JP7106138B2 - Vo2焼結体の製造方法およびvo2焼結体スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
VO2は粉末の状態であり、実用化のためには、粉末を加熱して焼結し、固化する必要がある。しかし、VO2は酸化物であり、また、酸化物の中でも難焼結性であるために、VO2粉末を焼結しても、焼結体の焼結密度は低く、VO2粉末の理論密度(4.66g/cm3)に対する、VO2焼結体の実際の密度の比である相対密度で表すと、65~85%である。このように相対密度の低い焼結体ターゲットを用いてスパッタしても、スパッタレートは低く、また不安定である。このような焼結体ターゲットを用いて成膜された膜は緻密さや均質性に欠くことがある。
本発明は、高い相対密度と高い硬度とを両立したVO2焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
このような方法によれば、相対密度が95%以上であり、ビッカース硬度(Hv)が300以上である焼結体が得られる。このような焼結体はスパッタリングターゲット材として好適である。
前記のとおり、本発明では、V2O5粉およびV2O3粉の混合粉を用いた反応焼結プロセスを用いることで、緻密な焼結体を製造することができる。
特許文献1では、V2O5粉末を水素およびアルゴンの混合ガス(水素5%、アルゴン95%)中で焼結して、まず低級酸化物であるV2O3粉末を生成した後、当該V2O3粉末と、V2O5粉およびWO3粉末とを、バナジウム、タングステンおよび酸素が所定のmol比となるように混合して、減圧下に焼成してV1-xWxO2の粉末試料を作製している。つまり、特許文献1の方法では、V2O5粉を一度水素で還元する必要がある。また、均一な混合が1回の操作では不充分であり、複数回の均質化処理が必要となる。これに対して、本発明では、V2O5粉およびV2O3粉からなる混合粉を出発原料とすることで、VO2の製造工程においてV2O5を直接利用しており、均質化処理も1回で足りることから、均一な焼結体、すなわち、高密度かつ高強度のVO2焼結体を効率的に製造することができる。
非酸化雰囲気は、窒素、ヘリウムおよびアルゴン等の不活性ガスの他に、還元性ガスであってもよい。
ここで、焼結とは、真空ホットプレス法、常圧焼結法、HIP法(熱間等方圧加圧法)、およびSPS法(放電プラズマ焼結法)等により、粉末を高温で固めることをいう。本発明では、これらの焼結法のうち、真空ホットプレス法、SPS法またはHIP法を用いることが好ましい。
酸化タングステンには、タングステンの酸化数により、W2O3、WO2およびWO3があるが、WO3粉末を用いるのが一般的である。酸化クロムにも、CrO、Cr2O3、CrO2およびCrO3以外に、混合酸化物や過酸化物があるが、通常は最も安定なCr2O3が用いられる。
Cr2O3粉末の含有量は、V2O5粉およびV2O3粉の合計に対して、0.01~25mol%である。VO2焼結体中のVの一部をCrに置き換えてV1-yCryO2(0≦y≦0.25)とすれば、VO2焼結体の蓄熱温度域を高くすることができる。
V2O5粉およびV2O3粉をmol比が50:50となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、ホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、15Paの減圧下に焼結した。焼結条件は、焼結温度を800℃、焼結時間を1時間、焼結雰囲気をアルゴンとした。得られた焼結体の密度からVO2粉末の密度に対する相対密度を求めたところ、97.7%であった。
焼結体の潜熱量をブルカー製DSC3120を用いて測定したところ、229J/cm3と、VO2が粉末状態であるときの潜熱量の95%以上であった。JIS Z 2244に準拠したビッカース硬度(Hv)をフーチュアテック製硬度計FV-700を用いて測定したところ、472であった。
実施例1と同様に、V2O5粉およびV2O3粉を秤量、混合した後、混合粉をカーボン型に装入して焼結した。得られた焼結体の相対密度は96.8%であった。
次いで、実施例1と同様に、焼結体の各特性値を測定したところ、潜熱量は230J/cm3と、VO2の粉末状態の95%以上であり、ビッカース硬度は361であった。
実施例1と同様に、V2O5粉およびV2O3粉を秤量、混合した後、混合粉をカーボン型に装入して焼結した。得られた焼結体の相対密度は98.5%であった。
次いで、実施例1と同様に、焼結体の各特性値を測定したところ、潜熱量は234J/cm3と、VO2の粉末状態の95%以上であり、ビッカース硬度は433であった。
V2O5粉およびV2O3粉をmol比が50:50となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、耐熱性容器に移し替え、電気炉に入れて、アルゴン雰囲気中で加熱することにより、VO2粉を調製した。加熱温度は950℃、加熱時間は0.4時間とした。
実施例1と同様に焼結体の各特性値を測定したところ、潜熱量は199J/cm3と、VO2の粉末状態の95%未満であった。ビッカース硬度は231であった。
これらの結果を表2に示す。
加熱温度を950℃から1050℃に変更し、加熱時間を0.4時間から0.6時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、VO2粉を調製した。
実施例1と同様に焼結体の各特性値を測定したところ、潜熱量は168J/cm3と、VO2の粉末状態の95%未満であった。ビッカース硬度は161であった。
これらの結果を表2に示す。
加熱温度を950℃から1020℃に変更し、加熱時間を0.4時間から0.5時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、VO2粉を調製した。
実施例1と同様に焼結体の各特性値を測定したところ、潜熱量は172J/cm3と、VO2の粉末状態の95%未満であった。ビッカース硬度は243であった。
これらの結果を表2に示す。
Claims (4)
- V2O5粉とV2O3粉とを混合して混合粉を調製し、
非酸化雰囲気下に、前記混合粉を加熱しながら圧縮して、1~1000Paの減圧下に、焼結温度800~1200℃、焼結時間0.1~1.5時間、V2O5粉とV2O3粉との反応焼結を行うことにより、ビッカース硬度(Hv)が300以上であり、相対密度が95%以上の焼結体を作製する、VO2焼結体の製造方法。 - V2O5粉およびV2O3粉に加えて、さらに酸化タングステンを混合して混合粉を調製し、かつ、
前記混合粉中、V2O5粉およびV2O3粉の合計に対して、酸化タングステンの含有量を0.01~8mol%とする、請求項1に記載のVO2焼結体の製造方法。 - V2O5粉およびV2O3粉に加えて、さらに酸化クロムを混合して混合粉を調製し、かつ、
前記混合粉中、V2O5粉およびV2O3粉の合計に対して、酸化クロムの含有量を0.01~25mol%とする、請求項1に記載のVO2焼結体の製造方法。 - VO2焼結体のビッカース硬度(Hv)が300以上であり、相対密度が95%以上である、VO2焼結体スパッタリングターゲット。
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