JP2001032063A - 金属酸化物被膜の被覆方法 - Google Patents

金属酸化物被膜の被覆方法

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JP2001032063A
JP2001032063A JP20564099A JP20564099A JP2001032063A JP 2001032063 A JP2001032063 A JP 2001032063A JP 20564099 A JP20564099 A JP 20564099A JP 20564099 A JP20564099 A JP 20564099A JP 2001032063 A JP2001032063 A JP 2001032063A
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oxide
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sputtering
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Toshiaki Anzaki
利明 安崎
Etsuo Ogino
悦男 荻野
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】実質的に電気絶縁性である酸化錫の被膜は、そ
の錫金属をターゲットとし、それをアルゴンと酸素との
混合ガス雰囲気で反応的にスパッタリングする方法で被
覆されていたが、ターゲット表面がスパッタリングの進
行とともに酸化され、電気絶縁物質で覆われてくると、
異常放電の発生により安定して被膜を被覆できない課題
があった。 【解決手段】酸化錫の粒子を主成分とし、錫とはその金
属の価数と1だけ異なる価数のビスマスの酸化物(酸化
ビスマス)の粒子を副成分とする混合粉末を加圧成型し
て導電性の焼結体ターゲットを作製する。この導電性の
ターゲット(50Ω/□)を酸素を含むアルゴン雰囲気
で直流スパッタリングをすると、安定して持続するグロ
ー放電が得られ、酸化錫と酸化ビスマスの混合物からな
る電気絶縁性の酸化物被膜が得られた。この被膜の屈折
率は、酸化錫と実質的に同じで約2.0であった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体上に金属酸化
物の被膜をスパッタリング法により被覆する方法に関す
【0002】
【従来の技術】金属酸化物の被膜は、ガラス板表面に被
覆されて、熱線遮蔽膜、無反射多層膜、透明導電膜を構
成する高屈折率誘電体膜など種々の用途に用いられる。
なかでも、酸化錫や酸化ニオブや酸化チタニウムなどの
屈折率が高い金属酸化物は、化学的耐久性が優れている
上に、光学的な利用価値が高いので建築用や自動車用の
窓ガラスへの応用が試みられている。
【0003】これらの金属酸化物の薄膜をスパッタリン
法でガラス板に被覆する方法としては、金属酸化物を構
成する金属をスパッタリングターゲットとして、このタ
ーゲットをアルゴンと比較的多くの酸素を含む混合ガス
により反応的に直流スパッタリングする方法が知られて
いる。
【0004】また、特開平4−141577号公報によ
れば、酸化チタンの半導体薄膜を酸化チタンのセラミッ
クス焼結体ターゲットを用いて、場合によりターゲット
に酸化ニオブまたは酸化タンタルを不純物としてドープ
したものを高周波スパッタリングで被覆する方法が開示
されている。
【0005】さらに、特開平7−233469号公報に
は、主成分がTiOX(1<X<2)にニオブやタンタ
ルの酸化物を含有させた導電性の酸化物ターゲットを用
いて、高屈折率の薄膜を直流スパッタリングで被覆する
ことが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】金属のターゲットをア
ルゴンと酸素との混合ガスで直流スパッタリングする場
合、薄膜の成膜速度が一般にきわめて低く生産性が悪い
ので、被膜の被覆コストが高くなるという欠点がある。
また、スパッタリングをしている過程で、金属ターゲッ
ト表面上に電気絶縁性のその金属の酸化物で覆われるよ
うになり、これをターゲット表面の導電性が低下して、
安定して直流グロー放電が持続できないという課題があ
った。
【0007】特開平4−141577号公報に開示され
ている酸化チタンの半導体薄膜の被覆方法では、酸化チ
タンのセラミックス焼結体ターゲットを用いる、あるい
は場合により酸化チタンに酸化ニオブまたは酸化タンタ
ルを不純物としてドープしたターゲットを用いるが、ス
パッタリングを高周波で行う方法を採用している。高周
波スパッタリングは、電気絶縁性のターゲットをスパッ
タリングするのに好都合であるが、とりわけ大きな面積
の基板上に被膜の被覆を高速に被覆する場合、異常放電
が生じやすく、このため被膜にピンオールなどの欠点を
発生することなく金属酸化物の被膜を被覆するのは困難
であるという課題がある。
【0008】特開平7−233469号公報には、主成
分がTiOX(1<X<2)にニオブやタンタルの酸化
物を含有させた導電性のターゲットを用いて、高屈折率
の薄膜を直流スパッタリングで被覆することが開示され
ている。しかしながら、この方法によれば、ターゲット
の主成分を上記化学式で示される酸素欠損を有する酸化
チタンで構成するため、アルゴンと酸素の混合ガスで酸
化反応的にスパッタリングをして化学両論的組成にまで
酸化された光学的に吸収のない酸化チタン(TiO2
の被膜を再現性よく被覆することが困難であるという課
題がある。
【0009】本発明は、上記の課題を解決することを目
的とし、金属酸化物の被膜を、その金属酸化物ターゲッ
トから安定してスパッタリングにより被覆する方法を提
供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決するためになされたものであり、基体に金属酸化物を
スパッタリング法により被覆する方法において、スパッ
タリングターゲットとして、第1の絶縁性金属酸化物の
粒子を主成分とし、前記第1の絶縁性金属酸化物の金属
の価数と1だけ異なる価数の金属の酸化物で構成した第
2の絶縁性金属酸化物の粒子を副成分とする混合物を加
圧成型して得られる導電性の焼結体を用い、前記焼結体
に負の直流電圧を印加してスパッタリングすることを特
徴とする金属酸化物被膜の被覆方法である。
【0010】本発明において、第1の絶縁性金属酸化物
を構成する金属元素と第2の絶縁性金属酸化物を構成す
る金属元素との関係は、元素周期表の縦方向の族の位置
で、第2の金属酸化物の金属元素は、第1の金属酸化物
の金属元素の右隣りに位置する関係にある。
【0011】したがって、第1の絶縁性金属酸化物を構
成する金属に比較して、第2の絶縁性金属酸化物を構成
する金属元素は、その電子の軌道が内部側の殻に所属す
る電子の軌道の形態がほぼ同じであるが、外殻軌道の電
子が1つだけ多いか少ないという関係にある。第2の金
属酸化物が第1の金属酸化物に添加されることで、第1
の金属酸化物の結晶格子の構造を大きく崩すことなく、
添加された一分子の金属酸化物の近傍で局所的に自由電
子または正孔が1個追加されるようになる。
【0012】本発明においては、第1の金属酸化物の結
晶格子の構造が大きく乱れていないことが好ましく、そ
の場合第2の金属酸化物の添加により生じた自由電子
は、エネルギー的にその点を離れやすくまた移動しやす
い電子となる。すなわち電荷キャリア自由電子となっ
て、第1の金属酸化物を主成分とするターゲットに導電
性を付与するようになる。
【0013】本発明は、このような実質的に電気的絶縁
性である金属酸化物への導電性の付与を、金属酸化物の
焼結スパッタリングターゲットに応用することを着想し
てなされたものであり、導電性の金属酸化物のターゲッ
トを用いて直流スパッタリングにより、実質的に電気絶
縁性の金属酸化物の被膜を安定的に持続するグロー放電
のもとで被覆する方法を発明するに至ったものである。
【0014】本発明においては、第1の金属酸化物を、
第4A族のチタニウム、ジルコニウムおよびハフニウム
からなる群のいずれか一つの金属の金属酸化物とし、第
2の金属酸化物を構成する金属を第5族Aのバナジウ
ム、モリブデン、タンタルのいずれか一つの金属から選
択したものが好ましい。上記の第4A族の金属の金属酸
化物を主成分としたターゲットをスパッタリング法によ
り被覆した金属酸化物の膜は、可視域で2.0あるいは
それ以上の高屈折率の透明金属酸化物の被膜とすること
ができるので、熱線反射膜や無反射膜や干渉フィルター
などの多層膜を構成する高屈折率酸化物として有用であ
る。
【0015】第1の金属酸化物と第2の金属酸化物との
好ましい組み合わせとしては、酸化ジルコニウム(Zr
2)と酸化ニオブ(Nb25)、酸化チタニウムと酸
化バナジウム(V25)、酸化チタニウムと酸化ニオブ
が例示できる。
【0016】なかでも得られる金属酸化物が、高屈折率
であり、かつ、化学的耐久性が優れている点で、酸化ジ
ルコニウム(ZrO2)と酸化ニオブ(Nb25)の組
み合わせおよび酸化チタニウム(TiO2)と酸化ニオ
ブ(Nb25)の組み合わせがよい。
【0017】また、本発明においては、第1の金属酸化
物を、第5A族のバナジウム、モリブデン、タンタルの
群から選ばれたいずれか一つの金属の金属酸化物とし、
第2の金属酸化物を構成する金属を第6族Aのクロム、
モリブデン、タングステンの群から選ばれたいずれか一
つの金属の金属酸化物とするのが好ましい。
【0018】第1の金属酸化物と第2の金属酸化物との
好ましい組み合わせとしては、酸化ニオブ(Nb25
と酸化モリブデン(MoO3)、酸化タンタル(Ta2
5)と酸化モリブデン、酸化タンタルと酸化タングステ
ン、酸化バナジウム(V25)と酸化クロム(Cr
23)、酸化バナジウムと酸化モリブデンが例示でき
る。上記の第5A族の金属の金属酸化物を主成分とする
ターゲットを用いてスパッタリング法により被覆した金
属酸化物の膜は、可視域で2.0あるいはそれ以上の高
屈折率の透明金属酸化物の被膜とすることができるので
有用である。
【0019】なかでも得られる金属酸化物の膜が高屈折
率であり、かつ化学的耐久性が優れている点で、第1の
金属酸化物として酸化ニオブ(Nb25)、第2の金属
酸化物として酸化モリブデン(MoO3)とするのが好
ましい。
【0020】さらに、本発明においては、第1の金属酸
化物を第4B族の錫の金属酸化物(SnO2)とし、第
2の金属酸化物を第5B族のビスマスの酸化物(Bi2
3)から選択するのが好ましい。
【0021】上記の第1の金属酸化物として酸化錫を主
成分とするターゲットを用いてスパッタリング法により
被覆した金属酸化物の膜は、可視域で2.0あるいはそ
れ以上の高屈折率の透明金属酸化物の膜を被膜すること
ができるので、上記と同様の理由で有用である。
【0022】本発明においては、スパッタリングターゲ
ットの表面の導電性を表面抵抗で表して5KΩ/□以下
とするのが好ましい。5KΩ/□を超えると、直流スパ
ッタリングをするとき、ターゲット表面に電荷が溜まり
やすくなり、被膜形成に必須のグロー放電が継続的安定
的に生起しなくなるからである。
【0023】第2の金属酸化物の添加量は、1〜40重
量%とするのが好ましい。1重量%未満では、ターゲッ
トの表面の導電性を直流スパッタリングを安定して行う
のに十分な導電性を確保するのが困難になるからであ
る。40重量%を超えて添加しても導電性をよくするこ
とができないからである。20重量%以下好ましくは1
0重量%以下に添加するのが、主成分の金属酸化物の屈
折率に近い屈折率を有する点でよい。
【0024】ターゲットの表面抵抗は、上記のグロー放
電の安定性を確保する点で導電性をできるだけ大きくす
ること(表面抵抗を小さくすること)が好ましい。それ
には、第1の金属酸化物について、結晶構造的に酸素欠
損を発生させることにより行うことができるが、この場
合、酸素欠損を積極的に生成させた第1の金属酸化物を
ターゲットに用いることは、可視域で光吸収が実質的に
ない透明な金属酸化物を被覆するのに、スパッタリング
ガス中の酸素を多く必要とするので好ましくない。
【0025】本発明において用いられる第1の金属酸化
物は、金属と酸素とは実質的に化学両論的組成を有し、
第2の金属酸化物が添加されないと実質的に電気的に絶
縁性である。そして、本発明に用いられるターゲット
は、第2の金属酸化物が添加されその一部の金属が結晶
構造に取り込まれることによって、ターゲットの導電性
が添加されない場合に比べて、スパッタリングをすると
きのグロー放電を安定的に維持できる。
【0026】本発明にかかるスパッタリング法は、ター
ゲットの背面のカソード内に強力な磁石を設置し、この
磁場によりターゲット表面のプラズマを束縛してスパッ
タリングする公知のマグネトロンスパッタリング法を用
いることができる。
【0027】また、1対のスパッタリングカソードを設
置し、カソードの一方が負極、他方が正極となるように
電圧を印加し、この印加電圧の極性を数10KHzの比
較的低い周波数で反転させて、カソードの表面に貼りつ
けられたターゲットの表面を除電しながら行うスパッタ
リング法(DM法またはDMS法と略称されることがあ
る)を用いることができる。
【0028】本発明のターゲットは、たとえば次のよう
にして作製される。第1の金属酸化物と第2の金属酸化
物の粒径を、それぞれ0.01〜50μm程度に調整す
る。第1の金属酸化物に対して1〜40重量%の第2の
金属酸化物を混合して、3トン/cm2で加圧する冷間
水圧成型により所定形状に成型する。この成型品を約4
00〜500℃で脱脂を行い、その後酸素雰囲気中で1
300〜1500℃で4〜6時間予備焼成を行い、さら
にアルゴンと酸素を含む雰囲気ガス中で1350〜14
50℃で約100MPaの圧力で熱間等方プレスを行う
ことにより得られる。また、第2の金属酸化物に代えて
金属の微粉を用いてターゲットを作製しても良い。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例と比較例に
より詳しく説明する。図1は本発明により得られた金属
酸化物被覆基体の一実施例の断面図である。金属酸化物
被覆基体1は、ガラス板2の上に屈折率が高い金属酸化
物被膜3が被覆されている。
【0030】実施例1 酸化錫の微粒子96重量%と酸化ビスマスの微粒子4重
量%をよく混合し、混合粉末に、1重量%の有機物のバ
インダーを配合して振動ミルで2時間混合した。この混
合物を水で練って造粒した後、3トン/cm2の圧力で冷
間静水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂操作を
行い、その後酸素雰囲気中1400℃で5時間の予備焼
結をした。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガス
に若干の酸素ガスを混入した雰囲気中1350℃、10
0MPaで熱間等方圧加熱プレス処理をした。得られた
酸化錫と酸化ビスマス混合物焼結体ターゲットは、アル
キメデス法による密度測定で相対密度は95%以上であ
った。このターゲットの表面抵抗を4端子法で測定した
ところ、約50Ω/□の値をもつことがわかった。
【0031】このターゲットを直流(DC)マグネトロ
ンカソードに設置し、アルゴン(Ar)98流量%、酸
素2流量%、ガス圧3mTorrの条件により、酸化錫
主成分の被膜を大きさが30cm角のガラス板上に被覆
した。
【0032】得られた被膜は可視域で透明で光吸収のな
い被膜であった。この被膜にはディスプレイ用途などで
問題となるような小さなピンホールや異物の含有は見ら
れなかった。被膜の屈折率を測定したところ、500n
mにおいて2.0と高い屈折率であった。
【0033】実施例2 酸化ニオブ微粒子に、そのニオブ元素に対し5原子%の
モリブデン金属粉末を混合し、さらに1重量%の有機物
のバインダーを配合して振動ミルで2時間混合した。こ
れを水で練って造粒した後、4トン/cm2の圧力で冷間
静水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂を行い、
その後酸素雰囲気中で1300℃、5時間で予備焼結し
た。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガスに若干
の酸素ガスを含んだ雰囲気中1250℃、100MPa
で熱間等方圧加熱プレス処理をした。得られた酸化ニオ
ブと酸化モリブデンの混合物の焼結体ターゲットは、ア
ルキメデス法による密度測定で相対密度は94%以上で
あった。このターゲットの表面抵抗を4端子法で測定し
たところ、約150Ω/□の値をもつことがわかった。
【0034】このターゲットを直流マグネトロンカソー
ドに設置し、アルゴン99流量%、酸素1流量%、ガス
圧3mTorrの条件により実施例1と同じようにガラ
ス板上に被膜を被覆した。実施例1と同様グロー放電は
容易に生起させることができ、また被膜の被覆中の放電
は安定して持続することができた。
【0035】かくして透明で光吸収のない酸化ニオブと
酸化モリブデンの混合した膜が得られた。この被膜には
ディスプレイ用途などで問題となるような小さなピンホ
ールや異物の欠点は見られなかった。被膜の屈折率を測
定したところ、500nmにおいて2.1と高い屈折率
であった。
【0036】実施例3 酸化ジルコニウム微粉末99重量%と酸化ニオブ微粉末
4重量%をよく混合し、さらに2重量%のバインダーを
配合して振動ミルで2時間混合した。これをよく撹はん
混合し、水で造粒した後3.5トン/cm2の圧力で冷間
静水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂を行い、
その後酸素雰囲気中1400℃、5時間の予備焼結をし
た。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガスに若干
の酸素ガスを含む雰囲気中1350℃、50MPaで熱
間等方圧加熱プレス処理をした。得られた酸化ジルコニ
ウムと酸化ニオブの混合焼結体ターゲットは、アルキメ
デス法による密度測定で相対密度は96%以上であっ
た。この焼結ターゲットの表面抵抗を4端子法で測定し
たところ、約200Ω/□の値をもつことがわかった。
【0037】これを直流マグネトロンカソードに設置
し、アルゴン97流量%、酸素3流量%、ガス圧2mT
orrの条件によりガラス板上に被膜を被覆したとこ
ろ、透明で光吸収のない酸化ジルコニウムと酸化ニオブ
が混合した被膜が得られた。この被膜はディスプレイ用
途などで問題となるような小さなピンホールや異物の欠
点は見られなかった。被膜の屈折率を測定したところ、
500nmにおいて2.2と高い屈折率であった。
【0038】実施例4 酸化チタニウム微粉末96重量%と酸化ニオブ微粉末4
重量%をよく混合し、さらに2重量%の有機バインダー
を配合して振動ミルで2時間混合した。これをよく撹は
ん混合し、水で造粒した後3.5トン/cm2の圧力で冷
間静水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂を行
い、その後酸素雰囲気中で1400℃、5時間で予備焼
結した。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガスに
若干の酸素ガスを含む雰囲気中1350℃、50MPa
で熱間等方圧加熱プレス処理をした。得られた酸化チタ
ニウムと酸化ニオブの混合物からなる焼結体ターゲット
は、アルキメデス法による密度測定で相対密度は96%
以上であった。この焼結体ターゲットの表面抵抗を4端
子法で測定したところ、約200Ω/□の値をもつこと
がわかった。
【0039】これを直流マグネトロンカソードに設置
し、アルゴン97流量%、酸素3流量%、ガス圧2mT
orrの条件によりガラス板上に被覆したところ、透明
で光吸収のない酸化チタニウムと酸化ニオブの混合した
膜が得られた。この被膜には、小さなピンホールや異物
の欠点は見られなかった。被膜の屈折率を測定したとこ
ろ、500nmにおいて2.4と高い屈折率であった。
またこの被膜の光触媒活性を調べたところ、トリオレイ
ン酸分解試験で良好な結果を得た。
【0040】比較例1 酸化錫微粉末に、1重量%の有機バインダーを配合して
振動ミルで2時間混合した。これを良く撹はん混合し、
水を用いて造粒した後、3トン/cm2の圧力で冷間静
水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂を行い、そ
の後酸素雰囲気中1400℃で5時間予備焼結した。さ
らに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガスに若干の酸素
ガスを混入した雰囲気中1350℃、100MPaで熱
間等方圧加熱オウレス処理をした。得られた酸化錫焼結
体ターゲットは、アルキメデス法による密度測定で相対
密度は95%以上であった。しかし、このターゲットの
表面抵抗を4端子法で測定したところ、10KΩ/□以
上の高い値を持つことがわかった。
【0041】このターゲットを直流マグネトロンカソー
ドに設置し、アルゴン98流量%、酸素2流量%、ガス
圧3mTorrの条件により酸化錫の被膜をガラス板上
に被覆しょうとしたが、ターゲットのスパッタリングに
必要なグロー放電を持続させて生起することができず、
酸化錫の被膜の被覆ができなかった。
【0042】比較例2 酸化ニオブ微粉末に1重量%の有機のバインダーを配合
して、振動ミルで2時間混合した。これを良く撹はん混
合し水を用いて造粒した後、4トン/cm2の圧力で冷
間静水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂を行
い、その後酸素雰囲気中で1300℃、5時間の予備焼
結をした。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガス
に若干の酸素ガスを含む雰囲気中1250℃、100M
Paで熱間等方圧加熱オウレス処理をした。得られた酸
化ニオブ焼結体ターゲットは、アルキメデス法による密
度測定で相対密度は94%以上であった。しかしこのタ
ーゲットの表面抵抗を4端子法で測定したところ、10
KΩ/□以上の高い値を持つことがわかった。このター
ゲットを直流マグネトロンカソードに設置し、アルゴン
99流量%、酸素1流量%、ガス圧3mTorrの条件
により被膜をガラス板上に被覆しようとしたところ、タ
ーゲットのスパッタリングに必要なグロー放電を持続さ
せて生起することができず、酸化ニオブの被膜を被覆す
ることができなかった。
【0043】比較例3 酸化ジルコニウム微粉末に1重量%の有機のバインダー
を配合して、振動ミルで2時間混合した。これを良く撹
はん混合し水を用いて造粒した後、4トン/cm2の圧
力で冷間静水圧成型した。この成型品を400℃で脱脂
を行い、その後酸素雰囲気中で1300℃、5時間の予
備焼結をした。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性
ガスに若干の酸素ガスを含む雰囲気中1250℃、10
0MPaで熱間等方圧加熱プレス処理をした。得られた
酸化ニオブ焼結体ターゲットは、アルキメデス法による
密度測定で相対密度は94%以上であった。このターゲ
ットの表面抵抗を4端子法で測定したところ、10KΩ
/□以上の高い値を持つことがわかった。
【0044】このターゲットを直流マグネトロンカソー
ドに設置し、アルゴン99流量%、酸素1流量%、ガス
圧3mTorrの条件により被膜をガラス板上に被覆し
ようとしたところ、ターゲットのスパッタリングに必要
なグロー放電を持続させて生起することができず、酸化
ジルコニウムの被膜を被覆することができなかった。
【0045】比較例4 酸化チタニウム微粉末に1重量%の有機のバインダーを
配合して、振動ミルで2時間混合した。これを良く撹は
ん混合し水を用いて造粒した後、4トン/cm 2の圧力
で冷間静水圧成形した。この成形品を400℃で脱脂を
行い、その後酸素雰囲気中1300℃、5時間の予備焼
結をした。さらに坩堝型に封入してアルゴン不活性ガス
に若干の酸素ガスを含む雰囲気中1250℃、100M
Paで熱間等方圧加熱プレス処理をした。得られた酸化
チタニウム焼結体ターゲットは、アルキメデス法による
密度測定で相対密度は94%以上であった。このターゲ
ットの表面抵抗を4端子法で測定したところ、10KΩ
/□以上の高い値を持つことがわかった。このターゲッ
トを直流マグネトロンカソードに設置し、アルゴン99
流量%、酸素1流量%、ガス圧3mTorrの条件によ
り被膜をガラス板上に被覆しようとしたところ、ターゲ
ットのスパッタリングに必要なグロー放電を持続させて
生起することができず、酸化チタニウムの被膜を被覆す
ることができなかった。
【0046】以上の実施例と比較例で示したように、電
気的に絶縁性である酸化錫、酸化ニオブ、酸化ジルコニ
ウム、酸化チタニウム主成分の被膜を、それらの金属酸
化物の粒子に少量の第2の金属酸化物の粒子を添加する
ことにより導電性(通電可能な状態)にした焼結ターゲ
ットを作製し、そのターゲットの直流スパッタリングに
より安定して得られることが分かった。得られた金属酸
化物膜の屈折率は、いずれも約2.0あるいはそれ以上
であり、高屈折率の金属酸化物が得られることが分かっ
た。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、スパッタリングターゲ
ットとして、第1の絶縁性金属酸化物の粒子を主成分と
し、第1の絶縁性金属酸化物の金属の価数と1だけ異な
る価数の金属の酸化物の第2の金属酸化物の粒子を副成
分とする混合物を加圧成型して得られる導電性の焼結体
を用い、そのターゲットを直流スパッタリングするの
で、第1の電気絶縁性の金属酸化物膜を含む高屈折率の
膜を安定したグロー放電により被覆することができる。
【0048】さらに、本発明によればスパッタリングを
するに際し、金属酸化物をターゲットにしているので、
スパッタリングをする雰囲気には多量の酸素ガスを用い
ることなく、透明な金属酸化物の被膜を得ることができ
る。これによりスパッタリングが長時間継続してもター
ゲット表面が電気絶縁性になりにくく、安定して金属酸
化物の被覆を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる金属酸化物が被覆された
基体の一実施例の断面図である。
【符号の説明】
1:金属酸化物被覆基体 2:基体 3:金属酸化物被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 AA09 AA24 BA11 BA15 BA17 BA43 BA47 BA48 BC08 CA05 DC05 DC34 5F103 AA08 BB22 DD27 DD30 HH04 LL20 RR04 RR06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体に金属酸化物をスパッタリング法によ
    り被覆する方法において、スパッタリングターゲットと
    して、第1の絶縁性金属酸化物の粒子を主成分とし、前
    記第1の絶縁性金属酸化物の金属の価数と1だけ異なる
    価数の金属の酸化物で構成した第2の絶縁性金属酸化物
    の粒子を副成分とする混合物を加圧成型して得られる導
    電性の焼結体を用い、前記焼結体に負の直流電圧を印加
    してスパッタリングすることを特徴とする金属酸化物被
    膜の被覆方法。
  2. 【請求項2】前記スパッタリングターゲットの表面の導
    電性が5KΩ/□以下としたことを特徴とする請求項1
    に記載の金属酸化物被膜の被覆方法。
  3. 【請求項3】前記第1の絶縁性金属酸化物を酸化錫と
    し、前記第2の絶縁性金属酸化物を酸化ビスマスとした
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸化物
    被膜の被覆方法。
  4. 【請求項4】前記第1の絶縁性金属酸化物を酸化ニオブ
    とし、前記第2の絶縁性金属酸化物を酸化モリブデンと
    したことを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸
    化物被膜の被覆方法。
  5. 【請求項5】前記第1の絶縁性金属酸化物を酸化ジルコ
    ニウムとし、前記第2の絶縁性金属酸化物を酸化ニオブ
    としたことを特徴とする請求項1または2に記載の金属
    酸化物被膜の被覆方法。
  6. 【請求項6】前記第1の絶縁性金属酸化物を酸化チタニ
    ウムとし、前記第2の絶縁性金属酸化物を酸化ニオブと
    したことを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸
    化物被膜の被覆方法。
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WO2007142043A1 (ja) * 2006-06-06 2007-12-13 Asahi Glass Company, Limited 透明導電膜およびその製造方法、ならびにその製造に使用されるスパッタリングターゲット
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