JP2018183011A - 電動モータ及びブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、ステータの鎖交磁束を利用してロータを回転させる構成として、大きく2つに大別される。1つは、ロータコアに永久磁石を設ける構成である。この構成では、永久磁石の磁束とステータの鎖交磁束との間に生じる磁気的な吸引力や反発力を利用してロータを回転させる。
このように空洞部を形成することにより、ロータコアに、磁束の流れ易い方向と磁束の流れにくい方向とが形成される。このような構成のもと、電動モータは、空洞部によって発生するリラクタンストルクを利用し、ロータを回転させる。
また、突極内にも空洞部が形成されているので、この空洞部が磁路を遮断するフラックスバリヤとして機能し、主磁石の磁束が突極に漏出してしまうことを防止できる。このため、効果的に電動モータのモータ特性を高めることができる。
T1≧T2
を満たすように設定されていることを特徴とする。
0.05≦θ2/θ1≦0.33
を満たすように設定されていることを特徴とする。
また、突極内にも空洞部が形成されているので、この空洞部が磁路を遮断するフラックスバリヤとして機能し、主磁石の磁束が突極に漏出してしまうことを防止できる。このため、効果的に電動モータのモータ特性を高めることができる。
(減速機付モータ)
図1は、減速機付モータ1の斜視図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、減速機付モータ1は、例えば車両に搭載される電装品(例えば、ワイパ、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである。減速機付モータ1は、モータ部2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2の回転軸31の軸方向をいい、単に周方向という場合は、回転軸31の周方向をいい、単に径方向という場合は、回転軸31の径方向をいうものとする。
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ部2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接合されるように、このギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、ロータ9の回転軸31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
図3は、ステータ8及びロータ9の軸方向からみた平面図である。
図2、図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略正六角形となる筒状のコア部21と、コア部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本第1実施形態では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20を有している。
ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
図4は、図3のロータ9を拡大した図である。
同図に示すように、ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間S1を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、回転軸31と、回転軸31に外嵌固定されこの回転軸31を軸心C1とする略円柱状のロータコア32と、ロータコア32の外周面に設けられた4つの主磁石33と、ロータコア32に埋設されている4つの副磁石34と、を備えている。回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体成形されている(図2参照)。
また、ロータコア32の径方向略中央には、軸方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。この貫通孔32aに、回転軸31が圧入されている。なお、貫通孔32aに対して回転軸31を挿入とし、接着剤等を用いて回転軸31にロータコア32を外嵌固定してもよい。
このように形成されたロータコア32の外周面32bは、周方向で隣り合う2つの突極35の間が、それぞれ主磁石収納部36として構成されている。これら主磁石収納部36に、それぞれ主磁石33が配置され、例えば接着剤等によりロータコア32に固定される。
なお、突極35の外周面35aとティース22の内周面との間の微小隙間S1の大きさは、主磁石33の外表面33aの周方向中央とティース22の内周面との間の微小隙間S1の大きさとほぼ同一に設定されている。
さらに、ロータコア32には、各主磁石33の径方向内側(回転軸31側)に、それぞれ副磁石用スリット37が形成されている。この副磁石用スリット37に、副磁石34が収納され、例えば接着剤等によりロータコア32に固定される。
ここで、同図に示すように、主磁石33の周方向の角度(以下、主磁石角度という)をθ1とし、主磁石33の周方向端部33aと、副磁石用スリット37の長手方向両端37aで且つ近接する主磁石33側の縁部37dと、の間の周方向の角度(以下、突極角度という)をθ2としたとき、
主磁石角度θ1及び突極角度θ2は、
0.05≦θ2/θ1≦0.33 ・・・(1)
を満たすように設定されている。これについての詳細は、後述する。
ここで、同図に示すように、副磁石34の径方向に沿う断面の長手方向の周長は、副磁石用スリット37の径方向に沿う断面の長手方向の周長よりも若干短く設定されている。このため、副磁石用スリット37の長手方向両端37aには、副磁石34との間に僅かに空洞部38が形成される。この空洞部38は、副磁石34の磁束漏れを抑制するためのフラックスバリヤとして機能する。
T1max≧T2max ・・・(2)
を満たすように設定されている。これについての詳細は、後述する。
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであって、内周面に不図示の滑り軸受が設けられている。さらに、軸受ボス49の先端内周縁には、不図示のOリングが装着されている。これにより、軸受ボス49を介して外部から内部に塵埃や水が侵入してしまうことが防止される。また、軸受ボス49の外周面には、複数のリブ52が設けられている。これにより、軸受ボス49の剛性が確保されている。
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギヤケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
また、カバー63の外周部に、不図示のコネクタが一体成形されている。このコネクタは、不図示の外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。そして、不図示のコネクタの端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
次に、減速機付モータ1の動作について説明する。
減速機付モータ1は、不図示のコネクタを介してコントローラ基板62に供給された電力が、不図示のパワーモジュールを介してモータ部2の各コイル24に選択的に供給される。すると、ステータ8(ティース22)に所定の鎖交磁束が形成され、この鎖交磁束とロータ9の主磁石33、副磁石34、及び突極35とが作用し、ロータ9が継続的に回転する(詳細は後述する)。
ロータ9が回転すると、回転軸31と一体化されているウォーム軸44が回転し、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45が回転する。そして、ウォームホイール45に連結されている出力軸48が回転し、所望の電装品が駆動する。
不図示の外部機器は、ウォームホイール45の回転位置検出信号に基づいて、不図示のパワーモジュールのスイッチング素子等の切替えタイミングが制御され、モータ部2の駆動制御が行われる。なお、パワーモジュールの駆動信号の出力やモータ部2の駆動制御は、コントローラ部4で行われていても良い。
次に、図5、図7〜図13に基づいて、ロータ9の作用、効果について説明する。
図5に示すように、ロータコア32には、各主磁石33の径方向内側(回転軸31側)にそれぞれ副磁石34が設けられている。また、径方向で並ぶ対の主磁石33及び副磁石34は、それぞれ磁界の配向の向きがほぼ同一方向に向いている。このため、主磁石33の磁束の不足分を副磁石34で補う形になる。
ここで、ロータコア32内に形成されている副磁石用スリット37は、径方向に沿う断面の長手方向両端37aが、ロータコア32の突極35の周方向中央寄りで、且つ突極35の外周面35aの直近に至るまで延出するように形成されている。しかも、副磁石用スリット37は、径方向に沿う断面が径方向内側に向かって凸となるように略円弧状(瓦状)に形成されている。このように、副磁石用スリット37を、径方向内側に向かって凸となるように略円弧状に形成すると、ステータ8の鎖交磁束の流れに沿う。換言すれば、副磁石用スリット37は、q軸方向に沿って形成されている形になる。
このように、ロータコア32に発生するリラクタンストルクによってロータ9が回転しようとする。これに加え、主磁石33や副磁石34の磁束とステータ8の鎖交磁束との間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータ9が回転しようとする。このため、ロータ9は、大きな回転トルクを得ることができる。以下、より具体的に説明する。
同図に示すように、従来構造と比較して、本第1実施形態のロータコア32のトルク特性が向上していることが確認できる。
同図に示すように、主磁石33の配向がパラレル配向の場合に、ロータ9のコギングトルクを低減できることが確認できる。
図11は、縦軸をトルクリップル率[%]とし、横軸を、突極角度θ2を主磁石角度θ1で除した比率としたときのトルクリップル率[%]の変化を示すグラフである。
図10、図11に示すように、比率が0.06〜0.22の範囲にある場合に、トルクリップル率が小さくなることが確認できる。
同図に示すように、比率が0.13〜0.33の範囲にある場合に、トルクが大きくなることが確認できる。
このように、図10〜図12によって確認できるように、主磁石角度θ1及び突極角度θ2は、上記式(1)を満たすことが望ましい。
同図に示すように、主磁石33の最大肉厚T1max及び副磁石34の最大肉厚T2maxが、上記式(2)を満たす場合、つまり、主磁石33の最大肉厚T1maxを副磁石34の最大肉厚T2maxで除した値が1以上である場合、ロータコア32は、高い有効磁束量を得られることが確認できる。
これに加え、突極35内にも副磁石用スリット37(副磁石34)を介在させることにより、副磁石用スリット37(副磁石34)が磁路を遮断するフラックスバリヤとして機能する。このため、主磁石33の磁束が突極35に漏出してしまうことを防止でき、より効果的にモータ部2のモータ特性を高めることができる。
さらに、主磁石33の着磁の配向をパラレル配向とすることにより、ロータコア32の外周面32bでの磁束の向きを均一化できるので、ロータコア32の磁束を効率よく利用できる。すなわち、ロータコア32の有効磁束を高めることができ、コギングトルクを抑えることができる。
次に、図14に基づいて、第2実施形態について説明する。
図14は、第2実施形態におけるステータ8及びロータ209の軸方向からみた平面図であって、前述の図3に対応している。なお、前述の第1実施形態と同一態様には同一符号を付して説明を省略する(以下の変形例及び実施形態についても同様)。
同図に示すように、前述の第1実施形態と本第2実施形態との相違点は、第2実施形態では、1つの主磁石33の径方向内側に、2つの副磁石34,234が設けられている点にある。
第2の副磁石用スリット237は、径方向に沿う断面が径方向内側に向かって凸となるように略円弧状(瓦状)に形成されている。また、第2の副磁石用スリット237は、径方向に沿う断面の長手方向両端237aが、ロータコア232の外周面232b(主磁石収納部36)の直近に至るまで延出するように形成されている。
さらに、第2の副磁石234の肉厚をT22としたとき、第2の副磁石234の肉厚T22と副磁石34の最大肉厚T2maxは、
T2max≧T22 ・・・(2)
を満たすように設定されている。
図15は、第2実施形態の変形例におけるステータ8及びロータ209の軸方向からみた平面図であって、前述の図14に対応している。
上述の第2実施形態では、第2の副磁石用スリット237は、径方向に沿う断面の長手方向両端237aが、ロータコア232の外周面232b(主磁石収納部36)の直近に至るまで延出されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図15に示すように、ロータコア232及び第2の副磁石用スリット237を形成してもよい。
このように構成した場合、突極35の周方向の幅を広くする分、主磁石33の磁束量が減少するが、第2の副磁石234の磁束量を増大できると共に、より大きなリラクタンストルクを得ることができる。このため、前述の第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
次に、図16に基づいて、第3実施形態について説明する。
図16は、第3実施形態におけるステータ8及びロータ309の軸方向からみた平面図であって、前述の図3に対応している。
同図に示すように、前述の第1実施形態と本第3実施形態との相違点は、第3実施形態では、1つの主磁石33の径方向内側に配置された副磁石334が、周方向に2分割に構成されて第1副磁石334a及び第2副磁石334bの2つの副磁石334a,334bで構成されている点にある。
そして、センターブリッジ50によって、副磁石用スリット337が2つの小副磁石用スリット338,339に区画されている。これら2つの小副磁石用スリット338,339に、それぞれ副磁石334a,334bが収納され、例えば接着剤等によりロータコア332に固定される。
また、副磁石用スリット337にセンターブリッジ50を設けることにより、副磁石用スリット337を形成することによるロータコア332の剛性の低下を抑制できる。このため、例えば、ロータ309を高速回転させた際、遠心力によってロータコア332が変形してしまうことを抑制でき、信頼性の高いロータ309を提供できる。
例えば、上述の実施形態では、減速機付モータ1は、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな用途に減速機付モータ1を使用することができる。
また、副磁石用スリット37,237,337に磁性樹脂を充填し、この樹脂を副磁石34,234,334a,334bとして構成してもよい。
例えば、各副磁石用スリット37,237,337を、径方向に沿う断面が径方向内側に向かって凸となるように、略V字状に形成し、これに対応するように、副磁石34,234,334a,334bを形成してもよい。
8…ステータ
9,209,309…ロータ
20…ステータコア
22…ティース
24…コイル
31…回転軸(シャフト)
32,232,33…ロータコア
33…主磁石
34…副磁石
35…突極
37,337…副磁石用スリット(空洞部)
37a,237a,337a…長手方向両端
234…第2の副磁石(副磁石)
237…第2の副磁石用スリット(空洞部)
334a…第1副磁石(副磁石)
334b…第2副磁石(副磁石)
338,339…小副磁石用スリット(空洞部)
C1…軸心(回転軸線)
Claims (7)
- 環状のステータコア、及び該ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータコアの径方向内側で回転軸線回りに回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
前記ロータコアの外周面に配置される主磁石と、
前記ロータコアの前記外周面の周方向で隣り合う前記主磁石の間に、径方向外側に向かって突出形成され、前記ティースに形成される鎖交磁束が通過可能な突極と、
前記ロータコアに形成され、周方向で隣接する2つの前記突極の間に跨るように、且つ前記回転軸線に直交する断面が径方向内側に向かって凸となるように形成された空洞部と、
を備え、
前記空洞部の前記断面の長手方向両端は、前記突極内に延出されている
ことを特徴とする電動モータ。 - 前記空洞部は、湾曲形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。 - 前記空洞部内に、副磁石が収納されており、
前記主磁石の着磁の配向と、対応する前記主磁石に近接配置された前記副磁石の配向とが同一方向を向いている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動モータ。 - 前記主磁石の径方向の肉厚をT1とし、
前記副磁石の径方向の肉厚をT2としたとき、
T1≧T2
を満たすように設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電動モータ。 - 前記主磁石の周方向の角度をθ1とし、
前記主磁石の周方向端部と、前記空洞部の径方向外側端で且つ近接する前記主磁石の周方向端部側縁と、の間の周方向の角度をθ2としたとき、
角度θ1,θ2は、
0.05≦θ2/θ1≦0.33
を満たすように設定されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の電動モータ。 - 前記主磁石は、パラレル配向に着磁されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電動モータ。 - 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の電動モータを備えたことを特徴とするブラシレスモータ。
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