JP2005343704A - AlxGayIn1−x−yN結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 クラックの発生を低減したAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスを提供する。
【解決手段】 ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によってGaN結晶基板の表面上にAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる工程と、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の成長時におけるGaN結晶基板の温度を800℃以上1200℃以下とした状態でGaN結晶基板をエッチングにより除去する工程とを含むAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスである。
【選択図】 図1
【解決手段】 ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によってGaN結晶基板の表面上にAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる工程と、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の成長時におけるGaN結晶基板の温度を800℃以上1200℃以下とした状態でGaN結晶基板をエッチングにより除去する工程とを含むAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法、その製造方法を用いて得られるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスに関する。
AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の中でもAlN結晶(窒化アルミニウム結晶)は、6.2eVのエネルギバンドギャップ、約3.3WK-1cm-1の熱伝導率および高い電気抵抗を有しているため、光デバイスや電子デバイスなどの基板材料として注目されている。
このAlN結晶の従来の製造方法としては、たとえば、非特許文献1に開示されているようなHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法を用いる方法がある。非特許文献1には、HVPE法によりシリコン結晶基板や炭化シリコン結晶基板の表面上に成長させたAlN結晶を基板として用いて、そのAlN結晶基板上にAlN結晶をホモエピタキシャル成長させる方法が開示されている。しかしながら、この方法において成長したAlN結晶の(0002)面のX線ロッキングカーブの半値幅は約700秒であって結晶性が良好でないという問題があった。これは、シリコン結晶基板および炭化シリコン結晶基板の格子定数と、AlN結晶の格子定数とに大きな差があるためであると考えられる。すなわち、この格子定数の差により、シリコン結晶基板や炭化シリコン結晶基板の表面上に成長したAlN結晶の結晶性が悪くなるため、結晶性の悪いAlN結晶基板の表面上にホモエピタキシャル成長したAlN結晶の結晶性も悪くなる。
そこで、AlN結晶の結晶性の向上の観点からは、AlN結晶と格子定数の差が小さいGaN結晶からなる窒化ガリウム結晶基板(GaN結晶基板)の表面上にAlN結晶を成長させることが考えられる。
図3に、この従来のGaN結晶基板を用いたAlN結晶の製造方法に用いられる製造装置の一例の模式的な構成を示す。この製造装置は、石英反応管1と、石英反応管1の内部にガスを導入するためのガス導入管2、3と、石英反応管1の外側に設置されている加熱ヒータ4、5と、石英反応管1に連結されている排ガス処理装置7とを含む。
この石英反応管1の内部にGaN結晶基板6を設置し、キャリアガス(N2、ArまたはH2など)、塩化アルミニウムガス(AlClまたはAlCl3)およびアンモニアガス(NH3)をガス導入管2、3を通して石英反応管1の内部に導入しながら、加熱ヒータ4、5によって約1000℃にGaN結晶基板6を加熱する。これにより、塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとが反応し、GaN結晶基板6の表面上にAlN結晶9が成長する。AlN結晶9の成長後は、加熱ヒータ4、5による加熱を中止し、AlN結晶9およびGaN結晶基板6の温度を室温程度まで降下させる。その後、AlN結晶9およびGaN結晶基板6を石英反応管1から取り出し、GaN結晶基板6を研削によって除去することでAlN結晶9が製造される。
Yu.Melnik et al., "AlN substrates: fabrication via vapor phase growth and characterization", phys. stat. sol. (a)200, No.1(2003), pp.22-25
Yu.Melnik et al., "AlN substrates: fabrication via vapor phase growth and characterization", phys. stat. sol. (a)200, No.1(2003), pp.22-25
しかしながら、この従来のAlN結晶の製造方法においては、AlN結晶9とGaN結晶基板6との熱膨張係数差が約35%と大きいため、AlN結晶9およびGaN結晶基板6の温度の降下時にこれらの界面付近で大きな熱応力が発生する。これにより、図4の模式的側面図に示すように、AlN結晶9およびGaN結晶基板6に反りが生じてしまい、AlN結晶9にクラックが発生することがあった。
本発明の目的は、クラックの発生を低減したAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法、その製造方法を用いて得られるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスを提供することにある。
本発明は、ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によってGaN結晶基板の表面上にAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる工程と、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の成長時におけるGaN結晶基板の温度を800℃以上1200℃以下とした状態でGaN結晶基板をエッチングにより除去する工程と、を含む、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法である。ここで、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶は、アルミニウム(Al)を含む窒化物結晶のことであり、アルミニウムおよび窒素に加えて、ガリウム(Ga)および/またはインジウム(In)を含んでいてもよい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法において、GaN結晶基板をエッチングにより除去する工程は、GaN結晶基板にエッチングガスを接触させることによって行なわれることが好ましい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、エッチングガスが、塩素ガスおよび塩化水素ガスの少なくとも一方からなることが好ましい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、GaN結晶基板が、六方晶のGaN結晶からなることが好ましい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、GaN結晶基板の(0001)面上にAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることが好ましい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、ハロゲン化アルミニウムガスが、AlClおよびAlCl3の少なくとも一方であることが好ましい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、不純物濃度が1×1018cm-3以下であるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることができる。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、n型不純物がドーピングされたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることができる。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、n型不純物が、酸素およびシリコンの少なくとも一方であることが好ましい。
また、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法においては、200μm以上の厚みのAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることができる。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法により得られたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶からなるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板の表面上に、ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によってAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶をホモエピタキシャル成長させるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法である。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法により得られたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶からなる、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板である。
さらに、本発明は、上記のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板を含有する半導体デバイスである。
本発明によれば、クラックの発生を低減したAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法、その製造方法を用いて得られるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスを提供することができる。
以下、本発明の一例としてGaN結晶基板の表面上にAlN結晶を製造する場合について説明する。なお、本願の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1に、本発明のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法に用いられる製造装置の好ましい一例の模式的な構成を示す。図1に示す製造装置は、反応容器としての石英反応管1と、石英反応管1の内部にガスを導入するためのガス導入管2、3と、石英反応管1の外側に設置されている加熱ヒータ4、5と、石英反応管1に連結されている排ガス処理装置7とを含み、さらにエッチングガスを石英反応管1の内部に導入するためのガス導入管8とを備えていることに特徴がある。
このような構成の製造装置の石英反応管1の内部にGaN結晶基板6が設置される。ここで、このGaN結晶基板6は六方晶のGaN結晶からなり、GaN結晶基板6の表面は(0001)面からなることが好ましい。特に、六方晶のGaN結晶と六方晶のAlN結晶のa軸の格子定数はほぼ同一であるので、六方晶のGaN結晶からなるGaN結晶基板6の(0001)面上に六方晶のAlN結晶を成長させることによって、歪みが少なく結晶性の高いAlN結晶を製造することができる傾向にある。
そして、ガス導入管2、3を通して石英反応管1の内部にキャリアガスを導入しながら加熱ヒータ4、5により加熱してGaN結晶基板6の表面温度を900℃〜1100℃に上昇させる。ここで、キャリアガスとしては、たとえばN2、ArおよびH2からなる群のうち少なくとも1種類のガスを用いることができる。
GaN結晶基板6の表面温度を上昇させた後、ガス導入管3を通してたとえばハロゲン化アルミニウムガスとしてのAlClおよびAlCl3の少なくとも一方のガスを導入し、ガス導入管2を通してアンモニアガスをそれぞれキャリアガスとともに石英反応管1の内部に導入する。そして、ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスが上記のように加熱されたGaN結晶基板6の表面に到達し、原料ガスの反応(たとえば、3AlCl+NH3→3AlN+3HCl、AlCl3+NH3→AlN+3HCl)によってGaN結晶基板6の表面上にAlN結晶9が成長する。ここで、ハロゲン化アルミニウムガスの流量とアンモニアガスの流量との比(ハロゲン化アルミニウムガスの流量/アンモニアガスの流量)が1/10〜1/1000に設定されている場合には、AlN結晶9の成長速度を速くできる傾向にある点で好ましい。
このようにAlN結晶9の成長速度がたとえば10〜30μm/hとなるように成長条件を調整してAlN結晶9を成長させた後、GaN結晶基板6の温度をAlN結晶9の成長時の温度とほぼ同一に保持しながらGaN結晶基板6の裏面にガス導入管8を通してエッチングガスを噴射して接触させる。これにより、図2に示すように、GaN結晶基板6がエッチングされて除去される。ここで、本発明に用いられるエッチングガスはGaN結晶基板6を除去できるものであれば特に限定されないが、なかでも塩素ガス(Cl2)および塩化水素ガス(HCl)の少なくとも一方であることが好ましい。この場合には、GaN結晶基板6を効率的に除去することができる傾向にある。また、エッチングガスがAlN結晶9側に回り込まないように、アンモニアガスをAlN結晶9側に導入しながらGaN結晶基板6のエッチングが行なわれることが好ましい。
GaN結晶基板6のエッチング後、AlN結晶9の温度を室温付近まで降下させ、AlN結晶9が石英反応管1から取り出される。このようにして得られたAlN結晶9について鏡面研磨し、その後、研磨によるダメージ層の除去を行なうことによってAlN結晶基板を製造することができる。また、AlN結晶9を所定の厚みに切断した後に鏡面研磨し、さらに研磨によるダメージ層の除去を行なうことによってもAlN結晶基板を製造することができる。ここで、AlN結晶9の切断方向は特に限定されず、除去前のGaN結晶基板6の表面に対して平行な方向または任意に傾いた方向とすることができる。
このように、本発明においては、AlN結晶9の成長時のGaN結晶基板6の表面温度を保持しながらエッチングガスによりGaN結晶基板6を除去し、その後にAlN結晶9の温度を降下させている。したがって、本発明においては、AlN結晶9とGaN結晶基板6との間の熱膨張係数の違いによってAlN結晶9にクラックが発生することを有効に防止することができるのである。
なお、上記においてはAlN結晶を製造する場合について説明したが、本発明においてはハロゲン化アルミニウムガスおよびアンモニアガスに加えて、ハロゲン化ガリウムガスおよび/またはハロゲン化インジウムガスを含む原料ガスを導入することによって、AlN結晶以外のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を製造することもできる。
また、上記においてはAlN結晶の成長時におけるGaN結晶基板の温度をほぼ同一に保持しながらエッチングにより除去しているが、本発明においてGaN結晶基板のエッチングによる除去は、GaN結晶基板を800℃以上1200℃以下の温度とした状態で行なうことができる。GaN結晶基板の温度が800℃未満である場合にはGaN結晶基板のエッチングを進行させることができず、1200℃よりも高い場合には石英反応管などの反応容器に熱による損傷を与えてしまう傾向にある。
また、本発明におけるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の不純物濃度は、結晶の純度を高くする観点からは1×1018cm-3以下であることが好ましい。
また、AlN結晶の場合と同様にして、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶からAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板を製造することができることは言うまでもない。
また、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板を製造する観点からは、本発明におけるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の厚さは200μm以上であることが好ましい。
また、上記においてはGaN結晶基板の表面上にAlN結晶を成長させているが、本発明においてはGaN結晶基板の表面上に何らかの中間層を形成した後にAlN結晶を成長させることもできる。
また、本発明においては、上記の原料ガスにn型不純物を含むガスを加えて導入することによって、n型不純物がドーピングされたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることもできる。ここで、n型不純物は特に限定されないが、酸素およびシリコンの少なくとも一方であることが好ましい。
また、本発明においては、GaN結晶基板の代わりに上記のようにして得られたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板を用いて、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板の表面上にハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスを導入し、この原料ガスを反応させることによってもAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶をホモエピタキシャル成長させることができる。この場合には、さらに結晶性の高いAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を製造することができる。
本発明におけるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶からなるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板は、光デバイス(発光ダイオード、レーザダイオードなど)、電子デバイス(整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMTなど)、半導体センサ(温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器など)またはSAWデバイスなどの半導体デバイス用の基板として用いることが可能である。すなわち、本発明におけるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板の表面上に半導体層や金属層などを積層することなどによって、たとえば上記のような半導体デバイスを製造することができる。
(実施例1)
図1に示す石英反応管1の内部に、鏡面研磨後に研磨によるダメージ層が除去された六方晶のGaN結晶からなるGaN結晶基板6を設置した。このGaN結晶基板6の口径は2インチで厚さは400μmであった。また、GaN結晶基板6の表面の面方位は(0001)面であった。
図1に示す石英反応管1の内部に、鏡面研磨後に研磨によるダメージ層が除去された六方晶のGaN結晶からなるGaN結晶基板6を設置した。このGaN結晶基板6の口径は2インチで厚さは400μmであった。また、GaN結晶基板6の表面の面方位は(0001)面であった。
そして、ガス導入管2、3を通して石英反応管1の内部にキャリアガスとして高純度の窒素ガスを導入しながら加熱ヒータ4、5により加熱してGaN結晶基板6の温度を1000℃に上昇させた。続いて、ガス導入管3を通してAlCl3を導入し、ガス導入管2を通してアンモニアガス(NH3)をそれぞれキャリアガスとともに石英反応管1の内部に導入して、20μm/hの成長速度で厚さ400μmのAlN結晶9をGaN結晶基板6の表面上に成長させた。ここで、AlCl3流量とNH3の流量との比(AlCl3の流量/NH3の流量)は1/10〜1/100であった。
その後、ガス導入管3からのAlCl3の導入を中止し、ガス導入管2からGaN結晶基板6の表面にNH3を導入しながらガス導入管8からHClをGaN結晶基板6に噴射して接触させ、GaN結晶基板6を4時間エッチングすることにより完全に除去した。ここで、GaN結晶基板6のエッチングは、GaN結晶基板6の温度をAlN結晶9の成長時の温度(1000℃)に保持した状態で行なった。
そして、AlN結晶9の温度を室温まで降下させた後に、AlN結晶9を石英反応管1から取り出した。このAlN結晶9についてクラックの発生の有無を確認したところクラックは発生していなかった。
また、このAlN結晶9を鏡面研磨した後に研磨によるダメージ層を除去することによって、AlN結晶基板を製造した。
このAlN結晶基板の表面粗さは、10μm角の範囲でのRMS測定値で50nm以下であり良好であった。また、このAlN結晶基板について、(0002)面でのX線ロッキングカーブの半値幅およびTEM(透過電子顕微鏡;Transmission Electron Microscopy)による転位密度を調べたところ、その半値幅は約200秒であり、転位密度は1×106cm-2〜1×108cm-2と良好であった。
また、このAlN結晶基板は無色透明であるため、不純物の混入が少なく高純度であることが確認された。また、このAlN結晶基板について、SIMS(二次イオン質量分析)による分析を行なったところ、最も多く含まれていた不純物である酸素の濃度は2×1017cm-3程度であって、AlN結晶基板に含まれる不純物の濃度をすべて合わせても1×1018cm-3以下であった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法によって、図1に示すAlN結晶9を5mmの厚さに成長させた後にGaN結晶基板6を完全に除去してAlN結晶9を製造した。そして、このAlN結晶9を除去前のGaN結晶基板6の表面に対して平行な方向にスライスして500μmの厚さのAlN結晶を4枚製造した。これら4枚のAlN結晶についてクラックの発生の有無を確認したところクラックは発生していなかった。
実施例1と同様の方法によって、図1に示すAlN結晶9を5mmの厚さに成長させた後にGaN結晶基板6を完全に除去してAlN結晶9を製造した。そして、このAlN結晶9を除去前のGaN結晶基板6の表面に対して平行な方向にスライスして500μmの厚さのAlN結晶を4枚製造した。これら4枚のAlN結晶についてクラックの発生の有無を確認したところクラックは発生していなかった。
また、これら4枚のAlN結晶をそれぞれ鏡面研磨した後に研磨によるダメージ層を除去し、4枚のAlN結晶基板を製造した。
これら4枚のAlN結晶基板の表面粗さは、それぞれ10μm角の範囲でのRMS測定値で50nm以下であり良好であった。また、このAlN結晶基板について、(0002)面でのX線ロッキングカーブの半値幅およびTEMによる転位密度を調べたところ、その半値幅はそれぞれ約200秒であって、転位密度はそれぞれ1×106cm-2〜1×108cm-2の範囲にあり良好であった。
また、これら4枚のAlN結晶基板は無色透明であり、それぞれ不純物の混入が少なく高純度であることが確認された。また、これら4枚のAlN結晶基板について、SIMSによる分析を行なったところ、それぞれのAlN結晶基板に最も多く含まれていた不純物は酸素であって、その濃度はそれぞれ2×1017cm-3程度であった。また、それぞれのAlN結晶基板について、含有されるすべての不純物の合計濃度を算出したところ、それぞれ1×1018cm-3以下であった。
(実施例3)
AlCl3およびNH3などの原料ガスに加えてシリコンを含むガスを導入したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すGaN結晶基板6の表面上にn型不純物としてシリコンを含むAlN結晶9を成長させた後、GaN結晶基板6を除去することによって、シリコンを含む厚さ400μmのAlN結晶9を製造した。このAlN結晶9についてクラックの発生の有無を確認したところクラックは発生していなかった。
AlCl3およびNH3などの原料ガスに加えてシリコンを含むガスを導入したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すGaN結晶基板6の表面上にn型不純物としてシリコンを含むAlN結晶9を成長させた後、GaN結晶基板6を除去することによって、シリコンを含む厚さ400μmのAlN結晶9を製造した。このAlN結晶9についてクラックの発生の有無を確認したところクラックは発生していなかった。
また、このAlN結晶9を鏡面研磨した後に研磨によるダメージ層を除去することによって、AlN結晶基板を製造した。
このAlN結晶基板について、SIMSによる分析を行なったところ、不純物としてシリコンが最も多く含まれており、そのシリコンの濃度は1×1018cm-3程度であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板および半導体デバイスの製造、特にAlN結晶の製造、AlN結晶基板の製造およびAlN結晶基板を含有する半導体デバイスの製造に好適に利用することができる。
1 石英反応管、2,3,8 ガス導入管、4,5 加熱ヒータ、6 GaN結晶基板、7 排ガス処理装置、9 AlN結晶。
Claims (13)
- ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によって窒化ガリウム結晶基板の表面上にAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる工程と、前記AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の成長時における窒化ガリウム結晶基板の温度を800℃以上1200℃以下とした状態で前記窒化ガリウム結晶基板をエッチングにより除去する工程と、を含む、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 前記窒化ガリウム結晶基板をエッチングにより除去する工程は、前記窒化ガリウム結晶基板にエッチングガスを接触させることによって行なわれることを特徴とする、請求項1に記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 前記エッチングガスが、塩素ガスおよび塩化水素ガスの少なくとも一方からなることを特徴とする、請求項1または2に記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 前記窒化ガリウム結晶基板が、六方晶の窒化ガリウム結晶からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 前記窒化ガリウム結晶基板の(0001)面上に前記AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることを特徴とする、請求項4に記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 前記ハロゲン化アルミニウムガスが、AlClおよびAlCl3の少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 不純物濃度が1×1018cm-3以下であるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- n型不純物がドーピングされたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 前記n型不純物が、酸素およびシリコンの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項8に記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 200μm以上の厚さのAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 請求項1から10のいずれかに記載の製造方法により得られたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶からなるAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板の表面上に、ハロゲン化アルミニウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によってAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶をホモエピタキシャル成長させることを特徴とする、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶の製造方法。
- 請求項1から11のいずれかに記載の製造方法により得られたAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶からなる、AlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板。
- 請求項12に記載のAlxGayIn1-x-yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶基板を含有することを特徴とする、半導体デバイス。
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