1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、前記モータに接続された動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続された先端工具保持部と、前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆うカバーと、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構であって、ユーザによる第1解除操作に応じて前記第1ロック状態から前記第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構であって、前記ユーザによる第2解除操作に応じて前記第2ロック状態から前記第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構を備えていてもよい。前記電動工具では、前記ユーザが、前記第2ロック機構に前記第2解除操作を行い、かつ前記第1ロック機構に前記第1解除操作を行った場合に、前記カバーが前記ハウジングから取り外し可能となってもよい。
上記の構成によれば、第1ロック機構に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構に第2解除操作を行わなければ、カバーがハウジングから外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構に第2解除操作が行われていなければ、カバーがハウジングから外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構に第1解除操作が行われていなければ、カバーがハウジングから外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにカバーがハウジングから外れてしまう事態を確実に防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1ロック機構は、前記第1ロック状態において、前記カバーを前記ハウジングから取り外すことを禁止し、前記第1解除状態において、前記カバーを前記ハウジングから取り外すことを許容するように構成されていてもよい。前記第2ロック機構は、前記第2ロック状態において、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態から前記第1解除状態に切り替わることを禁止し、前記第2解除状態において、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態から前記第1解除状態に切り替わることを許容するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、第2ロック機構に第2解除操作を行わなければ、第1ロック機構に第1解除操作を行うことができない。また、第2ロック機構に第2解除操作を行っても、第1ロック機構に第1解除操作を行わなければ、カバーをハウジングから取り外すことができない。上記の構成によれば、意図せずにカバーがハウジングから外れてしまう事態を確実に防止することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1ロック機構は、前記先端工具保持部の回転軸に対して略直交する第1スライド方向に移動可能に前記ハウジングに保持された第1スライド部材を備えていてもよい。前記第1スライド部材は、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態にある場合に、前記カバーと係合する第1ロック位置にあってもよく、前記第1ロック機構が前記第1解除状態にある場合に、前記カバーと係合しない第1解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第1解除操作に応じて、前記第1ロック位置から前記第1解除位置に移動してもよい。前記第2ロック機構は、前記第2ロック状態において、前記第1スライド部材が前記第1ロック位置から前記第1解除位置へ移動することを禁止してもよく、前記第2解除状態において、前記第1スライド部材が前記第1ロック位置から前記第1解除位置へ移動することを許容してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構によって、カバーのハウジングからの取り外しの防止を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記カバーは、前記先端工具保持部の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の被係合部を備えていてもよい。前記第1スライド部材が、前記被係合部に係合可能な係合部を備えていてもよい。前記第1スライド部材は、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合する第1ロック位置にあってもよく、前記第1ロック機構が前記第1解除状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合しない第1解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第1解除操作に応じて、前記第1ロック位置から前記第1解除位置に移動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構によって、カバーのハウジングに対する回転角度の固定と、カバーのハウジングからの取り外しの防止の両方を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ロック機構は、前記第1スライド方向に対して交差する平面内で移動可能に前記ハウジングに保持された第2スライド部材を備えていてもよい。前記第2スライド部材は、前記第2ロック機構が前記第2ロック状態にある場合に、前記第1ロック位置から前記第1解除位置へ移動する前記第1スライド部材と干渉する第2ロック位置にあってもよく、前記第2ロック機構が前記第2解除状態にある場合に、前記第1ロック位置から前記第1解除位置へ移動する前記第1スライド部材と干渉しない第2解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第2解除操作に応じて、前記第2ロック位置から前記第2解除位置に移動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構によって、第1ロック機構への第1解除操作の禁止を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、前記ハウジングに設けられたスイッチ部材をさらに備えていてもよい。前記ユーザが、前記スイッチ部材にオン操作を行うと、前記モータに電力が供給されてもよく、前記スイッチ部材にオフ操作を行うと、前記モータへの電力の供給が停止されてもよい。前記第2ロック機構は、前記第2スライド部材が前記第2ロック位置にある場合に、前記スイッチ部材へのオン操作を許容し、前記第2スライド部材が前記第2解除位置にある場合に、前記スイッチ部材へのオン操作を禁止するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、第2ロック機構が第2解除状態にある場合、すなわちカバーがハウジングから取り外される可能性がある場合に、スイッチ部材へのオン操作が行われることを禁止するので、ユーザの安全性を向上することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電動工具は、前記ハウジングに設けられたスイッチ部材をさらに備えていてもよい。前記ユーザが、前記スイッチ部材にオン操作を行うと、前記モータに電力が供給されてもよく、前記スイッチ部材にオフ操作を行うと、前記モータへの電力の供給が停止されてもよい。前記第2ロック機構の前記第2スライド部材は、前記スイッチ部材に機械的に連結されていてもよく、前記第2解除操作が前記スイッチ部材を介して行われてもよい。
上記の構成によれば、ユーザがオン操作およびオフ操作を行うスイッチ部材を介して、第2ロック機構に対する第2解除操作を行うことが可能となる。ユーザの利便性を向上することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ロック機構は、前記第1スライド部材に回動可能に保持された第2回動部材を備えていてもよい。前記第2回動部材は、前記第2ロック機構が前記第2ロック状態にある場合に、前記第1スライド部材が前記第1ロック位置から前記第1解除位置へ移動する際に前記ハウジングと干渉する第2ロック角度にあってもよく、前記第2ロック機構が前記第2解除状態にある場合に、前記第1スライド部材が前記第1ロック位置から前記第1解除位置へ移動する際に前記ハウジングと干渉しない第2解除角度にあってもよく、前記ユーザによる前記第2解除操作に応じて、前記第2ロック角度から前記第2解除角度に回動してもよい。
上記の構成によれば、第2ロック機構が第1ロック機構と一体化されているので、第1ロック機構と第2ロック機構の構成をより簡素化することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1ロック機構は、前記第1ロック状態において、前記カバーを前記ハウジングに対して回転させることおよび前記カバーを前記ハウジングから取り外すことを禁止し、前記第1解除状態において、前記カバーを前記ハウジングに対して回転させることおよび前記カバーを前記ハウジングから取り外すことを許容するように構成されていてもよい。前記第2ロック機構は、前記第2ロック状態において、前記カバーを前記ハウジングから取り外すことを禁止し、前記第2解除状態において、前記カバーを前記ハウジングから取り外すことを許容するように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、意図せずにカバーがハウジングから外れてしまう事態を確実に防止することができるとともに、カバーのハウジングに対する回転角度を固定することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記カバーは、前記先端工具保持部の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の被係合部を備えていてもよい。前記第1ロック機構は、前記先端工具保持部の前記回転軸に対して略直交する第1スライド方向に移動可能に前記ハウジングに保持されており、前記被係合部に係合可能な係合部を有する第1スライド部材を備えていてもよい。前記第1スライド部材は、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合する第1ロック位置にあってもよく、前記第1ロック機構が前記第1解除状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合しない第1解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第1解除操作に応じて、前記第1ロック位置から前記第1解除位置に移動してもよい、
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構によって、カバーのハウジングに対する回転角度の固定と、カバーのハウジングからの取り外しの防止の両方を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記カバーは、前記先端工具保持部の近傍の前記ハウジングを取り囲むバンド部を備えていてもよい。前記第1ロック機構は、前記バンド部に回動可能に保持された第1回動部材を備えていてもよい。前記第1回動部材は、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態にある場合に、前記バンド部を前記ハウジングに押し当てる第1ロック角度にあってもよく、前記第1ロック機構が前記第1解除状態にある場合に、前記バンド部を前記ハウジングに押し当てない第1解除角度にあってもよく、前記ユーザによる前記第1解除操作に応じて、前記第1ロック角度から前記第1解除角度に回動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構によって、カバーのハウジングに対する回転角度の固定と、カバーのハウジングからの取り外しの防止の両方を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記ハウジングは、前記先端工具保持部の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の被係合部を備えていてもよい。前記第1ロック機構は、前記カバーに回動可能に保持されており、前記被係合部に係合可能な係合部を有する第1回動部材を備えていてもよい。前記第1回動部材は、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合する第1ロック角度にあってもよく、前記第1ロック機構が前記第1解除状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合しない第1解除角度にあってもよく、前記ユーザによる前記第1解除操作に応じて、前記第1ロック角度から前記第1解除角度に回動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構によって、カバーのハウジングに対する回転角度の固定と、カバーのハウジングからの取り外しの防止の両方を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記カバーは、前記先端工具保持部の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の被係合部を備えていてもよい。前記第1ロック機構は、前記ハウジングに回動可能に保持されており、前記被係合部に係合可能な係合部を有する第1回動部材を備えていてもよい。前記第1回動部材は、前記第1ロック機構が前記第1ロック状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合する第1ロック角度にあってもよく、前記第1ロック機構が前記第1解除状態にある場合に、前記係合部が前記被係合部と係合しない第1解除角度にあってもよく、前記ユーザによる前記第1解除操作に応じて、前記第1ロック角度から前記第1解除角度に回動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構によって、カバーのハウジングに対する回転角度の固定と、カバーのハウジングからの取り外しの防止の両方を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ロック機構は、前記ハウジングに回動可能に保持された第2回動部材を備えていてもよい。前記第2回動部材は、前記第2ロック機構が前記第2ロック状態にある場合に、前記カバーと係合する第2ロック角度にあってもよく、前記第2ロック機構が前記第2解除状態にある場合に、前記カバーと係合しない第2解除角度にあってもよく、前記ユーザによる前記第2解除操作に応じて、前記第2ロック角度から前記第2解除角度に回動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構によって、カバーのハウジングからの取り外しの防止を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ロック機構は、前記先端工具保持部の回転軸に対して略直交する第2スライド方向に移動可能に前記カバーに保持されており、前記ハウジングと係合可能な係合部を有する第2スライド部材を備えていてもよい。前記第2スライド部材は、前記第2ロック機構が前記第2ロック状態にある場合に、前記ハウジングと係合する第2ロック位置にあってもよく、前記第2ロック機構が前記第2解除状態にある場合に、前記ハウジングと係合しない第2解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第2解除操作に応じて、前記第2ロック位置から前記第2解除位置に移動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構によって、カバーのハウジングからの取り外しの防止を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ロック機構は、前記先端工具保持部の回転軸に対して略平行な第2スライド方向に移動可能に前記カバーに保持された第2スライド部材と、記第2スライド部材に保持されており、前記ハウジングに係合可能なボール部材を備えていてもよい。前記第2スライド部材は、前記第2ロック機構が前記第2ロック状態にある場合に、前記ボール部材が前記ハウジングと係合する第2ロック位置にあってもよく、前記第2ロック機構が前記第2解除状態にある場合に、前記ボール部材が前記ハウジングと係合しない第2解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第2解除操作に応じて、前記第2ロック位置から前記第2解除位置に移動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構によって、カバーのハウジングからの取り外しの防止を実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ロック機構は、前記先端工具保持部の回転軸に対して略直交する第2スライド方向に移動可能に前記ハウジングに保持された第2スライド部材を備えていてもよい。前記第2スライド部材は、前記第2ロック機構が前記第2ロック状態にある場合に、前記カバーと係合する第2ロック位置にあってもよく、前記第2ロック機構が前記第2解除状態にある場合に、前記カバーと係合しない第2解除位置にあってもよく、前記ユーザによる前記第2解除操作に応じて、前記第2ロック位置から前記第2解除位置に移動してもよい。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構によって、カバーのハウジングからの取り外しの防止を実現することができる。
(実施例1)
図1に示すように、本実施例のグラインダ2は、モータハウジング4と、リヤハウジング6と、ギヤハウジング8と、ベアリングボックス10と、ホイールカバー12を備えている。
モータハウジング4の内部には、モータ14が収容されている。モータ14は、前後方向に伸びる出力シャフト16を有している。出力シャフト16は、ベアリング18を介して、モータハウジング4に回転可能に支持されている。
リヤハウジング6は、モータハウジング4の後方に取り付けられている。リヤハウジング6の内部には、電源回路20が収容されている。電源回路20には、外部の電源から電源コード22を介して電力が供給される。モータハウジング4の下面にはパドルスイッチ24が設けられている。ユーザがパドルスイッチ24を上方に押し込むと、リンク26が駆動スイッチ28に当接して、モータ14に電力が供給される。モータ14は、電源回路20から供給される電力によって、出力シャフト16を回転させる。ユーザがパドルスイッチ24から手を離すと、リンク26が駆動スイッチ28から離反して、モータ14への電力の供給が停止される。パドルスイッチ24には、パドルスイッチ24の押し込み操作を許可する状態と禁止する状態の間で切り換わるロックオフレバー30が設けられている。図1に示す状態では、ユーザによるパドルスイッチ24の押し込み操作が禁止されている。この状態から、ロックオフレバー30の下端が後方へ向かう方向(図1では反時計回りの方向)へロックオフレバー30を回動させると、ユーザによるパドルスイッチ24の押し込み操作が許容される。
ギヤハウジング8は、モータハウジング4の前方に取り付けられている。ギヤハウジング8は、ベアリング32を介して出力シャフト16を回転可能に支持している。ギヤハウジング8の内部には、互いに噛み合うように配置された第1ベベルギヤ34と第2ベベルギヤ36が収容されている。第1ベベルギヤ34は、出力シャフト16の前方端部に固定されている。第2ベベルギヤ36は、上下方向に伸びるスピンドル38の上方端部に固定されている。以下では、第1ベベルギヤ34と第2ベベルギヤ36を総称して、単にベベルギヤ40ともいう。ベベルギヤ40は、モータ14の回転を減速してスピンドル38に伝達する動力伝達機構である。ギヤハウジング8は、ベアリング42を介して、スピンドル38の上方端部を保持している。図2に示すように、ギヤハウジング8の上面には、シャフトロック44が設けられている。ユーザがシャフトロック44を下方に押し込むと、第2ベベルギヤ36の回転が禁止されて、スピンドル38の回転が禁止される。
図1に示すように、ベアリングボックス10は、ギヤハウジング8の下方に取り付けられている。ベアリングボックス10は、上下方向に伸びるねじ46a、46b、46c、46d(図2、図4、図5等参照)によって、ギヤハウジング8に固定されている。ベアリングボックス10は、ベアリング48を介して、スピンドル38を保持している。スピンドル38はベアリングボックス10に対して、上下方向に沿った回転軸周りに回転可能である。スピンドル38の下端近傍には、インナフランジIFとアウタフランジOFを介して、研削ホイールGWを取り付け可能である。グラインダ2において、モータ14が回転すると、スピンドル38とともに研削ホイールGWが回転軸周りに回転することで、ワークの研削を行うことができる。スピンドル38は、先端工具である研削ホイールGWを保持する先端工具保持部ということもできる。なお、以下の説明では、モータハウジング4、リヤハウジング6、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10を総称して、単にハウジング50ともいう。
ベアリングボックス10には、ホイールカバー12が取り付けられている。ホイールカバー12は、研削ホイールGWの少なくとも一部を覆う形状に形成されている。本実施例では、ホイールカバー12は、研削ホイールGWの略半周にわたる部分を覆う形状に形成されている。図1、図2に示す状態では、ホイールカバー12は、研削ホイールGWの後方の部分を覆う位置に配置されている。ホイールカバー12によって、グラインダ2の使用時に、研削ホイールGWからユーザに向けて研削粉が飛ぶことを防止することができる。なお、ホイールカバー12は、スピンドル38の少なくとも一部を覆っているということもできる。
図3に示すように、ホイールカバー12は、バンド部52と、上面部54と、側面部56と、絞り部58を備えている。バンド部52は、上下方向に伸びる略円筒形状を有している。バンド部52の内周面には、内側に向けて突出しており、周方向に長手方向を有する係合リブ52a、52b、52c、52d、52eが形成されている。また、バンド部52には、所定の角度範囲内に、複数の貫通孔52fが形成されている。係合リブ52a、52b、52c、52d、52eは、上下方向の位置が互いに一致している。複数の貫通孔52fは、上下方向の位置が互いに一致している。上面部54は、バンド部52の下側端部から外側に向けて広がっており、一部が切り欠かれた円錐台形状を有している。側面部56は、上面部54の外側端部から下方に伸びる略半円筒形状を有している。絞り部58は、側面部56の下端から内側に屈曲した形状を有している。
図4に示すように、ベアリングボックス10には、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)に沿って下方に突出する略円筒形状のカバー取付部60が形成されている。カバー取付部60の外周面には、円環状のガイド溝62が形成されており、ガイド溝62よりも下端側には径方向外側に突出するフランジ64が形成されている。フランジ64には、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eに対応して、切り欠き64a、64b、64c、64d、64eが形成されている。
図5に示すように、ベアリングボックス10の後部には、第1ロック機構66が取り付けられている。第1ロック機構66は、スライドプレート68と、圧縮ばね70を備えている。
図6に示すように、スライドプレート68は、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10と干渉しない形状で左右方向に伸びる平板状の基部68aと、基部68aの左側端部から上方に伸びる操作部68bと、基部68aに形成されており、左右方向に長手方向を有する長孔68c、68dと、基部68aの右側端部から前方下方に延びる支持部68eと、支持部68eの前側端部の近傍から左側に向けて突出する係止部68fと、基部68aの長孔68cと長孔68dの間で上方に向けて突出する上側突出部68gと、基部68aの長孔68cと長孔68dの間で下方に向けて突出する下側突出部68hを備えている。
図5に示すように、スライドプレート68は、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているねじ46a、46b、46c、46dのうち、後方左方に配置されたねじ46cと、後方右方に配置されたねじ46dに取り付けられている。ねじ46cは、スライドプレート68の長孔68cを貫通し、さらに高さ調整用のスリーブ72aを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ねじ46dは、スライドプレート68の長孔68dを貫通し、さらに高さ調整用のスリーブ72bを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。スライドプレート68は、左右方向に移動可能に、ベアリングボックス10に保持されている。
ベアリングボックス10には、スライドプレート68の上側突出部68gが貫通する貫通孔10aが形成されている。スライドプレート68の上側突出部68gは、貫通孔10aを介して、ギヤハウジング8の内部に入り込んでいる。圧縮ばね70は、ギヤハウジング8の内部に収容されており、スライドプレート68の上側突出部68gをギヤハウジング8に対して左方向に付勢している。すなわち、圧縮ばね70は、ベアリングボックス10に対してスライドプレート68を左方向、すなわち係止部68fをカバー取付部60に近づける方向に付勢している。
図4に示すように、モータハウジング4には、第2ロック機構74が取り付けられている。第2ロック機構74は、スライド部材76と、ロックオフ部材78と、ヒンジピン79と、捩じりばね80を備えている。
スライド部材76は、モータハウジング4の下面に、前後方向にスライド可能に取り付けられている。ロックオフ部材78は、左右方向に長手方向を有するヒンジピン79を介して、スライド部材76の後部に回動可能に取り付けられている。ロックオフ部材78は、係合部78aと、操作部78bを備えている。捩じりばね80は、ロックオフ部材78をスライド部材76に対して、係合部78aが上方向に移動する回動方向に付勢する。図4、図7に示すように、スライド部材76がモータハウジング4に対して前進した位置(前進位置ともいう)にある場合、ロックオフ部材78の係合部78aは、捩じりばね80の付勢力によって、モータハウジング4の前端近傍に形成された嵌合溝4aに嵌合する。図8、図9に示すように、スライド部材76がモータハウジング4に対して後退した位置(後退位置ともいう)にある場合、ロックオフ部材78の係合部78aは、捩じりばね80の付勢力によって、パドルスイッチ24の前端近傍に形成された嵌合溝24aに嵌合する。ロックオフ部材78がパドルスイッチ24の嵌合溝24aに嵌合した状態では、ユーザによるパドルスイッチ24の押し込み操作が禁止される。ユーザは、ロックオフ部材78の操作部78bを押し込んでロックオフ部材78を回動させて、係合部78aが嵌合溝4aまたは嵌合溝24aから抜け出した状態とすることで、スライド部材76を前後方向に移動させることができる。
スライド部材76の前端には、ストッパ部76aが形成されている。図4、図7に示すように、スライド部材76が前進位置にある場合、ストッパ部76aは、スライドプレート68を右側に向けて移動させる時に下側突出部68hと干渉する位置に配置される。このため、スライド部材76が前進位置にある場合、ユーザがスライドプレート68を右方向へ押し込む操作が禁止される。図8、図9に示すように、スライド部材76が後退位置にある場合、ストッパ部76aは、スライドプレート68を右側に向けて移動させる時に下側突出部68hと干渉しない位置に配置される。このため、スライド部材76が後退位置にある場合、ユーザがスライドプレート68を右方向へ押し込む操作が許容される。
ホイールカバー12をカバー取付部60に取り付ける際には、図8、図9に示すように、スライド部材76を後退位置に移動させてロックオフ部材78の係合部78aを嵌合溝24aに嵌合させて、スライドプレート68の右方向への押し込み操作が許容される状態としておく。また、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eをカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eに位置合わせする。その状態で、スライドプレート68の操作部68bを右方向に押し込んで、係止部68fをカバー取付部60から離反させつつ、カバー取付部60がバンド部52の内側に入り込むように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12が、カバー取付部60に取り付けられる。係合リブ52a、52b、52c、52d、52eが切り欠き64a、64b、64c、64d、64eに位置合わせされた状態における、ベアリングボックス10に取り付けられた後のホイールカバー12の位置を、以下では着脱位置ともいう。
ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー12は、カバー取付部60の周りに回転可能である。言い換えると、ホイールカバー12は、ベアリングボックス10に対して、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)周りに回転可能である。ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して着脱位置から回転させると、係合リブ52a、52b、52c、52d、52eがガイド溝62内で摺動する。ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して着脱位置から回転させた状態では、フランジ64と係合リブ52a、52b、52c、52d、52eが係合することで、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。この場合、ホイールカバー12はベアリングボックス10から取り外すことができない。
ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させて、スライドプレート68の係止部68fをバンド部52の複数の貫通孔52fのうちの一つに位置合わせして、スライドプレート68の操作部68bから手を離すと、圧縮ばね70の付勢力によって係止部68fが貫通孔52fに入り込む。この状態では、ホイールカバー12がスライドプレート68と係合しているので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して固定される。ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、スライドプレート68の操作部68bを押し込んで、係止部68fを貫通孔52fから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させることができる。係止部68fが入り込む貫通孔52fを適宜選択することで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。
スライドプレート68をホイールカバー12と係合させて、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して固定した後、図4、図7に示すように、スライド部材76を前進位置に移動させてロックオフ部材78の係合部78aを嵌合溝4aに嵌合させて、スライドプレート68の右方向への押し込み操作が禁止される状態とする。これによって、スライドプレート68が意図せずに右方向へ押し込まれて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して回転可能な状態となってしまうことを防止することができる。
ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外す際には、図8、図9に示すように、スライド部材76を後退位置に移動させてロックオフ部材78の係合部78aを嵌合溝24aに嵌合させて、スライドプレート68の右方向への押し込み操作が許容される状態とする。そして、スライドプレート68の操作部68bを押し込んで、係止部68fを貫通孔52fから抜け出した状態として、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転可能な状態とする。この状態で、ベアリングボックス10に対してホイールカバー12を着脱位置まで回転させた後、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eがカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eを通過して、ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ2(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー12(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構66であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構66と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構74であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構74を備えている。グラインダ2では、ユーザが、第2ロック機構74に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構66に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー12がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構66に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構74に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構66に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構74に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構74に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構66に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構66は、第1ロック状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構74は、第2ロック状態において、第1ロック機構66が第1ロック状態から第1解除状態に切り替わることを禁止し、第2解除状態において、第1ロック機構66が第1ロック状態から第1解除状態に切り替わることを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、第2ロック機構74に第2解除操作を行わなければ、第1ロック機構66に第1解除操作を行うことができない。また、第2ロック機構74に第2解除操作を行っても、第1ロック機構66に第1解除操作を行わなければ、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことができない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構66は、スピンドル38の回転軸に対して略直交する第1スライド方向(例えば左右方向)に移動可能にハウジング50に保持されたスライドプレート68(第1スライド部材の例)を備えていてもよい。スライドプレート68は、第1ロック機構66が第1ロック状態にある場合に、ホイールカバー12と係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構66が第1解除状態にある場合に、ホイールカバー12と係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。第2ロック機構74は、第2ロック状態において、スライドプレート68が第1ロック位置から第1解除位置へ移動することを禁止し、第2解除状態において、スライドプレート68が第1ロック位置から第1解除位置へ移動することを許容する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構66によって、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
本実施例において、ホイールカバー12は、スピンドル38の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の貫通孔52f(被係合部の例)を備えている。スライドプレート68は、貫通孔52fに係合可能な係止部68f(係合部の例)を備えている。スライドプレート68は、第1ロック機構66が第1ロック状態にある場合に、係止部68fが貫通孔52fと係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構66が第1解除状態にある場合に、係止部68fが貫通孔52fと係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構66によって、ホイールカバー12のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構74は、第1スライド方向(例えば左右方向)に対して交差する平面(例えば上下方向と前後方向を含む平面)内で移動可能にハウジング50に保持されたスライド部材76(第2スライド部材の例)を備えていてもよい。スライド部材76は、第2ロック機構74が第2ロック状態にある場合に、第1ロック位置から第1解除位置へ移動するスライドプレート68と干渉する第2ロック位置にあり、第2ロック機構74が第2解除状態にある場合に、第1ロック位置から第1解除位置へ移動するスライドプレート68と干渉しない第2解除位置にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック位置から第2解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構74によって、第1ロック機構66への第1解除操作の禁止を実現することができる。
本実施例において、グラインダ2は、ハウジング50に設けられたパドルスイッチ24(スイッチ部材の例)をさらに備えている。ユーザが、パドルスイッチ24にオン操作を行うと、モータ14に電力が供給され、パドルスイッチ24にオフ操作を行うと、モータ14への電力の供給が停止される。第2ロック機構74は、スライド部材76が第2ロック位置にある場合に、パドルスイッチ24へのオン操作を許容し、スライド部材76が第2解除位置にある場合に、パドルスイッチ24へのオン操作を禁止するように構成されている。
上記の構成によれば、第2ロック機構74が第2解除状態にある場合、すなわちホイールカバー12がハウジング50から取り外される可能性がある場合に、パドルスイッチ24へのオン操作が行われることを禁止するので、ユーザの安全性を向上することができる。
(実施例2)
図10に示すように、本実施例のグラインダ102は、実施例1のグラインダ2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ102について、実施例1のグラインダ2と相違する点について説明する。図11に示すように、グラインダ102は、第1ロック機構66の代わりに第1ロック機構104を備えており、第2ロック機構74の代わりに第2ロック機構106を備えている。
図12に示すように、第1ロック機構104は、ベアリングボックス10の後部に取り付けられている。第1ロック機構104は、スライドプレート108と、圧縮ばね110を備えている。
図13に示すように、スライドプレート108は、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10と干渉しない形状で左右方向に伸びる平板状の基部108aと、基部108aの左側端部に形成された軸受部108bと、基部108aに形成されており、左右方向に長手方向を有する長孔108c、108dと、基部108aの右側端部から前方下方に延びる支持部108eと、支持部108eの前側端部の近傍から左側に向けて突出する係止部108fと、基部108aの長孔108cと長孔108dの間で上方に向けて突出する上側突出部108gを備えている。
図12に示すように、スライドプレート108は、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているねじ46a、46b、46c、46dのうち、後方左方に配置されたねじ46cと、後方右方に配置されたねじ46dに取り付けられている。ねじ46cは、スライドプレート108の長孔108cを貫通し、さらに高さ調整用のスリーブ72aを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ねじ46dは、スライドプレート108の長孔108dを貫通し、さらに高さ調整用のスリーブ72bを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。スライドプレート108は、左右方向に移動可能に、ベアリングボックス10に保持されている。
ベアリングボックス10には、スライドプレート108の上側突出部108gが貫通する貫通孔10aが形成されている。スライドプレート108の上側突出部108gは、貫通孔10aを介して、ギヤハウジング8の内部に入り込んでいる。圧縮ばね110は、ギヤハウジング8の内部に収容されており、スライドプレート108の上側突出部108gをギヤハウジング8に対して左方向に付勢している。すなわち、圧縮ばね110は、ベアリングボックス10に対してスライドプレート108を左方向、すなわち係止部108fをカバー取付部60に近づける方向に付勢している。
第2ロック機構106は、スライドプレート108の軸受部108bに取り付けられている。第2ロック機構106は、ストッパ部材112と、ヒンジピン114と、捩じりばね116を備えている。ストッパ部材112は、前後方向に長手方向を有するヒンジピン114を介して、スライドプレート108の軸受部108bに回動可能に支持されている。このため、ストッパ部材112はスライドプレート108に対して、前後方向に伸びる回動軸周りに回動可能である。捩じりばね116は、スライドプレート108に対してストッパ部材112を、ストッパ部材112がスライドプレート108の基部108aの上面に近づく回動方向に付勢している。このため、ユーザがストッパ部材112に触れていない状態では、図12に示すように、ストッパ部材112はスライドプレート108の基部108aの上面に当接している。この状態では、スライドプレート108をベアリングボックス10に対して右方向に移動させるようとすると、ストッパ部材112がベアリングボックス10に設けられたスリーブ72aと干渉するので、スライドプレート108を右方向に移動させることが禁止されている。
図14に示すように、ユーザがストッパ部材112を外側に向けて回動させると、ストッパ部材112がスライドプレート108の基部108aの上面から離反する。この状態では、スライドプレート108をベアリングボックス10に対して右方向に移動させる際に、ストッパ部材112がベアリングボックス10に設けられたスリーブ72aと干渉しないので、スライドプレート108を右方向に移動させることが許容される。
ホイールカバー12をカバー取付部60に取り付ける際には、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eをカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eに位置合わせする。その状態で、図14に示すように、ストッパ部材112を外側に回動させながら、スライドプレート108を右方向に押し込んで、係止部108fをカバー取付部60から離反させつつ、カバー取付部60がバンド部52の内側に入り込むように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12が、カバー取付部60に取り付けられる。
その後、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させて、スライドプレート108の係止部108fをバンド部52の複数の貫通孔52fのうちの一つに位置合わせして、スライドプレート108から手を離すと、圧縮ばね110の付勢力によってスライドプレート108が左方向に移動し、係止部108fが貫通孔52fに入り込むとともに、図12に示すように、ストッパ部材112が内側に回動して基部108aの上面に当接する。この状態では、ホイールカバー12がスライドプレート108と係合しているので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して固定される。ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、ストッパ部材112を外側に回動させながら、スライドプレート108を右方向に押し込んで、係止部108fを貫通孔52fから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させることができる。係止部108fが入り込む貫通孔52fを適宜選択することで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。
ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外す際には、図14に示すように、ストッパ部材112を外側に回動させながら、スライドプレート108を右方向に押し込んで、係止部108fを貫通孔52fから抜け出した状態として、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転可能な状態とする。この状態で、ベアリングボックス10に対してホイールカバー12を着脱位置まで回転させた後、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eがカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eを通過して、ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ102(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー12(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構104であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構104と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構106であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構106を備えている。グラインダ102では、ユーザが、第2ロック機構106に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構104に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー12がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構104に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構106に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構104に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構106に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構106に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構104に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構104は、第1ロック状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構106は、第2ロック状態において、第1ロック機構104が第1ロック状態から第1解除状態に切り替わることを禁止し、第2解除状態において、第1ロック機構104が第1ロック状態から第1解除状態に切り替わることを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、第2ロック機構106に第2解除操作を行わなければ、第1ロック機構104に第1解除操作を行うことができない。また、第2ロック機構106に第2解除操作を行っても、第1ロック機構104に第1解除操作を行わなければ、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことができない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構104は、スピンドル38の回転軸に対して略直交する第1スライド方向(例えば左右方向)に移動可能にハウジング50に保持されたスライドプレート108(第1スライド部材の例)を備えている。スライドプレート108は、第1ロック機構104が第1ロック状態にある場合に、ホイールカバー12と係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構104が第1解除状態にある場合に、ホイールカバー12と係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。第2ロック機構106は、第2ロック状態において、スライドプレート108が第1ロック位置から第1解除位置へ移動することを禁止し、第2解除状態において、スライドプレート108が第1ロック位置から第1解除位置へ移動することを許容する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構104によって、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
本実施例において、ホイールカバー12は、スピンドル38の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の貫通孔52f(被係合部の例)を備えている。スライドプレート108は、貫通孔52fに係合可能な係止部108f(係合部の例)を備えている。スライドプレート108は、第1ロック機構104が第1ロック状態にある場合に、係止部108fが貫通孔52fと係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構104が第1解除状態にある場合に、係止部108fが貫通孔52fと係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構104によって、ホイールカバー12のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構106は、スライドプレート108に回動可能に保持されたストッパ部材112(第2回動部材の例)を備えている。ストッパ部材112は、第2ロック機構106が第2ロック状態にある場合に、スライドプレート108が第1ロック位置から第1解除位置へ移動する際にハウジング50と干渉する第2ロック角度にあり、第2ロック機構106が第2解除状態にある場合に、スライドプレート108が第1ロック位置から第1解除位置へ移動する際にハウジング50と干渉しない第2解除角度にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック角度から第2解除角度に回動する。
上記の構成によれば、第2ロック機構106が第1ロック機構104と一体化されているので、第1ロック機構104と第2ロック機構106の構成をより簡素化することができる。
(実施例3)
図15に示すように、本実施例のグラインダ202は、実施例1のグラインダ2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ202について、実施例1のグラインダ2と相違する点について説明する。図16に示すように、グラインダ202は、第1ロック機構66の代わりに第1ロック機構204を備えており、第2ロック機構74の代わりに第2ロック機構206を備えている。
図17に示すように、第1ロック機構204は、ベアリングボックス10の後部に取り付けられている。第1ロック機構204は、スライドプレート208と、圧縮ばね210を備えている。
図18に示すように、スライドプレート208は、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10と干渉しない形状で左右方向に伸びる平板状の基部208aと、基部208aの左側端部から上方に伸びる操作部208bと、基部208aに形成されており、左右方向に長手方向を有する長孔208c、208dと、基部208aの右側端部から前方下方に延びる支持部208eと、支持部208eの前側端部の近傍から左側に向けて突出する係止部208fと、基部208aの長孔208cと長孔208dの間で上方に向けて突出する上側突出部208gを備えている。
図17に示すように、スライドプレート208は、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているねじ46a、46b、46c、46dのうち、後方左方に配置されたねじ46cと、後方右方に配置されたねじ46dに取り付けられている。ねじ46cは、スライドプレート208の長孔208cを貫通し、さらに高さ調整用のスリーブ72aを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ねじ46dは、スライドプレート208の長孔208dを貫通し、さらに高さ調整用のスリーブ72bを貫通して、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。スライドプレート208は、左右方向に移動可能に、ベアリングボックス10に保持されている。
ベアリングボックス10には、スライドプレート208の上側突出部208gが貫通する貫通孔10aが形成されている。スライドプレート208の上側突出部108gは、貫通孔10aを介して、ギヤハウジング8の内部に入り込んでいる。圧縮ばね210は、ギヤハウジング8の内部に収容されており、スライドプレート208の上側突出部208gをギヤハウジング8に対して左方向に付勢している。すなわち、圧縮ばね210は、ベアリングボックス10に対してスライドプレート208を左方向、すなわち係止部208fをカバー取付部60に近づける方向に付勢している。
図15に示すように、第2ロック機構206は、ベアリングボックス10の前部に取り付けられている。第2ロック機構206は、回動部材212と、ヒンジピン214と、捩じりばね216を備えている。回動部材212は、左右方向に長手方向を有するヒンジピン214を介して、ベアリングボックス10に形成された軸受部10bに回動可能に支持されている。このため、回動部材212はベアリングボックス10に対して、左右方向に伸びる回動軸周りに回動可能である。回動部材212は、突出部212aと、操作部212bを備えている。突出部212aは、回動部材212の下端から後方に向けて突出する形状を有している。捩じりばね216は、ベアリングボックス10に対して回動部材212を、突出部212aがカバー取付部60に近づく回動方向に付勢している。このため、ユーザが回動部材212に触れていない状態では、図19に示すように、突出部212aがホイールカバー12のバンド部52および上面部54の下方に配置される。この状態では、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせようとすると、回動部材212の突出部212aがホイールカバー12と干渉するので、ホイールカバー12を下方向にスライドさせることが禁止されている。
図20に示すように、ユーザが回動部材212の操作部212bを上方向に押し上げて回動部材212を回動させると、突出部212aがカバー取付部60から離れる方向に移動する。この状態では、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる際に、回動部材212の突出部212aがホイールカバー12と干渉しないので、ホイールカバー12を下方向にスライドさせることが許容される。
ホイールカバー12をカバー取付部60に取り付ける際には、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eをカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eに位置合わせする。その状態で、図20に示すように、回動部材212の操作部212bを上方向に押し上げて回動部材212を回動させながら、スライドプレート208を右方向に押し込んで、係止部208fをカバー取付部60から離反させつつ、カバー取付部60がバンド部52の内側に入り込むように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12が、カバー取付部60に取り付けられる。その後、回動部材212から手を離すと、図19に示すように、回動部材212の突出部212aがホイールカバー12のバンド部52および上面部54の下方に配置される。これによって、ホイールカバー12を下方向にスライドさせることが禁止される。このため、ホイールカバー12が着脱位置にある場合であっても、ホイールカバー12はベアリングボックス10から取り外すことができない。
その後、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させて、スライドプレート208の係止部208fをバンド部52の複数の貫通孔52fのうちの一つに位置合わせして、スライドプレート208から手を離すと、圧縮ばね210の付勢力によってスライドプレート208が左方向に移動し、係止部208fが貫通孔52fに入り込む。この状態では、ホイールカバー12がスライドプレート208と係合しているので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して固定される。ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、スライドプレート208を右方向に押し込んで、係止部208fを貫通孔52fから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させることができる。係止部208fが入り込む貫通孔52fを適宜選択することで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。
ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外す際には、スライドプレート208を右方向に押し込んで、係止部208fを貫通孔52fから抜け出した状態として、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転可能な状態とする。この状態で、図20に示すように、ベアリングボックス10に対してホイールカバー12を着脱位置まで回転させた後、回動部材212の操作部212bを上方向に押し上げて回動部材212を回動させながら、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eがカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eを通過して、ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ202(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー12(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構204であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構204と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構206であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構206を備えている。グラインダ202では、ユーザが、第2ロック機構206に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構204に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー12がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構204に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構206に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構204に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構206に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構206に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構204に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構204は、第1ロック状態において、ホイールカバー12をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー12をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構206は、第2ロック状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを禁止し、第2解除状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができるとともに、ホイールカバー12のハウジング50に対する回転角度を固定することができる。
本実施例において、ホイールカバー12は、スピンドル38の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の貫通孔52f(被係合部の例)を備えている。第1ロック機構204は、スピンドル38の回転軸に対して略直交する第1スライド方向(例えば左右方向)に移動可能にハウジング50に保持されており、貫通孔52fに係合可能な係止部108f(係合部の例)を有するスライドプレート208(第1スライド部材の例)を備えている。スライドプレート208は、第1ロック機構204が第1ロック状態にある場合に、係止部108fが貫通孔52fと係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構204が第1解除状態にある場合に、係止部108fが貫通孔52fと係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構204によって、ホイールカバー12のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構206は、ハウジング50に回動可能に保持された回動部材212(第2回動部材の例)を備えている。回動部材212は、第2ロック機構206が第2ロック状態にある場合に、ホイールカバー12と係合する第2ロック角度にあり、第2ロック機構206が第2解除状態にある場合に、ホイールカバー12と係合しない第2解除角度にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック角度から第2解除角度に回動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構206によって、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
(実施例4)
図21-図23に示すように、本実施例のグラインダ302は、実施例3のグラインダ202と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ302について、実施例3のグラインダ202と相違する点について説明する。図21に示すように、グラインダ302は、パドルスイッチ24の代わりに、スライドスイッチ304を備えている。スライドスイッチ304は、モータハウジング4の左面に設けられている。スライドスイッチ304は、モータハウジング4に対して、前進位置と、前進位置の後方に位置する後退位置の間で、前後方向にスライド可能である。さらに、スライドスイッチ304は、モータハウジング4に対して、後退位置と、後退位置の上方に位置する解除位置の間で、上下方向にスライド可能である。ユーザがスライドスイッチ304を前進位置に移動させると、図示しないリンクが駆動スイッチ28(図1参照)に当接して、モータ14(図1参照)に電力が供給される。ユーザがスライドスイッチ304を後退位置や解除位置に移動させると、図示しないリンクが駆動スイッチ28から離反して、モータ14への電力の供給が停止される。
本実施例のグラインダ302は、第2ロック機構206の代わりに、第2ロック機構306を備えている。第2ロック機構306は、モータハウジング4に取り付けられている。第2ロック機構306は、スライド部材308を備えている。
図24に示すように、スライド部材308は、基部308aと、基部308aから前方に伸びる連結部308bと、連結部308bの前端に形成されたストッパ部308cを備えている。図21に示すように、スライド部材308は、連結部308bがギヤハウジング8に形成された貫通孔8aを貫通するように配置されている。基部308aは、モータハウジング4の内部において、スライドスイッチ304に固定されている。このため、スライドスイッチ304が前後方向または上下方向にスライドすると、スライド部材308も前後方向または上下方向にスライドする。ストッパ部308cは、前後方向に長手方向を有し、上下方向に短手方向を有する、矩形の平板形状に形成されている。
図21に示すように、スライドスイッチ304が前進位置にある場合、スライド部材308のストッパ部308cは、スライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮る位置に配置される。この状態では、スライドプレート208をベアリングボックス10に対して右方向に移動させるようとすると、操作部208bがスライド部材308のストッパ部308cと干渉するので、スライドプレート208を右方向に移動させることが禁止されている。
図25に示すように、スライドスイッチ304を前進位置から後退位置に移動させると、スライド部材308のストッパ部308cは後方に移動するものの、依然としてスライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮る位置に配置される。この状態でも、スライドプレート208をベアリングボックス10に対して右方向に移動させるようとすると、操作部208bがスライド部材308のストッパ部308cと干渉するので、スライドプレート208を右方向に移動させることが禁止されている。
図26に示すように、スライドスイッチ304を後退位置から解除位置に移動させると、スライド部材308のストッパ部308cは上方に移動して、スライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮らない位置に配置される。この状態では、スライドプレート208をベアリングボックス10に対して右方向に移動させる際に、操作部208bがスライド部材308のストッパ部308cと干渉しないので、スライドプレート208を右方向に移動させることが許容される。
ホイールカバー12をカバー取付部60に取り付ける際には、図26に示すようにスライドスイッチ304を解除位置に移動させて、スライド部材308のストッパ部308cを、スライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮らない位置に移動させる。そして、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eをカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eに位置合わせする。その状態で、スライドプレート208を右方向に押し込んで、係止部208fをカバー取付部60から離反させつつ、カバー取付部60がバンド部52の内側に入り込むように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12が、カバー取付部60に取り付けられる。
その後、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させて、スライドプレート208の係止部208fをバンド部52の複数の貫通孔52fのうちの一つに位置合わせして、スライドプレート208から手を離すと、圧縮ばね210の付勢力によってスライドプレート208が左方向に移動し、係止部208fが貫通孔52fに入り込む。この状態では、ホイールカバー12がスライドプレート208と係合しているので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して固定される。
ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、スライドプレート208を右方向に押し込んで、係止部208fを貫通孔52fから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させることができる。係止部208fが入り込む貫通孔52fを適宜選択することで、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。その後、図25に示すようにスライドスイッチ304を後退位置に移動させて、スライド部材308のストッパ部308cを、スライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮る位置に移動させる。これによって、スライドプレート208を右方向へ押し込む操作が禁止される。なお、モータ14を駆動するために図21に示すようにスライドスイッチ304を前進位置に移動させた場合でも、スライド部材308のストッパ部308cは、スライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮る位置に配置されるので、スライドプレート208を右方向へ押し込む操作が禁止される。
ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外す際には、図26に示すようにスライドスイッチ304を解除位置に移動させて、スライド部材308のストッパ部308cを、スライドプレート208の操作部208bとベアリングボックス10の間を遮らない位置に移動させる。そして、スライドプレート208を右方向に押し込んで、係止部208fを貫通孔52fから抜け出した状態として、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転可能な状態とする。この状態で、ベアリングボックス10に対してホイールカバー12を着脱位置まで回転させた後、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー12の係合リブ52a、52b、52c、52d、52eがカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64c、64d、64eを通過して、ホイールカバー12をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ302(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー12(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構204であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構204と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構306であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構306を備えている。グラインダ302では、ユーザが、第2ロック機構306に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構204に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー12がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構204に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構306に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構204に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構306に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構306に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構104に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー12がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構204は、第1ロック状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構306は、第2ロック状態において、第1ロック機構204が第1ロック状態から第1解除状態に切り替わることを禁止し、第2解除状態において、第1ロック機構204が第1ロック状態から第1解除状態に切り替わることを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、第2ロック機構306に第2解除操作を行わなければ、第1ロック機構204に第1解除操作を行うことができない。また、第2ロック機構306に第2解除操作を行っても、第1ロック機構204に第1解除操作を行わなければ、ホイールカバー12をハウジング50から取り外すことができない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー12がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構204は、スピンドル38の回転軸に対して略直交する第1スライド方向(例えば左右方向)に移動可能にハウジング50に保持されたスライドプレート208(第1スライド部材の例)を備えている。スライドプレート208は、第1ロック機構204が第1ロック状態にある場合に、ホイールカバー12と係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構204が第1解除状態にある場合に、ホイールカバー12と係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。第2ロック機構306は、第2ロック状態において、スライドプレート208が第1ロック位置から第1解除位置へ移動することを禁止し、第2解除状態において、スライドプレート208が第1ロック位置から第1解除位置へ移動することを許容する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構204によって、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
本実施例において、ホイールカバー12は、スピンドル38の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の貫通孔52f(被係合部の例)を備えている。スライドプレート208は、貫通孔52fに係合可能な係止部108f(係合部の例)を備えている。スライドプレート208は、第1ロック機構204が第1ロック状態にある場合に、係止部108fが貫通孔52fと係合する第1ロック位置にあり、第1ロック機構204が第1解除状態にある場合に、係止部108fが貫通孔52fと係合しない第1解除位置にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック位置から第1解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構204によって、ホイールカバー12のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー12のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構306は、第1スライド方向(例えば左右方向)に対して交差する平面(例えば上下方向と前後方向を含む平面)内で移動可能にハウジング50に保持されたスライド部材308(第2スライド部材の例)を備えている。スライド部材308は、第2ロック機構306が第2ロック状態にある場合に、第1ロック位置から第1解除位置へ移動するスライドプレート208と干渉する第2ロック位置にあり、第2ロック機構306が第2解除状態にある場合に、第1ロック位置から第1解除位置へ移動するスライドプレート208と干渉しない第2解除位置にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック位置から第2解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構306によって、第1ロック機構204への第1解除操作の禁止を実現することができる。
本実施例において、グラインダ302は、ハウジング50に設けられたスライドスイッチ304(スイッチ部材の例)をさらに備えている。ユーザが、スライドスイッチ304にオン操作を行うと、モータ14に電力が供給され、スライドスイッチ304にオフ操作を行うと、モータ14への電力の供給が停止される。第2ロック機構306のスライド部材308は、スライドスイッチ304に機械的に連結されており、第2解除操作がスライドスイッチ304を介して行われる。
上記の構成によれば、ユーザがオン操作およびオフ操作を行うスライドスイッチ304を介して、第2ロック機構306に対する第2解除操作を行うことが可能となる。ユーザの利便性を向上することができる。
(実施例5)
図27に示すように、本実施例のグラインダ402は、実施例1のグラインダ2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ402について、実施例1のグラインダ2と相違する点について説明する。グラインダ402は、パドルスイッチ24の代わりに、スライドスイッチ404を備えている。スライドスイッチ404は、モータハウジング4の左面に設けられている。スライドスイッチ404は、モータハウジング4に対して、前進位置と、前進位置の後方に位置する後退位置の間で、前後方向にスライド可能である。ユーザがスライドスイッチ404を前進位置に移動させると、図示しないリンクが駆動スイッチ28(図1参照)に当接して、モータ14(図1参照)に電力が供給される。ユーザがスライドスイッチ404を後退位置に移動させると、図示しないリンクが駆動スイッチ28から離反して、モータ14への電力の供給が停止される。
本実施例のグラインダ402は、ホイールカバー12の代わりに、ホイールカバー406を備えている。また、本実施例のグラインダ402は、第1ロック機構66の代わりに第1ロック機構408を備えており、第2ロック機構74の代わりに第2ロック機構410を備えている。
図28に示すように、ホイールカバー406は、バンド部412と、カバー部414を備えている。バンド部412は、帯状の平板を円筒形状に湾曲させた湾曲部416と、湾曲部416の両端から外側に屈曲して互いに略平行に伸びており、それぞれが中央に貫通孔を有する一対の平板部418、420と、平板部420の端部から屈曲した外壁部422と、平板部420の外面に溶接されたナット424と、平板部418の下面と湾曲部416の平板部418側の端部の下面に溶接された略三角形状の第1補強板426と、外壁部422の下面と平板部420の下面と湾曲部416の平板部420側の端部の下面に溶接された第2補強板428と、湾曲部416の内面に沿う形状を有しており、一方の端部が湾曲部416の内面に溶接された固定端であり、他方の端部が自由端である押圧板430と、湾曲部416の上面と外面と下面を覆う箱型の断面形状を有しており、回動角度に応じて押圧板430の自由端を内側に向けて押し込むレバー432と、レバー432を回動可能に支持するヒンジピン434と、湾曲部416の外面に溶接されておりヒンジピン434を支持する支持板436と、平板部418、420を介してナット424に螺着される調整ネジ438と、平板部418、420の間で調整ネジ438に取り付けられたストップリング440と、湾曲部416の一部を径方向外側にコの字形状に突出させた収容部442と、収容部442の外面の中央に形成された貫通孔を貫通するロックピン444と、収容部442の外側でロックピン444の外側端部に固定されたつまみ446と、ロックピン444を径方向内側に向けて付勢する圧縮ばね448を備えている。ロックピン444の内側の端部には、係止部444aが形成されている。つまみ446が外側に引っ張られていない状態では、ロックピン444の係止部444aは、湾曲部416の内面よりも内側に向けて突出している。つまみ446が外側に引っ張られた状態では、ロックピン444の係止部444aは、湾曲部416の内面よりも外側に移動する。バンド部412の平板部418、420の間には、開口部が形成されている。第2補強板428には、湾曲部416の内面よりも内側に向けて突出する当接部416aが形成されている。押圧板430の内面には、内側に向けて突出しており、上下方向に長手方向を有する押圧リブ430aと、内側に向けて突出しており、周方向に長手方向を有する係合リブ430bが形成されている。レバー432は、湾曲部416に対する回動角度が小さいほど、押圧板430の自由端を内側に向けて大きく押し込む形状に形成されている。このため、レバー432は、湾曲部416に対して開いた状態では、押圧板430の自由端を内側に向けてそれほど押し込んでおらず、湾曲部416に対して閉じた状態では、押圧板430の自由端を内側に向けて大きく押し込む。ストップリング440は、調整ネジ438の外径よりも小径のゴム製リングであって、拡径した状態で調整ネジ438に取り付けられている。ストップリング440が調整ネジ438に取り付けられていることで、調整ネジ438がナット424から外れた場合であっても、調整ネジ438が平板部418から脱落することを防止することができる。
ホイールカバー406のカバー部414は、内側円筒部450と、円錐台部452と、外側円筒部454と、絞り部456を備えている。内側円筒部450と外側円筒部454は、断面が略半円である円筒形状に形成されている。円錐台部452は、内側円筒部450の下端と、外側円筒部454の上端を接続する円錐台形状に形成されている。絞り部456は、外側円筒部454の下端から内側に屈曲した形状を有している。内側円筒部450の内面には、内側に向けて突出しており、周方向に長手方向を有する係合リブ450a、450bが形成されている。バンド部412とカバー部414は、内側円筒部450の外面と湾曲部416の内面を溶接することによって、互いに固定されている。ホイールカバー406においては、押圧板430の係合リブ430bと、内側円筒部450の係合リブ450a、450bと、ロックピン444の係止部444aは、上下方向の位置が互いに一致するように形成されている。
本実施例のグラインダ402では、ホイールカバー406の、押圧板430と、レバー432と、ヒンジピン434と、支持板436が、第1ロック機構408を構成しており、ホイールカバー406の、収容部442と、ロックピン444と、つまみ446と、圧縮ばね448が、第2ロック機構410を構成している。
図29に示すように、本実施例のグラインダ402では、ベアリングボックス10のカバー取付部60のフランジ64に、ホイールカバー406の係合リブ430b、450a、450bに対応して、切り欠き64a、64b、64cが形成されている。切り欠き64a、64b、64cは、上下方向に伸びており、ガイド溝62に連通している。また、カバー取付部60の下面には、下方に突出する当接片458が形成されている。当接片458は、ホイールカバー406の当接部416aと当接して、ホイールカバー406が回転可能な角度を規制する。なお、本実施例のグラインダ402では、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているねじ46c、46dは、スリーブ72a、72bを介することなく、ベアリングボックス10とギヤハウジング8を締結している。
ホイールカバー406をカバー取付部60に取り付ける際には、ホイールカバー406のレバー432を湾曲部416に対して開いた状態として、かつ、つまみ446を摘んでロックピン444を外側に引っ張った状態とする。この状態で、ホイールカバー406の係合リブ430b、450a、450bをカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64cに位置合わせして、カバー取付部60がバンド部412の内側に入り込むように、ホイールカバー406をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、図30に示すように、ホイールカバー406が、カバー取付部60に取り付けられる。係合リブ430b、450a、450bが切り欠き64a、64b、64cに位置合わせされた状態における、ベアリングボックス10に取り付けられた後のホイールカバー406の位置を、以下では着脱位置ともいう。この状態で、つまみ446から手を離すと、圧縮ばね448の付勢力によってロックピン444が内側に向けて移動し、図31に示すように、ロックピン444の係止部444aがガイド溝62内に入り込む。この状態では、ロックピン444の係止部444aがフランジ64と係合するので、ホイールカバー406のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。このため、ホイールカバー406が着脱位置にある場合であっても、ホイールカバー406はベアリングボックス10から取り外すことができない。
ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー406は、カバー取付部60の周りに回転可能である。言い換えると、ホイールカバー406は、ベアリングボックス10に対して、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)周りに回転可能である。ホイールカバー406をベアリングボックス10に対して着脱位置から回転させると、係合リブ430b、450a、450bがガイド溝62内で摺動する。ホイールカバー406をベアリングボックス10に対して着脱位置から回転させた状態では、フランジ64と係合リブ430b、450a、450bが係合することで、ホイールカバー406のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。このため、ホイールカバー406を着脱位置から回転させた後は、つまみ446を摘んでロックピン444を外側に引っ張った状態としても、ホイールカバー406はベアリングボックス10から取り外すことができない。
ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー406は、着脱位置から、当接部416aが当接片458と当接する位置まで回転可能である。ホイールカバー406を回転可能な範囲で所望の位置まで回転させて、レバー432を湾曲部416に対して閉じることで、押圧板430の自由端が内側に押し込まれて、押圧板430の自由端と、押圧リブ430aと、内側円筒部450によってカバー取付部60が押圧されて、ホイールカバー406のベアリングボックス10に対する回転が禁止される。レバー432を湾曲部416に対して開くと、押圧板430の自由端と、押圧リブ430aと、内側円筒部450によってカバー取付部60が押圧されなくなり、ホイールカバー406のベアリングボックス10に対する回転が許容される。
ホイールカバー406をカバー取付部60から取り外す際には、レバー432を湾曲部416に対して開いて、ホイールカバー406をベアリングボックス10に対して回転可能な状態とする。この状態で、ベアリングボックス10に対してホイールカバー406を着脱位置まで回転させた後、つまみ446を摘んでロックピン444を外側に引っ張った状態としたまま、ホイールカバー406をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー406の係合リブ430b、450a、450bがカバー取付部60の切り欠き64a、64b、64cを通過して、ホイールカバー406をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ402(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー406(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構408であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構408と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構410であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構410を備えている。グラインダ402では、ユーザが、第2ロック機構410に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構408に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー406がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構408に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構410に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー406がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構408に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構410に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー406がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構410に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構408に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー406がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー406がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構408は、第1ロック状態において、ホイールカバー406をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー406をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー406をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー406をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構410は、第2ロック状態において、ホイールカバー406をハウジング50から取り外すことを禁止し、第2解除状態において、ホイールカバー406をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー406がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができるとともに、ホイールカバー406のハウジング50に対する回転角度を固定することができる。
本実施例において、ホイールカバー406は、スピンドル38の近傍のハウジング50を取り囲むバンド部412を備えている。第1ロック機構408は、バンド部412に回動可能に保持されたレバー432(第1回動部材の例)を備えている。レバー432は、第1ロック機構408が第1ロック状態にある場合に、バンド部412をハウジング50に押し当てる第1ロック角度にあり、第1ロック機構408が第1解除状態にある場合に、バンド部412をハウジング50に押し当てない第1解除角度にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック角度から第1解除角度に回動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構408によって、ホイールカバー406のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー406のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構410は、スピンドル38の回転軸に対して略直交する第2スライド方向(例えば径方向)に移動可能にホイールカバー406に保持されており、ハウジング50と係合可能な係止部444a(係合部の例)を有するロックピン444(第2スライド部材の例)を備えている。ロックピン444は、第2ロック機構410が第2ロック状態にある場合に、ハウジング50と係合する第2ロック位置にあり、第2ロック機構410が第2解除状態にある場合に、ハウジング50と係合しない第2解除位置にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック位置から第2解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構410によって、ホイールカバー406のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
(実施例6)
図32に示すように、本実施例のグラインダ502は、実施例1のグラインダ2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ502について、実施例1のグラインダ2と相違する点について説明する。本実施例のグラインダ502は、ホイールカバー12の代わりに、ホイールカバー504を備えている。
図33、図34に示すように、ホイールカバー504は、カバー本体506と、スライド部材508と、圧縮ばね510と、回動部材512と、ヒンジピン514と、捩じりばね516と、ロックボール518a、518b、518cと、リングばね520を備えている。
カバー本体506は、バンド部522と、上面部524と、側面部526と、絞り部528を備えている。バンド部522は、上下方向に伸びる略円筒形状を有している。バンド部522には、ロックボール518a、518b、518cに対応する貫通孔522a、522b、522cと、回動部材512に対応する貫通孔522dが形成されている。貫通孔522a、522b、522c、522dは、上下方向の位置が互いに一致している。貫通孔522a、522b、522cの内径側は、ロックボール518a、518b、518cの直径よりも小さい直径の円形状に形成されている。バンド部522の上端近傍の外面には、リングばね520に対応するリング溝522eが形成されている。上面部524は、バンド部522の下側端部から外側に広がっており、一部が切り欠かれた円板形状を有している。側面部526は、上面部524の外側端部から下方に伸びる略半円筒形状を有している。絞り部528は、側面部526の下端から内側に屈曲した形状を有している。
スライド部材508は、バンド部530と、フランジ部532と、支持部534を備えている。バンド部530は、上下方向に伸びる略円筒形状を有している。バンド部530の内径は、カバー本体506のバンド部522の外径よりも大きい。バンド部530には、ロックボール518a、518b、518cに対応して、ガイド溝530a、530b、530cが形成されている。ガイド溝530a、530b、530cは、バンド部530の内面を上下方向に沿って延びている。ガイド溝530a、530b、530cは、下端に近づくにつれて径方向の寸法が小さくなる形状を有している。フランジ部532は、バンド部530の下側端部から外側に広がる円環形状を有している。支持部534は、バンド部530の上側端部から外側に突出する平板形状を有している。回動部材512は、上下方向に長手方向を有するヒンジピン514を介して、スライド部材508のフランジ部532と支持部534に回動可能に支持されている。回動部材512は、係止部512aと操作部512bを備えている。捩じりばね516は、回動部材512をスライド部材508に対して、係止部512aが内側に向かう回動方向に付勢する。バンド部530には、回動部材512に対応して、貫通孔530dが形成されている。バンド部530の上端近傍の内面には、リングばね520が係合する段差530eが形成されている。
ホイールカバー504においては、カバー本体506のバンド部522の周囲を取り囲むように圧縮ばね510が配置された状態で、カバー本体506のバンド部522がスライド部材508のバンド部530の内側に挿入されている。圧縮ばね510は、スライド部材508のフランジ部532を、カバー本体506の上面部524に対して、上方向に付勢する。カバー本体506にスライド部材508を取り付けた状態で、ロックボール518a、518b、518cは、スライド部材508のガイド溝530a、530b、530cに収容されている。ロックボール518a、518b、518cがガイド溝530a、530b、530cの下端に配置された状態では、図33に示すように、ロックボール518a、518b、518cの一部が、貫通孔522a、522b、522cを介して、カバー本体506のバンド部522の内面よりも内側に突出する。また、カバー本体506にスライド部材508を取り付けた状態では、回動部材512の係止部512aが、スライド部材508のバンド部530の貫通孔530dと、カバー本体506のバンド部522の貫通孔522dを介して、カバー本体506のバンド部522の内面よりも内側に突出する。
リングばね520は、カバー本体506にスライド部材508を取り付けた状態で、カバー本体506のリング溝522eに取り付けられる。リングばね520は、無負荷状態ではカバー本体506のリング溝522eの外径よりも小径であって、拡径した状態でリング溝522eに取り付けられている。カバー本体506に取り付けられた状態のリングばね520の外径は、カバー本体506のバンド部522の外径よりも大きいので、リングばね520はスライド部材508の段差530eやロックボール518a、518b、518cと係合する。リングばね520が取り付けられることによって、スライド部材508や、ロックボール518a、518b、518cが、カバー本体506から抜け落ちてしまうことを防止することができる。
図35に示すように、本実施例のグラインダ502では、ベアリングボックス10のカバー取付部60のフランジ64に、切り欠き64a、64b、64c、64d、64eは形成されていない。また、本実施例のグラインダ502では、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているねじ46c、46dは、スリーブ72a、72bを介することなく、ベアリングボックス10とギヤハウジング8を締結している。本実施例のグラインダ502では、カバー取付部60のガイド溝62に、さらに深く形成された複数の係合溝62aが形成されている。複数の係合溝62aは、所定の角度間隔で配置されている。
図36、図37に示すように、本実施例のグラインダ502では、カバー取付部60にホイールカバー504を取り付けた状態では、カバー本体506のバンド部522の内面よりも内側に突出したロックボール518a、518b、518cが、カバー取付部60のガイド溝62に入り込む。この状態では、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる際に、ロックボール518a、518b、518cがカバー取付部60のフランジ64と係合することで、ホイールカバー504のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。また、本実施例のグラインダ502では、カバー取付部60にホイールカバー504を取り付けた状態では、カバー本体506のバンド部522の内面よりも内側に突出した回動部材512の係止部512aが、カバー取付部60の複数の係合溝62aのうちの一つに入り込む。この状態では、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせることや、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して回転させることが禁止される。
本実施例のグラインダ502では、ホイールカバー504の、回動部材512、ヒンジピン514、捩じりばね516が、第1ロック機構536を構成しており、ホイールカバー504の、スライド部材508、圧縮ばね510、ロックボール518a、518b、518cが、第2ロック機構538を構成している。
ホイールカバー504をカバー取付部60に取り付ける際には、回動部材512の操作部512bを押し込んで回動部材512を回動させるとともに、スライド部材508をカバー本体506に対して下方向にスライドさせる。これによって、回動部材512の係止部512aが貫通孔522d、530dから抜け出すとともに、ロックボール518a、518b、518cが貫通孔522a、522b、522cから抜け出す。この状態で、カバー取付部60がカバー本体506のバンド部522の内側に入り込むように、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、図38に示すように、ホイールカバー504が、カバー取付部60に取り付けられる。この状態で、圧縮ばね510の付勢力によってスライド部材508をカバー本体506に対して上方向にスライドさせると、図36に示すように、ロックボール518a、518b、518cが貫通孔522a、522b、522cに入り込んで、ロックボール518a、518b、518cの一部がガイド溝62に入り込む。この状態では、ロックボール518a、518b、518cがフランジ64と係合するので、ホイールカバー504のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。
ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー504は、カバー取付部60の周りに回転可能である。言い換えると、ホイールカバー504は、ベアリングボックス10に対して、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)周りに回転可能である。ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して回転させると、ロックボール518a、518b、518cがガイド溝62内で摺動する。この場合も、フランジ64とロックボール518a、518b、518cが係合することで、ホイールカバー504のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。
ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して回転させて、回動部材512の係止部512aをカバー取付部60の複数の係合溝62aのうちの一つに位置合わせして、回動部材512から手を離すと、捩じりばね516の付勢力によって回動部材512の係止部512aが係合溝62aに入り込む。この状態では、ホイールカバー504のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー504がベアリングボックス10に対して固定される。ホイールカバー504のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、回動部材512の操作部512bを押し込んで、回動部材512の係止部512aを係合溝62aから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して回転させることができる。回動部材512の係止部512aが入り込む係合溝62aを適宜選択することで、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。
ホイールカバー504をカバー取付部60から取り外す際には、回動部材512の操作部512bを押し込むとともに、スライド部材508をカバー本体506に対して下方向にスライドさせる。これによって、回動部材512の係止部512aが貫通孔522d、530dから抜け出すとともに、図38に示すように、ロックボール518a、518b、518cが貫通孔522a、522b、522cから抜け出す。この状態で、ホイールカバー504をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー504をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ502は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー504(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構536であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構536と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構538であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構538を備えている。グラインダ502では、ユーザが、第2ロック機構538に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構536に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー504がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構536に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構538に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー504がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構536に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構538に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー504がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構538に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構536に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー504がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー504がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構536は、第1ロック状態において、ホイールカバー504をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー504をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー504をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー504をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構538は、第2ロック状態において、ホイールカバー504をハウジング50から取り外すことを禁止し、第2解除状態において、ホイールカバー504をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー504がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができるとともに、ホイールカバー504のハウジング50に対する回転角度を固定することができる。
本実施例において、ハウジング50は、スピンドル38の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の係合溝62a(被係合部の例)を備えている。第1ロック機構536は、ホイールカバー504に回動可能に保持されており、係合溝62aに係合可能な係止部512a(係合部の例)を有する回動部材512(第1回動部材の例)を備えている。回動部材512は、第1ロック機構536が第1ロック状態にある場合に、係止部512aが係合溝62aと係合する第1ロック角度にあり、第1ロック機構536が第1解除状態にある場合に、係止部512aが係合溝62aと係合しない第1解除角度にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック角度から第1解除角度に回動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構536によって、ホイールカバー504のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー504のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構538は、スピンドル38の回転軸に対して略平行な第2スライド方向(例えば上下方向)に移動可能にホイールカバー504に保持されたスライド部材508(第2スライド部材の例)と、スライド部材508に保持されており、ハウジング50に係合可能なロックボール518a、518b、518c(ボール部材の例)を備えている。スライド部材508は、第2ロック機構538が第2ロック状態にある場合に、ロックボール518a、518b、518cがハウジング50と係合する第2ロック位置にあり、第2ロック機構538が第2解除状態にある場合に、ロックボール518a、518b、518cがハウジング50と係合しない第2解除位置にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック位置から第2解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構538によって、ホイールカバー504のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
(実施例7)
本実施例のグラインダ602は、実施例1のグラインダ2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ602について、実施例1のグラインダ2と相違する点について説明する。
図39に示すように、本実施例のグラインダ602は、ホイールカバー12の代わりに、ホイールカバー604を備えている。なお、図39では、グラインダ602について、モータハウジング4、ギヤハウジング8等の図示を省略している。
図40に示すように、ホイールカバー604は、上面部606と、側面部608と、絞り部610を備えている。上面部606は、一部が切り欠かれた円板形状を有している。上面部606には、ベアリングボックス10のカバー取付部60が貫通する円形の貫通孔606aと、所定の角度間隔で配置された複数の係合溝606bが形成されている。側面部608は、上面部606の外側端部から下方に伸びる略半円筒形状を有している。絞り部610は、側面部608の下端から内側に屈曲した形状を有している。
図41に示すように、本実施例のグラインダ602では、ベアリングボックス10のカバー取付部60には、ガイド溝62やフランジ64は形成されていない。本実施例のグラインダ602では、ベアリングボックス10の前部に第1ロック機構612が設けられており、カバー取付部60の後部に第2ロック機構614が設けられている。
第1ロック機構612は、回動部材616と、ヒンジピン618と、捩りばね620を備えている。回動部材616は、係止部616aと、操作部616bを備えている。回動部材616は、左右方向に長手方向を有するヒンジピン618を介して、ベアリングボックス10に形成された軸受部10cに回動可能に支持されている。捩りばね620は、回動部材616をベアリングボックス10に対して、回動部材616の係止部616aが内側に向かう回動方向に付勢している。
第2ロック機構614は、スライド部材622と、圧縮ばね624と、押圧部材626と、圧縮ばね628(図42-図44参照)を備えている。スライド部材622と圧縮ばね624は、カバー取付部60の下端近傍の後部に形成された収容溝60aに設けられている。押圧部材626と圧縮ばね628は、カバー取付部60の後方に配置された収容部60bに設けられている。スライド部材622は、後方に傾斜面622aを有する略台形柱形状を有しており、カバー取付部60に対して前後方向にスライド可能に取り付けられている。圧縮ばね624は、収容溝60a内に配置されており、スライド部材622をカバー取付部60に対して後方向に向けて付勢する。押圧部材626は、略直方体形状を有しており、カバー取付部60に対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。圧縮ばね628は、収容部60b内に配置されており、押圧部材626をベアリングボックス10に対して下方向に向けて付勢する。
図39、図42に示すように、本実施例のグラインダ602では、カバー取付部60にホイールカバー604を取り付けた状態では、第1ロック機構612の回動部材616の係止部616aがホイールカバー604の複数の係合溝606bのうちの一つと係合する。この状態では、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせることや、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して回転させることが禁止される。また、本実施例のグラインダ602では、カバー取付部60にホイールカバー604を取り付けた状態では、第2ロック機構614のスライド部材622と押圧部材626が、ホイールカバー604の上面部606を挟持する。この状態では、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせることが禁止される。
ホイールカバー604をカバー取付部60に取り付ける際には、回動部材616の操作部616bを上方に押し上げて回動部材616を回動させる。この状態で、カバー取付部60がホイールカバー604の貫通孔606aに入り込むように、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー604の貫通孔606aの周縁が、スライド部材622の傾斜面622aに当接する。この状態から、ホイールカバー604をさらに上方向にスライドさせることによって、スライド部材622が前方に押し込まれて収容溝60a内に退避する。これによって、図43に示すように、ホイールカバー604がカバー取付部60に取り付けられる。この状態では、圧縮ばね624の付勢力によってスライド部材622が後方に向けて移動し、図44に示すように、スライド部材622と押圧部材626がホイールカバー604の上面部606を挟持する。この状態では、スライド部材622が上面部606と係合するので、ホイールカバー604のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。
ホイールカバー604の上面部606は、スライド部材622および押圧部材626によって挟持された状態で、スライド部材622および押圧部材626に対して摺動可能である。このため、ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー604は、カバー取付部60の周りに回転可能である。言い換えると、ホイールカバー604は、ベアリングボックス10に対して、スピンドル38の回転軸方向(すなわち上下方向)周りに回転可能である。
ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して回転させて、回動部材616の係止部616aをホイールカバー604の複数の係合溝606bのうちの一つに位置合わせして、回動部材616から手を離すと、図42に示すように、捩じりばね620の付勢力によって回動部材616の係止部616aが係合溝606bに入り込む。この状態では、ホイールカバー604のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー604がベアリングボックス10に対して固定される。ホイールカバー604のベアリングボックス10に対する回転角度を変更する場合には、ユーザは、回動部材616の操作部616bを上方に押し上げて、回動部材616の係止部616aを係合溝606bから抜け出した状態とすることで、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して回転させることができる。回動部材616の係止部616aが入り込む係合溝606bを適宜選択することで、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して固定する回転角度を選択することができる。
ホイールカバー604をカバー取付部60から取り外す際には、回動部材616の操作部616bを上方に押し上げるとともに、スライド部材622を前方に移動させる。これによって、図43に示すように、回動部材616の係止部616aが係合溝606bから抜け出すとともに、スライド部材622が収容溝60a内に退避する。この状態で、ホイールカバー604をベアリングボックス10に対して下方向にスライドさせる。これによって、ホイールカバー604をカバー取付部60から取り外すことができる。
本実施例において、グラインダ602(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されたベベルギヤ40(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ40を収容するハウジング50と、ベベルギヤ40に接続されたスピンドル38(先端工具保持部の例)と、スピンドル38の少なくとも一部を覆うホイールカバー604(カバーの例)と、第1ロック状態と、第1解除状態の間で切り替え可能な第1ロック機構612であって、ユーザによる第1解除操作に応じて第1ロック状態から第1解除状態へ切り替わる第1ロック機構612と、第2ロック状態と、第2解除状態の間で切り換え可能な第2ロック機構614であって、ユーザによる第2解除操作に応じて第2ロック状態から第2解除状態へ切り替わる第2ロック機構614を備えている。グラインダ602では、ユーザが、第2ロック機構614に第2解除操作を行い、かつ第1ロック機構612に第1解除操作を行った場合に、ホイールカバー604がハウジング50から取り外し可能となる。
上記の構成によれば、第1ロック機構612に第1解除操作を行い、かつ第2ロック機構614に第2解除操作を行わなければ、ホイールカバー604がハウジング50から外れてしまうことはない。従って、第1ロック機構612に誤って第1解除操作が行われた場合であっても、第2ロック機構614に第2解除操作が行われていなければ、ホイールカバー604がハウジング50から外れてしまうことがない。逆に、第2ロック機構614に誤って第2解除操作が行われた場合であっても、第1ロック機構612に第1解除操作が行われていなければ、ホイールカバー604がハウジング50から外れてしまうことがない。上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー604がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができる。
本実施例において、第1ロック機構612は、第1ロック状態において、ホイールカバー604をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー604をハウジング50から取り外すことを禁止し、第1解除状態において、ホイールカバー604をハウジング50に対して回転させることおよびホイールカバー604をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。第2ロック機構614は、第2ロック状態において、ホイールカバー604をハウジング50から取り外すことを禁止し、第2解除状態において、ホイールカバー604をハウジング50から取り外すことを許容するように構成されている。
上記の構成によれば、意図せずにホイールカバー604がハウジング50から外れてしまう事態を確実に防止することができるとともに、ホイールカバー604のハウジング50に対する回転角度を固定することができる。
本実施例において、ホイールカバー604は、スピンドル38の回転軸を中心として周方向に並んで配置された複数の係合溝606b(被係合部の例)を備えている。第1ロック機構612は、ハウジング50に回動可能に保持されており、係合溝606bに係合可能な係止部616a(係合部の例)を有する回動部材616(第1回動部材の例)を備えている。回動部材616は、第1ロック機構612が第1ロック状態にある場合に、係止部616aが係合溝606bと係合する第1ロック角度にあり、第1ロック機構612が第1解除状態にある場合に、係止部616aが係合溝606bと係合しない第1解除角度にあり、ユーザによる第1解除操作に応じて、第1ロック角度から第1解除角度に回動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第1ロック機構612によって、ホイールカバー604のハウジング50に対する回転角度の固定と、ホイールカバー604のハウジング50からの取り外しの防止の両方を実現することができる。
本実施例において、第2ロック機構614は、スピンドル38の回転軸に対して略直交する第2スライド方向(例えば前後方向)に移動可能にハウジング50に保持されたスライド部材622(第2スライド部材の例)を備えている。第2スライド部材622は、第2ロック機構614が第2ロック状態にある場合に、ホイールカバー604と係合する第2ロック位置にあり、第2ロック機構614が第2解除状態にある場合に、ホイールカバー604と係合しない第2解除位置にあり、ユーザによる第2解除操作に応じて、第2ロック位置から第2解除位置に移動する。
上記の構成によれば、簡素な構成の第2ロック機構614によって、ホイールカバー604のハウジング50からの取り外しの防止を実現することができる。
上記の各実施例では、電動工具がグラインダ2、102、202、302、402、502、602であり、動力伝達機構がベベルギヤ40であり、先端工具保持部がスピンドル38であり、先端工具が研削ホイールGWであり、カバーがホイールカバー12、406、504、604である場合を例として説明したが、電動工具は他の種類の電動工具であってもよいし、動力伝達機構は他の種類の減速機構であってもよいし、先端工具保持部は他の種類の先端工具保持部であってもよいし、先端工具は他の種類の先端工具であってもよいし、カバーは他の種類のカバーであってもよい。
上記の各実施例における、第1ロック機構66、104、204、408、536、612および第2ロック機構74、106、206、306、410、538、614の組み合わせは、これに限定されるものではなく、ある実施例の第1ロック機構66、104、204、408、536、612に、別の実施例の第2ロック機構74、106、206、306、410、538、614を組み合わせてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。