以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、説明する部分が認識可能な程度の大きさとなるように、適宜拡大または縮小して表示している。
本実施形態では、電気光学装置として画素ごとに薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;以降TFTと称す)を備えたアクティブ駆動型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
(第1実施形態)
<電気光学装置>
本実施形態の電気光学装置としての液晶装置の主な構成について、図1~図3を参照して説明する。図1は第1実施形態の電気光学装置としての液晶装置の構成を示す概略平面図、図2は図1のH-H’線に沿った液晶装置の構造を示す概略断面図、図3は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100は、互いに対向配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10の基材10s及び対向基板20の基材20sは、透光性を有する例えば石英基板やガラス基板などが用いられている。なお、素子基板10における基材10sが本発明における透光性の基板に相当するものである。
素子基板10は、対向基板20よりも一回り大きい。素子基板10と対向基板20とは、対向基板20の外縁部に沿って額縁状に配置されたシール材40を介して貼り合わされ、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて、液晶層50が構成されている。シール材40は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
シール材40の内側には、複数の画素Pがマトリックス状に配列した表示領域Eが設けられている。また、対向基板20には、シール材40と表示領域Eとの間に表示領域Eを取り囲む見切り部21が設けられている。見切り部21は、例えば遮光性の金属あるいは該金属の合金や酸化物などで構成されている。なお、表示領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pに加えて、複数の画素Pを囲むように配置されたダミー画素を含むとしてもよい。
素子基板10には、複数の外部接続端子104が配列した端子部が設けられている。素子基板10の上記端子部に沿った第1の辺部とシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、第1の辺部に対向する第2の辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に検査回路103が設けられている。さらに、第1の辺部と直交し互いに対向する第3の辺部及び第4の辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に走査線駆動回路102が設けられている。第2の辺部のシール材40と検査回路103との間には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、第1の辺部に沿って配置された複数の外部接続端子104に接続されている。以降、第1の辺部に沿った方向をX方向とし、第3の辺部及び第4の辺部に沿った方向をY方向として説明する。また、本明細書では、X方向およびY方向と直交し、対向基板20の法線方向から見ることを「平面視」あるいは「平面的」という。
図2に示すように、素子基板10は、基材10s、並びに基材10sの液晶層50側の面に形成されたトランジスターとしてのTFT30や画素電極15、及び画素電極15を覆う配向膜18などを有している。TFT30や画素電極15は、画素Pの構成要素である。画素Pの詳細は後述する。
対向基板20は、基材20s、並びに基材20sの液晶層50側の面に順に積層された見切り部21、平坦化層22、対向電極23、及び配向膜24などを有している。
見切り部21は、図1に示すように表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの駆動回路を含む周辺回路に入射する光を遮り、周辺回路が光によって誤動作することを防止する役割を有している。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮光して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
平坦化層22は、例えばシリコン酸化物などの無機材料からなり、透光性を有して見切り部21を覆うように設けられている。このような平坦化層22は、例えばプラズマCVD法などを用いて形成された酸化シリコン膜であり、平坦化層22上に形成される対向電極23の液晶層50側の表面が平坦となるように設けられている。
対向電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜からなり、平坦化層22を覆うと共に、図1に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
画素電極15を覆う配向膜18及び対向電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて設定されており、シリコン酸化物などの無機材料の斜め蒸着膜(無機配向膜)が採用されている。配向膜18,24は、無機配向膜の他にポリイミドなどの有機配向膜を採用してもよい。
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
次に、図3を参照して、液晶装置100の電気的な構成について説明する。液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3及び複数のデータ線6aと、共通電位(LCCOM)が印加される固定電位配線7とを有する。なお、図3では、Y方向に延在するデータ線6aに沿って並行するように固定電位配線7を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。なお、走査線3は、本発明におけるゲート配線の一例である。
X方向に延在する走査線3とY方向に延在するデータ線6aとで区分された領域には、画素電極15と、TFT30と、2つの蓄積容量36,37とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。2つの蓄積容量36,37は、TFT30及び画素電極15と、固定電位配線7との間で電気的に並列接続されている。2つの蓄積容量36,37を総合して画素容量と呼び、説明の都合上、それぞれ、第1蓄積容量36、第2蓄積容量37、と呼ぶ。なお、画素容量において並列接続される蓄積容量の数は、2つに限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
走査線3はTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続され、画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aは、データ線駆動回路101(図1参照)に接続されている。画像信号D1,D2,…,Dnは、データ線駆動回路101からデータ線6aを経由して各画素Pに供給される。走査線3は、走査線駆動回路102(図1参照)に接続されている。走査信号SC1,SC2,…,SCmは、走査線駆動回路102から走査線3を経由して各画素Pに供給される。
データ線駆動回路101から供給される画像信号D1~Dnは、この順に線順次でデータ線6aに供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3に対して、走査信号SC1~SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1~SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1~Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1~Dnは、画素電極15と対向電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1~Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と対向電極23との間に形成される液晶容量と並列に画素容量(第1蓄積容量36、第2蓄積容量37)が接続されている。
なお、図1に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図3の等価回路では省略している。
また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
次に、液晶装置100における画素Pの配置について、図4を参照して説明する。図4は画素の配置を示す概略平面図である。
図4に示すように、液晶装置100における画素Pは、X方向とY方向とにマトリックス状に配置されている。画素Pは、例えば平面視で略四角形(略正方形)の開口領域(開口部とも言う)を有する。開口領域は、X方向とY方向とに延在し格子状に設けられた遮光性の非開口領域(非開口部とも言う)により囲まれている。
X方向に延在する非開口領域には、図3に示した走査線3が設けられている。走査線3は遮光性の導電部材が用いられており、走査線3によって非開口領域の一部が構成されている。
同じく、Y方向に延在する非開口領域には、図3に示したデータ線6aが設けられている。データ線6aも遮光性の導電部材が用いられており、データ線6aによって非開口領域の一部が構成されている。
X方向とY方向とに延在する非開口領域の交差部付近には、図3に示したTFT30や画素容量(第1蓄積容量36、第2蓄積容量37)が設けられている。詳しい画素Pの構造については後述するが、交差部付近にTFT30や画素容量を設ける関係上、交差部付近の非開口領域の幅は、他の部分に比べて広くなっている。具体的には、非開口領域の交差部からY方向における上方側に拡張され、X方向に隣り合う画素P側に突出するように非開口領域が設けられている。遮光性を有する非開口領域の交差部付近にTFT30や画素容量を設けることにより、開口領域における開口率を確保している。
画素Pごとに画素電極15が設けられている。画素電極15は平面視で略正方形であり、画素電極15の外縁が非開口領域と重なるようにして開口領域に設けられている。なお、このような非開口領域の交差部の平面形状は、TFT30、画素容量、画素電極15の配置と、これらの電気的な構成要素を互いに接続させる配線やコンタクト部の配置とに関わるものである。素子基板10における詳しい配線構造については後述する。
本実施形態の液晶装置100は、透過型であって、素子基板10側から光が入射することを前提として構成されている。素子基板10には、前述したように、画素PごとにTFT30、画素電極15、画素容量が設けられている。また、画素容量は上述したように第1蓄積容量36と、第2蓄積容量37とを含んで構成され、非開口領域に配置されている。言い換えれば、第1蓄積容量36及び第2蓄積容量37と、これらの蓄積容量が接続される固定電位配線7もまた非開口領域の一部を構成している。なお、透過型の液晶装置100に対する光の入射方向は、素子基板10側からに限定されず、対向基板20側からとしてもよい。また、液晶装置100は、入射する光を画素Pごとに集光させるマイクロレンズなどの集光手段を、光が入射する側の基板に備える構成としてもよい。
<画素における電気的な構成の配置>
次に、素子基板10の画素Pにおける上述した電気的な構成の平面的な配置について、図5~図9を参照して説明する。図5は画素におけるトランジスターと関連する構成との配置を示す概略平面図である。なお、図5では、走査線3よりも下層に位置する構成を分かり易くするため、走査線3は外形のみを実線にて図示している。
上述したように、TFT30は、画素Pにおいて非開口領域の交差部付近に設けられている。具体的には、図5に示すように、TFT30は半導体層30aを有している。半導体層30aは、細長い形状となっており、非開口領域の交差部にチャネル領域30cが位置するように、Y方向に延在して配置されている。TFT30は、チャネル領域30cに平面視で重なるように配置されたゲート電極30gを有している。言い換えれば、半導体層30aに対して平面視でゲート電極30gが重なった領域がチャネル領域30cである。
半導体層30aのY方向の下方端に、データ線6aとの電気的な接続を図るためのコンタクト部31が設けられている。また、半導体層30aのY方向の上方端に、画素容量や画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部32が設けられている。
本実施形態では、半導体層30aのチャネル領域30cを挟む2つのソース・ドレイン領域のうち、画素容量や画素電極15に電気的に接続される側をドレイン領域30dと呼び、データ線6aに電気的に接続される側をソース領域30sと呼ぶ。チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間には、不純物イオンの注入量がドレイン領域30dに比べて低濃度な低濃度ドレイン領域30eが設けられている。また、チャネル領域30cとソース領域30sとの間には、不純物イオンの注入量がソース領域30sに比べて低濃度な低濃度ソース領域30fが設けられている。このような半導体層30aの構造は、LDD(Lightly doped drain)構造と呼ばれている。
本実施形態では、半導体層30aの下層に、第1遮光層4と、第2遮光層5とが配置されている。素子基板10の基材10s上における第1遮光層4と第2遮光層5の詳しい配置は後述するが、基材10sと半導体層30aとの間に第1遮光層4が配置され、第1遮光層4と半導体層30aとの間に第2遮光層5が配置されている。
第1遮光層4は、平面視でクロス状であって、2つのコンタクト部31,32を含む半導体層30aと重なって配置されている。クロス状の第1遮光層4のX方向に幅が広くなった拡張部4aには、固定電位配線7(図3参照)との電気的な接続を図るための一対のコンタクト部34が設けられている。一対のコンタクト部34は平面視でY方向に長い矩形状であって、半導体層30aのチャネル領域30cとコンタクト部32との間の低濃度ドレイン領域30e及びドレイン領域30dをX方向に挟んで対向するように設けられている。一対のコンタクト部34は、本発明の第1コンタクト部の一例である。
第2遮光層5は、平面視でY方向に延びる略長方形であって、コンタクト部32を除く半導体層30aと重なって配置されている。第2遮光層5は、チャネル領域30cと重なる部分からX方向に突出する突出部5eを有している。ゲート電極30gもまた、第2遮光層5の突出部5eと平面視で重なる突出部を有している。第2遮光層5の突出部5eにはゲート電極30gとの電気的な接続を図るためのコンタクト部33aが設けられている。つまり、ゲート電極30gは、コンタクト部33aを介して第2遮光層5と電気的に接続されている。
走査線3は、X方向に延在する本線部3aと、本線部3aからY方向の下側に突出する突出部3bとを有している。走査線3は、Y方向における幅が広くなった突出部3bを含む部分がゲート電極30gと平面視で重なるように配置されている。詳しくは後述するが、走査線3はゲート電極30gと重なった部分で電気的にゲート電極30gと接続されている。また、基材10s上において、走査線3と同じ配線層に中継層3cと中継層3dとが設けられている。中継層3cは、走査線3から離間した位置において、コンタクト部31と重なる位置に設けられている。中継層3dもまた、走査線3から離間した位置において、コンタクト部32と重なる位置に設けられている。
つまり、第1遮光層4には固定電位配線7(図3参照)から固定電位である共通電位(LCCOM)が与えられ、第2遮光層5には走査線3からゲート電極30gを介してゲート電位が与えられる構成となっている。
本実施形態では、上記のコンタクト部33aが設けられる突出部5eは、平面視で走査線3の本線部3aと重なるように配置されている。言い換えれば、第2遮光層5の突出部5eは画素Pの開口領域にはみ出していない。したがって、突出部5eを設けることによる画素Pにおける開口率の低下が避けられている。なお、走査線3の本線部3a及び第2遮光層5の突出部5eの配置は、これに限定されるものではないため、突出部5eを開口領域にはみ出すように配置してもよい。
本実施形態における画素容量は、上述したように並列接続された第1蓄積容量36と第2蓄積容量37とを含むものである。素子基板10の基材10s上における画素容量の詳しい構造については後述するが、誘電体膜を挟んで3つの容量電極を重ねることによって第1蓄積容量36と第2蓄積容量37とを構成している。3つの容量電極を基材10s側から順に、第1容量電極、第2容量電極、第3容量電極と呼ぶこととする。
図6は画素における第1容量電極の配置を示す概略平面図、図7は画素における第2容量電極の配置を示す概略平面図、図8は画素における第3容量電極とデータ線の配置を示す概略平面図、図9は画素における固定電位配線と画素電極の配置を示す概略平面図である。なお、図8では、データ線6aよりも下層に位置する構成を分かり易くするため、データ線6aは外形のみを実線で図示している。同様に、図9では、固定電位配線7よりも下層に位置する構成を分かり易くするため、固定電位配線7は外形のみを実線で図示している。
図6に示すように、第1蓄積容量36の第1容量電極36aは、非開口領域の交差部付近において、画素PごとにTFT30と重なって配置されている。具体的には、第1容量電極36aは、平面視で走査線3の本線部3aと重なって上記交差部からX方向の右側に延びる第1の部分36a1と、第1の部分36a1からY方向の上方側に延びて拡張された第2の部分36a2と、第1の部分36a1からY方向の下方側に延びる第3の部分36a3と、走査線3の本線部3aと重なって上記交差部からX方向の左側に延びる第4の部分36a4と、を有している。第1容量電極36aは、Y方向において、平面視で2つのコンタクト部31,32の間に配置され、TFT30と重なっている。
第1容量電極36aの第2の部分36a2は、半導体層30a(TFT30)の下層にあるクロス状の第1遮光層4におけるX方向に幅が広がった拡張部4a(図5参照)と平面視で重なっている。そして、当該拡張部4aに設けられた一対のコンタクト部34(図5参照)によって、第1遮光層4と第1容量電極36aとが電気的に接続されている。
第1容量電極36aの第4の部分36a4には、後述する第3容量電極37a(図8参照)との電気的な接続を図るためのコンタクト部38aが設けられている。なお、第3容量電極37aは、固定電位配線7と電気的に接続される。つまり、第1遮光層4及び第1容量電極36aは電気的に固定電位配線7と接続されることになる。以降、容量電極と固定電位配線7との電気的な接続に関わるコンタクト部を総称してコンタクト部38と呼ぶ。
図7に示すように、第1蓄積容量36及び第2蓄積容量37に関わる第2容量電極36bは、非開口領域の交差部付近において、画素Pごとに上述した第1容量電極36aと重なって配置されている。具体的には、第2容量電極36bは、平面視で走査線3の本線部3aと重なって(第1容量電極36aの第1の部分36a1と重なって)上記交差部からX方向の右側に延びる第1の部分36b1と、第1の部分36b1からY方向の上方側に延びて拡張された第2の部分36b2と、第2の部分36b2からさらにY方向の上方側に延びる第3の部分36b3と、第1の部分36b1からY方向の下方側に延びる第4の部分36b4と、を有している。第2容量電極36bは、平面視で2つのコンタクト部31,32のうち、コンタクト部32と第3の部分36b3とが重なるように配置されている。つまり、第2容量電極36bは、中継層3dとコンタクト部32とを介して半導体層30aのドレイン領域30dと電気的に接続されている(図6参照)。
第2容量電極36bは、第2の部分36b2から第1の部分36b1に沿ってX方向の右側にわずかに突出した突出部36b5を有している。突出部36b5には、画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部39aが設けられている。以降、画素電極15との電気的な接続に関わるコンタクト部を総称してコンタクト部39と呼ぶ。
図8に示すように、第2蓄積容量37に関わる第3容量電極37aは、非開口領域の交差部付近において、画素Pごとに上述した第2容量電極36bと重なって配置されている。具体的には、第3容量電極37aは、平面視で走査線3の本線部3aと重なって(第2容量電極36bの第1の部分36b1と重なって)上記交差部からX方向の右側に延びる第1の部分37a1と、第1の部分37a1からY方向の上方側に延びて拡張された第2の部分37a2と、第2の部分37a2からさらにY方向の上方側に延びる第3の部分37a3と、走査線3の本線部3aと重なって(第1容量電極36aの第4の部分36a4と重なって)上記交差部からX方向の左側に延びる第4の部分37a4と、第1の部分37a1からY方向の下方側に延びる第5の部分37a5と、を有している。第3容量電極37aには、第2容量電極36bの突出部36b5と重なる部分を切り欠いた切欠き部37a6が設けられている。
第3容量電極37aの第4の部分37a4には、固定電位配線7との電気的な接続を図るためのコンタクト部38bが設けられている。
データ線6aは、半導体層30aに設けられたコンタクト部31と、第3容量電極37aの第3の部分37a3及び第5の部分37a5と重なるように、Y方向に延在して配置されている。また、詳しくは後述するが、素子基板10の基材10s上において、データ線6aと同じ配線層に中継層6bが設けられている。中継層6bは、第3容量電極37aに平面視で重ならないように上述した切欠き部37a6に配置されている。中継層6bには画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部39bが設けられている。
図9に示すように、固定電位配線7は、非開口領域の交差部において、第3容量電極37aと重なるように配置されている。具体的には、固定電位配線7は、平面視で走査線3の本線部3aと重なるようにX方向に延在する第1の部分7aと、平面視でデータ線6aと重なるようにY方向に延在する第2の部分7bとを有している。つまり、固定電位配線7は、マトリックス状に配置された画素Pを囲む格子状となっている。第3容量電極37aと固定電位配線7とは、上述した第3容量電極37aの第4の部分37a4に設けられたコンタクト部38bによって電気的に接続されている。なお、固定電位配線7は、画素Pを囲む格子状であることに限定されず、第3容量電極37aとの電気的な接続が可能な状態であれば、X方向またはY方向に延在する形態であってもよい。
詳しくは後述するが、素子基板10の基材10s上において、固定電位配線7と同じ配線層に中継層7cが設けられている。中継層7cは、平面視で第3容量電極37aと重ならないように、上述した切欠き部37a6に配置されている。中継層7cには画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部39cが設けられている。
画素電極15は、平面視で外縁が格子状の固定電位配線7及び中継層7cと重なるように、画素Pの開口領域に配置されている。中継層7cに設けられたコンタクト部39cによって中継層7cと画素電極15とが電気的に接続されている。
<素子基板の配線構造>
次に、素子基板10の配線構造について、図10~図12を参照して説明する。図10は図5あるいは図9のA-A’線に沿った素子基板の配線構造を示す概略断面図、図11は図9のB-B’線に沿った素子基板の配線構造を示す概略断面図、図12は図5あるいは図9のC-C’線に沿った素子基板の配線構造を示す概略断面図である。A-A’線は、図5に示すように、第1遮光層4、コンタクト部34、第2遮光層5、半導体層30a(ドレイン領域30d、低濃度ドレイン領域30e、チャネル領域30c、低濃度ソース領域30f、ソース領域30s)、コンタクト部31を横断する線分である。B-B’線は、図9に示すように、固定電位配線7の第2の部分7bと、中継層7cとをX方向に横断する線分である。C-C’線は、図5に示すように、コンタクト部33a、第2遮光層5、ゲート電極30g、半導体層30aのチャネル領域30cをX方向に横断すると共に、図9に示すように、コンタクト部38b、第3容量電極37a、固定電位配線7の第1の部分7aをX方向に横断する線分である。
図10に示すように、素子基板10の基材10s上には、まず、第1遮光層4が形成される。第1遮光層4は、例えば、Ti、Cr、Mo、Ta、W、などの高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、これらを積層したもの、あるいは導電性のポリシリコンなどを用いて形成される。特に、第1遮光層4は、基材10s側から入射する光を遮光すると共に、基材10sと反対側から入射した光をTFT30の半導体層30a側に反射させないという観点から、遮光性を有する金属シリサイドを用いて形成することが好ましく、本実施形態では第1遮光層4はタングステンシリサイド(WSi)を用いて形成されている。第1遮光層4の膜厚は例えば150nmである。なお、第1遮光層4はフォトリソグラフィー法により上述したように非開口領域の交差部に対応した位置に平面視でクロス状に形成される。
次に、第1遮光層4を覆う第1絶縁膜11aが形成される。第1絶縁膜11aは、意図的に不純物が導入されていない、例えば酸化シリコン膜(None-doped Silicate Glass;NSG膜)や窒化シリコン膜(SixNy膜)を用いて形成される。第1絶縁膜11aの形成方法としては、モノシラン(SiH4)、2塩化シラン(SiCl2H2)、TEOS(テトラエトキシシラン)、アンモニアなどの処理ガスを用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法などを挙げることができる。第1絶縁膜11aの膜厚は例えば200nmである。
次に、第1絶縁膜11a上に第2遮光層5が形成される。第2遮光層5もまた第1遮光層4と同様に、例えば、Ti、Cr、Mo、Ta、W、などの高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、これらを積層したもの、あるいは導電性のポリシリコンなどを用いて形成される。本実施形態では第2遮光層5はWSiを用いて形成され、その膜厚は例えば150nmである。なお、第2遮光層5はフォトリソグラフィー法により上述したように非開口領域の交差部に対応した位置に平面視でY方向に延びる矩形状に形成される。
次に、第2遮光層5を覆って第2絶縁膜11bが形成される。第2絶縁膜11bもまた第1絶縁膜11aと同様に、意図的に不純物が導入されていない、例えばNSG膜や窒化シリコン膜を用いて形成される。第2絶縁膜11bの膜厚は、例えば300nmである。基板10s上において、第2遮光層5と半導体層30aとの間の距離が、半導体層30aとゲート電極30gとの間の距離よりも大きくなるように、第2絶縁膜11bの膜厚と、後述するゲート絶縁膜11cの膜厚とが設定されている。
次に、第2絶縁膜11b上にTFT30の半導体層30aが形成される。半導体層30aは例えば減圧CVD法などで堆積させた非晶質シリコン膜に結晶化が施されたポリシリコン膜からなる。ポリシリコン膜に、不純物イオンが選択的に注入されて、ドレイン領域30d、低濃度ドレイン領域30e、チャネル領域30c、低濃度ソース領域30f、ソース領域30sが形成されている。半導体層30aの膜厚は例えば50nmである。チャネル領域30cに接合する側に不純物イオンの注入量が低い低濃度領域(Low Doped Drain;LDD領域)を含んでいる。つまり、半導体層30aは、チャネル領域30cを挟んで電気的に抵抗が高い領域を形成することでオフ時のリーク電流を抑制するLDD構造が取り入れられている。オフ時のリーク電流を抑制する観点では、画素容量や画素電極15が電気的に接続されるドレイン領域30dとチャネル領域30cとの接合部分にLDD領域を含む構成とすればよい。以降、低濃度ドレイン領域30eをLDD領域30e、低濃度ソース領域30fをLDD領域30fと呼ぶ。
非晶質シリコン膜を結晶化してポリシリコン膜とする際には、例えば1000℃以上の高温処理が施される。石英などからなる基材10sと半導体層30aとの間には、第1遮光層4、第1絶縁膜11a、第2遮光層5、第2絶縁膜11bが存在している。上述したように第1絶縁膜11aや第2絶縁膜11bは例えば酸化シリコン膜などが用いられることから、上記高温処理によって、基材10sや酸化シリコン膜に接するWSiからなる第1遮光層4や第2遮光層5の酸化が進んで結晶性が変化し、それぞれ遮光性が低下したとしても、半導体層30aの下層には2つの遮光層が配置されているので、基材10s側から半導体層30aに入射する光を確実に遮光できる構成となっている。
次に、半導体層30aを覆うゲート絶縁膜11cが形成される。ゲート絶縁膜11cは例えばシリコンの半導体膜を熱酸化して得られた第1酸化シリコン膜と、減圧CVD法を用い700℃から900℃の高温条件で形成された第2酸化シリコン膜との二層構造となっている。ゲート絶縁膜11cの膜厚は例えば75nmである。
次に、ゲート絶縁膜11c上において、半導体層30aのチャネル領域30cに対向する位置にゲート電極30gを形成する。ゲート電極30gは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜などを用いて形成される。本実施形態では、ゲート電極30gは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との二層構造となっている。導電性のポリシリコン膜は、減圧CVD法で燐(P)がドープされたポリシリコン膜を堆積させた後に、燐拡散処理を行い、ポリシリコン膜中に燐原子が1×1019個/cm3以上の濃度で含まれるように形成したものである。ゲート電極30gの膜厚は例えば150nmである。本実施形態において、以降、導電性のポリシリコン膜は、上述したように、燐原子がドープされることで導電性が付与されたものを指すこととする。なお、ドープされる原子は燐(P)に限定されない。
次に、ゲート電極30gを覆う第1層間絶縁膜11dが形成される。第1層間絶縁膜11dは、前述したNSG膜、あるいは燐(P)を含むPSG(Phospho Silicate Glass)膜、硼素を含むBSG(Boro Silicate Glass)膜、硼素(B)と燐(P)とが含まれるBPSG(Boro-phospho Silicate Glass)膜などのシリコン系酸化膜を用いて形成される。これらのシリコン系酸化膜の形成方法としては、モノシラン、2塩化シラン、TEOS、TEB(トリエチルボレート)、TMPO(トリメチルホスフェート)などを用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法などを挙げることができる。なお、第1層間絶縁膜11dの表面には、ゲート電極30gを含むTFT30を覆うことで凹凸が生ずることから、この後に形成される電極や配線などのパターニング性を考慮して該凹凸を緩和する化学的機械的処理(Chemical&Mechanical Polishing;CMP処理)などの平坦化処理が施される。平坦化処理後の第1層間絶縁膜11dの膜厚は例えば300nmである。
次に、第1層間絶縁膜11dを貫通してゲート電極30gに至る貫通孔や、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してソース領域30sに至る貫通孔を形成する。なお、図10には図示していないが、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してドレイン領域30dに至る貫通孔も形成される。これらの貫通孔の少なくとも内壁を被覆、あるいは貫通孔を埋めるようにして、第1層間絶縁膜11d上に導電膜を成膜しパターニングすることによって、コンタクト部33bと、コンタクト部33bを介してゲート電極30gに電気的に繋がる本線部3aを有する走査線3とが形成される。また、コンタクト部31と、コンタクト部31を介してソース領域30sに電気的に繋がる中継層3cとが形成される。同様に、図10には図示していないが、コンタクト部32と、コンタクト部32を介してドレイン領域30dに繋がる中継層3dとが形成される(図5参照)。このような走査線3、コンタクト部31,32及び中継層3c,3dをなす導電膜としては、例えば低抵抗金属であるAl(アルミニウム)や、Ti(チタン)あるいはTiN(窒化チタン)からなる層を含む多層構造の配線層が挙げられる。該配線層の厚みは例えば250nmである。
次に、走査線3や中継層3c(及び中継層3d)を覆う第2層間絶縁膜11eが形成される。第2層間絶縁膜11eもまた、第1層間絶縁膜11dと同様に、NSG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜などのシリコン系酸化膜を用いて形成される。形成された第2層間絶縁膜11eの表面は、下層の配線層の影響を受けて凹凸が生ずることから、例えばCMP処理などの平坦化処理が施される。平坦化処理後の第2層間絶縁膜11eの膜厚は例えば300nmである。
次に、第2層間絶縁膜11e、第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11b、第1絶縁膜11aを貫通して第1遮光層4に至る貫通孔が形成される。詳しくは、第1遮光層4に至る貫通孔は、半導体層30aのドレイン領域30dを挟んで対向する一対の溝として形成される。そして、一対の溝を埋めるように導電膜を成膜してパターニングすることにより一対のコンタクト部34を形成する。一対のコンタクト部34は、図5に示したように、X方向において、半導体層30aのドレイン領域30dを挟んで対向するように形成される。
次に、第2層間絶縁膜11e上に第1蓄積容量36と第2蓄積容量37とを形成する。具体的には、第1容量電極36a、誘電体膜36c、第2容量電極36b、誘電体膜37c、第3容量電極37aの順にそれぞれ成膜してパターニングし、積層することで第1蓄積容量36と第2蓄積容量37とを形成する。容量電極としては例えばTiN(窒化チタン)を用いる。第1容量電極36a及び第2容量電極36bの膜厚は例えば50nmである。第3容量電極37aの膜厚は例えば100nmである。誘電体膜としては、酸化シリコンなどに比べて高い誘電率を有するHfO2(酸化ハフニウム)と優れた耐圧性を有するAl2O3(酸化アルミニム)とをこの順に積層した多層膜を用いる。なお、第1容量電極36aはコンタクト部34と電気的に繋がるようにパターニングされる。また、図10には図示していないが、第1容量電極36aと第3容量電極37aとが電気的に繋がるようにそれぞれパターニングされる。
次に、第1蓄積容量36及び第2蓄積容量37を覆う第3層間絶縁膜12を形成する。第3層間絶縁膜12もまた、第2層間絶縁膜11eと同様に、NSG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜などのシリコン系酸化膜を用いて形成される。形成された第3層間絶縁膜12の表面は、下層の配線層の影響を受けて凹凸が生ずることから、例えばCMP処理などの平坦化処理が施される。平坦化処理後の第3層間絶縁膜12の膜厚は例えば400nmである。
次に、第3層間絶縁膜12及び第2層間絶縁膜11eを貫通して中継層3cに至る貫通孔が形成される。該貫通孔の内壁を被覆、あるいは貫通孔を埋めるように、第3層間絶縁膜12を覆う導電膜を成膜してパターニングすることにより、コンタクト部35と、コンタクト部35を介して中継層3cに電気的に繋がるデータ線6aとを形成する。コンタクト部35やデータ線6aを構成する導電膜としては、走査線3と同様に、例えば低抵抗金属であるAl(アルミニウム)や、Ti(チタン)あるいはTiN(窒化チタン)からなる層を含む多層構造の配線層が挙げられる。該配線層の厚みは例えば250nmである。
次に、データ線6aを覆う第4層間絶縁膜13を形成する。第4層間絶縁膜13もまた、第3層間絶縁膜12と同様に、NSG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜などのシリコン系酸化膜を用いて形成される。形成された第4層間絶縁膜13の表面は、下層の配線層の影響を受けて凹凸が生ずることから、例えばCMP処理などの平坦化処理が施される。平坦化処理後の第4層間絶縁膜13の膜厚は例えば400nmである。
次に、第4層間絶縁膜13上に固定電位配線7を形成する。固定電位配線7もまたデータ線6aと同様に、例えば低抵抗金属であるAl(アルミニウム)や、Ti(チタン)あるいはTiN(窒化チタン)からなる層を含む多層構造の配線層が挙げられる。該配線層の厚みは例えば250nmである。
次に、固定電位配線7を覆う第5層間絶縁膜14を形成する。第5層間絶縁膜14もまた、第4層間絶縁膜13と同様に、NSG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜などのシリコン系酸化膜を用いて形成される。形成された第5層間絶縁膜14の表面は、下層の配線層の影響を受けて凹凸が生ずることから、この後に形成される画素電極15の表面が平坦となるように、例えばCMP処理などの平坦化処理が施される。平坦化処理後の第5層間絶縁膜14の膜厚は例えば300nmである。
次に、第5層間絶縁膜14上にITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜を成膜してパターニングすることにより画素電極15を形成する。画素電極15の膜厚は例えば145nmである。
図11に示すように、基材10s上において、第1遮光層4と、第1容量電極36aとを電気的に接続させる一対のコンタクト部34は、第2層間絶縁膜11e、第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11b、第1絶縁膜11aを貫通すると共に、X方向において、第2遮光層5及び半導体層30aのLDD領域30eに対してそれぞれ所定の間隔を置いて挟むように形成される。
第3層間絶縁膜12には、第2容量電極36bに至るコンタクト部39aが形成される。また、第3層間絶縁膜12上には、コンタクト部39aに繋がる中継層6bが、データ線6aと同層において、同じ導電膜を用いて形成される。
第4層間絶縁膜13には、中継層6bに至るコンタクト部39bが形成される。また、第4層間絶縁膜13上には、コンタクト部39bに繋がる中継層7cが、固定電位配線7(7b)と同層において、同じ導電膜を用いて形成される。
第5層間絶縁膜14には、中継層7cに至るコンタクト部39cが形成される。また、第5層間絶縁膜14上には、コンタクト部39cと電気的に繋がるように画素電極15が形成される。
図11には図示していないが、第2容量電極36bは、第1層間絶縁膜11d上に形成された中継層3dと、コンタクト部32とを介して半導体層30aのドレイン領域30dに電気的に接続される(図5参照)。つまり、第2容量電極36bに対して、コンタクト部39a、中継層6b、コンタクト部39b、中継層7c、コンタクト部39cを介して電気的に繋がる画素電極15は、電気的にドレイン領域30dと接続される。第2容量電極36bと画素電極15とを電気的に接続させるコンタクト部39a,39b,39cは、平面視では同じ場所に形成され、これらのコンタクト部39a,39b,39cを総称してコンタクト部39と呼ぶ。
図12に示すように、基材10s上において、第1遮光層4の上方に配置された第2遮光層5は、ゲート絶縁膜11cと第2絶縁膜11bとを貫通して第2遮光層5の突出部5eに至るコンタクト部33aによって、ゲート絶縁膜11c上に形成されたゲート電極30gと電気的に接続されている。また、基材10s上において、TFT30の半導体層30aは、第2遮光層5と、ゲート電極30gとの間に配置されている。また、X方向において、半導体層30aの側方にコンタクト部33aが配置された状態となっている。第2遮光層5、ゲート電極30g、コンタクト部33aはいずれも遮光性を有する導電膜を用いて形成されている。
ゲート電極30gは、第1層間絶縁膜11dに形成されたコンタクト部33bによって、第1層間絶縁膜11d上に形成された走査線3の本線部3aに電気的に接続されている。
第2層間絶縁膜11e上に形成された、第1蓄積容量36と第2蓄積容量37とは、固定電位配線7に対して電気的に並列接続されている。具体的には、第2層間絶縁膜11e上において、第1蓄積容量36の第1容量電極36aは、コンタクト部38aを介して第2蓄積容量37の第3容量電極37aと電気的に接続されている。さらに、第3容量電極37aは、第4層間絶縁膜13と第3層間絶縁膜12とを貫通して形成されたコンタクト部38bを介して固定電位配線7の第1の部分7aに電気的に接続されている。平面視では、2つのコンタクト部38a,38bは同じ場所に形成されている(図7、図8、図9参照)。このように、第1蓄積容量36及び第2蓄積容量37と固定電位配線7とを電気的に並列接続させるコンタクト部38a,38bを総称してコンタクト部38と呼ぶ。
上記第1実施形態の液晶装置100によれば、以下の効果が得られる。
(1)素子基板10の基材10sとTFT30の半導体層30aとの間には、第1遮光層4と第2遮光層5とが存在している。第1遮光層4及び第2遮光層5は、平面視で半導体層30aと重なって配置されている。したがって、例えば、半導体層30aの直下に第2遮光層5だけが存在する場合に比べて、基材10s側から半導体層30aに入射する光を確実に遮光することができる。加えて、基材10s上における、ゲート電極30gと半導体層30aとの間の距離(つまり、ゲート絶縁膜11cの膜厚)が75nmであるのに対して、第2遮光層5と半導体層30aとの距離(つまり、第2絶縁膜11bの膜厚)が300nmであることから、TFT30におけるオフ時のゲートバイアスを大きくしても、第2遮光層5に与えられるゲート電位の電界によるLDD領域30eにおけるオフリーク電流の増大を抑制できる。すなわち、半導体層30aに対して確実な遮光性を有すると共に、与えられる電位によってリーク電流が生じ難いTFT30の遮光構造を備えた電気光学装置としての液晶装置100を提供できる。
(2)基材10s上においてTFT30よりも上層に設けられた固定電位配線7と、固定電位配線7と第1遮光層4とを電気的に接続させる一対のコンタクト部34と、を有している。コンタクト部34は、平面視でドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。したがって、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を一対のコンタクト部34で遮光することができる。また、一対のコンタクト部34は固定電位となることから、一対のコンタクト部34に生ずる電界によって半導体層30aにリーク電流が生じ難い。
(3)素子基板10の基材10s上において、TFT30の上層には、走査線3、画素容量(第1蓄積容量36、第2蓄積容量37)、データ線6a、固定電位配線7が配置されて非開口領域すなわち遮光領域が構成されているため、素子基板10側から半導体層30aに入射する光だけでなく、対向基板20側から液晶層50を透過して半導体層30aに入射する光もまた遮光することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電気光学装置として上記第1実施形態と同様に、アクティブ駆動型の液晶装置を例に挙げ、図13及び図14を参照して説明する。第2実施形態の液晶装置は、上記第1実施形態の液晶装置100に対して、第2遮光層5の構成を異ならせたものであって、他の構成は、液晶装置100と同じである。図13は第2実施形態の液晶装置の画素におけるトランジスターと関連する構成との配置を示す概略平面図、図14は図13のD-D’線に沿った第2実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図である。なお、D-D’線は、図13に示すように、第1遮光層4、コンタクト部34、第3遮光層5b、半導体層30a(ドレイン領域30d、低濃度ドレイン領域30e、チャネル領域30c、低濃度ソース領域30f、ソース領域30s)、第2遮光層5a、コンタクト部31を横断する線分である。
本実施形態の液晶装置200は、素子基板10Bと対向基板20との間に液晶層50が挟持された構成となっている。素子基板10Bの非開口領域の交差部付近にTFT30が配置されている。具体的には、図13に示すように、TFT30は、LDD構造の半導体層30aを有している。半導体層30aは、細長い形状となっており、非開口領域の交差部にチャネル領域30cが位置するように、Y方向に延在して配置されている。TFT30は、チャネル領域30cに平面視で重なるように配置されたゲート電極30gを有している。半導体層30aは、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間にLDD領域30eを有し,チャネル領域30cとソース領域30sとの間にLDD領域30fを有する。
半導体層30aのソース領域30sの端部に、データ線6aとの電気的な接続を図るためのコンタクト部31が設けられ、半導体層30aのドレイン領域30dの端部に、画素容量や画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部32が設けられている。
本実施形態では、半導体層30aの下層に、第1遮光層4と、第2遮光層5aと、第3遮光層5bとが配置されている。素子基板10Bの基材10s上における第1遮光層4、第2遮光層5a、第3遮光層5bの詳しい配置は後述するが、基材10sと半導体層30aとの間に第1遮光層4が配置され、第1遮光層4と半導体層30aとの間に第2遮光層5a及び第3遮光層5bが配置されている。
上記第1実施形態で説明したように、第1遮光層4は、平面視でクロス状であって、2つのコンタクト部31,32を含む半導体層30aと重なって配置されている。クロス状の第1遮光層4のX方向に幅が広くなった拡張部4aには、固定電位配線7との電気的な接続を図るための第1コンタクト部としての一対のコンタクト部34が設けられている。コンタクト部34は平面視でY方向に長い矩形状であって、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。
第2遮光層5aは、平面視でY方向に延びる略長方形であって、半導体層30aのチャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s、コンタクト部31と重なって配置されている。第2遮光層5aは、チャネル領域30cと重なる部分からX方向に突出する突出部5eを有している。ゲート電極30gもまた、第2遮光層5aの突出部5eと平面視で重なる突出部を有している。第2遮光層5aの突出部5eにはゲート電極30gとの電気的な接続を図るためのコンタクト部33aが設けられている。つまり、ゲート電極30gは、コンタクト部33aを介して第2遮光層5aと電気的に接続されている。
第3遮光層5bは、平面視で四角形であって、固定電位配線7との電気的な接続を図るための一対のコンタクト部34に重なるように配置されている。素子基板10の基材10s上における第1遮光層4、第3遮光層5b及びコンタクト部34の詳しい配置については後述するが、一対のコンタクト部34は、第1遮光層4と第3遮光層5bとに接続している。言い換えれば、本実施形態の第2遮光層5a及び第3遮光層5bは、上記第1実施形態の液晶装置100の第2遮光層5をY方向において分離し、ドレイン領域30d側に位置する方を第3遮光層5bとして固定電位が与えられる構成としたものである。なお、固定電位が与えられる第3遮光層5bを平面視でチャネル領域30cと重なるように配置すると、ゲート電位に基づくチャネル領域30cの電気的な導通状態に影響を及ぼすため、第3遮光層5bはチャネル領域30cと重ならないように配置することが好ましい。
走査線3は、X方向に延在する本線部3aと、本線部3aからY方向の下側に突出する突出部3bとを有している。走査線3は、Y方向における幅が広くなった突出部3bを含む部分がゲート電極30gと平面視で重なるように配置されている。走査線3はゲート電極30gと重なった部分で電気的にゲート電極30gと接続されている。また、基材10s上において、走査線3と同じ配線層に中継層3cと中継層3dとが設けられている。中継層3cは、走査線3から離間した位置において、コンタクト部31と重なる位置に設けられている。中継層3dもまた、走査線3から離間した位置において、コンタクト部32と重なる位置に設けられている。
つまり、第1遮光層4及び第3遮光層5bには固定電位配線7から固定電位である共通電位(LCCOM)が与えられ、第2遮光層5aには走査線3からゲート電極30gを介してゲート電位が与えられる構成となっている。なお、上記第1実施形態で説明したように、第2遮光層5aの突出部5eは、走査線3の本線部3aと平面視で重なるように配置されることに限定されない。走査線3の本線部3aとの相対的な位置関係から、突出部5eを画素Pの開口領域にはみ出すように配置してもよい。
図14に示すように、本実施形態の液晶装置200の素子基板10Bでは、基材10s上に、まず、第1遮光層4が形成され、次に、第1遮光層4を覆う第1絶縁膜11aが形成される。第1絶縁膜11aを覆う導電膜を成膜してパターニングすることにより、第1遮光層4と平面視で重なる位置に、第2遮光層5aと、第3遮光層5bとが形成される。次に、第2遮光層5a及び第3遮光層5bを覆う第2絶縁膜11bが形成され、第2絶縁膜11b上にLDD構造の半導体層30aが形成される。次に、半導体層30aを覆うゲート絶縁膜11cが形成され、ゲート絶縁膜11c上においてチャネル領域30cと対向する位置にゲート電極30gが形成される。そして、ゲート電極30gを覆う第1層間絶縁膜11dが形成される。
次に、第1層間絶縁膜11dを貫通してゲート電極30gに至る貫通孔や、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してソース領域30sに至る貫通孔を形成する。なお、図14には図示していないが、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してドレイン領域30dに至る貫通孔も形成される。これらの貫通孔の少なくとも内壁を被覆、あるいは貫通孔を埋めるようにして、第1層間絶縁膜11d上に導電膜を成膜しパターニングすることによって、コンタクト部33bと、コンタクト部33bを介してゲート電極30gに電気的に繋がる本線部3aを有する走査線3とが形成される。また、コンタクト部31と、コンタクト部31を介してソース領域30sに電気的に繋がる中継層3cとが形成される。同様に、図14には図示していないが、コンタクト部32と、コンタクト部32を介してドレイン領域30dに繋がる中継層3dとが形成される(図13参照)。
次に、走査線3や中継層3c(及び中継層3d)を覆う第2層間絶縁膜11eが形成される。そして、第2層間絶縁膜11e、第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11bを貫通して第3遮光層5bに至ると共に、さらに第1絶縁膜11aを貫通して第1遮光層4に至る貫通孔が形成される。詳しくは、第3遮光層5bと第1遮光層4とに至る貫通孔は、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eを挟んで対向する一対の溝として形成される。そして、一対の溝を埋めるように導電膜を成膜してパターニングすることにより一対のコンタクト部34を形成する。コンタクト部34は、図13に示したように、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に形成される。
第2層間絶縁膜11eよりも上層に、第1蓄積容量36、第2蓄積容量37、第3層間絶縁膜12、データ線6a、第4層間絶縁膜13、固定電位配線7、第5層間絶縁膜14、画素電極15がこの順に形成される。
素子基板10Bの基材10s上における各遮光層、半導体層30a、容量電極、各配線、中継層、画素電極15の材料構成や膜厚などは、上記第1実施形態における素子基板10と基本的に同じであるので、詳しい説明は省略する。なお、本実施形態の素子基板10Bにおける第2遮光層5a及び第3遮光層5bは同層において同じ材料を用いて形成されており、それぞれ、例えば膜厚が150nmのWSi(タングステンシリサイド)からなる。第2遮光層5aは、第1遮光層4と半導体層30aとの間において、チャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s、コンタクト部31の下層に配置されている。
上記第2実施形態の液晶装置200によれば、以下の効果が得られる。
(1)素子基板10Bの基材10sとTFT30の半導体層30aとの間には、第1遮光層4と第2遮光層5a及び第3遮光層5bとが存在している。第1遮光層4、第2遮光層5a及び第3遮光層5bは、平面視で半導体層30aと重なって配置されている。したがって、例えば、半導体層30aの直下に第2遮光層5a及び第3遮光層5bだけが存在する場合に比べて、基材10s側から半導体層30aに入射する光を確実に遮光することができる。また、ゲート電位が与えられる第2遮光層5aは、半導体層30aのチャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30sの直下に配置されている。第3遮光層5bは、半導体層30aのドレイン領域30d、LDD領域30eの直下に配置されている。言い換えれば、ゲート電位が与えられる第2遮光層5aは、半導体層30aのLDD領域30eの直下には配置されていない。つまり、TFT30におけるオフ時のゲートバイアスを大きくしても、LDD領域30eの直下には固定電位が与えられる第3遮光層5bが配置されており、下方からゲートバイアスの影響を受けない。また、第3遮光層5bは、第2遮光層5aからの電界を遮光する効果もあるため、LDD領域30eにおけるオフリーク電流の増大をより確実に抑制できる。上記第1実施形態のように、第2遮光層5をドレイン領域30d、LDD領域30e、チャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30sと平面視で重なるように下層に配置する場合に比べて、オフリーク電流を確実に抑制できることから、基材10s上における、第2遮光層5aと半導体層30aとの間の距離を、上記第1実施形態に比べて小さくすることができる。言い換えれば、上記第1実施形態に比べて、第2遮光層5aと半導体層30aとの間の第2絶縁膜11bの膜厚を例えば300nmから200nm程度に薄くできる。よって、第2遮光層5aと半導体層30aとの隙間から半導体層30aに入射する迷光の遮光性を向上させることができる。すなわち、半導体層30aに対して優れた遮光性を有すると共に、与えられる電位によってリーク電流が生じ難いTFT30の遮光構造を備えた電気光学装置としての液晶装置200を提供できる。
(2)基材10s上においてTFT30よりも上層に設けられた固定電位配線7と、第1遮光層4及び第3遮光層5bとを電気的に接続させる一対のコンタクト部34と、を有している。コンタクト部34は、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。したがって、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を一対のコンタクト部34で遮光することができる。また、固定電位が与えられる第3遮光層5bは、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eの一部と重なって配置されており、第3遮光層5bに生ずる電界によって半導体層30aにリーク電流が生じ難い構成となっている。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の電気光学装置として上記第1実施形態と同様に、アクティブ駆動型の液晶装置を例に挙げ、図15~図18を参照して説明する。第3実施形態の液晶装置は、上記第1実施形態の液晶装置100に対して、第2遮光層5の構成を異ならせたものであって、他の構成は、液晶装置100と同じである。図15は第3実施形態の液晶装置の画素におけるトランジスターと関連する構成との配置を示す概略平面図、図16は図15のF-F’線に沿った第3実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図、図17は図15のG-G’線に沿った第3実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図、図18は図15のJ-J’線に沿った第3実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図である。F-F’線は、図15に示すように、第1遮光層4、コンタクト部34、第3遮光層5d、半導体層30a(ドレイン領域30d、LDD領域30e、チャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s)、第2遮光層5c、コンタクト部31を横断する線分である。G-G’線は、図15に示すように、第2遮光層5cの一方の屈曲部5c1、第1遮光層4、コンタクト部34、第3遮光層5d、第2遮光層5cの他方の屈曲部5c2をX方向に横断する線分である。J-J’線は、図15に示すように、第2遮光層5cの一方の屈曲部5c1、コンタクト部33c、ゲート電極30g、半導体層30aのチャネル領域30c、第2遮光層5cの他方の屈曲部5c2をX方向に横断する線分である。
本実施形態の液晶装置300は、素子基板10Cと対向基板20との間に液晶層50が挟持された構成となっている。素子基板10Cの非開口領域の交差部付近にTFT30が配置されている。具体的には、図15に示すように、TFT30は、LDD構造の半導体層30aを有している。半導体層30aは、細長い形状となっており、非開口領域の交差部にチャネル領域30cが位置するように、Y方向に延在して配置されている。TFT30は、チャネル領域30cに平面視で重なるように配置された四角形のゲート電極30gを有している。半導体層30aは、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間にLDD領域30eを有し、チャネル領域30cとソース領域30sとの間にLDD領域30fを有している。
半導体層30aのソース領域30sの端部に、データ線6aとの電気的な接続を図るためのコンタクト部31が設けられ、半導体層30aのドレイン領域30dの端部に、画素容量や画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部32が設けられている。
本実施形態では、半導体層30aの下層に、第1遮光層4と、第2遮光層5cと、第3遮光層5dとが配置されている。素子基板10Cの基材10s上における第1遮光層4、第2遮光層5c、第3遮光層5dの詳しい配置は後述するが、基材10sと半導体層30aとの間に第1遮光層4が配置され、第1遮光層4と半導体層30aとの間に第2遮光層5c及び第3遮光層5dが配置されている。
第1遮光層4は、上記第1実施形態において説明したように、平面視でクロス状であって、2つのコンタクト部31,32を含む半導体層30aと重なって配置されている。クロス状の第1遮光層4のX方向に幅が広くなった拡張部4aには、固定電位配線7との電気的な接続を図るための第1コンタクト部としての一対のコンタクト部34が設けられている。コンタクト部34は、平面視でY方向に長い矩形状であって、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。平面視で一対のコンタクト部34と重なって四角形の第3遮光層5dが配置されている。
第2遮光層5cは、平面視で半導体層30aのチャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s、コンタクト部31と重なって配置されている。また、第2遮光層5cは、チャネル領域30cと重なった部分からX方向に延び、さらにクロス状の第1遮光層4における拡張部4aの外縁に沿ってY方向に屈曲した2つの屈曲部5c1,5c2を有している。言い換えれば、平面視における第2遮光層5cの形状は、半導体層30aを挟んでX方向の両側に突出する2つの屈曲部5c1,5c2を有する略Y字状である。第2遮光層5cが2つの屈曲部5c1,5c2を有していることから、非開口領域の交差部付近の平面形状は、上記第1実施形態とは異なる。したがって、後述する第1蓄積容量36、第2蓄積容量37に係る容量電極の平面形状は、上記第1実施形態と同じでもよいが、本実施形態の非開口領域の交差部付近の平面形状に合わせて変更することも可能である。
略Y字状の第2遮光層5cの2つの屈曲部5c1,5c2に沿って延在すると共に、半導体層30aのチャネル領域30cを横断するように、コンタクト部33cが設けられている。基材10s上におけるコンタクト部33cの詳しい配置については後述するが、コンタクト部33cは、ゲート電極30gと走査線3とを電気的に接続させると共に、第2遮光層5cと走査線3とを電気的に接続させるものである。コンタクト部33cは、本発明の第2コンタクト部の一例である。
本実施形態における走査線3は、X方向に延在する本線部3aと、本線部3aからY方向の下側に延びて平面視でゲート電極30g(チャネル領域30c)と重なる突出部3bと、本線部3aからY方向の上側に延びて平面視で第2遮光層5cの2つの屈曲部5c1,5c2のそれぞれに重なる2つの突出部3d1,3d2とを有している。つまり、基材10s上において2つの屈曲部5c1,5c2と2つの突出部3d1,3d2との間にコンタクト部33cを設けることで、第2遮光層5cと走査線3とが電気的に接続される構成となっている。
図16に示すように、本実施形態の液晶装置300の素子基板10Cでは、基材10s上に、まず、第1遮光層4が形成され、次に、第1遮光層4を覆う第1絶縁膜11aが形成される。第1絶縁膜11aを覆う導電膜を成膜してパターニングすることにより、第1遮光層4と平面視で重なる位置に、第2遮光層5cと、第3遮光層5dとが形成される。次に、第2遮光層5c及び第3遮光層5dを覆う第2絶縁膜11bが形成され、第2絶縁膜11b上にLDD構造の半導体層30aが形成される。次に、半導体層30aを覆うゲート絶縁膜11cが形成され、ゲート絶縁膜11c上においてチャネル領域30cと対向する位置にゲート電極30gが形成される。そして、ゲート電極30gを覆う第1層間絶縁膜11dが形成される。
次に、第1層間絶縁膜11dを貫通してゲート電極30gに至る貫通孔や、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してソース領域30sに至る貫通孔を形成する。なお、図16には図示していないが、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してドレイン領域30dに至る貫通孔も形成される。これらの貫通孔の少なくとも内壁を被覆、あるいは貫通孔を埋めるようにして、第1層間絶縁膜11d上に導電膜を成膜しパターニングすることによって、コンタクト部33cと、コンタクト部33cを介してゲート電極30gに電気的に繋がる本線部3aを有する走査線3とが形成される。また、コンタクト部31と、コンタクト部31を介してソース領域30sに電気的に繋がる中継層3cとが形成される。同様に、図16には図示していないが、コンタクト部32と、コンタクト部32を介してドレイン領域30dに繋がる中継層3dとが形成される(図15参照)。
次に、走査線3や中継層3c(及び中継層3d)を覆う第2層間絶縁膜11eが形成される。そして、第2層間絶縁膜11e、第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11bを貫通して第3遮光層5dに至ると共に、さらに第1絶縁膜11aを貫通して第1遮光層4に至る貫通孔が形成される。詳しくは、第3遮光層5dと第1遮光層4とに至る貫通孔は、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで対向する一対の溝として形成される。そして、一対の溝を埋めるように導電膜を成膜してパターニングすることにより一対のコンタクト部34を形成する。コンタクト部34は、図15に示したように、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に形成される。
第2層間絶縁膜11eよりも上層に、第1蓄積容量36、第2蓄積容量37、第3層間絶縁膜12、データ線6a、第4層間絶縁膜13、固定電位配線7、第5層間絶縁膜14、画素電極15がこの順に形成される。
素子基板10Cの基材10s上における各遮光層、半導体層30a、容量電極、各配線、中継層、画素電極15の材料構成や膜厚などは、上記第1実施形態における素子基板10と基本的に同じであるので、詳しい説明は省略する。なお、本実施形態の素子基板10Cにおける第2遮光層5c及び第3遮光層5dは同層において同じ材料を用いて形成されており、それぞれ、例えば膜厚が150nmのWSi(タングステンシリサイド)からなる。第2遮光層5cは、第1遮光層4と半導体層30aとの間において、チャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s、コンタクト部31の下層に配置されている。第3遮光層5dは、第1遮光層4と半導体層30aとの間において、ドレイン領域30d及びLDD領域30eの下層に配置されている。
図17に示すように、基材10s上において、X方向にLDD領域30eを横切る断面では、第1遮光層4及び第3遮光層5dに固定電位を与えるための一対のコンタクト部34がLDD領域30eを挟んで配置される。また、X方向において一対のコンタクト部34の外側に、第2遮光層5cの2つの屈曲部5c1,5c2と、走査線3の2つの突出部3d1,3d2と、を電気的に接続するためのコンタクト部33cが配置される。つまり、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を、一対のコンタクト部34と、その外側に設けられたコンタクト部33cとによって遮光可能な構成となっている。
また、図18に示すように、コンタクト部33cは、走査線3の本線部3aとゲート電極30gと間の第1層間絶縁膜11dを貫通すると共に、走査線3の本線部3aと第2遮光層5cとの間の第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11bを貫通して設けられている。半導体層30aのチャネル領域30cをX方向に横切る断面では、チャネル領域30cに対して、コンタクト部33c及びゲート電極30gが門構え状に配置されている。つまり、チャネル領域30cに対して基材10s側から入射する光は、第1遮光層4と第2遮光層5cとにより遮光される。また、チャネル領域30cの上方から入射する光は、走査線3によって遮光される。さらに、基材10sの法線方向に対して斜め方向からチャネル領域30cに入射する迷光の一部は、コンタクト部33cによって遮光される構成となっている。
また、図15に示すように、コンタクト部33cは、平面視でチャネル領域30cからドレイン領域30d側に屈曲して設けられていることから、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間のLDD領域30eに入射する迷光をコンタクト部33cによって確実に遮光できる構成となっている。
上記第3実施形態の液晶装置300によれば、上記第2実施形態の効果(1)に加えて以下の効果(3)が得られる。
(3)基材10s上においてTFT30よりも上層に設けられた固定電位配線7と、第1遮光層4及び第3遮光層5dとを電気的に接続させる一対のコンタクト部34と、を有している。また、基材10s上においてTFT30よりも上層に設けられたゲート配線としての走査線3と、走査線3と第2遮光層5cとを電気的に接続させるコンタクト部33cとを有している。コンタクト部34は、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。コンタクト部33cは、平面視で一対のコンタクト部34の外側で半導体層30aのLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。したがって、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を一対のコンタクト部34とコンタクト部33cとにより遮光することができる。つまり、上記第1実施形態の液晶装置100や上記第2実施形態の液晶装置200に比べて、半導体層30aにおける光リーク電流の発生をさらに抑制可能な液晶装置300を提供することができる。また、固定電位が与えられる第3遮光層5dは、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eの一部と重なって配置されており、第3遮光層5dに生ずる電界によって半導体層30aにリーク電流が生じ難い構成となっている。
(第4実施形態);実施形態を追加
次に、第4実施形態の電気光学装置として上記第1実施形態と同様に、アクティブ駆動型の液晶装置を例に挙げ、図19~図22を参照して説明する。第4実施形態の液晶装置は、上記第3実施形態の液晶装置300に対して、第1遮光層4、第2遮光層5c、第3遮光層5dの構成を異ならせたものであって、他の構成は、液晶装置300と同じである。図19は第4実施形態の液晶装置の画素におけるトランジスターと関連する構成との配置を示す概略平面図、図20は図19のK-K’線に沿った第4実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図、図21は図19のM-M’線に沿った第4実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図、図22は図19のN-N’線に沿った第4実施形態の素子基板の配線構造を示す概略断面図である。K-K’線は、図19に示すように、第3遮光層5g、コンタクト部34、半導体層30a(ドレイン領域30d、LDD領域30e、チャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s)、第2遮光層5f、コンタクト部31を横断する線分である。M-M’線は、図19に示すように、第1遮光層4の拡張部4b、第3遮光層5g、一対のコンタクト部34をX方向に横断する線分である。N-N’線は、図19に示すように、第1遮光層4の拡張部4b、コンタクト部33d、ゲート電極30g、半導体層30aのチャネル領域30c、第2遮光層5fをX方向に横断する線分である。
本実施形態の液晶装置400は、素子基板10Dと対向基板20との間に液晶層50が挟持された構成となっている。素子基板10Dの非開口領域の交差部付近にTFT30が配置されている。具体的には、図19に示すように、TFT30は、LDD構造の半導体層30aを有している。半導体層30aは、細長い形状となっており、非開口領域の交差部にチャネル領域30cが位置するように、Y方向に延在して配置されている。TFT30は、チャネル領域30cに平面視で重なるように配置された四角形のゲート電極30gを有している。半導体層30aは、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間にLDD領域30eを有し、チャネル領域30cとソース領域30sとの間にLDD領域30fを有している。
半導体層30aのソース領域30sの端部に、データ線6aとの電気的な接続を図るためのコンタクト部31が設けられ、半導体層30aのドレイン領域30dの端部に、画素容量や画素電極15との電気的な接続を図るためのコンタクト部32が設けられている。
本実施形態では、半導体層30aの下層に、第1遮光層4と、第2遮光層5fと、第3遮光層5gとが配置されている。素子基板10Dの基材10s上における第1遮光層4、第2遮光層5f、第3遮光層5gの詳しい配置は後述するが、基材10sと半導体層30aとの間に第1遮光層4が配置され、第1遮光層4と半導体層30aとの間に第2遮光層5f及び第3遮光層5gが配置されている。
第1遮光層4は、平面視でY方向に延在し、2つのコンタクト部31,32を含む半導体層30aと重なる部分と、平面視で走査線3の本線部3aと重なるように配置され、X方向に拡張された拡張部4bとを有している。
第2遮光層5fは、平面視でY方向に長い長方形であって、半導体層30aのチャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s、コンタクト部31と重なって配置されている。
第3遮光層5gは、平面視でX方向に長い長方形であって、半導体層30aのコンタクト部32を除くドレイン領域30dと、LDD領域30eの一部とに重なって配置されている。第3遮光層5gには、固定電位配線7との電気的な接続を図るための第1コンタクト部としての一対のコンタクト部34が設けられている。コンタクト部34は、平面視でY方向に長い矩形状であって、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。
第1遮光層4の拡張部4bには、コンタクト部33dが設けられている。コンタクト部33dは、X方向に延びて走査線3の本線部3a及びゲート電極30gと重なる第1の部分と、該第1の部分の両端から第3遮光層5gの外縁に沿ってY方向に延びる第2の部分と、を有している。つまり、コンタクト部33dは、X方向に延びる第1の部分と、第1の部分の両端からY方向に延びる第2の部分とからなる屈曲した形状となっている。
本実施形態における走査線3は、X方向に延在する本線部3aと、本線部3aからY方向の下側に延びて平面視でゲート電極30g(チャネル領域30c)と重なる突出部3bと、本線部3aからY方向の上側に延びて平面視でコンタクト部33dのY方向に延びる第2の部分のそれぞれに重なる2つの突出部3d1,3d2とを有している。つまり、基材10s上において第1遮光層4の拡張部4bと2つの突出部3d1,3d2との間にコンタクト部33dが設けられている。
基材10s上におけるコンタクト部33dの詳しい配置については後述するが、コンタクト部33dは、走査線3とゲート電極30gを電気的に接続させると共に、走査線3と第2遮光層5f及び第1遮光層4を電気的に接続させている。コンタクト部33dは、本発明の第2コンタクト部の一例である。
図20に示すように、本実施形態の液晶装置400の素子基板10Dでは、基材10s上に、まず、第1遮光層4が形成され、次に、第1遮光層4を覆う第1絶縁膜11aが形成される。第1絶縁膜11aを覆う導電膜を成膜してパターニングすることにより、第1遮光層4と平面視で重なる位置に、第2遮光層5fと、第3遮光層5gとが形成される。次に、第2遮光層5f及び第3遮光層5gを覆う第2絶縁膜11bが形成され、第2絶縁膜11b上にLDD構造の半導体層30aが形成される。次に、半導体層30aを覆うゲート絶縁膜11cが形成され、ゲート絶縁膜11c上においてチャネル領域30cと対向する位置にゲート電極30gが形成される。そして、ゲート電極30gを覆う第1層間絶縁膜11dが形成される。
次に、第1層間絶縁膜11dを貫通してゲート電極30gに至る貫通孔や、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してソース領域30sに至る貫通孔を形成する。なお、図20には図示していないが、第1層間絶縁膜11d及びゲート絶縁膜11cを貫通してドレイン領域30dに至る貫通孔も形成される。これらの貫通孔の少なくとも内壁を被覆、あるいは貫通孔を埋めるようにして、第1層間絶縁膜11d上に導電膜を成膜しパターニングすることによって、コンタクト部33dと、コンタクト部33dを介してゲート電極30gに電気的に繋がる本線部3aを有する走査線3とが形成される。また、コンタクト部31と、コンタクト部31を介してソース領域30sに電気的に繋がる中継層3cとが形成される。同様に、図20には図示していないが、コンタクト部32と、コンタクト部32を介してドレイン領域30dに繋がる中継層3dとが形成される(図19参照)。
次に、走査線3や中継層3c(及び中継層3d)を覆う第2層間絶縁膜11eが形成される。そして、第2層間絶縁膜11e、第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11bを貫通して第3遮光層5gに至る貫通孔が形成される。詳しくは、第3遮光層5gに至る貫通孔は、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで対向する一対の溝として形成される。そして、一対の溝を埋めるように導電膜を成膜してパターニングすることにより一対のコンタクト部34を形成する。コンタクト部34は、図19に示したように、半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に形成される。
第2層間絶縁膜11eよりも上層に、第1蓄積容量36、第2蓄積容量37、第3層間絶縁膜12、データ線6a、第4層間絶縁膜13、固定電位配線7、第5層間絶縁膜14、画素電極15がこの順に形成される。
素子基板10Dの基材10s上における各遮光層、半導体層30a、容量電極、各配線、中継層、画素電極15の材料構成や膜厚などは、上記第1実施形態における素子基板10と基本的に同じであるので、詳しい説明は省略する。なお、本実施形態の素子基板10Dにおける第2遮光層5f及び第3遮光層5gは同層において同じ材料を用いて形成されており、それぞれ、例えば膜厚が150nmのWSi(タングステンシリサイド)からなる。第2遮光層5fは、第1遮光層4と半導体層30aとの間において、チャネル領域30c、LDD領域30f、ソース領域30s、コンタクト部31の下層に配置されている。第3遮光層5gは、第1遮光層4と半導体層30aとの間において、ドレイン領域30d及びLDD領域30eの下層に配置されている。
図21に示すように、基材10s上において、X方向にLDD領域30eを横切る断面では、第3遮光層5gに固定電位を与えるための一対のコンタクト部34がLDD領域30eを挟んで配置される。また、X方向において一対のコンタクト部34の外側に、走査線3の2つの突出部3d1,3d2と第1遮光層4とを電気的に接続するためのコンタクト部33dが配置される。つまり、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を、一対のコンタクト部34と、その外側に設けられたコンタクト部33dとによって遮光可能な構成となっている。
また、図22に示すように、コンタクト部33dは、走査線3の本線部3aとゲート電極30gとの間の第1層間絶縁膜11dを貫通すると共に、走査線3の本線部3aと第1遮光層4の拡張部4bとの間の第1層間絶縁膜11d、ゲート絶縁膜11c、第2絶縁膜11b、第1絶縁膜11aを貫通して設けられている。半導体層30aのチャネル領域30cをX方向に横切る断面では、チャネル領域30cに対して、コンタクト部33d及びゲート電極30gが門構え状に配置されている。X方向における第2遮光層5fの両端部がコンタクト部33dと接している。つまり、第1遮光層4及び第2遮光層5fは、コンタクト部33dを介して走査線3と電気的に接続され、ゲート電位が与えられる。
、
チャネル領域30cに対して基材10s側から入射する光は、第1遮光層4と第2遮光層5fとにより遮光される。また、チャネル領域30cの上方から入射する光は、走査線3によって遮光される。さらに、基材10sの法線方向に対して斜め方向からチャネル領域30cに入射する迷光の一部は、コンタクト部33dによって遮光される構成となっている。
また、図19に示すように、コンタクト部33dは、平面視でチャネル領域30cからドレイン領域30d側に屈曲して設けられていることから、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間のLDD領域30eに入射する迷光をコンタクト部33dによって確実に遮光できる構成となっている。
上記第4実施形態の液晶装置400によれば、上記第2実施形態の効果(1)と同様な効果に加えて、以下の効果(4)、(5)が得られる。
(4)基材10s上においてTFT30よりも上層に設けられた固定電位配線7と、第3遮光層5bとを電気的に接続させる一対のコンタクト部34と、を有している、また、基材10s上においてTFT30よりも上層に設けられたゲート配線としての走査線3と、走査線3と第2遮光層5f及び第1遮光層4とを電気的に接続させるコンタクト部33dとを有している。コンタクト部34は、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。コンタクト部33dは、平面視で一対のコンタクト部34の外側で半導体層30aのLDD領域30eをX方向に挟んで両側に設けられている。したがって、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を一対のコンタクト部34とコンタクト部33dとにより遮光することができる。つまり、上記第1実施形態の液晶装置100や上記第2実施形態の液晶装置200に比べて、半導体層30aにおける光リーク電流の発生をさらに抑制可能な液晶装置400を提供することができる。また、固定電位が与えられる第3遮光層5gは、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eの一部と重なって配置されており、第3遮光層5gに生ずる電界によって半導体層30aにリーク電流が生じ難い構成となっている。
(5)本実施形態では、基材10s上において、第1遮光層4と、第1遮光層4の直上に位置する第2遮光層5fとをコンタクト部33dを介して接続することから、最下層の第1遮光層4に固定電位を与えていた、上記の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態に比べて、第1遮光層4に対して容易に所定の電位を与えることができる。言い換えれば、第1遮光層4に与えられる電位は、固定電位であることに限定されず、本実施形態のようにゲート電位であってもよい。
(第5実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について投射型表示装置(液晶プロジェクター)を例に挙げて説明する。図23は、第5実施形態の電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図23に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、を備えている。また、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、を備えている。さらに、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207と、を備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上記第1実施形態の液晶装置100(図1参照)が適用されたものである。液晶装置100の色光の入射側と射出側とにクロスニコルに配置された一対の偏光素子が隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
このような投射型表示装置1000によれば、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、上記第1実施形態の液晶装置100が用いられており、画素Pのスイッチング素子であるTFT30において光リーク電流やオフ時のオフリーク電流が生じ難い遮光構造が採用されているため、偏光照明装置1100に明るい光源を用いたとしても、高品位な画像を安定して投射可能な投射型表示装置1000を提供することができる。また、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、上記第2実施形態の液晶装置200や上記第3実施形態の液晶装置300、上記第4実施形態の液晶装置400を用いても同様な効果が得られる。
なお、偏光照明装置1100に用いられる光源は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源に限定されず、青色光、緑色光、赤色光に対応した単色光が得られるLED光源やレーザー光源を、色光が入射する液晶ライトバルブ1210,1220,1230のそれぞれに対応して配置する構成としてもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記各実施形態において、TFT30の長細い半導体層30aが配置される方向は、データ線6aの延在方向であるY方向においてソース領域30sを下方に、ドレイン領域30dを上方に配置することに限定されない。例えば、Y方向においてドレイン領域30dを下方に、ソース領域30sを上方に配置してもよい。また例えば、走査線の本線部3aが延在するX方向に半導体層30aを配置することもできる。半導体層30aの配置に対応して、例えば、上記第1実施形態の場合、半導体層30aに係る、第1遮光層4、第2遮光層5、ゲート電極30gなどを配置すればよい。
(変形例2)上記各実施形態の素子基板の基材10s上において、第2層間絶縁膜11e上に配置される画素容量(並列接続された第1蓄積容量36及び第2蓄積容量37)の構成は、これに限定されない。1つの蓄積容量で構成されていてもよいし、トレンチ(溝)内に誘電体膜を介して複数の容量電極を配置して並列接続させた構成としてもよい。
(変形例3)上記第1~第4実施形態において、第1遮光層4または第3遮光層5b,5d,5gに固定電位を与えるための一対のコンタクト部34は、平面視で半導体層30aのドレイン領域30d及びLDD領域30eに沿うようにY方向に長い矩形状に設けられていたが、これに限定されない。例えば、素子基板の製造時における各構成の形成位置精度を考慮して、Y方向において一対のコンタクト部34の一部がチャネル領域30cの側方に掛かるように一対のコンタクト部34を配置してもよい。これによれば、基材10sの法線方向に対して斜め方向からLDD領域30eに入射する迷光を一対のコンタクト部34によって確実に遮光することができる。
(変形例4)上記第1実施形態の液晶装置100が適用される電子機器は、投射型表示装置1000に限定されない。例えば、液晶装置100の対向基板20において、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)に対応するカラーフィルターを有し、液晶ライトバルブを単板構成としてもよい。また、例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として液晶装置100を好適に用いることができる。他の実施形態の液晶装置200,300においても同様である。
(変形例5)本発明が適用される電気光学装置は、液晶装置に限定されない。例えば、画素Pに発光素子として有機EL素子を備えた有機EL装置や、画素Pに電気泳動素子を備えた電気泳動装置(Electrophoretic Display;EPD)にも適用することができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
本願の電気光学装置は、透光性の基板と、基板上に画素ごとに設けられたトランジスターと、基板とトランジスターの半導体層との間に設けられた第1遮光層と、第1遮光層と半導体層との間に設けられた第2遮光層と、を備え、第1遮光層には固定電位が与えられることを特徴とする。
本願の構成によれば、基板と半導体層との間には、2つの遮光層が存在しているので、1つの遮光層が存在する場合に比べて、基板側から半導体層に入射する光を確実に遮光することができる。また、半導体層から遠い位置に固定電位が与えられる第1遮光層が配置される。第1遮光層に固定電位を与えるための固定電位配線を半導体層の上方に設けたとしても、第1遮光層と固定電位配線との接続部に生ずる電界によって半導体層にリーク電流が生じ難い。つまり、半導体層に対して遮光性を有すると共に、与えられる電位によってリーク電流が生じ難いトランジスターの遮光構造を備えた電気光学装置を提供できる。
上記の電気光学装置において、画素は、画素電極を含み、半導体層は、チャネル領域と、画素電極が電気的に接続されるドレイン領域と、チャネル領域とドレイン領域との間に設けられ、不純物イオンがドレイン領域よりも低濃度に注入された低濃度ドレイン領域とを含み、第2遮光層は、平面視で半導体層のチャネル領域と重なるように配置されて、ゲート電位が与えられ、第1遮光層は、平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域と重なるように配置されることが好ましい。
この構成によれば、第2遮光層をバックゲートとして機能させて、トランジスターにおけるスイッチング特性を安定化させる。また、基板側から半導体層の低濃度ドレイン領域に入射する光を固定電位が与えられる第1遮光層により遮光できることから、半導体層の低濃度ドレイン領域に対する遮光性が向上し、与えられる電位によってリーク電流が生じ難いトランジスターの遮光構造を備えた電気光学装置を提供できる。
上記の電気光学装置は、基板上においてトランジスターよりも上層に設けられた固定電位配線と、固定電位配線と第1遮光層とを電気的に接続させる第1コンタクト部と、を有し、第1コンタクト部は、平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、固定電位配線と第1遮光層とを電気的に接続させる第1コンタクト部を平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に配置することで、基板の法線方向に対して斜め方向から低濃度ドレイン領域に入射する迷光を第1コンタクト部で遮光することができる。また、第1コンタクト部は固定電位となることから、第1コンタクト部に生ずる電界によって半導体層の低濃度ドレイン領域にリーク電流が生じ難い。
上記の電気光学装置において、基板上における、第2遮光層と半導体層との間の距離は、トランジスターの半導体層とゲート電極との間の距離よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、第2遮光層にゲート電位を与えても、当該ゲート電位の電界が半導体層の低濃度ドレイン領域に影響し難くなり、トランジスターをオフする時のゲート電極に印加されるゲートバイアスを大きくしたとしても、当該ゲート電位の電界により半導体層に生ずるオフリーク電流の増大を抑制できる。
本願の他の電気光学装置は、透光性の基板と、基板上に画素ごとに設けられたトランジスターと、基板とトランジスターの半導体層との間に設けられた第1遮光層と、第1遮光層と半導体層との間に設けられた第2遮光層及び第3遮光層と、を備え、画素は、画素電極を含み、半導体層は、チャネル領域と、画素電極が電気的に接続されるドレイン領域と、チャネル領域とドレイン領域との間に設けられ、不純物イオンがドレイン領域よりも低濃度に注入された低濃度ドレイン領域とを含み、第2遮光層は、平面視で半導体層のチャネル領域と重なるように配置されて、ゲート電位が与えられ、第3遮光層は、平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域の一部と重なるように配置されて、固定電位が与えられることが好ましい。
本願の構成によれば、基板と半導体層との間には、3つの遮光層が存在しているので、1つの遮光層が存在する場合に比べて、基板側から半導体層に入射する光を確実に遮光することができる。加えて、ゲート電位が与えられる第2遮光層は、平面視で半導体層のチャネル領域と重なるように配置されることから、第2遮光層をバックゲートとして機能させて、トランジスターにおけるスイッチング特性を安定化させる。また、平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域の一部に重なるように配置される第3遮光層には固定電位が与えられるため、第3遮光層に生ずる電界によって半導体層の低濃度ドレイン領域にリーク電流が生じ難い。つまり、半導体層に対して確実な遮光性を有すると共に、与えられる電位によってリーク電流が生じ難いトランジスターの遮光構造を備えた電気光学装置を提供できる。
上記の他の電気光学装置は、基板上においてトランジスターよりも上層に設けられた固定電位配線と、固定電位配線と第1遮光層及び第3遮光層とを電気的に接続させる第1コンタクト部と、を有し、第1コンタクト部は、平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、固定電位配線と第1遮光層及び第3遮光層とを電気的に接続させる第1コンタクト部を平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に配置することで、基板の法線方向に対して斜め方向から低濃度ドレイン領域に入射する迷光を第1コンタクト部で遮光することができる。また、第1コンタクト部は固定電位となることから、コンタクト部に生ずる電界によって半導体層の低濃度ドレイン領域にリーク電流が生じ難い。
また、上記の他の電気光学装置は、基板上においてトランジスターよりも上層に設けられたゲート配線と、ゲート配線と第2遮光層とを電気的に接続させる第2コンタクト部と、を有し、第2コンタクト部は、平面視で第1コンタクト部よりも外側で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、第1コンタクト部と第2コンタクト部とにより、基板の法線方向に対して斜め方向から低濃度ドレイン領域に入射する迷光を遮光することができる。つまり、半導体層の低濃度ドレイン領域に対する遮光性が向上し、迷光によって光リーク電流が生ずることをより抑制できる。
上記の他の電気光学装置は、基板上においてトランジスターよりも上層に設けられたゲート配線及び固定電位配線と、固定電位配線と第3遮光層とを電気的に接続させる第1コンタクト部と、ゲート配線と第1遮光層及び第2遮光層とを電気的に接続させる第2コンタクト部と、を有し、第1コンタクト部は、平面視で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に設けられ、第2コンタクト部は、平面視で第1コンタクト部よりも外側で半導体層の低濃度ドレイン領域を挟んで両側に設けられているとしてもよい。
この構成によれば、第1コンタクト部と第2コンタクト部とにより、基板の法線方向に対して斜め方向から低濃度ドレイン領域に入射する迷光を遮光することができる。つまり、半導体層の低濃度ドレイン領域に対する遮光性が向上し、迷光によって光リーク電流が生ずることをより抑制できる。
本願の電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本願の構成によれば、電気光学装置に強い光が入射したとしても、安定した動作状態を実現可能な電子機器を提供することができる。