JP6768259B2 - ロータ及び電動モータ - Google Patents

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本発明は、ロータ及び電動モータに関するものである。
電動モータの中には、コイルが巻回されたティースを有するステータと、ステータの径方向内側に回転自在に設けられたロータと、を備えたブラシレスモータがある。ステータには、コイルに給電を行うことにより鎖交磁束が形成される。ロータは、回転軸と、この回転軸に外嵌固定される略円柱状のロータコアと、ロータコアに設けられた永久磁石と、を有している。そして、ステータに形成された鎖交磁束とロータコアに設けられた永久磁石との間に磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータが継続的に回転する。
ここで、ロータに永久磁石を配置する方式としては、ロータコアにスリットを複数形成し、スリット内に永久磁石を配置する永久磁石埋込方式(IPM:Interior Permanent Magnet)が知られている。
また、近年では、IPMモータの中でも、ロータコア内に径方向に沿うように(放射状に)永久磁石を配置し、永久磁石に磁気異方性の強い形状を持たせることによって大きなリラクタンストルクを発生させるPMR(Permanent Magnetic Reluctance)モータが知られている。また、この種のモータは、周方向に隣り合う永久磁石の間のロータコアに永久磁石の磁束を収束させ、高いトルクを得ることが可能である。
特開平11−89133号公報 特開2010−4722号公報
ところで、上述の従来技術にあっては、周方向に隣り合う永久磁石の間のロータコアに、ステータで形成された鎖交磁束が通る。このため、永久磁石により形成される磁束がステータの鎖交磁束の影響を受け、モータ特性が低下してしまう負荷領域ができてしまう可能性があった。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮できるロータ及び電動モータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るロータは、回転軸線回りに回転するシャフトと、前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、前記ロータコア内に設けられ、前記回転軸線に直交する断面形状が前記ロータコアの前記径方向に沿うように、且つ放射状に配置される複数の永久磁石と、を備え、前記ロータコアは、前記径方向における前記回転軸線と各前記永久磁石との間に2つずつ設けられ、前記ロータコアの周方向における各前記永久磁石の両端に設けられた空洞部と、前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間で、且つ前記周方向で隣り合う2つの前記空洞部の間に設けられ、前記径方向に沿って延出されたブリッジ部と、前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間の中央に設けられ、前記回転軸線に直交する断面形状が前記径方向に沿って延出されたセンタースリットと、を備え、前記センタースリットの延出方向の延長線上に前記ブリッジ部が配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、ロータコアに設けられた永久磁石の磁束の磁路となるd軸の磁路は、センタースリットによって遮断されることがない。これに対し、センタースリットによって、ステータで形成される鎖交磁束のロータコア側での磁路となるq軸(d軸に直交する軸)の磁路が遮断される。このため、ロータコアに、q軸の磁束が形成されにくくなる。よって、d軸の磁束への鎖交磁束(q軸の磁束)の影響を受けにくくすることができ、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮できる。
本発明に係るロータは、前記ロータコアには、前記永久磁石によって形成される外周面の磁束密度が、前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間の中央に向かうほど大きくなるように、複数のサイドスリットが形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ロータコアにおいて、複数のサイドスリットによってq軸の磁路が複数個所で遮断される。このため、ロータコアに、q軸の磁束がより確実に形成されにくくなる。この結果、d軸の磁束への鎖交磁束(q軸の磁束)の影響をより確実に受けにくくすることができ、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮できる。
また、ロータコアの外周面において、周方向で隣り合う2つの永久磁石の間の中央(以下、1極当りのロータコアの周方向中央という)に永久磁石の磁束を誘導し、1極当りのロータコアの周方向中央の磁束密度をできるかぎり高くすることができる。さらに、ロータコアの外周面において、永久磁石に近接するほどこの永久磁石の磁束密度を低くできる。つまり、ロータコアの外周面に形成される磁束密度の正弦波形のピーク幅が狭くなり突極性が向上するので、電動モータのトルク性能を向上できる。
本発明に係るロータにおいて、前記複数のサイドスリットは、前記回転軸線に直交する断面形状が前記永久磁石の前記周方向側面の直近から前記ロータコアの外周面に向かって延びるように形成されており、前記センタースリットと前記サイドスリットとの間の隙間は、前記ロータコアの外周面側の隙間よりも前記永久磁石の前記直近側の隙間が大きく設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、1極当りのロータコアの周方向中央に、永久磁石の磁束を確実に誘導できる。このため、1極当りのロータコアの周方向中央の磁束密度を確実に高くすることができる。このため、電動モータのトルク性能を確実に向上できる。
本発明に係るロータにおいて、前記サイドスリットは、前記回転軸線に直交する断面形状が湾曲形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ロータコアの外周面に形成される磁束密度の正弦波形のピーク幅をより確実に狭くでき、突極性を確実に向上できる。このため、電動モータのトルク性能をより確実に向上できる。
本発明に係るロータにおいて、前記サイドスリットは、前記回転軸線に直交する断面形状が前記センタースリットに向かって凸となるように湾曲形成されており、前記サイドスリットの前記断面形状において、前記永久磁石の前記周方向側面の直近側の延出方向は、該永久磁石の前記周方向側面に対して直交する方向に沿っており、前記ロータコアの外周面側の延出方向は、前記センタースリットの延出方向に沿っていることを特徴とする。
このように構成することで、1極当りのロータコアの周方向中央に、永久磁石の磁束を確実に誘導できる。このため、1極当りのロータコアの周方向中央の磁束密度を確実に高くすることができる。また、ロータコアの外周面に形成される磁束密度の正弦波形のピーク幅をより確実に狭くでき、より確実に突極性を向上できる。よって、電動モータのトルク性能をより確実に向上できる。
本発明に係るロータにおいて、前記永久磁石は、前記回転軸線に直交する断面形状が前記径方向内側に向かうに従って前記周方向の幅が漸次広くなるように台形状に形成されていることを特徴とする。
このように、永久磁石を台形状とすることにより、永久磁石の径方向内側へ漏れる磁束を低減することが可能になる。また、周方向で隣り合う永久磁石同士を近づけることなく、1極当りのロータコアの周方向中央に磁束を集中させることができる。このため、電動モータのモータ特性を向上できる。
本発明に係るロータにおいて、前記ロータコアには、前記永久磁石によって形成される外周面の磁束密度が、前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間の中央に向かうほど大きくなるように、複数のサイドスリットが形成され、前記サイドスリットは、前記センタースリットの前記周方向両側において、前記センタースリット側に配置された第1サイドスリットと、前記永久磁石側に配置された第2サイドスリットと、の2つずつ設けられており、前記回転軸線に直交する断面において、前記センタースリットおよび前記サイドスリットの延出方向に沿う長さは、前記第2サイドスリットより前記第1サイドスリットの方が長く設定されており、前記第1サイドスリットより前記センタースリットの方が長く設定されていることを特徴とする。
本発明に係るロータにおいて、前記ロータコアは、前記永久磁石が収納された磁石収納部を有し、前記空洞部と前記磁石収納部とが連通されていることを特徴とする。
本発明に係る電動モータは、上記に記載のロータと、前記ロータの外周を取り囲むように環状に形成され、磁界を発生させるためのコイルが巻回される複数のティースを有するステータと、を備えたことを特徴とする。
このように構成することで、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮可能な電動モータを提供できる。
本発明によれば、センタースリットによって、ロータコアのq軸の磁路を遮断できる。このため、ロータコアに、q軸の磁束が形成されにくくなり、d軸の磁束への鎖交磁束(q軸の磁束)の影響を受けにくくすることができる。よって、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮できる。
本発明の実施形態における減速機付モータの斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施形態におけるステータ及びロータの軸方向からみた平面図である。 図3のロータを拡大した図である。 図4のB部拡大図である。 本発明の実施形態におけるティース及びロータコアの磁束ベクトルを示す図である。 従来のロータコアにおけるティース及びロータコアの磁束ベクトルを示す図である。 本発明の実施形態におけるティース及びロータコアのそれぞれに形成される磁束の磁束密度を示す図である。 ロータコアに、センタースリットと平行に各サイドスリットが形成されている場合において、ティース及びロータコアのそれぞれに形成される磁束の磁束密度を示す図である。 本発明の実施形態におけるロータコアの外周面に形成される三相分の鎖交磁束の変化を示すグラフである。 従来のロータコアの外周面に形成される三相分の鎖交磁束の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態におけるロータと従来のロータとの回転数とトルクの変化を示すグラフである。 本発明の実施形態の変形例におけるロータコアの軸方向からみた平面図であって、(a)はスリット数1本、(b)はスリット数3本、(c)はスリット数5本を示す。 本発明の実施形態におけるロータコアに形成されるスリット毎の有効磁束の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態におけるロータコアに形成されるスリット毎の回転数とトルクの変化を示すグラフである。 本発明の実施形態の変形例におけるロータコアの軸方向からみた平面図である。 本発明の実施形態におけるロータコアに形成されるスリット毎のトルクと回転角度の変化を示すグラフである。 図17の横軸の目盛を小さくし、ロータコアに形成されるスリット毎に比較したグラフである。 本発明の実施形態におけるロータコアに形成されるスリット毎、及び従来のロータコアのトルクリップル率を比較したグラフである。 本発明の実施形態の変形例におけるステータ及びロータの軸方向からみた平面図である。 本発明の実施形態の変形例におけるステータ及びロータの軸方向からみた平面図である。 本発明の実施形態の変形例におけるステータ及びロータの軸方向からみた平面図である。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(減速機付モータ)
図1は、減速機付モータ1の斜視図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、減速機付モータ1は、例えば車両に搭載される電装品(例えば、ワイパ、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである。減速機付モータ1は、モータ部2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2の回転軸31の軸方向をいい、単に周方向という場合は、回転軸31の周方向をいい、単に径方向という場合は、回転軸31の径方向をいうものとする。
(モータ部)
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。
(モータケース)
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接合されるように、このギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、ロータ9の回転軸31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
また、第1モータケース6の開口部6aに、嵌合部16が形成されていると共に、第2モータケース7の開口部7aに、嵌合部17が形成されている。これら嵌合部16,17同士をインロー嵌合させて内部空間を有するモータケース5を形成している。そして、モータケース5の内部空間に、第1モータケース6及び第2モータケース7に内嵌されるようにステータ8が配置されている。
(ステータ)
図3は、ステータ8及びロータ9の軸方向からみた平面図である。
図2、図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略正六角形となる筒状のコア部21と、コア部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20を有している。
ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ティース22は、コア部21の内周面から径方向に沿って突出するティース本体101と、ティース本体101の径方向内側端から周方向に沿って延びる鍔部102と、が一体成形されたものである。鍔部102は、ティース本体101から周方向両側に延びるように形成されている。そして、周方向で隣り合う鍔部102の間に、スロット19が形成される。
また、コア部21の内周面、およびティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。このインシュレータ23の上から各ティース22にコイル24(図2参照、図3では不図示)が巻回されている。各コイル24は、コントローラ部4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
(ロータ)
図4は、図3のロータ9を拡大した図である。
同図に示すように、ロータ9は、回転軸31と、回転軸31に外嵌固定されこの回転軸31を軸心C1とする円柱状のロータコア32と、ロータコア32に埋設されている永久磁石33と、を備えている。
回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体成形されている(図2参照)。ロータコア32は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ロータコア32は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ロータコア32の外周面32bとティース22の鍔部102の内周面との間には、微小隙間S1が形成されている。また、ロータコア32の径方向略中央には、軸方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。この貫通孔32aに、回転軸31が圧入されている。なお、貫通孔32aに対して回転軸31を挿入とし、接着剤等を用いて回転軸31にロータコア32を外嵌固定してもよい。
さらに、ロータコア32には、貫通孔32aから若干の間隔をあけて形成され、径方向に延びる4つの空洞部111が周方向に等間隔(放射状に)で配置されている。
空洞部111は、径方向の大部分に形成された磁石収納部112と、磁石収納部112の径方向内側に形成されたフラックスバリヤ部113と、が連通形成されたものである。
磁石収納部112には、永久磁石33が収納される。磁石収納部112は、径方向に沿う断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように、略等脚台形状に形成されている。
フラックスバリヤ部113は、永久磁石33の磁束がこの永久磁石33よりもロータコア32の径方向内側に漏出してしまうことを抑制するためのものである。フラックスバリヤ部113は、1つの空洞部111に2つ形成されている。そして、2つのフラックスバリヤ部113は、磁石収納部112の径方向内側端で、且つ周方向両端に配置されている。フラックスバリヤ部113を複数形成することにより、ロータコア32のフラックスバリヤ部113の径方向内側に、貫通孔32aを有するリング部115が形成された形になる。
また、ロータコア32において、1つの空洞部111に形成された2つのフラックスバリヤ部113の間には、径方向外側に向かって、且つ軸方向に沿って延在する凸条部114が形成された形になる。換言すれば、リング部115の外周面には、フラックスバリヤ部113の間に、凸条部114が形成されている。
凸条部114の径方向外側端(先端)114aは、磁石収納部112の下底に相当する位置と一致するように平坦に形成されている。つまり、凸条部114の径方向外側端114aに、永久磁石33の後述の下底33aが当接される。
また、周方向で隣り合う空洞部111の間で、且つ周方向で隣り合うフラックスバリヤ部113の間には、ブリッジ部116が形成されている。ブリッジ部116は、ロータコア32のフラックスバリヤ部113が形成されている領域の剛性を高めると共に、リング部115と磁石収納部112が形成されている側のロータコア32とを一体化する役割を有している。
また、ロータコア32の外周面32bには、各空洞部111に対応する位置に、空洞部111に連通する開口部117が形成されている。開口部117は、磁石収納部112から径方向外側に永久磁石33が抜けない程度に形成されている。また、各開口部117の周方向両側には、それぞれ溝部119が軸方向全体に渡って形成されている。溝部119は、径方向内側に向かって先細りとなるように略三角状に形成されている。
さらに、ロータコア32には、周方向で隣り合う磁石収納部112の間の中央(1極あたりのロータコア32の周方向中央)に、それぞれセンタースリット71が形成されている。センタースリット71は、ロータコア32を軸方向に貫通すると共に径方向に沿う断面形状が径方向に沿って延びる長円形状の空洞部である。センタースリット71の径方向内側端は、ブリッジ部116の手前まで延出されている。センタースリット71の径方向外側端は、ロータコア32の外周面32bの手前まで延出されている。すなわち、センタースリット71の径方向内側端とブリッジ部116との間に、センター内ブリッジ75aが形成される。また、センタースリット71の径方向外側端とロータコア32の外周面32bとの間に、センター外ブリッジ75bが形成される。
また、ロータコア32には、センタースリット71の周方向両側に、それぞれ2つずつサイドスリット72,73が形成されている。2つのサイドスリット72,73は、センタースリット71側に配置された第1サイドスリット72と、磁石収納部112側に配置された第2サイドスリット73と、により構成されている。
各サイドスリット72,73は、ロータコア32を軸方向に貫通すると共に径方向に沿う断面形状がセンタースリット71側に向かって凸となるように湾曲形成された空洞部である。そして、各サイドスリット72,73は、全体として長円形状に形成されている。
各サイドスリット72,73の径方向内側端は、磁石収納部112の手前まで延出されている。また、各サイドスリット72,73の径方向外側端は、ロータコア32の外周面32bの手前まで延出されている。すなわち、第1サイドスリット72の径方向内側端と磁石収納部112との間に、第1サイド内ブリッジ76aが形成される。また、第1サイドスリット72の径方向外側端とロータコア32の外周面32bとの間に、第1サイド外ブリッジ76bが形成される。さらに、第2サイドスリット72の径方向内側端と磁石収納部112との間に、第2サイド内ブリッジ77aが形成される。また、第2サイドスリット72の径方向外側端とロータコア32の外周面32bとの間に、第2サイド外ブリッジ77bが形成される。
また、各サイドスリット72,73の径方向内側端の延出方向は、磁石収納部112の周方向側面に対してほぼ直交する方向に沿っている。さらに、各サイドスリット72,73の径方向外側端の延出方向は、センタースリット71の延出方向に沿っている。
図5に基づいて、サイドスリット72,73の各端部の延出方向について、より詳しく説明する。
図5は、図4のB部拡大図である。
同図に示すように、各サイドスリット72,73の内周面は、長手方向に延在する各々2つの内側面72a,73aと、各々2つの内側面72a,73aの径方向両端でこれら内側面72a,73aに跨るように形成された円弧面72b,72c,73b,73cと、により構成されている。
ここで、第1サイドスリット72の径方向内側端の延出方向とは、内側面72aと径方向内側の円弧面72bとの連結部(変曲点)における接線L1の方向をいう。この接線L1は、磁石収納部112の周方向側面に対してほぼ直交している。また、第1サイドスリット72の径方向外側端の延出方向とは、内側面72aと径方向外側の円弧面72cとの連結部(変曲点)における接線L2の方向をいう。この接線L2は、センタースリット71の延出方向、つまり、センタースリット71の延出方向に沿っている。
また、第2サイドスリット73の径方向内側端の延出方向とは、内側面73aと径方向内側の円弧面73bとの連結部(変曲点)における接線L3の方向をいう。この接線L3は、磁石収納部112の周方向側面に対してほぼ直交している。また、第2サイドスリット73の径方向外側端の延出方向とは、内側面73aと径方向外側の円弧面73cとの連結部(変曲点)における接線L4の方向をいう。この接線L4は、センタースリット71の延出方向に沿っている。
このようにセンタースリット71、第1サイドスリット72、及び第2サイドスリット73が形成されているので、センタースリット71と第1サイドスリット72との間の隙間は、ロータコア32の外周面32b側の隙間H1よりも永久磁石33側の隙間H2が大きく設定される。
磁石収納部112には、永久磁石33が嵌め込まれている。永久磁石33は、磁石収納部112の形状に対応するように形成されている。すなわち、永久磁石33は、径方向に沿う断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように、略等脚台形状に形成されている。このため、永久磁石33は、径方向に沿う断面形状において、径方向内側に位置する下底33aと、径方向外側に位置する上底33bと、下底33aと上底33bとの間に位置する一対の脚33cと、を有している。
永久磁石33の下底33aは、ロータコア32の凸条部114の径方向外側端114aに当接している。このため、永久磁石33の下底33aとロータコア32のリング部115との間に、フラックスバリヤ部113が介在される。
また、永久磁石33の上底33bは、ロータコア32の爪部118に当接している。すなわち、爪部118は、永久磁石33の径方向外側への抜けを防止するように機能する。さらに、永久磁石33の脚33cは、ロータコア32の磁石収納部112の内側面に当接する。
ここで、図4では、永久磁石33は、パラレル配向に着磁されている場合を示している(図4中、矢印で示す)。しかしながら、これに限られるものではなく、永久磁石33は、極異方配向に着磁されていてもよい。
このように構成された永久磁石33は、例えば接着剤等によりロータコア32の磁石収納部112に固着される。本実施形態では、永久磁石33は、4つ等間隔に配置され、周方向で隣り合う永久磁石33の間に介在されるロータコア32も4つになるので、ロータコア32の磁極数は4極になる。
(減速部)
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
さらに、ギヤケース40の側壁40bには、3つの固定ブラケット54a,54b,54cが一体成形されている。これら固定ブラケット54a,54b,54cは、不図示の車体等に、減速機付モータ1を固定するためのものである。3つの固定ブラケット54a,54b,54cは、モータ部2を避けるように、周方向にほぼ等間隔に配置されている。各固定ブラケット54a,54b,54cには、それぞれ防振ゴム55が装着されている。防振ゴム55は、減速機付モータ1を駆動する際の振動が、不図示の車体に伝達されてしまうのを防止するためのものである。
また、ギヤケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。
軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであって、内周面に不図示の滑り軸受が設けられている。さらに、軸受ボス49の先端内周縁には、不図示のOリングが装着されている。これにより、軸受ボス49を介して外部から内部に塵埃や水が侵入してしまうことが防止される。また、軸受ボス49の外周面には、複数のリブ52が設けられている。これにより、軸受ボス49の剛性が確保されている。
ギヤ収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、モータ部2の回転軸31と同軸上に配置されている。そして、ウォーム軸44は、両端がギヤケース40に設けられた軸受46,47によって回転自在に支持されている。ウォーム軸44のモータ部2側の端部は、軸受46を介してギヤケース40の開口部43に至るまで突出している。この突出したウォーム軸44の端部とモータ部2の回転軸31との端部が接合され、ウォーム軸44と回転軸31とが一体化されている。なお、ウォーム軸44と回転軸31は、1つの母材からウォーム軸部分と回転軸部分とを成形することにより一体として形成してもよい。
ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45には、このウォームホイール45の径方向中央に出力軸48が設けられている。出力軸48は、ウォームホイール45の回転軸方向と同軸上に配置されており、ギヤケース40の軸受ボス49を介してギヤケース40の外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、不図示の電装品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
また、ウォームホイール45の径方向中央には、出力軸48が突出されている側とは反対側に、不図示のセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、ウォームホイール45の回転位置を検出する回転位置検出部60の一方を構成している。この回転位置検出部60の他方を構成する磁気検出素子61は、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)でウォームホイール45と対向配置されているコントローラ部4に設けられている。
(コントローラ部)
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギヤケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
コントローラ基板62は、いわゆるエポキシ基板に複数の導電性のパターン(不図示)が形成されたものである。コントローラ基板62には、モータ部2のステータコア20から引き出されたコイル24の端末部が接続されていると共に、カバー63に設けられたコネクタの端子(何れも不図示)が電気的に接続されている。また、コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する電流を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)が実装されている。さらに、コントローラ基板62には、このコントローラ基板62に印加される電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
このように構成されたコントローラ基板62を覆うカバー63は、樹脂により形成されている。また、カバー63は、若干外側に膨出するように形成されている。そして、カバー63の内面側は、コントローラ基板62等を収容するコントローラ収容部56とされている。
また、カバー63の外周部に、不図示のコネクタが一体成形されている。このコネクタは、不図示の外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。そして、不図示のコネクタの端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
さらに、カバー63の開口縁には、ギヤケース40の側壁40bの端部と嵌め合わされる嵌合部81が突出形成されている。嵌合部81は、カバー63の開口縁に沿う2つの壁81a,81bにより構成されている。そして、これら2つの壁81a,81bの間に、ギヤケース40の側壁40bの端部が挿入(嵌め合い)される。これにより、ギヤケース40とカバー63との間にラビリンス部83が形成される。このラビリンス部83によって、ギヤケース40とカバー63との間から塵埃や水が浸入してしまうことが防止される。なお、ギヤケース40とカバー63との固定は、不図示のボルトを締結することにより行われる。
(減速機付モータの動作)
次に、減速機付モータ1の動作について説明する。
減速機付モータ1は、不図示のコネクタを介してコントローラ基板62に供給された電力が、不図示のパワーモジュールを介してモータ部2の各コイル24に選択的に供給される。すると、ステータ8(ティース22)に所定の鎖交磁束が形成され、この鎖交磁束とロータ9の永久磁石33との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータ9が継続的に回転する。
ロータ9が回転すると、回転軸31と一体化されているウォーム軸44が回転し、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45が回転する。そして、ウォームホイール45に連結されている出力軸48が回転し、所望の電装品が駆動する。
また、コントローラ基板62に実装されている磁気検出素子61によって検出されたウォームホイール45の回転位置検出結果は、信号として不図示の外部機器に出力される。
不図示の外部機器は、ウォームホイール45の回転位置検出信号に基づいて、不図示のパワーモジュールのスイッチング素子等の切替えタイミングが制御され、モータ部2の駆動制御が行われる。なお、パワーモジュールの駆動信号の出力やモータ部2の駆動制御は、コントローラ部4で行われていても良い。
(ロータの作用、効果)
次に、図4、図6〜図12に基づいて、ロータ9の作用、効果について説明する。
ここで、まず図4に示すように、永久磁石33の下底33aとロータコア32のリング部115との間に、フラックスバリヤ部113が介在される。このため、周方向で隣り合う永久磁石33からの径方向内側への漏れ磁束を極力抑えることができる。
また、永久磁石33は、径方向に沿う断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように、略等脚台形状に形成されている。このため、ロータコア32内において、各永久磁石33の磁束を収束させるための配向の向きが、ロータコア32の外周側(ステータ8のティース22側)となる。
これに加え、ロータコア32には、センタースリット71、第1サイドスリット72、及び第2サイドスリット73が形成されている。各スリット71〜73のうち、センタースリット71と第1サイドスリット72との間の隙間は、ロータコア32の外周面32b側の隙間H1よりも永久磁石33側の隙間H2が大きく設定されている。この結果、ロータコア32内の磁束の向きが、ティース22側へと収束させやすくできる。さらに、周方向で隣り合う永久磁石33同士を近づけることなく、1極当りのロータコア32の周方向中央に磁束を集中させることができる。
図6は、ティース22及びロータコア32の磁束ベクトルを示す図である。
同図に示すように、ロータコア32において、永久磁石33の磁束ベクトルは、d軸方向に向く。ここで、ロータコア32に形成されているセンタースリット71は、ロータコア32を軸方向に貫通すると共に径方向に沿う断面形状が径方向に沿って延びるように形成されている。また、各サイドスリット72,73は、ロータコア32を軸方向に貫通すると共に径方向に沿う断面形状がセンタースリット71側に向かって凸となるように湾曲形成されている。この結果、各スリット71〜73は、永久磁石33のd軸に沿うように形成された形になる。このため、永久磁石33の磁束は、各スリット71〜73に磁路を遮断されることなくロータコア32に形成されることが確認できる。
これに対し、ステータ8のティース22で形成される鎖交磁束のベクトルは、d軸方向に直交するq軸方向に向く。ここで、ロータコア32に形成されている各スリット71〜73は、q軸方向に直交する方向に延在している形になる。すなわち、各スリット71〜73は、q軸方向の磁路を遮断する形になる。このため、ロータコア32に、ティース22で形成される鎖交磁束が殆ど通っていないことが確認できる。
比較のために、図7に基づいて、ロータコア32に各スリット71〜73を形成しない場合(以下、従来のロータコア132という)について説明する。
図7は、従来のロータコア132におけるティース22及びロータコア32の磁束ベクトルを示す図であって、前述の図6に対応している。
同図に示すように、各スリット71〜73が形成されていない場合、q軸方向の磁路が遮断されないので、ロータコア32に、ティース22で形成される鎖交磁束が通る。この結果、この鎖交磁束の影響を受けて永久磁石33の磁束ベクトルが歪曲されてしまうことが確認できる。
図8は、ティース22及びロータコア32のそれぞれに形成される磁束の磁束密度を示す図である。なお、図8では、各スリット71〜73の形状を簡素化して示している。
同図に示すように、各サイドスリット72,73は、径方向外側の円弧面72c,73cがセンタースリット71に寄っていくように延出されている。このため、ロータコア32の外周面32b寄りにおいて、永久磁石33の磁束は、各スリット71〜73に案内されるように、1極当りのロータコア32の周方向中央に向かって磁束が形成される。この結果、ロータコア32の外周面32b寄りにおいて、1極当りのロータコア32の周方向中央の磁束密度が高いことが確認できる(図8におけるC部参照)。
比較のために、図9に基づいて、センタースリット71と平行に各サイドスリット72,73が形成されている場合について説明する。
図9は、ティース22及びロータコア32のそれぞれに形成される磁束の磁束密度を示す図であって、前述の図8に対応している。
同図に示すように、センタースリット71と平行に各サイドスリット72,73が形成されていると、永久磁石33の磁束の磁路が各スリット71〜73によって遮断されることはない。しかしながら、ロータコア32の外周面32b寄りにおいて、1極当りのロータコア32の周方向中央に磁束が集中することがない。このため、ロータコア32の外周面32b寄りにおいて、前述の図8と比較して1極当りのロータコア32の周方向中央の磁束密度が低いことが確認できる(図9におけるD部参照)。
このように、上述の実施形態では、ロータコア32の周方向で隣り合う2つの永久磁石33の間に、それぞれスリット71〜73が形成されている。センタースリット71は、径方向に沿う断面形状が径方向に沿って延びるように形成されている。また、各サイドスリット72,73は、径方向に沿う断面形状がセンタースリット71側に向かって凸となるように湾曲形成されている。このように構成することで、ロータコア32に設けられた永久磁石33の磁束の磁路となるd軸の磁路は、各スリット71〜73によって遮断されることがない。これに対し、各スリット71〜73によって、ステータ8で形成される鎖交磁束のロータコア32側での磁路となるq軸(d軸に直交する軸)の磁路が遮断される。このため、ロータコア32に、q軸の磁束が形成されにくくなる。よって、d軸の磁束への鎖交磁束(q軸の磁束)の影響を受けにくくすることができ、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮できる。
また、センタースリット71と第1サイドスリット72との間の隙間は、ロータコア32の外周面32b側の隙間H1よりも永久磁石33側の隙間H2が大きく設定される。そして、各サイドスリット72,73は、径方向外側の円弧面72c,73cがセンタースリット71に寄っていくように延出されている。このため、ロータコア32に、q軸の磁束がより確実に形成されにくくなる。この結果、d軸の磁束への鎖交磁束(q軸の磁束)の影響をより確実に受けにくくすることができ、全ての負荷領域において十分なモータ特性を発揮できる。
さらに、ロータコア32の外周面32bにおいて、各スリット71〜73によって1極当りのロータコア32の周方向中央に永久磁石33の磁束を誘導できる。この結果、1極当りのロータコア32の周方向中央の磁束密度を、できるかぎり高くすることができる。また、ロータコア32の外周面32bにおいて、永久磁石33に近接するほど(1極当りのロータコア32の周方向中央から離間するほど)、この永久磁石33の磁束密度を低くできる。つまり、ロータコア32の外周面32bに形成される磁束密度の正弦波形のピーク幅が狭くなり突極性が向上するので、モータ部2のトルク性能を向上できる。
より具体的に、図10、図11に基づいて説明する。
図10は、縦軸を、ロータコア32の外周面32bに形成される三相(U相、V相、W相)分の鎖交磁束[Wb]とし、横軸を、ロータコア32(ロータ9)の回転角度[deg]としたときの鎖交磁束の変化を示すグラフである。図11は、縦軸を、従来のロータコア132の外周面132bに形成される三相(U相、V相、W相)分の鎖交磁束[Wb]とし、横軸を、従来のロータコア132の回転角度[deg]としたときの鎖交磁束の変化を示すグラフである。
図10、図11に示すように、従来のロータコア132(図11参照)に対し、本実施形態のロータコア32(図10参照)の鎖交磁束の正弦波形のピーク幅が狭くなっていることが確認できる。
図12は、縦軸をロータ9の回転数[rpm]とし、横軸をモータ部2のトルク[N・m]としたときの回転数の変化を示すグラフであって、従来のロータと、本実施形態のロータ9とを比較している。なお、図12における従来のロータとは、前述した従来のロータコア132を使用したロータをいう。
同図に示すように、従来と比較してロータ9の中負荷領域(中回転領域;図12にE部付近)において、モータ部2のトルク性能が向上されていることが確認できる。
また、永久磁石33は、径方向に沿う断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように、略等脚台形状に形成されている。このため、ロータコア32内において、各永久磁石33の磁束を収束させるための配向の向き(図4中矢印で示す)が、ロータコア32の外周側となる。この結果、ロータコア32内の磁束の向きが、ティース22側へと収束させやすくできる。さらに、周方向で隣り合う永久磁石33同士を近づけることなく、ロータコア32内において磁束を集中させることができる。よって、ロータコア32の有効磁束を高めることができ、モータ部2のトルク性能を向上できる。
(変形例)
なお、上述の実施形態では、ロータコア32の周方向で隣り合う2つの永久磁石33の間に、それぞれセンタースリット71を1つ、第1サイドスリット72を2つ、第2サイドスリット73を2つの合計5つのスリット71〜73が形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくともロータコア32の各極の周方向中央に、それぞれセンタースリット71が1つ形成されていればよい。また、サイドスリット71,72も合計4つに限られるものではなく、第1サイドスリット72のみでもよいし、4つ以上の複数個のサイドスリットを形成してもよい。
このことについて、図13〜図15に基づいてより具体的に説明する。
図13は、ロータコア32の変形例を示す軸方向からみた平面図であって、前述の図3に対応している。
ここで、図13(a)は、ロータコア32の各極の周方向中央にそれぞれセンタースリット71のみを形成した場合(スリット数1[本])を示す。図13(b)は、センタースリット71と第1サイドスリット72とを形成した場合(スリット数3[本])を示す。図13(c)は、センタースリット71、第1サイドスリット72及び第2サイドスリット73を形成した場合(スリット数5[本])を示す。
図14は、縦軸をロータコア32の有効磁束[Wb]とし、横軸をロータコア32に形成されたスリット71〜73の個数としたときの有効磁束の変化を示すグラフである。また、図15は、縦軸をロータ9の回転数[rpm]とし、横軸をモータ部2のトルク[N・m]としたときのロータ9の回転数の変化を示すグラフであって、ロータコア32に形成されるスリット数毎に比較している。
図13、図14に示すように、スリット71〜73の個数の増減に伴い、ロータコア32の有効磁束が変化しないことが確認できる。
また、図13、図15に示すように、スリット71〜73の個数が多くなるのに比例して、モータ部2のトルク性能を向上できることが確認できる。
また、上述の実施形態では、各サイドスリット72,73は、径方向に沿う断面形状がセンタースリット71側に向かって凸となるように湾曲形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、センタースリット71と各サイドスリット72,73との間の隙間が、ロータコア32の外周面32b側の隙間よりも永久磁石33の直近側の隙間が大きく設定されていればよい。
このことについて、図16〜図19に基づいてより具体的に説明する。
図16は、ロータコア32の変形例を示す軸方向からみた平面図であって、前述の図3に対応している。
ここで、図16(a)の各サイドスリット72,73は、径方向に沿う断面形状を湾曲形成させずに直線形状とされ、さらに、センタースリット71と各サイドスリット72,73との間の隙間が、ロータコア32の外周面32b側の隙間よりも永久磁石33の直近側の隙間が大きくなるように形成されている(以下、斜め5本という)。
また、図16(b)の各サイドスリット72,73は、センタースリット71とは反対側に向かって凸となるように湾曲形成されている(以下、逆円弧5本という)。
さらに、図16(c)の各サイドスリット72,73は、センタースリット71と平行に形成されている(以下、ストレート5本という)。
図17は、縦軸をモータ部2のトルク[N・m]とし、横軸をロータ9の回転角度[deg]としたときのモータ部2のトルクの変化を示すグラフであって、従来のロータコア132(図7参照)、本実施形態のロータコア32(図4参照)、斜め5本のロータコア32、逆円弧5本のロータコア32、及びストレート5本のロータコア32を比較している。
図18は、図17の横軸の目盛を小さくし、本実施形態のロータコア32(図4参照)、斜め5本のロータコア32、逆円弧5本のロータコア32、及びストレート5本のロータコア32を比較している。
図16(a)〜図16(c)、図17に示すように、従来と比較してロータコア32に各スリット71〜73を形成した場合、トルクリップルを低減できることが確認できる。
ここで、図18に示すように、ストレート5本のロータコア32にあっては、本実施形態のロータコア32(図4参照)、斜め5本のロータコア32、及び逆円弧5本のロータコア32と比較して、所定の回転角度のトルクリップル(図18中、F部参照)が僅かに増大することが確認できる。
図19は、従来のロータコア132(図7参照)、本実施形態のロータコア32(図4参照)、斜め5本のロータコア32、逆円弧5本のロータコア32、及びストレート5本のロータコア32のトルクリップル率[%]を比較したグラフである。
同図に示すように、ロータコア32に形成されている各サイドスリット72,73の形状が、本実施形態に加え、斜め5本の場合、及び逆円弧の場合に、とりわけトルクリップル率が低減することが確認できる。
このように、図17〜図19からも明らかなように、ロータコア32に形成する各サイドスリット72,73は、本実施形態に加え、斜め5本の場合、及び逆円弧の場合が望ましい。
また、上述の実施形態では、センタースリット71の径方向外側端は、ロータコア32の外周面32bの手前まで延出されている場合について説明した。また、各サイドスリット72,73の径方向外側端は、ロータコア32の外周面32bの手前まで延出されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図20に示すように、センタースリット71の径方向外側端、及び各サイドスリット72,73の径方向外側端を、それぞれロータコア32の外周面32bに至るまで形成してもよい。そして、この外周面32b側において、各スリット71〜73が開口するように形成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、永久磁石33は、径方向に沿う断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように、略等脚台形状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図21に示すように、永久磁石33は、径方向に沿う断面形状が径方向に沿って略矩形状となるように形成してもよい。
また、上述の実施形態では、ロータコア32は、回転軸31を軸心C1とする円柱状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図22に示すように、ロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2が、回転軸31の軸心C1から偏心していてもよい。
より具体的には、周方向で隣り合う2つの永久磁石33の間において、ロータコア32の外周面32bの円弧中心C2は、ロータコア32の周方向中心を通る径方向に沿う直線上で、且つ回転軸31よりも対応するロータコア32の外周面32b寄りに設定されている。このため、ロータコア32の外周面32bの曲率半径は、ロータコア32の半径よりも短く設定される。
このようにロータコア32を構成することにより、ロータコア32の外周面32bとティース22の鍔部102の内周面との間の微小隙間S1が、1極当りのロータコア32の周方向中央から周方向に離間するに従って徐々に大きくなる。このため、ティース22に対するロータコア32の永久磁石33の磁束の影響が急激に変化してしまうことを防止できる。よって、モータ部2のコギングトルクを低減できる。
この他、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、減速機付モータ1は、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな用途に減速機付モータ1を使用することができる。
また、上述の実施形態では、ロータコア32に4つの磁石収納部112を形成し、ロータコア32に永久磁石33を4つ設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ロータコア32の磁石収納部112の個数、および永久磁石33の個数は、任意に設定することができる。
1…減速機付モータ、2…モータ部(電動モータ)、8…ステータ、9…ロータ、22…ティース、24…コイル、31…回転軸(シャフト)、32…ロータコア、32b…外周面、33…永久磁石、71…センタースリット、72…第1サイドスリット(サイドスリット)、73…第2サイドスリット(サイドスリット)、C1…軸心(回転軸線)

Claims (9)

  1. 回転軸線回りに回転するシャフトと、
    前記シャフトに固定され、前記回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
    前記ロータコア内に設けられ、前記回転軸線に直交する断面形状が前記ロータコアの前記径方向に沿うように、且つ放射状に配置される複数の永久磁石と、を備え、
    前記ロータコアは、
    前記径方向における前記回転軸線と各前記永久磁石との間に2つずつ設けられ、前記ロータコアの周方向における各前記永久磁石の両端に設けられた空洞部と、
    前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間で、且つ前記周方向で隣り合う2つの前記空洞部の間に設けられ、前記径方向に沿って延出されたブリッジ部と、
    前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間の中央に設けられ、前記回転軸線に直交する断面形状が前記径方向に沿って延出されたセンタースリットと、を備え、
    前記センタースリットの延出方向の延長線上に前記ブリッジ部が配置されている
    ことを特徴とするロータ。
  2. 前記ロータコアには、前記永久磁石によって形成される外周面の磁束密度が、前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間の中央に向かうほど大きくなるように、複数のサイドスリットが形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  3. 前記複数のサイドスリットは、前記回転軸線に直交する断面形状が前記永久磁石の前記周方向側面の直近から前記ロータコアの外周面に向かって延びるように形成されており、
    前記センタースリットと前記サイドスリットとの間の隙間は、前記ロータコアの外周面側の隙間よりも前記永久磁石の前記直近側の隙間が大きく設定されていることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
  4. 前記サイドスリットは、前記回転軸線に直交する断面形状が湾曲形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のロータ。
  5. 前記サイドスリットは、前記回転軸線に直交する断面形状が前記センタースリットに向かって凸となるように湾曲形成されており、
    前記サイドスリットの前記断面形状において、
    前記永久磁石の前記周方向側面の直近側の延出方向は、該永久磁石の前記周方向側面に対して直交する方向に沿っており、
    前記ロータコアの外周面側の延出方向は、前記センタースリットの延出方向に沿っている
    ことを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載のロータ。
  6. 前記永久磁石は、前記回転軸線に直交する断面形状が前記径方向内側に向かうに従って前記周方向の幅が漸次広くなるように台形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のロータ。
  7. 前記ロータコアには、前記永久磁石によって形成される外周面の磁束密度が、前記周方向で隣り合う2つの前記永久磁石の間の中央に向かうほど大きくなるように、複数のサイドスリットが形成され、
    前記サイドスリットは、前記センタースリットの前記周方向両側において、前記センタースリット側に配置された第1サイドスリットと、前記永久磁石側に配置された第2サイドスリットと、の2つずつ設けられており、
    前記回転軸線に直交する断面において、前記センタースリットおよび前記サイドスリットの延出方向に沿う長さは、前記第2サイドスリットより前記第1サイドスリットの方が長く設定されており、前記第1サイドスリットより前記センタースリットの方が長く設定されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のロータ。
  8. 前記ロータコアは、前記永久磁石が収納された磁石収納部を有し、
    前記空洞部と前記磁石収納部とが連通されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載のロータ。
  9. 請求項1から請求項の何れか1項に記載のロータと、
    前記ロータの外周を取り囲むように環状に形成され、磁界を発生させるためのコイルが巻回される複数のティースを有するステータと、を備えたことを特徴とする電動モータ。
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