JP2010064911A - 突出部を有する構造体およびその製造方法 - Google Patents

突出部を有する構造体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ELO法に有用に使用できる構造体を容易に製造できる製法を提供する。
【解決手段】無機物質の単結晶よりなるベース基板7上に、窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部6を複数有する構造体の製造方法であって、ベース基板7の温度を920℃を超え1020℃未満とし、ベース基板7上に、ハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスを供給して窒化アルミニウム単結晶層を成長させた積層基板を製造した後、積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することにより、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部6であって、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ密度が20〜200個/μmとなる突出部6を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、新規な構造体およびその製造方法に関するものである。
窒化アルミニウムや窒化ガリウムといったIII族窒化物結晶は、大きなバンドギャップエネルギーを持つ。窒化アルミニウムのバンドギャップエネルギーは、6.2eV程度であり、窒化ガリウムのバンドギャップエネルギーは、3.4eV程度である。これらの混晶である窒化アルミニウムガリウムは、成分比に応じ窒化アルミニウムと窒化ガリウムのバンドギャップエネルギーの間のバンドギャップエネルギーをとる。したがって、これらAl系III族窒化物結晶を用いることにより、他の半導体では不可能な紫外領域の短波長発光が可能となり、白色光源用の紫外発光ダイオード、殺菌用の紫外発光ダイオード、高密度光ディスクメモリの読み書きに利用できるレーザー、通信用レーザーなどの発光光源が製造可能になる。さらに、電子の飽和ドリフト速度が高いことを利用して超高速電子移動トランジスタといった電子デバイスの製造や、負の電子親和力を利用してフィールドエミッタへの応用が可能である。
上記のような発光光源や電子デバイス等の機能を発現する部分は、基板上に数ミクロン以下の薄膜を積層して形成することで一般的に試みられている。この薄膜層は、公知の分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、金属有機気相エピタキシー(MOVPE:Metalorganic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法などの結晶成長法により形成される。
上記の発光機能を発現する積層構造を形成するための基板としては、上記のAl系III族窒化物結晶、特に窒化アルミニウム結晶からなる基板を用いることが望ましいと考えられる。なぜならば、窒化アルミニウムや窒化ガリウムといったIII族窒化物結晶の単体もしくは混晶を成長層として形成する際には、界面における格子不整合の影響や、成長時の温度履歴によって発生する応力の影響を最小限に抑えることが必要となる。そのため、Al系III族窒化物結晶からなる基板を用いることにより、成長層の転位密度や欠陥、およびクラックが低減し、発光効率が向上すると考えられるからである。また、成長層として紫外発光層を成長する場合においては、Al系III族窒化物結晶よりなる基板を用いることにより、基板部分のバンドギャップエネルギーが発光層のバンドギャップエネルギーより大きくなるため、発光した紫外光が基板で吸収されず、光の取り出し効率を高くすることができる。
上記のようなAl系III族窒化物結晶よりなる基板は、結晶成長速度が速い、高純度の結晶が得られるという点でHVPE法による開発が数多く成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの方法は、ベース基板上に、高品位なAl系III族窒化物の単結晶(窒化アルミニウム単結晶を含む)よりなる厚膜の成長層を形成する方法として、非常に有用なものである。
しかしながら、従来の方法では、直接ベース基板上にAl系III族窒化物の単結晶を成長した場合、界面における格子不整合により転位が導入され、高品位のAl系III族窒化物の単結晶が得られにくいという問題があった。
転位を低減する方法の一つとして、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法が知られている(特許文献3参照)。この方法は、結晶を横方向に成長させる方法である。例えば、ベース基板に人工的な凹凸構造を作製し、凸部(突出部)から優先的にIII族窒化物結晶が成長するように、物理的に成長領域を制限することにより、前記III族窒化物結晶の成長方向を基板に対して垂直方向から水平方向、すなわち横方向に変更させる手法である。この方法によると、ベース基板と成長層の間に生じる応力を緩和でき、クラック発生を抑制する効果も期待される。
ELO法において、上記の人工的な凹凸構造は、以下の方法で作製される。例えば、まずベース基板上にフォトレジストを塗布し、スピンコーターを用いてレジストを均一化する。これを任意のパターンを有する金属マスク用いて露光し、ポストベーキングする。ネガ型のレジストを用いる場合には、露光する前にプリベーキングも行う。続いて塩基性水溶液によるウェットエッチングを行うことによって、基板上にフォトレジストパターンを形成する。このレジストパターンを有する基板をプラズマ発生装置に設置し、プラズマによるドライエッチングを行いパターン開口部から基板を削る。最後に基板上のレジストパターンを有機溶媒によって基板上から除去する。このような方法により、ベース基板の表面に凹凸構造を有する構造体を製造することができる(ベース基板上に、突出部を有する構造体を製造することができる。)。
特開2003−303774号公報 特開2006−253462号公報 特開2002−16009号公報
ELO法は、成長層の転位密度を低減することができ、さらに、ベース基板と成長層との応力を緩和できるといった利点がある。しかしながら、従来の方法では、人工的な凹凸構造を形成する場合、フォトレジストを用いる必要があるため、不純物が混入する恐れがあるという点、気相成長法以外の装置を用いるため工程が長く煩雑でコスト高となるという点で改善の余地があった。
ELO法に使用する基板としては、上面が平面であり、かつ面方位の揃った突出部を有する単結晶基板(構造体)であれば、原理的に、該突出部上に成長層を形成することにより、横方向に単結晶を成長させることが可能であると考えられる。
したがって、本発明の目的は、フォトレジスト等を使用せずに、上面が平坦である突出物を複数有する、ELO法に使用できる基板(構造体)を製造する方法、および、該構造体を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねてきた。その結果、HVPE法により窒化アルミニウム単結晶層を成長させた際に、供給する原料ガスの条件(原料ガスの供給順)によって、ベース基板上に成長させた窒化アルミニウム単結晶の結晶性をより向上できることを見出した(特許文献2参照)。その際、該方法によれば窒化アルミニウム単結晶の極性を制御できることが判明したが、本発明者等は、より詳細な検討を重ねた結果、比較的低温の条件下で窒化アルミニウム単結晶層を成長させた際、特に成長初期の段階においては、該窒化アルミニウム単結晶層はアルミニウム極性と窒素極性が混在することを見出し、さらに、この窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することにより、平坦で特定の面積となる上面を有する突出部あって、かつ、その突出部が適度な間隔で複数存在する基板(構造体)を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、無機物質の単結晶よりなるベース基板上に、窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を複数有する構造体を製造する方法であって、該ベース基板の温度を920℃を超え1020℃未満とし、該ベース基板上にハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスを供給して、窒化アルミニウム単結晶層を該ベース基板上に成長させた積層基板を製造した後、該積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することにより、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部であって、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ、密度が20〜200個/μmとなる突出部を該ベース基板上に形成することを特徴とする構造体の製造方法である。
さらに、本発明は、上記突出部を有する構造体である。
なお、本発明において、上面の面積の範囲は、全ての突出部が上記範囲を満足する必要がある。また、密度は、上面の面積が上記範囲を満足する突出部が1μm当たりに存在する数を示すものである。
本発明によれば、ベース基板上に、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部であって、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ、密度が20〜200個/μmとなる突出部を有する構造体を製造することができる。この突出部の上面は平坦であり、かつ面方位が揃っており、この突出部を複数有する構造体は、ELO法の基板として使用可能であると考えられる。
さらに、本発明によれば、ELO法に適用するための基板加工で行なわれていた複雑な基板加工プロセス(例えば、フォトレジスト等を使用した基板加工)を経ることなく、簡単なエッチング操作のみで上記突出部を複数有する構造体を製造できる。そのため、ELO法に適用できる構造体の製造において、工程を簡略することができ、コストダウンに寄与する。また、本発明において、水素雰囲気下、1200〜1500℃の温度範囲にて窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去(エッチング処理)すれば、HVPE法でベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層を形成した装置内で上記構造体を製造することが可能となり、操作性が向上するだけでなく、構造体が汚染されないといった点でも優位になる。
さらに、本発明の構造体は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を複数有するものであるため、高温でも安定して用いることができる。
以下、本発明を発明の実施の形態に即して詳細に説明する。
本発明は、無機物質の単結晶よりなるベース基板上に、窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を複数有する構造体を製造する方法である。詳しくは、特定の温度範囲に制御した該ベース基板上に、ハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスを供給して、窒化アルミニウム単結晶層を該ベース基板上に成長させた積層基板を製造した後、該積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することにより、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を複数有する構造体を製造する方法である。
(ベース基板)
本発明において、上記ベース基板は、窒化アルミニウム単結晶層を成長できる公知の無機物質の単結晶を使用することできる。本発明においては、下記に詳述するハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスを原料ガスとしたHVPE法により窒化アルミニウム単結晶層をベース基板上に積層する。そのため、ベース基板の材質を具体的に例示すれば、サファイア、シリコンカーバイド、またはシリコンが挙げられる。中でも、高温における耐久性、得られる構造体そのものを発光素子に使用する場合の光透過性を考慮すると、ベース基板は、サファイア基板であることが好ましい。また、ベース基板の厚みは、特に制限されるものではなく、通常50〜500μmである。
(ハロゲン化アルミニウムガス、窒素源ガス)
本発明においては、上記ベース基板上に、原料ガスとしてハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスを供給するHVPE法によって、該ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層を成長させる。本発明は、HVPE法を採用することにより良好な結果が得られる。前記ハロゲン化アルミニウムガスとしては、一塩化アルミニウムガス、三塩化アルミニウムガスなどの塩化アルミニウムガスが用いられる。これらハロゲン化アルミニウムガスは、特開2003−303774号公報(特許文献1)に記載の方法により発生させることができる。また、窒素源ガスとしては、窒素を含有する反応性ガスを用いられるが、中でも、コストと取り扱い易さの点で、アンモニアガスを用いることが好ましい。
(積層基板の製造方法、装置、条件、積層基板の厚み)
これら原料ガスを使用して、HVPE法によりベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層を積層する方法(積層基板を製造する方法)を、図1を用いて説明する。なお、本発明においては、図1に示すような縦型構造のHVPE装置により詳細を説明するが、本発明の方法は、このような構造の装置に限られるものではない。
図1はHVPE装置断面の一例であり、縦型の反応管1の上部より原料であるハロゲン化アルミニウムガスおよび窒素源ガスが、反応管内に設置したベース基板4にキャリアガスと共に供給される。ここで用いる反応管1の材質は、石英ガラスであることが好ましい。キャリアガスは、ガスを一方向に流すために常に反応管内に流れている。キャリアガスの種類としては、水素、窒素、ヘリウムまたはアルゴンの単体ガス、もしくはそれらの混合ガスが使用可能であり、あらかじめ精製器を用いて酸素、水蒸気、一酸化炭素あるいは二酸化炭素等の不純物ガス成分を除去しておくことが望ましい。
本発明において、図1に示す装置を使用した場合、反応管1の所定の位置に、ベース基板4を保持するためのサセプタ3を設置し、窒化アルミニウム単結晶を成長させるべく、ベース基板4をサセプタ3上に設置する。この際、そのままベース基板4を加熱し、原料ガスを供給して、ベース基板4上に窒化アルミニウム単結晶層を形成することも可能であるが、高品質な窒化アルミニウム単結晶層を形成するためには、ベース基板4をサーマルクリーニングすることが好ましい。このサーマルクリーニングは、加熱装置2によりベース基板4を加熱することにより実施する。この加熱装置2の加熱する方式は、特に制限されるものではなく、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式あるいは光加熱方式などを用いることができる。
サーマルクリーニングの詳細な条件は、反応管や基板の形状、キャリアガスと原料ガスとの組成比等によって異なるため、その装置等にあった条件を適宜選択してやればよい。一般的には、水素ガスが存在する雰囲気下でベース基板4の温度を1050℃以上1200℃以下とで行われるが、この限りではない。また、サーマルクリーニングの時間は、上記条件であれば10分程度で十分である。
本発明においては、次いで、ベース基板4の温度を920℃を超え1020℃未満の範囲に制御し、ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスをベース基板上に供給することによって、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層を成長させた積層基板を製造する。
原料ガスを供給するベース基板4の温度は、前記の通り、920℃を超え1020℃未満の範囲に制御しなければならない。ベース基板の温度が上記範囲を満足することにより、該ベース基板上に成長した窒化アルミニウム単結晶層は、アルミニウム極性、および窒素極性を有する窒化アルムニウム単結晶の混合層とすることができる(これら極性については後で説明する。)。そして、ベース基板上に上記混合層が積層された積層基板を下記に詳述する方法で処理することにより、窒素極性よりなる窒化アルミニウム単結晶部分のみを選択的に容易に除去することができる。その結果、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなり、上面が平坦で面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ密度が20〜200個/μmとなる突出部を有する構造体を製造することができる。下記の比較例に示すが、ベース基板の温度が920℃以下の場合、積層した窒化アルミニウム単結晶層の大部分が窒素極性を有するものとなり、エッチング処理によって、突出部の上面が平坦とならない(上面の面積が下記に詳述する範囲とならない)構造体となる(図5参照)。一方、ベース基板の温度が1020℃以上の場合、積層した窒化アルミニウム単結晶層の大部分がアルミニウム極性を有するものとなるため、エッチング処理(水素雰囲気下によるエッチング処理を含む)を行っても、上記密度を満たす突出部が存在しない構造体となる(図6参照)。上面が平坦な突出部のばらつきが少なく、より適度な間隔で該突出部が存在する構造体とするためには、原料ガスを供給するベース基板の温度は、好ましくは940℃以上1010℃以下、さらに好ましくは960℃以上1000℃以下、最も好ましくは970℃以上1000℃以下の範囲である。
本発明において、積層基板を製造するその他の条件は、特に制限されるものではなく、窒化アルミニウム単結晶層を成長できる条件を採用してやればよい。
先ず、原料ガスの供給方法、供給量等について説明する。上記温度範囲に制御したベース基板上に、原料ガスを供給する方法は、窒素源ガスおよびハロゲン化アルミニウムガスを同時に供給する方法、窒素源ガスを先に供給した後、ハロゲン化アルミニウムガスを供給する方法、または、ハロゲン化アルミニウムガスを先に供給した後、窒素源ガスを供給する方法を挙げることができる。これらの中でも、最終的に得られる構造体において、結晶性のよい突出部を形成するためには、ハロゲン化アルミニウムガスを先に供給した後、窒素源ガスを供給する方法を採用することが好ましい。なお、この場合、先行して供給するハロゲン化アルミニウムガスの供給量は、使用する装置、ベース基板の大きさ等により適宜決定してやればよい。
また、ハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスの供給量は、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層が成長できる範囲で適宜決定してやればよい。具体的には、ベース基板上に供給される全ガス(キャリアガス、ハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガス)の標準状態における体積の合計に対するハロゲン化アルミニウムガスの標準状態における体積の割合を、ハロゲン化アルミニウムガスの供給分圧として定義すると、1.0×10−5〜5.0×10−2atmの範囲とすることが好ましい。また、窒素源ガスの供給量は、上記ハロゲン化アルミニウムガスの0.1〜200倍とすることが好ましい。さらに、窒化アルミニウム単結晶層を成長させる速度は、安定した生産を考慮すると1.0〜200μm/hの範囲に設定することが好ましい。
本発明において、積層基板を製造する際の装置内の圧力は、装置の構造、原料ガスの種類、供給量、ベース基板の大きさ、所望とする窒化アルミニウム単結晶層の厚み等の条件に応じて、窒化アルミニウム単結晶層が成長する条件を適宜選定してやればよい。中でも、より結晶性がよく、適度な間隔を有すると突出部を形成するためには、装置内(反応系内)の全圧を0.1〜1.0atmとすることが好ましい。
本発明において、上記条件により形成された積層基板は、特に制限されるものではないが、窒化アルミニウム単結晶層の厚みを50〜200nmの範囲とすることが好ましい。窒化アルミニウム単結晶の厚みが上記範囲を満足することにより、突出部の上面の平滑性がよくなる(突出部の上面の平滑性が窒化アルミニウム単結晶層の平滑性とほぼ同じものとなる)。さらに、窒化アルミニウム単結晶層の厚みが上記範囲を満足することにより、上面の面積および密度が上記範囲を満足する突出部を、下記に詳述するエッチング処理(水素雰囲気下によるエッチング処理も含む)により容易に製造することができる。突出部の上面の平滑性、構造体の生産性を考慮すると、積層基板における窒化アルミニウム単結晶層の厚みは、好ましくは50〜150nm、より好ましくは60〜120nmである。
本発明においては、窒化アルミニウム単結晶層をベース基板上に積層した後、ハロゲン化アルミニウムガスの供給を停止する。窒素源ガスは、積層した窒化アルミニウム単結晶層の分解を防ぐために供給し続けることが好ましい。続いて、本発明においては、得られた窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性の部分のみを選択的に除去することにより、アルミニウム極性を有し、かつ上面が平坦な単結晶窒化アルミニウム突出部を有する構造体とする。窒素極性の部分を除去する方法は、下記に詳述するが、塩基性水溶液でエッチング処理する方法、水素雰囲気下で積層基板を特定の温度に保持することによりエッチング処理する方法を採用することが好ましい。塩基性水溶液でエッチング処理する場合には、積層基板の温度を室温まで下げてから、積層基板をHVPE装置より取り出す。一方、水素雰囲気下でエッチング処理する場合には、HVPE装置内で積層基板をエッチング処理が可能な温度に制御する。エッチングの方法について説明する前に、先ず、窒化アルミニウム単結晶の極性について説明する。
(極性について)
窒素極性、アルミニウム極性とは、特開2006−253462号公報(特許文献2)に記載されている通り、原子配列の方向性を示すものである。窒化アルミニウム単結晶は、六方晶系のウルツ鉱型構造をとる。ウルツ鉱型構造ではc軸方向に関して対象面がなく、結晶には表裏の関係が生じる。アルミニウム原子に注目した場合、アルミニウム原子から垂直上側に窒素原子を配置する結晶をアルミニウム極性という。反対に窒素原子から垂直上側にアルミニウム原子を配置する結晶を窒素極性という。
この極性は、通常、水酸化カリウム水溶液を用いたエッチング処理によって判定することができる。この判定については、MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor Research,7(2002) 1(以下、これを非特許文献とする)、特開2006−253462号公報(特許文献2)等に記載されている。本発明において、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶とは、50℃に加熱された50質量%濃度の水酸化カリウム水溶液に溶解するものであり、一方、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶とは、該水酸化カリウム水溶液に溶解しないものとする。そのため、得られた構造体がアルミニウム極性を有する突出部を有するかどうかの判断は、上記水酸化カリウム水溶液に構造体を浸漬し、浸漬前と浸漬後の構造体の形態を電子顕微鏡観察し比較することで行うことができる。
本発明の方法は、窒化アルミニウム単結晶の結晶構造の違いにより生じる、エッチング速度の違いを利用することが好ましい。上記の非特許文献、および特許文献2に記載されている通り、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶は、アルミニウム極性を有する単結晶よりもエッチング速度が速いため、除去し易い。上記の非特許文献、および特許文献2には、極性の状態を確認することは記載されているが、本発明のような構造体を製造することは記載されていない。本発明の方法により得られる構造体は、適度な間隔を有する、上面が平坦な突出部が存在するものであり、このような構造体は従来の技術では知られていない。
次に、上記積層基板からこの窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去する方法について説明する。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去について)
本発明の方法によれば、ベース基板の温度を特定の温度範囲に制御して窒化アルミニウム単結晶層を成長させているため、該窒化アルミニウム単結晶層は、窒素極性、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶の混合層となっている。そのため、窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することにより、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部であって、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ、密度が20〜200個/μmとなる平坦な突出部を容易に該ベース基板上に形成できる。この上面の面積の範囲と密度は、積層基板を製造する際の条件に大きく依存し、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去する方法によって調整することができる。
上記の通り、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりもエッチング等により除去し易い。そのため、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶層を除去する方法は、前記の通り、エッチング処理を利用した方法を採用することが好ましい。以下に、好適なエッチング方法について説明する。
(塩基性水溶液を使用するエッチング処理)
窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶は、塩基性水溶液に溶解し易い。この性質を利用して、上記積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶層を除去することができる。
塩基性水溶液を使用した場合、具体的には、先ず、積層基板を装置から取り出し、該積層基板を塩基性水溶液と接触させればよい。使用する塩基性水溶液としては、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶層を溶解できるものであれば特に制限されるものでなく、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水溶液が挙げられる。
また、塩基性水溶液は、使用する塩基、窒化アルミニウム単結晶層の厚み、大きさ等に応じて適宜決定してやればよいが、1〜60質量%の塩基の濃度のものを使用することが好ましい。
本発明において、塩基性水溶液と積層基板とを接触させる方法は、特に制限されるものではなく、積層基板を塩基性水溶液に浸漬させる方法、窒化アルミニウム単結晶層に塩基性水溶液を塗布する方法等が挙げられる。中でも、操作性を考慮すると、積層基板を塩基性水溶液に浸漬させる方法を採用することが好ましい。浸漬させる場合、その処理時間は、使用するベース基板、窒化アルミニウム単結晶層の厚み、大きさ、使用する塩基性水溶液の濃度等に応じて適宜決定してやればよいが、室温(23℃)において、10秒から10分程度であれば十分である。特に、50質量%水酸化カリウム水溶液を使用する場合には、室温(23℃)において、30秒から5分の処理時間で十分である。なお、塩基性水溶液でエッチング処理して得られる構造体は、超純水等で洗浄してやればよい。
以上のような方法により積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することができる。そして、突出部がアルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶からなり、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ、密度が20〜200個/μmを満足する突出部を有する構造体を製造することができる。本発明においては、窒化アルミニウム単結晶層を成長させる際、ベース基板の温度を上記の特定の範囲に制御しているため、上記のエッチング処理により窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去するだけで、ベース基板上に上記突出部を複数形成することができる。
(水素雰囲気下、1200℃以上1500℃以下の温度で積層基板を保持する方法)
上記の通り、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶層は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりも溶解や分解し易い。そのため、水素雰囲気下で1200℃以上1500℃以下の温度範囲下に積層基板を保持することにより、窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することができる。この方法によれば、上記方法により得られた積層基板をそのまま装置内で処理することができる。
具体的には、積層基板を製造後、装置から取り出すことなく、窒素源ガスを流通した状態で積層基板を1200℃以上1500℃以下の温度範囲に保持する。積層基板が上記温度範囲に到達した後、窒素源ガスの供給を停止し、水素ガスを供給してエッチングを開始する。この温度領域では、窒素極性の部分がアルミニウム極性の部分よりも水素雰囲気下での分解速度が速いため、窒素極性を選択的に分解することができる。そして、突出部がアルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶からなり、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ、密度が20〜200個/μmを満足する突出部を形成した構造体を製造することができる。
積層基板の温度が1200℃未満の場合、Journal of Crystal Growth,305(2007)366、に記載されている通り、アルミニウム極性と窒素極性のエッチング速度が同程度となり極性の選択的なエッチングができない傾向にある。一方、1500℃を超える温度では、窒化アルミニウム単結晶の絶対的な分解速度が速いため、エッチングの制御が困難となる傾向にある。窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶層を除去し、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を適度な間隔で形成するためには、水素雰囲気下での積層基板の温度は、好ましくは1300℃以上1450℃以下、より好ましくは1350℃以上1450℃以下とする。
また、水素雰囲気下、上記温度範囲で積層基板を保持する時間は、積層基板の温度、窒化アルミニウム単結晶の厚み等に応じて適宜決定してやればよいが、通常、5分から60分である。なお、このエッチング処理が終了した後は、窒素源ガスを装置内に流通させ、基板(構造体)の温度を室温まで下げてから、構造体を反応管より取り出せばよい。このように水素雰囲気下によるエッチング処理では、同一の反応管内で窒化アルミニウムの成長とエッチングを行うことができ、工程がより簡略化できる。
上記の方法により積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することができ、本発明の構造体を製造することができる。
(構造体)
本発明の方法によれば、無機物質の単結晶よりなるベース基板上に、複数の突出部を有する構造体であって、該突出部がアルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなり、該突出部の上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ、密度が20〜200個/μmを満足する構造体を製造することができる。
なお、この突出部の上面の面積は、下記の実施例で詳述する方法で算出した値であり、全ての突出部の上面の面積が上記範囲を満足し(突出部の上面の面積の最小値と最大値が上記範囲を満足し)、かつ該突出部の密度が上記範囲を満足するものであり、上面の面積の範囲が狭く、密度が高いほど、ばらつきの少ない突出部となる。そのため、本発明の構造体は、好ましくは該面積範囲が5.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ該密度が50個〜200個/μmであり、さらに好ましくは該面積範囲が8.0×10−4〜9.0×10−2μmであり、かつ該密度が100個〜200個/μmである。この上面の面積の範囲と密度は、上記の通り、積層基板を製造する際の条件、および窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去する条件により調整することができる。
本発明の構造体は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部であって、かつ、該突出部の上面の面積が上記範囲を満足することにより、適度な間隔を有する突出部が形成された構造体となる(図2、図3、図4参照)。そのため、該構造体は、ELO法に使用する基板として有用なものとなる。
また、上記方法により窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去した構造体の突出部の高さ(ベース基板表面から突出部の上面までの高さ)は、積層基板における窒化アルミニウム単結晶層の厚みとほぼ同等のものとなる。そして、突出部の上面は、窒化アルミニウム単結晶層の平滑性をそのまま引き継ぐことができる。つまり、特開2006−253462号公報(特許文献2)にも記載されている通り、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶は平坦であるため、該突出部の上面は平坦なものとすることができる。そのため、突出部の高さは、好ましくは50〜200nmであり、より好ましくは50〜150nm、さらに好ましくは60〜120nmである。
(構造体の確認方法)
本発明の構造体において、突出部が窒化アルミニウム単結晶よりなることは、XRDのθ−2θ測定により確認できる。θ−2θ測定とは、サンプルに対するX線の入射角をθとしたとき、2θの位置にディテクターを固定して回折を測定する測定法である。一般的には2θを10〜100°のの範囲でX線回折プロファイルを測定するものであり、窒化アルミニウムの場合であれば36.039°付近の(002)面と、76.439°付近の(004)面のみが観測されれば、得られた窒化アルミニウムは単結晶と判断することができる。
また、突出部が窒化アルミニウム単結晶であって、該単結晶がアルミニウム極性を有するかどうかは、上記に示した通り、下記の実施例で示す50℃に加熱した50質量%の水酸化カリウム水溶液に浸漬させる方法により判定することができる。
さらに、本発明の構造体において、突出部の上面の面積および密度は、下記の実施例に示す画像解析によって評価したものである。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
(積層基板の製造)
積層基板の製造は図1の模式図で示す反応管1を用いた。抵抗加熱装置2の上部にカーボンサセプタ3を設置し、さらにその上に、厚み430μm、1×1cmの(001)面のサファイア基板4を設置した。系内の圧力は常に0.26atmとした。昇温開始時、ノズル5からキャリアガスとして窒素ガス4500sccmを流通させ、ベース基板の温度が1050℃に達したところでキャリアガスを窒素ガス2250sccm、水素ガス2250sccmとし、サーマルクリーニングを10分間行った。1sccmとは、対象となるガスを標準状態の体積に換算した場合に、1分間に1cc流れることを意味する。
次いで、キャリアガスは上記流量で流したまま、ベース基板の温度を1000℃とし、原料ガスとして三塩化アルミニウムガスを投入し、1分後にアンモニアガスを投入し、窒化アルミニウム単結晶層の成長を開始した。三塩化アルミニウムガス、アンモニアガスの分圧はそれぞれ5.8×10−5atm、4.7×10−4atmとした。この状態で30秒保持してサファイア基板上に窒化アルミニウム単結晶層を成長させた(積層基板を製造した。)。積層基板の断面を電界放射型走査型電子顕微鏡により確認した結果、窒化アルミニウム単結晶層の厚みは100nmであった。
成長を行った後(積層基板を製造した後)、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、キャリアガスについては、水素ガスの供給を停止し、窒素ガスのみを4500sccmの流量で供給し、加熱装置2の降温を開始した。降温時、ベース基板上に成長させた窒化アルミニウム単結晶の分解を防ぐため、積層基板の温度が800℃に下がるまで上記の条件でアンモニアガスを反応管1に流通させた。加熱装置2の温度が室温付近まで下がったことを確認して、反応管1から積層基板を取り出した。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去)
続いて、得られた積層基板を塩基性水溶液によりエッチング処理した。エッチング処理の条件は、上記積層基板を50重量%水酸化カリウム水溶液に室温にて2分間浸漬させ、窒化アルミニウム単結晶の窒素極性部分をエッチングした。エッチング処理終了後、超純水洗浄により得られた構造体を洗浄した。
(構造体の評価)
洗浄後、乾燥させた構造体において、窒化アルミニウム単結晶層を成長させた側をXRDのθ−2θ測定した結果、窒化アルミニウム単結晶の(002)面および(004)面のピークのみが観測された。上記構造体は、窒化アルミニウム単結晶が成長していることが確認された。
また、この構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により断面観察した結果、サファイア基板上に図2、3のような上面が平坦である、突出部を有する構造体が確認でき、その突出部の高さは約100nmであった。該突出部上面の面積および突出部の密度は、電界放射型走査型電子顕微鏡によって、構造体の窒化アルミニウム単結晶層を成長させた側を上から見た写真(図4参照)を画像解析することにより評価した。この写真の倍率は5万倍である。突出部上面の面積は、突出部上面に引くことのできる一番長い線分を直径とする円の面積で近似した値とし、該密度は同写真中に観察される突出部構造体の数を測定し、その数を観察面積で割った値とした。その結果、該面積は、最小のものが1.1×10−3μmであり、最大のものが8.3×10−2μmと計算された。該密度は169個/μmと計算された。
さらに、この構造体の突出部の極性判定を行った。得られた構造体を50重量%水酸化カリウム水溶液に50℃にて1分間浸漬し、超純粋で洗浄し、これを電界放射型走査型電子顕微鏡によって観察した。極性判定エッチング処理の前後で構造体の形態、構造体突出部上面の面積および該突出部の密度に変化が見られなかったため、この構造体は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部が複数形成されたものであることが確認された。
図2、図3、図4に示す通り、得られた構造体は、適度な間隔を有する複数の突出部が形成された構造体であるため、ELO法に使用する基板として有用なものである。
実施例2
(積層基板の製造)
実施例1において、ベース基板の温度を980℃として窒化アルミニウム単結晶層を成長させた。それ以外の条件は実施例1と全て同じにして積層基板を製造した。積層基板における窒化アルミニウム単結晶層の厚みは100nmであった。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去)
得られた積層基板を実施例1と同様にしてエッチング処理して構造体を製造した。
(構造体の評価)
この構造体を実施例1と同様の方法で評価した。その結果、XRDのθ−2θ測定により、構造体の窒化アルミニウム単結晶層を成長させた側は、実施例1と同じ結果であり、窒化アルミニウム単結晶であることを確認した。また、この構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により断面観察した結果、構造体の突出部の高さは約100nmであった。実施例1と同じく、同顕微鏡により、構造体の窒化アルミニウムを成長させた側を真上から観察した結果、構造体突出部上面の面積は、最小のものが8.3×10−4μmであり、最大のものが7.5×10−2μmと計算された。該突出部の密度は139個/μmと計算された。
さらに、実施例1と同様の方法で構造体の極性判定を行った結果、極性判定前後の構造体の形態に変化がないことから、この突出部は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなることが確認された。
得られた構造体は、適度な間隔を有する複数の突出部が形成された構造体であるため、ELO法に使用する基板として有用なものである。
実施例3
(積層基板の製造)
実施例1において、ベース基板の温度を960℃として窒化アルミニウム単結晶層を成長させた。それ以外の条件は実施例1と全て同じにして積層基板を製造した。積層基板における窒化アルミニウム単結晶層の厚みは100nmであった。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去)
得られた積層基板を実施例1と同様にしてエッチング処理して構造体を製造した。
(構造体の評価)
この構造体を実施例1と同様の方法で評価した。その結果、XRDのθ−2θ測定により、構造体の窒化アルミニウム単結晶層を成長させた側は、実施例1と同じ結果であり、窒化アルミニウム単結晶であることを確認した。この構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により断面観察した結果、構造体の突出部の高さは約100nmであった。実施例1と同じく、同顕微鏡により、構造体の窒化アルミニウムを成長させた側を真上から観察した結果、構造体突出部上面の面積は、最小のものが6.7×10−4μmであり、最大のものが2.5×10−2μmと計算された。該突出部の密度は57個/μmと計算された。
さらに、実施例1と同様の方法で構造体の極性判定を行った結果、極性判定前後の構造体の形態に変化がないことから、この突出部は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなることが確認された。
得られた構造体は、適度な間隔を有する複数の突出部が形成された構造体であるため、ELO法に使用する基板として有用なものである。
実施例4
(積層基板の製造)
実施例1と同様の方法で窒化アルミニウムを成長させた(積層基板を製造した。)。以下、水素雰囲気下のエッチング処理が終了するまで、キャリアガスを窒素ガス2250sccm、水素ガス2250sccmとした。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去)
窒化アルミニウムを成長させた後(積層基板を製造した後)、キャリアガスは上記条件のまま流通させ、三塩化アルミニウムガスの供給を停止した。また、ベース基板上に成長させた窒化アルミニウム単結晶層の分解を防ぐため、アンモニアガスを分圧1.8×10−5atmで反応管に流通し、次いで、積層基板の温度を1400℃とした。積層基板の温度が1400℃に達したところで、キャリアガスを上記条件のまま流通させ、アンモニアガスの供給を停止し、10分間キープした(構造体を製造した。)。10分経過したところで、キャリアガスの水素ガスの供給を停止し、窒素ガスのみを4500sccmの流量で供給し、加熱装置2の降温を開始した。この降温時には、得られた構造体上の窒化アルミニウムの分解を防ぐため、構造体の温度が800℃に下がるまでアンモニアガスを分圧1.8×10−5atmで反応管1に流通させた。
(構造体の評価)
得られた構造体を実施例1と同様の方法で評価した。その結果、XRDのθ−2θ測定により、構造体の窒化アルミニウム単結晶層を成長させた側は、実施例1と同じ結果であり、窒化アルミニウム単結晶であることを確認した。また、電界放射型走査型電子顕微鏡観察により、該構造体の窒化アルミニウムを成長させた側には、上面が平坦である複数の突出部が確認でき、その突出部の高さが約70nmであることが確認された。実施例1と同じく、突出部の上面の面積、密度を確認したところ、該構造体において、突出部上面の面積は、最小のものが9.2×10−4μmであり、最大のものが8.1×10−2μmと計算された。また、該突出部の密度は117個/μmと計算された。
さらに、実施例1と同様の方法で構造体の極性判定を行った結果、極性判定前後の構造体の形態に変化がないことから、この突出部は、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなることが確認された。
この得られた構造体は、実施例1と同様に、適度な間隔を有する複数の突出部が形成された構造体であるため、ELO法に使用する基板として有用なものである。
比較例1
(積層基板の製造)
実施例1において、ベース基板の温度を920℃として窒化アルミニウム単結晶層を成長させた。それ以外の条件は実施例1と全て同じにして積層基板を製造した。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去)
得られた積層基板を実施例1と同様にしてエッチング処理して構造体を製造した。
(構造体の評価)
この構造体の窒化アルミニウム単結晶層を成長させた側を電界放射型走査型電子顕微鏡により観察した結果、構造体は図5のように、ベース基板上には上面が平坦とならない突出部(上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmを満足しない突出部)を有する構造体が得られた。
比較例2
(積層基板の製造)
実施例1において、ベース基板の温度を1020℃として窒化アルミニウム単結晶層を成長させた。それ以外の条件は実施例1と全て同じにして積層基板を製造した。
(窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶の除去)
得られた積層基板を実施例1と同様にしてエッチング処理して構造体を製造した。
(構造体の評価)
この構造体の窒化アルミニウムを成長させた側を電界放射型走査型電子顕微鏡により観察した結果、図6のように突出部が存在しない構造体であることが確認された。
本図は、本発明に使用する装置の概略図である。 本図は、実施例1で得られた構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により横から見た写真である。 本図は、実施例1で得られた構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により斜め上から見た写真である。 本図は、実施例1で得られた構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により上から見た写真である。 本図は、比較例1で得られた構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により斜め上から見た写真である。 本図は、比較例2で得られた構造体を電界放射型走査型電子顕微鏡により斜め上から見た写真である。
符号の説明
1 反応管
2 加熱装置
3 サセプタ
4 ベース基板
5 原料供給ノズル
6 突出部
7 ベース基板

Claims (4)

  1. 無機物質の単結晶よりなるベース基板上に、窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を複数有する構造体の製造方法であって、該ベース基板の温度を920℃を超え1020℃未満とし、該ベース基板上にハロゲン化アルミニウムガス、および窒素源ガスを供給して、窒化アルミニウム単結晶層を該ベース基板上に成長させた積層基板を製造した後、該積層基板の窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することにより、アルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部であって、上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ密度が20〜200個/μmとなる突出部を該ベース基板上に形成することを特徴とする構造体の製造方法。
  2. 前記積層基板を塩基性水溶液でエッチング処理することにより、前記窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することを特徴とする請求項1に記載の構造体の製造方法。
  3. 水素雰囲気下、前記積層基板を1200℃以上1500℃以下の温度範囲に保持することにより、前記窒化アルミニウム単結晶層から窒素極性を有する窒化アルミニウム単結晶を除去することを特徴とする請求項1に記載の構造体の製造方法。
  4. 無機物質の単結晶よりなるベース基板上に、窒化アルミニウム単結晶よりなる突出部を複数有する構造体であって、該突出部がアルミニウム極性を有する窒化アルミニウム単結晶よりなり、該突出部の上面の面積が1.0×10−4〜1.0×10−1μmであり、かつ該突出部の密度が20〜200個/μmであることを特徴とする構造体。
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