JP2927400B2 - 超硬合金組成物の再生方法および超硬合金の製造方法 - Google Patents

超硬合金組成物の再生方法および超硬合金の製造方法

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  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使用済みの超硬合金ま
たは製造時の焼結工程後に生じる不良品の超硬合金や焼
結工程前に生じる不良品の超硬合金組成物から良品の超
硬合金組成物に再生する方法および良品の超硬合金にす
るための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超硬合金の主な出発物質であるWやCo
は、高価であることから、使用済みの超硬合金や不良品
の超硬合金を良品の超硬合金として使用出来るようにす
るための再生方法が従来から検討されており、その代表
的な方法としては超高温処理後の粉砕法、Znアマ
ルガム処理法、酸または塩化鉄によるリーチング処理
法、焙焼後の湿式精練法がある。
【0003】一方、超硬合金の再生を目的としたもので
はないが、異方性結晶比率の高いWC含有超硬合金の製
法について開示されているものに、特開平2−2748
27号公報がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来から検討されてき
た超硬合金の再生方法は、不純物が多くなること、高価
になること、または再生方法により得た超硬合金組成物
を用いて新たに超硬合金を作製したとしても強度,靭性
および耐摩耗性の全てを向上させた超硬合金を得るのが
困難であるという問題がある。
【0005】また、異方性結晶比率の高いWC含有超硬
合金の製法について開示されている特開平2−2748
27号公報には、焼結済みの超硬合金を酸化し、還元
し、次いで炭化して異方性結晶比率の高いWC含有の超
硬合金組成物粉末、並びにこの粉末を成形後焼結する
か、ホットプレスして超硬合金を作製する方法について
記載されている。同公報に記載されている方法は、還
元、炭化によって生成した微細な炭化タングステン粉末
の粒成長作用を利用した方法であるが、異方性結晶WC
の生成割合が少なく、粒子径の制御が困難であり、製造
工程が複雑で高価になるという問題がある。
【0006】本発明は、上述のような問題点を解決した
もので、具体的には、使用済みの超硬合金、不良品の超
硬合金または焼結前の不良品の超硬合金組成物を酸化性
雰囲気中で加熱し、含有炭素量が少なくFe族金属とW
との複合炭化物の混在した超硬合金組成物粉末とする方
法、並びに該超硬合金組成物粉末にカーボンおよび/ま
たはグラファイトを添加,混合した後、非酸化性雰囲気
中で加熱焼結し、板状のWC結晶を含有した超硬合金の
製法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、使用済み
の超硬合金、不良品の超硬合金または製造工程時に生じ
る焼結前の不良品の超硬合金組成物を再生し、しかも再
生して得られた超硬合金組成物粉末をより有効に利用す
ることについて検討していたところ、再生して得られた
超硬合金組成物粉末中に含有炭素量が少なくFe族金属
とWとの複合炭化物を所定量以上混在させて、これを用
いて超硬合金を作製すると、板状のWC結晶を含有した
超硬合金が容易に得られること、この板状のWC結晶を
含有した超硬合金が高硬度で耐摩耗性に優れ、かつ高靭
性で耐欠損性にも優れるという知見を得て、本発明を完
成するに至ったものである。
【0008】すなわち、本発明の再生方法は、超硬合金
または超硬合金組成物を、ジルコニア製もしくはアルミ
ナ製などの耐火ルツボやボートに詰めて、酸化性雰囲気
中で1000℃以上に加熱し、コバルトおよび/または
ニッケルとタングステンとカーボンからなる複合炭化物
を20重量%以上生成させた後、粉砕することを特徴と
する再生方法である。
【0009】本発明の再生方法において用いる超硬合金
または超硬合金組成物は、具体的には、例えばWC−C
o系,WC−TaC−Co系,WC−(W,Ti,T
a,Nb)C−Co系,WC−Cr−Ni系の超硬合金
で、使用済みの超硬合金,製造工程の焼結後に不良品と
なった超硬合金等全ての超硬合金が使用可能であり、ま
た、超硬合金組成物とは、製造工程の焼結前に不良品と
なった圧粉成形体でなる場合または粉末でなる場合を挙
げることが出来る。
【0010】この超硬合金または超硬合金組成物をその
まま酸化性雰囲気中で加熱する場合には、具体的には、
例えば空気,酸素ガス,二酸化炭素ガス中で大気圧,減
圧または加圧状態とし、1000℃以上で加熱すること
であり、1000℃未満では脱炭速度が遅く後述の複合
炭化物を生じ難い。
【0011】また、さらに好ましい方法としては、超硬
合金または超硬合金組成物に、Co,Ni,Wの中の1
種以上の金属およびこれらの酸化物、並びにこれらの前
駆体から選ばれた少なくとも1種の添加物、具体的に
は、例えばCo,Ni,W,Co−Ni合金,Co−W
合金,CoO,Co34,NiO,WO3,WO2または
加熱により酸化物が生じる塩類の前駆体でなる添加物を
添加および混合した混合物を、ジルコニア製もしくはア
ルミナ製などの耐火ルツボやボートに詰めて、不活性雰
囲気中で1000℃以上に加熱すればよい。このときの
添加物は、外掛けで70重量%以下添加されていること
が好ましい
【0012】以上の処理方法により生成されるコバルト
および/またはニッケルとタングステンとカーボンから
なる複合炭化物は、具体的には、例えばCo394
Co24 ,Co33 ,Co66 ,Ni24Cおよ
びこれらの相互固溶体からなり、また出発物質の超硬合
金や超硬合金組成物に不純物または微量添加物として含
有されているFeやCrが複合炭化物中に微量固溶され
てくることもある。この複合炭化物は、生成量が20重
量%未満になると、後工程である粉砕が困難になるこ
と、および粉砕して得られた超硬合金組成物を用いて新
たに超硬合金を作製した場合に、その超硬合金中に生じ
る板状のWC結晶の含有量が少なく、硬さ,強度および
靭性の向上が顕著でなくなる。
【0013】以上のような再生方法により得た再生の超
硬合金組成物粉末に、カーボンおよび/またはグラファ
イトを添加、混合した後、非酸化性雰囲気中1200〜
1600℃で焼結し、板状のWC結晶を含有した超硬合
金とする。勿論、この再生の超硬合金組成物粉末に、従
来から超硬合金の出発物質として用いられ、市販されて
いる各種の粉末、具体的には、例えばWC,Co,N
i,(W,Ti)C,(W,Ta,Ti)Cの粉末を添
加し、最終製品としての板状のWC結晶を含有した超硬
合金の組成成分を制御することも可能であり、必要なこ
とでもある。このときの再生の超硬合金組成物粉末は、
5重量%以下の含有酸素量に調整されていることが好ま
しく、含有酸素量が5重量%を超えると、得られる板状
のWC結晶を含有した超硬合金に巣孔が発生し易く、強
度も低下する。
【0014】
【作用】本発明の再生方法は、酸化性雰囲気中における
加熱、または添加物を添加して加熱することにより、出
発物質としての超硬合金や超硬合金組成物の脱炭作用を
して、コバルトおよび/またはニッケルとタングステン
とカーボンからなる複合炭化物の生成の促進作用をして
いるものである。
【0015】また、本発明の超硬合金の製造方法は、こ
の再生方法により得られた超硬合金組成物粉末中の複合
炭化物と新たに添加したカーボンおよび/またはグラフ
ァイトとの相互反応により、板状のWC結晶の生成促進
作用をしており、この板状のWC結晶が生成されること
による強度,靭性および耐摩耗性の全てを向上させてい
るものである。
【0016】
【実施例1】市販後に回収された使用済みWC−Co系
(JIS規格H5501のG級相当の組成成分)の超硬
合金チップ約10kgをジルコニア製の耐火ルツボに詰
めて蓋をし、高温大気炉中に挿入および加熱して150
0℃で1時間保持した後、冷却した。炉から取り出した
処理塊をステンレス製のポットに15φmmの超硬合金
製ボールと共に装入して12時間粉砕した後、40#篩
で篩作業を行い、通過粉による超硬合金組成物を得た。
この超硬合金組成物を「本発明の方法1」として表1に
示した。
【0017】WC−TiC−TaC−Co系(JIS規
格H5501のS級相当組成成分)の超硬合金チップに
ついても、同様の処理を行って超硬合金組成物粉末を得
た。この超硬合金組成物粉末を「本発明の方法2」とし
て表2に示した。こうして得た本発明の方法1および2
の超硬合金組成物粉末の特性を表1に示した。この表1
に示した組成は、蛍光X線分析とX線回折により定量
し、平均粒子径は、フイツシャー法で測定した。
【0018】次いで、良品の超硬合金の製造過程で排出
された4種類の不良品加工屑の粉末A〜Dに、市販のW
3,CoO,NiOの粉末を添加した後、鋼製ボール
と共にステンレス製容器に装入し、3時間振動ボールミ
ルを行った。容器から取り出した各混合粉末をアルミナ
ボートに詰めて蓋をし、真空,ガス雰囲気の兼用炉中に
装入して加熱し、所定温度で1時間保持した。加熱され
た各混合粉末を冷却および取り出し,それぞれの超硬合
金組成物粉末を得た。こうして得た超硬合金組成物粉末
を、使用した不良品加工屑の粉末A〜D順に、それぞれ
を「本発明の方法3、4、5、6」として、表1に示し
た。不良品加工屑の粉末A〜Dの組成、WO3,CoO
粉末の添加量、加熱雰囲気、保持温度を表2に、また本
発明の方法3〜6の各粉末特性を表1に併記した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【実施例2】実施例1の表1に示した本発明の方法1〜
6に0.05μmのカーボン(C)粉末を、それぞれ表
3に示す配合組成に秤量し、ステンレス製ポットにアセ
トン溶媒と超硬合金製ボールと共に装入し、48時間混
合粉砕後,乾燥して各種の混合粉末を得た。次に、これ
らの混合粉末を金型に充填し,2ton/cm2の加圧
でもって約5.5×9.5×29mmの圧粉成形体を作
製した。この圧粉成形体を,アルミナとカーボンの繊維
からなるシート上に設置し、雰囲気圧力10-2Torr
の真空中で表3に併記した温度で1時間加熱、保持して
再生の超硬合金を得た。こうして得た再生の超硬合金を
#230のダイヤモンド砥石で湿式研削加工し、4.0
×8.0×25.0mmの試料を作製した。
【0022】この試料を用いて、抗折力(JIS法)を
測定した。そして、試料の一面を1μmのダイヤモンド
ペーストでラップ加工した後、ビッカース硬さ(荷重:
20kgf)と破壊靭性値:K1c(IM法,荷重:2
0kgf)を測定した。また、ラップ加工面について電
子顕微鏡にて組織写真を撮り、画像処理装置にて平均粒
子径およびWC粒子の最大径と最小径との比(アスペク
ト比)が2.0以上である板状WCのWC全体に対する
体積割合を求めた。これらの結果を表4に示す。また、
蛍光X線分析により各試料の組成を定量し、その結果を
表3に併記した。
【0023】一方、本発明の方法1および2で得た粉末
組成にほぼ相当する市販の回収粉末EおよびFと、0.
3μmおよび2.5μmのWC、1〜2μmCo,N
i,Cr32,(W,Ti,Ta)Cの炭化物(重量比
でWC/TiC/TaC=50/20/30をWTTと
略す)を用い、表3に併記した配合組成に秤量し、同様
の方法で比較の方法1〜6を作製し、その結果を表3お
よび表4に併記した。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】本発明の再生方法は、特別な装置を使用
することなく、従来から超硬合金の製造装置をそのまま
使用できて、非常に簡便で、低コストな方法である。ま
た、この再生方法で得た超硬合金組成物粉末を用いて新
たな超硬合金を作製すると、この超硬合金は、板状のW
C結晶を多量に生成させることが可能となり、同一組成
成分で対比した場合に、硬さ,靭性および強度の全てが
顕著に高いという優れた効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−70118(JP,A) 特開 昭57−177940(JP,A) 特開 昭51−120962(JP,A) 特開 昭53−28505(JP,A) 特開 昭51−37020(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 9/04 C22B 7/00 C22C 1/05 C22C 29/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超硬合金または超硬合金組成物を、ジル
    コニア製もしくはアルミナ製などの耐火ルツボやボート
    に詰めて、酸化性雰囲気中で1000℃以上に加熱し、
    コバルトおよび/またはニッケルとタングステンとカー
    ボンからなる複合炭化物を20重量%以上生成させた
    後、粉砕することを特徴とする超硬合金組成物の再生方
    法。
  2. 【請求項2】 超硬合金または超硬合金組成物に、C
    o,Ni,Wの金属、Co,Ni,Wを1種以上含む酸
    化物、および加熱によりCo,Ni,Wを1種以上含む
    酸化物が生じる塩類の前駆体から選ばれた少なくとも1
    種の添加物を添加および混合した混合物を、ジルコニア
    製もしくはアルミナ製などの耐火ルツボやボートに詰め
    て、不活性雰囲気中で1000℃以上に加熱し、コバル
    トおよび/またはニッケルとタングステンとカーボンか
    らなる複合炭化物を20重量%以上生成させた後、粉砕
    することを特徴とする超硬合金組成物の再生方法。
  3. 【請求項3】 上記添加物が外掛けで70重量%以下添
    加されることを特徴とする請求項2記載の超硬合金組成
    物の再生方法。
  4. 【請求項4】 上記複合炭化物がCo394,Co2
    4 ,Co33 ,Co66 ,Ni24Cおよびこれ
    らの相互固溶体の中の少なくとも1種でなることを特徴
    とする請求項1,2または3記載の超硬合金組成物の再
    生方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3または4記載の超硬合
    金組成物の再生方法により得た粉末に、カーボンおよび
    /またはグラファイトを添加および混合した後、非酸化
    性雰囲気中1200〜1600℃で焼結し、板状のWC
    結晶を含有した超硬合金にすることを特徴とする超硬合
    金の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記再生方法により得た粉末が5重量%
    以下の含有酸素量に調整されていることを特徴とする請
    求項5記載の超硬合金の製造方法。
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NZ520369A (en) * 2002-07-22 2005-03-24 Titanox Dev Ltd A separation process for producing titanium rich powder from metal matrix composite
KR100700197B1 (ko) * 2005-07-30 2007-03-27 한국기계연구원 탈황용 코발트 성분을 함유하는 촉매 스크랩을 재활용하여코발트 함유된 소결 합금 제조 방법
KR101007155B1 (ko) * 2008-10-29 2011-01-12 한국기계연구원 철-니켈 합금 스크랩의 열환원 공정에 의한 철-니켈 미립 합금분말 제조방법

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