JP6941647B2 - インキ組成物及び印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、インキ組成物及び印刷物に関する。
例えば食品、飲料品、化粧品、医薬品、及び防虫剤等の各種製品には、フィルム、シート、テープ、ライナー、ラベル、ステッカー、及び袋等の形態にて包装材が使用されている。包装材には、プラスチックフィルムや紙等の基材が用いられることが多く、これらの基材に、装飾、表面保護、及び情報付与等のため、インキがグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式により印刷されている。
インキには、基材への印刷適性や密着性のほか、基材にインキが印刷された印刷物(包装材等)の用途に応じた性能が求められている。例えば、種々の分野の包装材に用いられることの多いラミネートフィルムに設けられるインキは、そのインキによる印刷層が内容物と触れることがないように基材間(印刷基材と積層基材との間)に設けられることから、印刷する基材への密着性及び積層する基材との接着性を含むラミネート強度が求められる。
上述したインキ性能は、インキに含有されるバインダー樹脂に依存することが多いため、要求される性能に応じた樹脂が使用される。そのなかでも、通常必要な性能である基材への印刷適性や密着性が良好で、ラミネート適性も良好なインキが得られる観点から、ポリウレタン樹脂の使用が多く提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開平5−97959号公報 特開平4−8776号公報 特開2001−271015号公報
一方、インキには、耐溶剤性や耐薬品性が良好なインキ層を形成し得る性能が要求されることがある。しかしながら、インキに使用されるバインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を用いた場合等の従来のインキでは、ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性がいずれも良好なインキ層を形成するには、十分なものとはいえなかった。
例えば、防虫剤等の薬剤品を含む製品、パップ剤等の医薬品を含む製品、並びに化粧品及び香水等のアルコールや薬品を含む製品等の包装材に設けられたインキ層の耐溶剤性や耐薬品性が不十分である場合、揮発又は付着した内容物によってインキ層が影響を受ける可能性がある。この点について、以下に、パップ剤を含む製品を例に挙げて具体的に述べる。
パップ剤における包装材の1種である剥離ライナー(剥離フィルム)には、製品名や使用方法(例えば、剥離ライナーの剥離方法やパップ剤の貼付方法)等の情報がインキで印刷されていることがある。その印刷により上記情報として剥離ライナーに設けられた印刷層(インキ層)は、剥離ライナーにおけるパップ剤と接触する面とは反対側の面に設けられるが、大抵の場合、表刷り構成で、すなわち、剥離ライナーの表面に剥き出しの状態で設けられる。そして、表側に剥き出しのインキ層を有する剥離ライナーが設けられたパップ剤製品は、包装袋内に充填され、その包装袋内で密閉された状態で流通する。一方、パップ剤に使用される薬剤は、サリチル酸メチル等のような揮発性の薬剤も多い。そのため、インキ層の耐薬品性が不十分である場合には、製品の流通過程において、上記包装袋内で揮発した薬剤によってインキ層が溶け出し、印刷された情報の視認性が損なわれたり、パップ剤が汚染されたりするなどの問題が生じかねないと考えられる。
そこで、本発明は、ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性がいずれも良好なインキ層を形成することが可能なインキ組成物を提供しようとするものである。
本発明は、イソシアネート系硬化剤と共に用いられるインキ組成物であって、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体のそれぞれに由来する構成単位を含む共重合樹脂と、数平均分子量が1,500〜20,000の範囲内であり、かつ、ガラス転移点が−70〜60℃の範囲内であるポリエステル樹脂と、を含有し、前記インキ組成物中の前記ポリエステル樹脂に対する前記共重合樹脂の質量比が1.0〜4.0の範囲内であるインキ組成物を提供する。
本発明によれば、イソシアネート系硬化剤と共に用いられることで、ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性がいずれも良好なインキ層を形成することが可能なインキ組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<インキ組成物>
本発明の一実施形態のインキ組成物(以下、単に「インキ組成物」と記載することがある。)は、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体のそれぞれに由来する構成単位を含む共重合樹脂と、数平均分子量が1,500〜20,000の範囲内であり、かつ、ガラス転移点が−70〜60℃の範囲内であるポリエステル樹脂と、を含有する。そして、このインキ組成物では、インキ組成物中の上記ポリエステル樹脂に対する上記共重合樹脂の質量比が1.0〜4.0の範囲内である。なお、本明細書において、「〜」の前後に所定の数値を示して記載する範囲内とは、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
インキ組成物は、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体のそれぞれに由来する構成単位を含む共重合樹脂(以下、単に「塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂」と記載することがある。)と、特定の数平均分子量及びガラス転移点を有するポリエステル樹脂とを特定の比率で含有するため、イソシアネート系硬化剤と共にインキとして用いられることで、ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性が良好なインキ層を形成することが可能となる。このような効果が奏されやすい観点等から、インキ組成物の好ましい構成等について以下に説明する。
なお、本明細書において、イソシアネート系硬化剤と共に用いられる「インキ組成物」については、イソシアネート系硬化剤が添加された後もインキ組成物であるが、それと区別するために、イソシアネート系硬化剤が添加される前の組成物をいうこととする。また、インキ組成物にイソシアネート系硬化剤を含有させた組成物のことを、単に「インキ」ということとする。さらに、インキ組成物及びイソシアネート系硬化剤を含有するインキで形成された膜をインキ層といい、インキを印刷することによって形成されたインキ層を印刷層ということとする。
(ポリエステル樹脂)
インキ組成物は、特定の数平均分子量(以下、「Mn」と記載することがある。)及び特定のガラス転移点(以下、「Tg」と記載することがある。)を有するポリエステル樹脂を含有する。このポリエステル樹脂として、Mnが1,500〜20,000の範囲内であり、かつ、Tgが−70〜60℃の範囲内であるポリエステル樹脂を用いる。
ポリエステル樹脂のMnは、ポリエステル樹脂の溶剤への溶解性、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂との相溶性、及びインキ層の柔軟性の観点から、2,000〜20,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜17,000の範囲内であることがより好ましい。ポリエステル樹脂のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で求められる。また、ポリエステル樹脂のTgは、示差走査熱量測定(DSC)により求められる。
上記特定のMn及びTgを有するポリエステル樹脂には、市販品を使用することが可能である。そのような市販品としては、例えば、東洋紡社製の商品名でバイロン220、240、245、560、600、660、GK110、GK130、GK140、GK150、GK250、GK330、GK360、GK590、GK680、GK780、GK810、及びGK890;ユニチカ社製の商品名でエリーテルUE−3210、UE−3215、UE−3218、UE−3240、UE−3250、UE−3300、UE−3320、UE−3350、UE−3370、UE−3380、UE−3620、及びUE−9620;並びに三菱ケミカル社製の商品名でニチゴーポリエスターTP−217、TP−236、TP−249、TP−290、TP−294、LP−011、LP−033、LP−035、LP−050、TP−219、及びLP−022;等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸等の多価カルボン酸成分と、ジオール等の多価アルコール成分とを重縮合して得られる、分子中にエステル結合を含む高分子化合物(重縮合体)である。ポリエステル樹脂としては、インキ組成物の成分としての適性や、溶剤に対する溶解性(可溶性)、インキ組成物中の他の成分との混ざり合いやすさ等の観点から、非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂を構成する上記多価カルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸等の多価カルボン酸;多価カルボン酸の無水物;並びに多価カルボン酸と炭素数1〜5の低級アルコールとのエステル化物;等を挙げることができるが、これらに限られない。ポリエステル樹脂には、多価カルボン酸成分の1種が単独で用いられていてもよく、2種以上が用いられていてもよい。
ポリエステル樹脂を構成する上記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトール等を挙げることができるが、これらに限られない。ポリエステル樹脂には、多価アルコール成分の1種が単独で用いられていてもよく、2種以上が用いられていてもよい。
ポリエステル樹脂として、多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分との重縮合体を用いることで、分子末端にヒドロキシ基を有するポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂がヒドロキシ基を有することにより、インキ組成物がイソシアネート系硬化剤と共に使用される際に、インキ組成物中のポリエステル樹脂が有するヒドロキシ基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基との架橋反応を生じたインキ層を形成することができる。この架橋反応を適度に生じたインキ層を形成し得る観点から、ポリエステル樹脂の水酸基価は、1〜100mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、2〜50mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、JIS K0070−1992に規定される中和滴定法に準じて測定することができる。
インキ組成物中のポリエステル樹脂の固形分の含有量は、インキ組成物の固形分の総質量を基準として、4〜50質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、目的とするインキ層が得られやすい。その観点から、上記のポリエステル樹脂の固形分の含有量は、5〜35質量%の範囲内であることがより好ましく、8〜30質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
(塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂)
インキ組成物は、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体のそれぞれに由来する構成単位を含む共重合樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂)を含有する。本明細書において、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂における「構成単位」とは、当該樹脂を形成するモノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル、ヒドロキシ基を有する単量体)の単位を意味する。これらのモノマーに「由来する構成単位」とは、上記モノマーにおける重合性不飽和結合(C=C)が開裂して単結合(−C−C−)となった構造のモノマー単位を意味する。
インキ組成物に使用する塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂は、ヒドロキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含むことから、分子構造中にヒドロキシ基を有する。そのため、インキ組成物がイソシアネート系硬化剤と共に使用される際に、インキ組成物中の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂が有するヒドロキシ基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基との架橋反応を生じたインキ層を形成することができる。したがって、耐溶剤性及び耐薬品性の良好なインキ層を形成することが可能となる。
ヒドロキシ基を有する単量体としては、例えば、ビニルアルコール、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうちの1種又は2種以上が塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂を形成する単量体成分として用いられていてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」の文言には、アクリレート及びメタクリレートの両方の文言が含まれ、「(メタ)アクリル」の文言には、アクリル及びメタクリルの両方の文言が含まれる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂は、ヒドロキシ基を有する単量体のうちの1種又は2種以上の単量体に由来する構成単位を含むことができる。ヒドロキシ基を有する単量体の上記具体例のなかでも、ビニルアルコールが好ましい。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体の3種以外の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂は、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシ基を有する単量体の共重合樹脂であることが好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂であることがより好ましい。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂は、塩化ビニルに由来する構成単位を主たる構成単位として含むものであることが好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂中の塩化ビニルに由来する構成単位の含有割合は、50〜98質量%の範囲内であることが好ましく、70〜98質量%の範囲内であることがより好ましく、80〜95質量%の範囲内であることがさらに好ましい。また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂中の酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合は、1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、1〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、1〜5質量%の範囲内であることがさらに好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂中のヒドロキシ基を有する単量体(好ましくはビニルアルコール)に由来する構成単位の含有割合は、1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、2〜20質量%の範囲内であることがより好ましく、2〜15質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の水酸基価は、20〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。これにより、インキ組成物がイソシアネート系硬化剤と共に使用される際に、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂が有するヒドロキシ基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基との反応による架橋密度が増え、インキ層の耐溶剤性及び耐薬品性が高まりやすい。この観点から、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の水酸基価は、50〜200mgKOH/gの範囲内であることがより好ましく、60〜180mgKOH/gの範囲内であることがさらに好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の水酸基価は、JIS K0070−1992に規定される中和滴定法に準じて測定することができる。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の数平均分子量(Mn)は、目的とするインキ層が得られやすい観点から、20,000〜40,000の範囲内であることが好ましく、25,000〜35,000の範囲内であることがより好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で求められる。
インキ組成物中の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の固形分の含有量は、インキ組成物の固形分の総質量を基準として、10〜80質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、目的とするインキ層が得られやすい。その観点から、上記の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の固形分の含有量は、15〜70質量%の範囲内であることがより好ましく、20〜60質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
目的とするインキ層を形成し得るように、インキ組成物には、前述のポリエステル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂とを、ポリエステル樹脂に対する塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂の質量比が1.0〜4.0の範囲内にて含有させる。ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性がより良好なインキ層を形成しやすい観点から、上記比の値は、1.0〜3.5の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0の範囲内であることがより好ましい。インキ組成物中のポリエステル樹脂に対する上記共重合樹脂の質量比は、インキ組成物中の上記共重合樹脂の質量/インキ組成物中のポリエステル樹脂の質量にて算出される値である。例えば樹脂としてワニス等の樹脂溶液が用いられる場合、樹脂の質量は、樹脂溶液中の樹脂分(固形分)の質量を意味する。
(溶剤)
インキ組成物は、イソシアネート系硬化剤と共にインキとして用いやすい観点から、溶剤を含有することが好ましく、溶液状の形態であることが好ましい。なお、インキ組成物の形態としては、使用時において液状のインキとして用いることが可能であればよいことから、溶液状のほか、ペースト状、及び粉粒体状等であってもよい。
溶剤としては、前述のポリエステル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂を溶解することが可能な溶剤がより好ましい。好適な溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤等を挙げることができ、それらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等を挙げることができる。炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチル等を挙げることができる。エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等を挙げることができる。グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、及びn−ブタノール等を挙げることができる。溶剤の具体例のなかでも、インキ組成物に含有させる樹脂に対する溶解性に優れることから、少なくともメチルエチルケトンを用いることが好ましい。
(顔料)
インキ組成物は、顔料等の色材を含有してもよいし、顔料等の色材を含有しなくてもよい。顔料等の色材を含有しないインキ組成物は、クリアインキ(メジウムインキとも称される)として使用することができる。そのようなクリアインキが別の着色インキ層等の下地層上に設けられることで、下地層を溶剤や薬品から保護し得るインキ層(クリアインキ層)を形成することが可能である。
顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、アルミニウム、雲母、酸化チタン被覆雲母(パール顔料)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、及び鉄黒等の無機顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、マイカ、カオリン、及びクレー等の体質顔料(無機顔料);モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ピロロピロール系顔料、アゾメチンアゾ系、及びペリレン系顔料等の有機顔料;等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
顔料の平均粒子径(平均一次粒子径)としては、有機顔料を用いる場合、その平均粒子径は、20〜600nmが好ましく、50〜300nmがより好ましい。また、カーボンブラックを用いる場合、カーボンブラックの平均粒子径は、10〜150nmが好ましく、30〜90nmがより好ましい。パール顔料、アルミニウムペースト、及び体質顔料を用いる場合、それらの平均粒子径は、インキの印刷方式として好適なグラビア印刷の適性の観点から、60μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。上記に挙げたもの以外の無機顔料を用いる場合、その無機顔料の平均粒子径は、50〜3,000nmが好ましく、100〜1,000nmがより好ましい。なお、顔料の一次粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察画像から一次粒子の大きさを直接計測する方法にて行うことができ、平均粒子径は、複数(例えば50個)の一次粒子の長軸径の算術平均として算出することができる。
(その他の添加剤)
インキ組成物には、必要に応じて、さらにその他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、ブロッキング防止剤、顔料分散剤、染料、レベリング剤、可塑剤、艶消し剤、沈降防止剤、消泡剤、及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
(インキ組成物の製造方法)
インキ組成物として必須成分である前述のポリエステル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、さらに必要に応じて、溶剤、顔料、及びその他の添加剤を配合することで、インキ組成物を製造することができる。すなわち、このインキ組成物の製造方法は、前述のポリエステル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、さらに必要に応じて、溶剤、顔料、及びその他の添加剤を混合する工程(調製工程)を含むことができる。調製工程では、樹脂成分を混練しやすいように、インキ組成物の成分となる溶剤を用いることが好ましい。
顔料を含有するインキ組成物を製造する場合には、調製工程において又は調製工程後に、樹脂、溶剤、及び顔料等を含有する混合物を混練し、顔料の粒子を所望の粒径まで細かく分散させる工程(分散工程)を含むことが好ましい。この分散工程では、例えばペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ダイノミル、ロールミル、超音波ミル、及び高圧衝突分散機等の各種分散機を用いることができる。分散工程では、1種の分散機を使用して一回又は複数回分散処理してもよいし、2種以上の分散機を併用して複数回分散処理してもよい。
(イソシアネート系硬化剤)
インキ組成物は、使用時において、イソシアネート系硬化剤と混合されたインキとして用いられる。そして、このインキが基材に塗布され、乾燥及び硬化することで、インキ層が形成される。
イソシアネート系硬化剤には、1分子中にイソシアネート基を2以上有する化合物を用いることができる。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’−MDI、2,4’−MDI、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−TDI、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、及び1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、及び1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート(水添TDI)等の脂環族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;並びに各種ジイソシアネートのアダクト体、各種ジイソシアネートのイソシアヌレート体、HDIのビウレット体、及びHDIのアロファネート体等のイソシアネートプレポリマー;等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、TDI、XDI、HDI、及びイソシアネートプレポリマーが好ましく、TDIのイソシアヌレート体、XDIのアダクト体がより好ましく、TDIのイソシアヌレート体がさらに好ましい。
イソシアネート系硬化剤の使用量としては、ポットライフの観点、及び目的とするインキ層を形成しやすい観点から、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、インキ組成物中の樹脂成分(前述の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂及びポリエステル樹脂)が有するヒドロキシ基とのモル比であるNCO/OH比が、0.5〜3.0の範囲内となる量とすることが好ましい。NCO/OH比は、ポットライフの観点から、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。一方、耐溶剤性及び耐薬品性が良好なインキ層を形成する観点から、NCO/OH比は、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。
インキ組成物とイソシアネート系硬化剤を混合することでインキを製造することができる。インキ組成物とイソシアネート系硬化剤との混合は、インキを基材に塗布する際に行うことが好ましい。インキを製造する際には、希釈溶剤を用いて、その希釈溶剤で所望の粘度に希釈する工程(希釈工程)を含むことが好ましい。この希釈工程により、インキの粘度を、インキの塗布方法に応じた粘度になるまで溶剤で希釈して、目的のインキを得ることができる。
インキ組成物は、イソシアネート系硬化剤と共にインキとして使用される際に、基材にインキを設けてインキ層を形成しやすい観点から、印刷用インキとして使用されることが好ましい。印刷用インキの具体例としては、グラビア印刷用インキ、オフセット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、及びスクリーン印刷用インキ等を挙げることができる。これらのなかでも、グラビア印刷用インキ、及びフレキソ印刷用インキがより好ましく、グラビア印刷用インキがさらに好ましい。
インキが設けられる対象となる基材としては、特に限定されず、その材質としては、例えば、プラスチック、ゴム、セラミックス、金属、木材、布、及び紙等が挙げられる。また、その基材が用いられる好適な用途としては、包装材を挙げることができる。包装材が使用される対象製品としては、例えば、食品、飲料品、化粧品、医薬品、医薬部外品、及び防虫剤等を挙げることができる。包装材の形態としては、特に限定されず、例えば、容器、袋、フィルム、シート、テープ、ライナー、ラベル、及びステッカー等を挙げることができる。好適な基材としては、アート紙、コート紙、上質紙、グラビア用紙、和紙、板紙、及び合成紙等の紙;織布及び不織布等の布;アルミニウム箔等の金属箔;プラスチックフィルム;並びにこれらのうちの1種又は2種以上の積層体;等を挙げることができる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;セロファン等のセルロースフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルム;エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム;ナイロン(Ny)フィルム等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;等を挙げることができる。例えば、二軸延伸PPフィルム及び無延伸PPフィルム等のように、延伸及び無延伸のいずれのプラスチックフィルムも用いることができる。また、アルミニウム蒸着等の金属蒸着層が設けられた基材や、アルミナ及びシリカ等の透明蒸着層が設けられた基材を用いることもできる。さらに、基材の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、及びコート処理等の各種表面処理、並びに着色インキを用いた印刷等による各種加飾等が施されていてもよい。
(印刷物)
上記基材に、インキ組成物及びイソシアネート系硬化剤を含むインキを設ける際には、印刷方式によって、基材にインキから形成された印刷層を設けることが好ましい。これにより、基材と、基材上に設けられた印刷層とを備えた印刷物を得ることができる。
具体的には、基材に、インキ組成物及びイソシアネート系硬化剤を含むインキを用いて印刷した後、インキ中の揮発成分(溶剤)を乾燥除去し、かつ、樹脂成分と硬化剤成分とを硬化させることによって印刷層を形成し、印刷物を得ることができる。印刷層の厚さは、0.1〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜10μmの範囲内であることがより好ましく、1〜5μmの範囲内であることがさらに好ましい。
基材へのインキの印刷は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、及びスクリーン印刷等により行うことができる。これらのなかでも、グラビア印刷及びフレキソ印刷が好ましく、グラビア印刷がより好ましい。印刷層は、基材の全体又は一部に設けることができ、例えばフィルム状やシート状等の基材の場合、その基材における片面に設けてもよく、両面に設けてもよく、片面全体に設けてもよく、片面の一部に設けてもよい。
印刷物における基材としては、上述した基材を用いることができる。それらのなかでも、前述の紙、及びプラスチックフィルムが好適である。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜500μmの範囲内であることが好ましく、5〜100μmの範囲内であることがより好ましく、12〜50μmの範囲内であることがさらに好ましい。
印刷物においては、基材における印刷層が設けられた面側に、さらに樹脂層を設けて、ラミネートフィルムとすることもできる。すなわち、基材と、樹脂層と、基材及び樹脂層の間に設けられた印刷層とを備えた印刷物(ラミネートフィルム)とすることもできる。印刷層と樹脂層との間には、接着剤層やアンカーコート剤層を有することが好ましく、従来からラミネートフィルムに用いられているアンカーコート剤や接着剤を用いることができる。樹脂層としては、前述の基材として用い得るプラスチックフィルムで説明した材質の樹脂を用いることができる。樹脂層の積層方法としては、基材に設けられた印刷層上に、接着剤層を介してプラスチックフィルム(樹脂層)を積層するドライラミネート法や、必要に応じてアンカーコート剤層を介して溶融樹脂を積層する押し出しラミネート法等の公知のラミネート方法をとることができる。樹脂層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜300μmの範囲内であることが好ましく、5〜200μmの範囲内であることがより好ましく、10〜100μmの範囲内であることがさらに好ましい。
以上詳述した通り、本発明の一実施形態のインキ組成物は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂と、Mnが1,500〜20,000の範囲内であり、かつ、Tgが−70〜60℃の範囲内であるポリエステル樹脂とを、ポリエステル樹脂に対する上記共重合樹脂の質量比が1.0〜4.0の範囲内で含有する。そのため、このインキ組成物がイソシアネート系硬化剤と共にインキとして用いられることによって、ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性が良好なインキ層を形成することが可能となる。
インキ層における耐薬品性に関する薬品としては、例えば、パップ剤等の湿布薬に使用されることの多い、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ロキソプロフェンナトリウム水和物、dl−カンフル、及びl−メントール等;防虫剤に使用されることの多い、パラジクロロベンゼン、樟脳、ナフタレン、ピレスロイド系薬剤、及びフェノキシエタノール等;塩素系漂白剤に使用されることの多い、次亜塩素酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム等;排水溝のぬめり取りに使用されることの多い塩素化イソシアヌル酸等;トイレの尿石落とし等の酸性洗剤;油汚れに使用されるアルカリ性洗剤;酢等を含む酸性食品;等が挙げられる。
なお、上述した通り、本発明の一実施形態では、以下の構成をとり得る。
[1]イソシアネート系硬化剤と共に用いられるインキ組成物であって、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体のそれぞれに由来する構成単位を含む共重合樹脂と、数平均分子量が1,500〜20,000の範囲内であり、かつ、ガラス転移点が−70〜60℃の範囲内であるポリエステル樹脂と、を含有し、前記インキ組成物中の前記ポリエステル樹脂に対する前記共重合樹脂の質量比が1.0〜4.0の範囲内であるインキ組成物。
[2]前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が、2,000〜17,000の範囲内である上記[1]に記載のインキ組成物。
[3]前記ポリエステル樹脂はヒドロキシ基を有し、前記ポリエステル樹脂の水酸基価が1〜100mgKOH/gの範囲内である上記[1]又は[2]に記載のインキ組成物。
[4]前記共重合樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のインキ組成物。
[5]前記共重合樹脂の水酸基価が、20〜200mgKOH/gの範囲内である上記[1]〜[4]に記載のインキ組成物。
[6]前記共重合樹脂の数平均分子量が、20,000〜40,000の範囲内である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のインキ組成物。
[7]グラビア印刷用インキに用いられる上記[1]〜[6]のいずれかに記載のインキ組成物。
[8]基材と、前記基材上に設けられた印刷層とを備え、前記印刷層が、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のインキ組成物と、イソシアネート系硬化剤とを含むインキから形成されている、印刷物。
[9]前記イソシアネート系硬化剤は、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含む上記[8]に記載の印刷物。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の一実施形態のインキ組成物をさらに具体的に説明するが、そのインキ組成物は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の文中において、「部」及び「%」との記載は、特に断らない限り、質量基準(それぞれ「質量部」及び「質量%」)である。
<樹脂溶液の準備>
(VC−VAc系樹脂溶液1)
Mnが35,000、Tgが76℃、水酸基価が70mgKOH/gである塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂(商品名「ソルバインA」、日信化学工業社製;塩化ビニル(VC)/酢酸ビニル(VAc)/ビニルアルコール(VA)のそれぞれに由来する構成単位の含有割合=92/3/5(%))をメチルエチルケトン(以下、「MEK」と記載する。)に溶かし、不揮発分を20%としたワニスを得た。以下、このワニスを「VC−VAc系樹脂溶液1」と記載する。
(VC−VAc系樹脂溶液2)
Mnが29,000、Tgが78℃、水酸基価が154mgKOH/gである塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂(商品名「ソルバインTA5R」、日信化学工業社製;VC/VAc/VAのそれぞれに由来する構成単位の含有割合=88/1/11(%))をMEKに溶かし、不揮発分を20%としたワニスを得た。以下、このワニスを「VC−VAc系樹脂溶液2」と記載する。
(VC−VAc系樹脂溶液3)
Mnが36,000、Tgが70℃である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(商品名「ソルバインC」、日信化学工業社製;VC/VAcのそれぞれに由来する構成単位の含有割合=87/13(%))をMEKに溶かし、不揮発分を20%としたワニスを得た。以下、このワニスを「VC−VAc系樹脂溶液3」と記載する。
(ポリエステル樹脂溶液1)
Mnが3,000、Tgが53℃、水酸基価が50mgKOH/gである非晶性ポリエステル樹脂(商品名「バイロン220」、東洋紡社製)をMEKに溶かし、不揮発分を20%としたワニスを得た。このワニスを「ポリエステル樹脂溶液1」と記載する。
(ポリエステル樹脂溶液2)
Mnが17,000、Tgが10℃、水酸基価が4mgKOH/g、不揮発分が40%である非晶性ポリエステル樹脂溶液(商品名「ニチゴーポリエスターTP−290」、三菱ケミカル社製)を用意した。この樹脂溶液を「ポリエステル樹脂溶液2」と記載する。
(ポリエステル樹脂溶液3)
Mnが23,000、Tgが47℃、水酸基価が5mgKOH/gである非晶性ポリエステル樹脂(商品名「バイロン103」、東洋紡社製)をMEKに溶かし、不揮発分を20%としたワニスを得た。このワニスを「ポリエステル樹脂溶液3」と記載する。
(ポリエステル樹脂溶液4)
Mnが17,000、Tgが67℃、水酸基価が6mgKOH/gである非晶性ポリエステル樹脂(商品名「バイロン200」、東洋紡社製)をMEKに溶かし、不揮発分を20%としたワニスを得た。このワニスを「ポリエステル樹脂溶液4」と記載する。
(ポリウレタン樹脂溶液1)
不揮発分が30%である1液型ポリウレタン樹脂溶液(商品名「セイカボンドU−6510」、大日精化工業社製)を用意した。この樹脂溶液を「ポリウレタン樹脂溶液1」と記載する。
<インキ組成物の調製>
表1(表1−1及び表1−2)の上段に示す各成分(樹脂溶液及び顔料)を、各実施例及び比較例欄に示す量(単位:部)にて配合し、ペイントシェーカーで混練して、各インキ組成物を得た。なお、各インキ組成物には、後述する試験による耐溶剤性及び耐薬品性を評価しやすいように、色材(顔料)として、ジスアゾイエロー系顔料(商品名「エローAP77K」、大日精化工業社製;平均粒子径は80〜120nmの範囲内)を含有させたが、顔料等の色材は含有させなくてもよい。
(樹脂成分の混ざり具合)
2種以上の樹脂成分を配合したインキ組成物について、インキ組成物中の樹脂成分の混ざり具合(樹脂成分の相溶性)を目視にて確認した。均一に混ざっていたインキ組成物を樹脂成分の混ざり具合が良好であると評価して「〇」と記し、不均一に混ざっていたインキ組成物を樹脂成分の混ざり具合が不良であると評価して「×」と記した。
<インキの調製>
2種以上の樹脂成分を用いてそれらの混ざり具合が良好であったインキ組成物、及び樹脂成分としては1種のみを用いたインキ組成物について、次のようにして印刷インキを調製した。すなわち、得られたインキ組成物に、イソシアネート系硬化剤を表1に示す量で添加し、かつ、粘度が25℃においてザーンカップNo.3(離合社製)で16秒となるようにMEKを添加して希釈し、印刷インキを得た。ただし、比較例7のインキ組成物については、1液型ポリウレタン樹脂溶液を用いたため、イソシアネート系硬化剤を配合しなかった。硬化剤には、イソシアネート系硬化剤1(TDIのイソシアヌレート体の溶液;商品名「タケネートD−204EA−1」、三井化学社製;NCO=7.5%、不揮発分=50%、含有溶剤=酢酸エチル)、及びイソシアネート系硬化剤2(XDIのトリメチロールプロパン(TMP)アダクト体の溶液;商品名「タケネートD−110N」、三井化学社製;NCO=11.5%、不揮発分=75%、含有溶剤=酢酸エチル)を用いた。イソシアネート系硬化剤の配合量は、硬化剤が有するイソシアネート基と、インキ組成物中の樹脂成分(塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂及びポリエステル樹脂)が有するヒドロキシ基とのモル比であるNCO/OH比が、表1に示す値となる量とした。
<印刷物の作製>
グラビア版として、版深30μmの150線レーザー製版を使用して、以下に述べる各評価で用いた基材の片面全体に、印刷インキをグラビア印刷した後、40℃で48時間養生した。このようにして、基材と、基材上に設けられた印刷インキによる印刷層(厚さ1.5μm)とを備えた印刷物を得た。以下に述べる耐溶剤性試験に用いた印刷物には、基材として、印刷する側の面にコロナ放電処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「E5102」、東洋紡社製、厚さ25μm)を用いた。また、以下に述べる耐薬品性試験に用いた印刷物には、評価を行い易いように、基材として不織布(商品名「ベンコットM−3II」、旭化成社製)を用いた。さらに、以下に述べるラミネート強度試験に用いた印刷物には、基材として、上記PETフィルム、ナイロン(Ny)フィルム(商品名「ハーデンN1102」、東洋紡社製、厚さ15μm)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(商品名「FOR」、フタムラ化学社製、厚さ25μm)の3種のプラスチックフィルムを用いた。これら3種のプラスチックフィルムはいずれも、印刷する側の面にコロナ放電処理が施されたものである。
<評価>
作製した各印刷物を用いて、各実施例及び比較例で調製した印刷インキによる印刷層の耐溶剤性、耐薬品性、及びラミネート強度を確認する試験を行った。各試験では、以下に述べる評価基準における「A」及び「B」を合格レベルとし、「C」及び「D」を不合格レベルとした。
(耐溶剤性)
コロナ放電処理が施されたPETフィルムを基材として作製した印刷物に、学振型摩耗試験機を用いて、耐溶剤性試験を行った。具体的には、トルエンとMEKを質量比1:1で混合した混合溶剤を垂らした布を、印刷物における印刷層上に、荷重200gの条件下で20往復させた後の印刷層の状態を目視で確認し、以下の評価基準にしたがって、印刷層の耐溶剤性を評価した。
A:印刷層が取られた部分の面積が印刷層全体に対し5%未満であった。
B:印刷層が取られた部分の面積が印刷層全体に対し5%以上20%未満であった。
C:印刷層が取られた部分の面積が印刷層全体に対し20%以上50%未満であった。
D:印刷層が取られた部分の面積が印刷層全体に対し50%以上であった。
(耐薬品性)
薬品には、一例として、パップ剤等の湿布薬の有効成分として使用されることの多いサリチル酸メチルを用いた。不織布を基材として作製した印刷物を、サリチル酸メチルに5時間浸漬し、サリチル酸メチルへの印刷層の溶出(サリチル酸メチルへの着色)の程度を目視で確認し、以下の評価基準にしたがって、印刷層の耐薬品性を評価した。
A:目視で判断できる程度の溶出はなかった。
B:目視で分かる程度の溶出があった。
C:溶出の程度が大きく、サリチル酸メチルが濃く色付いた。
<ラミネート強度>
コロナ放電処理が施された3種のプラスチックフィルム(PET、Ny、OPPフィルム)のそれぞれを基材として作製した印刷物における印刷層上に、樹脂層をドライラミネート法により積層し、ラミネートフィルムを作製した。具体的には、作製した印刷物における印刷層上に、ドライラミネート用接着剤(商品名「セイカボンドA−159/C−89(F)」、大日精化工業社製)を乾燥時の塗布量が3.0g/mとなるように塗工し、乾燥させ、樹脂層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(商品名「T.U.X FC−D#60」、三井化学東セロ社製)を貼り合わせ、40℃で72時間養生し、ラミネートフィルムを得た。
得られた各ラミネートフィルムから、幅15mm及び長さ100mmの長方形状に切断した試料を採取し、ラミネート強度測定用試料として、基材(PET、Ny、又はOPPフィルム)と樹脂層(LLDPEフィルム)を互いに引っ張るT型剥離試験用試料を作製した。この各T型剥離試験用試料について、引張試験機(商品名「テンシロン RTG−1225」、エー・アンド・デイ社製)を用いて、引張速度300mm/minの条件でT型剥離試験を行い、ラミネート強度(N/15mm)を測定した。その測定値に基づき、以下の評価基準にしたがって、印刷層のラミネート強度を評価した。
A:ラミネート強度が2.0N/15mm以上であった。
B:ラミネート強度が1.0N/15mm以上2.0N/15mm未満であった。
C:ラミネート強度が0.5N/15mm以上1.0N/15mm未満であった。
D:ラミネート強度が0.5N/15mm未満であった。
Figure 0006941647
Figure 0006941647
実施例及び比較例の結果から、本発明の一実施形態のインキ組成物をイソシアネート系硬化剤と共に用いることによって、ラミネート強度、耐溶剤性、及び耐薬品性が良好なインキ層(印刷層)を形成できることが確認された。

Claims (8)

  1. イソシアネート系硬化剤と共に用いられるインキ組成物であって、
    塩化ビニル、酢酸ビニル、及びヒドロキシ基を有する単量体のそれぞれに由来する構成単位を含む共重合樹脂と、
    数平均分子量が1,500〜20,000の範囲内であり、かつ、ガラス転移点が−70〜60℃の範囲内であるポリエステル樹脂と、を含有し、
    前記インキ組成物中の前記ポリエステル樹脂に対する前記共重合樹脂の質量比が1.0〜4.0の範囲内であり、
    前記ポリエステル樹脂はヒドロキシ基を有し、前記ポリエステル樹脂の水酸基価が1〜100mgKOH/gの範囲内であるインキ組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が、2,000〜17,000の範囲内である請求項1に記載のインキ組成物。
  3. 前記共重合樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂である請求項1又は2に記載のインキ組成物。
  4. 前記共重合樹脂の水酸基価が、20〜200mgKOH/gの範囲内である請求項1〜のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  5. 前記共重合樹脂の数平均分子量が、20,000〜40,000の範囲内である請求項1〜のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  6. グラビア印刷用インキに用いられる請求項1〜のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  7. 基材と、前記基材上に設けられた印刷層とを備え、
    前記印刷層が、請求項1〜のいずれか1項に記載のインキ組成物と、イソシアネート系硬化剤とを含むインキから形成されている、印刷物。
  8. 前記イソシアネート系硬化剤は、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含む請求項に記載の印刷物。
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