JPH08283935A - ターゲットおよび該ターゲットによる高屈折率膜の製造方法 - Google Patents
ターゲットおよび該ターゲットによる高屈折率膜の製造方法Info
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- JPH08283935A JPH08283935A JP8716095A JP8716095A JPH08283935A JP H08283935 A JPH08283935 A JP H08283935A JP 8716095 A JP8716095 A JP 8716095A JP 8716095 A JP8716095 A JP 8716095A JP H08283935 A JPH08283935 A JP H08283935A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】化学式MOx で表される金属酸化物からなるス
パッタリングターゲットにおいて、MOx は化学量論的
組成より酸素が不足している金属酸化物であって、Mは
Nb、Ta、Mo、W、ZrおよびHfからなる群から
選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする
スパッタリングターゲット。 【効果】高屈折率の膜が高速度にしかも安定に生産でき
る。
パッタリングターゲットにおいて、MOx は化学量論的
組成より酸素が不足している金属酸化物であって、Mは
Nb、Ta、Mo、W、ZrおよびHfからなる群から
選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする
スパッタリングターゲット。 【効果】高屈折率の膜が高速度にしかも安定に生産でき
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高屈折率を有する酸化
物透明薄膜を直流(DC)スパッタリング法で形成する
場合に用いるターゲット材およびこのターゲット材を用
いて高屈折率膜を形成する方法に関するものである。
物透明薄膜を直流(DC)スパッタリング法で形成する
場合に用いるターゲット材およびこのターゲット材を用
いて高屈折率膜を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物薄膜の光学的な応用は、単層の熱
線反射ガラスや反射防止膜から始まり、さらに特定の波
長の光が選択的に反射あるいは透過するような分光特性
が優れるように設計した多層膜系の反射防止コート、反
射増加コート、干渉フィルター、偏光膜など多分野にわ
たっている。また、多層膜の一部に透明導電膜や金属、
導電性セラミックス等の導電性や熱線反射などの各種機
能をもった膜をはさむことにより、帯電防止や熱線反
射、電磁波カットなどの機能をもたせた多層膜が検討さ
れている。
線反射ガラスや反射防止膜から始まり、さらに特定の波
長の光が選択的に反射あるいは透過するような分光特性
が優れるように設計した多層膜系の反射防止コート、反
射増加コート、干渉フィルター、偏光膜など多分野にわ
たっている。また、多層膜の一部に透明導電膜や金属、
導電性セラミックス等の導電性や熱線反射などの各種機
能をもった膜をはさむことにより、帯電防止や熱線反
射、電磁波カットなどの機能をもたせた多層膜が検討さ
れている。
【0003】多層膜の分光特性は各層の屈折率nと膜厚
をパラメータとして光学的設計するが、一般的に、高屈
折率膜と低屈折率膜を組み合わせて用いる。優れた光学
特性を実現するには、高屈折率膜と低屈折率膜の屈折率
nの差が大きい方が良く、高屈折率膜として二酸化チタ
ン(n=2.4)、二酸化セリウム(n=2.3)、二
酸化ジルコニウム(n=2.2)、五酸化ニオブ(n=
2.1)、五酸化タンタル(n=2.1)、三酸化タン
グステン(n=2.0)などが知られている。また、低
屈折率膜としは二酸化珪素(n=1.46)、フッ化マ
グネシウム(n=1.38)などが知られている。これ
らは、真空蒸着法や塗布法等で成膜できる。しかし、こ
れらの成膜法は、大面積の基板上への均一な成膜は困難
であり、建築用ガラスや自動車用ガラスあるいはCRT
やフラットディスプレイ等の大面積基板が必要な場合に
はスパッタリング法が用いられることが多い。さらに、
スパッタリング法の中でも特に直流放電を利用したDC
スパッタリング法が大面積の成膜には最適である。
をパラメータとして光学的設計するが、一般的に、高屈
折率膜と低屈折率膜を組み合わせて用いる。優れた光学
特性を実現するには、高屈折率膜と低屈折率膜の屈折率
nの差が大きい方が良く、高屈折率膜として二酸化チタ
ン(n=2.4)、二酸化セリウム(n=2.3)、二
酸化ジルコニウム(n=2.2)、五酸化ニオブ(n=
2.1)、五酸化タンタル(n=2.1)、三酸化タン
グステン(n=2.0)などが知られている。また、低
屈折率膜としは二酸化珪素(n=1.46)、フッ化マ
グネシウム(n=1.38)などが知られている。これ
らは、真空蒸着法や塗布法等で成膜できる。しかし、こ
れらの成膜法は、大面積の基板上への均一な成膜は困難
であり、建築用ガラスや自動車用ガラスあるいはCRT
やフラットディスプレイ等の大面積基板が必要な場合に
はスパッタリング法が用いられることが多い。さらに、
スパッタリング法の中でも特に直流放電を利用したDC
スパッタリング法が大面積の成膜には最適である。
【0004】ところが、高屈折率膜をDCスパッタリン
グ法で成膜する場合、導電性を有する金属質ターゲット
を酸素を含む雰囲気でスパッタする、いわゆる反応性ス
パッタリングを用いているのが現状である。しかし、こ
の方法で得られる薄膜の成膜速度は極めて遅く、このた
め生産性が悪く、コストが高くつくということが製造上
の大きな問題となっていた。
グ法で成膜する場合、導電性を有する金属質ターゲット
を酸素を含む雰囲気でスパッタする、いわゆる反応性ス
パッタリングを用いているのが現状である。しかし、こ
の方法で得られる薄膜の成膜速度は極めて遅く、このた
め生産性が悪く、コストが高くつくということが製造上
の大きな問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高屈
折率薄膜をDCスパッタリング法で形成する際に用いら
れるスパッタリングターゲットであって、高屈折率薄膜
の成膜速度が速く生産性が高いスパッタリングターゲッ
トおよび該ターゲットを用いた高屈折率薄膜の形成方法
の提供を目的とするものである。
折率薄膜をDCスパッタリング法で形成する際に用いら
れるスパッタリングターゲットであって、高屈折率薄膜
の成膜速度が速く生産性が高いスパッタリングターゲッ
トおよび該ターゲットを用いた高屈折率薄膜の形成方法
の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、化学式MOx
で表される金属酸化物からなるスパッタリングターゲッ
トにおいて、MOx は化学量論的組成より酸素が不足し
ている金属酸化物であって、MはNb、Ta、Mo、
W、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも
1種の金属であることを特徴とするスパッタリングター
ゲットおよび該ターゲットを用いた高屈折率薄膜の形成
方法を提供する。
で表される金属酸化物からなるスパッタリングターゲッ
トにおいて、MOx は化学量論的組成より酸素が不足し
ている金属酸化物であって、MはNb、Ta、Mo、
W、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも
1種の金属であることを特徴とするスパッタリングター
ゲットおよび該ターゲットを用いた高屈折率薄膜の形成
方法を提供する。
【0007】本発明のターゲットを用いて、たとえば、
アルゴンと酸素の混合雰囲気中で1×10-3〜1×10
-2Torr程度の真空中でスパッタリングすると均一な
透明膜を高速度で成膜できる。この場合、本発明のター
ゲットは、金属ターゲットを用いる場合に、酸素分圧の
変化によって生ずる成膜速度や放電電流・電圧の不連続
な変化であるヒステリシス現象がないので、成膜時の成
膜速度の制御が極めて容易である。
アルゴンと酸素の混合雰囲気中で1×10-3〜1×10
-2Torr程度の真空中でスパッタリングすると均一な
透明膜を高速度で成膜できる。この場合、本発明のター
ゲットは、金属ターゲットを用いる場合に、酸素分圧の
変化によって生ずる成膜速度や放電電流・電圧の不連続
な変化であるヒステリシス現象がないので、成膜時の成
膜速度の制御が極めて容易である。
【0008】本発明のターゲットは、導電性を有してい
るためDCスパッタリング法を用いて成膜でき、大面積
にわたり均一で透明な高屈折率の膜を高速で成膜でき
る。
るためDCスパッタリング法を用いて成膜でき、大面積
にわたり均一で透明な高屈折率の膜を高速で成膜でき
る。
【0009】本発明のターゲットのMOx のMがNbお
よび/またはTaである場合には、xの範囲が2<x<
2.5であることが好ましい。これは、xが2.5で
は、完全に酸化している状態なのでターゲットは電気的
に絶縁性であり、DCスパッタリングができなくなるの
で好ましくない。また、xが2以下では化学的に不安定
であるのでターゲットとして好ましくない。
よび/またはTaである場合には、xの範囲が2<x<
2.5であることが好ましい。これは、xが2.5で
は、完全に酸化している状態なのでターゲットは電気的
に絶縁性であり、DCスパッタリングができなくなるの
で好ましくない。また、xが2以下では化学的に不安定
であるのでターゲットとして好ましくない。
【0010】前記と同様の理由から、本発明のターゲッ
トのMOx のMがMoおよび/またはWである場合に
は、xの範囲が2<x<3であることが、また、本発明
のターゲットのMOx のMがZrおよび/またはHfで
ある場合には、xの範囲が1<x<2であることが好ま
しい。
トのMOx のMがMoおよび/またはWである場合に
は、xの範囲が2<x<3であることが、また、本発明
のターゲットのMOx のMがZrおよび/またはHfで
ある場合には、xの範囲が1<x<2であることが好ま
しい。
【0011】本発明のターゲットの室温の比抵抗は、ス
パッタリング中の放電を安定に行うため、10Ωcm以
下であることが好ましい。比抵抗が10Ωcmより大き
いと放電が安定しにくい。
パッタリング中の放電を安定に行うため、10Ωcm以
下であることが好ましい。比抵抗が10Ωcmより大き
いと放電が安定しにくい。
【0012】本発明のターゲットにおいては、MOx の
金属M以外の金属の酸化物を添加物として添加すること
により、高速成膜を維持したまま、屈折率や機械的、化
学的特性などの膜質を改善できる。このような金属酸化
物としては、クロム、セリウム、ジルコニウム、ハフニ
ウム、イットリウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、
タングステン、珪素、アルミニウムおよびホウ素からな
る群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を挙げ
ることができる。
金属M以外の金属の酸化物を添加物として添加すること
により、高速成膜を維持したまま、屈折率や機械的、化
学的特性などの膜質を改善できる。このような金属酸化
物としては、クロム、セリウム、ジルコニウム、ハフニ
ウム、イットリウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、
タングステン、珪素、アルミニウムおよびホウ素からな
る群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を挙げ
ることができる。
【0013】特に、クロムの酸化物およびセリウムの酸
化物は比較的高い屈折率を有しており、成膜速度も比較
的速いので、これら酸化物を添加することにより、高い
屈折率を維持したまま、より高速成膜を実現できる。ま
た、珪素、アルミニウム、ホウ素の酸化物の添加するこ
とにより、ターゲットの機械的強度を高くできるため、
より高い電力をスパッタ時に投入でき、実質的にさらに
高速の成膜を実現できる。
化物は比較的高い屈折率を有しており、成膜速度も比較
的速いので、これら酸化物を添加することにより、高い
屈折率を維持したまま、より高速成膜を実現できる。ま
た、珪素、アルミニウム、ホウ素の酸化物の添加するこ
とにより、ターゲットの機械的強度を高くできるため、
より高い電力をスパッタ時に投入でき、実質的にさらに
高速の成膜を実現できる。
【0014】MOx に対する前記金属酸化物の添加割合
は、全金属酸化物の総重量に対して50重量%未満が適
当である。50重量%以上では、十分な成膜速度が得ら
れにくくなる。
は、全金属酸化物の総重量に対して50重量%未満が適
当である。50重量%以上では、十分な成膜速度が得ら
れにくくなる。
【0015】本発明のターゲットは、たとえば次のよう
にして作製できる。酸化ニオブ質ターゲットの場合、五
酸化ニオブ粉末をホットプレス(高温高圧プレス)して
焼結することにより、本発明のターゲットが形成され
る。この場合、粉末の粒径は0.05μmから40μm
が適当である。なお、ホットプレスの雰囲気は非酸化雰
囲気とすることが重要であり、ターゲット中の酸素含有
量の調整が容易なことから、アルゴンや窒素が好まし
い。また、水素を添加することもできる。
にして作製できる。酸化ニオブ質ターゲットの場合、五
酸化ニオブ粉末をホットプレス(高温高圧プレス)して
焼結することにより、本発明のターゲットが形成され
る。この場合、粉末の粒径は0.05μmから40μm
が適当である。なお、ホットプレスの雰囲気は非酸化雰
囲気とすることが重要であり、ターゲット中の酸素含有
量の調整が容易なことから、アルゴンや窒素が好まし
い。また、水素を添加することもできる。
【0016】また、ホットプレスの条件は、特に限定さ
れないが、温度としては、800〜1400℃が好まし
い、また、圧力としては50〜100kg/cm2 が好
ましい。
れないが、温度としては、800〜1400℃が好まし
い、また、圧力としては50〜100kg/cm2 が好
ましい。
【0017】また、酸化クロムを含む酸化ニオブターゲ
ットの場合、三酸化クロム粉末と五酸化ニオブ粉末をボ
ールミルなどで混合して混合粉末を調製して、前記と同
様のホットプレスすることにより形成される。ターゲッ
トはスパッタリング時の割れ等が起こりにくいように、
銅製のバッキングプレートにメタルボンディングしたほ
うがよい。
ットの場合、三酸化クロム粉末と五酸化ニオブ粉末をボ
ールミルなどで混合して混合粉末を調製して、前記と同
様のホットプレスすることにより形成される。ターゲッ
トはスパッタリング時の割れ等が起こりにくいように、
銅製のバッキングプレートにメタルボンディングしたほ
うがよい。
【0018】
【作用】金属ターゲットを用いて金属酸化物膜の成膜を
行うと、吸収膜から化学量論的組成の透明膜へ変化する
前後、あるいは、透明膜から吸収膜へ変化する前後にお
いて、酸素ガス分圧の変化に対する成膜速度やスパッタ
電圧が、急激で不連続なヒステリシス様に変化する。し
たがって、安定に透明膜を得るためには、金属原子に対
してかなり過剰な酸素ガスを導入する必要がある。
行うと、吸収膜から化学量論的組成の透明膜へ変化する
前後、あるいは、透明膜から吸収膜へ変化する前後にお
いて、酸素ガス分圧の変化に対する成膜速度やスパッタ
電圧が、急激で不連続なヒステリシス様に変化する。し
たがって、安定に透明膜を得るためには、金属原子に対
してかなり過剰な酸素ガスを導入する必要がある。
【0019】一方、本発明のターゲットは、酸化物で構
成されており、かつ、化学量論的組成より少しだけ酸素
不足になっている。したがって、透明金属酸化物膜の成
膜を行う場合では、化学量論的組成より少しだけ不足し
ている酸素を補えばよく、しかも、本発明のターゲット
を用いた場合は、前記ヒステリシス様の変化が生じない
ため、供給する酸素ガス量を必要最低限、あるいはそれ
に近い量まで少なくすることができる。このため成膜速
度の低下の要因と考えられる過剰な酸素原子のターゲッ
ト表面上への付着を小さくできるので、成膜速度を速く
できると考えられる。
成されており、かつ、化学量論的組成より少しだけ酸素
不足になっている。したがって、透明金属酸化物膜の成
膜を行う場合では、化学量論的組成より少しだけ不足し
ている酸素を補えばよく、しかも、本発明のターゲット
を用いた場合は、前記ヒステリシス様の変化が生じない
ため、供給する酸素ガス量を必要最低限、あるいはそれ
に近い量まで少なくすることができる。このため成膜速
度の低下の要因と考えられる過剰な酸素原子のターゲッ
ト表面上への付着を小さくできるので、成膜速度を速く
できると考えられる。
【0020】
[実施例1〜7]市販されている高純度のNb2 O5 粉
末を準備し、カーボン製のホットプレス用型に充填し、
アルゴン雰囲気中で、1100℃〜1400℃の範囲の
各種温度にて、1時間保持し、ホットプレスを行った。
このときのホットプレス圧力は50kg/cm2 とし
た。得られた焼結体の密度、比抵抗を測定した。
末を準備し、カーボン製のホットプレス用型に充填し、
アルゴン雰囲気中で、1100℃〜1400℃の範囲の
各種温度にて、1時間保持し、ホットプレスを行った。
このときのホットプレス圧力は50kg/cm2 とし
た。得られた焼結体の密度、比抵抗を測定した。
【0021】次に、得られた焼結体をメノウ乳鉢で粉砕
し、空気中で1100℃に加熱し、その重量増加を測定
した。この空気中での加熱後には粉末が完全に酸化した
Nb2 O5 になっているとして、その重量増加分から、
ホットプレス後の焼結体の酸素量を求めた。これらの結
果を表1に示す。
し、空気中で1100℃に加熱し、その重量増加を測定
した。この空気中での加熱後には粉末が完全に酸化した
Nb2 O5 になっているとして、その重量増加分から、
ホットプレス後の焼結体の酸素量を求めた。これらの結
果を表1に示す。
【0022】[実施例8〜11]実施例3の1200℃
でホットプレスした焼結体を直径6インチ、厚さ5mm
の寸法に機械加工し、ターゲットを作製した。ターゲッ
トは銅製のバッキングプレートにメタルボンドで接着し
て用いた。
でホットプレスした焼結体を直径6インチ、厚さ5mm
の寸法に機械加工し、ターゲットを作製した。ターゲッ
トは銅製のバッキングプレートにメタルボンドで接着し
て用いた。
【0023】つぎに、このターゲットをマグネトロンD
Cスパッタリング装置に取り付けて、Nb2 O5 膜の成
膜を行った。このときの条件は投入電力をDC1kW、
背圧を1×10-5Torr、スパッタリング圧力を2×
10-3Torrとして行った。スパッタリングガスに
は、アルゴンと酸素とが各種酸素濃度で混合されたガス
を用いた。スパッタリングガスの酸素ガスの割合は10
〜40体積%とした。酸素が10体積%より低いと膜は
吸収性の膜となるため、透明な膜を得るには酸素が10
体積%以上必要であった。
Cスパッタリング装置に取り付けて、Nb2 O5 膜の成
膜を行った。このときの条件は投入電力をDC1kW、
背圧を1×10-5Torr、スパッタリング圧力を2×
10-3Torrとして行った。スパッタリングガスに
は、アルゴンと酸素とが各種酸素濃度で混合されたガス
を用いた。スパッタリングガスの酸素ガスの割合は10
〜40体積%とした。酸素が10体積%より低いと膜は
吸収性の膜となるため、透明な膜を得るには酸素が10
体積%以上必要であった。
【0024】基板にはソーダライムガラスを用いた。ま
た、基板は意図的な加熱は特に行わなかった。膜厚はお
よそ100nmとなるように行った。スパッタリング中
の放電はきわめて安定しておりDCスパッタリングでも
安定して成膜ができた。成膜後、膜厚を触針式の膜厚測
定装置を用いて測定した。さらに、エリプソメーターで
膜の屈折率を測定した。このとき、用いた光の波長は6
33nmである。表2に、成膜速度および膜の屈折率を
示す。なお、得られた膜はすべて透明で膜の光吸収は無
かった。
た、基板は意図的な加熱は特に行わなかった。膜厚はお
よそ100nmとなるように行った。スパッタリング中
の放電はきわめて安定しておりDCスパッタリングでも
安定して成膜ができた。成膜後、膜厚を触針式の膜厚測
定装置を用いて測定した。さらに、エリプソメーターで
膜の屈折率を測定した。このとき、用いた光の波長は6
33nmである。表2に、成膜速度および膜の屈折率を
示す。なお、得られた膜はすべて透明で膜の光吸収は無
かった。
【0025】[比較例1〜2]比較例1として、実施例
8のターゲットに替えて、金属チタンターゲットを用い
て同様のスパッタリング成膜を行った。スパッタリング
ガスの酸素ガスの割合は20体積%とした。チタンター
ゲットの場合、酸素が20体積%より低いと膜は吸収性
の膜となり、透明な膜を得るには酸素が20体積%以上
必要であった。したがって、透明膜が得られ、もっとも
成膜速度の速い酸素割合である20体積%の場合につい
て行った。
8のターゲットに替えて、金属チタンターゲットを用い
て同様のスパッタリング成膜を行った。スパッタリング
ガスの酸素ガスの割合は20体積%とした。チタンター
ゲットの場合、酸素が20体積%より低いと膜は吸収性
の膜となり、透明な膜を得るには酸素が20体積%以上
必要であった。したがって、透明膜が得られ、もっとも
成膜速度の速い酸素割合である20体積%の場合につい
て行った。
【0026】また、比較例2として、実施例8のターゲ
ットに替えて、金属ニオブターゲットを用いて同様のス
パッタリング成膜を行った。金属ニオブターゲットの場
合では、前記と同様の理由から30体積%の場合につい
て行った。
ットに替えて、金属ニオブターゲットを用いて同様のス
パッタリング成膜を行った。金属ニオブターゲットの場
合では、前記と同様の理由から30体積%の場合につい
て行った。
【0027】表2の結果から明らかなように、本発明の
ターゲットを用いることにより高屈折率を有する透明な
Nb2 O5 膜が高速度で成膜できた。
ターゲットを用いることにより高屈折率を有する透明な
Nb2 O5 膜が高速度で成膜できた。
【0028】[実施例12〜16]市販されているNb
2 O5 粉末に各種酸化物を各種量添加して、Nb2 O5
粉末とボールミルで混合した。これら各種混合粉末をカ
ーボン製のホットプレス用型に充填し、実施例1と同様
の条件でホットプレスを行い焼結体を得た。得られた焼
結体について、密度、比抵抗を実施例1と同様に測定し
た。これらの結果を表3に示す。
2 O5 粉末に各種酸化物を各種量添加して、Nb2 O5
粉末とボールミルで混合した。これら各種混合粉末をカ
ーボン製のホットプレス用型に充填し、実施例1と同様
の条件でホットプレスを行い焼結体を得た。得られた焼
結体について、密度、比抵抗を実施例1と同様に測定し
た。これらの結果を表3に示す。
【0029】また、これらの焼結体の一部を酸溶解ある
いはアルカリ溶融して、水溶液を調製し、ICP装置で
焼結体の組成を分析した結果、混合粉末の仕込組成と焼
結体の組成はほぼ一致していることを確認した。
いはアルカリ溶融して、水溶液を調製し、ICP装置で
焼結体の組成を分析した結果、混合粉末の仕込組成と焼
結体の組成はほぼ一致していることを確認した。
【0030】[実施例17〜31]実施例12〜16に
より得られた焼結体を用いて、実施例8〜11と同様に
して、各種酸素濃度条件にてマグネトロンDCスパッタ
リング装置で成膜を行った。スパッタリング中の放電は
きわめて安定しておりDCスパッタリングでも安定して
成膜ができた。実施例8と同様にして測定した成膜速度
および膜の屈折率を表4に示す。なお、得られた膜はす
べて透明で膜の光吸収は無かった。
より得られた焼結体を用いて、実施例8〜11と同様に
して、各種酸素濃度条件にてマグネトロンDCスパッタ
リング装置で成膜を行った。スパッタリング中の放電は
きわめて安定しておりDCスパッタリングでも安定して
成膜ができた。実施例8と同様にして測定した成膜速度
および膜の屈折率を表4に示す。なお、得られた膜はす
べて透明で膜の光吸収は無かった。
【0031】表4の結果から明らかなように、本発明の
ターゲットを用いることにより高屈折率を有する透明な
Nb2 O5 膜が高速度で成膜できた。
ターゲットを用いることにより高屈折率を有する透明な
Nb2 O5 膜が高速度で成膜できた。
【0032】なお、前記実施例3のNb2 Ox をTa2
Ox (x=4.940 )に替えて、以下実施例8〜31と同
様に行ったところ、同様の良好な結果が得られた。ま
た、Ta2 Ox (x=4.940 )を、MoOx (x=2.95
0 )、WOx (x=2.955 )、ZrOx (x=1.995
で、8mol%のY2 O3 を添加したもの)、およびH
fOx (x=1.995 )にそれぞれ替えて同様に行ったと
ころ、同様の良好な結果が得られた。
Ox (x=4.940 )に替えて、以下実施例8〜31と同
様に行ったところ、同様の良好な結果が得られた。ま
た、Ta2 Ox (x=4.940 )を、MoOx (x=2.95
0 )、WOx (x=2.955 )、ZrOx (x=1.995
で、8mol%のY2 O3 を添加したもの)、およびH
fOx (x=1.995 )にそれぞれ替えて同様に行ったと
ころ、同様の良好な結果が得られた。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】本発明のスパッタリングターゲットを用
いることにより、高屈折率を有する透明膜をDCスパッ
タリング法により、高速度に成膜できる。また、本発明
のターゲットはスパッタ雰囲気の酸素分圧を少なくでき
るのでアーキング等の異常放電を少なくできるという効
果も有する。したがって、本発明のターゲットを用いる
ことにより、高屈折率の膜が高速度にしかも安定に生産
できる。
いることにより、高屈折率を有する透明膜をDCスパッ
タリング法により、高速度に成膜できる。また、本発明
のターゲットはスパッタ雰囲気の酸素分圧を少なくでき
るのでアーキング等の異常放電を少なくできるという効
果も有する。したがって、本発明のターゲットを用いる
ことにより、高屈折率の膜が高速度にしかも安定に生産
できる。
Claims (6)
- 【請求項1】化学式MOx で表される金属酸化物からな
るスパッタリングターゲットにおいて、MOx は化学量
論的組成より酸素が不足している金属酸化物であって、
MはNb、Ta、Mo、W、ZrおよびHfからなる群
から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴と
するスパッタリングターゲット。 - 【請求項2】前記MOx は、MがNbおよび/またはT
aであって、xの範囲が2<x<2.5であることを特
徴とする請求項1のスパッタリングターゲット。 - 【請求項3】前記MOx は、MがMoおよび/またはW
であって、xの範囲が2<x<3であることを特徴とす
る請求項1のスパッタリングターゲット。 - 【請求項4】前記MOx は、MがZrおよび/またはH
fであって、xの範囲が1<x<2であることを特徴と
する請求項1のスパッタリングターゲット。 - 【請求項5】前記スパッタリングターゲットは、室温で
の比抵抗値が10Ωcm以下であることを特徴とする請
求項1〜4いずれか1項のスパッタリングターゲット。 - 【請求項6】酸化物スパッタリングターゲットを用いて
直流スパッタリング法により高屈折率膜を形成する方法
において、該ターゲットが、請求項1〜5のいずれか1
項のスパッタリングターゲットであることを特徴とする
高屈折率膜の形成方法。
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JP8716095A JPH08283935A (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | ターゲットおよび該ターゲットによる高屈折率膜の製造方法 |
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- 1995-04-12 JP JP8716095A patent/JPH08283935A/ja active Pending
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