JP7105598B2 - モータ、ブラシレスワイパーモータ、及びモータの駆動方法 - Google Patents
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Description
ステータには、コイルに給電を行うことにより鎖交磁束が形成される。ロータは、シャフトと、このシャフトに外嵌固定される略円柱状のロータコアと、ロータコアに設けられた永久磁石と、を有している。そして、ステータに形成された鎖交磁束とロータコアに設けられた永久磁石との間に磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータが継続的に回転する。
図9は、縦軸を駆動電圧のデューティ[%]とし、横軸を駆動電圧の位相[°]としたときの駆動電圧の波形を示すグラフであり、(a)は、駆動電圧の基本正弦波の波形を示し、(b)は、基本正弦波と同位相で5次高調波を重畳した波形を示し、(c)は、(b)の駆動電圧のディーティを低減させた波形を示す。なお、図9(a)~図9(c)の縦軸、及び横軸の目盛は、同一とする。なお、図9中、「+5次」とは、基本正弦波に5次高調波が重畳されていることを示す。
図10に示すように、5次高調波を重畳させた駆動電圧は、出力デューティを低減する分、モータ特性が低下してしまうことが確認できる。
図1は、ワイパーモータ1の斜視図である。図2は、図1のA-A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、ワイパーモータ1は、例えば車両に搭載されるワイパの駆動源となる。ワイパーモータ1は、モータ部2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2のシャフト31の回転軸線方向をいい、単に周方向という場合は、シャフト31の周方向をいい、単に径方向という場合は、シャフト31の径方向をいうものとする。
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ部2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接合されるように、このギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、ロータ9のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
図3は、ステータ8及びロータ9の構成を示し、軸方向からみた図に相当する。
図2、図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略円形となる筒状のコア部21と、コア部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20を有している。ステータコア20は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層したり、軟磁性粉を加圧成形したりしてなる。
図4(a)、図4(b)に示すように、コイル24は、U相、V相、W相の3相構造とされている。また、コイル24の結線方式は、Y結線(スター結線)方式とされている。
図4(a)に示すように、コイル24の結線構造を、同相のコイル24を直列に結線したY結線構造としてもよいし、図4(b)に示すように、コイル24の結線構造を、同相のコイル24を並列に結線したY結線構造としてもよい。
図5は、図3のA部拡大図である。
図3、図5に示すように、ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、減速部3を構成するウォーム軸44(図2参照)と一体成形されたシャフト31と、シャフト31に外嵌固定されこのシャフト31を軸心(回転軸線)C1とする略円柱状のロータコア32と、ロータコア32の外周面32bに設けられた4つの永久磁石33と、を備えている。
このように、モータ部2において、永久磁石33の磁極数とスロット19(ティース22)の数との比は、2:3である。なお、永久磁石33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、これに限られるものではなく、永久磁石33として、フェライト磁石に代わってネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石を適用することも可能である。
さらに、突極35の径方向外側端部35tには、周方向略中央に、1つの溝部91が軸方向全体に渡って形成されている。溝部91は、径方向内側に向かうに従って周方向の溝幅が徐々に狭くなるように、略V溝状に形成されている。
永久磁石33は、径方向外側の外周面33aの円弧中心Co、及び径方向内側の内周面33bの円弧中心Ciが、シャフト31の軸心C1の位置と一致している。また、突極35の径方向外側端部35tを通る円の直径と、永久磁石33の外周面33aの直径は、同一である。
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギヤケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
また、カバー63の外周部に、コネクタ11が一体成形されている。このコネクタ11は、不図示の外部電源から延びるコネクタ11と嵌着可能に形成されている。そして、コネクタ11の端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
次に、ワイパーモータ1の動作について説明する。
ワイパーモータ1は、コネクタ11を介してコントローラ基板62に供給された電圧が、不図示のパワーモジュールを介し、駆動電圧としてモータ部2の各コイル24に選択的に印加される。すると、ステータ8(ティース22)に所定の鎖交磁束が形成され、この鎖交磁束とロータ9の永久磁石33により形成される有効磁束との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータ9が継続的に回転する。
次に、ロータ9の作用について説明する。
ここで、ロータ9は、ロータコア32の外周面32bに、永久磁石33を配置した、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)方式のロータである。このため、d軸方向のインダクタンス値を小さくすることができる。これに加え、ロータ9は、周方向で隣り合う永久磁石33間に突極35が設けられている。この結果、ステータ8の鎖交磁束によるq軸方向のインダクタンス値を突極35が無い場合と比較して大きくできる。よって、d軸方向とq軸方向とのリラクタンストルクの差も利用してロータ9が回転される。
次に、図6に基づいて、コイル24に印加する駆動電圧について説明する。
図6は、縦軸をデューティ[%]とし、横軸を位相[°]としたときの各電圧波形を示すグラフである。なお、図6では、3相(U相、V相、W相)全ての波形を示している。また、図6中、破線で示す波形は、基本正弦波(基本波)Us1,Vs1,Ws1の波形である。二点鎖線で示す波形は、5次高調波(5次)Uh1,Vh1,Wh1の波形である。実線で示す波形は、基本正弦波に5次高調波を重畳したコイル24に印加する駆動電圧の波形(合成)Uc1,Vc1,Wc1である。
図6に示すように、駆動電圧の波形Uc1,Vc1,Wc1の上限値(ピーク値)は、基本正弦波Us1,Vs1,Ws1の波形の上限値(ピーク値)と同等である。つまり、従来のように、駆動電圧の出力デューティを低減させる必要がない。
図7は、縦軸をデューティ[%]とし、横軸を位相[°]としたときの各電圧波形を示し、コイル24の結線方式をデルタ結線方式とした場合のグラフである。なお、図7も図6と同様に、3相(U相、V相、W相)全ての波形を示している。また、図7中、破線で示す波形は、基本正弦波(基本波)Us2,Vs2,Ws2の波形である。二点鎖線で示す波形は、5次高調波(5次)Uh2,Vh2,Wh2の波形である。実線で示す波形は、基本正弦波に5次高調波を重畳したコイル24に印加する駆動電圧の波形(合成)Uc2,Vc2,Wc2である。また、図7の縦軸、及び横軸の目盛は、図6の縦軸、及び横軸の目盛と同一とする。
図8に示すように、デルタ結線の場合と比較して本実施形態の場合のモータ特性が向上することが確認できる。
例えば、上述の実施形態では、モータとして、ワイパーモータ1を例に挙げたが、本発明に係るモータは、ワイパーモータ1以外にも、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものや、その他のさまざまな用途に使用することができる。
また、溝部91は、径方向内側に向かうに従って周方向の溝幅が徐々に狭くなるように、略V溝状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、溝部91は、径方向内側に向かうに従って周方向の溝幅が徐々に狭くなるように形成されていればよく、例えば、溝部91を略U字状に形成してもよい。
Claims (3)
- 環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータコアの径方向内側で回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記シャフトの回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
前記ロータコアの外周面に配置された複数の永久磁石と、
前記ロータコアの前記外周面の周方向で隣り合う前記永久磁石の間に、径方向外側に向かって突出形成され、前記永久磁石の周方向側面が当接された突極と、を備え、
前記永久磁石の磁極数と前記ティースの個数との比が2:3に設定されており、
前記コイルは、3相構造とされてY結線されており、
前記コイルに印加する駆動電圧の波形は、基本正弦波に5次高調波が重畳された波形であり、
前記5次高調波は、前記基本正弦波の位相に対して逆位相であ り、
前記突極は、周方向で対向する両側面が平行となるように形成されている
ことを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載のモータを備えたことを特徴とするブラシレスワイパーモータ。
- 環状のステータコア、及び前記ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータコアの径方向内側で回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記シャフトの回転軸線を径方向中心とするロータコアと、
前記ロータコアの外周面に配置された複数の永久磁石と、
前記ロータコアの前記外周面の周方向で隣り合う前記永久磁石の間に、径方向外側に向かって突出形成され、前記永久磁石の周方向側面が当接された突極と、を備え、
前記突極は、周方向で対向する両側面が平行となるように形成されており 、
前記永久磁石の磁極数と前記ティースの個数との比が2:3に設定されており、
前記コイルは、3相構造とされてY結線されているモータの駆動方法であって、
前記コイルに、基本正弦波に5次高調波が重畳された波形の駆動電圧を印加し、
前記5次高調波は、前記基本正弦波の位相に対して逆位相であることを特徴とするモータの駆動方法。
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