JP7127251B2 - 封止用樹脂組成物および構造体 - Google Patents
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Description
このような知見に基づいて、鋭意検討したところ、ビスマレイミド化合物と不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂とを併用することにより、封止用樹脂組成物の硬化物の温度サイクル信頼性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
粉砕状、顆粒状、またはタブレット状の封止用樹脂組成物であって、
ビスマレイミド化合物と、
不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂と、
熱硬化性樹脂(ただし、前記ビスマレイミド化合物および前記不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を除く。)と、
シランカップリング剤と、を含み、
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂(ただし、プロペニル基含有エポキシ樹脂を除く。)を含む、
封止用樹脂組成物が提供される。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、ビスマレイミド化合物と、不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂と、を含むことができる。
このような着眼点に基づいて検討した結果、官能基として、不飽和二重結合を有する基を用いることにより、封止用樹脂組成物の最適な架橋構造を得られることが判明した。本実施形態において、不飽和二重結合を有する基としては、例えば、炭素数3~14のアルケニル基であり、好ましくはアリル基である。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、ビスマレイミド化合物を含む。
本実施形態のビスマレイミド化合物は、マレイミド基を2つ以上有する化合物である。
また、ビスマレイミド化合物の含有量は、たとえば封止用樹脂組成物全体に対して30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。ビスマレイミド化合物の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物としての靭性を向上させることができる。
また、本実施形態において、樹脂組成物全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、樹脂組成物のうちの溶媒を除く固形分全体に対する含有量を指す。樹脂組成物の固形分とは、組成物樹脂中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を含む。
また、不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂の軟化温度としては、特に限定されないが、例えば、50℃以上120℃以下である。
ここで、アリル化率は、下記の構造単位(A)と下記の構造単位(B)の合計量に対する構造単位(A)のモル比率[構造単位(A)/〔構造単位(A)+構造単位(B)〕×100で表すことができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、前述のビスマレイミド化合物以外の熱硬化性樹脂を含有してもよい。
このような熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂(エポキシ化合物)、ベンゾオキサジン化合物、フェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、フェノール樹脂系硬化剤、およびアミン系硬化剤のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、フェノール樹脂系硬化剤を少なくとも含むことがより好ましい。
なお、本明細書中においては、この硬化剤もエポキシ樹脂と架橋してネットワークを形成するため、この硬化剤そのものも「熱硬化性樹脂」の一部であるものとして扱う。
アミン系硬化剤は、とくに限定されないが、たとえばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族ポリアミン、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6-トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP-30)などの3級アミン化合物、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含む他のアミン化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。
酸無水物系硬化剤としては、たとえばヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物から選択される一種または二種以上を含むことができる。
たとえば下記式(6)に示す化合物、および下記式(7)に示す化合物のうちの少なくとも一方を含むことができ、下記式(6)に示す化合物を少なくとも含むことがより好ましい。これにより、封止材の高温長期保管特性をより効果的に向上させることができる。また、封止材の機械特性の向上に寄与することも可能である。
また、上記熱硬化性樹脂の含有量(ただし、ビスマレイミド化合物およびビフェニルアラルキル型アリルフェノール樹脂を除く。)の上限値は、たとえば封止用樹脂組成物全体に対して20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。熱硬化性樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
なお、この熱硬化性樹脂の含有量に関し、エポキシ樹脂を用いる場合は、このエポキシ樹脂に対応する硬化剤も合算した値として定義することができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、無機充填材を含むことができる。これにより、封止用樹脂組成物から得られる封止材の剛性を一段と向上させることができる。
上記無機充填材としては、たとえば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭化ホウ素、クレー、マイカ、タルク、ワラストナイト、ガラスビーズ、ミルドカーボン、グラファイト等から選択される1種以上が用いられる。
この中でも、シリカを用いることが好ましく、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、および結晶シリカから選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、封止用樹脂組成物の充填性や、封止材の高温長期保管特性等を向上させる観点からは、溶融球状シリカを含むことがより好ましい。
また、無機充填材の含有量は、たとえば封止用樹脂組成物全体に対して、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましい。無機充填材の含有量を上記上限値以下とすることにより、電子装置や車載ユニット等の温度サイクルの信頼性について一段と向上を図ることができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、たとえば硬化促進剤を含むことができる。硬化促進剤は、ビスマレイミド化合物または熱硬化性樹脂の硬化を促進させるものであればよい。
本実施形態において、硬化促進剤は、たとえば有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール(EMI24)、2-フェニル-4-メチルイミダゾール(2P4MZ)、2-フェニルイミダゾール(2PZ)、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール(2P4MHZ)、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(1B2PZ)などのイミダゾール化合物;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン等が例示されるアミジンや3級アミン、前記アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。硬化性と金属との密着性の観点から、イミダゾール化合物を使用することが好ましい。
また、硬化促進剤の含有量は、たとえば封止用樹脂組成物全体に対して5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物のハンドリングを向上させることができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、たとえばシランカップリング剤を含むことができる。
これにより、封止用樹脂組成物の密着性のさらなる向上を図ることができる。
シランカップリング剤は、たとえばシランカップリング剤により表面処理が施された無機充填材を他成分と混合することにより封止用樹脂組成物中に含ませることができる。一方で、無機充填材に対して上記表面処理を行わず、各成分とともにシランカップリング剤をミキサー等へ投入し、これを混合することによってシランカップリング剤を封止用樹脂組成物中に含ませてもよい。
これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シランカップリング剤の含有量は、たとえば封止用樹脂組成物全体に対して5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物には、さらに必要に応じて、ハイドロタルサイト類および多価金属酸性塩等の無機イオン交換体に例示されるイオン捕捉剤;シリコーンゴム等の低応力材;カルナバワックス等の天然ワックス、合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼン等の難燃剤;酸化防止剤等の各種の添加剤を適宜配合してもよい。これらの配合量は任意である。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような打錠成形した組成物とすることにより、トランスファー成形、射出成形、および圧縮成形等の公知の成型方法を用いて封止成形することが容易となる。
図1は、本実施形態に係る半導体装置100の一例を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置100は、基板30上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20を封止する封止材50と、を備えている。半導体素子20は、たとえば、SiC、GaN、Ga2O3、またはダイヤモンドにより形成されたパワー半導体素子である。また、封止材50は、本実施形態に係る封止用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物により構成されている。
ここで、ワイヤ40は、たとえば銅で構成される。
本実施形態に係る車載用電子制御ユニット10は、たとえば以下のように作製される。まず、配線基板12の少なくとも一面上に複数の電子部品16を搭載する。次いで、複数の電子部品16を、封止用樹脂組成物を用いて封止成形する。封止用樹脂組成物としては、上記に例示したものを用いることができる。
以下、車載用電子制御ユニット10の製造方法について詳述する。
以下、参考形態の例を付記する。
1. ビスマレイミド化合物と、
不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂と、を含む、封止用樹脂組成物。
2. 1.に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記不飽和二重結合を有する基が、炭素数3~14のアルケニル基であり、
前記ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂が、上記一般式(1)で表される化合物を含む、封止用樹脂組成物。
(上記一般式(1)中、mはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、nは1以上20以下の整数であり、R 1 は、炭素数3~14のアルケニル基を表す。)
3. 1.または2.に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記不飽和二重結合を有する基が、アリル基である、封止用樹脂組成物。
4. 3.に記載の封止用樹脂組成物であって、
アリル基を有する前記ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂におけるアリル化率が、10%以上である、封止用樹脂組成物。
5. 1.から4.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
前記ビスマレイミド化合物が、上記一般式(10)で表される、封止用樹脂組成物。
(式(10)中、n 1 は0以上10以下の整数であり、X 1 はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキレン基、上記式(10a)で表される基、式「-SO 2 -」で表される基、「-CO-」で表される基、酸素原子または単結合であり、R 1 はそれぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、aはそれぞれ独立に0以上4以下の整数であり、bはそれぞれ独立に0以上3以下の整数である。)
(式(10a)中、Yは芳香族環を有する炭素数6以上30以下の炭化水素基であり、n 2 は0以上の整数である。)
6. 1.から5.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂をさらに含む、封止用樹脂組成物。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
無機充填材をさらに含む、封止用樹脂組成物。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が180℃以上である、封止用樹脂組成物。
9. 1.から8.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物の、250℃における曲げ弾性率が、3GPa以上20GPa以下である、封止用樹脂組成物。
10. 1.から9.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物の、50℃から70℃の温度範囲における平均線膨張係数(α1)に対する、310℃から330℃の温度範囲における平均線膨張係数(α2)の線膨張係数比が、1.1以上7以下である、封止用樹脂組成物。
11. 1.から10.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
トランスファー成形用の封止用樹脂組成物。
12. 1.から11.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物であって、
顆粒状またはタブレット状である、封止用樹脂組成物。
13. 1.から12.のいずれか1つに記載の封止用樹脂組成物の硬化物を備える、構造体。
各実施例、および各比較例のそれぞれについて、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。
まず、表1に示す各成分をミキサーにより混合した。次いで、得られた混合物をロール混練した後、冷却、粉砕して粉粒体である封止用樹脂組成物を得た。
ビスマレイミド化合物1:下記式(8)に示すマレイミド基を二つ以上有する化合物(大和化成工業株式会社製「BMI-2300」)
アリルフェノール樹脂1:下記の合成方法(ただし、塩化アリル53.57g(0.7モル))で得られたアリル変性ビフェニルアラルキルノボラック樹脂(アリル化率100%、Mw=2.9×103、Mn=1.3×103、Mw/Mn=2.2)
アリルフェノール樹脂2:下記の合成方法(ただし、塩化アリル38.27g(0.5モル))で得られたアリル変性ビフェニルアラルキルノボラック樹脂(アリル化率75%、Mw=2.6×103、Mn=1.3×103、Mw/Mn=2.0)
アリルフェノール樹脂3:下記の合成方法(ただし、塩化アリル25.25g(0.33モル))で得られたアリル変性ビフェニルアラルキルノボラック樹脂(アリル化率50%、Mw=2.2×103、Mn=1.1×103、Mw/Mn=2.0)
アリルフェノール樹脂4:下記の合成方法(ただし、塩化アリル13.01g(0.17モル))で得られたアリル変性ビフェニルアラルキルノボラック樹脂(アリル化率25%、Mw=2.0×103、Mn=1.1×103、Mw/Mn=1.8)
(アリルフェノール樹脂の合成方法)
温度計、冷却器、撹拌装置を備えた4つ口フラスコに、ビフェニルアラルキルノボラック樹脂215.3g(水酸基0.99モル、アリル化率0%、Mw=2.0×103、Mn=1.1×103、Mw/Mn=1.8)、1-プロパノール215.3g、及び塩基性触媒として水酸化ナトリウム44.10g(1.11モル)を投入し、50℃で5時間反応させてアラルキルノボラック樹脂のフェノラート化反応を行った。この反応混合物に、所定量の塩化アリルを投入し、70℃で4時間反応させることでアリルエーテル化反応を行った。得られた反応混合液を、130℃に昇温し減圧下にて未反応の塩化アリルおよび溶媒を除去した。95℃に降温後、純水で10回洗浄し、副生成物の塩を除去した。
洗浄後、150℃に昇温し、減圧下にて水分を除去することによって、生成物であるアリルエーテル化ビフェニルアラルキルノボラック樹脂を得た。続いて、温度計、冷却器、撹拌装置を備えた4つ口フラスコに上記で得られたアリルエーテル化ビフェニルアラルキル樹脂を加え、窒素雰囲気下にて190℃で8時間クライゼン転移反応を行うことによって、生成物であるアリル変性ビフェニルアラルキルノボラック樹脂を得た。
なお、アリル化率はIRで確認した。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「NC-3000L」)
熱硬化性樹脂2:トリフェニルメタン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製「MEH-7500」)
熱硬化性樹脂3:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(日本化薬株式会社製「GPH-65」)
(無機充填材)
無機充填材1:溶融球状シリカ(平均粒径:30μm)
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:2-フェニルイミダゾール(四国化成株式会社製「2PZ-PW」)
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤1:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製「CF-4083」)
(添加剤)
カーボンブラック1:三菱化学株式会社製カーボンブラック#5
得られた封止用樹脂組成物を使用し、低圧トランスファー成形機(アピックヤマダ社製「MSL-06M」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力10MPa、硬化時間180秒でTO-220(パッケージサイズは114mm×30mm、厚み1.3mm、チップは未搭載、リードフレームはCu製)を成形し、250℃で3時間硬化させることでテスト用の半導体装置を作製した。封止したテスト用半導体装置を、-40℃~250℃でサイクル繰り返し、パッケージクラックや部材間剥離が発生しないサイクル数を計測した。
トランスファー成形装置を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間180秒間で、得られた封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの成形品を得た。
次いで、得られた成形品を250℃、3時間で後硬化して試験片を作製した。その後、得られた試験片に関し、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃~320℃、昇温速度5℃/分の条件下で実施し、ガラス転移温度、50℃から70℃の範囲における平面方向(XY方向)の平均線膨張係数α1、310℃から330℃の範囲における平面方向(XY方向)の平均線膨張係数α2を算出した。ガラス転移温度の単位は℃である。平均線膨張係数α1,α2の単位は10-6/℃である。
トランスファー成形装置を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間180秒間で、得られた封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの成形品を得た。次いで、得られた成形品を250℃、3時間で後硬化して、試験片を作製した。次いで、試験片の250℃における曲げ弾性率をJIS K 6911に準拠して測定した。単位はGPaである。
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS-30」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間180秒間の条件で、得られた封止用樹脂組成物を注入、硬化させ、スパイラルフローを測定した。単位はcmである。
得られた封止用樹脂組成物を表面温度175℃の熱板上においてからタックフリーになるまでの時間を測定しゲルタイムとした。単位は秒である。
得られた封止用樹脂組成物を使用し、低圧トランスファー成形機(山城精機社製、「AV-600-50-TF」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力10MPa、硬化時間180秒の条件で、9×29mmの短冊状の試験用銅リードフレーム上に3.6mmφ×3mmの密着強度試験片を1水準当たり10個成形した。250℃で3時間硬化させた後、自動ダイシェア測定装置(ノードソン・アドバンスド・テクノロジー社製、DAGE4000型)を用いて、室温にて試験片とフレームとのせん断強度を室温測定した。また、250℃温度下において、試験片とフレームとのせん断強度について測定した。10個の試験片のダイシェア強度の平均値を表1に示す。
12 配線基板
14 封止樹脂
16 電子部品
18 接続端子
20 半導体素子
30 基板
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ワイヤ
50 封止材
60 半田ボール
100 半導体装置
120 スルーホール
Claims (14)
- 粉砕状、顆粒状、またはタブレット状の封止用樹脂組成物であって、
ビスマレイミド化合物と、
不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂と、
熱硬化性樹脂(ただし、前記ビスマレイミド化合物および前記不飽和二重結合を有する基を含有するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を除く。)と、
シランカップリング剤と、を含み、
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂(ただし、プロペニル基含有エポキシ樹脂を除く。)を含む、
封止用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記不飽和二重結合を有する基が、アリル基である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
前記ビスマレイミド化合物が、下記一般式(10)で表される、封止用樹脂組成物。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
無機充填材をさらに含む、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が180℃以上である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物の、250℃における曲げ弾性率が、3GPa以上20GPa以下である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物の、50℃から70℃の温度範囲における平均線膨張係数(α1)に対する、310℃から330℃の温度範囲における平均線膨張係数(α2)の線膨張係数比が、1.1以上7以下である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
トランスファー成形用の封止用樹脂組成物。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
顆粒状またはタブレット状である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
下記の手順で測定される当該封止用樹脂組成物におけるスパイラルフローが、200cm以上である、封止用樹脂組成物。
(手順)
低圧トランスファー成形機を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間180秒間の条件で、当該封止用樹脂組成物を注入、硬化させ、上記スパイラルフローを測定する。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物を表面温度175℃の熱板上においてからタックフリーになるまでの時間を測定しゲルタイムとしたとき、前記ゲルタイムが、61秒以上98秒以下である、封止用樹脂組成物。 - 請求項1から13のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物を備える、構造体。
Priority Applications (1)
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