JP6950020B2 - リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体 - Google Patents
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Description
従来この様なラミネート加工物には、ポリウレタン樹脂をバインダーとした印刷インキが、各種被印刷体への接着性や各種ラミネート加工物のラミネート強度、ボイルレトルト適性に優れることから、広く用いられてきた。
本発明においてリキッド印刷インキとは、グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキを指し、好ましくはグラビアインキまたはフレキソインキである。また本発明のリキッド印刷インキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッドインキである。
なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示す。
本発明で使用する酸化チタンは、その製法、形状、結晶形及び粒子径において特に限定されることなく公知の酸化チタンを使用することができる。例えば、酸化チタン粒子の製法については、塩素法によって製造されたものであっても硫酸法によって製造されたものであってもよい。ドクターブレードの摩耗を抑制するという点で硫酸法によって製造されたものが好ましい。
(1)溶解工程:乾燥・粉砕したイルメナイト鉱石を硫酸で溶解し、主に硫酸チタン(TiOSO4)と硫酸第1鉄(FeSO4)との溶液とする。
(2)冷却、分離工程:溶解原液を冷却して晶出した硫酸第1鉄(FeSO4・7H2O)を遠心分離機で分離して原液を得る。
(3)加水分解工程:硫酸第1鉄を分離した原液を加熱して、水酸化チタン(TiO(OH)2)と硫酸とに分離する。
(4)焼成工程:加水分解反応によって得られた水酸化チタンの白色沈殿を、充分水洗してろ過した後、900℃以上で焼成して所定の粒子径を持つルチル型酸化チタン(TiO2)とする。
アルミナおよび/またはシリカで表面処理された酸化チタンにおいて、一般にシリカは、酸化チタン表面の酸・塩基の状態を調整する目的や、得られたインク・塗料皮膜の耐久性を付与するために使用され、アルミナは分散時の酸化チタンの濡れを改良するために使用される。また酸化チタンの表面処理方法としては、水系処理、気相処理等が挙げられる。シリカとアルミナの処理量の比率は、分散安定性の観点から、アルミナ処理量の比率が35質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。また、酸化チタンに対する該無機物の量は必ずしも限定されないが、一般的には酸化チタン100部に対して30部以下である。
従って、市販の酸化チタンに対して、その表面に存在するアルミナとシリカの質量比を蛍光X線による測定で確認し、種々の質量比の酸化チタンを使用することができる。
本発明で使用する無機フィラー(B)は特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
一方前記酸化チタン(A)と無機フィラー(B)は、その質量比が99:1〜1:99の範囲で配合することで、本発明の効果である版かぶり性、隠ぺい性に寄与する。質量比は中でも99:1〜50:50の範囲が好ましく、99:1〜80:20の範囲がより好ましい。
尚、前記酸化チタン(A)と無機フィラー(B)とは白の着色剤として作用することから、本発明のインキ総質量に対し合計で20〜75質量%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは20〜60質量%、最も好ましくは30〜50質量%の範囲である。この範囲において版かぶり性と隠ぺい性のバランスに特に優れたインキとすることができる。
本発明で使用するバインダー樹脂は、通常グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキに使用されるバインダー樹脂であれば特に限定されないが、本発明の課題であるフィルム基材に対する接着性、耐ブロッキング性、ラミネート適性、及びハイライト転移性等に優れることから、ポリウレタン尿素樹脂を主バインダー樹脂として使用することが好ましい。
また、ポリウレタン尿素樹脂100質量%中、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を1〜50質量%含有する事が好ましく、より好ましくは1〜30質量%の範囲である。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
ウレタン結合濃度が1.2mmol/gを以上であれば、本発明のリキッド印刷インキを使用したグラビア印刷物、又はフレキソ印刷物に対するポリエチレン押出しラミネート強度が十分保持される傾向にある。一方でウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下であれば、グラビア印刷の場合、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版カブリの現象」が生じる現象が抑制できる。
本発明のウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、各種フィルムとの接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性に加えてグラビア印刷で不具合となりうる「版カブリ防止」をも兼備するものである。
また、ウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下とする事で、フレキソ版によるロングラン印刷時に版上でインキが乾く事で生じる絡み汚れを抑制する事ができる。
なお、ウレタン結合濃度は下記の式(1)により算出できる。
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2〜ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ−n−ブチルアミン等のアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
更に、本発明のリキッド印刷インキでは、前記ポリウレタン樹脂に加えて、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を併用してもよく、好ましい。
更に、本発明のリキッド印刷インキでは、前記ポリウレタン樹脂に加えて、塩素化ポリプロピレン樹脂を併用してもよい。前記塩素化ポリプロピレン樹脂としては特に限定なく公知のものが使用できるが、中でも、塩素化度が30〜45%、重量平均分子量が5000〜50000であると有機溶剤に対する溶解度や基材フィルムとの密着性のバランスがとれなお好ましい。ここで本発明における塩素化度とは、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の重量%である。
前記塩素化ポリプロピレン樹脂は、前記ポリウレタン樹脂との併用でもよいし、前記ポリウレタン樹脂と水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂との併用でもよい。
更に、本発明のリキッド印刷インキで必要に応じて併用される樹脂の例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総質量に対して1〜25質量%が好ましく、更に好ましくは2〜15質量%である。
本発明のリキッド印刷インキには、例えば芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n−プロパノール、イノプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤及びケトン類の溶剤を用いないことが望ましい。
本発明のリキッド印刷インキには、揮発性成分として前記有機溶剤と共に、水を添加してもよい。水の添加により、インキの乾燥性を制御する事ができ、特にグラビア印刷では、その特徴であるインキ転移量の少ないグラデーション部をきれいに再現することができる。前記水の添加量は、印刷適性が良好となる点からインキ組成物全量の0.3〜10質量%の範囲であることが好ましい。前記水の添加量が0.3質量%以上であれば、インキの乾燥抑制効果が低下することなくグラデーション部の再現性が良好となる傾向にあり、水の添加量がインキ全量の10質量%以下であれば、インキ安定性が低下する事も抑制できる。
また、このような水の添加により、使用有機溶剤成分を低減させることも可能であり環境対応に繋がる。水は有機溶剤に予め添加して含水の有機溶媒としてもよいし、別途特定量を添加してもよい。
本発明では更に必要に応じて、併用樹脂、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
前記酸化チタン(A)や無機フィラー(B)を有機溶剤に安定に分散させるには、前記樹脂単独でも分散可能であるが、さらに顔料を安定に分散するため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。例えばポリエチレンイミンにポリエステル付加させた櫛型構造高分子化合物、あるいはα−オレフィンマレイン酸重合物のアルキルアミン誘導体などが挙げられる。具体的にはソルスパーズシリーズ(ZENECA)、アジスパーシリーズ(味の素)、ホモゲノールシリーズ(花王)などを挙げることができる。またBYKシリーズ(ビックケミー)、EFKAシリーズ(EFKA)なども適宜使用できる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総質量に対して0.05質量%以上、ラミネート適性の観点から5質量%以下でインキ中に含まれることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜2質量%の範囲である。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
本発明の印刷物は、基材上に、本発明のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物である。本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明のリキッド印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させて印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
また本発明のリキッド印刷インキは、1層の印刷層のみならず、プラスチックフィルムに少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体も作成することができる。
前記第一の印刷層と第二の印刷層は、バインダー樹脂、有機溶剤、着色剤、硫酸法により得られた酸化チタン(A)、及び無機フィラー(B)を含有する本願発明のリキッド印刷インキから形成された印刷層であることを特徴とする。
更に、前記第二の印刷層がオーバープリントニスである場合は、着色剤を含まなくてもよいし、着色目的に種々顔料を用いてもよく、中でも白色顔料が好ましい。
プラスチックフィルムに、ポリウレタン尿素樹脂と着色剤を含有する印刷インキにより形成された第一の印刷層は着色剤による絵柄を形成させる事ができ、白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の印刷層は、絵柄の背景として使用することができる。
第三の印刷層がオーバープリントニスである場合は、着色剤を含まなくてもよいし、着色目的に種々着色顔料を用いてもよく、中でも白色顔料が好ましい。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:0.4質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
尚、水酸基価は、ポリウレタン樹脂中の水酸基を過剰のアセチル試薬にてアセチル化した際の、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウム(KOH)のmg数で示したものであり、JISK0070に準じたものである。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール84.5部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール15.5部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.55部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.83部、ジ−n−ブチルアミン0.11部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液P−1を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液P−1は、樹脂固形分濃度30.4重量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は式(1)に従う算出方法により1.20mmol/gであった。
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2〜ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール75部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール25部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート58.74部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.80質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン9.66部、ジ−n−ブチルアミン0.11部、酢酸エチル170.1部およびイソプロピルアルコール137.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液P−2を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液P−2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.50mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計168.51部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(25部)を14.8質量%含有するものである。
ポリウレタン尿素樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が重量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液(B−1)した。
塩素化ポリプロピレンとしては、日本製紙ケミカル社製の「スーパークロン390S 塩素含有率36%」を使用した。
合成済みのポリウレタン樹脂溶液を用い、表1に記載の配合比率で混合した混合物を、マイティーミル(株式会社井上製作所製)を用いて混練し、実施例1〜13及び比較例1〜6に記載の白インキを調製し、各々について以下の評価を実施した。
得られたリキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=80/20の混合有機溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で15秒(25℃)に調整した。調整後のインキを、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア校正機により、片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、PETフィルム、東洋紡績株式会社製 E−5100 厚さ12μm)へ印刷して、乾燥し、PETフィルム印刷物を得た。
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物の透過濃度を透過濃度計X−Rite 361T(V)にて測定を行った。なお隠ぺい性は、0.22以上であれば合格であるものとする。
リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の混合有機溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度30μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施したPETフィルムの処理面に印刷を行った。グラビア版の円周600mmφで200m/minの印刷速度した際のハイライト非印刷部分の汚れ度合い(版かぶり度)を目視評価した。なお版かぶり性が6以上であれば合格であるものとする。
(評価基準)
10:非印刷部分に汚れが全く無い
9:非印刷部分に汚れが僅かにある
8:7と9の中間程度
7:非印刷部分に汚れが少しにある
6:5と7の中間程度
5:非印刷部分に汚れがある
4:3と5の中間程度
3:非印刷部分の汚れが多い
2:1と3の中間程度
1:非印刷部分の汚れが非常に多い
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視評価した。
(評価基準)
10:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
9:印刷皮膜の90%以上がフィルムに残った
8:印刷皮膜の80%以上〜90%未満がフィルムに残った
7:印刷皮膜の70%以上〜80%未満がフィルムに残った
6:印刷皮膜の60%以上〜70%未満がフィルムに残った
5:印刷皮膜の50%以上〜60%未満がフィルムに残った
4:印刷皮膜の40%以上〜50%未満がフィルムに残った
3:印刷皮膜の30%以上〜40%未満がフィルムに残った
2:印刷皮膜の20%以上〜30%未満がフィルムに残った
1:印刷皮膜の10%以上〜20%未満がフィルムに残った
0:印刷皮膜の10%未満がフィルムに残った
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物を、印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを重ね合わせ、10kgf/cm2の加重をかけ、40℃の環境下に12時間経時させ、取り出し後、非印刷面へのインキの転移の状態を目視評価した。
(評価基準)
5:非印刷面へのインキの転移:0%〜20%未満
4:非印刷面へのインキの転移:20%以上〜40%未満
3:非印刷面へのインキの転移:40%以上〜60%未満
2:非印刷面へのインキの転移:60%以上〜80%未満
1:非印刷面へのインキの転移:80%以上
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物の印刷面に、ウレタン系のドライラミネート接着剤ディックドライLX−703VL/KR−90(DIC製)にてドライラミネート機(DICエンジニアリング製)を塗工し、接着剤塗工面に無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R−CPP:東レ合成フィルム社製 ZK−75 50μm)を積層させた。その後40℃で5日間エージングを施しラミネート物を得た。
得られたラミネート物を15mm幅に切り出し、引っ張り速度300mm/分で90度の剥離試験を行った。
(評価基準)
5:ラミネート強度が5N/15mm以上である。
4:ラミネート強度が4N/15mm以上〜5N/15mm未満である。
3:ラミネート強度が3N/15mm以上〜4N/15mm未満である。
2:ラミネート強度が2N/15mm以上〜3N/15mm未満である 。
1:ラミネート強度が1N/15mm未満である。
酸化チタンT:硫酸法により得られた、酸化チタン/アルミナ/シリカ(Ti/Al/Si)の質量比が92/4/4であり、モース硬度7.0のアルミナシリカ処理酸化チタン
酸化チタンU:硫酸法により得られた、酸化チタン/アルミナ/シリカ(Ti/Al/Si)の質量比が90/3/7であり、モース硬度7.0のアルミナシリカ処理酸化 チタン
酸化チタンV:硫酸法により得られた、酸化チタン/アルミナ/シリカ(Ti/Al/Si)の質量比が97/3/0であり、モース硬度7.0のアルミナ処理酸化チタン
酸化チタンW:塩素法により得られた、酸化チタン/アルミナ/シリカ(Ti/Al/Si)の質量比が90/3/7であり、モース硬度7.0のアルミナシリカ処理酸化チタン
カオリン:粒径が0.2であり、モース硬度2.0
炭酸カルシウム:粒径が0.5であり、モース硬度3.0
硫酸バリウム:粒径が0.7であり、モース硬度3.5
有機フィラー(アクリル樹脂):積水化成品工業株式会社製のアクリルビーズ「テクポリマーMBX−5」粒径が5.0であり、モース硬度2.0
酸化チタンとして、硫酸法により得られた酸化チタンを使用したインキ(実施例1〜13)に対し、塩素法により得られた酸化チタンを使用したインキ(比較例6)は版かぶり性に劣ることがわかる。
インキ全量に対し酸化チタン量が30質量%のインキの場合、無機フィラーを併用しないインキ(比較例1)は版かぶり性は8と高い値を示すものの隠ぺい性に劣る。これに対し無機フィラーを併用するインキ(実施例1、9、13)は、いずれも版かぶり性を維持したまま隠ぺい性が改善されていることがわかる。
また、インキ全量に対し酸化チタン量が40質量%のインキの場合、無機フィラーを併用しないインキ(比較例3)は隠ぺい性は0.23と高い値を示すものの版かぶり性に劣る。これに対し無機フィラーを併用するインキ(実施例3、11)は、いずれも隠ぺい性を維持したまま版かぶり性が改善されていることがわかる。
Claims (7)
- バインダー樹脂、有機溶剤、及び着色剤を含有するリキッド印刷インキであって、硫酸法により得られた酸化チタン(A)と無機フィラー(B)を含有するリキッド印刷インキであって、無機フイラー(B)がカオリンであることを特徴とするリキッド印刷インキ。
- 前記酸化チタン(A)の表面に少なくともアルミナ及び/又はシリカからなる処理層を有する請求項1に記載のリキッド印刷インキ。
- 前記無機フィラー(B)のモース硬度が1〜5である請求項1または2に記載のリキッド印刷インキ。
- 前記酸化チタン(A)と無機フィラー(B)の質量比が99:1〜1:99である請求項1〜3のいずれかに記載のリキッド印刷インキ。
- 前記バインダー樹脂が、重量平均分子量が15,000〜100,000且つウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下であるポリウレタン尿素樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のリキッド印刷インキ。
- 基材上に、請求項1〜5のいずれかに記載のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物。
- 請求項6に記載の印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019122946 | 2019-07-01 | ||
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