JP7133948B2 - 羽口の設置構造 - Google Patents
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Description
このような設置構造の上ノズルの下端と上プレートとの境界は,一定の厚さで密着した構造とされるが,使用中にこの目地部が離れてその間隔が拡大し.空隙を生じることがある。
また上ノズルと羽口との境界でも,この境界部分の目地部が離れてその間隔が拡大し,空隙を生じることがある。
このような空隙が生じると,その空隙に溶融金属が侵入し,ひいては溶融金属の漏出事故を発生させることがある。
例えば特許文献1には,「中空円錐台形上ノズルの外周面テーパー角を7°未満とし、スライディングゲート直上に位置する該上ノズルの下端外周に、タンディッシュあるいは取鍋などの溶融金属保持容器の下部外壁または耐火物に掛止する位置決め用突起部を設けたスライディングゲート用上ノズル」が開示されている(特許文献1の要約書参照)。
特許文献2には,「上部形状が截頭円錐形で下部が円筒形をなし、軸方向中心に溶融金属を通すノズル孔を有する上ノズル20と,溶融金属容器の底部に設けられ前記上ノズル20が下方から挿着されるノズル受け煉瓦とを有し、前記上ノズルの下部に摺動式流量制御装置(スライドバルブ)4が配設される鋳造用ノズル構造において,前記上ノズル20の下端を除く外周面に凹部21および/または凸部24を形成した鋳造用ノズル構造」が開示されている(特許文献2の要約書参照)。
同図に示しているように,従来の羽口の設置構造において羽口2は溶融金属容器底部の鉄皮4には直接固定されていない。羽口2を含む溶融金属容器底部の耐火物ライニング層が熱その他の原因で溶融金属容器底部の鉄皮4から溶融金属容器内側方向すなわち上方向に移動する等により,羽口2もそれに連動して容易に溶融金属容器内側方向(上方向)に移動し,溶融金属容器底部の鉄皮4との間に空隙9が生じる。
一方,上ノズル1はその下方の構成物7(ここでは上プレートを例にしている)との間で移動可能となる。すなわち上ノズル1は,下方の構成物7との接触面積(目地部の面積)よりも羽口2との接触面積の方が大きく,また上ノズル1の上部にはスラグやスケールが羽口2に浸潤又は反応して強固に一体化した部分を生じることが多い。これらのため,上ノズル1は下方の構成物7から離れて羽口2と連動するように,上方向に移動し,下方の構成物7との間に空隙6を生じる。
なお,本発明者らは他の方法として,上ノズルを鉄皮外に位置する下方のスライディングノズル装置に金属部品で係止する構造を適用した。しかしこの場合,羽口と共に上ノズルが上昇して,前記金属部品が変形し,又は上ノズルの前記金属部品付近が破壊して,上ノズルと上プレートとの間の空隙の発生を防止することはできなかった。
ひいてはそれにより,空隙からの空気の巻き込みや溶融金属の漏出事故等の発生を防止することにある。
1.溶融金属容器の底部から溶融金属を下方に排出するノズル又はプラグを囲繞するように設置される羽口の設置構造であって,前記羽口が前記溶融金属容器の内側方向へ移動することがないように,前記溶融金属容器の底部の鉄皮の内側に設置された接合部品により前記鉄皮に固定されており,前記接合部品の前記鉄皮との接合部分は,溶接構造,ネジの螺合構造,又は,前記鉄皮を貫通する孔の当該鉄皮外側孔周囲への当接構造のいずれか一種以上である,羽口の設置構造。
2.溶融金属容器の底部から溶融金属を下方に排出するノズル又はプラグを囲繞するように設置される羽口の設置構造であって,前記羽口が前記溶融金属容器の内側方向へ移動することがないように,前記溶融金属容器の底部の鉄皮の内側に設置された接合部品により前記鉄皮に固定されており,前記接合部品が前記羽口に接触する部分の少なくとも一部は,金属板若しくは金属ケース,又は無機材料若しくは炭素を主成分とするシートを介している,羽口の設置構造。
3.溶融金属容器の底部から溶融金属を下方に排出するノズル又はプラグを囲繞するように設置される羽口の設置構造であって,前記羽口が前記溶融金属容器の内側方向へ移動することがないように,前記溶融金属容器の底部の鉄皮の内側に設置された接合部品により前記鉄皮に固定されており,前記接合部品は複数の独立部品からなり,前記複数の独立部品相互はネジの螺合構造,引っかけ構造,嵌合構造,スライド構造又はバイオネット構造のいずれか一種以上により,一体化及び再分離が可能なように前記羽口と前記鉄皮間を接合している,羽口の設置構造。
4.前記接合部品による接合部分は,当該羽口外周を均一に分割するように少なくとも2ヶ所以上に分散して存在する,前記1から前記3のいずれかに記載の羽口の設置構造。
5.前記接合部品の少なくとも一部は外部に露出しないように覆われている,前記1から前記4のいずれかに記載の羽口の設置構造。
6.前記接合部品の上方又は周囲の少なくとも一部には,不定形耐火物が設置されている,前記1から前記5のいずれかに記載の羽口の設置構造。
したがって,羽口の内孔側に設置された上ノズル等のノズル,又はプラグが,その下方に設置した上プレートや前記鉄皮外部との固定手段等から上方に移動することがなく,これら相互の間に空隙が生じることを防止することができ,ないしはノズル内孔への空気の巻き込みや溶融金属漏出事故等を防止することができる。
この実施形態1は,羽口2の一部に貫通孔を備えた横方向の凸状部を備え,溶融金属容器底部の鉄皮4には前記貫通孔に対応する位置にネジを切った穴(以下「ネジ穴」という。)を備え,羽口2は前記貫通孔と前記鉄皮4のネジ穴とに合致するネジ構造の接合部品(ボルト)3で鉄皮4に固定されている。
この実施形態2は,羽口2の少なくとも一部に下方向に拡大する部分を備え,貫通孔を備えた金属製の接合部品3(金属板又は金属ケース12)を前記羽口2の拡大部を下方に拘束する(引っかける)ように設置し,溶融金属容器底部の鉄皮4にはネジ穴を備え,羽口2は前記接合部品3(金属板又は金属ケース12)の貫通孔と前記鉄皮4のネジ穴とに合致する接合部品(ボルト)3で鉄皮4に固定されている。
またこの実施形態2では,接合部品3の上方又は周囲には,羽口設置及び固定後施工される不定形耐火物11が設置されている。
この実施形態3は前述の実施形態1を基礎に,接合部品3と羽口2の間,又は接合部品3と羽口2の間及び接合部品3と鉄皮4の間に,金属板若しくは金属ケース12,又は無機材料若しくは炭素を主成分とするシート13を設置しており,これらを介して接合部品3により羽口2と鉄皮4が固定されている。
金属板若しくは金属ケース12の材質等は,操業時の当該部分の温度に応じて適宜選択すればよい。溶鋼又は溶銑容器では一般的な鉄又はステンレス製とすることができる。
無機材料若しくは炭素を主成分とするシート13の材質等も,操業時の当該部分の温度に応じて適宜選択すればよい。溶鋼又は溶銑容器では一般的な生体溶解性又はいわゆるRCFと呼ばれる無機材質から成るシート等,若しくは例えば黒鉛や炭素系繊維等の炭素を主成分とする材料等とすることができる。
この実施形態4は前述の実施形態1を基礎に,接合部品3のネジ頭部に相当する部分に,このネジ頭部の少なくとも一部が外部に露出しないように被覆部品14が設置されている。
この実施形態4においても図2の実施形態2と同様に,羽口2の接合部分の上方又は周囲に,羽口設置及び固定後に不定形耐火物を現場施工により設置することができる。これには,溶融金属容器底部の羽口上方又は周囲の耐火物層を隙間無く形成し得る等の利点がある。
前述の被覆部品14のような覆いは,前述のような不定形耐火物を施工する場合は特に,ネジ頭部等の接合部品3を担持及び操作する部分周辺が,施工される耐火物に隙間無く直接充填されて固定されてしまって解体等が困難になることを防止するために設置される。このとき図5(b)に示すように,羽口2や鉄皮4等の,接合部品3を設置する貫通孔部分上端に凹部を形成して接合部品頭部全体を囲繞することもできる。
この実施形態5は,羽口2の少なくとも一部に下方向に拡大する部分を備え,鉄皮4には前記羽口2の拡大部の外形と合致するように形成された接合部品3が,少なくとも羽口2がその間に密着してかつ装着されるように,羽口2の外周に相当する領域の少なくとも一方向が開放された間隙を有して一体的に又は分割して複数ヶ所に設置されている。そしてこの実施形態5では,この接合部品3の間隙に前記羽口2の拡大部をスライドさせて嵌合し,羽口2を固定する。
なお,この貫通形式によるリベット又はボルト・ナット等による構造はこの実施形態5に限定されることなく,前述の各実施形態等にも適用することができる。
なお,このようなホルダー3H等を利用する形態は,スライド方式,バイオネット方式に限らず適用することができる。
したがって,鉄皮への溶接構造を含む場合は,溶接と解体を繰り返さないように,前述のようにネジ構造,引っかけ構造,スライド構造,バイオネット構造等の,羽口との間に脱着可能な部品による固定を組み合わせることが好ましい。
2 羽口
3 接合部品
3F 接合部品の鉄皮との接合部
3H 接合部品の内の一部品(中間に配置されるホルダー等の例)
3HC 前記ホルダーの例における,ホルダーの凸状部
3W 接合部品の内の一部品(中間に配置される楔等の例)
4 溶融金属容器底部の鉄皮
5 上ノズルと羽口間の目地部
6 上ノズルと下方ノズル(この場合はプレート)間の目地部
6S 前記6に空隙が生じた際のその厚さ
7 構成物(上プレートの例)
8 内孔
Claims (6)
- 溶融金属容器の底部から溶融金属を下方に排出するノズル又はプラグを囲繞するように設置される羽口の設置構造であって,前記羽口が前記溶融金属容器の内側方向へ移動することがないように,前記溶融金属容器の底部の鉄皮の内側に設置された接合部品により前記鉄皮に固定されており,前記接合部品の前記鉄皮との接合部分は,溶接構造,ネジの螺合構造,又は,前記鉄皮を貫通する孔の当該鉄皮外側孔周囲への当接構造のいずれか一種以上である,羽口の設置構造。
- 溶融金属容器の底部から溶融金属を下方に排出するノズル又はプラグを囲繞するように設置される羽口の設置構造であって,前記羽口が前記溶融金属容器の内側方向へ移動することがないように,前記溶融金属容器の底部の鉄皮の内側に設置された接合部品により前記鉄皮に固定されており,前記接合部品が前記羽口に接触する部分の少なくとも一部は,金属板若しくは金属ケース,又は無機材料若しくは炭素を主成分とするシートを介している,羽口の設置構造。
- 溶融金属容器の底部から溶融金属を下方に排出するノズル又はプラグを囲繞するように設置される羽口の設置構造であって,前記羽口が前記溶融金属容器の内側方向へ移動することがないように,前記溶融金属容器の底部の鉄皮の内側に設置された接合部品により前記鉄皮に固定されており,前記接合部品は複数の独立部品からなり,前記複数の独立部品相互はネジの螺合構造,引っかけ構造,嵌合構造,スライド構造又はバイオネット構造のいずれか一種以上により,一体化及び再分離が可能なように前記羽口と前記鉄皮間を接合している,羽口の設置構造。
- 前記接合部品による接合部分は,当該羽口外周を均一に分割するように少なくとも2ヶ所以上に分散して存在する,請求項1から請求項3のいずれかに記載の羽口の設置構造。
- 前記接合部品の少なくとも一部は外部に露出しないように覆われている,請求項1から請求項4のいずれかに記載の羽口の設置構造。
- 前記接合部品の上方又は周囲の少なくとも一部には,不定形耐火物が設置されている,請求項1から請求項5のいずれかに記載の羽口の設置構造。
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