JP7129774B2 - 気相成長装置の洗浄方法 - Google Patents
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Description
図1に本発明の一実施形態に係る気相成長装置成長部の概略図を示す。図1に示す気相成長装置成長部99は、気相成長を行う反応管30、該反応管30内部を反応管外部より加熱する加熱手段36、結晶成長となるベース基板10を戴置する基板支持台(サセプタ)32、基板支持台32の下部に位置し、該支持台を加熱することによってベース基板10を加熱するための加熱手段37、反応管30内部に原料ガスを供給するために原料ガス供給口42、及び45、反応管30内部のガスを排気するための排気部34から構成されている。ここで、気相成長を行う際に複数の原料ガスを用いる場合には、図1に示す様に用いるガスの種類に応じて複数の原料ガス供給口を有することも可能である。また、原料ガスの流れを制御するため、或いは複数の原料ガスがベース基板に達する前に混合されることを防ぐためにキャリアガスを用いることがあり、かかる場合には、上記気相成長装置においてキャリアガスの供給口を有してもよい。また、ベース基板10上に均一に単結晶層を積層させるためにサセプタ32を回転可能としても良い。さらに図1では、サセプタ32を加熱する加熱手段として高周波加熱コイルを用いているが、他の加熱手段(例えばヒータコイルが埋設されているサセプタ等を用いた電気抵抗加熱など)を用いても良い。また、原料ガスが接触することによる加熱手段の劣化や、成長部反応域31以外の領域を必要以上に加熱することを抑制するため、図2及び図3に示すように加熱手段を覆うように保護部材33を用いてもよい。また、成長部を構成する部材の材質としては、かかる気相成長反応での反応中の温度に耐え得るものであれば限定せずに使用できるが、加熱手段に高周波加熱を用いる場合には、石英、アルミナ、サファイア、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の絶縁体を使用することが好ましい。また特に、サセプタやベース基板周辺の部材のように加熱手段と近く高温となる部材は、反応中に成長部内を流通する原料ガス等による腐食が起こりやすいため、使用する原料ガス等に対する腐食耐性が高い材質を使用することが好ましく、例えば原料ガスに塩化アルミニウムを使用する場合には窒化ホウ素、窒化ケイ素が好ましい。
上記気相成長装置を用いた気相成長法による単結晶層の一般的な成長手順としては、反応管30内にベース基板10を設置した後、反応管30内を原料ガスを含まないキャリアガスを流通した状態で、反応管30とベース基板10をそれぞれ所定の温度に加熱する。次いで第一の原料ガス供給ノズル42および第二の原料ガス供給ノズル45より原料ガスの供給を開始してベース基板10上に単結晶層の成長を開始し、所望の膜厚が得られるまで前記原料ガスの供給を継続する。所望の膜厚に到達後、原料ガスの供給を停止し、単結晶積層体を冷却後に反応管30から取り出す。その後、反応管30内部のベース基板10以外に析出した析出物を除去するために、反応管30内部のクリーニング処理を行う。反応管30内部に析出物を分解することのできるクリーニングガス(例えば塩素ガスや塩化水素ガスなど)を供給して反応管30内部の析出部分を加熱状態に保持することで、析出物を除去することもできる。クリーニング終了後は、必要に応じて反応管30内部にキャリアガスを流通した状態で空焼処理する。クリーニング処理と空焼を兼ねる場合は、空焼処理は省略される。このような手順を一つのサイクルとして、サセプタ32上に次のサイクルのベース基板を設置して単結晶層の成長を行い、その後もサイクルを繰り返し行う。
本発明の気相成長装置の洗浄方法は、気相成長装置にて気相成長を行った後、上記クリーニングガスによるクリーニング処理の代わりに、成長部を構成する部材を取り外し、取り外した部材を水溶液により洗浄することが特徴である。上記図1の気相成長装置の場合を例示すると、単結晶積層体を反応管30から取り出した後にサセプタ32やベース基板10周辺の部材、第一の原料ガス供給ノズル42、第二の原料ガス供給ノズル45、反応管30等の成長部を構成する各部材を取り外し、各部材を水溶液で洗浄する。このような水溶液による洗浄を行うことにより、該成長部の各部材の表面に析出した析出物を除去することができる。特に、サセプタ32および保護部材33はその他の成長部部材よりも高温になることから析出物の析出量が多く、クリーニングガスによる一般的なクリーニング処理を行った際には析出物が残留しやすい傾向にある。従って、上記部材に対して、本発明の気相成長装置の洗浄方法を実施することが好ましい。またIII族窒化物単結晶、特に、窒化アルミニウム単結晶や窒化アルミニウムガリウム等、のアルミニウム系III族窒化物単結晶を気相成長法により製造する場合には、気相成長時の反応温度が比較的高いため成長部部材表面に析出物が残留していると、結晶成長時にかかる残留した析出物の脱離が起きやすい傾向にある。従って、かかる単結晶成長の際に本発明の気相成長装置の洗浄方法を実施することが好ましい。本発明の気相成長装置の洗浄方法は、単結晶成長を行った後に毎回行ってもよいし、成長させた単結晶層に含有する異物の個数についての閾値を設定し閾値を越えた場合に洗浄を行い、次の結晶成長を行ってもよい。
本発明の気相成長装置の洗浄方法に用いる水溶液としては、析出物の除去効果が高い点で、水溶液を酸性、又はアルカリ性とすることが好ましい。酸性の水溶液として具体的には、硝酸、塩酸、硫酸、りん酸、フッ化水素酸等の酸溶液を原液もしくは希釈水溶液を使用することができる。一方、アルカリ性の水溶液として具体的には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の一般的な無機アルカリを水溶液化したものや、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドやテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アルカリ水溶液を適宜希釈して使用することができる。酸またはアルカリの濃度は、濃い方が洗浄効果は高まるため、酸性、或いはアルカリ性の水溶液を用いる際の水溶液のpHとしては、3以下もしくは10以上が好ましく、2以下もしくは12以上がより好ましく、特に1以下もしくは13以上であることが最も好ましい。
窒化アルミニウム単結晶積層体の単結晶層表面をノマルスキー微分干渉顕微鏡(ニコン社製LV150)により、観察倍率50倍~1000倍で観察した。単結晶層体表面に露出した不定形な凸部の個数を多結晶部の個数としてカウントした。なお、不定形な凸部が多結晶であることはラマン分光分析により窒化アルミニウム単結晶をc軸方向以外から分析した際や、窒化アルミニウム多結晶を分析した際に観測されるラマンシフト670cm-1付近のE1(TO)モードのラマン散乱に由来するピークおよびラマンシフト610cm-1付近に観測されるA1(TO)モードのラマン散乱に由来するピークの有無により確認した。
図1に示す成長部を有する気相成長装置を使用し、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層を成長させた。結晶成長中に特に高温となるサセプタ32および保護部材33の材質としては窒化ホウ素を採用し、反応管30および反応管30内部のその他の部材の材質としては石英を採用した。本実施例の実施前の成長バッチにおいて、後述する本実施例と同様の成長条件で窒化アルミニウム単結晶層の成長を予め行い、窒化アルミニウム単結晶積層体をを取り出した。
次いで、気相成長装置から図1に示す成長部を取り外し、96%濃硫酸400ml、30%過酸化水素水100mlを混合した水溶液(洗浄媒体)に90℃で10分間浸漬した後、比抵抗が18.2MΩ・cm、総有機炭素量(TOC)が5ppbの超純水流水中(2L/min)にて7分間流水洗浄し、洗浄媒体成分を除去した。洗浄後、クリーンベンチ内において成長部部材を60分間静置乾燥した。
成長部部材が乾燥した後、成長部取り外し前と同じように各部材を設置し、次の窒化アルミニウム単結晶の成長の準備を行った。その後、気相成長装置内部に侵入した大気成分を除去するために、減圧とキャリアガスの充填を複数回繰り返して、気相成長装置内をパージした。
次に、成長部部材や気相成長装置内部に吸着した水分を除去するために空焼を行った。空焼では、気相成長装置内の各ガス供給管からキャリアガスを供給しながら高周波加熱コイルに電力を印加してサセプタを1500℃まで加熱し、成長部部材を前記サセプタからの輻射熱により加熱した。最高温度に達した状態で30分間保持した後、室温まで冷却した。
冷却後、次の窒化アルミニウム単結晶層を成長するための新たなベース基板をサセプタ上に設置した。ベース基板には直径25.4mmで厚さ500μmの昇華法で製造したc面窒化アルミニウム単結晶を使用した。次いで、気相成長装置内の各ガス供給管からキャリアガスを流通した状態で、サセプタおよび基板温度を1500℃に加熱した。到達後に、塩化アルミニウムガスと塩化水素ガスの混合ガスとをIII族源ガス供給ノズル(第一の原料ガス供給ノズル)を通じてベース基板上に供給した。さらに、窒素源ガス供給ノズル(第二の原料ガス供給ノズル)を通してアンモニアガスおよび塩化水素ガスを供給して、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層の成長を開始した。所定時間を経過後、塩化アルミニウムガス、塩化水素ガス、アンモニアガスの供給を停止し、室温まで冷却した。ベース基板中心位置における成長速度は55μm/hであり、6時間成長することによって膜厚330μmの窒化アルミニウム単結晶層を得た。
表1に示す洗浄媒体および洗浄方法で成長部部材のクリーニングを行った以外は、実施例1と同様にIII族窒化物単結晶層の成長を行った。
結果を表2に示す。
10 ベース基板
30 反応管
31 反応部反応域
32 サセプタ
33 保護部材
34 排気部
36 加熱手段
37 加熱手段
42 第一の原料ガス供給ノズル
45 第二の原料ガス供給ノズル
Claims (1)
- 原料ガスを供給する原料ガス供給口、基板を載置する基板保持台、該基板保持台を加熱することにより基板を加熱する加熱手段、及び原料ガス供給口、基板保持台及び加熱手段を収容する成長部を有し、前記原料ガスの反応により窒化アルミニウム単結晶の気相成長を行う気相成長装置において、
気相成長装置にて前記気相成長を行った後、該成長部を構成する部材を取り外し、取り外した部材を水溶液により洗浄し、前記反応の副生物である金属アルミニウム由来の析出物又は析出した窒化アルミニウムを除去することを特徴とし、
前記水溶液は、硫酸及び過酸化水素を含有し、
前記水溶液は、pHが2以下の酸性であり、
60℃以上180℃以下の温度で洗浄する気相成長装置の洗浄方法。
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