以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図面において、前後、上下及び左右の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係るディスクグラインダ1の全体構成を示す。ディスクグラインダ1のハウジングは、モータハウジング2と、モータハウジング2の前方に取り付けられるギヤカバー3と、モータハウジング2の後方に取り付けられるテールカバー4との3つの主要部分により構成される。モータハウジング2は、円筒形または長筒状の形状を有し、内部にモータ5を収容する。ギヤカバー3は、モータ5の回転軸5aによる動力伝達方向を約90度変換する2組の傘歯車6、7を含んで構成される動力伝達機構を収容する。ギヤカバー3は、モータハウジング2に例えば前から後ろ方向に挿入される複数のねじ(図示せず)により取り付けられる。ギヤカバー3内に設けられるスピンドル8の先端には先端工具としての砥石9が取り付けられている。砥石9は、ギヤカバー3に収納された2つの傘歯車6、7によってモータ5の回転が所定の比率で減速されて回転する。
砥石9は、ナット10によってスピンドル8に対して着脱可能である。砥石9は、例えば直径100mmのレジノイドフレキシブルトイシ、フレキシブルトイシ、レジノイドトイシ、サンディングディスク等からなる。砥石9は、用いる砥粒の種類の選択により金属、合成樹脂、大理石、コンクリートなどの表面研磨、曲面研磨が可能である。砥石9の回転速度は、例えば最大4300rpmであるが、回転速度は作業対象に合わせて適宜設定することができる。ホイルガード11は、研削された部材や破損した砥粒等の飛散から作業者を保護するためのものである。
モータ5は、本実施の形態では交流で動作するユニバーサルモータである。モータ5は、これに限られずに直流モータや、ブラシレスDCモータ等の他の方式のモータを用いても良い。モータ5は、モータハウジング2内に配置される。
モータ5の回転軸5aは、ギヤカバー3に固定されるベアリング12と、モータハウジング2に固定されるベアリング(図示せず)により回転可能に保持されており、前後方向に延びている。モータ5の回転軸5aの前方側には冷却ファン13が設けられる。冷却ファン13は、例えばプラスチック製の遠心ファンである。冷却ファン13は、モータ5の回転と同期して回転することにより、テールカバー4の側面に設けられた吸気口(図示せず)から外気を吸引して、モータ5を通過する空気流を発生させ、ギヤカバー3に設けられた排気口(図示せず)から前方に空気を排出する。
テールカバー4は、右側テールカバーと左側テールカバーにより分割構成され、ねじ14によって互いに結合され、ねじ15によってモータハウジング2に固定される。テールカバー4を挿通して、モータ5に外部から電力を供給するための電源コード16が接続されている。テールカバー4の内部には、モータ5を回転させるためのブラシ保持部17と、スイッチ18とが収容される。ブラシ保持部17は、モータハウジング2に固定される。スイッチ18は、電源コード16からモータ5への電力供給をオン・オフするためのものであり、本実施の形態では押しボタンスイッチからなる。
スイッチ18は、スイッチ18から下方に突出するように設けられた押しボタン18aを有する。スイッチ18は、押しボタン18aが操作部19によって押されるとオンになり、押しボタン18aが押されている間は、モータ5に電力が供給されてモータ5は回転してオン状態になる。また、押しボタン18aが押されている間はオン状態を維持し、操作部19が押しボタン18aから離れると押しボタン18aの内部に収容されたバネ(図示せず)の弾性力によって押しボタン18aは元の位置に戻されてオフになる。スイッチ18がオフになると、モータ5に電力が供給されずにモータ5は停止し、すなわちオフ状態になる。
操作部19によりスイッチ18のオン・オフを切り替えるために、モータハウジング2とテールカバー4の下側に、スイッチレバー20がトリガとして設けられている。スイッチレバー20は、図2に示されるように、モータハウジング2及びテールカバー4の長手方向(前後方向)とほぼ平行に延びる細長い板状の部材であり、操作部19が一体的に形成されている。また、スイッチレバー20は、先端部20a(前側)がモータハウジング2とリップ部2aの間に配置され、後端部20Bがテールカバー4の後端部近傍まで延びている。
スイッチレバー20の先端部20aには先端に向けてスリット20bが形成されている。スリット20bと対向するモータハウジング2の外周面には、外方に向けて突出するリブ(図示せぬ)が形成され、スリット20bがモータハウジング2のリブと係合してさらにリップ部2aによって押さえ込まれることによって、スイッチレバー20はモータハウジング2から離脱しないように保持される。
スイッチレバー20は、先端側を支点としてテールカバー4に接近する矢印21の方向及びその反対方向に揺動する。スイッチレバー20は、揺動角は5度程度であり、モータハウジング2及びテールカバー4の底部に対し接離するように揺動する。作業者がスイッチレバー20をテールカバー4に対して握り込むと、スイッチレバー20の内面に設けられた操作部19が押しボタン18aを押し込み、スイッチ18をオンにする。一方、作業者がスイッチレバー20を離すと、スイッチレバー20は押しボタン18aの復元力によって操作部19が押しボタン18aから元の位置に押し返されるので、スイッチ18はオフになる。
また、スイッチレバー20の長手方向後方部分にはオフロックレバー22とオンロックレバー23とが設けられている。具体的には、オフロックレバー22とオンロックレバー23とは、スイッチレバー20の先端部20aと後端部20Bとの中間よりも後端部20B側に設けられている。すなわち、オフロックレバー22とオンロックレバー23とは、スイッチレバー20を少ない力で操作可能な位置に設けられている。なお、一般的にレバーとは、てこを利用した棒状の操作部材を指すことが多いが、本発明では便宜上2つの部材を操作部材という意味でレバーとして表現する。
オフロックレバー22は、オフロック部材としてスイッチレバー20に設けられた穴部20cに取り付けられ、初期位置と、初期位置の後方に位置する解除位置との間をスイッチレバー20の長手方向に沿って摺動可能である。初期位置は、スイッチ18のオフ状態を維持する位置であり、解除位置はスイッチレバー20の揺動を許容してスイッチ18のオフ状態からオン状態への切替を可能とする位置である。本実施の形態では、オフロックレバー22の初期位置から解除位置への移動方向は、前方から後方に向かう第1方向Aである。
また、オフロックレバー22は、下面が平面状となっており、スイッチレバー20の下面と平行かつ連続するように構成される。このため、オフロックレバー22は、スイッチレバー20の握り部の一部を担うものである。
オフロックレバー22は、操作ミスによって不意にスイッチ18がオンにならないようにスイッチレバー20の移動を制限してスイッチ18のオフ状態を維持するものである。このため、オフロックレバー22には、テールカバー4の内面に向けて突出する突出部22aが設けられている。オフロックレバー22が初期位置にあるときに、突出部22aが対向するモータハウジング2の部分には、リブ2bが一体的に設けられている。オフロックレバー22が初期位置にあるときは、突出部22aがリブ2bに当接するため、スイッチレバー20の矢印21の方向へのさらなる移動が制限される。その結果、操作部19が押しボタン18aに接触できず、スイッチ18はオフ状態に維持される。
また、初期位置にあるオフロックレバー22は、コイルバネ24の弾性力により前方に付勢されているため、不意に作用する外力による解除位置への移動が制限されるように初期位置に保持されている。
オフロックレバー22をコイルバネ24の弾性力に逆らって初期位置から解除位置に向けて移動させると、突出部22aがリブ2bに対し後方に移動してリブ2bとの当接が解除される。これにより、スイッチレバー20の矢印21の方向への移動が許容される。従って、スイッチレバー20をテールカバー4に向けて握り込むと、操作部19が押しボタン18aを押し込み、スイッチ18をオン状態に切り替える。
オンロックレバー23は、オンロック部材として、オフロックレバー22の突出部22aの前方に設けられてモータハウジング2の長手方向とは直交する方向に延びる回動軸23aを中心に回動可能に設けられている。オンロックレバー23は、アンロック位置とロック位置との間で回動可能である。本実施の形態では、アンロック位置からロック位置への移動方向は、第2方向Bであり、第1方向Aとは異なる方向である。オンロックレバー23は、図2に示されるように、回動軸23aを中心に回動可能な部材であり、直径方向の一端部側が作業者によって操作可能な操作部23bであり、直径方向の他端部側にL字状の係合部23cが設けられている。なお、オフロックレバー22とオンロックレバー23とは、それぞれ作業者が直接に操作することができる。また、本実施の形態では、オンロックレバー23はオフロックレバー22に保持されるように取り付けられている。
オンロックレバー23は、回動軸23aの周囲に装着された捩りバネ25の弾性力によりアンロック位置に付勢されているので、意図しないロック位置への移動が制限されている。また、オンロックレバー23は、アンロック位置にあるときはスイッチレバー20の揺動を制限しない。
オンロックレバー23は、オフロックレバー22が解除位置にあってスイッチレバー20の操作部19が押しボタン18aを押してスイッチ18をオン状態にしているときに、捩りバネ25の弾性力に対抗してロック位置に回動されると、係合部23cがリブ2bの前端部に設けられた段差部2cを跨いでリブ2bと係合する。係合部23cがリブ2bと係合すると、段差部2cにより係合部23cとリブ2bとの係合の解除が妨げられるので、当該係合によりスイッチレバー20の揺動が制限される。すなわち、オンロックレバー23がロック位置にあるときは、スイッチ18のオン状態を維持してモータ5の回転が維持される。従って、作業者がスイッチレバー20を握る手を緩めても、スイッチ18がオンロックされてオン状態を維持する。なお、係合部23cとリブ2bとの係合を解除するためには、スイッチレバー20を若干テールカバー4に向けて押すと、係合部23cがリブ2bから浮くので、捩りバネ25の弾性力によりオンロックレバー23が第2方向Bとは反対方向に回動されるので、オンロックレバー23はロック位置からアンロック位置に戻る。これにより、スイッチレバー20の揺動が許容されるので、モータ5のオン状態からオフ状態への切替が可能になる。
次に、ディスクグラインダ1の操作について説明する。なお、ディスクグラインダ1を使用しないときは、通常オフロックレバー22は初期位置にあり、オンロックレバー23はアンロック位置にある。
作業者が、モータ5を回転させるためにスイッチレバー20を握るとき、まず指でオフロックレバー22をコイルバネ24の弾性力に対抗して初期位置から解除位置へと第1方向Aに移動させ、図3に示されるように、突出部22aのリブ2bに対する当接を解除する。次に、オフロックレバー22を解除位置に保ったままスイッチレバー20を矢印21の方向に握り込むと、スイッチレバー20は前端部を中心に反時計回りに揺動する。この揺動に伴い、図4に示されるように、操作部19が押しボタン18aを押し込みスイッチ18がオンになり、モータ5がオン状態になる。
次に、作業者は、スイッチレバー20の握り位置を変えずに指でオンロックレバー23をアンロック位置から第2方向にロック位置へ回動させると、図5に示されるように、係合部23cは段差部2cを乗り越えてリブ2bに係合可能な位置まで移動する。この状態、すなわち、オンロックレバー23をアンロック位置から第2方向にロック位置に回動させた状態でスイッチレバー20への操作を解除すると、押しボタン18aの付勢力によりスイッチレバー20が初期位置に戻ろうとするが、係合部23cがリブ2bに係合するので、スイッチレバー20の移動が阻止される。なお、スイッチレバー20の初期位置とは、スイッチレバー20がテールカバー4の底部に対して最も離れて位置する状態である。
このような態様で、スイッチレバー20の移動が制限され、スイッチ18はオン状態を維持する。従って、作業者がスイッチレバー20から手を離してもスイッチ18がオンされているのでモータ5が回転を継続する。すなわち、ディスクグラインダ1はオンロックされるので、モータ5の回転中においても、作業者はスイッチレバー20を強く握っている必要が無い。
モータ5の回転を停止させるためには、まず、スイッチレバー20を矢印21の方向に握り込むと、オンロックレバー23がロック位置からアンロック位置へ移動可能となって捩りバネ25の復元力でアンロック位置に戻り、その状態でスイッチレバー20を握る手を緩めると、押しボタン18a内のバネの復元力によりスイッチレバー20がテールカバー4から離れる方向に押し返されるので、スイッチ18はオフになる。
以上より、本実施の形態によれば、オフロック動作とオンロック動作を行う際に操作する位置(部材)が異なる、換言すれば、オフロック部材の操作位置とオンロック部材の操作位置とを異ならせている。これによって、オフロック動作を行ってスイッチレバー20を握った際、誤ってオンロック動作を行ってしまうことを効果的に抑制できる。また、オフロックレバー22の初期位置から解除位置への移動方向と、オンロックレバー23のアンロック位置からロック位置への移動方向とが異なるので、オフロックレバー22によるオフロックを解除したときに予期せぬオンロック操作になるという誤操作を抑制することができる。
また、オフロックレバー22及びオンロックレバー23のいずれもスイッチレバー20に設けられており、具体的には、オフロックレバー22及びオンロックレバー23の各々の位置が、スイッチレバー20の前後方向中心より後方部分に集約されているため、それぞれの操作位置が近い。従って、作業者がスイッチレバー20を握る箇所を変更しなくても、オフロック解除とその後の予期せぬオンロック操作を抑制しながらも、オフロック解除とオンロック操作との操作性を改善することができる。特に、オフロックレバー22は、下面が平面状となっており、スイッチレバー20の下面と平行かつ連続するように構成されることで、オフロックレバー22がスイッチレバー20の握り部の一部を担うこととなる。
すなわち、作業者は、握り部の一部として構成されたオフロックレバー22をスイッチレバー20上で後方に摺動させ、そのままオフロックレバー22の下面を上方に押圧することで、握る位置及び握り方を変更せずとも容易にスイッチレバー20をオン操作することができる。このとき、オフロックレバー22の下面(押圧面)はスイッチレバー20の操作方向と直交するような平面であるため、操作力を加えやすい。なお、オフロックレバー22の下面は若干の曲率を有した曲面などとしても良いが、その際はスイッチレバー20の下面と連続するような面であることが好ましい。
さらに、オフロック解除にはオフロックレバー22をスイッチレバー20に対し摺動させ、オンロック操作にはオンロックレバー23を回動させているので、動作が互いに異なるので誤操作を抑制することができる。また、オンロックレバー23を回動式にしたことで、オンロックレバー23の保持は、スイッチレバー20に固定した左右方向に延びる回動軸23aのみで行うことができ、わずかな領域でオンロックレバー23を回動支持できる。オンロックレバー23を小さな領域で保持できるので、その分スイッチレバー20上のオフロックレバー22を保持する領域を大きく取ることができる。このように、握り部の一部を担うオフロックレバー22を大きくして作業時におけるオフロックレバー22の耐久性を確保することができる。また、オフロックレバー22を大きくすると、オフロックレバー22の下面の面積も大きくすることができるので、オフロックレバー22の解除位置への移動が操作し易くなる。
また、オフロックレバー22とオンロックレバー23とは別部材なので、オフロック解除をするときに予期せぬオンロック操作になるという誤操作を抑制することができる。さらに、オフロック状態を保持する際の負荷とオンロック状態を保持する際の負荷とをオフロックレバー22とオンロックレバー23とが別に受けるので、それぞれの磨耗(経年劣化)を抑制することができる。また、オフロックレバー22とオンロックレバー23とは、共通してリブ2bに係合することでスイッチレバー20のロックを行うので、係合箇所を集約してモータハウジング2及びテールカバー4内の内部構造を簡略化できる。また、オンロックレバー23は、オフロックレバー22に保持されるようにしたので、オンロックレバー23とオフロックレバー22をユニット化することができ、組み立てが容易となる。
次に、第2の実施の形態を図6から図9を参照して説明する。第2の実施の形態において、スイッチレバー120の構成は、第1の実施の形態のスイッチレバー20とは、オンロックレバー23と、オンロックレバー23との係合に係るモータハウジング2の構成を除いて同じである。ディスクグラインダ100の主要な構成については、第1の実施の形態と同一の構成部品については同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
スイッチレバー120の長手方向後方部分にはオフロックレバー22とオンロックレバー123とが設けられている。
オンロックレバー123は、オンロック部材として、スイッチレバー20の穴部20cにオフロックレバー22の前方に取り付けられ、アンロック位置と、アンロック位置の前方に位置するロック位置との間をスイッチレバー120の長手方向に沿って摺動可能である。本実施の形態では、アンロック位置からロック位置への移動方向は、後方から前方に向かう第3方向Cであり、オフロックレバー22の移動方向である第1方向Aとは反対である。
オンロックレバー123は、コイルバネ125の弾性力によりアンロック位置に付勢されているので、意図しないロック位置への移動が制限されている。また、オンロックレバー123は、アンロック位置にあるときはスイッチレバー120の揺動を制限しない。
オンロックレバー123は、オフロックレバー22が解除位置にあってスイッチレバー120の操作部19が押しボタン18aを押してスイッチ18をオン状態にしているときに、コイルバネ125の弾性力に対抗してロック位置に向けて前方に摺動されると、オンロックレバー123から突出して先端部がコ字形状の係合部123aが、モータハウジング2に設けられたリブ2dの後端部に設けられた段差部2eを跨ぎ、リブ2dと係合可能な位置まで移動する。オンロックレバー123をロック位置に保持した状態でスイッチレバー120への操作力(握り込み)を弱めると、係合部123aはリブ2dと係合する。係合部123aがリブ2dと係合すると、段差部2eにより係合部123aとリブ2dとの係合の解除が妨げられるので、当該係合によりスイッチレバー120の揺動が制限される。従って、作業者がスイッチレバー120を握る手を緩めても、スイッチ18がオンロックされてオン状態を維持する。なお、係合部123aとリブ2dとの係合を解除するためには、スイッチレバー120を若干テールカバー4に向けて押すと、係合部123aがリブ2dから離れるので、コイルバネ125の弾性力により、オンロックレバー123は、第3方向Cとは反対方向に移動されるので、ロック位置からアンロック位置に戻る。これにより、スイッチレバー20の揺動が許容されるので、モータ5のオン状態からオフ状態への切替が可能になる。
以上より、本実施の形態によれば、オフロックレバー22の初期位置から解除位置への移動方向と、オンロックレバー123のアンロック位置からロック位置への移動方向とが異なるので、オフロックレバー22によるオフロックを解除したときに予期せぬオンロック操作になるという誤操作を抑制することができる。
また、オフロックレバー22及びオンロックレバー123のいずれもスイッチレバー120に設けられているので、作業者がスイッチレバー120を握る箇所を変更しなくても、オフロック解除とその後の予期せぬオンロック操作を抑制しながらも、オフロック解除とオンロック操作との操作性を改善することができる。
次に、第3の実施の形態を図10から図13を参照して説明する。第3の実施の形態において、ディスクグラインダ200において、スイッチレバー220、オフロックレバー及びオンロックレバーの構成が第1及び第2の実施の形態とは異なる。故に、第1及び第2の実施の形態と同じ構成部品については同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
スイッチレバー220は、テールカバー4の後端側に設けられた支点201に揺動可能に取り付けられている。スイッチレバー220は、揺動角は5度程度であり、テールカバー4の底部に対し接離するように揺動する。作業者がスイッチレバー220をテールカバー4に対して握り込むと、スイッチレバー220の内面に設けられた操作部219が押しボタン18aを押し込み、スイッチ18をオンにする。一方、作業者がスイッチレバー220を離すと、スイッチレバー220は押しボタン18aの復元力によって操作部219が押しボタン18aから元の位置に押し返されるので、スイッチ18はオフになる。
また、スイッチレバー220には長手方向に沿って後方から前方に向けてオフロックレバー222とオンロックレバー223とが設けられている。
オフロックレバー222は、オフロック部材として、スイッチレバー220の開口に、モータハウジングの長手方向と直交する方向に延びる軸224を中心に回動自在に取り付けられ、初期位置と解除位置との間を回動可能である。初期位置は、スイッチ18のオフ状態を維持する位置であり、解除位置はスイッチレバー220の揺動を許容してスイッチ18のオフ状態からオン状態への切替を可能とする位置である。本実施の形態では、オフロックレバー222の初期位置から解除位置への移動方向は、第4方向Dである。
オフロックレバー222は、初期位置にあるとき、テールカバー4の内面に向けて突出す先端222aが、テールカバー4内部に設けられたリブ4aに当接し、スイッチレバー220の矢印41の方向への移動が制限される。その結果、操作部219が押しボタン18aに接触できず、スイッチ18はオフ状態に維持される。
オフロックレバー22を初期位置から第4方向Dに沿って解除位置に向けて回動させると、突出部22aがリブ4aから外れてリブ4aとの当接が解除される。これにより、スイッチレバー220の矢印41の方向への移動が許容される。従って、スイッチレバー220をテールカバー4に向けて握り込むと、操作部219が押しボタン18aを押し込み、スイッチ18をオン状態に切り替える。
オンロックレバー223は、オンロック部材として、オフロックレバー222の前方に設けられ、アンロック位置と、アンロック位置の前方に位置するロック位置との間で摺動可能である。本実施の形態では、アンロック位置からロック位置への移動方向は、第5方向Eである。オンロックレバー223は、図10に示されるように、スイッチレバー220の係止部220aとオンロックレバー223との間に挿入されたコイルバネ225によってアンロック位置に付勢されている。また、オンロックレバー223は、アンロック位置にあるときはスイッチレバー220の揺動を制限しない。
オンロックレバー223は、オフロックレバー222が解除位置にあってスイッチレバー220の操作部219が押しボタン18aを押してスイッチ18をオン状態にしているときに、コイルバネ225の弾性力に対抗してロック位置に向けて前方に摺動されると、オンロックレバー223から突出して先端部に係止部223aが形成された係合部223bが、モータハウジング2に設けられたリブ2fの後端部に設けられた段差部2hを跨いでリブ2fと係合可能な位置まで移動する。オンロックレバー223をロック位置に保持した状態でスイッチレバー220への操作力(握り込み)を弱めると、係止部223aはリブ2fと係合する。係合部223bがリブ2fと係合すると、段差部2hにより係合部223bとリブ2fとの係合の解除が妨げられるので、当該係合によりスイッチレバー220の揺動が制限される。従って、作業者がスイッチレバー220を握る手を緩めても、スイッチ18がオンロックされてオン状態を維持する。なお、係合部22baとリブ2fとの係合を解除するためには、スイッチレバー220を若干テールカバー4に向けて押すと、係合部223bがリブ2fから浮きコイルバネ225の弾性力によってオンロックレバー223が後方に移動するので、オンロックレバー123はロック位置からアンロック位置に戻る。これにより、スイッチレバー220の揺動を許容するので、モータ5のオン状態からオフ状態への切替が可能になる。
本実施の形態において、オフロックレバー222とオンロックレバー223とは、互いに近接しながらも別部材として設けられているので、作業者はテールカバー4を握る手を移動させなくても、オフロック動作とオンロック動作とを効率良く行うことができる。また、オフロックレバー222とオンロックレバー223とは、別々に設けられているので、オフロックを解除した後に不意にオンロック操作をすることを防ぐことができる。
次に、第4の実施の形態を図14から図19を参照して説明する。第4の実施の形態において、スイッチレバーに形成されるオフロックレバー及びオンロックレバーの構成が第1から第3の実施の形態とは異なる。故に、第1から第3の実施の形態と同じ構成部品については同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
図14に、第4の実施の携帯に係るディスクグラインダ300のスイッチレバー320、オフロックレバー322及びオンロックレバー323を示す。
スイッチレバー320は、トリガとして、テールカバー4の長手方向に沿ってハウジングの後端部から前端部に向けて延びる細長い板状の部材であり、操作部319が一体的に形成されている。スイッチレバー320は、一端部に設けられた取付部321を介して、テールカバー4の後端側に設けられた支点301に揺動可能に取り付けられている。スイッチレバー320は、揺動角は5度程度であり、テールカバー4の底部に対しスイッチレバー320が接離するように揺動する。
従って、作業者がスイッチレバー320をテールカバー4に対して握り込むと、スイッチレバー320の内面に設けられた操作部319が押しボタン18aを押し込み、スイッチ18をオンにする。一方、作業者がスイッチレバー320を離すと、押しボタン18aの復元力によって操作部319が押しボタン18aから元の位置に押し返されるので、スイッチ18はオフになり、スイッチレバー320はテールカバー4から離れる。
スイッチレバー320には、図14及び図15(a)、(b)に示すように、他端部から一端部に向けて長手方向に沿って、順に、オフロックレバー322とオンロックレバー323とが設けられている。
オフロックレバー322は、オフロック部材として、細長いオフロック片からなり、スイッチレバー320の他端部近傍にスイッチレバー320の厚み方向に貫通して形成された第1開口324において、スイッチレバー320の長手方向及び揺動方向と直交する方向に延びるシャフト325を中心に回動可能に取り付けられている。なお、シャフト325は、第1回動軸の一例である。
オフロックレバー322は、第1開口324の長手方向の寸法より長いため、第1開口324の内部で回転せず、初期位置と、初期位置の前方に位置する解除位置との間を回動可能である。初期位置は、図14及び図16に示されるように、スイッチレバー320をテールカバー4から離してスイッチ18のオフ状態を維持する位置である。一方、解除位置は、図17に示されるように、スイッチレバー320の揺動を許容してスイッチ18のオフ状態からオン状態への切替を可能とする位置である。本実施の形態では、オフロックレバー322の初期位置から解除位置への移動方向は、テールカバー4の後方から前方に向かう第6方向Fである。
また、シャフト325には、図14及び図15に示されるように、捩りバネ326が巻装されて、捩りバネ326の弾性力によりオフロックレバー322は、初期位置に付勢されている。
図16に示されるように、オフロックレバー322が捩りバネ326の弾性力により初期位置にあるとき、テールカバー4の内面側に位置する先端部322aは、テールカバー4底部の外周面に設けられた係止部4bに当接して係止される。係止部4bのテールカバー4の長手方向における位置は、シャフト328よりもモータハウジング2側に位置する。従って、スイッチレバー320をテールカバー4に向けて押し込んだとしても、先端部322aと係止部4bとの係止により、スイッチレバー320のテールカバー4に近づくさらなる移動が制限される。その結果、操作部319が押しボタン18aに接触せず、スイッチ18のオフ状態が維持される。
一方、オフロックレバー322を初期位置から第6方向Fに沿って解除位置に向けて回動させると、図17に示されるように、先端部322aは、テールカバー4後方に向けて回動して係止部4bより離れる。これにより、スイッチレバー320の揺動が許容されるため、スイッチレバー320をテールカバー4に向けて握り込むと、スイッチレバー320の操作部319が押しボタン18aを押し込み、スイッチ18をオン状態に切り替える。
オンロックレバー323は、オンロック部材として、細長いオンロック片からなり、スイッチレバー320において第1開口324と一端部との間に形成された第2開口327において、シャフト325と略平行に設けられたシャフト328を中心に回動自在に取り付けられている。なお、シャフト328は第2回動軸の一例である。オンロックレバー323は、第2開口327の長手方向の寸法より長いため、図17及び図18に示すアンロック位置と、図19に示すアンロック位置の後方に位置するロック位置との間を回動可能である。
アンロック位置は、図17及び図18に示されるように、スイッチレバー320の揺動を許容してスイッチ18のオフ状態からオン状態への切替を可能とする位置である。一方、ロック位置は、図19に示されるように、作業者がスイッチレバー320をテールカバー4に対して握りこみ、スイッチレバー320の押下によりスイッチ18がオン状態にあるときに、作業者がスイッチレバー320の握り込みを緩めてもスイッチレバー320の押下を維持してスイッチ18のオン状態を維持する位置である。
本実施の形態では、アンロック位置からロック位置への移動方向は、第7方向Gである。オンロックレバー323は、図15に示されるように、シャフト328に装着された捩りバネ329の弾性力により、アンロック位置に付勢されている。
オフロックレバー322が解除位置にあってスイッチレバー320の操作部319が押しボタン18aを押してスイッチ18をオン状態にしているときに、作業者がオンロックレバー323を捩りバネ329の弾性力に対抗してロック位置に向けて回動させると、オンロックレバー323からテールカバー4に向けて突出して先端部に係止部323aが形成された係合部323bが、モータハウジング2に設けられたリブ2fと係合可能な状態になる。より詳細には、係止部323aは、リブ2fの後端部に設けられた段差部2hを跨いでリブ2fと係合可能な位置にある。
このとき、作業者がスイッチレバー320より手を離す(操作力を弱める)と、スイッチレバー320がテールカバー4より若干離れる方向に移動するので、オンロックレバー323もスイッチレバー320と共に移動する。これにより、係合部323bがリブ2fと係合する。また、この時、捩りバネ329の弾性力によりオンロックレバー323がアンロック位置に戻ろうとすると、段差部2hにより係合部323bとリブ2fとの係合の解除が妨げられるので、当該係合によりスイッチレバー320の揺動が制限される。
このように、オンロックレバー323がロック位置にあるときに作業者がスイッチレバー320を握る手を緩めても、スイッチ18がオンロックされてオン状態を維持する。なお、係合部323bとリブ2fとの係合を解除するためには、スイッチレバー320をテールカバー4に向けて若干押しこむと、係合部323bがリブ2fから浮き、捩りバネ329の弾性力によってオンロックレバー323が後方に回動されるので、オンロックレバー323はロック位置からアンロック位置に戻る。これにより、スイッチレバー320の揺動が許容されるので、モータ5のオン状態からオフ状態への切替が可能になる。
本実施の形態において、オフロックレバー322とオンロックレバー323とは、互いに別部材として設けられながらも、それぞれスイッチレバー320上に設けられて近接しているので、作業者はテールカバー4を握る手を移動させなくても、オフロック動作とオンロック動作とを効率良く行うことができる。また、オフロック動作とオンロック動作を行う際に操作する位置(部材)が異なるので、オフロック動作を行ってスイッチレバー320を握った際、誤ってオンロック動作を行ってしまうことを効果的に抑制できる。また、オフロックを解除するためのオフロックレバー322の回動方向と、オンロックレバー323をオンロック位置に移動させるためのオンロックレバー323の回動方向とは、異なるので、オフロックを解除した直後に不意にオンロック操作をすることをより効果的に抑制することができる。
また、オフロックレバー322とオンロックレバー323とは、いずれもスイッチレバー320に対して回動自在な部材として形成されるので、オフロックレバー322及びオンロックレバー323を共通部材として製造することが可能である。従って、部品の共有化が図れるので、ディスクグラインダ300の製造価格を抑えることができる。
また、モータの軸方向で、オフロックレバー322の操作位置と、オンロックレバー323の操作位置との間にスイッチレバー320の一部が位置しているので、ここを作業者の指を置く領域として利用できる。こうすると、例えば作業者は、スイッチレバー320の当該一部領域に位置させた指を、前に動かすか、あるいは後に動かすかで、オンロックとオフロックの操作を明確に異ならせることができる。
なお、上記実施の形態では、オフロックレバー322の操作(オフロック解除)の方向を前方とし、オンロックレバー323の操作(オンロック作動)の方向を後方としてそれぞれの操作方向を異ならせたが、同方向であっても良く、例えばオフロックレバー322の操作方向を後方としてもよい。この場合、オフロック解除からオンロック作動までの一連の動作を、オフロックレバー322の前方に配置した指を後方に移動させることで行うことができ、指を前後に移動させる手間を省くことができる。またこの場合でも、オフロックレバー322を操作した指は、オフロックレバー322とオンロックレバー323間に位置するスイッチレバー320を経由するので、オンロックレバー323を誤って操作することを効果的に抑制できる。
また、上記実施の形態では、本発明をディスクグラインダに適用した例について記載したが、本発明は、セーバーソーやポリッシャー等、オンロック機構及びオフロック機構の両方を備える適宜の電動工具に適応することができる。