JP7105624B2 - モータ及びブラシレスワイパーモータ - Google Patents
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Description
また、ロータに永久磁石を配置するもう1つの方式として、ロータコアの外周面に永久磁石を配置する方式(SPM:Surface Permanent Magnet)がある(例えば、特許文献1参照)。
SPM方式のモータにおいては、電流供給の進角化と広角化を図れば、高回転化を図ることができる。電流供給の広角化とは、交互に供給する3相の各相の電流の供給タイミングを互いにラップさせ、120°以上に広角化させることである。このようにして、進角通電及び広角通電による弱め界磁を用いることで、モータの高回転化を図ることができる。
このようなSPM方式のモータにおいて、磁石の使用量を増やすことで、高トルク化を図ることができる。
このようなリップルを打ち消すには、コイルに印加する相電流に、5次、7次、11次といった高次の高調波成分を重畳させる必要がある。しかし、高い次数の高調波を、コイルに電流を供給する駆動回路のマイコンで演算して生成するのは、処理負荷が高く、マイコンのコスト上昇に繋がってしまう。
すなわち、本発明のモータは、環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、前記ティースに巻回されるコイルと、前記ステータコアの径方向内側で回転軸線回りに回転するシャフトと、前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、前記ロータコアの外周面に配置され、前記回転軸線回りの周方向両側の端部における前記径方向の厚さが、前記周方向の中間部における前記径方向の厚さよりも小さい磁石と、前記ロータコアの前記外周面の前記周方向で隣り合う前記磁石の間に、前記磁石の前記周方向の前記端部よりも径方向外側に向かって突出形成された突極と、を備え、前記磁石の磁極数と前記ティースの数との比は2n:3n(ただし、nは自然数)に設定されており、前記磁石は、外周面の曲率半径が、前記磁石の前記外周面で最も径方向外側に位置する部位における、前記回転軸線からの距離に対し、0.8倍以下に設定されており、前記突極は、前記周方向の両側において前記磁石の前記周方向の前記端部に対向する対向面を有し、前記対向面は、互いに平行に形成されているとともに、前記磁石の前記周方向の前記端部と平行に形成されており、前記コイルの誘起電圧に含まれる11次の高調波成分が1%未満であることを特徴とする。
図1は、ワイパーモータ1の斜視図である。図2は、図1のA-A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、ワイパーモータ(ブラシレスワイパーモータ)1は、例えば車両に搭載されるワイパの駆動源となる。ワイパーモータ1は、モータ部(モータ)2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2のシャフト31の回転軸線方向をいい、単に周方向という場合は、シャフト31の周方向をいい、単に径方向という場合は、シャフト31の径方向をいうものとする。
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ部2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接合されるように、このギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、ロータ9のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
図3は、ステータ8及びロータ9を軸方向からみた平面図である。
図2、図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略円形となる筒状のコア部21と、コア部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本第1実施形態では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20を有している。
ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、減速部3を構成するウォーム軸44(図2参照)と一体成形されたシャフト31と、シャフト31に外嵌固定されこのシャフト31を軸心(回転軸線)C1とする略円柱状のロータコア32と、ロータコア32の外周面に設けられた4つの磁石33と、を備えている。このように、モータ部2において、磁石33の磁極数とスロット19(ティース22)の数との比は、4:6である。
また、ロータコア32の径方向略中央には、軸方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。この貫通孔32aに、シャフト31が圧入されている。なお、貫通孔32aに対してシャフト31を挿入とし、接着剤等を用いてシャフト31にロータコア32を外嵌固定してもよい。
このように形成されたロータコア32の外周面32bは、周方向で隣り合う2つの突極35の間が、それぞれ磁石収納部36として構成されている。これら磁石収納部36に、それぞれ磁石33が配置され、例えば接着剤等によりロータコア32に固定される。
同図に示すように、磁石33は、シャフト31の軸心C1回りの周方向両側の端部33sにおける径方向の厚さが、周方向中間部33cにおける径方向の厚さよりも小さくなるように形成される。ここで、磁石33は、フェライト磁石である。
このため、磁石33の径方向外側の外周面33aとティース22の内周面との間の微小隙間は、磁石33の周方向中央が最も小さく、この周方向中央から周方向に離間するに従って徐々に大きくなる。
より具体的には、図5に示すように、シャフト31の軸心C1を中心として、磁石33の外周面33aにおいて最も径方向外側に位置する周方向中間部33cを通る円弧面Wは、外周面33aの周方向中間部33cにおける、シャフト31の軸心C1からの距離を半径R2としている。そして、磁石33の外周面33aの曲率半径R1は、円弧面Wの半径R2に対し、0.8倍以下(R1≦0.8×R2)に設定されている。これにより、図4に示すように、磁石33の周方向両側の端部33sは、突極35よりも径方向内側に配置されている。
なお、突極35の径方向外側の端部における周方向の幅寸法とは、突極35に丸面取り部35aが形成されていないとした場合の周方向の両角部35b間の幅寸法をいう。以下の説明では、突極35における径方向外側の端部における周方向の幅寸法を、単に突極35の径方向における幅寸法と称して説明する。
また、磁石33を上記のように形成することにより、この磁石33の最大外径と突極35の最大外径とが同一寸法でありながら、突極35が磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出されている。
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板(駆動回路部)62と、ギヤケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
また、カバー63の外周部に、コネクタ11が一体成形されている。このコネクタ11は、不図示の外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。そして、コネクタ11の不図示の端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
次に、ワイパーモータ1の動作について説明する。
ワイパーモータ1は、不図示のコネクタを介してコントローラ基板62に供給された電力が、不図示のパワーモジュールを介してモータ部2の各コイル24に選択的に供給される。
すると、ステータ8(ティース22)に所定の鎖交磁束が形成され、この鎖交磁束とロータ9の磁石33により形成される有効磁束との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータ9が継続的に回転する。
ロータ9が回転すると、シャフト31と一体化されているウォーム軸44が回転し、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45が回転する。そして、ウォームホイール45に連結されている出力軸48が回転し、所望の電装品が駆動する。
次に、図6~図17に基づいて、ロータ9の作用、効果について説明する。
モータ部2は、ロータコア32の外周面32bに、磁石33を配置した、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)モータである。このため、d軸方向のインダクタンス値を小さくすることができる。ここで、ロータ9において、d軸方向のインダクタンス値を、さらに小さくするには、磁石33の径方向の寸法を大きくする必要がある。この実施形態において、磁石33は、フェライト磁石からなるので、磁石33の径方向の寸法を大きくして磁石使用量を増加させても、希土類磁石に比較し、コスト上昇を大幅に抑えることができる。
同図に示すように、従来構造と比較して、本実施形態のロータ9は、q軸、d軸とも、インダクタンス値が小さくなっていることが確認できる。
同図に示すように、従来構造と比較して、本実施形態のロータ9は、より高いトルク、回転数を発生していることが確認できる。
図9は、縦軸をロータ9のリップル率[%]とし、横軸をロータコア32の突極35の突極幅[mm]とした場合のロータ9のリップル率の変化を示すグラフである。より具体的には、図8は、突極35の幅寸法を異ならせた場合に、本実施形態のロータ9で発生するリップル率を示すグラフである。
図10は、縦軸をロータ9のコギング[mN・m]とし、横軸をロータコア32の突極35の突極幅[mm]とした場合のロータ9のコギングの変化を示すグラフである。より具体的には、図9は、突極35の幅寸法を異ならせた場合に、本実施形態のロータ9で発生するコギングを示すグラフである。
同図に示すように、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させない場合に比較し、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させた場合は、磁束密度が高く、減磁しにくいことが確認できる。
この図13に示すように、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させない場合に比較し、図12に示すように、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させた場合は、磁石33の端部33sに磁束が集中するのを抑え、突極35に磁束が集中することが確認できる。
図14、図15に示すように、磁石33の着磁の配向をパラレル配向とすることで、コギングを抑制するとともに、有効磁束が高まることが確認できる。
図17は、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させた場合(図17中、符号E)と、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させない場合(図17中、符号C)と、のそれぞれで、磁石33の着磁の配向をパラレル配向とした場合とラジアル配向とした場合の、磁束密度の最小値(MIN)を比較している。
同図に示すように、磁石33の外周面33aの曲率半径R1を、周方向中間部33cの半径R2に対して0.8以下とすることで、11次の高調波成分が1%未満に低減されることが確認できる。
さらに、図19は、磁石33の配向をパラレル配向、ラジアル配向としたときの、誘起電圧に含まれる高調波の含有率を示すグラフである。
同図に示すように、磁石33をパラレル配向とした方が、11次の高調波成分が低減されることが確認できる。
そして、図24に示すように、駆動電流に5次高調波を重畳することで、電気角で6次のトルクリップルが大幅に低減されることが確認できる。
上記実施形態に示した磁石33は、外周面33aが一定の曲率半径R1を有した形状を有しているが、これに限らない。
図25は、本発明の実施形態の変形例における磁石の形状を示す図である。
同図に示すように、磁石33Bは、外周面33aの周方向両側の端部33sにおいて、電気角θ2が10°以上18°以下の範囲に平面部37を有している。平面部37は、磁石33Bの外周面33aを平坦に形成してなる。
湾曲面38の曲率半径R3は、磁石33Bの外周面33aにおいて最も径方向外側に位置する周方向中間部33cにおける、シャフト31の軸心C1からの半径R2(図5参照)に対し、0.8倍よりも大きく、且つ0.9倍以下(0.8×R2<R3≦0.9×R2)とされている。
このように、磁石33Bの外周面33aの曲率半径を小さくするとともに、周方向両側の端部33sに平面部37を形成することによって、突極35を磁石33Bの周方向の端部33sよりも径方向外側に向かって突出させれば、トルクリップルの抑制効果が得られる。したがって、高い次数の高調波を、コイル24に電流を供給するコントローラ基板62のマイコンで演算して生成する必要が抑えられる。このため、コントローラ基板62に、処理負荷が高いマイコンを備える必要性が低くなり、コスト上昇を抑えることができる。よって、低コストでリップルを効果的に低減することが可能となる。
同図に示すように、磁石33の外周面33a(湾曲面38)の曲率半径R3を、周方向中間部33cの半径R2に対して0.8倍よりも大きく、且つ0.9倍以下に設定し、平面部37を電気角θ2で10°以上18°以下とすることで、11次の高調波成分が1%未満に低減されることが確認できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2…モータ部(モータ)
8…ステータ
9…ロータ
20…ステータコア
22…ティース
24…コイル
31…シャフト
32…ロータコア
33、33B…磁石
33a…外周面
33c…周方向中間部(周方向の中間部)
33s…端部
35…突極
35s…対向面
37…平面部
38…湾曲面
62…コントローラ基板(駆動回路部)
C1…軸心(回転軸線)
C2…中心
R1、R3…曲率半径
R2…半径(距離)
Claims (7)
- 環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータコアの径方向内側で回転軸線回りに回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
前記ロータコアの外周面に配置され、前記回転軸線回りの周方向両側の端部における前記径方向の厚さが、前記周方向の中間部における前記径方向の厚さよりも小さい磁石と、
前記ロータコアの前記外周面の前記周方向で隣り合う前記磁石の間に、前記磁石の前記周方向の前記端部よりも径方向外側に向かって突出形成された突極と、を備え、
前記磁石の磁極数と前記ティースの数との比は2n:3n(ただし、nは自然数)に設定されており、
前記磁石は、外周面の曲率半径が、前記磁石の前記外周面で最も径方向外側に位置する部位における、前記回転軸線からの距離に対し、0.8倍以下に設定されて おり、
前記突極は、前記周方向の両側において前記磁石の前記周方向の前記端部に対向する対向面を有し、
前記対向面は、互いに平行に形成されているとともに、前記磁石の前記周方向の前記端部と平行に形成されており、
前記コイルの誘起電圧に含まれる11次の高調波成分が1%未満である
ことを特徴とするモータ。 - 環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータコアの径方向内側で回転軸線回りに回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
前記ロータコアの外周面に配置され、前記回転軸線回りの周方向両側の端部における前記径方向の厚さが、前記周方向の中間部における前記径方向の厚さよりも小さい磁石と、
前記ロータコアの前記外周面の前記周方向で隣り合う前記磁石の間に、前記磁石の前記周方向の前記端部よりも径方向外側に向かって突出形成された突極と、を備え、
前記磁石の磁極数と前記ティースの数との比は2n:3n(ただし、nは自然数)に設定されており、
前記磁石は、外周面の曲率半径が、前記磁石の前記外周面で最も径方向外側に位置する部位における、前記回転軸線からの距離に対し、0.8倍よりも大きく、且つ0.9倍以下であるとともに、前記外周面の前記周方向両側の前記端部に、電気角10°以上18°以下の範囲に前記磁石の前記外周面が平坦な平面部を有 し、
前記突極は、前記周方向の両側において前記磁石の前記周方向の前記端部に対向する対向面を有し、
前記対向面は、互いに平行に形成されているとともに、前記磁石の前記周方向の前記端部と平行に形成されており、
前記コイルの誘起電圧に含まれる11次の高調波成分が1%未満である
ことを特徴とするモータ。 - 前記突極の前記径方向外側の端部における前記周方向の幅寸法は、電気角で40°以下に設定されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ。 - 前記突極の前記径方向外側の端部における前記周方向の幅寸法は、電気角20°以上に設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載のモータ。 - 前記磁石はフェライト磁石であるとともに、着磁の配向がパラレル配向であることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載のモータ。
- 前記コイルに、5次高調波を重畳した駆動電流を印加する駆動回路部をさらに備えることを特徴とする請求項1~請求項5の何れか1項に記載のモータ。
- 請求項1~請求項6の何れか1項に示すモータを備えたことを特徴とするブラシレスワイパーモータ。
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