JP7385007B2 - 工具 - Google Patents

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Description

本発明は、原動機を備える工具に関する。
原動機を備える工具には、各種の付属品が着脱可能に取り付けられることがある。例えば、回転駆動するように構成された先端工具を有するグラインダでは、先端工具の一部分を覆うためのカバー(ホイールカバー、ディスクカバー、ブレードケースなどとも称される)と、ユーザが一方の手でグラインダのハンドルを把持するときに他方の手で把持するためのサイドハンドルと、が着脱可能な付属品として用意されている。
このようなグラインダでは、付属品が装着されていない状態でグラインダが使用されることを防止するという要望がある。例えば、下記の特許文献1は、カバーが装着されているか否かを検出するセンサと、カバーが装着されていないときには先端工具の回転を禁止するコントローラと、を備えるグラインダを開示している。また、下記の特許文献2は、カバーが装着されているか否かを検出するセンサと、サイドハンドルが装着されているか否かを検出するセンサと、を備えるグラインダを開示している。
国際公開第2017/051893号 米国特許出願公開第2018/272494号明細書
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術では、センサが故障した場合や、粉塵の付着によってセンサの感度が低下した場合には、カバーやサイドハンドルの装着を検出できない恐れがあった。また、カバーとサイドハンドルとの両方が装着されていなければ先端工具の回転を禁止する構成では、カバー、サイドハンドルのそれぞれに個別のセンサを設ける必要があり、コストの増加につながる。このような問題は、グラインダに限らず、原動機を備え、2種類の付属品を着脱可能に取り付けることができる任意の工具に共通する。このため、工具において、2種類の付属品が装着された場合に限って原動機を駆動することができる構成を、センサを利用せずに実現することが望まれる。
本明細書は工具を開示する。この工具は、原動機と、原動機を駆動するためのスイッチと、スイッチをオフ状態にするオフ位置と、スイッチをオン状態にするオン位置と、の間で変位可能に構成された操作部材と、第1の付属品と、第2の付属品と、第1の付属品が着脱可能に取り付けられるように構成された第1の取付部と、第2の付属品が着脱可能に取り付けられるように構成された第2の取付部と、第1の付属品を第1の取付部へ取り付けることによって変位されるように構成された第1の中間部材と、第2の付属品を第2の取付部へ取り付けることによって変位されるように構成された第2の中間部材と、操作部材の変位に連動して、オフ位置に対応するオフ対応位置と、オン位置に対応するオン対応位置と、の間で変位経路上を変位するように構成された第3の中間部材と、を備えていてもよい。第1の中間部材は、第1の付属品が第1の取付部に取り付けられていない状態では、第3の中間部材の変位経路を遮る第1の遮断位置に位置し、第1の付属品が第1の取付部に取り付けられた状態では、第3の中間部材の変位経路を遮らない第1の非遮断位置に位置してもよい。第2の中間部材は、第2の付属品が第2の取付部に取り付けられていない状態では、第3の中間部材の変位経路を遮る第2の遮断位置に位置し、第2の付属品が第2の取付部に取り付けられた状態では、第3の中間部材の変位経路を遮らない第2の非遮断位置に位置してもよい。第1の中間部材が第1の非遮断位置に位置し、かつ、第2の中間部材が第2の非遮断位置に位置するときには、第3の中間部材のオフ対応位置からオン対応位置までの変位が許可され、それによって、操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が許可されてもよい。少なくとも第1の中間部材が第1の遮断位置に位置するとき、または、少なくとも第2の中間部材が第2の遮断位置に位置するときには、第3の中間部材のオフ対応位置からオン対応位置までの変位が第1の中間部材および第2の中間部材の少なくとも一方によって阻止され、それによって、操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が阻止されてもよい。
この工具によれば、第1の付属品および第2の付属品の少なくとも一方が取り付けられていない状態では、第1の中間部材および第2の中間部材の少なくとも一方が第3の中間部材の変位経路を遮ることによって操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が阻止される。また、第1の取付部に第1の付属品が取り付けられ、かつ、第2の取付部に第2の付属品が取り付けられた状態では、第1の中間部材および第2の中間部材が、第3の中間部材の変位経路を遮らない位置まで変位することによって、操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が許可される。したがって、第1の付属品および第2の付属品の両方が装着された場合に限って原動機を駆動することができる構成を、センサを利用せずに機械的な構造のみを利用して実現できる。
本発明の第1実施形態によるグラインダの縦断面図であり、サイドグリップとホイールカバーとが取り付けられ、操作部材がオン位置にある状態を示している。 グラインダの縦断面図であり、サイドグリップとホイールカバーとが取り外され、操作部材がオフ位置にある状態を示している。 図1に示すグラインダの部分拡大図である。 図2に示すグラインダの部分拡大図である。 図1に示すグラインダの部分拡大図である。 図2に示すグラインダの部分拡大図である。 第1の中間部材の斜視図である。 第2の中間部材の斜視図である。 第1の中間部材および第2の中間部材を保持する保持部材の斜視図である。 第3の中間部材の斜視図である。 変換機構の部品を示す斜視図である。 変換機構の部品を示す斜視図である。 変換機構の部品を示す斜視図である。 グラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップとホイールカバーとが取り外された状態を示している。 グラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップが取り付けられ、ホイールカバーが取り外された状態を示している。 グラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップとホイールカバーとが取り付けられた状態を示している。 本発明の第2実施形態によるグラインダの縦断面図であり、サイドグリップが取り付けられておらず、操作部材がロックオフ位置にある状態を示している。 第2実施形態によるグラインダの縦断面図であり、サイドグリップが取り付けられ、操作部材がロックオフ解除位置かつオフ位置にある状態を示している。 第2実施形態によるグラインダの縦断面図であり、サイドグリップが取り付けられ、操作部材がロックオフ解除位置かつオン位置にある状態を示している。 図17に示すグラインダの部分拡大図である。 図18に示すグラインダの部分拡大図である。
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、原動機と、原動機を駆動するためのスイッチと、スイッチをオフ状態にするオフ位置と、スイッチをオン状態にするオン位置と、の間で変位可能に構成された操作部材と、第1の付属品と、第2の付属品と、第1の付属品が着脱可能に取り付けられるように構成された第1の取付部と、第2の付属品が着脱可能に取り付けられるように構成された第2の取付部と、第1の付属品を第1の取付部へ取り付けることによって変位されるように構成された第1の中間部材と、第2の付属品を第2の取付部へ取り付けることによって変位されるように構成された第2の中間部材と、操作部材の変位に連動して、オフ位置に対応するオフ対応位置と、オン位置に対応するオン対応位置と、の間で変位経路上を変位するように構成された第3の中間部材と、を備えていてもよい。第1の中間部材は、第1の付属品が第1の取付部に取り付けられていない状態では、第3の中間部材の変位経路を遮る第1の遮断位置に位置し、第1の付属品が第1の取付部に取り付けられた状態では、第3の中間部材の変位経路を遮らない第1の非遮断位置に位置してもよい。第2の中間部材は、第2の付属品が第2の取付部に取り付けられていない状態では、第3の中間部材の変位経路を遮る第2の遮断位置に位置し、第2の付属品が第2の取付部に取り付けられた状態では、第3の中間部材の変位経路を遮らない第2の非遮断位置に位置してもよい。第1の中間部材が第1の非遮断位置に位置し、かつ、第2の中間部材が第2の非遮断位置に位置するときには、第3の中間部材のオフ対応位置からオン対応位置までの変位が許可され、それによって、操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が許可されてもよい。少なくとも第1の中間部材が第1の遮断位置に位置するとき、または、少なくとも第2の中間部材が第2の遮断位置に位置するときには、第3の中間部材のオフ対応位置からオン対応位置までの変位が第1の中間部材および第2の中間部材の少なくとも一方によって阻止され、それによって、操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が阻止されてもよい。
この工具によれば、第1の付属品および第2の付属品の少なくとも一方が取り付けられていない状態では、第1の中間部材および第2の中間部材の少なくとも一方が第3の中間部材の変位経路を遮ることによって操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が阻止される。また、第1の取付部に第1の付属品が取り付けられ、かつ、第2の取付部に第2の付属品が取り付けられた状態では、第1の中間部材および第2の中間部材が、第3の中間部材の変位経路を遮らない位置まで変位することによって、操作部材のオフ位置からオン位置までの変位が許可される。したがって、第1の付属品および第2の付属品の両方が装着された場合に限って原動機を駆動することができる構成を、センサを利用せずに機械的な構造のみを利用して実現できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、原動機は電動モータであってもよい。工具は、電動モータによって回転されるように構成された先端工具を備えるグラインダであってもよい。第1の付属品はサイドグリップであってもよい。第2の付属品は、先端工具を部分的に覆うカバーであってもよい。この構成によれば、サイドグリップおよびカバーの両方が装着された場合に限って電動モータを駆動することができるグラインダを、センサを利用せずに実現できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の取付部は、サイドグリップを選択的に取り付けるための少なくとも2つのサイドグリップ取付部を含んでいてもよい。第1の中間部材は、少なくとも2つのサイドグリップ取付部に共通して設けられた単一の部材であってもよい。第1の中間部材は、少なくとも2つのサイドグリップ取付部のうちから任意に選択される1つのサイドグリップ取付部にサイドグリップが取り付けられたときにサイドグリップに直接的または間接的に押圧される少なくとも1つの被押圧部を有していてもよく、少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに変位されるように構成されてもよい。この構成によれば、少なくとも2つのサイドグリップ取付部に対して単一の第1の中間部材が共用されるので、部品点数を低減することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の中間部材は、環または部分的な環の形状を有する第1の中間部材本体を備えていてもよい。少なくとも2つのサイドグリップ取付部は、環または部分的な環の周方向に互いに離間した位置にそれぞれ位置していてもよい。この構成によれば、第1の中間部材は、少なくとも2つのサイドグリップ取付部の配置に対応した形状を有しているので、簡単な構成で、少なくとも2つのサイドグリップ取付部に対して単一の第1の中間部材を共用化できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の中間部材は、少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに回転軸線を中心として回転するように構成されてもよい。この構成によれば、少なくとも2つのサイドグリップ取付部が環または部分的な環の周方向に互いに離間した位置にそれぞれ位置していている場合において、少なくとも2つのサイドグリップ取付部のいずれに第1の付属品を取り付けたときでも、第1の中間部材を変位させやすい。また、回転軸線が延在する方向に第1の中間部材の変位スペースを確保する必要が無いので、回転軸線が延在する方向における工具のサイズをコンパクトにできる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、少なくとも1つの被押圧部は、第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出していてもよい。少なくとも1つの被押圧部は、少なくとも2つのサイドグリップ取付部の位置にそれぞれ対応する少なくとも2つの位置にそれぞれ設けられてもよい。この構成によれば、第1の中間部材を容易に回転させることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の中間部材は、第1の中間部材が第1の遮断位置にあるときに第3の中間部材の変位経路を遮る遮断部を備えていてもよい。遮断部は、第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出していてもよい。この構成によれば、第3の中間部材を、工具の主要構成部材の配置箇所を避けて工具の外縁周辺に配置することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の中間部材本体は、回転軸線を中心とする円弧形状を有する第1の貫通孔を有していてもよい。第1の中間部材は、円弧形状に沿って回転可能に第1の貫通孔を介してネジ止めされていてもよい。この構成によれば、簡単な構成で、第1の中間部材を回転可能に保持することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、少なくとも1つの被押圧部は、1つのサイドグリップ取付部にサイドグリップが取り付けられたときのサイドグリップの長手方向とは異なる方向に第1の中間部材が変位するように、サイドグリップの長手方向に対して角度付けられた被押圧面を備えていてもよい。この構成によれば、第1の中間部材を容易に回転させることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第2の中間部材は、カバーが第2の取付部に取り付けられたときにカバーに直接的または間接的に押圧されて、直動するように構成されてもよい。この構成によれば、カバーの取り付け方向を第2の中間部材の直動方向とすれば、方向変換機構が不要になるので、簡単な構成で第2の中間部材を変位させることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第2の中間部材は、第2の中間部材が直動する方向を長手方向とする長孔の形態の第2の貫通孔を有していてもよい。第2の中間部材は、長孔に沿って直動可能に第2の貫通孔を介してネジ止めされていてもよい。この構成によれば、簡単な構成で、第2の中間部材を直動可能に保持することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動モータの回転軸線と先端工具の回転軸線とは交差していてもよい。
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具の長手方向における第1の側に第1の取付部および第2の取付部が配置されてもよい。第1の側と反対の第2の側に操作部材が配置されてもよい。第3の中間部材は、長手方向に延在する細長い部材であってもよい。この構成によれば、第1の取付部および第2の取付部と、操作部材と、が互いに対して比較的遠い位置に配置される場合であっても、本発明の上述の諸態様を容易に実現できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、第1の中間部材と第2の中間部材とを保持する単一の保持部材を備えていてもよい。この構成によれば、第1の中間部材および第2の中間部材の各々を保持部材に取り付ければ、第1の中間部材と第2の中間部材との相対位置が自然に定まる。つまり、工具の組み立て時に、第1の中間部材と第2の中間部材との相対位置を調整する必要がない。
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材の変位方向である第1の変位方向と、第3の中間部材の変位方向である第2の変位方向と、は互いに異なっていてもよい。工具は、操作部材の第1の変位方向の動作を第3の中間部材の第2の変位方向の動作に変換するように構成された変換機構を備えていてもよい。この構成によれば、操作部材の変位方向が設計上の制約を受けることがないので、工具の仕様に応じて最適な形式の操作部材を採用できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、グラインダであってもよい。グラインダは、ユーザが把持するためのハンドルハウジングと、電動モータを収容するモータハウジングと、を備えていてもよい。ハンドルハウジングは、電動モータの回転軸線が延在する方向において、モータハウジングに対して先端工具と反対側に位置していてもよい。このようなグラインダは、上述の諸態様を適用しやすい。
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、原動機を駆動するためのスイッチと、スイッチをオフ状態にするオフ位置と、スイッチをオン状態にするオン位置と、の間で第1の方向に変位可能に構成された操作部材と、付属品を着脱可能に取り付けられるように構成された取付部と、操作部材との係合状態の変更によって、オフ位置からオン位置への操作部材の変位が阻止されるロックオフ状態と、オフ位置からオン位置への操作部材の変位が許容されるロックオフ解除状態と、の間で、操作部材のステータスを切り替えるように構成されたロックオフ部と、付属品を取付部へ取り付けたときに付属品に直接的または間接的に押圧されて変位されるように構成された第1の中間部材と、を備えていてもよい。第1の中間部材は、付属品が取付部に取り付けられていない状態では、ロックオフ状態をロックオフ解除状態に切り替えるための解除操作を部材間当接によって阻止する阻止位置に位置し、付属品が取付部に取り付けられている状態では、部材間当接が発生しないことに起因して解除操作を許容する許容位置に位置してもよい。
この工具によれば、付属品が装着された場合に限って原動機を駆動することができる構成を、センサを利用せずに機械的な構造のみを利用して実現できる。また、通常、ロックオフの解除操作は、構成部材の、ユーザにとって識別しやすい変位を伴うので、操作部材をオフ位置からオン位置に変位させる操作を行ったにもかかわらず、原動機を駆動できない場合に、その理由がスイッチの故障ではなく、付属品が装着されていないことであると気付きやすい。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ロックオフ部は、固定的な係合構造であってもよい。操作部材は、ロックオフ状態に対応するロックオフ位置から、ロックオフ解除状態に対応するロックオフ解除位置まで、第1の方向とは異なる第2の方向に変位可能に構成されてもよい。解除操作は、操作部材を、ロックオフ位置からロックオフ解除位置まで変位させることであってもよい。
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、さらに、操作部材のロックオフ位置に対応する第1の対応位置と、操作部材のロックオフ解除位置に対応する第2の対応位置と、の間で、操作部材の第2の方向の変位に連動するように構成された第2の中間部材を備えていてもよい。第1の中間部材は、阻止位置にあるときに、第2の中間部材の第1の対応位置から第2の対応位置へ至る変位経路を遮り、かつ、許容位置にあるときに、第2の中間部材の第1の対応位置から第2の対応位置へ至る変位経路を遮らないように、変位されるように構成されてもよい。この構成によれば、第1の中間部材と操作部材とが離れて配置されていてもよいので、工具の設計自由度が向上する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、さらに詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、原動機を備える工具として、手持ち式の電動ディスクグラインダ(以下、単にグラインダという)10を例示する。
図1および図2に示すように、グラインダ10は、スピンドル25に装着された略円盤状の先端工具28を回転駆動するように構成されている。スピンドル25は、原動機としての電動モータ31によって提供される回転駆動力によって回転される。グラインダ10に装着可能な先端工具28として、砥石、ゴムパッド、ブラシ、ブレード等が用意されている。使用者は、所望の加工作業に応じて適切な先端工具28を選択し、グラインダ10に装着する。グラインダ10によれば、先端工具28の種類に応じて、被加工材に対して研削、研磨、切断等の加工作業を行うことができる。
以下の説明では、電動モータ31の回転軸線AX1(換言すれば、モータシャフト32)が延在する方向をグラインダ10の前後方向と定義する。前後方向のうち、先端工具28が位置する側を前側と定義し、その反対側を後側と定義する。また、スピンドル25の回転軸線AX2(換言すれば、先端工具28の回転軸線)が延在する方向をグラインダ10の上下方向と定義する。上下方向のうち、先端工具28が位置する側を下側と定義し、その反対側を上側と定義する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を、グラインダ10の左右方向と定義する。左右方向のうち、後側から前側を見たときの右側をグラインダ10の右側と定義し、その反対側をグラインダ10の左側と定義する。
図1および図2に示すように、グラインダ10は、ギアハウジング20と、モータハウジング30と、ハンドルハウジング40と、を備えている。前後方向、すなわち、グラインダ10の長手方向においてギアハウジング20とハンドルハウジング40との間に位置するモータハウジング30内には、電動モータ31が収容されている。電動モータ31は、外部から供給される電力(本実施形態では交流電力であるが、直流電力であってもよい)によって駆動されるように構成される。
ギアハウジング20内には、電動モータ31の回転駆動力を先端工具28に伝達するための機構が収容されている。具体的には、ギアハウジング20内には、小ベベルギア23と、大ベベルギア24と、スピンドル25と、が収容されている。小ベベルギア23は、電動モータ31のモータシャフト32の前端部において、モータシャフト32の周りに固定されている。スピンドル25は、上下方向に離間して配置された軸受によって、回転軸線AX2を中心に回転可能に支持されている。回転軸線AX2は、電動モータ31の回転軸線AX1と交差(より具体的には、直交)している。大ベベルギア24は、スピンドル25の上側において、スピンドル25の周りに固定されており、小ベベルギア23と噛み合っている。ギアハウジング20は、その下端部に、カバー300を着脱可能に取り付けるための第2の取付部22を有している。第2の取付部22は、上下方向に延在する円筒の形状を有している。スピンドル25は、ギアハウジング20内を上下方向に延在し、下側においてギアハウジング20(より具体的には、第2の取付部22)から延出している。
ギアハウジング20から延出したスピンドル25の下端部において、スピンドル25の周りにはインナーフランジ26が取り付けられている。スピンドル25のうちのインナーフランジ26よりも下方には、雄ネジ部が形成されており、当該雄ネジ部には、ロックナット27が取り付けられている。インナーフランジ26とロックナット27との間に先端工具28を挟み、ロックナット27を締め付けることによって、スピンドル25に対する先端工具28の位置が固定される。
ハンドルハウジング40は、グラインダ10の使用時にユーザが一方の手で把持するための部分である。ハンドルハウジング40は、概ね前後方向に延在する円筒状の形状を有している。ハンドルハウジング40の内部には、電動モータ31を駆動するためのスイッチ41が収容されている。ハンドルハウジング40の下側には、スイッチ41をオフ状態にするオフ位置(図2参照)と、スイッチ41をオン状態にするオン位置(図1参照)と、の間で変位可能に構成された操作部材50が設けられている。
ユーザによって操作部材50がオフ位置からオン位置へ操作されることによって電動モータ31が駆動されると、モータシャフト32の回転が、小ベベルギア23および大ベベルギア24を介して、減速されつつ、スピンドル25に伝達される。このとき、回転運動の方向も、モータシャフト32周りの方向から、スピンドル25の回転軸線AX2周りの方向へと変換される。この機構によれば、モータシャフト32の回転に伴って、スピンドル25が回転軸線AX2周りに回転され、その結果、インナーフランジ26およびロックナット27によって固定された先端工具28がスピンドル25とともに回転される。
図1に示すように、グラインダ10は、さらに、その付属品として、サイドハンドル200とカバー300とを備えている。サイドハンドル200は、ユーザが、ハンドルハウジング40を把持する手と反対の手で把持するために用意されている。サイドハンドル200を使用することにより、ユーザは、グラインダ10をより安定的に保持することができる。サイドハンドル200は、ユーザが把持するためのグリップ部210と、ギアハウジング20に取り付けるための取付部220と、を備えている。取付部220は、サイドハンドル200の長手方向に延在する円柱形状を有しており、サイドハンドル200の長手方向におけるグリップ部210の一端から延出している。取付部220の外周面には、雄ネジが形成されている。
図14に示すように、ギアハウジング20は、サイドハンドル200を着脱可能に取り付けるための3つの第1の取付部29a~29cを有している。第1の取付部29a~29cは、回転軸線AX1周りの周方向に互いに離間した位置に配置されている。より具体的には、第1の取付部29aは、ギアハウジング20の左側面に形成され、第1の取付部29bは、ギアハウジング20の上面に形成され、第1の取付部29cは、ギアハウジング20の右側面に形成されている。3つの第1の取付部29a~29cは、回転軸線AX1に対して回転対称の位置にそれぞれ設けられている。第1の取付部29a~29cの各々は、ギアハウジング20の内部と外部とを連通させる貫通孔の形態である。当該貫通孔を形成する内面には、取付部220の雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。
3つの第1の取付部29a~29cから選択される1つにサイドハンドル200の取付部220をねじ込むことによって、サイドハンドル200をギアハウジング20に取り付けることができる。ユーザは、グラインダ10を用いて行う作業の種類に応じて、または、右利きか、もしくは、左利きかに応じて、サイドハンドル200の取付け箇所を第1の取付部29a~29cから任意に選択可能である。本実施形態では、3つの第1の取付部29a~29cが設けられているが、第1の取付部の数は、特に限定されるものではなく、1以上の任意の数であってもよい。例えば、2つの第1の取付部29a,29cのみが設けられてもよい。
図1に示すように、カバー300は、先端工具28の一部分を覆うカバー本体310と、第2の取付部22に取り付けるための取付部320と、を備えている。カバー本体310は、先端工具28の後側略半分を覆っている。本実施形態では、カバー本体310は、先端工具28の上面と、下面と、上面と下面との間の周面と、を覆っているが、使用される先端工具28の種類によっては、上面と周面のみを覆っていてもよい。取付部320は、開いた略円環状の形状を有しており、カバー本体310の上面から上方に向けて延在している。取付部320の構造は周知であるので、図示は省略するが、取付部320は、周方向の2つの先端のところに、対向する2つのフランジを有している。取付部320がギアハウジング20の第2の取付部22を取り囲むように配置された状態で、フランジに形成されたネジ孔にボルトを挿入して締め付けることによって、取付部320の円環形状の半径が小さくなり、取付部320が第2の取付部22に固定される。
上述したグラインダ10は、サイドハンドル200がギアハウジング20の第1の取付部29a~29cのいずれかに取り付けられ、かつ、カバー300がギアハウジング20の第2の取付部22に取り付けられた状態においてのみ、操作部材50のオフ位置からオン位置への変位が可能であり、サイドハンドル200およびカバー300のうちの少なくとも一方が取り付けられていない状態では、操作部材50のオフ位置からオン位置への変位が阻止される機械的構成を備えている。以下、図面を参照して、当該機械的構成を詳細に説明する。
図4に示すように、ハンドルハウジング40の下側には操作部材50が設けられている。操作部材50は、本実施形態ではパドル式であるが、任意の他の形式で実施されてもよい。操作部材50は、前後方向において、ハンドルハウジング40のほぼ全範囲にわたって延在している。
操作部材50は、支軸51と、突起52と、バネ座53と、バネ54と、作用端部55と、を備えている。支軸51は、操作部材50の後端付近に設けられている。支軸51は、左右方向に延在する円柱形状を有しており、ハンドルハウジング40に回転可能に支持されている。突起52は、前後方向における操作部材50の略中央において上側および前側に向けてL字状に延在している。突起52の先端は、スイッチ41の入力部材42に係合している。バネ座53にはバネ54の一端が着座している。バネ54の他端は、ハンドルハウジング40に着座している。バネ54は、操作部材50をオフ位置に向けて付勢する。作用端部55は、前後方向における操作部材50の前端である。作用端部55上には、後述する第2のリンク部材120の第2の水平延在部分123が載置される。
操作部材50がオフ位置(図4参照)にある状態において、ユーザがハンドルハウジング40と操作部材50とを掴むと(換言すれば、操作部材50を上側に向けて押圧すると)、操作部材50は、バネ54の付勢力に抗って、支軸51を支点として、ハンドルハウジング40に近づく方向にオン位置(図3参照)まで回転する。操作部材50がオフ位置からオン位置まで変位すると、操作部材50の突起52も上側に変位し、それによって、突起52に係合する入力部材42も上側に変位する。操作部材50がオン位置に到達すると、入力部材42は、スイッチ41の内部に押し込まれる。スイッチ41は、入力部材42が押し込まれたことを検知して、電動モータ31を駆動するための信号をコントローラ(図示せず)に送出する。コントローラは、この信号を受信すると、電動モータ31に電力を供給する。
そして、ユーザが操作部材50から指を離すと、操作部材50は、バネ54の付勢力によってオン位置からオフ位置に戻る。これによって、突起52ひいては入力部材42も元の位置に戻る。スイッチ41は、入力部材42が退出したことを検知して、電動モータ31を停止するための信号をコントローラに送出する。コントローラは、この信号を受信すると、電動モータ31への電力の供給を停止する。前後方向における操作部材50の前端付近には、操作部材50をオフ位置に係止させて、オン位置への変位を阻止するためのロックオフスイッチ57が設けられている。
図1および図2に示すように、グラインダ10は、さらに、第1の中間部材60と、第2の中間部材70と、保持部材140と、第3の中間部材80と、変換機構100と、を備えている。まず、第1の中間部材60、第2の中間部材70、保持部材140、第3の中間部材80、変換機構100の概要について説明する。
第1の中間部材60は、第1の取付部29a~29cのいずれかにサイドハンドル200を取り付けることによってサイドハンドル200の取付部220に押圧され、変位されるように構成される。第1の中間部材60は、本実施形態では、このような変位動作として、回転軸線AX1を中心として所定の角度だけ回転する。第1の中間部材60は、略環状の部材であり、電動モータ31よりも前側において、モータシャフト32を取り囲むようにギアハウジング20の内部に配置される。
第2の中間部材70は、第2の取付部22にカバー300を取り付けることによってカバー300の取付部320に押圧され、変位されるように構成される。第2の中間部材70は、本実施形態では、このような変位動作として、上側に直動する。第2の中間部材70は、第1の中間部材60よりも前側において、モータシャフト32と先端工具28との間に配置される。保持部材140は、第1の中間部材60よりも前側に配置されており、第1の中間部材60と第2の中間部材70とを一緒に保持する。
第3の中間部材80は、ギアハウジング20およびモータハウジング30の底部において前後方向に延在するように配置されている。第3の中間部材80は、操作部材50の変位に連動して、操作部材50のオフ位置に対応するオフ対応位置(図6参照)と、操作部材50のオン位置に対応するオン対応位置(図5参照)と、の間で前後方向に変位するように構成される。変換機構100は、操作部材50の略上下方向の回転動作を第3の中間部材80の前後方向の直動動作に変更するように構成される。
第1の中間部材60は、サイドハンドル200がギアハウジング20の第1の取付部29a~29cのいずれにも取り付けられていない状態では、第3の中間部材80がオフ対応位置からオン対応位置まで変位するための変位経路を遮る第1の遮断位置(図6,14参照)に位置し、サイドハンドル200が第1の取付部29a~29cのいずれかに取り付けられた状態では、第3の中間部材80の変位経路を遮らない第1の非遮断位置(図5,15,16参照)に位置する。
第2の中間部材70は、カバー300がギアハウジング20の第2の取付部22に取り付けられていない状態では、第3の中間部材80の変位経路を遮る第2の遮断位置(図6,14,15参照)に位置し、カバー300が第2の取付部22に取り付けられた状態では、第3の中間部材80の変位経路を遮らない第2の非遮断位置(図5,16参照)に位置する。
以下、第1の中間部材60、第2の中間部材70、保持部材140、第3の中間部材80および変換機構100の詳細について説明する。まず、第1の中間部材60について説明する。図7に示すように、第1の中間部材60は、単一の部材であり、第1の取付部29a~29cに対して共通して設けられる。第1の中間部材60は、第1の中間部材本体61を備えている。第1の中間部材本体61は、本実施形態では、電動モータ31の回転軸線AX1を中心とする環の形状を有している。ただし、第1の中間部材60は、部分的な環の形状(換言すれば、閉じられてない環の形状)を有していてもよい。第1の中間部材本体61の中央部には、モータシャフト32が貫通する貫通孔が形成されている。
第1の中間部材60は、さらに、3つの被押圧部62a~62cと、遮断部64と、を備えている。3つの被押圧部62a~62cは、周方向に互いに離間して配置されている。被押圧部62aは、ギアハウジング20の第1の取付部29aにサイドハンドル200が取り付けられたときにサイドハンドル200(より具体的には、取付部220の先端)に押圧される部分である。同様に、被押圧部62bは、第1の取付部29bにサイドハンドル200が取り付けられたときにサイドハンドル200に押圧される部分であり、被押圧部62cは、第1の取付部29cにサイドハンドル200が取り付けられたときにサイドハンドル200に押圧される部分である。このため、被押圧部62a~62cは、第1の取付部29a~29cの角度位置に対応する角度位置にそれぞれ配置されている(図14参照)。被押圧部62a~62cの各々は、第1の中間部材本体61から径方向外側に突出している。
上述したように、第1の中間部材60は、被押圧部62a~62cのいずれかがサイドハンドル200によって押圧されたときに、回転軸線AX1を中心として回転するように構成される。図14と図15とを比べると、第1の取付部29cにサイドハンドル200が取り付けられたことによって、被押圧部62cがサイドハンドル200に押圧されて、第1の中間部材60が、図14に示す位置から図15に示す位置まで反時計回りに回転していることが分かる。
図7および図14に示すように、被押圧部62aは、第1の取付部29aにサイドハンドル200が取り付けられたときのサイドハンドル200の長手方向(換言すれば、サイドハンドル200の取付方向)に対して角度付けられた被押圧面63aを有している。同様に、被押圧部62bは、第1の取付部29bにサイドハンドル200が取り付けられたときのサイドハンドル200の長手方向に対して角度付けられた被押圧面63bを有している。同様に、被押圧部62cは、第1の取付部29cにサイドハンドル200が取り付けられたときのサイドハンドル200の長手方向に対して角度付けられた被押圧面63cを有している。被押圧面63a~63cは、対応するサイドハンドル200の長手方向に対して、約45度で角度付けられている(図14参照)。この角度は、サイドハンドル200の長手方向とは異なる方向に第1の中間部材60が変位するように、任意の角度で設定され得る。代替形態では、この角度は、30度以上、60度以下の範囲内で設定されてもよい。このように角度付けられた被押圧面63a~63cによれば、第1の中間部材60を容易に回転させることができる。
遮断部64は、第1の取付部29a~29cのいずれにもサイドハンドル200が取り付けられていないときに第3の中間部材80の変位経路を遮る部分である。遮断部64は、第1の中間部材本体61から径方向外側に向けて突出している。遮断部64は、第1の取付部29a~29cのいずれにもサイドハンドル200が取り付けられていないときには、第1の中間部材60の最下部に位置する(図14参照)。一方、遮断部64は、第1の取付部29a~29cのいずれかにサイドハンドル200が取り付けられているときには、第1の中間部材60の回転に起因して、最下部よりも上側かつ右側に待避する(図15参照)。
図7に示すように、第1の中間部材本体61は、第1の貫通孔65,66を備えている。第1の貫通孔65,66の各々は、回転軸線AX1を中心とする円弧形状を有している。第1の貫通孔65,66は、回転軸線AX1に対して180度回転対称の位置に配置されている。第1の中間部材60は、この第1の貫通孔65,66を介して保持部材140にネジ止めされる。具体的には、第1の貫通孔65,66には、図14~16に示すようにボルト91が挿入される。このボルト91は、後述する保持部材140のネジ穴143a,144aと螺合する。ボルト91の頭と第1の中間部材60との間に所定のクリアランスが確保されることによって、第1の中間部材60は、第1の貫通孔65,66の円弧形状に沿って回転可能に保持部材140に保持される。この構成によれば、簡単な構成で第1の中間部材60を保持できる。
第1の中間部材60は、さらに、突起67を備えている。突起67は、第1の中間部材本体61の前面から前方に向けて延在している。この突起67は、後述するバネ68(図9参照)によって第1の中間部材60を第1の遮断位置(図6,14参照)に向けて付勢するために使用される。
次いで、第2の中間部材70について説明する。図8に示すように、第2の中間部材70は、ベース71と、被押圧部72と、遮断部73と、支持部74,75と、バネ座78と、を備えている。ベース71は、前後方向を長手方向とし、上下方向と直交する平板状の部分である。被押圧部72は、カバー300を第2の取付部22に取り付ける際に、カバー300の取付部320によって上側に向けて押圧される部分であり、第2の中間部材70の前端に位置している。被押圧部72は、ベース71と平行な平板状の形状を有している。ベース71と被押圧部72との間には段部が形成されている。この段部によって、カバー300が取り付けられるときの第2の中間部材70の変位量を小さくできる。具体的には、カバー300の取付け時において、カバー300の取付部320がベース71と同一の位置まで持ち上げられた状態から、取付部320が被押圧部72に当接する状態までは、第2の中間部材70は変位されないので、被押圧部72がベース71と同じ上下方向位置にある構成と比べて、段差分だけ、第2の中間部材70の変位量が小さくなる。このため、第2の中間部材70の変位スペースを小さくすることができる。換言すれば、グラインダ10の上下方向のサイズが大きくなることを抑制できる。
遮断部73は、第2の取付部22にカバー300が取り付けられていないときに第3の中間部材80の変位経路を遮る部分である。遮断部73は、第2の中間部材70の後端に位置しており、ベース71の後端から上側に向けて延在している。遮断部73は、前後方向と直交する平板状の形状を有している。遮断部73は、第2の取付部22にカバー300が取り付けられていないときは、図14に示すように、前後方向に見て、サイドハンドル200が取り付けられていないときの第1の中間部材60の遮断部64と重複する位置にある。
支持部74,75は、遮断部73の近傍において、遮断部73よりも前側で、左右方向に対向するように配置される。支持部74,75は、ベース71から左右方向に互いに離れる方向に延在し、その後、折れ曲がって、上側に延在する略L字状の形状を有している。支持部74,75には、支持部74,75をそれぞれ前後方向に貫通する第2の貫通孔76,77が、それぞれ形成されている。第2の貫通孔76,77は、上下方向(つまり、カバー300に押圧されるときに直動する方向)を長手方向とする長孔の形態である。第2の中間部材70は、この第2の貫通孔76,77を介して保持部材140にネジ止めされる。具体的には、第2の貫通孔76,77には、図14~16に示すようにボルト92が挿入される。このボルト92は、後述する保持部材140のネジ穴145a,146aと螺合する。ボルト92の頭と支持部74,75との間に所定のクリアランスがそれぞれ確保されることによって、第2の中間部材70は、第2の貫通孔76,77に沿って直動可能に保持部材140に保持される。この構成によれば、簡単な構成で第2の中間部材70を保持できる。
バネ座78は、ベース71から上側に向けて突出するように設けられている。バネ座78と、保持部材140のバネ座148(図9参照)との間には、バネ79が保持される(図6参照)。バネ79は、第2の中間部材70を第2の遮断位置(図6,図14,15参照)に向けて付勢する。
次いで、保持部材140について説明する。図9に示すように、保持部材140は、円環部141と、円筒部142と、突出部143,144と、突出部145,146と、バネ座148と、バネ収容部149と、を備えている。円環部141は、電動モータ31の回転軸線AX1を中心とする円盤形状を有しており、その中央には、貫通孔が形成されている。円環部141の下側には、第2の中間部材70の変位スペースを確保するために切欠147が形成されている。
円筒部142は、円環部141から後側に向けて延在する円筒形状を有している。円筒部142の径は、円環部141の径よりも小さい。円筒部142に隣接して、円筒部142の上側にはバネ収容部149が形成されている。バネ収容部149は、回転軸線AX1を中心とする円弧状に形成されている。バネ収容部149内には、バネ収容部149の円弧形状に沿って伸縮可能なバネ68が収容されている。バネ収容部149の後側は開口しており、この開口を介して、第1の中間部材60の突起67がバネ収容部149内に挿入される。バネ68の一端は、バネ収容部149の内面(円弧形状の一方の端部に位置する平面)に支持され、バネ68の他端は、突起67に係合する。これによって、第1の中間部材60は、時計回り方向に(換言すれば、第1の遮断位置に向けて)付勢される。
突出部143,144は、左右方向に互いに離間して配置される。突出部143,144は、円環部141の上下方向における略中央において、円環部141から後側に向けて延在している。突出部143、144は、雌ネジが形成されたネジ穴143a,144aをそれぞれ有している。ネジ穴143a,144aは、突出部143、144の後端面から前側に向けて延在している。ネジ穴143a,144aには、上述した態様で第1の中間部材60を保持部材140に取り付けるために、ボルト91が螺合される(図14参照)。
突出部145,146は、突出部143,144よりも下方において、左右方向に互いに離間して配置される。突出部145,146は、雌ネジが形成されたネジ穴145a,146aをそれぞれ有している。ネジ穴145a,146aは、突出部145,146の後端面から前側に向けて延在している。ネジ穴145a,146aには、上述した態様で第2の中間部材70を保持部材140に取り付けるために、ボルト92が螺合される(図14参照)。第2の中間部材70を第1の中間部材60よりも前側で保持するために、突出部145,146の前後方向の長さは、突出部143,144の前後方向の長さよりも小さい。
円筒部142の下端には、上述したバネ座148が形成されている。この保持部材140は、第1の中間部材60と第2の中間部材70とを取り付けた状態で、円環部141の外周と円筒部142の内周とがギアハウジング20に当接するように、ギアハウジング20内に嵌め込まれる。それによって、保持部材140は、ギアハウジング20に固定される。単一の保持部材140に、第1の中間部材60と第2の中間部材70とを取り付けると、第1の中間部材60と第2の中間部材70との相対位置が自然に定まるので、グラインダ10の組み立て時において、第1の中間部材60と第2の中間部材70との相対位置を調整する必要がない。
次いで、第3の中間部材80および変換機構100について説明する。図10に示すように、第3の中間部材80は、上下方向に延在する鉛直延在部分81と、鉛直延在部分81の下端から前側へ細長く延在する棒状の水平延在部分82と、を備えている。水平延在部分82は、前端83を有している。
図1に示すように、変換機構100は、第1のリンク部材110と、第2のリンク部材120と、保持部材130と、を備えている。図11に示すように、第1のリンク部材110は、押圧部111と、係合部112,113と、貫通孔114と、を備えている。押圧部111は、第1のリンク部材110の前側かつ上側に位置している。押圧部111は、前側に向けられた円弧状の湾曲面を有している。係合部112は、第1のリンク部材110の左端において、後側に向けてU字状に延在する部分である。係合部112は、後側が開口する溝112aを有している。係合部113は、第1のリンク部材110の右端において、後側に向けてU字状に延在する部分である。係合部113は、後側が開口する溝113aを有している。係合部112,113は、左右方向に見て互いに完全に重なる位置に形成されている。貫通孔114は、第1のリンク部材110の前側かつ下側に位置し、第1のリンク部材110を左右方向に貫通している。
図12に示すように、第2のリンク部材120は、上下方向に延在する鉛直延在部分121と、鉛直延在部分121の下端から前側に延在する第1の水平延在部分122と、鉛直延在部分121の上端から後側に延在する第2の水平延在部分123と、を備えている。第1の水平延在部分122の前端には、左右方向に円柱状に延在する支軸124が形成されている。
図13に示すように、保持部材130は、略立方体の箱形の形状を有している。保持部材130の前側の内面には、バネ座131が形成されている。バネ座131には、保持部材130内において前後方向に伸縮可能となるようにバネ132が固定されている。保持部材130は、後側と下側の2面が開放されており、後側には開口134が、下側には開口135が、それぞれ形成されている。保持部材130は、保持部材130の左面および右面を左右方向に貫通する貫通孔133を有している。
図4に示すように、第1のリンク部材110は、第1のリンク部材110の貫通孔114と、保持部材130の貫通孔133と、を貫通するようにピンが挿入されることによって、当該ピンを中心として回転可能に保持部材130に支持される。第3の中間部材80は、バネ132と、第1のリンク部材110の押圧部111と、の間に鉛直延在部分81が位置するように配置される。このため、第3の中間部材80は、後側に向けてバネ132によって付勢される。第2のリンク部材120は、支軸124が係合部112の溝112aおよび係合部113の溝113a内に挿入され、かつ、第2の水平延在部分123の後端部が操作部材50の作用端部55上に載置されるように配置される。保持部材130に第1のリンク部材110を取り付けた後、保持部材130をグラインダ10に組み付ければ、第1のリンク部材110をグラインダ10のハウジング等に直接的に組み付ける場合と比べて、組み立てが容易になる。
この変換機構100によれば、操作部材50の略上下方向の回転動作を第3の中間部材80の前後方向の直動動作に変更することができる。具体的には、操作部材50が図4に示すオフ位置から図3に示すオン位置まで変位すると、操作部材50の作用端部55も上側に変位する。このとき、図3に示すように、操作部材50の作用端部55によって、第2のリンク部材120の第2の水平延在部分123が上側に押し上げられる。これにより、第2のリンク部材120全体が上側に直動する。このとき、第2のリンク部材120の支軸124は第1のリンク部材110の溝112a,113a内に挿入されているので、支軸124に係合する係合部112,113も上向きの力を受ける。これによって、第1のリンク部材110は、貫通孔114に挿入されたピンを中心として回転する。このとき、第1のリンク部材110の押圧部111は、第3の中間部材80の鉛直延在部分81上を摺動しつつ、前側に向けた力を鉛直延在部分81に作用させる。これによって、第3の中間部材80は、バネ132の付勢力に抗って前側に直動する。一方、操作部材50がオン位置からオフ位置に戻ると、水平延在部分82の付勢力によって第3の中間部材80は図6に示す位置まで戻される。このとき、第1のリンク部材110は、第3の中間部材80によって後側に押されることによって、回転して元の位置に戻り、係合部112,113に係合する第2のリンク部材120も下側に引っ張られて、元の位置に戻る。
この変換機構100によれば、操作部材50の変位方向と第3の中間部材80との変位方向とが異なっていても、操作部材50と第3の中間部材80とを連動させることができる。このため、操作部材50の変位方向が設計上の制約を受けることがないので、グラインダ10の仕様に応じて最適な形式の操作部材50を採用できる。
上述したグラインダ10によれば、サイドハンドル200が取り付けられていない状態では、第1の中間部材60は、図6および図14に示す第1の遮断位置(つまり、第3の中間部材80の前後方向の変位経路を遮る位置)にある。この状態では、ユーザが操作部材50をオフ位置からオン位置に操作しようとすると、図6から明らかなように、操作部材50に連動する第3の中間部材80の前端83が第1の中間部材60の遮断部64に当接するので、第3の中間部材80は、それ以上、前側へ変位することができない。このため、操作部材50もオン位置まで変位することができない。
また、カバー300が取り付けられていない状態では、第2の中間部材70は、図6および図15に示す第2の遮断位置(つまり、第3の中間部材80の前後方向の変位経路を遮る位置)にある。この状態では、ユーザが操作部材50をオフ位置からオン位置に操作しようとすると、第1の中間部材60が図14に示す第1の非遮断位置(つまり、第3の中間部材80の前後方向の変位経路を遮断しない位置)にあったとしても、図6から明らかなように、操作部材50に連動する第3の中間部材80の前端83が第2の中間部材70の遮断部73に当接するので、第3の中間部材80は、それ以上、前側へ変位することができない。このため、操作部材50もオン位置まで変位することができない。
一方、サイドハンドル200が取り付けられると、第1の中間部材60は、サイドハンドル200に押圧されることによって、バネ68の付勢力に抗って回転され、第1の中間部材60の遮断部64は、第3の中間部材80の前後方向の変位経路を遮らない位置まで変位する。さらに、カバー300が取り付けられると、第2の中間部材70は、カバー300に押圧されることによって、バネ79の付勢力に抗って直動され、第2の中間部材70の遮断部73は、第3の中間部材80の前後方向の変位経路を遮らない位置まで変位する。このとき、図5から明らかなように、第3の中間部材80は、第1の中間部材60および第2の中間部材70に当接することなく、前側へ変位することができる。このため、操作部材50もオン位置まで変位することができる。したがって、サイドハンドル200およびカバー300の両方が装着された場合に限って電動モータ31を駆動することができる構成を、センサを利用せずに機械的な構成のみを利用して実現できる。
さらに、第1の中間部材60は、被押圧部62a~62cのいずれかがサイドハンドル200によって押圧されたときに回転軸線AX1を中心として回転するように構成される。このため、前後方向に第1の中間部材60の変位スペースを確保する必要が無いので、前後方向におけるグラインダ10のサイズをコンパクトにすることができる。
さらに、第2の中間部材70は、カバー300が取り付けられたときに、カバー300(より具体的には、取付部320)に押圧されて、カバー300の取付け方向(つまり、上方向)に直動する。このため、方向変換機構が不要であり、装置構成を簡素化できる。
本発明の第2実施形態について、図17~21を参照して以下に説明する。以下では、第2実施形態について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図17に示すように、第2実施形態によるグラインダ400は、操作部材450と、ロックオフ部443と、第1の中間部材460と、第2の中間部材480と、を備えている。
図17に示すように、操作部材450は、前後方向に延在する長尺状の部材であり、モータハウジング430およびハンドルハウジング440の下側に配置されている。操作部材450は、作用端部451と、係合部452と、突起453と、突起454と、を備えている。作用端部451は、操作部材450の前端部分であり、他の部分よりも小さい厚み(上下方向の幅)を有している。作用端部451は、モータハウジング430に形成された貫通孔431(図20参照)を通って、モータハウジング430の内部に達している。係合部452は、後述するロックオフ部443と係合するための部分であり、本実施形態では、操作部材450の後端部分において後方に向けて突出する突起の形態である。突起453は、操作部材450の上部において上方に向けて突出している。突起453は、前後方向において、操作部材450の後側に配置されている。突起454は、操作部材450の下部において下方に向けて突出している。突起454は、前後方向において、操作部材450の略中央に配置されている。
この操作部材450は、作用端部451のうちの貫通孔431内に位置する部分を支点として、上下方向に枢動可能である。初期位置である図17に示すオフ位置から図19に示すオン位置へ上方に向けて操作部材450へ変位されると、枢動部材455を介してスイッチ441がオフ状態からオン状態に切り替えられる。
具体的には、枢動部材455は、操作部材450の突起453の上方に配置されている。枢動部材455は、ハンドルハウジング440のボスに支持されるピン458を中心として枢動可能に構成されており、その枢動軸線に関して径方向外側に延在する第1の部分456および第2の部分457を備えている。第1の部分456は、突起453の直上に配置されており、第2の部分457は、第1の部分456よりも上方に配置されている。図示は省略しているが、枢動部材455は、付勢部材(例えば、トーションばね)によって、第1の部分456が操作部材450の突起453と当接するように、反時計回りに付勢されている。
後述するロックオフ解除状態において、ユーザが、操作部材450を上方に向けて押圧する操作を行うと、操作部材450が上方に向けて枢動される。これによって、突起453が枢動部材455の第1の部分456を、付勢部材の付勢力に抗って上向きに変位させ、枢動部材455が時計回りに枢動される。その結果、第2の部分457も一体的に時計回りに枢動される。そして、図19に示すオン位置まで操作部材450が枢動すると、スイッチ441の入力部材442が第2の部分457によって押圧されて、スイッチ441の内部に押し込まれる。これによって、スイッチ441がオフ状態からオン状態に切り替えられる。ユーザが、操作部材450に対する上方に向けた押圧操作を解除すると、枢動部材455を付勢する付勢部材の付勢力によって操作部材450が下方に向けて枢動し、図17に示すオフ位置に戻る。このとき、枢動部材455も付勢部材の付勢力によって図17に示した位置に戻り、入力部材442もスイッチ441から退出する。これによって、スイッチ441がオン状態からオフ状態に戻る。
ロックオフ部443は、第1実施形態のロックオフスイッチ57と同様の機能を有する。具体的には、ロックオフ部443は、操作部材450との係合状態の変更によって、オフ位置からオン位置への操作部材450の変位が阻止されるロックオフ状態と、オフ位置からオン位置への操作部材450の変位が許容されるロックオフ解除状態と、の間で、操作部材450のステータスを切り替えるように構成される。第1実施形態の自らが変位するロックオフスイッチ57とは対照的に、ロックオフ部443は、固定的な(つまり、変位しない)係合構造である。本実施形態では、ロックオフ部443は、ハンドルハウジング440の一部分(より具体的には、後側かつ下側の部分)として、操作部材450よりも後側に形成されている。
図17に示すように、ロックオフ部443は、基部444と、係合部445と、支持部446と、を備えている。基部444は、ハンドルハウジング440の下部から下側に向けて突出する部分である。係合部445および支持部446は、基部444から前側に向けて突出している。係合部445は、支持部446よりも上側に位置しており、係合部445と支持部446との間には、前側が開口する凹部が形成されている。支持部446は、係合部445よりも前側に延在している。
図17に示すように、操作部材450は、作用端部451が貫通孔431内に挿入され、係合部452が支持部446上に載置されることによって、抜け止め状態で、前後方向および上下方向に変位可能に保持されている。操作部材450の前後方向および上下方向の変位は、ユーザの手動操作によって行われる。ユーザは、突起454に指を掛けることで、操作部材450を前後方向に容易に変位させることができる。
図17に示すように、第1の中間部材460は、操作部材450よりも前側に配置される。第1の中間部材460は、第1実施形態の第1の中間部材60と同一または類似の構成を備えており、付属品としてのサイドハンドル(図示省略)を取付部(図示省略)へ取り付けたときに、サイドハンドルに直接的または間接的に押圧されて、変位されるように構成される。
図17および図20に示すように、第2の中間部材480は、前後方向において、第1の中間部材460と操作部材450との間に、前後方向に変位可能に配置される。図20に示すように、第2の中間部材480は、本実施形態では、前後方向に延在する棒状の部材である。第2の中間部材480の後端には、他の部分より径が大きい拡径部481が形成されている。ここでの「径」とは、前後方向周りの長さのことを意図しており、第2の中間部材480および/または拡径部481の前後方向に直交する方向の断面形状は、円形に限定されない。
図20に示すように、第2の中間部材480の周囲には、付勢部材としてのコイルバネ485が配置されている。コイルバネ485は、モータハウジング430の内側に嵌め込まれたバッフルプレート432と、拡径部481と、の間に圧縮状態で保持されている。このコイルバネ485によって、第2の中間部材480は、常時、後方に向けて、つまり、操作部材450側に向けて付勢される。このため、拡径部481は、第2の中間部材480の前後方向の位置にかかわらず、操作部材450の作用端部451と前後方向に常に当接する。ユーザが操作部材450を前方に向けて変位させたとき、第2の中間部材480は、操作部材450によってコイルバネ485の付勢力に抗って前方に押され、操作部材450とともに前方へ変位される。一方、ユーザが、操作部材450を前方に向けて変位させる力を解除すると、操作部材450および第2の中間部材480は、コイルバネ485の付勢力によって、元の位置に戻される。このようにして、第2の中間部材480は、操作部材450の前後方向の変位に連動するように構成される。
このようなグラインダ400の作用について以下に説明する。まず、図17に示すように、操作部材450がオフ位置でロックオフ状態にあるとき、操作部材450の係合部452は、ロックオフ部443の係合部445と支持部446との間の凹部に収容されている。このときの操作部材450の位置をロックオフ位置とも呼ぶ。操作部材450がロックオフ位置にあるとき、係合部452の真上には、係合部445が位置しているので、ユーザが操作部材450を上方に向けて押圧操作を行おうとしても、係合部452が係合部445に当接して、操作部材450の上方への変位が規制される。このため、操作部材450は、オフ位置(図17参照)からオン位置(図19参照)へ変位することが阻止される。操作部材450がオフ位置でロックオフ状態にあるとき、第2の中間部材480は、操作部材450によって前方に押圧されておらず、図20に示す位置に位置している。このときの第2の中間部材480の位置を第1の対応位置とも呼ぶ。
ロックオフ状態にある操作部材450をロックオフ解除状態にするためには、ユーザは、操作部材450を前方へ向けて変位させる必要がある。しかしながら、図20に示すように、取付部にサイドハンドルが取り付けられていない状態では、第2の中間部材480の前方には、第1の中間部材460が位置している。このため、ユーザが操作部材450を前方に向けて変位させようとすると、操作部材450に連動する第2の中間部材480の先端482が第1の中間部材460に当接するので、第2の中間部材480(ひいては、操作部材450)の前方への変位が規制される。このように、第1の中間部材460は、部材間当接(ここでは、第1の中間部材460と第2の中間部材480の先端482との当接)によって、操作部材450のステータスがロックオフ位置状態からロックオフ解除状態に切り替えられることを阻止する。換言すれば、第1の中間部材460は、第2の中間部材480が第1の対応位置から前方へ変位するための変位経路を遮っている。
一方、図21に示すように、取付部にサイドハンドルが取り付けられた状態では、第1実施形態と同様に第1の中間部材460が変位して、第2の中間部材480が第1の対応位置から前方へ変位するための変位経路を遮らない状態になる(図21に示す断面では、第1の中間部材460は、図示されない位置に変位している)。つまり、上述の部材間当接は発生せず、操作部材450および第2の中間部材480は前方への変位が許容される。このため、ユーザは、コイルバネ485の付勢力に抗って、図18および図21に示す位置まで操作部材450および第2の中間部材480を前方へ変位させることができる。このとき、図18に示すように、操作部材450の係合部452は、ロックオフ部443の支持部446上に支持されているが、係合部452の真上には、係合部445が存在していない。このため、操作部材450は、上方に向けて変位可能な状態(つまり、ロックオフ解除状態)になる。このときの操作部材50の位置をロックオフ解除位置とも呼び、第2の中間部材480の位置を第2の対応位置とも呼ぶ。
このようにして、操作部材450がオフ位置でロックオフ解除状態になった後、ユーザが操作部材450を上方へ変位させると、図19に示すように、上述した態様で、枢動部材455を介してスイッチ441がオン状態になる。一方、グラインダ400の駆動を停止させるときは、ユーザが操作部材450の上方への変位操作を解除すると、上述の通り、操作部材450がオン位置(図19参照)からオフ位置(図18参照)に戻る。このとき、操作部材450が、コイルバネ485の付勢力によって、ロックオフ解除位置(図18参照)からロックオフ位置(図17参照)まで戻るとともに、第2の中間部材480が、第2の対応位置から第1の対応位置に戻る。
上述したグラインダ400によれば、サイドハンドルが装着された場合に限って電動モータを駆動することができる構成を、センサを利用せずに機械的な構造のみを利用して実現できる。また、上述したロックオフの解除操作に伴う操作部材450の変位はユーザにとって識別しやすいので、ユーザは、操作部材450をオフ位置からオン位置に変位させる操作を行ったにもかかわらず、電動モータを駆動できない場合に、その理由が、スイッチ441の故障ではなく、サイドハンドルが装着されていないことに起因してロックオフの解除操作ができないことであると気付きやすい。
また、グラインダ400によれば、第1の中間部材460と操作部材450との間に、操作部材450と連動する第2の中間部材480を配置している。このため、第1の中間部材460と操作部材450とが離れたレイアウトも可能となり、グラインダ400の設計自由度が向上する。ただし、第2の中間部材480は省略されてもよい。この場合、操作部材450の作用端部451が前後方向における第1の中間部材460の位置まで延在し、サイドハンドルが装着されていない場合に限って第1の中間部材460が作用端部451の変位経路を遮ってもよい。
代替実施形態では、グラインダ400は、第1実施形態と同様に、サイドハンドルおよびカバーの両方が装着された場合にのみ、操作部材450をロックオフ状態からロックオフ解除状態に切り替え可能に構成されてもよい。あるいは、グラインダ400は、カバーが装着された場合にのみ、操作部材450をロックオフ状態からロックオフ解除状態に切り替え可能に構成されてもよい。
さらなる代替実施形態では、固定的な係合構造であるロックオフ部443に代えて、変位可能に構成されたロックオフ部材がロックオフ部として設けられてもよい。この場合、サイドハンドルが装着されていないときにのみ、ロックオフ部材のロックオフ位置からロックオフ解除位置までの変位を阻止する第2の中間部材が、第1の中間部材460とロックオフ部材との間に設けられてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
例えば、上述したグラインダ10の構成部品の形状および形態は、例示に過ぎず、その構成部品の作用が確保される限り、任意の変更が可能である。例えば、第1の中間部材60の被押圧部62a~62cは、径方向外側に突出する代わりに、前側または後側に突出していてもよい。あるいは、遮断部64が省略され、第1の中間部材60が第1の非遮断位置にあるときに第3の中間部材80が貫通可能な貫通孔が第1の中間部材本体61に形成されてもよい。この場合、第1の中間部材60が第1の非遮断位置にあるときには、第1の中間部材本体61が、第3の中間部材80の変位経路を遮る機能を果たすことになる。あるいは、第3の中間部材80の少なくとも一部(例えば、水平延在部分82)は、ワイヤであってもよい。
さらに、第1の中間部材60は、サイドハンドル200が取り付けられたときに、サイドハンドル200によって間接的に押圧されてもよい。つまり、サイドハンドル200によって押圧されて変位される追加的な部材が設けられ、この追加的な部材によって、第1の中間部材60が変位されてもよい。同様に、第2の中間部材70は、カバー300が取り付けられたときに、カバー300によって間接的に押圧されてもよい。
さらに、第1の中間部材60は、サイドハンドル200が取り付けられたときに回転する構成に代えて、サイドハンドル200が取り付けられたときにサイドハンドル200に押圧されて傾斜するように構成されてもよい。例えば、第1の中間部材60は、第1の中間部材60の上側に支軸を有し、サイドハンドル200が取り付けられたときに、当該支軸を中心として第1の中間部材60の下端が前側に近づくように傾斜してもよい。
さらに、上述の実施形態は、グラインダ10に限らず、原動機を備え、2種類の付属品を着脱可能に取り付けることができる任意の工具に適用可能である。
10,400...グラインダ
20...ギアハウジング
22...第2の取付部
23...小ベベルギア
24...大ベベルギア
25...スピンドル
26...インナーフランジ
27...ロックナット
28...先端工具
29a,29b,29c...第1の取付部
30,430...モータハウジング
31...電動モータ
32...モータシャフト
40,440...ハンドルハウジング
41,441...スイッチ
42,442...入力部材
50,450...操作部材
51...支軸
52...突起
53...バネ座
54...バネ
55...作用端部
57...ロックオフスイッチ
60...第1の中間部材
61...第1の中間部材本体
62a,62b,62c...被押圧部
63a,63b,63c...被押圧面
64...遮断部
65...第1の貫通孔
67...突起
68...バネ
70...第2の中間部材
71...ベース
72...被押圧部
73...遮断部
74...支持部
76...第2の貫通孔
78...バネ座
79...バネ
80...第3の中間部材
81...鉛直延在部分
82...水平延在部分
83...前端
91,92...ボルト
100...変換機構
110...第1のリンク部材
111...押圧部
112,113...係合部
112a,113a...溝
114...貫通孔
120...第2のリンク部材
121...鉛直延在部分
122...第1の水平延在部分
123...第2の水平延在部分
124...支軸
130...保持部材
131...バネ座
132...バネ
133...貫通孔
134,135...開口
140...保持部材
141...円環部
142...円筒部
143,144,145,146...突出部
143a,144a,145a,146a...ネジ穴
147...切欠
148...バネ座
149...バネ収容部
200...サイドハンドル
210...グリップ部
220...取付部
300...カバー
310...カバー本体
320...取付部
431...貫通孔
432...バッフルプレート
443...ロックオフ部
444...基部
445...係合部
446...支持部
451...作用端部
452...係合部
453,454...突起
455...枢動部材
456...第1の部分
457...第2の部分
458...ピン
460...第1の中間部材
480...第2の中間部材
481...拡径部
482...先端
485...コイルバネ
AX1,AX2...回転軸線

Claims (16)

  1. 工具であって、
    原動機と、
    前記原動機を駆動するためのスイッチと、
    前記スイッチをオフ状態にするオフ位置と、前記スイッチをオン状態にするオン位置と、の間で変位可能に構成された操作部材と、
    第1の付属品と、
    第2の付属品と、
    前記第1の付属品が着脱可能に取り付けられるように構成された第1の取付部と、
    前記第2の付属品が着脱可能に取り付けられるように構成された第2の取付部と、
    前記第1の付属品を前記第1の取付部へ取り付けることによって変位されるように構成された第1の中間部材と、
    前記第2の付属品を前記第2の取付部へ取り付けることによって変位されるように構成された第2の中間部材と、
    前記操作部材の変位に連動して、前記オフ位置に対応するオフ対応位置と、前記オン位置に対応するオン対応位置と、の間で変位経路上を変位するように構成された第3の中間部材と
    を備え、
    前記第1の中間部材は、
    前記第1の付属品が前記第1の取付部に取り付けられていない状態では、前記第3の中間部材の前記変位経路を遮る第1の遮断位置に位置し、
    前記第1の付属品が前記第1の取付部に取り付けられた状態では、前記第3の中間部材の前記変位経路を遮らない第1の非遮断位置に位置し、
    前記第2の中間部材は、
    前記第2の付属品が前記第2の取付部に取り付けられていない状態では、前記第3の中間部材の前記変位経路を遮る第2の遮断位置に位置し、
    前記第2の付属品が前記第2の取付部に取り付けられた状態では、前記第3の中間部材の前記変位経路を遮らない第2の非遮断位置に位置し、
    前記第1の中間部材が前記第1の非遮断位置に位置し、かつ、前記第2の中間部材が前記第2の非遮断位置に位置するときには、前記第3の中間部材の前記オフ対応位置から前記オン対応位置までの変位が許可され、それによって、前記操作部材の前記オフ位置から前記オン位置までの変位が許可され、
    少なくとも前記第1の中間部材が前記第1の遮断位置に位置するとき、または、少なくとも前記第2の中間部材が前記第2の遮断位置に位置するときには、前記第3の中間部材の前記オフ対応位置から前記オン対応位置までの変位が前記第1の中間部材および前記第2の中間部材の少なくとも一方によって阻止され、それによって、前記操作部材の前記オフ位置から前記オン位置までの変位が阻止される
    工具。
  2. 請求項1に記載の工具であって、
    前記原動機は電動モータであり、
    前記工具は、前記電動モータによって回転されるように構成された先端工具を備えるグラインダであり、
    前記第1の付属品は、サイドグリップであり、
    前記第2の付属品は、前記先端工具を部分的に覆うカバーである
    工具。
  3. 請求項2に記載の工具であって、
    前記第1の取付部は、前記サイドグリップを選択的に取り付けるための少なくとも2つのサイドグリップ取付部を含み、
    前記第1の中間部材は、
    前記少なくとも2つのサイドグリップ取付部に共通して設けられた単一の部材であり、
    前記少なくとも2つのサイドグリップ取付部のうちから任意に選択される1つのサイドグリップ取付部に前記サイドグリップが取り付けられたときに該サイドグリップに直接的または間接的に押圧される少なくとも1つの被押圧部を有し、該少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに変位されるように構成された
    工具。
  4. 請求項3に記載の工具であって、
    前記第1の中間部材は、環または部分的な環の形状を有する第1の中間部材本体を備え、
    前記少なくとも2つのサイドグリップ取付部は、前記環または前記部分的な環の周方向に互いに離間した位置にそれぞれ位置している
    工具。
  5. 請求項4に記載の工具であって、
    前記第1の中間部材は、前記少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに回転軸線を中心として回転するように構成された
    工具。
  6. 請求項5に記載の工具であって、
    前記少なくとも1つの被押圧部は、
    前記第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出し、
    前記少なくとも2つのサイドグリップ取付部の位置にそれぞれ対応する少なくとも2つの位置にそれぞれ設けられた
    工具。
  7. 請求項6に記載の工具であって、
    前記第1の中間部材は、該第1の中間部材が前記第1の遮断位置にあるときに前記第3の中間部材の前記変位経路を遮る遮断部を備え、
    前記遮断部は、前記第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出している
    工具。
  8. 請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記第1の中間部材本体は、前記回転軸線を中心とする円弧形状を有する第1の貫通孔を有し、
    前記第1の中間部材は、前記円弧形状に沿って回転可能に前記第1の貫通孔を介してネジ止めされている
    工具。
  9. 請求項3ないし請求項8のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記少なくとも1つの被押圧部は、前記1つのサイドグリップ取付部に前記サイドグリップが取り付けられたときの該サイドグリップの長手方向とは異なる方向に前記第1の中間部材が変位するように、前記サイドグリップの前記長手方向に対して角度付けられた被押圧面を備える
    工具。
  10. 請求項2ないし請求項9のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記第2の中間部材は、前記カバーが前記第2の取付部に取り付けられたときに前記カバーに直接的または間接的に押圧されて、直動するように構成された
    工具。
  11. 請求項10に記載の工具であって、
    前記第2の中間部材は、
    前記第2の中間部材が直動する方向を長手方向とする長孔の形態の第2の貫通孔を有し、
    前記長孔に沿って直動可能に前記第2の貫通孔を介してネジ止めされている
    工具。
  12. 請求項2ないし請求項11のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記電動モータの回転軸線と前記先端工具の回転軸線とは交差する
    工具。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記工具の長手方向における第1の側に前記第1の取付部および前記第2の取付部が配置され、
    前記第1の側と反対の第2の側に前記操作部材が配置され、
    前記第3の中間部材は、前記長手方向に延在する細長い部材である
    工具。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記第1の中間部材と前記第2の中間部材とを保持する単一の保持部材を備える
    工具。
  15. 請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の工具であって、
    前記操作部材の変位方向である第1の変位方向と、前記第3の中間部材の変位方向である第2の変位方向と、は互いに異なっており、
    前記工具は、前記操作部材の前記第1の変位方向の動作を前記第3の中間部材の前記第2の変位方向の動作に変換するように構成された変換機構を備える
    工具。
  16. 請求項2ないし請求項12、および、少なくとも請求項2を従属元に含む請求項13ないし請求項15のいずれか一項に記載の工具であって、
    ユーザが把持するためのハンドルハウジングと、
    前記電動モータを収容するモータハウジングと
    を備え、
    前記ハンドルハウジングは、前記電動モータの回転軸線が延在する方向において、前記モータハウジングに対して前記先端工具と反対側に位置する
    工具。
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