JP7126940B2 - 補体活性のモジュレーター - Google Patents
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Description
一部の実施形態では、本開示は、R5000および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物を提供し、ここで薬学的に許容できる賦形剤は、約25mM~約100mMの濃度の塩化ナトリウムおよび約10mM~約100mMの濃度のリン酸ナトリウムを含む。R5000は、約1mg/mL~約400mg/mLの濃度で存在してもよい。医薬組成物は、約6.5~約7.5のpHを含んでもよい。R5000は、C5に約0.1nM~約1nMの平衡解離定数(KD)で結合してもよい。R5000は、補体活性化の代替経路の活性化に続くC5の産生をブロックしてもよい。R5000は、補体活性化の古典経路、代替経路、またはレクチン経路の活性化に続く膜侵襲複合体(MAC)の形成をブロックしてもよい。
I.化合物および組成物
本発明によると、補体活性を調節するように機能する化合物および組成物が提供される。本発明のかかる化合物および組成物は、補体活性化をブロックする阻害剤を含んでもよい。本明細書で用いられる場合、「補体活性」は、補体カスケードの活性化、C3もしくはC5などの補体成分からの切断生成物の形成、切断イベント後の下流複合体のアセンブリ、または、たとえばC3もしくはC5の補体成分の切断に付随するか、もしくは起因する任意のプロセスもしくはイベントを含む。補体阻害剤は、補体成分C5のレベルで補体活性化をブロックするC5阻害剤を含んでもよい。C5阻害剤は、C5に結合し、C5転換酵素による、切断生成物C5aおよびC5bへのその切断を阻止しうる。本明細書で用いられる場合、「補体成分C5」または「C5」は、C5転換酵素により少なくとも切断生成物C5aおよびC5bに切断される複合体と定義される。「C5阻害剤」は、本発明によると、切断前の補体成分C5複合体または補体成分C5の切断生成物のプロセシングまたは切断を阻害する任意の化合物または組成物を含む。
一部の実施形態では、本発明のC5阻害剤は、ポリペプチドである。本発明によると、任意のアミノ酸に基づく分子(天然または非天然)は、「ポリペプチド」と称されてもよく、この用語は、「ペプチド」、「ペプチドミメティック」および「タンパク質」を包含する。「ペプチド」は、伝統的にはサイズが約4~約50アミノ酸の範囲であると考えられる。約50アミノ酸より大きいポリペプチドは、一般に「タンパク質」と称される。
B28
本発明に係るポリペプチドは、同位体である1個以上の原子を含みうる。本明細書で用いられる場合、「同位体」という用語は、1個以上の追加の中性子を有する化学元素を意味する。一実施形態では、本発明に係るポリペプチドはジュウテリウム化されうる。本明細書で用いられる場合、「ジュウテリウム化」という用語は、ジューテリウム同位体により置き換えられた1個以上の水素原子を有する物質を意味する。ジューテリウム同位体は水素の同位体である。水素の核は1個のプロトンを含有するが、ジュウテリウム核はプロトンおよび中性子の両方を含有する。本発明に係る化合物および医薬組成物は、安定性などの物理的性質を変化させるためにまたは診断用途および実験用途で使用できるようにするために、ジュウテリウム化しうる。
本明細書に提供されるのは、本発明の化合物および/または組成物を用いて補体活性を調節する方法である。
すべての免疫活性(自然および適応)の重要な構成要素は、免疫系が自己および非自己細胞の間を区別する能力である。病変は、免疫系がこの区別を行うことができないときに生じる。補体系の場合、脊椎動物細胞は、補体カスケードの効果からそれらを保護する阻害性タンパク質を発現し、これは補体系が病原性微生物に特異的であることを保証する。多数の補体関連障害および疾患が、補体カスケードによる自己細胞の異常な破壊に関連している。
一部の実施形態では、本明細書に提供されるのは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を本発明の化合物または組成物、たとえば医薬組成物を用いて治療する方法である。PNHは、多能性造血幹細胞に由来するホスファチジルイノシトールグリカンアンカー生合成クラスA(PIG-A)遺伝子における後天的突然変異によって引き起こされる希少な補体関連障害である(プー,J.J.(Pu,J.J.)ら著、クリニカル・アンド・トランスレイショナル・サイエンス(Clin Transl Sci.)、2011年6月、第4巻、第3号、p.219~24)。PNHは、骨髄障害、溶血性貧血および血栓症によって特徴付けられる。PIG-A遺伝子産物は、タンパク質を原形質膜に繋留するために利用される、糖脂質アンカーのグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)の生成にとって必要である。末端補体複合体のCD55(崩壊促進因子)およびCD59(反応性溶解の膜阻害剤)の溶解活性から細胞を保護することに関与する2つの補体調節タンパク質は、GPIの不在下で非機能的になる。これにより、C5の活性化および赤血球(RBC)の表面上の特異的な補体タンパク質の蓄積がもたらされ、これらの細胞の補体介在性破壊が生じる。
一部の実施形態では、本発明の化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、PNHの治療において特に有用である。かかる化合物および組成物は、C5阻害剤(たとえばR5000)を含んでもよい。PNHの治療にとって有用な本発明のC5阻害剤は、いくつかの場合には、C5のC5aおよびC5bへの切断をブロックしうる。いくつかの場合には、本発明のC5阻害剤は、PNHに対するエクリズマブ治療薬の代わりとして用いてもよい。エクリズマブと異なり、本発明のC5阻害剤は、C5bに結合し得、C6との結合、その後のC5b-9MACのアセンブリを阻止する。
配列および構造データに基づき、R5000は、エクリズマブのC5への結合を阻止するC5遺伝子における突然変異を有する限られた数の患者におけるPNHの治療にとって特に有用でありうる。かかる患者の例として、単一のミスセンスC5ヘテロ接合性突然変異c.2654G->Aが挙げられ、それは多型p.Arg885Hisを予測する(この多型の説明については、ニシムラ,J.(Nishimura,J.)ら著、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(N Engl J Med.)、2014年、第370巻、第7号、p.632~9を参照、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。エクリズマブと同様、R5000は、C5のC5aおよびC5bへのタンパク質分解切断をブロックする。エクリズマブと異なり、R5000はまた、C5bに結合し、C6との会合をブロックし得、その後のMACのアセンブリを阻止する。したがって有利なことに、R5000による不完全阻害から生じる任意のC5bは、C6に結合し、MACのアセンブリを完了することから阻止される。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、炎症に関連する疾患、障害、および/または病態を有する対象を治療するために使用しうる。炎症は、補体系のタンパク質分解カスケード時にアップレギュレートされうる。炎症は有益な効果でありうるが、過剰の炎症はさまざまな病理状態をもたらすおそれがある(マーキエウスキー(Markiewski)著、2007年、アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am J Pathol.)、第17巻、p.715~27)。したがって、本発明に係る化合物および組成物は、補体活性化に関連する炎症を低減または排除するために使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、無菌性炎症の発症の治療、予防、または遅延のために使用しうる。無菌性炎症は、感染以外の刺激に反応して起こる炎症である。無菌性炎症は、物理的、化学的、または代謝的な侵害刺激により引き起こされるゲノムストレス、低酸素ストレス、栄養ストレス、小胞体ストレスなどのストレスに対する通常の反応でありうる。無菌性炎症は、多くの疾患、たとえば、限定されるものではないが、虚血誘発傷害、関節リウマチ、急性肺傷害、薬剤誘導肝傷害、炎症性腸疾患、および/または他の疾患、障害、もしくは病態の病理発生に寄与しうる。無菌性炎症の機序ならびに無菌性炎症の症状の治療、予防、および/または遅延のための方法および組成物は、ルバーテリ(Rubartelli)著、フロンティアズ・イン・イムノロジー(Frontiers in Immunology)、2013年、第4巻、p.398-99、ロック(Rock)ら著、アニュアル・レビュー・オブ・イムノロジー(Annu Rev Immunol.)、2010年、第28巻、p.321~342、または米国特許第8,101,586号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されるいずれかを含みうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、全身性炎症反応症候群(SIRS)の治療および/または予防のために使用しうる。SIRSは全身に影響を及ぼす炎症である。SIRSが感染により引き起こされる場合、敗血症として参照される。SIRSはまた、外傷、傷害、火傷、虚血、出血、および/または他の病態などの非感染性イベントにより引き起こされうる。SIRSおよび/または敗血症に関連した負の転帰の中に、多臓器不全(MOF)が含まれる。グラム陰性敗血症におけるC3レベルでの補体阻害は、大腸菌(E.coli)誘導進行性MOFに対して臓器を有意に保護するだけでなく、細菌クリアランスを邪魔する。本明細書に記載の化合物および組成物は、臓器保護の利点を、細菌クリアランスを有害に改変することなく提供するため、敗血症を有する対象に投与されてもよいC5補体成分阻害剤を含む。
本発明によると、R5000の対象への投与により、対象におけるかつ/または対象から得られる少なくとも1つの試料中での細菌クリアランスの調節がもたらされうる。細菌クリアランスは、本明細書で参照されるとき、対象または試料からの細菌の部分的または完全な除去/低減である。クリアランスは、細菌を殺滅するかまたはその他として成長および/もしくは生殖を不能にすることを通じて生じることがある。いくつかの場合には、細菌クリアランスは、溶菌および/または免疫破壊を通じて(たとえば、食作用、細菌細胞溶解、オプソニン化などを通じて)生じることがある。一部の方法によると、C5阻害剤(たとえばR5000)で治療された対象における細菌クリアランスは、細菌クリアランスに対する効果または有益な効果を有しないことがある。これは、C5阻害によるC3bレベルに対する効果の不在または減少に起因して生じうる。一部の実施形態では、敗血症をR5000で治療する方法は、C3b依存性オプソニン化との干渉を回避するかまたはC3b依存性オプソニン化を増強することがある。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症の治療および/または予防のために使用しうる。ARDSは、肺の広汎性炎症であり、外傷、感染(たとえば敗血症)、重篤な肺炎、および/または有害物質の吸入により引き起こされうる。ARDSは典型的には重篤な命にかかわる合併症である。好中球は肺の傷害された肺胞および間質組織での多形核細胞の蓄積に影響を及ぼすことによりARDSの発症に寄与しうることが試験により示唆される。したがって、本発明に係る化合物および組成物は、肺胞好中球での組織因子の産生を低減および/または予防するために投与しうる。本発明に係る化合物および組成物はさらに、いくつかの場合には、国際公開第2009/014633号パンフレット(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示された方法のいずれかに従ってARDSの治療、予防、および/または遅延のために使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、歯周炎および/または関連症状の発症を治療または予防するために使用しうる。歯周炎は、歯を取り囲んで支持している組織である歯周組織の破壊をもたらす広汎性慢性炎症である。病態はまた、歯槽骨損失(歯を保持する骨)を含む。歯周炎は、歯垢としても知られる歯肉線での細菌の蓄積をもたらす口腔衛生の欠如により起こりうる。ある特定の健康状態、たとえば、糖尿病または栄養失調および/または喫煙などの習慣は、歯周炎のリスクを増加させうる。歯周炎は、発作、心筋梗塞、アテローム硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、早産、さらには他の健康上の問題のリスクを増加させうる。研究により歯周炎と局所補体活性との間の相関が実証されている。歯周細菌は、補体カスケードのある特定の成分を阻害または活性化しうる。したがって、本発明に係る化合物および組成物は、歯周炎ならびに関連する疾患および病態を予防および/または治療するために使用しうる。補体活性化阻害剤および治療方法は、ハジシェンガリス(Hajishengallis)著、バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem Pharmacol.)2010,15;80(12):1およびラムブリス(Lambris)または米国特許出願公開第2013/0344082号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)により教示されたいずれかを含みうる。
一部の実施形態では、本発明の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および/または方法は、皮膚筋炎を治療するため、用いてもよい。皮膚筋炎は、筋力低下および慢性筋炎によって特徴付けられる炎症性筋疾患である。皮膚筋炎は、同時に随伴する皮膚発疹で始まるか、または筋力低下に先行することが多い。本発明の化合物、組成物、および/または方法は、皮膚筋炎を低減または予防するため、用いてもよい。
本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、さまざまなタイプの創傷および/または傷害の治療および/または治癒の促進のために使用しうる。本明細書で用いられる場合、「傷害」という用語は、典型的には物理的外傷を意味するが、限局性の感染または疾患のプロセスを含みうる。傷害は、生体部分および/または器官に影響を及ぼす外部イベントにより引き起こされる損害、損傷、または破壊により特徴付けられうる。創傷は、皮膚の破壊または損傷をもたらす切傷、打撲傷、熱傷、および/または皮膚への他の衝撃に関連する。創傷および傷害は、多くの場合、急性であるが、適正に治癒されないと慢性の合併症および/または炎症を引き起こすおそれがある。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、創傷の治療および/または治癒の促進のために使用しうる。健常皮膚は、病原体および他の環境作用因子に対する防水性保護障壁を提供する。皮膚はまた体温および流体蒸発を制御する。皮膚が損傷した場合、これらの機能が破壊されて皮膚の治癒が困難になる。損傷は、組織を回復および再生する免疫系に関連する一群の生理学的プロセスを開始させる。補体活性化はこれらのプロセスの1つである。ファン・デ・グート(van de Goot)ら著、ジャーナル・オブ・バーン・ケア・アンド・リサーチ(J Burn Care Res)、2009年、第30巻、p.274~280、およびカザンダー(Cazander)ら著、クリニカル・アンド・ディベロップメンタル・イムノロジー(Clin Dev Immunol)、2012年、第2012巻、p.534291(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)により教示されるように、補体活性化の研究から創傷治癒に関与するいくつか補体成分が同定されてきた。いくつかの場合には、補体活性化は過度になって細胞死および炎症亢進を引き起こすおそれがある(創傷治癒障害および慢性創傷をもたらしうる)。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、かかる補体活性化を低減または排除して創傷治癒を促進するために使用しうる。本発明に係る化合物および組成物による治療は、国際公開第2012/174055号パンフレット(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示された創傷の治療方法のいずれかに従って行いうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、頭部外傷の治療および/または治癒の促進のために使用しうる。頭部外傷は、頭皮、頭蓋、または脳への傷害を含む。頭部外傷の例としては、脳震盪、挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性脳傷害、および/または他の傷害が挙げられるが、これらに限定されるものではない。頭部外傷は軽症または重篤でありうる。いくつかの場合には、頭部外傷は、長期の物理的および/もしくは精神的な合併症または死をもたらすおそれがある。頭部外傷は不適切な頭蓋内補体カスケード活性化を誘発するおそれがあり、そのため局所炎症反応を起こして脳浮腫および/またはニューロン死の発症による二次的脳損傷の原因となるおそれがあることが研究から示唆される(スタヘル(Stahel)ら著、ブレイン・リサーチ・レビューズ(Brain Research Reviews)、1998年、第27巻、p.243~56(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる))。本発明に係る化合物および組成物は、頭部外傷の治療および/または関連する二次合併症の低減もしくは予防のために使用しうる。頭部外傷での補体カスケード活性化を制御するための本発明に係る化合物および組成物の使用方法は、米国特許第8,911,733号明細書(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)にホラーズ(Holers)らにより教示されたいずれかを含みうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、挫滅傷害の治療および/または治癒の促進のために使用しうる。挫滅傷害は、身体に加わる力または圧力により引き起こされる傷害であり、出血、打撲傷、骨折、神経傷害、創傷、および/または身体の他の損傷を引き起こす。本発明に係る化合物および組成物は、挫滅傷害後に補体活性化を低減することにより挫滅傷害後の治癒の促進(たとえば、神経再生の促進、骨折治癒の促進、炎症および/または他の関連合併症の予防または治療)を行いうるために使用しうる。本発明に係る化合物および組成物は、米国特許第8,703,136号明細書、国際公開第2012/162215号パンフレット、国際公開第2012/174055号パンフレット、または米国特許出願公開第2006/0270590号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示された方法のいずれかに従って治療を促進するために使用しうる。
一部の実施形態では、本開示の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および/または方法は、虚血および/または再灌流に関連する損傷を治療するため、用いてもよい。かかる損傷は、外科的介入(たとえば移植)を伴ってもよい。したがって、本開示の化合物、組成物、および/または方法は、虚血および/または再灌流損傷を低減または予防するため、用いてもよい。
本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、自己免疫性疾患および/または障害を有する対象を治療するために使用しうる。免疫系は、それぞれ非特異的即時防衛機序およびより複雑な抗原特異的系を表す先天性系および適応系に分けられうる。補体系は、先天性免疫系の一部であり、病原体を認識して排除する。そのほかに、補体タンパク質は、適応免疫を変調して、先天性反応と適応反応とを結び付けうる。自己免疫性の疾患および障害は、系が自己の組織および物質を標的とする免疫異常である。自己免疫性疾患は、生体のある特定の組織または器官を含みうる。本発明に係る化合物および組成物は、自己免疫性疾患の治療および/または予防の際に補体を変調するために使用しうる。いくつかの場合には、かかる化合物および組成物は、バランティ(Ballanti)ら著、イムノロジック・リサーチ(Immunol Res)、2013年、第56巻、p.477~491(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に提示された方法に従って使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、補体活性化の制御により抗リン脂質症候群(APS)を予防および/または治療をするために使用しうる。APSは、血液を凝固させる抗リン脂質抗体により引き起こされる自己免疫性状態である。APSは、器官では再発性静脈または動脈血栓症を引き起こすおそれがあり、胎盤循環では合併症を引き起こして、妊娠関連合併症、たとえば、流産、死産、子癇前症、早産、および/または他の合併症をもたらすおそれがある。劇症型抗リン脂質症候群(CAPS)は、同時にいくつかの器官で静脈の閉塞をもたらす類似の病態の極限の急性状態である。補体活性化は、妊娠関連合併症、血栓(凝固)合併症、および血管合併症をはじめとするAPS関連合併症に寄与しうることが研究から示唆される。本発明に係る化合物および組成物は、補体活性化を低減または排除することによりAPS関連病態を治療するために使用しうる。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、サルモン(Salmon)ら著、アナルズ・オブ・ザ・リューマチック・ディジーズ(Ann Rheum Dis)、2002年、第61巻(Suppl II)、ii46~ii50、およびマックワース-ヤング(Mackworth-Young)著、クリニカル・アンド・エクスペリメンタル・イムノロジー(Clin Exp Immunol)、2004年、第136巻、p.393~401により教示された方法に従ってAPSおよび/またはAPS関連合併症を治療するために使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、寒冷凝集素媒介溶血としても参照される寒冷凝集素症(CAD)を治療するために使用しうる。CADは、低温領域の体温で赤血球と相互作用する高濃度のIgM抗体により生じる自己免疫性疾患である[エンゲルハーツ(Engelhardt)ら著、ブラッド(Blood)、2002年、第100巻、第5号、p.1922~23]。CADは、貧血、疲労、呼吸困難、ヘモグロビン尿症、および/または先端チアノーゼなどの病態をもたらすおそれがある。CADは、ロバストな補体活性化に関連し、CADは、補体阻害剤療法で治療しうることが研究から示されている。したがって、本発明は、本発明に係る化合物および組成物を用いてCADを治療する方法を提供する。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、ロス(Roth)ら著、ブラッド(Blood)、2009年、第113巻、p.3885-86、または国際公開第2012/139081号パンフレット(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示された方法に従ってCADを治療するために使用しうる。
一部の実施形態では、本発明の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および/または方法は、重症筋無力症を治療するため、用いてもよい。重症筋無力症は、自己免疫によって引き起こされる神経筋疾患である。本発明の化合物、組成物、および/または方法は、重症筋無力症に関連した神経筋問題を低減または予防するため、用いてもよい。
一部の実施形態では、本発明の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および方法は、ギラン・バレー症候群(GBS)を治療するため、用いてもよい。GBSは、末梢神経系の自己免疫発作を含む自己免疫性疾患である。本発明の化合物、組成物、および/または方法は、GBSに関連した末梢神経問題を低減または予防するため、用いてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、血管(たとえば、動脈、静脈、および毛細血管)に影響を及ぼす血管適応症を治療するために使用しうる。かかる適応症は、血液循環(血圧)、血流、器官機能、および/または、他の身体機能に影響を及ぼすおそれがある。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、血栓性微小血管症(TMA)および関連疾患を治療および/または予防するために使用しうる。微小血管症は、身体の微小血管(毛細血管)に影響を及ぼして、毛細血管壁を厚く弱くし、出血および遅い血液循環を起こしやすくする。TMAは、血管血栓、内皮細胞損傷、血小板減少、および溶血の発症をもたらすために傾向がある。脳、腎臓、筋肉、胃腸系、皮膚、肺などの器官が罹患するおそれがある。TMAは、限定されるものではないが、造血幹細胞移植(HSCT)、腎障害、糖尿病、および/または他の病態をはじめとする医療操作および/または病態から生じうる。TMAは、メリ(Meri)ら著、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・インターナル・メディスン(European Journal of Internal Medicine)、2013年、第24巻、p.496~502(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)により記載されるように、根底にある補体系機能不全により引き起こされうる。一般に、TMAは、血栓症をもたらすある特定の補体成分のレベルの増加に起因しうる。いくつかの場合には、これが補体タンパク質または関連する酵素の突然変異により引き起こされうる。生じる補体機能不全は、内皮細胞および血小板の補体標的化を引き起こし、血栓症の増加もたらしうる。いくつかの実施形態では、TMAは、本発明に係る化合物および組成物を用いて予防および/または治療しうる。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物を用いてTMAを治療する方は、米国特許出願公開第2012/0225056号明細書または米国特許出願公開第2013/0246083号明細書、(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載に従って行いうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、補体活性化を制御することにより播種性血管内凝固(DIC)を治療および/または予防するために使用しうる。DICは、血液中で凝固カスケードが広範に活性化され、特に毛細血管で血餅の形成をもたらす病理学的病態である。DICは、組織の血流の妨害を引き起こして最終的には器官を損傷するおそれがある。そのほかに、DICは、血液凝固の正常プロセスに影響を及ぼして重篤な出血を引き起こすおそれがある。本発明に係る化合物および組成物は、補体活性を変調することによりDICの治療、予防、または重症度の低下を行いうるために使用しうる。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、米国特許第8,652,477号明細書(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されたDICの治療方法のいずれかに従って使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、血管炎を予防および/または治療するために使用しうる。一般に、血管炎は、白血球が組織を攻撃して血管の膨張を引き起こすことにより特徴付けられる、静脈および動脈を含めて血管の炎症に関連する障害である。血管炎は、ロッキー山紅斑熱または自己免疫病の場合のように感染に関連しうる。自己免疫関連血管炎の例は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)血管炎である。ANCA血管炎は、身体の自己細胞および組織を攻撃する異常抗体により引き起こされる。ANCAは、ある特定の白血球および好中球の細胞質を攻撃して、生体のある特定の器官および組織で血管壁の攻撃引き起こす。ANCA血管炎は、皮膚、肺、眼、および/または腎臓に影響を及ぼしうる。ANCA疾患は補体副経路を活性化し、血管損傷をもたらす炎症増幅ループを形成するある特定の補体成分を生成することが研究から示される(ジャネット(Jennette)ら著、2013年、セミナーズ・イン・ネフロロジー(Semin Nephrol.)、第33巻、第6号、p.557~64(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる))。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、補体活性化を阻害することによりANCA血管炎を予防および/または治療するために使用しうる。
一部の実施形態では、本開示の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および/または方法は、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療にとって有用でありうる。aHUSは、小血管内での血塊形成によって特徴付けられる抑制のきかない補体活性化によって引き起こされる希少な疾患である。本発明の組成物および方法は、aHUSに関連した補体活性化を低減または阻止するために有用でありうる。
本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、限定されるものではないが、神経変性疾患および関連障害をはじめとする神経学的適応症の症状の予防、治療、および/または緩和のために使用しうる。神経変性は、一般に、ニューロンの死をはじめとするニューロンの構造または機能の損失に関連する。こうした障害は、本発明に係る化合物および組成物を用いてニューロン細胞に対する補体の作用を阻害することにより治療しうる。神経変性関連障害としては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、およびアルツハイマー病が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、ALSの予防、治療、および/または症状の緩和のために使用しうる。ALSは、脊髄ニューロン、脳幹、および運動皮質の変性により特徴付けられる致命的な運動ニューロン疾患である。ALSは、最終的には呼吸不全に至る筋力低下を引き起こす。補体機能不全はALSに寄与しうるので、補体活性を標的とする本発明に係る化合物および組成物を用いた療法により、ALSの予防、治療を行いうるとともに症状の低減を行いうる。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は神経再生を促進するために使用しうる。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、米国特許出願公開第2014/0234275号明細書または米国特許出願公開第2010/0143344号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示された方法のいずれかに従って補体阻害剤として使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、補体活性を制御することによりアルツハイマー病を予防および/または治療するために使用しうる。アルツハイマー病は、失見当識、記憶喪失、気分変動、行動上の問題、および最終的には身体機能の損失を含みうる症状を有する慢性神経変性疾患である。アルツハイマー病は、補体タンパク質などの炎症関連タンパク質に関連するアミロイドの細胞外脳蓄積物により引き起こされると考えられる(ショカバーグ(Sjoberg)ら著、2009年、トレンズ・イン・イムノロジー(Trends in Immunology)、第30巻、第2号、p.83~90(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる))。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、米国特許出願公開第2014/0234275号明細書(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されたアルツハイマー病治療法のいずれかに従って補体阻害剤として使用しうる。
本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、いくつかの場合には、補体活性を阻害することにより、腎臓に関連するある特定の疾患、障害、および/または病態を治療するために使用しうる。腎臓は、血流から代謝老廃物を除去することに関与する器官である。腎臓は、血圧、泌尿器系、および恒常性機序を制御するので、さまざまな身体機能に不可欠である。腎臓は、特異な構造上の特徴および血液への曝露に起因して炎症による影響をより深刻に受けるおそれがある(他の器官と比較して)。腎臓はまた、感染、腎疾患、および腎臓移植により活性化されうる独自の補体タンパク質を産生する。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、クイッグ(Quigg)著、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J Immunol)、2003年、第171号、p.3319~24(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)により教示された方法に従って、腎臓のある特定の疾患、病態、および/または障害の治療で補体阻害剤として使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、補体活性を阻害することによりループス腎炎を予防および/または治療するために使用しうる。ループス腎炎は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)と呼ばれる自己免疫性疾患により引き起こされる腎臓炎症である。ループス腎炎の症状としては、高血圧、泡状尿、脚、足、手、または顔の膨張、関節痛、筋肉痛、発熱、および皮疹が挙げられる。ループス腎炎は、本発明に係る化合物および組成物を含めて補体活性を制御する阻害剤により治療されるかもしれない。補体阻害によりループス腎炎を予防および/または治療するための方法および組成物は、米国特許出願公開第2013/0345257号明細書または米国特許第8,377,437号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されたいずれかを含みうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、ある特定の補体成分の活性化を阻害することにより膜性糸球体腎炎(MGN)障害を予防および/または治療するために使用しうる。MGNは、炎症および構造変化にもたらしうる腎臓の障害である。MGNは、腎臓毛細血管(糸球体)中で可溶性抗原に結合する抗体により引き起こされる。MGNは、流体濾過などの腎機能に影響を及ぼすおそれがあり、腎不全を引き起こしうる。本発明に係る化合物および組成物は、米国特許出願公開第2010/0015139号明細書または国際公開第2000/021559号パンフレット(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示された補体阻害によりMGNを予防および/または治療する方法に従って使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、補体活性化を阻害することにより血液透析に関連する合併症を予防および/または治療するために使用しうる。血液透析は、腎不全の対象において腎機能を維持するために使用される医療手順である。血液透析では、血液に由来する、クレアチニン、ウレア、遊離水などの老廃物の除去は外部で行われる。血液透析治療の通常の合併症は、血液と透析膜との間の接触により引き起こされる慢性炎症である。他の通常の合併症は、血液循環を妨害する血餅の形成を表す血栓症である。こうした合併症は補体活性化に関連することが研究から示唆されている。血液透析は、腎不全に起因して血液透析を受ける対象において炎症反応および病理状態の制御ならびに/または血栓症の予防もしくは治療を行いうる手段を提供するために補体阻害剤療法と組み合わせうる。血液透析合併症の治療のための本発明に係る化合物および組成物の使用方法は、デアンゲリス(DeAngelis)ら著、イムノロジー(Immunobiology)、2012年、第217巻、第11号、p.1097~1105、またはクーツェリス(Kourtzelis)ら著、ブラッド(Blood)、2010年、第116巻、第4号、p.631~639(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)により教示された方法のいずれかに従って行いうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、ある特定の眼関連の疾患、障害、および/または病態を予防および/または治療するために使用しうる。健常眼では、補体系は低レベルで活性化され、病原体から保護する膜結合性および可溶性の眼内タンパク質により連続的に制御される。したがって、補体活性化は、眼に関連するいくつかの合併症で重要な役割を果たし、かかる疾患を治療するために補体活性化の制御を使用しうる。本発明に係る化合物および組成物は、ジァー(Jha)ら著、モレキュラー・イムノロジー(Mol Immunol.)、2007年、第44巻、第16号、p.3901~3908または米国特許第8,753,625号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)により教示された方法のいずれかに従って眼疾患の治療で補体阻害剤として使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、眼内補体活性化を阻害することにより加齢黄斑変性(AMD)を予防および/または治療するために使用しうる。AMDは、中心視覚障害、中心視覚盲点、および/または最終的な中心視覚損失を引き起こす慢性眼疾患である。中心視覚は、読書、車の運転、および/または顔認識の能力リードに影響を及ぼす。AMDは、一般に、非滲出性(ドライ)および滲出性(ウェット)の2つのタイプに分類される。ドライAMDは、網膜の中心の組織である黄斑の悪化を意味する。ウェットAMDは、血液および流体の漏れをもたらす網膜下の血管不全を意味する。ジャー(Jha)ら著、モレキュラー・イムノロジー(Mol Immunol.)、2007年、第44巻、第16号、p.3901~8により考察されるように、いくつかのヒトおよび動物の試験では、AMDに関連する補体タンパク質が同定され、新規な治療戦略は補体活性化経路の制御を含むものであった。AMDの予防および/または治療のために本発明に係る化合物および組成物を使用することを含む本発明に係る方法は、米国特許出願公開第2011/0269807号明細書または米国特許出願公開第2008/0269318号明細書(その各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されたいずれかを含みうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、眼内補体活性化を阻害することにより角膜疾患を予防および/または治療するために使用しうる。補体系は、病原性粒子および/または炎症性抗原からの角膜の保護に重要な役割を果たす。角膜は、虹彩、瞳孔、および前房を覆って保護する眼の最も外側のフロント部分であるので、外的因子に曝露される。角膜疾患としては、円錐角膜、角膜炎、眼性ヘルペス、および/または他の疾患が挙げられるが、これらに限定されるものではない。角膜合併症は、疼痛、霧視、催涙、充血、光過敏、および/または角膜瘢痕を引き起こすおそれがある。補体系は角膜保護に極めて重要であるが、補体活性化は、ある特定の補体化合物が高度に発現されるので、感染が除去された後、角膜組織の損傷を引き起こすおそれがある。角膜疾患の治療で補体活性を変調するための本発明に係る方法は、ジャー(Jha)ら著、モレキュラー・イムノロジー(Mol Immunol.)、2007年、第44巻、第16号、p.3901~8により教示されたいずれかを含みうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、眼のブドウ膜層の炎症であるブドウ膜炎を予防および/または治療するために使用しうる。ブドウ膜は、眼の脈絡膜、虹彩、および毛様体を含む眼の色素沈着領域である。ブドウ膜炎は、充血、霧視、疼痛、癒着を引き起こし、最終的には失明を引き起こすおそれがある。補体活性化産物は自己免疫性ブドウ膜炎の患者の眼内に存在し、補体は疾患発症に重要な役割を果たすことが研究から示唆されている。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、ジャー(Jha)ら著、モレキュラー・イムノロジー(Mol Immunol.)、2007年、第44巻、第16号、p.3901~8(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)で同定された方法のいずれかに従ってブドウ膜炎を予防および/または治療するために使用しうる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、糖尿病患者において網膜血管の変化により引き起こされる疾患である糖尿病性網膜症を予防および/または治療するために使用しうる。網膜症は、血管膨張および流体漏出および/または異常血管成長を引き起こすおそれがある。糖尿病性網膜症は、視覚に影響を及ぼして最終的には失明をもたらすおそれがある。補体活性化は糖尿病性網膜症の進行に重要な役割を果たすことが研究から示唆されている。いくつかの場合には、本発明に係る化合物および組成物は、ジャー(Jha)ら著、モレキュラー・イムノロジー(Mol Immunol.)、2007年、第44巻、第16号、p.3901~8(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の糖尿病性網膜症の治療方法に従って使用しうる。
一部の実施形態では、本発明の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および/または方法は、視神経脊髄炎(NMO)を治療するため、用いてもよい。NMOは、視神経の破壊をもたらす自己免疫性疾患である。本発明の化合物および/または方法は、NMOを有する対象における神経破壊を予防するため、用いてもよい。
一部の実施形態では、本発明の化合物、組成物、たとえば医薬組成物、および/または方法は、シェーグレン症候群を治療するため、用いてもよい。シェーグレン症候群は、ほてりおよび/またはかゆみを生じうるドライアイによって特徴付けられる眼疾患である。それは、免疫系が眼および口における腺(それらの領域を湿らせることに関与する)を標的にする場合の自己免疫不全である。本開示の化合物、組成物、および/または方法は、シェーグレン症候群の症状を治療および/または低減するため、用いてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物および組成物、たとえば医薬組成物は、補体阻害剤療法により子癇前症および/またはHELLP(1)溶血、2)肝酵素亢進、および3)低血小板数の症候群フィーチャを表す略号)症候群を予防および/または治療するために使用しうる。子癇前症は、血圧上昇、膨張、息切れ、腎機能不全、肝機能障害、および/または低血小板数を含む症状を有する妊娠障害である。子癇前症は、典型的には、高尿中タンパク質レベルおよび高血圧により診断される。HELLP症候群は、溶血と肝酵素亢進と低血小板病態との組み合わせである。溶血は、赤血球からのヘモグロビンの放出をもたらす赤血球の破裂を含む疾患である。肝酵素亢進は妊娠誘導肝臓病態を表しうる。低血小板レベルは凝固能力の低減をもたらして出血過剰を引き起こす。HELLPは子癇前症および肝臓障害に関連する。HELLP症候群は、典型的には、妊娠のより後の段階または出産後に起こる。それは、典型的には、関与する3つの病態の存在を表す血液テストにより診断される。典型的にはHELLPは分娩の誘導により治療される。
一部の実施形態では、本発明の化合物または組成物、たとえば医薬組成物は、水溶液中で製剤化される。いくつかの場合には、水溶液は、1つ以上の塩および/または1つ以上の緩衝剤をさらに含む。塩は、塩化ナトリウムを含んでもよく、それは、約0.05mM~約50mM、約1mM~約100mM、約20mM~約200mM、または約50mM~約500mMの濃度で含まれてもよい。さらに、溶液は、少なくとも500mMの塩化ナトリウムを含んでもよい。いくつかの場合には、水溶液は、リン酸ナトリウムを含む。リン酸ナトリウムは、水溶液中に約0.005mM~約5mM、約0.01mM~約10mM、約0.1mM~約50mM、約1mM~約100mM、約5mM~約150mM、または約10mM~約250mMの濃度で含まれてもよい。いくつかの場合には、少なくとも250mMのリン酸ナトリウム濃度が使用される。
ヒト対象の治療のため、C5阻害剤は、医薬組成物として製剤化されてもよい。治療されるべき対象、投与方法、および所望される治療のタイプ(たとえば、予防(prevention)、予防(prophylaxis)、または治療)に応じて、C5阻害剤は、これらのパラメータに適合する方法で製剤化されてもよい。かかる技術の概要は、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(Lippincott Williams & Wilkins)、2005年;および「薬理学テクノロジー百科事典(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)」、J.スワーブリック(J.Swarbrick)およびJ.C.ボイラン(J.C.Boylan)編、1988~1999年、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨークにて見いだされ、それらの各々は参照により本明細書中に組み込まれる。
一部の実施形態では、用量および/または投与は、対象または対象体液(たとえば血漿)におけるC5阻害剤レベルの半減期(t1/2)を調節するため、変更される。いくつかの場合には、t1/2は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、または少なくとも16週間である。
本発明に記載のC5阻害剤投与は、対象に対する潜在的な臨床的リスクを低減するため、変更されてもよい。髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)による感染は、エクリズマブを含むC5阻害剤の公知のリスクである。いくつかの場合には、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)による感染のリスクは、1つ以上の予防ステップを開始することにより最小化される。かかるステップは、既にこれらの細菌によりコロニー形成されうる対象の除外を含んでもよい。いくつかの場合には、予防ステップは、1つ以上の抗生物質の同時投与を含んでもよい。いくつかの場合には、シプロフロキサシンが同時投与されてもよい。いくつかの場合には、シプロフロキサシンは、約100mg~約1000mg(たとえば500mg)の用量で経口的に同時投与されてもよい。
投薬頻度
一部の実施形態では、本発明のC5阻害剤は、毎時間、2時間毎、4時間毎、6時間毎、12時間毎、18時間毎、24時間毎、36時間毎、72時間毎、84時間毎、96時間毎、5日毎、7日毎、10日毎、14日毎、週毎、2週毎、3週毎、4週毎、月毎、2か月毎、3か月毎、4か月毎、5か月毎、6か月毎、毎年、または少なくとも毎年の頻度で投与される。いくつかの場合には、C5阻害剤は、1日1回投与されるか、または一日全体を通して適切な間隔で2回、3回、もしくはより多くの部分用量で投与される。
本明細書に記載のC5阻害剤のいずれかは、キットの一部として提供されてもよい。非限定例では、C5阻害剤は、疾患を治療するためのキット中に含まれてもよい。キットは、滅菌した乾燥C5阻害剤粉末のバイアル、乾燥粉末を溶解するための滅菌溶液、およびC5阻害剤を投与するための注入セット用シリンジを含んでもよい。
生物学的利用率:本明細書で用いられる場合、用語「生物学的利用率」は、対象に投与される所与量の化合物(たとえばC5阻害剤)の全身利用能を指す。生物学的利用率は、非変化形態の化合物の、対象への化合物の投与後の曲線下面積(AUC)または最高血清もしくは血漿濃度(Cmax)を測定することにより評価されうる。AUCは、横軸(X軸)に沿う時間に対する縦座標(Y軸)に沿う化合物の血清もしくは血漿濃度をプロットするときの曲線下面積の測定値である。一般に、特定化合物におけるAUCは、当業者に公知の方法および/またはG.S.バンカー(G.S.Banker)著、モダン・ファーマシューティクス、ドラッグズ・アンド・ザ・ファーマシューティカル・サイエンシーズ(Modern Pharmaceutics,Drugs and the Pharmaceutical Sciences)、第72巻、マーセル・デッカー、ニューヨーク、インコーポレイテッド(Marcel Dekker,New York,Inc.)、1996年(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のような方法を用いて算出されうる。
化合物:本明細書で用いられる場合、用語「化合物」は、特徴的な化学的実体を指す。一部の実施形態では、特定化合物は、1つ以上の異性体または同位体形態(限定はされないが、立体異性体、幾何異性体および同位体を含む)中に存在してもよい。一部の実施形態では、化合物は、単一のかかる形態中に限って提供または利用される。一部の実施形態では、化合物は、2つ以上のかかる形態の混合物(限定はされないが立体異性体のラセミ混合物を含む)として提供または利用される。当業者は、一部の化合物が異なる形態で存在し、異なる特性および/または活性(限定はされないが生物学的活性を含む)を示すことを理解するであろう。かかる場合、本発明に従う使用では、化合物の特定の形態を選択または回避することは当業者の範囲内に含まれる。たとえば、非対称的に置換された炭素原子を含有する化合物は、光学的活性またはラセミ形態で単離されうる。
同一性:本明細書で用いられる場合、用語「同一性」は、ポリペプチドまたは核酸を参照するとき、配列間の比較による関係性を指す。同用語は、高分子配列間の配列関連性の度合いを記述するのに使用され、かつ特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって処理されるギャップアライメント(幾らか存在する場合)に整合する単量体成分の百分率を含んでもよい。関連ポリペプチドの同一性は、公知の方法により容易に算出されうる。かかる方法は、限定はされないが、他者(レスク,A.M.(Lesk,A.M.)編、「計算分子生物学(Computational Molecular Biology)」、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、ニューヨーク、1988年;スミス,D.W.(Smith,D.W.)編、「バイオコンピューティング:インフォマティクスおよびゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects)」、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1993年;グリフィン,A.M.(Griffin,A.M.)ら編、「配列データのコンピュータ解析(Computer Analysis of Sequence Data)」、第1部、ヒューマナプレス(Humana Press)、ニュージャージー、1994年;フォン・ハインヘ,G.(von Heinje,G.)、「分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」、アカデミック・プレス(Academic Press)、1987年;グリブスコフ,M.(Gribskov,M.)ら編、「配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer)」、Mストックトンプレス(M.Stockton Press)、ニューヨーク、1991年;およびカリロ(Carillo)ら著、アプライド・マセマティクス(Applied Math)、エスアイエーエム・ジャーナル(SIAM J)、1988年、第48巻、p.1073)に過去に記載されたものを含む。
非タンパク質構成:本明細書で用いられる場合、用語「非タンパク質構成」は、任意の非天然タンパク質、たとえば非天然成分、たとえば非天然アミノ酸を有する場合を指す。
塩:本明細書で用いられる場合、用語「塩」は、カチオンと結合されたアニオンからなる化合物を指す。かかる化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)または限定はされないが、酢酸塩、塩化物、炭酸塩、シアン化物、亜硝酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびリン酸塩を含む他のクラスの塩を含んでもよい。
対象:本明細書で用いられる場合、用語「対象」は、たとえば、実験、診断、予防、および/または治療目的に、本発明に従う化合物が投与されてもよい任意の生物を指す。典型的な対象は、動物(たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ対象、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳類)を含む。
Tmax:本明細書で用いられる場合、用語「Tmax」は、対象または体液中の化合物の最高濃度が維持される期間を指す。
本発明の種々の実施形態を特定的には提示および説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において形態および細部にさまざまな変更を加えうることは、当業者であれば理解されよう。
(実施例)
実施例1.R5000水溶液の調製
ポリペプチドは標準的な固相Fmoc/tBu法を用いて合成した。合成はRinkアミド樹脂を用いた標準的プロトコルを用いてLiberty自動マイクロ波ペプチドシンセサイザー(CEM、ノースカロライナ州マシューズ)で行ったが、マイクロ波機能を有していない他の自動シンセサイザーを使用してもよい。すべてのアミノ酸は供給業者から入手した。使用したカップリング反応剤は2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)であり、塩基はジイソプロピルエチルアミン(DIEA)であった。ポリペプチドは、95%TFA、2.5%TIS、および2.5%水を用いて樹脂から3時間かけて切断し、エーテルを用いて沈殿により単離された。粗ポリペプチドは、C18カラムを用いた逆相分取HPLCにより20%~50%のグラジエントのアセトニトリル/水 0.1%TFAを用いて30分かけて精製した。純粋ポリペプチドを含有する画分は捕集および凍結乾燥され、すべてのポリペプチドはLC-MSにより分析された。
R5000は、皮下(SC)または静脈内(IV)注射により投与し、投与する用量(投与容量)は、mg/kgに基づく対象体重に基づいて調節する。これは体重階層のセットに調節された一定の用量のセットを用いて得られる。全体として、ヒト投与は、43~109kgの幅広い体重範囲をサポートする。より重い体重(>109kg)を示す対象は、医学的監視を考慮しながらケースバイケースで対応する。
安定性試験は、医薬品規制調和国際会議(ICH)Q1A「新しい原薬および製剤の安定性(Stability of New Drug Substances and Products)」に従って実施する。実施例1の水溶液からの試料を3つの温度:-20℃、5℃、および25℃で保持する。試験間隔は、1か月、2か月、および3か月の後3か月毎で、最長24か月である。試料は、外観(たとえば、透明性、色、沈殿物の存在)、pH、浸透圧、濃度、純度、標的活性(たとえばRBC溶解アッセイによる)、微粒子レベル、内毒素レベル、および無菌性について試験する。試験する温度条件の各々で試料が、可視的粒子を伴わずに透明で無色な外観;7±0.3のpH;260~340mOsm/kgの浸透圧;≧95%の純度(および>3%の単一不純物なし);参照標準に匹敵する標的活性;≧10μmの粒子については≦6,000個の微粒子/バイアルの微粒子レベルおよび≧25μmの粒子については≦600個の微粒子/バイアルのレベル;≦100EU/mLの内毒素レベル;および微生物の非成長を有する場合、試料は安定であると考えられる。
実施例1の水溶液の、複数の凍結および解凍サイクルに曝露されるときの安定性を試験するため、試験を実施した。R5000は、凍結および解凍の5サイクル後、分解または他の変化を示さなかった。
R5000とC5との間の結合相互作用は、表面プラズモン共鳴を用いて測定した。R5000は、25℃で0.42nMの平衡解離定数(KD)(n=3)および37℃で0.78nMのKD(n=3)でC5に結合した。全体的な表面プラズモン共鳴データによると、高分解能共結晶構造の分析と組み合わせると、R5000がC5との特異的な強力かつ迅速な会合および緩徐な解離速度を呈することが示される。
R5000は、C5aおよびC5bへのC5切断の阻害について評価した。宿主C5とのR5000の阻害活性は、薬剤安全性に適した動物モデルを選択する上で重要な要素である。C5切断の阻害は、PNHの治療用に現在唯一認可されている治療薬であるエクリズマブに対する臨床的有効性における基礎である。R5000は、古典経路の活性化に続くC5a形成の用量依存的阻害(IC50=4.8nM;図1)ならびに古典および代替補体経路の活性化時の(C5b-9またはMACの形成による測定としての)C5bの用量依存的阻害(IC50=5.1nM;図2)を示した。
RBC溶解アッセイは、さまざまな種からの血清/血漿中の補体阻害剤をスクリーニングし、被験物質の相対的活性を比較するのに信頼できる方法である。数種における補体機能に対する、R5000を含むペプチドの阻害活性を評価するため、in vitro機能アッセイを使用した。このアッセイでは、古典経路の補体成分が、ウサギ抗ヒツジRBC抗体で予備コーティングしたヒツジRBCを溶解する機能的能力を試験する。抗体でコーティングしたRBCを試験血清とともにインキュベートするとき、補体の古典経路が活性化され、溶血結果がヘモグロビンの放出により監視される。抗体感作ヒツジ赤血球は、このアッセイにおける溶解のためのビヒクルとして使用し、さまざまな種からの血清および/または血漿は、それらの所定の50%溶血性補体活性(CH50)で使用した。
実施例8.カニクイザルにおける薬力学
R5000は、霊長類における補体の強力な阻害剤であることから、動物モデルにおけるR5000の阻害活性を評価するための複数回投与試験用にカニクイザルを選択した。血漿薬物濃度はLC-MSにより測定し、補体活性は、先行する実施例に記載のRBC溶解アッセイを用いてアッセイした。これらの試験からの全体的結果によると、補体活性の>90%阻害を達成するため、サルにおける血漿薬物濃度が2.5μg/mL以上である必要があることが示された(図3を参照)。
R5000をカニクイザルに投与したとき、心血管、呼吸器または中枢神経系パラメータに対する有害作用は認められなかった。安全性薬理パラメータは、in vitroでヒトエーテルアゴーゴー関連遺伝子(hERG)アッセイを用いて、またin vivoでサルを用いて、心血管、呼吸器、およびCNSパラメータについて評価した。CNS安全性薬理評価は、28日非ヒト霊長類毒物試験の一部として実施した。R5000を用いる安全性薬理試験の概要を下表に提示する。
R5000のin vitroおよびin vivo吸収、分布、代謝、および排泄を評価する試験を下表中に列挙する。下表では、CYPはチトクロムP450酵素を指し、UGTはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ酵素を指す。
薬物動態(PK)試験は、ラット(単回投与)およびカニクイザル(単回および複数回投与)において、R5000をリン酸緩衝食塩水配合物(pH7.0)中で用いて実施した。
霊長類試験においては、薬物動態分析は、カニクイザルにおいて静脈内または皮下いずれかの0.4または0.5mg/kgでの単回投与後に実施した。測定した薬物動態(PK)パラメータは、クリアランス(CL)、Vz(分布容積)、Vss(定常状態での見かけの分布容積)、Cmax(最高血漿薬物濃度)、Tmax(薬物投与後に最高血漿濃度に達するまでかかる時間)、t1/2(半減期)、AUC0-last(初回および最終投与間の薬物濃度対時間曲線下面積)、AUC0-∞(時間0~無限大の薬物濃度対時間曲線下面積)、および%F(画分)を含んだ。結果は下表に提示する(NAは不適用を示す)。
分布
in vitroでの血漿タンパク質結合は、10および100μMの薬物濃度での平衡透析による測定によれば、ヒト、ラット、およびサル血漿中で>99.9%であった。高いタンパク質結合および限られた分布容積は、R5000が主に血漿区画に制限され得、血管周囲腔に容易に分布しないことを示す。
血漿および赤血球間で分配される薬物の比は、薬物の薬物動態特性を評価するために要求される重要なパラメータであることから、算出した(下表を参照)。下表では、RBCは赤血球を示し、Pは血漿を表し、WBは全血を表す。
薬物動態・薬物相互作用
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者において一般に投与される薬物は、シクロスポリン(CsA)である。計画された臨床試験に登録されるPNH患者ではR5000がCsAと同時投与される可能性が高いことから、R5000とCsAとの間の薬剤-薬剤相互作用の可能性をカニクイザルにて評価した。
PK/PDモデルは、カニクイザルにおいて得られたin vivoデータを用いてインシリコで構築した。モデルの適合度および正確度は、シミュレーション結果を新規に生成された実験データと比較することにより評価した。一旦サルにおいて確認されると、最終モデルを用いて、非比例的スケーリングをそのパラメータに適用することにより、ヒト薬物動態を予測した。得られたシミュレーションは、ヒトにおける1日1回またはより少ない頻度の計画された投与間隔と、定常状態でほぼ90%の標的阻害を維持する0.1mg/kgの一日量とを支持する(図6を参照)。R5000の長い半減期が理由で、最終ピークおよびトラフ薬物濃度に達するために複数の用量が必要である。血漿Cmaxは、毎日投与で1週間後、薬物濃度が定常状態に達するとき、初回用量よりも約3倍高いことが予想される。
R5000の安全性および薬物動態を評価するため、18~65歳の健常ボランティア(小児および高齢者を除く)における無作為化プラセボ対照二重盲検単一漸増用量、および複数回用量試験を実施した。試験の第1部では、単一漸増用量(SAD)のR5000、またはプラセボを投与して被験者のコホートを分離した。試験の第2部では、複数回用量コホート(MD)は、0.2mg/kgのR5000(n=4)またはプラセボ(n=2)で毎日7日間投与された。R5000のすべての用量は、コホートの用量要件および被験者の体重によって決定される投与容量で皮下注射により投与した。妊娠中または授乳中の被験者、ならびに髄膜炎菌(Neisseria meningitides)の全身感染または定着を有する任意の被験者は除外した。さらに、すべての被験者がシプロフロキサシンによる予防を受け、最高単回用量コホート(すなわち0.4mg/kg)中の被験者、ならびに複数回用量コホート中の被験者は、試験前の少なくとも14日間、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)に対するワクチン接種を受けた。
実施例13.PNHを有する患者の治療
PNHを患う患者は、R5000を0.1mg/kg/日~40mg/kg/日の有効用量で用いて治療する。これらの患者において、90%以上の補体阻害が認められ、Cmaxが3.1μg/mLに達する。
R5000の、1日1回、7日にわたる皮下(SC)注射後の安全性、耐容性、薬物動態ならびに薬物動態および薬力学を評価するように設計された、健常ヒトボランティアにおける第1相複数回投与臨床薬理試験を実施した。試験は、単一施設無作為化二重盲検およびプラセボ(PBO)対照であった。被験者は、臨床薬理学ユニットに収容されつつ、0.2mg/kgのR5000または適合するPBOのSC投与を毎日7日間受けた。安全性は、集中的な臨床的監視により評価し、毎日の血液試料は、液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析によるR5000濃度およびex vivo抗体感作ヒツジ赤血球溶血アッセイにおける補体媒介RBC溶解を阻害する能力を測定するため、投与直前、および各日の投与から3時間後と6時間後に得た。
R5000は、健常ボランティアにおいて、6名中3名の被験者における疼痛、硬結、圧痛または腫脹を伴わないが幾らかの注射部位紅斑(ISE)を伴う点を除き、安全であり、かつ十分な耐容性を示した。すべてが自発的に回復した。バイタルサイン、臨床検査パラメータ(血液学、血液化学、凝固、および尿検査)、身体検査およびECGにおいて、臨床的に有意な変化は認められなかった。
R5000の皮下(SC)注射後の安全性、耐容性、薬物動態および薬力学を評価するように設計された健常ヒトボランティアにおける第1相単一漸増用量臨床薬理試験を実施した。試験は無作為化二重盲検、およびプラセボ(PBO)対照試験であり、臨床薬理学ユニットに3日間収容された4つのSC単一漸増用量コホートを伴った。全被験者が、1日目に1用量のR5000を受けた。4名の被験者(2名がR5000を受け、2名がPBOを受ける)に最低用量レベル(0.05mg/kg)を投与し、1コホートあたり6名の被験者(4名がR5000を受け、2名がPBOを受ける)に3つのより高用量レベル(0.1、0.2、および0.4mg/kg)を逐次投与した。被験者の人口統計情報を下表に提示する。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、記載する。
[項目1]
R5000および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物であって、前記薬学的に許容できる賦形剤が約25mM~約100mMの濃度の塩化ナトリウムおよび約10mM~約100mMの濃度のリン酸ナトリウムを含む、医薬組成物。
[項目2]
R5000が約1mg/mL~約400mg/mLの濃度で存在する、項目1に記載の医薬組成物。
[項目3]
約6.5~約7.5のpHを含む、項目1に記載の医薬組成物。
[項目4]
R5000が約0.1nM~約1nMの平衡解離定数(K D )でC5に結合する、項目1に記載の医薬組成物。
[項目5]
R5000が、補体活性化の代替経路の活性化に続くC5aの産生をブロックする、項目1に記載の医薬組成物。
[項目6]
R5000が、補体活性化の古典経路、代替経路、またはレクチン経路の活性化に続く膜侵襲複合体(MAC)の形成をブロックする、項目1に記載の医薬組成物。
[項目7]
対象における溶血を阻害する方法であって、項目1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[項目8]
前記医薬組成物が、約0.1μg/mL~約20μg/mLのR5000の血漿レベルを達成するのに十分な用量で投与される、項目1に記載の方法。
[項目9]
投与後、溶血が約25%~100%阻害される、項目8に記載の方法。
[項目10]
前記医薬組成物が、少なくとも2日間毎日投与される、項目9に記載の方法。
[項目11]
前記医薬組成物が、7日間毎日投与される、項目9に記載の方法。
[項目12]
前記医薬組成物が、少なくとも100日間毎日投与される、項目9に記載の方法。
[項目13]
投与後の少なくとも1か月間、心血管、呼吸器、および中枢神経系(CNS)の少なくとも1つへの有害な作用が認められない、項目9~12のいずれか一項に記載の方法。
[項目14]
投与後の少なくとも1か月間、心拍数および動脈圧の少なくとも一方における変化が認められない、項目13に記載の方法。
[項目15]
投与後の少なくとも1か月間、呼吸数、一回換気量、および毎分換気量の少なくとも1つに対する変化が認められない、項目13に記載の方法。
[項目16]
前記医薬組成物が、皮下(SC)または静脈内(IV)投与される、項目7~15のいずれか一項に記載の方法。
[項目17]
対象血漿中のR5000レベルの半減期(t 1/2 )が少なくとも4時間である、項目16に記載の方法。
[項目18]
対象血漿中のR5000レベルのt 1/2 が約1日~約10日である、項目16に記載の方法。
[項目19]
対象血漿中のR5000の定常状態分布容積が約10mL/kg~約200mL/kgである、項目16に記載の方法。
[項目20]
対象血漿中のR5000の定常状態分布容積が、全血液量の少なくとも50%に等しい、項目16に記載の方法。
[項目21]
対象血漿中のR5000の総クリアランス速度が約0.04mL/時間/kg~約4mL/時間/kgである、項目16に記載の方法。
[項目22]
対象血漿中のR5000のT max が約1時間~約48時間である、項目16に記載の方法。
[項目23]
R5000の測定可能量の存在が血漿区画に実質的に制限される、項目16に記載の方法。
[項目24]
前記医薬組成物が、約0.01mg~約2mg/kg対象体重のR5000を送達するのに十分な用量で投与される、項目7に記載の方法。
[項目25]
前記対象におけるC5活性化の約50%~約99%が阻害される、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記医薬組成物が、約0.1mg~約0.4mg/kg対象体重のR5000を送達するのに十分な用量で投与される、項目7に記載の方法。
[項目27]
前記医薬組成物が皮下または静脈内に投与される、項目24~26のいずれか一項に記載の方法。
[項目28]
前記医薬組成物が毎日1回以上投与される、項目27に記載の方法。
[項目29]
前記医薬組成物が7日間にわたり投与される、項目28に記載の方法。
[項目30]
初回投与後3時間までの溶血のパーセント阻害が、少なくとも90%~約95%またはそれ以上である、項目27に記載の方法。
[項目31]
溶血のパーセント阻害が、投与の少なくとも7日後の測定によると、少なくとも90%~約95%またはそれ以上である、項目27に記載の方法。
[項目32]
溶血のパーセント阻害が、投与後の少なくとも4日間、少なくとも90%~約95%またはそれ以上である、項目27に記載の方法。
[項目33]
溶血の最大阻害および補体活性の最大阻害の少なくとも一方が、投与の約2時間後~投与の約4時間後に達成される、項目27に記載の方法。
[項目34]
R5000が0.2mg/kgの用量で投与される、項目33に記載の方法。
[項目35]
最終投与の24時間後、溶血が3%以下である、項目28に記載の方法。
[項目36]
前記7日間中、補体活性が約1パーセント~約10パーセントまで低下する、項目29に記載の方法。
[項目37]
最終投与の24時間後、補体活性が5%以下である、項目28に記載の方法。
[項目38]
前記医薬組成物が、約0.1mg/日~約60mg/日/kg対象体重のR5000を送達するのに十分な用量で、皮下または静脈内注射により毎日投与される、項目7に記載の方法。
[項目39]
達成される最高血清濃度(C max )が約0.1μg/mL~約1000μg/mLである、項目38に記載の方法。
[項目40]
曲線下面積(AUC)が約200μg * 時間/mL~約10,000μg * 時間/mLである、項目38に記載の方法。
[項目41]
項目1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物の皮下または静脈内投与を含む、それを必要とする対象における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を治療する方法。
[項目42]
前記対象が抗体に基づく治療薬を用いて以前に治療されている、項目41に記載の方法。
[項目43]
前記対象におけるPNHが、前記抗体に基づく治療薬を用いる治療に対して抵抗性または非応答性を示した、項目42に記載の方法。
[項目44]
前記抗体に基づく治療薬がエクリズマブである、項目42または43に記載の方法。
[項目45]
項目1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物およびその使用説明書を含むキット。
[項目46]
項目1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む自動注射装置。
Claims (45)
- 対象における溶血の阻害に使用するための医薬組成物であって、
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよび薬学的に許容できる賦形剤を含み、前記薬学的に許容できる賦形剤が25mM~100mMの濃度の塩化ナトリウムおよび10mM~100mMの濃度のリン酸ナトリウムを含む、医薬組成物。 - 前記医薬組成物が、0.1μg/mL~20μg/mLの前記ポリペプチドの血漿レベルを達成するのに十分な用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 投与後、溶血が25%~100%阻害される、請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、少なくとも2日間毎日投与される、請求項3に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、7日間毎日投与される、請求項3に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、少なくとも100日間毎日投与される、請求項3に記載の医薬組成物。
- 投与後の少なくとも1か月間、心血管、呼吸器、および中枢神経系(CNS)の少なくとも1つへの有害な作用が認められない、請求項3~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 投与後の少なくとも1か月間、心拍数および動脈圧の少なくとも一方における変化が認められない、請求項7に記載の医薬組成物。
- 投与後の少なくとも1か月間、呼吸数、一回換気量、および毎分換気量の少なくとも1つに対する変化が認められない、請求項7に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、皮下(SC)または静脈内(IV)投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 対象血漿中の前記ポリペプチドレベルの半減期(t1/2)が少なくとも4時間である、請求項10に記載の医薬組成物。
- 対象血漿中の前記ポリペプチドレベルのt1/2が1日~10日である、請求項10に記載の医薬組成物。
- 対象血漿中の前記ポリペプチドの定常状態分布容積が10mL/kg~200mL/kgである、請求項10に記載の医薬組成物。
- 対象血漿中の前記ポリペプチドの定常状態分布容積が、全血液量の少なくとも50%に等しい、請求項10に記載の医薬組成物。
- 対象血漿中の前記ポリペプチドの総クリアランス速度が0.04mL/時間/kg~4mL/時間/kgである、請求項10に記載の医薬組成物。
- 対象血漿中の前記ポリペプチドのTmaxが1時間~48時間である、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記ポリペプチドの測定可能量の存在が血漿区画に実質的に制限される、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、0.01mg~2mg/kg対象体重の前記ポリペプチドを送達するのに十分な用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記対象におけるC5活性化の50%~99%が阻害される、請求項18に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、0.1mg~0.4mg/kg対象体重の前記ポリペプチドを送達するのに十分な用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が皮下または静脈内に投与される、請求項18~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が毎日1回以上投与される、請求項21に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が7日間にわたり投与される、請求項22に記載の医薬組成物。
- 初回投与後3時間までの溶血のパーセント阻害が、少なくとも90%~95%またはそれ以上である、請求項21に記載の医薬組成物。
- 溶血のパーセント阻害が、投与の少なくとも7日後の測定によると、少なくとも90%~95%またはそれ以上である、請求項21に記載の医薬組成物。
- 溶血のパーセント阻害が、投与後の少なくとも4日間、少なくとも90%~95%またはそれ以上である、請求項21に記載の医薬組成物。
- 溶血の最大阻害および補体活性の最大阻害の少なくとも一方が、投与の2時間後~投与の4時間後に達成される、請求項21に記載の医薬組成物。
- 前記ポリペプチドが0.2mg/kgの用量で投与される、請求項27に記載の医薬組成物。
- 最終投与の24時間後、溶血が3%以下である、請求項22に記載の医薬組成物。
- 前記7日間中、補体活性が1パーセント~10パーセントまで低下する、請求項23に記載の医薬組成物。
- 最終投与の24時間後、補体活性が5%以下である、請求項22に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、0.1mg/日~60mg/日/kg対象体重の前記ポリペプチドを送達するのに十分な用量で、皮下または静脈内注射により毎日投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 達成される最高血清濃度(Cmax)が0.1μg/mL~1000μg/mLである、請求項32に記載の医薬組成物。
- 曲線下面積(AUC)が200μg*時間/mL~10,000μg*時間/mLである、請求項32に記載の医薬組成物。
- 治療を必要とする対象における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療用の医薬組成物であって、皮下または静脈内投与され、
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよび薬学的に許容できる賦形剤を含み、前記薬学的に許容できる賦形剤が25mM~100mMの濃度の塩化ナトリウムおよび10mM~100mMの濃度のリン酸ナトリウムを含む、医薬組成物。 - 前記対象が抗体に基づく治療薬を用いて以前に治療されている、請求項35に記載の医薬組成物。
- 前記対象におけるPNHが、前記抗体に基づく治療薬を用いる治療に対して抵抗性または非応答性を示した、請求項36に記載の医薬組成物。
- 前記抗体に基づく治療薬がエクリズマブである、請求項36または37に記載の医薬組成物。
- 前記ポリペプチドが1mg/mL~400mg/mLの濃度で存在する、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 6.5~7.5のpHを有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記ポリペプチドが0.1nM~1nMの平衡解離定数(KD)でC5に結合する、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記ポリペプチドが、補体活性化の代替経路の活性化に続くC5aの産生をブロックする、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記ポリペプチドが、補体活性化の古典経路、代替経路、またはレクチン経路の活性化に続く膜侵襲複合体(MAC)の形成をブロックする、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬組成物およびその使用説明書を含む、対象における溶血の阻害、または治療を必要とする対象における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療に使用するためのキット。
- 請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む、対象における溶血の阻害、または治療を必要とする対象における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療に使用するための自動注射装置。
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