)測定:MOCON社製 OX−TRAN 2/21 等圧法 (JIS K 7126に準拠)
この結果、本発明の印刷インキを使用した印刷物は、高いガスバリア性を有することが明らかである。
Claims (7)
- ガスバリア性を有する樹脂(1)、着色剤(2)、及びインキ化するための溶剤(3)を含有するインキ組成物であって、
水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(4)を含有し、
前記ガスバリア性を有する樹脂(1)がオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分との重縮合体であるエステル骨格を有する非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)を含有することを特徴とするインキ組成物。 - 前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)の、前記オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の多価カルボン酸全成分に対する含有率が50〜100%である、請求項1に記載のインキ組成物。
- 前記インキ化するための溶媒(3)が有機溶剤である請求項1または2に記載のインキ組成物。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)と前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(4)との比率が、前記非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2):前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(4)=100:2〜100:30である請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物。
- ポリイソシアネート(5)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のインキ組成物。
- 板状無機化合物を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のインキ組成物。
- 基材と、基材上に印刷後硬化された印刷層とを備える印刷物であって、前記印刷層がオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分との重縮合体であるエステル骨格を有する非晶性ポリエステル樹脂(1−1)又は非晶性ポリエステルウレタン樹脂(1−2)を含有するガスバリア性を有する樹脂(1)、着色剤(2)、インキ化するための溶媒(3)、及び水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(4)を含有するインキ組成物であることを特徴とする印刷物。
Applications Claiming Priority (3)
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