JP7077153B2 - モータ及びブラシレスワイパーモータ - Google Patents
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Description
また、ロータに永久磁石を配置するもう1つの方式として、ロータコアの外周面に永久磁石を配置する方式(SPM:Surface Permanent Magnet)がある(例えば、特許文献1参照)。
SPM方式のモータにおいては、電流供給の進角化と広角化を図れば、高回転化を図ることができる。電流供給の広角化とは、交互に供給する3相の各相の電流の供給タイミングを互いにラップさせ、120°以上に広角化させることである。このようにして、進角通電及び広角通電による弱め界磁を用いることで、モータの高回転化を図ることができる。
このようなSPM方式のモータにおいて、高トルク化を図るには、磁石の使用量を増やす必要があり、磁石コストが高いという問題がある。
すなわち、本発明のモータは、環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、前記ティースに巻回されるコイルと、前記ステータコアの径方向内側で回転軸線回りに回転するシャフトと、前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、前記ロータコアの外周面に配置され、前記回転軸線回りの周方向両側の端部における前記径方向の厚さが、前記周方向の中間部における前記径方向の厚さよりも小さい磁石と、前記ロータコアの前記外周面の周方向で隣り合う前記磁石の間に、前記磁石の周方向の端部よりも径方向外側に向かって突出形成された突極と、を備え、前記突極の前記径方向外側の端部における周方向の幅寸法は、電気角で40°以下に設定されており、前記磁石の磁極数と前記ティースの数との比は、2:3に設定されており、前記突極の前記径方向外側の端面に、前記回転軸線方向に沿って溝部を1つ形成し、前記溝部は、径方向内側に向かうに従って周方向の幅が徐々に狭くなるように形成されており、前記周方向両側で前記磁石の端部に対向する前記突極の一対の突極側対向面は、互いに平行に形成されており、前記周方向における前記溝部の幅は、前記周方向における前記一対の突極側対向面の間の幅よりも小さいことを特徴とする。
また、フェライト磁石の周方向の端部の厚さを、周方向の中間部の厚さより小さくするとともに、突極をフェライト磁石よりも径方向外側に突出させることで、磁束が突極に集中するため、減磁界がフェライト磁石の端部に作用しにくくなる。
また、突極の電気角を40°以下として、周方向における突極の幅寸法を小さくすることで、q軸方向におけるインダクタンス値を小さくすることができ、減磁界を抑えることができる。
このようにして、モータの高トルク化、トルクリップルの抑制、コギングの抑制を図ることができる。また、このようなモータにおいては、進角通電と広角通電とを行うことで、高回転化を図ることができる。
また、突極の径方向内側の根元部の幅寸法が大きく、径方向外側の先端部の幅寸法が小さい台形状であると、周方向で隣り合う突極どうしの間に配置されるフェライト磁石の周方向両側の端部が薄くなり、減磁が生じやすくなる。また、突極の根元部の幅寸法が小さく、先端部の幅寸法が大きい台形状であると、突極で磁束密度が飽和しやすい。これに対し、突極を、周方向両側の対向面を互いに平行に形成することで、減磁も生じにくく、磁束密度の飽和も抑えることができる。
さらに、突極の径方向外側の端面に溝部があることで、突極の径方向外側の端面全体でみたとき、この端面とティースとの間隔を不均一にすることができる。
この結果、ロータ回転中に突極がティース間を通過する前後でティースに生じる磁束密度の急激な上昇を抑制できる。このため、ロータの急激なトルク変動を低減でき、トルクリップルを低下させることができる。
また、本発明のモータは、前記突極には、前記突極側対向面、及び該突極側対向面と対向する前記磁石の磁石側対向面のそれぞれで、且つ前記突極の前記径方向外側の端部に対応する箇所を避けた位置に、前記突極と前記磁石とを嵌合させる凹凸嵌合部が設けられていることが好ましい。
また、ロータ外周面における突極が占める割合をできる限り小さく抑えることができる。この結果、コギングトルクを低減できる。
さらに、ボンド磁石を用いることで、凹凸嵌合部の成形が容易になる。また、これに加え、ボンド磁石には磁性体の他に樹脂が混合されるので、磁石の径方向寸法を大きくしても、同じ磁性体を焼結させた磁石と比較して、磁石使用量増加にともなう質量の増加を抑えることができる。
また、磁石の周方向の端部よりも径方向外側に向かって突極を突出させることにより、磁石の磁束を突極に集中させることができる。このため、磁石の端部に減磁界が作用しにくくなるようにすることができる。
ここで、突極に溝部が形成されることにより、突極に集中する磁束が僅かに低減されてしまう。このため、溝部の溝深さを制限することにより、突極にできる限り磁束を集中させることができ、高いリラクタンストルクを確保できる。
(ワイパーモータ)
図1は、ワイパーモータ1の斜視図である。図2は、図1のA-A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、ワイパーモータ(ブラシレスワイパーモータ)1は、例えば車両に搭載されるワイパの駆動源となる。ワイパーモータ1は、モータ部(モータ)2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2のシャフト31の回転軸線方向をいい、単に周方向という場合は、シャフト31の周方向をいい、単に径方向という場合は、シャフト31の径方向をいうものとする。
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ部2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接合されるように、このギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、ロータ9のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
図3は、ステータ8及びロータ9を軸方向からみた平面図である。
図2、図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略円形となる筒状のコア部21と、コア部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本第1参考例では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20を有している。
ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、減速部3を構成するウォーム軸44(図2参照)と一体成形されたシャフト31と、シャフト31に外嵌固定されこのシャフト31を軸心C1とする略円柱状のロータコア32と、ロータコア32の外周面に設けられた4つの磁石33と、を備えている。このように、モータ部2において、磁石33の磁極数とスロット19(ティース22)の数との比は、4:6である。
また、ロータコア32の径方向略中央には、軸方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。この貫通孔32aに、シャフト31が圧入されている。なお、貫通孔32aに対してシャフト31を挿入とし、接着剤等を用いてシャフト31にロータコア32を外嵌固定してもよい。
このように形成されたロータコア32の外周面32bは、周方向で隣り合う2つの突極35の間が、それぞれ磁石収納部36として構成されている。これら磁石収納部36に、それぞれ磁石33が配置され、例えば接着剤等によりロータコア32に固定される。
図3、図4に示すように、磁石33は、シャフト31の軸心C1回りの周方向両側の端部33sにおける径方向の厚さが、周方向中間部33cにおける径方向の厚さよりも小さくなるように形成される。すなわち、図3に詳示するように、磁石33は、径方向外側の外周面33aの曲率半径R1が、磁石33の径方向内側の内周面33bの曲率半径R2が小さく設定されている。このため、磁石33の径方向外側の外周面33aとティース22の内周面との間の微小隙間は、磁石33の周方向中央が最も小さく、この周方向中央から周方向に離間するに従って徐々に大きくなる。
なお、突極35の径方向外側の端部35tにおける周方向の幅寸法とは、突極35に丸面取り部35aが形成されていないとした場合の周方向の両角部35b間の幅寸法をいう。以下の説明では、突極35における径方向外側の端部35tにおける周方向の幅寸法を、単に突極35の径方向における幅寸法と称して説明する。
また、磁石33を上記のように形成することにより、この磁石33の最大外径と突極35の最大外径とが同一寸法でありながら、突極35が磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出されている。
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギヤケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
また、カバー63の外周部に、コネクタ11が一体成形されている。このコネクタ11は、不図示の外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。そして、コネクタ11の不図示の端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
次に、ワイパーモータ1の動作について説明する。
ワイパーモータ1は、コネクタ11を介してコントローラ基板62に供給された電力が、不図示のパワーモジュールを介してモータ部2の各コイル24に選択的に供給される。ここで、コントローラ基板62は、コイル24に対し、進角通電と、電気角θが121°から180°の広角通電とを行う。また、コントローラ基板62は、コイル24の駆動電圧に、5次高調波を重畳している。
ロータ9が回転すると、シャフト31と一体化されているウォーム軸44が回転し、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45が回転する。そして、ウォームホイール45に連結されている出力軸48が回転し、所望の電装品が駆動する。
次に、図5~図16に基づいて、ロータ9の作用、効果について説明する。
モータ部2は、ロータコア32の外周面32bに、磁石33を配置した、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)モータである。このため、d軸方向のインダクタンス値を小さくすることができる。ここで、ロータ9において、d軸方向のインダクタンス値を、さらに小さくするには、磁石33の径方向の寸法を大きくする必要がある。本第1参考例において、磁石33は、フェライト磁石からなるので、磁石33の径方向の寸法を大きくして磁石使用量を増加させても、希土類磁石に比較し、コスト上昇を大幅に抑えることができる。
同図に示すように、従来構造と比較して、本第1参考例のロータ9は、q軸、d軸とも、インダクタンス値が小さくなっていることが確認できる。
同図に示すように、従来構造と比較して、本第1参考例のロータ9は、より高いトルク、回転数を発生していることが確認できる。
図8は、縦軸をロータ9のリップル率[%]とし、横軸をロータコア32の突極35の突極幅[mm]としたときのロータ9のリップル率の変化を示すグラフである。より具体的には、図8は、突極35の幅寸法を異ならせた場合に、本第1参考例のロータ9で発生するリップル率を示すグラフである。
図9は、縦軸をロータ9のコギング[mN・m]とし、横軸をロータコア32の突極35の突極幅[mm]としたときのロータ9のコギングの変化を示すグラフである。より具体的には、図9は、突極35の幅寸法を異ならせた場合に、本第1参考例のロータ9で発生するコギングを示すグラフである。
同図に示すように、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させない場合に比較し、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させた場合は、磁束密度が高く、減磁しにくいことが確認できる。
この図12に示すように、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させない場合に比較し、図11に示すように、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させた場合は、磁石33の端部33sに磁束が集中するのを抑え、突極35に磁束が集中することが確認できる。
図13、図14に示すように、磁石33の着磁の配向をパラレル配向とすることで、コギングを抑制するとともに、有効磁束が高まることが確認できる。
図16は、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させた場合(図16中、符号E)と、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させない場合(図16中、符号C)と、のそれぞれで、磁石33の着磁の配向をパラレル配向とした場合とラジアル配向としたときの、磁束密度の最小値(MIN)を比較している。
また、突極35を磁石33の周方向の端部33sよりも径方向外側に突出させることで、磁束が突極35に集中するため、減磁界が磁石33の端部33sに作用しにくくなる。
また、突極35の電気角θを40°以下に設定して、周方向における突極35の幅寸法を小さくすることで、q軸方向におけるインダクタンス値を小さくすることができ、減磁界を抑えることができる。
このようにして、モータ部2の高トルク化、トルクリップルの抑制、コギングの抑制を図ることができる。また、このようなモータ部2においては、進角通電と広角通電とを行うことで、高回転化を図ることができる。したがって、コスト上昇を抑えつつ、高回転化及び高トルク化を図ることが可能となる。
このような構成によれば、減磁が生じにくく、磁束密度の飽和を抑えることができる。
このような構成によれば、突極35の電気角θを20°以上として、径方向における幅寸法を一定以上に確保することによって、磁束が突極35に集中することで、減磁界が磁石33の端部33sに作用しにくくなるという効果を、確実に得ることができる。また、突極35の電気角θを20°以上40°以下に設定することで、高いリラクタンストルクを得ることができる。
次に、図17、図18に基づいて、第1参考例の変形例について説明する。
図17は、第1参考例の変形例におけるステータ8及びロータ9を軸方向からみた平面図であって、前述の第1参考例の図3に対応している。
同図に示すように、本変形例では、突極35の径方向外側の端部35tに、周方向に延びる凸部91が形成されている。この点、凸部91が形成されていない前述の第1参考例の突極35と異なる点である。
ところで、図18の矢印に示すように、突極35の凸部91により磁石33の端部33sを覆うと、この磁石33の端部33sの磁束が、凸部91を通って突極35に漏れてしまう可能性がある。このような場合、磁石33のティース22に向かう有効磁束が減少してしまう。さらに、ロータ9の外周面において、突極35が占める割合が大きくなることで、コギングが大きくなってしまう虞がある。そこで、後述する第2参考例が有効である。
次に、図19~図21に基づいて、この発明の第2参考例について説明する。なお、第1参考例と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の参考例、実施形態及び変形例についても同様)。
図19は、本発明の第2参考例におけるステータ8及びロータ209を軸方向からみた平面図であって、前述の第1参考例の図3に対応している。
同図に示すように、第1参考例と第2参考例との相違点は、第1参考例の磁石33はフェライト磁石であるのに対し、第2参考例の磁石233はボンド磁石である点にある。ボンド磁石としては、例えば、ネオジムボンド磁石等が挙げられる。
また、第2参考例には、突極235及び磁石233に、それぞれ凹凸嵌合部290が設けられている。この点、前述の第1参考例と相違する点である。凹凸嵌合部290について、以下に詳述する。
同図に示すように、突極235には、磁石233の周方向の端部233sに対向する2つの対向面235sに、それぞれ凸部291が1つずつ磁石233に向かって(周方向に向かって)突出形成されている。また、凸部291は、軸方向全体に渡って形成されている。さらに、凸部291は、突極235の径方向外側の端部235tを避けるように、径方向中央よりもやや径方向外側寄りに配置されている。
なお、予め磁石233を成型せずに、ロータコア232を不図示の金型に配置し、溶融された磁石233を不図示の金型に流し込み、この後、磁石233を硬化させて成型(インサート成型)するようにしてもよい。
さらに、前述の第1参考例の変形例と同様の効果に加え、図21の矢印に示すように、突極235(第1参考例の変形例における凸部91)への磁石233の磁束の漏れを防止できる。この結果、磁石233のティース22に向かう有効磁束の減少を抑制でき、ロータ209のコギングが大きくなってしまうことを防止できる。
図22、図23に示すように、第1参考例の変形例と比較して、第2参考例のコギングが抑制されるとともに、有効磁束が高められることが確認できる。
次に、図24に基づいて、第2参考例の第1変形例について説明する。
図24は、第2参考例の第1変形例におけるステータ8及びロータ209を軸方向からみた平面図であって、前述の第2参考例の図19に対応している。
同図に示すように、突極235の凸部291は、軸方向に直交する断面が略半円形状となるように形成されている。一方、磁石233の凹部292は、凸部291の形状に対応するように軸方向に直交する断面が略半円形状となるように形成されている。
また、凸部291を軸方向に直交する断面で略半円状に形成することにより、凸部291の周方向先端に向かうに従って、凸部291の径方向の幅が小さくなる。このため、凹部292を形成した場合であっても、磁石233の体積をできる限り大きくすることができ、この分、磁石233の有効磁束を高めることができる。
図25は、第2参考例の第2変形例におけるステータ8及びロータ209を軸方向からみた平面図であって、前述の第2参考例の図19に対応している。
同図に示すように、突極235の凸部291は、軸方向に直交する断面が略三角形状となるように形成されている。一方、磁石233の凹部292は、凸部291の形状に対応するように軸方向に直交する断面が略三角形状となるように形成されている。
このように形成した場合であっても、前述の第2参考例の第1変形例と同様の効果を奏する。
図26は、第2参考例の第3変形例におけるステータ8及びロータ209を軸方向からみた平面図であって、前述の第2参考例の図19に対応している。
同図に示すように、第2参考例と第2参考例の第3変形例との相違点は、第2参考例の凸部291及び凹部292は、突極235の2つの対向面235s及び磁石233の対向面233uにそれぞれ1つずつ形成されているのに対し、第2参考例の第3変形例の凸部291及び凹部292は、突極235の2つの対向面235s及び磁石233の対向面233uにそれぞれ2つずつ形成されている点にある。
図27は、第2参考例の第4変形例におけるロータコア232の斜視図である。
同図に示すように、第2参考例の第4変形例において、ロータコア232の突極235の対向面235sには、軸方向両端部のみに、凸部291が設けられている。換言すれば、ロータコア232の突極235の対向面235sには、軸方向中央の大部分に凸部291が設けられていない。
また、突極235の軸方向両端部のみに凸部291が設けられているので、磁石233(図27においては不図示)の軸方向中央の大部分に、凸部291に嵌合させるための凹部292(図27においては不図示)を形成する必要がない。すなわち、磁石233は、磁束の通りやすい軸方向中央の大部分の体積を大きく設定できる。このため、磁石233の有効磁束をさらに増加させることができる。
また、上述の第2参考例、及びこの第2参考例の第1~第4の変形例では、ロータコア232の突極235に凸部291を設け、磁石233に凸部291に嵌合する凹部292を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ロータコア232の突極235に凹部292を設け、磁石233に凸部291を設けてもよい。ここで、突極235の周方向の突極幅は、約5mm程度に設定される場合がある。このように突極235の周方向の突極幅が小さい場合、突極235に凸部291を設けることが望ましい。このように構成することで、突極235の耐久性を向上できる上、突極35への磁束の通りを向上できる。
次に、図28~図31に基づいて、この発明の実施形態について説明する。
図28は、本発明の実施形態におけるステータ8及びロータ309を軸方向からみた平面図であって、前述の第1参考例の図3に対応している。
同図に示すように、前述の第1参考例と本実施形態との相違点は、前述の第1参考例のロータコア32における突極35の径方向外側の端部35tの形状と、本実施形態のロータコア332における突極335の径方向外側の端部335tの形状とが異なる点にある。以下、詳述する。
同図に示すように、突極335の径方向外側の端部335tには、周方向略中央に、溝部391が軸方向全体に渡って形成されている。また、溝部391は、径方向内側に向かうに従って周方向の溝幅が徐々に狭くなるように、略V溝状に形成されている。さらに、溝部391の径方向の溝深さH1は、溝部391の底部391aが、突極335を挟んで両側に位置する2つの磁石33の端部33sにおける径方向外側の外周面の角部33k同士を結ぶ直線L1よりも径方向内側に位置するように設定されている。
図30(a)、図30(b)に示すように、前述の第1参考例と比較して、本実施形態では、ロータ309の回転に伴ってティース22(鍔部102)に生じる磁束密度の急激な上昇が抑制されていることが確認できる。
同図に示すように、前述の第1参考例と比較して、本実施形態のトルクの変動が抑制できていることが確認できる。
図32~図35は、その他の突極の形状の一例を示し、それぞれ(a)は、ロータの一部拡大図であり、(b)は、縦軸をロータのトルク[N・m]とし、横軸をロータの回転角[deg]としたときのトルク[N.m]の変化を示すグラフである。
また、図33(a)に示すように、突極335の端部335tを、径方向外側に凸となるように軸方向からみて略円弧状に形成した場合、図33(b)に示すように、第1参考例と比較してトルクの変動が大きくなることが確認できる。
また、図35(a)に示すように、突極335の端部335tに、3つの溝部391を形成した場合も同様で、図35(b)に示すように、第1参考例と比較してトルクの変動が大きくなることが確認できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2…モータ部(モータ)
8…ステータ
9,209,309…ロータ
20…ステータコア
21…コア部
22…ティース
24…コイル
31…シャフト
32,232,332…ロータコア
32b…外周面
33,233…磁石
33a…外周面
33c…周方向中間部(周方向の中間部)
33k…角部
33s…端部
35,235,335…突極
35s,235s…対向面(突極側対向面)
233u…対向面(磁石側対向面)
290…凹凸嵌合部
291…凸部(凹凸嵌合部)
292…凹部(凹凸嵌合部)
391…溝部
391a…底部
L1…直線
Claims (7)
- 環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータコアの径方向内側で回転軸線回りに回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
前記ロータコアの外周面に配置され、前記回転軸線回りの周方向両側の端部における前記径方向の厚さが、前記周方向の中間部における前記径方向の厚さよりも小さい磁石と、
前記ロータコアの前記外周面の周方向で隣り合う前記磁石の間に、前記磁石の周方向の端部よりも径方向外側に向かって突出形成された突極と、
を備え、
前記突極の前記径方向外側の端部における周方向の幅寸法は、電気角で40°以下に設定されており、
前記磁石の磁極数と前記ティースの数との比は、2:3に設定されており、
前記突極の前記径方向外側の端面に、前記回転軸線方向に沿って溝部を1つ形成し、
前記溝部は、径方向内側に向かうに従って周方向の幅が徐々に狭くなるように形成されており、
前記周方向両側で前記磁石の端部に対向する前記突極の一対の突極側対向面は、互いに平行に形成されており、
前記周方向における前記溝部の幅は、前記周方向における前記一対の突極側対向面の間の幅よりも小さい
ことを特徴とするモータ。 - 前記周方向で前記突極側対向面と対向する前記磁石の磁石側対向面で、且つ前記径方向外側には、前記磁石の前記径方向外側の外周面に向かうに従って漸次前記突極から離間するように斜面が形成されており、
前記斜面と前記突極とは非接触であり、
前記溝部の溝深さは、前記溝部の底部の位置が、前記突極を挟んで両側に位置する前記磁石の前記周方向両側の端部における径方向外側の外周面側の角部同士を結ぶ直線よりも前記径方向内側で、且つ前記周方向で隣り合う2つの前記磁石に形成された前記斜面の前記径方向内側端の角部同士を結ぶ直線上、又は前記直線よりも前記径方向外側に位置するように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。 - 前記突極には、前記突極側対向面、及び該突極側対向面と対向する前記磁石の磁石側対向面のそれぞれで、且つ前記突極の前記径方向外側の端部に対応する箇所を避けた位置に、前記突極と前記磁石とを嵌合させる凹凸嵌合部が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ。 - 前記突極、及び前記磁石の前記回転軸線方向の中央部を避けた前記回転軸線方向の両端部のみに、それぞれ前記凹凸嵌合部が設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のモータ。 - 前記突極の前記径方向外側の端部における周方向の幅寸法は、電気角20°以上に設定されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のモータ。 - 前記磁石の着磁の配向はパラレル配向である
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のモータ。 - 請求項1から請求項6の何れか一項に示すモータを備えたことを特徴とするブラシレスワイパーモータ。
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