JP2006162161A - 流動層炉の空気ノズル構造 - Google Patents

流動層炉の空気ノズル構造 Download PDF

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航哉 竹田
Kyoji Yamamoto
恭司 山本
Yasuki Matsushita
康樹 松下
Nobumoto Uehara
伸基 上原
Atsushi Riko
淳 利弘
Jun Konoki
順 香ノ木
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Abstract

【課題】 流動層内への空気の供給時にノズルカバーに対する周辺の流動媒体の衝突を緩和することによってノズルカバーの摩損を大幅に軽減し寿命を延長して交換頻度を低減し、寿命を延長して交換頻度を低減することで、空気ノズルの補修に係る費用を大幅に低減できる流動層炉の空気ノズル構造を提供する。
【解決手段】 流動層2とその下方の流動用空気導入部3とを仕切る分散板4の各空気供給孔5に装着されるノズル本体7の空気噴き出し口7aから流動層2内に空気を供給する空気ノズル構造であって、ノズル本体7は下端を開口した円筒形で上部に空気噴き出し口7aを備え、ノズル本体7には、同ノズル本体7の下端部を除き周囲を覆うノズルカバー8が取り付けられており、ノズルカバー8は下端が開口され、かつ下端に向け口径を漸次拡大した略円筒体からなる。
【選択図】 図 1

Description

この発明は、流動層とその下方の流動用空気導入部とを仕切る分散板の各空気供給孔に装着されるノズル本体の空気噴き出し口から前記流動層内に空気を供給する流動層炉の空気ノズル構造のとくにノズルカバーに関するもので、例えば、廃棄物、石炭、バイオマス資源の焼却炉およびガス化炉として好適な流動層炉に関する。
この種の空気ノズル構造として、従来は、例えば図3に示すように、分散板4の各空気供給孔5には、下端を開口し側周壁の上部に複数の空気噴き出し口10aを水平方向外向きに設けた円筒形のノズル本体10を被せるように取り付けた構造が用いられている(例えば、特許文献1参照)。これは分散板4に上記のようなノズル本体10を取り付けていない場合、運転停止後に流動層2(図2参照)内の流動媒体としての流動砂sなどが空気供給孔5から下方の流動用空気導入部3に落下するので、これを防ぐためである。しかし、上記構造において、廃棄物や例えば石炭といった燃料を燃焼あるいはガス化させる流動層炉では、ノズル本体10の空気噴き出し口10aやその周りにごみの焼却灰や石炭灰などの灰が付着し、空気噴き出し口10aを閉塞するおそれがある。また、ノズル本体10の表面に付着した灰によって腐食される一方、流動媒体との接触によってもノズル本体10の表面が腐食したりその腐食部が摩耗したり損傷したりするので、従来は短期間で運転を停止し、腐食や損傷した空気ノズルの交換や空気ノズルに付着した灰の除去作業を行う必要があった。しかも、空気ノズルは、運転中に流動層と流動用空気導入部とを仕切る分散板の各空気供給孔から外れないように固定されているため、空気ノズルの交換は非常に手間のかかる作業であった。
そこで、図4(a)に示すように、例えば上下両端を開口した円筒形のノズル本体11にその周囲に一定の隙間をあけ下端を開口した円筒形のノズルカバー12を分散板4との間に一定の隙間をあけて装着することにより、ノズル本体11の空気噴き出し口11aが灰によって閉塞されるのを防止することができる。このようなノズルカバー12を備えた空気ノズル構造の先行技術として、上下両端を開口した略円筒状のノズル本体を分散板の各空気供給孔に取り付け、下端を開口し下端部周囲に複数の空気噴き出し口を設けた円筒状のノズルカバーをノズル本体の周囲に一定の隙間をあけて被せるように装着した空気ノズル構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−299784号公報(段落0002および図2、段落0013・0014および図1)
上記のような下端を開口した円筒状ノズルカバーをノズル本体に装着することにより、灰によってノズル本体の空気噴き出し口が閉塞されたり、ノズル本体が腐食したり摩損したりするのを防止できるので、下端を開口した円筒状ノズルカバーをノズル本体に装着する空気ノズル構造は、従来のノズルカバー未装着(図3のノズル本体10のみを参照)の場合に比べると、ノズル本体の寿命を延長することができる。
しかしながら、下端を開口した円筒状ノズルカバーをノズル本体に装着するノズルカバー構造では、図4(b)に示すように分散板4下方の空気導入部3からノズル本体11の空気噴き出し口11aをとおり、さらにノズルカバー12とノズル本体11との隙間を下方に流れた後、ノズルカバー12の下端から吹き上げられるように流動層内に流入する空気により、ノズルカバー12周辺の流動媒体が渦を巻くようにノズルカバー12の側周壁12cに衝突するため、ノズルカバー12の下端部12bおよび側周壁12c部が次第に摩耗して薄肉化してしまう。ノズルカバー12の薄肉化が進み、ノズルカバー12に穴が開いた場合、その部分のノズル本体11はノズルカバー未装着の場合と同様に、ノズル本体11が腐食したり摩損したりするので、ノズル本体11を交換する必要がある。
そのため、定期点検時などにノズルカバー12を点検し、必要に応じてノズルカバー12のみを交換していた。云うまでもなく、ノズル本体11の交換に比べるとノズルカバー12の交換は容易である。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、流動層内への空気の供給時にノズルカバーに対する周辺の流動媒体の衝突を緩和することによってノズルカバーの摩損を大幅に軽減し寿命を延長して交換頻度を低減し、寿命を延長して交換頻度を低減することで、空気ノズルの補修に係る費用を大幅に低減できる流動層炉の空気ノズル構造を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明に係る流動層炉の空気ノズル構造は、流動層とその下方の流動用空気導入部とを仕切る分散板の各空気供給孔に装着されるノズル本体の空気噴き出し口から前記流動層内に空気を供給する空気ノズル構造であって、
前記ノズル本体は下端を開口した円筒形で上部に空気噴き出し口を備え、前記ノズル本体には、同ノズル本体の下端部を除き周囲を覆うノズルカバーが取り付けられており、該ノズルカバーは下端が開口され、かつ下端に向け口径を漸次拡大した略円筒体からなることを特徴とする。
上記の構成を有する流動層炉の空気ノズル構造によれば、ノズル本体に装着するノズルカバーを側周壁が下向きに漸次拡がった傾斜面に形成したので、流動層内の流動媒体がノズルカバーの表面、とくに側周壁に沿って穏やかな下降流を生じ、ノズルカバーの側周壁下方より供給される空気によって周辺の流動媒体が渦を巻くようにノズルカバー表面に衝突するのを緩衝する。また、ノズルカバーの側周壁が下向きに漸次口径が拡がっているので、ノズルカバーの側周壁下方から流動層内に供給される空気流は、従来の側周壁が鉛直方向に延びたノズルカバーの下方から供給される場合に比べて半径方向外方への流れが強く、ノズルカバーの側周壁下方から上方および半径方向外方へ向けて空気が供給される。この空気流の方向によっても、ノズルカバーの側周壁への流動媒体の衝突が緩和される。したがって、上記した従来の円筒状ノズルカバーに比べて大幅に摩耗・損傷が低減され、寿命がさらに延長されるので、交換頻度も減少し、空気ノズルの補修に係る費用が安くて経済的である。
請求項2に記載のように、前記ノズルカバーを前記ノズル本体に対し着脱自在に取り付けることができる。
このようにすれば、ノズルカバーの交換を手間をかけずに短時間で容易に行える。
請求項3に記載のように、前記ノズルカバーの頂部をほぼ平坦な水平面とし、頂部から側周壁が下向きに漸次拡径する傾斜角度を鉛直線に対し5〜60°の範囲に設定することが好ましい。なお、具体的には、5〜60°の範囲において流動媒体の種類や粒径などに応じて決定することができる。
このようにすれば、流動媒体がノズルカバーの頂部に堆積するので、頂部への灰の付着量が低減され、腐食が抑制されるとともに、側周壁の下向き傾斜角度を鉛直線に対し5〜60°の範囲に設定することにより側周壁上部に流動媒体が堆積せず、側周壁に沿ってゆっくりとした下降流を形成する。
請求項4に記載のように、前記空気噴き出し口を、前記ノズルカバーの側周壁内方において水平方向に設けることが好ましい。
このようにすれば、空気噴き出し口から水平方向に噴き出す空気が傾斜壁の裏面に当たってから空隙部内に分散することにより炉底への衝突速度が低減されるので、炉底の損耗が抑制される。
本発明に係る流動層炉の空気ノズル構造は、ノズル本体に装着するノズルカバーを側周壁が下向きに漸次拡がった傾斜面に形成したので、流動層内の流動媒体がノズルカバーの側周壁に沿って穏やかな下降流を生じ、ノズルカバーの側周壁下方より供給される空気によって周辺の流動媒体が渦を巻くようにノズルカバー表面に衝突するのを緩衝するから、従来の円筒状ノズルカバーに比べて大幅に摩耗・損傷が低減され、寿命がさらに延長されるので、交換頻度も減少する。また、ノズルカバーの交換作業を短時間で行うことができるので、空気ノズルの補修に係る費用が安くて経済的であるなどの優れた効果がある。
以下に、本発明に係る流動層炉の空気ノズル構造について実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の空気ノズル構造を流動層式のごみ焼却炉に適用した場合の実施例を示す断面図、図2は流動層炉の一部を示す断面図である。
流動層炉1は、図2に示すように流動層2の下方に空気導入部3を備え、流動層2と空気導入部3とは分散板4で仕切られている。流動層2内の分散板4上には流動媒体としての砂sが充填されている。分散板4には多数の空気供給孔5が穿設されており、各空気供給孔5の周囲には雄ねじ部6aを外周面に設けたねじ管6が立設されている。上端部周囲に複数の空気噴き出し口7aを間隔をあけ水平方向外向きに開口させ、下端を開口しかつ下端部内周面に雌ねじ部7bを形成した略円筒状のノズル本体7が、その雌ねじ部7bをねじ管6の雄ねじ部6aに螺合して取り付けられている。
ノズル本体7の上端部外周で空気噴き出し口7aの上方に、雄ねじ部7cが形成されている。ノズル本体7に装着されるノズルカバー8の上端部内周面に、雄ねじ部7cに螺合可能な雌ねじ部8aが形成されている。このノズルカバー8は下端を開口し口径が漸次下向きに拡径した略円筒体からなり、本例では傾斜壁8b・8cが2段階に形成され、上側傾斜壁8bは鉛直線vに対する傾斜角が下側側周壁8cの傾斜角に比べて緩やかで、かつ短い。下側側周壁8cは鉛直線vに対し傾斜角θ°(本例では30°)で下端に向け拡がっている。これらの傾斜角は流動層2内で流動している流動媒体である砂sの種類や粒径によって決定されるもので、流動中の砂sがノズルカバー8の側周壁8cに沿って穏やかでゆっくりとした下降流になることにより、運転中は周辺の砂が衝突しようとするとくに下側の側周壁8cを流動砂sで常に覆って保護できるようにするためである。
ところで、流動層炉1では流動層2内に供給空気を均一に分散させるため、分散板4や空気ノズル(空気噴き出し口7a)で十分な圧力損失が図られるように設計されている。一般的には、空気噴き出し口からの噴き出し速度が最も速くなるように設計されており、噴き出し速度は数十メートル/秒になる。本発明の空気ノズル構造においても、空気噴き出し口7aからの噴き出し速度が最も速くなる。したがって、この空気噴き出し速度で空気とともに流動媒体(砂s)が炉底に衝突すると、炉底の耐火材などは短期間で損耗してしまうおそれがある。そこで、本例では空気噴き出し口7aを水平方向に設け、そこから噴き出す空気を下側傾斜壁8cの裏面に当ててから空隙部9内に分散させることにより、炉底への衝突速度を低減し、炉底の損耗を抑制している。また、ノズルカバー8は頂部8dを平坦な水平面にして砂sが堆積するようにしている。この結果、頂部8dへの灰の付着量が低減され、腐食が抑制される。
ノズルカバー8の材質については限定されないが、例えば耐腐食性金属であるステンレスが使用される。またノズルカバー8の高さは、ノズル本体7にノズルカバー8を装着した状態で、分散板4との間の隙間をとおって空気がスムーズに供給されるように決定されるが、本例ではノズルカバー8の下端と分散板4との間に十数ミリメートルの隙間が生じるようにしている。さらにノズルカバー8は全体的に肉厚にし、摩耗に十分耐えられるようにして長期間の使用を可能にしている。
上記のようにして流動層炉からなる実施例のごみ燃焼炉用空気ノズル構造が構成されるが、この空気ノズル構造の作用について説明する。
図2に示すように、本例の空気ノズル構造では、空気導入部3から分散板4の空気供給孔5からノズル本体7内に流入した空気は、上端部の空気噴き出し口7aから放射状に水平方向へノズルカバー8との空隙部9へ噴き出す。この空気は空隙部9内をノズルカバー8の側周壁8b・8c内面に沿って下降し、側周壁8cの下端と分散板4との隙間から流動層2内に供給される。この空気流はノズルカバー8の側周壁8c下方から水平方向上向きとなって、流動層2内に充填された砂sを流動させる。一方、流動する砂sの一部は、側周壁8b・8cに沿って下降流となって分散板4上に至り、再び流動する。そして、ノズルカバー8の側周壁8c下方から供給される空気流によって周辺の砂sの一部がノズルカバー8の側周壁8cに衝突しようとするが、側周壁8b・8cに沿って下降する砂sの層により側周壁8cに衝突する砂sが緩衝される。
上記に流動層炉の空気ノズル構造の一実施例を示したが、下記のように実施することができる。すなわち、
1) 図示は省略するが、ノズルカバー8の上側傾斜壁8bを半円弧状の緩やかな曲面に形成したり、上側の傾斜壁8bをなくして頂面から直接に傾斜壁8cを設けて傾斜壁を1段にしたりする。
2) ノズル本体7に対しノズルカバー8を対応するねじ部の螺合関係により着脱可能に装着するようにしたが、ノズル本体7の頂部に雌ねじ孔を設け、ノズルカバー8の頂面を貫通するねじにより雌ねじ孔に螺合して装着したり、ノズルカバー8をノズル本体7に溶接して取り付けたりする。
本発明の空気ノズル構造を流動層式のごみ焼却炉に適用した場合の実施例を示す断面図、図1(a)はノズルカバー8の装着前の状態を、図1(b)は装着後の状態を表す。 本発明の実施例に係る空気ノズル構造を備えた流動層炉の一部を示す断面図である。 従来の一般的なノズル本体を備えた分散板を示す断面図である。 図4(a)は従来の一般的なノズルカバーをノズル本体に装着した空気ノズル構造を示す断面図、図4(b)は図4(a)のノズルカバーが摩耗する状態を示す断面図である。
符号の説明
1 流動層炉
2 流動層
3 空気導入部
4 分散板
5 空気供給孔
6 ねじ管
7 ノズル本体
7a空気噴き出し口
8 ノズルカバー
8a雌ねじ部
8b上側傾斜壁
8c下側側周壁

Claims (4)

  1. 流動層とその下方の流動用空気導入部とを仕切る分散板の各空気供給孔に装着されるノズル本体の空気噴き出し口から前記流動層内に空気を供給する空気ノズル構造であって、
    前記ノズル本体は下端を開口した円筒形で上部に空気噴き出し口を備え、
    前記ノズル本体には、同ノズル本体の下端部を除き周囲を覆うノズルカバーが取り付けられており、該ノズルカバーは下端が開口され、かつ下端に向け口径を漸次拡大した略円筒体からなることを特徴とする流動層炉の空気ノズル構造。
  2. 前記ノズルカバーを前記ノズル本体に対し着脱自在に取り付けた請求項1記載の流動層炉の空気ノズル構造。
  3. 前記ノズルカバーの頂部をほぼ平坦な水平面とし、頂部から側周壁が下向きに漸次拡径する傾斜角度を鉛直線に対し5〜60°の範囲に設定した請求項1または2記載の流動層炉の空気ノズル構造。
  4. 前記空気噴き出し口を、前記ノズルカバーの側周壁内方において水平方向に設けた請求項3記載の流動層炉の空気ノズル構造。
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