JP4711619B2 - 導電性酸化チタン焼結体、スパッタリングターゲット、透光性部材、および画像表示装置 - Google Patents

導電性酸化チタン焼結体、スパッタリングターゲット、透光性部材、および画像表示装置 Download PDF

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本発明は導電性酸化チタン焼結体およびそれを用いたスパッタリングターゲットとそれをもちいて製膜する反射防止膜とそれを形成させた透光性部材およびそれを用いた画像表示装置に関するものである。
近年、液晶ディスプレーなど新型画像表示装置の増産体制の要求により、迅速な薄膜の
製膜スピードを有するスパッタリングターゲットに導電性酸化チタン焼結体が用いられるようになってきた。スパッタリングターゲットとは、薄膜を形成するためのスパッタ装置で利用する部材のことをいい、スパッタリングターゲットの材質がそのまま薄膜の材質となる。
この薄膜は、基板表面に作製され種々の用途に利用されており、この中でも酸化チタンの薄膜は、反射防止膜等に利用されている。特に、ガラスや透明な樹脂に反射防止膜を形成した透光性部材は、液晶モジュールなど幅広い分野で利用されている。
ここで、導電性酸化チタン焼結体の製造方法としては、二酸化チタン粉末を非酸化雰囲気で焼成し酸素欠陥を発生させることにより導電性を得る方法が知られている(特許文献1参照)。
また、二酸化チタンにドーパントとして酸化インジウム、酸化亜鉛などを添加し焼成する方法が考案されている(特許文献2参照)。
さらに、別の導電性酸化チタン焼結体の製造方法として、酸化チタンに酸化ニオブを添加し焼成することによって導電性を得る方法が考案されている(特許文献3参照)。
特開平7−233469号公報 特開2003−73820号公報 特開2001−58871号公報
しかしながら、特許文献1で提案された方法で得られる導電性焼結体をスパッタリングターゲットとして用いる場合には、酸素存在下での使用においてスパッタリングターゲット表面が酸化され、スパッタリングレートが低下するために安定した製膜条件を得ることが困難になる課題があった。さらに、大型の基板に製膜する際は、スパッタリング装置に導入する酸素の濃度分布により、製膜した薄膜に色むらが生じるなどの課題があった。これはスパッタリングターゲットを還元焼成により製造している以上避けられない課題であり、製膜条件の最適化やスパッタリング装置での工夫が必要となる。
また、特許文献2で提案される導電性酸化チタン焼結体に用いられるドーパントは、可視光での屈折率が酸化チタン薄膜よりも低いため、直流でスパッタリング可能なターゲットであったとしても、酸化チタンにドーパントを含めた薄膜の該屈折率は、酸化チタン単体のものよりも著しく低くなってしまう課題があった。さらに、一般にスパッタリングで酸化チタンの薄膜を製膜する目的は主に反射防止膜である。反射防止膜は、一般にシリカ薄膜と酸化チタン薄膜を積層して作製する。この際に上記酸化チタン部分の該屈折率が低くなると積層回数が増加してしまい製造コストの増加につながってしまう課題があった。
それらに対して、特許文献3で提案されている導電性酸化チタン焼結体の製造方法は、酸化雰囲気で焼成する手法を取っており、導電性酸化チタン焼結体表面の酸化によるスパッタレートの低下や大型基板への製膜時に色むらがないという点で優れている。しかし、スパッタレートをさらに上げるためにはスパッタリングターゲットの抵抗をより小さくする工夫が必要である。
上記の諸問題を鑑みて本発明の導電性酸化チタン焼結体は、酸化チタンを主成分とし、酸化ニオブまたは酸化タンタルから選ばれる少なくとも一種類を第1添加物として含み、さらに酸化錫を第2添加物として含む導電性酸化チタン焼結体であって、前記酸化チタンと前記第1添加物とを含む結晶を有し、前記第1添加物はドーパントとして作用し、前記
結晶の粒界に前記第2添加物が存在することを特徴とするものである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体は、線抵抗値で10Ω未満であることを特徴とするものである。
また、本発明のスパッタリングターゲットは上記の導電性酸化チタン焼結体を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の透光性部材は樹脂、ガラス、単結晶、もしくはセラミックスからなる基体に上記スパッタリングターゲットを用いて反射防止膜を製膜したことを特徴とするものである。ここでいう透光性とは可視光を透過する事の可能な特性をいう。
また、本発明の画像表示装置は上記透光性部材を用いた事を特徴とするものである。
本発明の導電性酸化チタン焼結体は、酸化チタンを主成分とし、酸化ニオブまたは酸化タンタルから選ばれる少なくとも一種類を第1添加物として含み、さらに酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも一種類を第2添加物として含む導電性酸化チタン焼結体であって、酸化チタンと第1添加物とを含む結晶を有し、第1添加物はドーパントとして作用し、結晶の粒界に第2添加物が存在することから線抵抗値を小さくすることができる。
また、導電性酸化チタン焼結体の線抵抗値は10Ω未満であるため、スパッタリングターゲットとして直流スパッタ装置での使用が可能であり、より低コストの製膜が可能となる。
さらに、本発明の導電性酸化チタン焼結体は主成分が二酸化酸化チタンから構成されているために、スパッタリング装置の運転中は特許文献1や金属チタンを用いたスパッタリングターゲットで見られるようなターゲット表面の酸化によるスパッタレートの低下が発生しない。
また、本発明のスパッタリングターゲットで製膜した反射防止膜は、色むらが発生しないためスパッタリング装置内の酸素濃度を制御するような特別な装置が必要ない。したがって、製品歩留まりの向上や製造設備コストの削減に大きく貢献できる。
また、本発明の反射防止膜を製膜した樹脂、ガラス、単結晶、もしくはセラミックスからなる透光性部材はドーパントとして酸化ニオブあるいは酸化タンタルを使用しているため薄膜の可視光での屈折率が高く、反射防止膜の膜厚を薄くできたり他材料との積層回数を減らしたりできるため、透光性を損なわないばかりか、工程削減などコスト削減に大きく貢献できる。
また、本発明の透光性部材を用いた画像表示装置は透光性にすぐれ色むらもないため、鮮明な画像を表示することができる。
本発明の導電性酸化チタン焼結体は、酸化チタンを主成分とし、酸化ニオブまたは酸化タンタルの少なくとも一種類をドーパントとして含み、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも一種類を含むことを特徴とする。
本発明の導電性酸化チタン焼結体は、ドーパント以外の上記添加物を含むことによりドーパントのみの添加と比較して線抵抗値を小さくできる。焼成温度がある一定以上になると酸化チタンとドーパントである酸化ニオブあるいは酸化タンタルの固溶体から、酸化ニオブあるいは酸化タンタルが遊離し、結晶粒界に偏析するため磁器自体の線抵抗値が大きくなる。酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウムは一般に導電性酸化物として知られておりこれらを結晶粒径に分散させることにより高抵抗となった粒界の抵抗を下げる働きがある。また、酸化アルミニウムは粒界に偏析した酸化ニオブあるいは酸化タンタルと固溶体を生成し抵抗は小さくする働きがある。
したがって、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化アルミニウムなどを含むことによって、広い温度領域で焼成しても小さい抵抗値を保つことができる。
また、ここでいうドーパントとは主成分に添加することで導電性を発現させる物質のことである。
さらに、本発明の導電性酸化チタン焼結体は、酸化チタンが92.0〜99.0重量%、酸化ニオブまたは酸化タンタルの少なくとも一種類を1.0〜5.0重量%、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化アルミニウムの少なくとも一種類を0.01〜3.0重量%含むことが好ましい。
高屈折率のドーパントを用いることで、ドーパント以外の低屈折率成分を添加しても、最終形態である酸化チタン薄膜の可視光での屈折率は著しく低下しない。ドーパント以外の添加物はドーパントよりも添加量が少ない方が、屈折率の低下は小さくなる。
ドーパント以外の添加物の量が増加するに伴い導電性酸化チタンの線抵抗は小さくなって行くが、3.0重量%付近で一定値に漸近する事からこれより少ない量が好ましい。
酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどをドーパントとしてもちいた場合、これらのドーパントは酸化チタンよりも屈折率が低いため、最終形態の酸化チタン薄膜を成形した際には薄膜の可視光での屈折率は酸化チタン単体のものよりも著しく低下する。
本発明の導電性酸化チタン焼結体の結晶粒径は10μm以下が好ましい。10μmを超えると線抵抗値が大きくなるためである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の結晶粒間距離は0.2μm以下が好ましい。
これより大きくなると粒界の抵抗が大きくなり、焼結体の線抵抗値が大きくなるからである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の気孔率は0.1%以下が好ましい。気孔率が0.1%を超えると焼結体内部と表面での線抵抗のばらつきが発生する。線抵抗値のばらつきはスパッタリング運転時のレート変動に大きく影響するために避けなければならない。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の焼結密度は4.2g/cm以上が好ましい。
これ未満になると、線抵抗値が大きくなるためである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の抗折強度は155MPa以上が好ましい。
これ未満になるとスパッタリング運転中に磁器の割れや、粉塵の発生につながるためである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の結晶構造はルチルであることが好ましい。スパッタリング運転中に結晶転移によるクラックを防止するためである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の製造時における粉砕最大粒径は5μm以下が
望ましい。これより大きい未粉砕粒子が残っている場合、酸化チタンとドーパントとの分散性が悪くなりノジュールの原因となる高抵抗の酸化チタンが部分的に発生するためである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の製造時における焼結温度は1200℃〜1600℃が好ましい。1200℃以下では好ましい焼結密度が得られず、1600℃以上ではドーパントの結晶粒界への偏析が促進され線抵抗値が大きくなってしまうからである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の製造時における焼成の昇温スピードは50℃/h以上が好ましい。昇温スピードの速い方が粒径を小さく制御できるためである。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の製造時における焼成の降温スピードは35℃/h以下が好ましい。これ以上になると異常結晶粒成長が起こり、密度の低下や線抵抗値の増大につながるためである。
また、本発明に用いる酸化チタンの結晶構造にはアナターゼ、ルチル、ブルッカイト等があげられるが、焼成時の結晶転位による焼結体のクラックや価格の面からルチルを主成分とするものを使用することが好ましい。また、平均粒径は10μm以上の粗粒を含むも
のから5μm以下の微粉のものがあげられるが、ドーパントとの分散性の問題や製造上の
問題等から2μm以下のものを使用することが好ましい。また、純度は99.5%以下の
低純度のものから99.99%以上の高純度のものがあげられる。最終形態の薄膜の状態では不純物の可視光吸収により光の透過性などが著しく低下するなどの問題が発生するために純度は99.9%以上のものを用いることが好ましい。
本発明では、酸化ニオブ及び酸化タンタルの含有量を1.0〜5.0重量%としたが、この範囲内で線抵抗値は極小値をとり、5.0重量%以上では導電性向上の効果は薄く、かえって抵抗値が大きくなってしまう。より好ましくは2.0〜3.0重量%である。
また、本発明に用いる酸化ニオブはNbO、NbO、Nb23、Nb25が挙げられるが、結晶の安定性、価格の面からNb25を使用することが好ましい。また、平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以
上のものを用いることが好ましい。
また、本発明に用いる酸化タンタルはTaO2、Ta23、Ta25が挙げられるが、
結晶の安定性、価格の面からTa25を使用することが好ましい。また、平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以上のも
のを用いることが好ましい。
添加物である酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化アルミニウムの少なくとも一種類の含有量を0.01〜3.0重量%としたが、0.01%以下ではドー
パントのみと比べて線抵抗の値にはほとんど差がなく、3.0重量%以上では最終形態である酸化チタン薄膜の可視光の屈折率が小さくなってしまう。より好ましくは1.0〜2
.0重量%である。
また、本発明に用いる酸化インジウムは平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以上のものを用いることが好ましい。
また、本発明に用いる酸化錫はSnO、SnOが挙げられるが、結晶の安定性、価格の面からSnOを使用することが好ましい。また、平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以上のものを用いることが好
ましい。
また、本発明に用いる酸化亜鉛は平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以上のものを用いることが好ましい。
また、本発明に用いる酸化ガリウムはGaO、Gaが挙げられるが、結晶の安定性、価格の面からGaを使用することが好ましい。また、平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以上のものを用い
ることが好ましい。
また、本発明に用いる酸化アルミニウムはα−Al、γ−Alが挙げられるが、結晶の安定性の面からα−Alを使用することが好ましい。平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も99.9%以上のも
のを用いることが好ましい。
また、本発明の導電性酸化チタン焼結体の線抵抗値は、10Ω以下であることが好ましく、10Ωより大きくなると、直流用スパッタリングターゲットとして用いた場合、運転開始時の印可電圧の上昇が起こり放電直後に磁器が破損したり、電流が流れにくいためにスパッタレートが著しく低下したりするためである。より好ましくは5Ω以下である。
本発明の導電性酸化チタン焼結体の形状は矩形の板状あるいは円盤状であり、大きさは多種多様であるが厚みは概ね10mm前後である。焼成後の磁器表面は炉内の不純物等で汚染されているなどの理由で内部と比べて抵抗が高い。最表面を研磨処理によって取り除くことでより線抵抗値の小さい導電性磁器を得ることができる。線抵抗値はこの研磨処理後の磁器表面を測定し得られたものである。尚、本発明の導電性酸化チタン焼結体の線抵抗は4端針法(JIS R1637)に従って測定した。
ここで、図1を用いて、本発明の導電性酸化チタン焼結体をスパッタリングターゲットとして利用する実施形態について説明する。真空チャンバー6内に対抗電極3(スパッタリングターゲット(陰極)3a、陽極3b)を配置し、気体吸引口1より真空チャンバー6内の気体を吸引して真空にした上で、対向電極3間に高電圧をかけながらガス導入口2より放電ガスを供給すると放電ガスはグロー放電を生じプラズマを生成する。生成したプラズマは、電場内で加速されスパッタリングターゲット(陰極)3aの表面に衝突する。そのエネルギーによりスパッタリングターゲット(陰極)3aの表面原子は真空中に放出され陽極3bの基体5上に堆積し薄膜を形成する。本発明の導電性酸化チタン焼結体をスパッタリングターゲット(陰極)3aに用いると、安定したスパッタレートが得られ、基板には可視光で高屈折率の酸化チタン薄膜を得ることができる。
通常、酸化チタン薄膜を形成するためには、スパッタリングターゲット(陰極)3aとして金属のチタンを用いることが主流となっている。この場合スパッタ対象物に酸化チタン薄膜を形成するには酸素を比較的多く投入する必要がある。そのため、スパッタレートが小さく、運転中に金属チタンの表面が酸化されスパッタレートの経時変化が起こり、スパッタレートが徐々に低下するという問題がある。しかし、本発明の導電性酸化チタン焼
結体をスパッタリングターゲットとして用いた場合は、既にターゲット内に酸素が含まれているため、少量の酸素の導入で十分であるばかりか、表面の酸化によるスパッタレートの低下はほとんど見られない。さらに、基体5などのスパッタ対象物付近での酸素濃度分布が小さいため色むらが発生しない。
ここで、本発明の導電性酸化チタン焼結体を用いることができるスパッタ装置は、直流電源を用いるもので、スパッタ効率を上げるためやその他の効果のために陰極に永久磁石あるいは電磁石をもちいる直流マグネトロンスパッタ装置も含む。
続いて、本発明の酸化チタン膜を用いた反射防止膜の実施形態について図2を用いて説明する。基体5にスパッタリング法により酸化チタン薄膜7とシリカ薄膜8を交互に積層させて反射防止膜を製膜する。基体5は一般に透光性を有するものであればよく、樹脂、ガラス、単結晶基板、セラミックス基板などが用いられる。ここで言う透光性とは波長が380nm〜760nmの可視光線を透過させる性質のことである。
本発明のスパッタリングターゲットで作製した反射防止膜4は色むらがないという特徴をもっている。上記の様に金属のチタンをスパッタリングターゲットとして用いた場合、酸化チタン膜を成形するためには多くの酸素を導入する必要がある。スパッタ装置の内部は真空に減圧されており、対流による酸素濃度の均一化は困難であるため酸素導入口からの距離により酸素の濃度分布が発生する。この濃度分布のために形成された薄膜の一部に非量論酸化物が生成する。この非量論酸化物は光の透過性が著しく低いために、肉眼で見ても灰色と分かるような色調の色むらが発生する。
さらに、本発明の反射防止膜を使った透光性部材に関して説明する。本発明の反射防止膜を製膜した透光性部材は、高屈折材料をドーパントに用いているため、膜厚を薄くできたり他材料との積層回数を減らしたりできるために透光性にすぐれている。ここで言う透光性部材とは透光性アルミナ、透光性YAGなどのセラミックス基板、サファイアなどの単結晶基板、液晶ディスプレーやプラズマディスプレーなどに用いる樹脂やガラス基板もしくはレンズや発光ダイオードの保護キャップなどといった基板以外の可視光線を透過させる部品全般を指す。特に最近の液晶ディスプレーやプラズマディスプレーの開発はめざましく、大型の製品が次々と開発されている。透光性は輝度に関わってくる重要な特性であるため、スパッタリング時の色むらは大型基板に製膜する際にはより顕著に見られることから、大画面ディスプレー対応の製造装置の簡略化、歩留まり向上などに貢献できる。
次に図3を用いて、本発明の透光性部材を用いた画像表示装置の実施形態に関して説明する。図3は、透過型液晶画像装置の断面概略図を示している。透光性部材9で全体を挟み込むような構造をしている。透明電極10は液晶ディスプレーを駆動させるための電極である。配向膜11は液晶の分子を一定方向に並べる働きをする。液晶充填部12は配向膜11に挟まれた格好になっており、スペーサーと呼ばれる均一な隙間を確保するための部品と液晶によって構成されている。カラーフィルター13はRGBのフィルターをかけて
色を表示する。バックライト14はディスプレーの背後から光を照射し、画面を明るくする。本発明の透光性部材をもちいると、外部光のディスプレーへの映り込みを減少させるばかりでなく、バックライト14からの光を無駄なく透過させることができるため鮮明な画像を表示することができる。
に、本発明の導電性酸化チタン焼結体およびスパッタリングターゲットの製造方法について説明する。導電性酸化チタン焼結体は、酸化チタンからなる出発物質をドーピング材、その他の添加物、水などの溶媒とを混合しミルによって粉砕する行程と、粒径を調整したスラリーをバインダーと共に混合しスプレードライヤーで乾燥・造粒する工程と、乾燥した造粒粉末を一軸加圧成形やアイソスタチックプレスといった手法を用いて成型す
る工程と、成形体を酸化雰囲気で焼成する工程と、焼成後の磁器を表面研磨し寸法を調整する工程を経て製造される。粉砕行程でのメディアの摩耗による不純物の増加を防ぐためにも、一次原料の粒径は2μm以下のものが望ましい。ミルの種類、メディアの種類など
は不純物の混入を防ぐために慎重に選ばなくてはならない。
スパッタリングターゲットはさらにこの導電性酸化チタン焼結体をバッキングプレートと呼ばれる金属部材に蝋材を用いて接合する事によって製造される。導電性酸化チタン焼結体とバッキングプレートの間に空間ができると導電性が低下し、スパッタレートに悪影響を与えるため慎重に接合しなくてはならない。
まず、酸化チタンと酸化ニオブ、酸化タンタルのみで作製した導電性酸化チタン焼結体の線抵抗値及び得られた酸化チタン薄膜の屈折率を評価した。
まず、酸化チタン、酸化ニオブ(Nb)、及び酸化タンタル(Ta)を準備し、表1の資料番号1〜13に示す組成になるように調合した。ついで、溶媒とともにボールミルを用いた湿式で混合および粉砕を行い、粒径を調整した後にさらに有機系のバインダーを添加しスラリーを作製した。得られたスラリーは、噴霧乾燥により乾燥させ成形体用の顆粒を作製した。さらに、その顆粒を一軸加圧成型により基板形状の成型体を作製し、それを酸素存在下で焼成した。その後、得られた焼結体を研磨機により表面研磨することにより導電性酸化チタン焼結体を得た。線抵抗値はこのようにして得られた導電性酸化チタン焼結体の表面を測定する事により得た。
さらに、上記で得られた導電性酸化チタン焼結体をバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットとした。これらのスパッタリングターゲットを用いて直流スパッタ法にてガラス基板表面に酸化チタン薄膜を製膜した。スパッタ条件は電力1000W、圧力0.3Pa、酸素濃度3%とした。試料番号1のドーパントを含まない酸化チ
タンターゲットは導電性が無いため、RFスパッタ法にてガラス基板表面に酸化チタン薄膜を製膜した。このようにして得られた酸化チタン薄膜の屈折率はエリプソメーターにて測定した。測定値は波長550nmの屈折率をもちいた。
このようにして得られた、導電性酸化チタン焼結体の評価結果を表1及び図4に示す。
ドーパントを酸化ニオブ、酸化タンタルのどちらにした場合も線抵抗は添加量2.5重量%付近で最小値を示しており、さらに、ドーパントの添加量が2.0〜3.0重量%の間は線抵抗値が小さく安定している。
ついで、酸化チタンに酸化ニオブ、酸化タンタルをドーパントとして加えさらに添加物を加えて作製した導電性酸化チタン焼結体の線抵抗値及び屈折率を評価した。作製した試料は試料番号14〜38である。
ドーパント以外の添加物はIn、SnO、ZnO、Ga,Alで、添加量はそれぞれ概ね0.01重量%、0.5重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%とした。得られた結果を、図5、図6及び表1に示す。なお、5、図6及び表1において、添加物としてIn 、ZnO、Ga ,Al を用いた場合の結果は、参考例である。
図5より、線抵抗値は添加物を増加させるに伴い小さくなっていくことが分かる。また、2.0〜3.0重量%付近で収束しており、この付近の添加量が最適と考えられる。
また、図6より屈折率は、添加量が増えるごとに低下する傾向にあるが、極端な低下はない。
つまり、試料番号14〜38と試料番号1〜13までを比較すると、線抵抗値がもっとも小さくなるドーパント量2.5重量%付近で、ドーパント以外の添加物In、SnO、ZnO、Ga,Al を0.01〜3.0重量%内で加えることにより導電性酸化チタン焼結体の線抵抗値はさらに低くなり、ガラス基板上に得られた酸化チタン薄膜の屈折率は極端な低下が見られない。
Figure 0004711619

本発明に係る導電性酸化チタン焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いた直流電源スパッタ装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る透光性部材の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る画像表示装置の実施形態を示す断面図である。 比較例の線抵抗を示すグラフである。 本発明実施例の線抵抗を示すグラフである。 本発明実施例の屈折率を示すグラフである。
1:気体吸引口 2:ガス導入口 3a:スパッタリングターゲット(陰極) 3b:陽極 4:反射防止膜 5:基体 6:真空チャンバー 7:酸化チタン薄膜 8:シリカ薄膜 9:透光性部材 10:透明電極 11:配向膜 12:液晶充填部 13:カラーフィルター 14:バックライト(光源)

Claims (5)

  1. 酸化チタンを主成分とし、酸化ニオブまたは酸化タンタルから選ばれる少なくとも一種類を第1添加物として含み、さらに酸化錫を第2添加物として含む導電性酸化チタン焼結体であって、前記酸化チタンと前記第1添加物とを含む結晶を有し、前記第1添加物はドーパントとして作用し、前記結晶の粒界に前記第2添加物が存在することを特徴とする導電性酸化チタン焼結体。
  2. 線抵抗値が10Ω未満であることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化チタン焼結体。
  3. 請求項1又は請求項に記載の導電性酸化チタン焼結体を用いたことを特徴とするスパッタリングターゲット。
  4. 請求項3に記載のスパッタリングターゲットを用いて製膜した酸化チタン薄膜を樹脂、ガラス、単結晶、もしくはセラミックスの基体に積層させてなる透光性部材。
  5. 請求項に記載の透光性部材を用いたことを特徴とする画像表示装置。
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