JP6188639B2 - 電動機 - Google Patents
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Description
そこで、固定子鉄心の隣り合うティース間を連結した電動機のトルクリップルを低減するために、ティースの回転子に対向する面に切り欠き部を設けた電動機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、トルクリップル低減を目的とはしていないが、固定子鉄心の隣り合うティース間を接続した電動機については、積層されるコアシート全てにコアバックの内周側に切り欠き部を設けるもの(特許文献2)、積層されるコアシート全てにコアバックの外周側に切り欠き部を設けるもの(特許文献3)及び積層されるコアシート全てにティースに切り欠き部を設けるもの(特許文献4)がある。
また、切り欠き部を設けたことで、磁気的空隙の磁束密度が低下し、平均トルクが低下するといった問題点もあった。
この固定子と磁気的空隙を介して配置された回転子と、を備え、
前記コアシートの少なくとも1枚は、隣接した前記シートティース部の先端部間に前記シートティース部同士を連結した磁性体のシート連結部を有する閉口コアシートである、電動機であって、
前記閉口コアシートの少なくとも1枚は、前記シートコアバック部及び前記シートティース部の少なくとも一方に、トルクリップルを低減するためのトルクリップル調整磁気飽和部を有し、
積層された前記コアシートの全数のうちの一部が、前記トルクリップル調整磁気飽和部を有する前記閉口コアシートである。
実施の形態1.
図1は、電動機100とECU(Electronic Control Unit)101とが一体となった電動駆動装置を示す断面図、図2は図1の電動機100を示す正断面図である。
この実施の形態1の電動機100は、円筒形状のフレーム1と、このフレーム1の片側端面にボルト2に固定されたハウジング3と、フレーム1の内壁面に固定された固定子4と、この固定子4の内側に設けられた回転子5と、を備えている。
回転子5は、ハウジング3に嵌着された第1の軸受9、フレーム1に嵌着された第2の軸受10により両端部が回転自在に支持されたシャフト11と、このシャフト11に固定された回転子鉄心12と、この回転子鉄心12の外周面に周方向に等分間隔で14個配置された永久磁石13と、を有している。
なお、永久磁石13の外側に永久磁石13の保護と飛散防止用に、ステンレスやアルミニウム等の非磁性材料を円筒状にしたカバーで覆われたものもある。
ヒートシンク51のシャフト11と反対側の面には、スイッチング素子58が搭載されている。基板55は、支持部59及び接続部材60を介して制御基板61と電気的に接続されている。ケース52には、第1のコネクタ62、第2のコネクタ63及び電源コネクタ64が設けられている。
また、この実施の形態では、14極、18スロットとしたので、集中巻の10極、12スロットよりも空間次数が2の電磁加振力が小さくでき、振動、騒音を低減でき、また高調波、特にトルクリップルの主成分である6f成分や12f成分の巻線係数が小さいので、トルクリップルが低減できる。
このように鍔部17間を連結部18で連結することによって、固定子鉄心6の回転子5側の内周の強度を向上して、電動機の振動を低減でき、さらに電機子巻線8の固定子鉄心6からの飛出しを防ぐといった効果を得られる。
また、このように隣接する鍔部17間を連結した場合、スロット7の回転子5側の開口部が無くなるので、コギングトルク、電磁加振力の原因となるスロットパーミアンスの高調波成分が低減でき、コギングトルク、電磁加振力を低減できる。
さらに、鍔部17間を連結することで、連結部18が磁束の経路となり電動機100のインダクタンスが増加するため、弱め界磁制御の効果を強くすることが可能となり、電圧飽和を緩和できるので、電動機100の高回転時の平均トルクを向上できるといった効果が得られる。
第1のブロック19は、外周面が曲面形状であり、第2のブロック20は、外周面に凹部16が形成されている。第1のブロック19は、第1の閉口コアシート21を積層して構成されている。第2のブロック20は、第2の閉口コアシート22を積層して構成されている。
固定子鉄心6は、下から第1のブロック19、第2のブロック20及び第1のブロック19の順序で積層され、2種類のブロック19,20で構成されている。
第2の閉口コアシート22は、ティース15の構成要素であるシートティース部25と、コアバック14の構成要素である円環状のシートコアバック部24と、隣接したシートティース部25の先端部同士を連結したシート連結部27とから構成されている。
シートコアバック部24の外周側であって、シートティース部25間には、それぞれ凹部16の構成要素である切り欠き部23が形成されている。この各切り欠き部23は、各シートティース部25の径方向に延びた中心線Aに対して左右対称である。
図4(b)には、切り欠き部23の周囲部で、第2の閉口コアシート22のシートコアバック部24の径方向の幅aと、第2の閉口コアシート22のトルクリップル調整磁気飽和部26の径方向の幅bとが示されている。
各切り欠き部23は、各シートティース部25の径方向に延びた中心線Aに対して左右対称であり、全て同じ形状であるので、トルクリップル調整磁気飽和部26も中心線Aに対して左右対称で、同一形状である。
また、フレーム1とコアバック14との間に凹部16による隙間が形成されるので、コアバック14の振動がフレーム1に伝わりにくくなり、電動機100の振動を低減できる。
この特性図では、横軸は第2の閉口コアシート22のシートコアバック部24の径方向の幅aに対するトルクリップル調整磁気飽和部26の径方向の幅bの割合(b/a)であり、縦軸は(b/a)に対する電動機100のトルクリップル、平均トルクを、トルクリップル調整磁気飽和部26を有しないものと比較して規格化した値である。
また、トルクリップル調整磁気飽和部26の周囲方向の幅寸法は一定になっている。
一方、トルクリップル調整磁気飽和部26を設けたことにより漏れ磁束が増加する影響で、平均トルクは低下する。
また、電動機100の2つの回転方向(時計方向、反時計方向)に対して、トルクリップル、コギング、平均トルクの回転方向に対する差を無くすことができる。
mが3となるので、Pの約数である1、2、7、14と異なり、トルクリップルの極数成分(電気角2次)を抑制できる。
また、切り欠き部23の個数をシートティース部25の数18個より少なくしたので、シートティース部25の数だけ切り欠き部23を設ける場合よりも平均トルクを向上させることができる。
また、図6に示すように、トルクリップル調整磁気飽和部26を有する第2の閉口コアシート22及び各トルクリップル調整磁気飽和部26は、それぞれ電動機100の回転中心に対して回転対称かつ、電動機100の回転中心Oを通るある1つの直線Bに対して線対称な形状であっても同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、平均トルクは、トルクリップル調整磁気飽和部26が設けられる第2の閉口コアシート22のシートコアバック部24の幅aに対するトルクリップル調整磁気飽和部26の幅bの比率(b/a)を0.5以下とした場合、図5から明らかなように、大きく低下する。即ち、比率(b/a)を0.5以上とすれば、さらにトルクリップルを低減しながらも、平均トルクの低下を抑制することができるといった効果が得られる。
ここで、横軸はトルクリップル調整磁気飽和部26の磁束密度[T]、縦軸は電動機100のトルクリップル、平均トルクを、切り欠き部23を設けない場合と比較して規格化した値である。
同図から分かるように、磁束密度が1.5[T]以上においてトルクリップルが低下しており、特に1.65[T]以上において、トルクリップルの低減率が大きくなることがわかる。
よって、トルクリップル調整磁気飽和部26の磁束密度を1.65[T]以上とすれば、特にトルクリップルを低減できるといった効果が得られる。
一方、トルクリップル調整磁気飽和部26の磁束密度が増加することにより、漏れ磁束が増加して平均トルクは低下しているが、1.75[T]以下では低下率は小さい。
即ち、トルクリップル調整磁気飽和部26の磁束密度を1.75[T]以下とすれば、トルクリップルを低減しながらも、平均トルクの低下を抑制することができるといった効果が得られる。
例えば、図8(a),(b)に示すように、シートティース部25の径方向の外側のシートコアバック部24の外周部に切り欠き部23を形成してもよい。
また、図9(a),(b)に示すように、シートコアバック部24の内周面に切り欠き部23を形成しても同様の効果が得られる。このとき、シートコアバック部24の内周部に切り欠き部23を形成したので、電機子巻線8を挿入する固定子鉄心6のスロット7の面積を拡大することができ、電機子巻線8の導線の断面積を大きくすることができるので、電動機100の銅損を低減することができ、出力を向上できる。
このとき、シートティース部25に切り欠き部23を設けたので、シートコアバック部24に切り欠き部23を設けずにトルクリップルを低減でき、固定子鉄心6の剛性を高めることができ、振動、騒音を低減できる。
また、電機子巻線8を巻装するスロット7の面積を拡大することができ、電機子巻線8の導線の断面積を大きくできるので、電動機100の銅損を低減することができ、出力を向上できる。
また、この実施の形態では、固定子鉄心6のうち、トルクリップル調整磁気飽和部26を有する第2の閉口コアシート22を積層した第2のブロック20に、積層されたトルクリップル調整磁気飽和部からなるブロック飽和部30を有しているので、磁気飽和部26による漏れ磁束を低減でき、振動を低減しながらも平均トルクの低下を抑制できるといった効果が得られる。
また、トルクリップル調整磁気飽和部26は、同じ形状でなかったり、シートティース部25の径方向に延びた中心線に対して左右対称な形状でなかったりしても同様の効果が得られる。
例えば、図11に示すように、回転子5の極数が10、固定子4のスロット数が12の電動機100であっても同様の効果が得られる。
この電動機100の電機子巻線8は、U相は+U11、−U12、−U21、+U22の4個の巻線部、V相は−V11、+V12、+V21、−V22の4個の巻線部、W相は+W11、−W12、−W21、+W22の4個の巻線部からそれぞれ構成されている。
また、この各巻線部は、ティース15に導線を集中的に巻回した、所謂集中巻であって、各ティース15の時計方向に沿ったNo.1〜12のそれぞれに対応して、+U11、−U12、−V11、+V12、+W11、−W12、−U21、+U22、+V21、−V22、−W21、+W22の順に並んでいる構成となっている。
但し、「+」、「−」は巻線部の巻極性を示しており、「+」と「−」は巻極性が逆となる。この12個の巻線部は、それぞれ相毎に接続され、さらに外部で結線されることで、電機子巻線8を構成している。
また、図2の電動機100と比較して、スロット7の数が少なく電機子巻線8の製造が容易なので、電動機100の製造性が高いといった効果が得られる。
図12(a)は、この実施の形態2の電動機100の固定子鉄心6の部分(周方向に1/6の部位)分解斜視図、図12(b)は、図12(a)の第1のブロック19、第2のブロック20からなる斜視図である。
第1のブロック19は、第1の閉口コアシート21を積層して構成されている。第2のブロック20は、コアバック14に貫通穴28が形成されている。この第2のブロック20は、第2の閉口コアシート22を積層して構成されている。
固定子鉄心6は、下から第1のブロック19、第2のブロック20及び第1のブロック19の順序で積層され、2種類のブロック19,20で構成されている。
第2のブロック20の構成要素である、第2の閉口コアシート22は、隣接したシートティース部25間であって、シートコアバック部24に穴部29が形成されている。
各穴部29は、各シートティース部25の径方向に延びた中心線Cを中心にして左右対称である。
第2の閉口コアシート22の穴部29の径方向の両側で、第2の閉口コアシート22の径方向の幅が小さくなる部位は、第2の閉口コアシート22の幅が狭くなる影響と、穴部29を形成したことによる第2の閉口コアシート22の磁気特性低下の影響等から、第2の閉口コアシート22の磁束密度が高くなり、所謂トルクリップル調整磁気飽和部26である。
各穴部29は、各シートティース部25の径方向に延びた中心線Cに対して左右対称であり、全て同じ形状であるので、トルクリップル調整磁気飽和部26も中心線Cに対して左右対称で、同一形状である。
他の構成は、実施の形態1の電動機100と同じである。
また、この実施の形態では、穴部29を設けたので、第2の閉口コアシート22が穴部29の外径側、内径側で接続されており、切り欠き部23を設けた実施の形態1の電動機100と比較して、第2の閉口コアシート22の剛性の低下率を低減しながらも、トルクリップルを低減できるといった効果が得られる。
また、この実施の形態では、固定子鉄心6のうち、トルクリップル調整磁気飽和部26を有する第2の閉口コアシート22を積層した第2のブロック20にブロック飽和部30を有しているので、トルクリップルを低減しながらも、平均トルクを向上できるといった効果が得られる。
例えばシートコアバック部24のシートティース部25の径方向の外側に設けてもよいし、図14(a),(b)に示すように、シートティース部25に穴部29を設けてもよい。
また、穴部29の形状が1種類である例を示したが、2種類以上であっても同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、穴部29は、同一形状でなく、またシートティース部25の中心軸線Cに対して左右対称でなくてもよい。
また、実施の形態1の電動機100と同様に、トルクリップル調整磁気飽和部26の磁束密度を1.65[T]以上とすれば、さらにトルクリップルを低減できるという効果が得られる。
また、磁束密度を1.75[T]以下とすれば、さらにトルクリップルを低減しながらも、平均トルクの低下を抑制することができるといった効果が得られる。
図15(a)はこの発明の実施の形態3の電動機の固定子鉄心6を示す部分分解斜視図、(b)は(a)の固定子鉄心6を内側から視た斜視図、(c)は(a)の固定子鉄心6を外側から視た斜視図、図16(a)は、図15の第2の閉口コアシート22を示す正面図、図16(b)は、図16(a)の要部拡大図である。
この固定子鉄心6は、図16(a)の2点鎖線で示した第1の閉口コアシート21が積層された第1のブロック19と、第2の閉口コアシート22が積層された第2のブロック20と、の2種類で構成され、第1のブロック19、第2のブロック20及び第1のブロック19の順序で積層されている。
第2の閉口コアシート部22のシートコアバック部24Bの径方向の寸法bは、第1の閉口コアシート部21のシートコアバック部24Aの径方向の寸法aよりも小さい。
他の構成は、実施の形態1の電動機100と同じである。
また、トルクリップル調整磁気飽和部26は、周方向に沿って同一形状であり、電動機100の2つの回転方向(時計方向、反時計方向)に対して、どちらもトルクリップルを低減することができ、またトルクリップル、コギング、平均トルクの回転方向に対する差を無くすことができる。
また、この実施の形態では、固定子鉄心6のうち、トルクリップル調整磁気飽和部26を有する第2の閉口コアシート22を積層した第2のブロック20にブロック飽和部30を有しているので、トルクリップルを低減しながらも、平均トルクを向上できるといった効果が得られる。
また、磁束密度を1.75[T]以下とすれば、さらにトルクリップルを低減しながらも、平均トルクの低下を抑制することができるといった効果が得られる。
また、この実施の形態では、第1の閉口コアシート21、第2の閉口コアシート22のシートコアバック部24A,24B、シートティース部25A,25Bの幅が2種類である例を示したが、3種類以上であってもよい。
また、シートコアバック部24A,24B、シートティース部25A,25Bに切り欠き部、穴部を形成するようにしてもよい。
図18(a)は、この実施の形態4の電動機100の固定子鉄心6一部位(周方向に1/6の部位)を示す分解斜視図、図18(b)は、図18(a)の第1のブロック19、第2のブロック20から固定子鉄心6を示す斜視図、図18(c)は、図18(a)の第2のブロック20の構成要素である第2の閉口コアシート22を示す正面図である。
この実施の形態では、第1の閉口コアシート21と第2の閉口コアシート22とは、シートコアバック部24A,24Bの径方向の幅寸法が等しい形状であり、かつシートティース部25の周方向の幅寸法が等しい形状であるが、第2の閉口コアシート22のシートコアバック部24Bの磁気特性は、第1のコアシート21のシートコアバック部24Aの磁気特性よりも低い。
他の構成は、実施の形態1の電動機100と同じである。
これらの方法は、シートコアバック部の磁気特性を変化させるというだけで、電動機100のトルクリップルを抑制することができ、コアシートの形状を大きく変更する必要がないため、固定子鉄心6の剛性を向上させることができる。
このカシメによる方法は、積層された第2の閉口コアシート22を変形させて、積層方向に締結するものである。各第2の閉口コアシート22を締結することで、固定子鉄心6の剛性が高まるため、電動機100の振動、騒音をさらに低減できる。
この具体例では、固定子鉄心6の第2のブロック20において、第2の閉口コアシート22のシートコアバック部24Bの隣接したシートティース部25間の中心にカシメ部31が周方向に沿って等間隔で形成されている。
このように、カシメ部31及びその周囲部の磁気特性低下領域部は、磁束密度が高くなるトルクリップル調整磁気飽和部26であり、実施の形態1の電動機100と同様に、トルクリップルを低減できるといった効果が得られる。
また、カシメ部31を、隣接した各シートティース部25の中心線に対して左右対称に同じ形状で形成したので、電動機100の2つの回転方向(時計方向、反時計方向)に対して、どちらもトルクリップルを低減することができ、またトルクリップル、コギング、平均トルクの回転方向に対する差を無くすことができる。
また、この実施の形態では、図16の第2の閉口コアシート22と異なり、シートコアバック部24Bの径方向の幅を小さくする必要がなく、第2の閉口コアシート22の剛性の低下率を低減しながらも、トルクリップルを低減できるといった効果が得られる。
また、磁束密度を1.75[T]以下とすれば、さらにトルクリップルを低減しながらも、平均トルクの低下を抑制することができるといった効果が得られる。
この場合、第1の閉口コアシート21及び第2の閉口コアシート22の両シートティース部25の周方向の幅を同じとしても同様の効果が得られる。
また、この実施の形態4では、第1の閉口コアシート21及び第2の閉口コアシート22の2種類の例を示したが、3種類以上であってもよい。
また、2種類以上のコアシートのシートコアバック部、シートティース部のそれぞれ幅が異なる場合でもよい。
また、カシメ部31は、各形状が異なり、周方向に沿って等間隔でなくてもよい。
図20(a)は、固定子鉄心6を示す部分(周方向に1/6の部位)分解斜視図、図20(b)は、図20(a)の第1のブロック19、第2のブロック20及び第3のブロック35からなる固定子鉄心6を示す斜視図、図20(c)は、図20(b)の固定子鉄心6を外側から視た斜視図である。
第1のブロック19及び第2のブロック20は、外周面に軸線方向に延びた溝部33が形成されている。第2のブロック20は、隣接したティース15の鍔部17間に開口部32が設けられている。
第1のブロック19は、図4に示したものと同じ構成である第2の閉口コアシート22を積層して構成されている。第2のブロック20は、図21に示す第2の開口コアシート39を積層して構成されている。
第2の開口コアシート39は、図4に示した第2の閉口コアシート22のシート連結部27の部位にシート開口部34が形成されたものである。
他の構成は、実施の形態1の電動機100と同じである。
また、第2の開口コアシート39では、隣接したシートティース部25の先端部間にシート開口部34が形成されており、先端部同士が磁性体であるシート連結部27で連結された第2の閉口コアシート22と比較して隣接したシートティース部25間での漏れ磁束を低減することができる。
そのため、電動機100のトルクが向上し、トルクリップルを低減しながらも平均トルクが向上する。
図22は(a)はこの発明の実施の形態6の電動機100の固定子鉄心6を示す部分分解斜視図、(b)は(a)の固定子鉄心6を内側から視た斜視図、(c)は(a)の固定子鉄心6を外側から視た斜視図である。
この電動機100の固定子鉄心6は、下から第1のブロック19、第2のブロック20、第3のブロック35、第2のブロック20及び第1のブロック19の順序で積層されている。
第2のブロック20は、外周部に凹部16が形成されている。
第3のブロック35は、内周部に開口部32が形成されている。
第1のブロック19は、実施の形態1で示した第1の閉口コアシート21を積層して構成されている。第2のブロック20は、実施の形態1で示した第2の閉口コアシート22が積層して構成されている。第3のブロック35は、図23に示す第1の開口コアシート36が積層して構成されている。
この第1の開口コアシート36は、隣接したシートティース部25の先端部間にシート開口部34が形成されている。
この実施の形態では、第2のブロック20にトルクリップル調整磁気飽和部26が積層されたブロック飽和部30が設けられている。
他の構成は、実施の形態1の電動機100と同じである。
図25は、第1の開口コアシート36及び第2の開口コアシート39の全積層枚数cに対する第2の開口コアシート39の枚数dの比率と、トルクリップル、平均トルクとの関係を示す特性図である。
この実施の形態6の電動機100の固定子鉄心6では、シート開口部34及び切り欠き部23を有する、図21に示した第2の開口コアシート39を有していない。即ち、(d/c)=0なので、トルクリップルを低減しながらも平均トルクが向上できる。
図27は、第1の閉口コアシート21及び第2の閉口コアシート22の全積層枚数eに対する第2の閉口コアシート22の枚数fの比率と、トルクリップル、平均トルクとの関係を示す特性図である。
この実施の形態6の電動機100の固定子鉄心6では、ティース15の先端部に連結部18を有し、かつブロック飽和部30が設けられている。即ち、(f/e)>0なので、トルクリップルを低減することができる。
この変形例では、図22に示した、第2のブロック20、第3のブロック35及び第2のブロック20の順序で積層されている。第2のブロック20には切り欠き部23から構成された溝部33が形成されている。
この固定子鉄心6は、シート連結部27及び切り欠き部23を有する第2の閉口コアシート22と、シート開口部34を有する第1の開口コアシート36とが積層されている。
即ち、第2のブロック20では、(f/e)=1.0となり、トルクリップルをさらに低減できるといった効果が得られる。
また、シートティース部25の先端にシート連結部27を有する第2の閉口コアシート22に全てトルクリップル調整磁気飽和部26が設けられる場合、トルクリップルをさらに低減できる。
図29は、この発明の実施の形態7の電動機100を示す正断面図である。
実施の形態1の電動機100では、回転子鉄心12の表面に永久磁石13を配置した、所謂表面磁石型の電動機100の例であったが、この実施の形態7の電動機100では、永久磁石13は、回転子鉄心12に埋設されている。
固定子4の構造は、実施の形態1の電動機100と同じである。
回転子5は、シャフト11と、このシャフト11の外側の回転子鉄心12と、この回転子鉄心12に断面形状が四角形状で周方向に等間隔に14個埋め込まれた永久磁石13と、を備えている。
さらに固定子鉄心6と回転子鉄心12とが引き合うリラクタンストルクが発生するため、トルクリップルが大きく、振動・騒音が大きくなるという課題があった。
しかしながら、実施の形態1〜6で述べた構成により、平均トルクを向上しながらもコギングトルクやトルクリップルを低減し、高トルクかつ低振動・低騒音の電動機が得られる。
さらに、図29に示す断面形状が四角の永久磁石13を用いることができるため、永久磁石13の加工コストを低減でき、さらに磁石飛散防止のため永久磁石13を覆った金属管が不要となるため電動機100を低コスト化できるという効果が得られる。
固定子4の構造は、実施の形態1の電動機100と同じである。
永久磁石13は、その径方向の長さが周方向の長さに比べて長く、この永久磁石13が周方向に等間隔に14個並んでいる。
永久磁石13の着磁方向は、NとSとがそれぞれN極、S極になるような方向に着磁されている。即ち、隣り合う永久磁石13の向かい合う面が互いに同じ極になるように着磁されている。
このような着磁方向とすることで、磁束を回転子鉄心12に集中させて、磁束密度を高めるという効果が得られる。
このような形状により、空隙に発生する磁束密度の波形を滑らかにできるため、コギングトルクやトルクリップルを小さくすることができる。
さらに、永久磁石13の内径側の端面に接するように非磁性部38を設けている。ここは、空気としてもよいし、樹脂を充填してもよいし、ステンレスやアルミニウムのような非磁性の金属を挿入してもよい。
このようにすることで、永久磁石13の漏れ磁束を低減することができる。
隣り合う永久磁石13の間の回転子鉄心12とシャフト11の外周を囲うように設けられた回転子鉄心12の間に接続部40が設けられている。これは両者を機械的に連結する働きを持っている。
また、図2に示した表面磁石型の電動機100に比べて、等価的なエアギャップが小さく、ギャップの磁束密度が増加するため、平均トルクが大きくなるものの、電磁的な振動が大きくなるといった課題があった。
さらに固定子鉄心6と回転子鉄心12が引き合うリラクタンストルクが発生するため、トルクリップルが大きく、振動・騒音が大きくなるという課題があった。
しかしながら、実施の形態1〜6で述べた構成により、平均トルクを向上しながらもコギングトルクやトルクリップルを低減し、高トルクかつ低振動・低騒音の電動機が得られる。
図31は、この発明の実施の形態8の電動機100及びECUの回路図である。
この実施の形態8では、図31では、電動機100については第1の電機子巻線67及び第2の電機子巻線68のみを示している。
電動機100の電機子巻線は、第1のU相巻線部U1、第1のV相巻線部V1、第1のW相巻線部W1によって構成される第1の電機子巻線67と、第2のU相巻線部U2、第2のV相巻線部V2、第2のW相巻線部W2によって構成される第2の電機子巻線68とから構成される。
ここで、図31の電機子巻線について、第1のU相巻線部は、+U11、−U12、+U13が直列接続されて構成され、第2のU相巻線部は、−U21、+U22、−U23が直列接続されて構成されている。
第1のV相巻線部は、+V11、−V12、+V13が直列接続されて構成され、第2のV相巻線部は、−V21、+V22、−V23が直列接続されて構成されている。
第1のW相巻線部は、−W11、+W12、−W13が直列接続されて構成され、第2のW相巻線部は、+W21、−W22、+W23が直列接続されて構成されている。
但し、「+」、「−」は巻線部の巻極性を示しており、「+」と「−」は巻極性が逆となる。
ECU101は、第1のインバータ65及び第2のインバータ66を備え、それぞれのインバータ65,66から第1の電機子巻線67、第2の電機子巻線68に3相の電流を供給する。
ECU101では、バッテリ等の電源72から直流電源が供給されており、ノイズ除去用のコイル73を介して、第1の電源リレー70及び第2の電源リレー71が接続されている。
なお、図31では、電源72がECUの内部にあるかのように描かれているが、実際はバッテリ等の外部の電源72からコネクタを介して、電力が供給される。
第1の電源リレー70,第2の電源リレー71は、それぞれ2個のMOS-FETで構成され、故障時などは電源リレーを開放して、過大な電流が流れないようにする。
なお、図31では、第1の電源リレー70、第2の電源リレー71は、電源72、コイル73、電源リレー70,71の順序で接続されているが、コイル73よりも電源72に近い位置に設けられてもよい。
第1のコンデンサ78、第2のコンデンサ79は、平滑コンデンサである。図31ではそれぞれ1個のコンデンサ78,79で構成されているが、複数のコンデンサを並列に接続されたものでもよい。
さらに、下側の3つのMOS-FET74b、MOS-FET74d、MOS-FET74fのGND(グランド)側にはそれぞれシャント抵抗75が1つずつ接続されている。これらシャント抵抗75は、電流値の検出に用いられる。
なお、シャント抵抗75は、3個の例を示したが、2個のシャント抵抗であってもよいし、1個のシャント抵抗であっても電流検出は可能であり、そのような構成であってもよい。
さらに、下側の3つのMOS-FET76b、MOS-FET76d、MOS-FET76fのGND(グランド)側にはそれぞれシャント抵抗77が1つずつ接続されている。これらシャント抵抗77は、電流値の検出に用いられる。
電動機100側への電流の供給は、MOS-FET76aとMOS-FET76bとの間からバスバー等を通じて電動機100のU2相へ、MOS-FET76cとMOS-FET76dとの間からバスバー等を通じて電動機100のV2相へ、MOS-FET76eとMOS-FET76fとの間からバスバー等を通じて電動機100のW2相へそれぞれ供給される。
2台のインバータ65,66は、電動機100に備えられた回転角度センサ(図示しない)によって検出した回転角度に応じて制御回路(図示しない)からMOS-FETに信号を送ることでスイッチングし、第1の電機子巻線67と第2の電機子巻線68に所望の3相電流を供給する。
なお、回転角度センサはレゾルバやGMRセンサやMRセンサ等が用いられる。
まず、図31では、中性点N1,N2は電気的に接続されていない構成例を示した。
このように2個の電機子巻線67,68の中性点N1,N2を電気的に接続しない構成としておけば、電動機100内部で短絡が生じても電気的に独立した回路であれば、正常なインバータ65,66と電機子巻線67,68の回路でトルクを発生できるので短絡時の影響を低減できるという効果が得られる。
また、2台のインバータ67,68で電動機100を駆動した場合、2台のインバータ67,68の電流、電圧にアンバランスが生じると電動機100の振動、騒音が増大するといった課題があるが、実施の形態1〜7の電動機100を用いることで、振動、騒音を低減できる。
また、図31では、第1のインバータ65と第1の電機子巻線67との間、及び第2のインバータ66と第2の電機子巻線68との間にモータリレーのない例を示したが、MOS-FETで構成されたモータリレーを設けてもよい、故障時にはモータリレーを開放することでブレーキトルクを小さくするなどの対策を講じることができる。
また、電動機100が他の極数、スロット数であっても同等の効果が得られることはいうまでもない。
図32は、この実施の形態9の電動機を用いた自動車の電動パワーステアリング装置を示す説明図である。
運転者はステアリングホイール(図示せず)を操舵し、そのトルクがステアリングシャフト(図示せず)を介してシャフト80に伝達される。このときトルクセンサ81が検出したトルクは電気信号に変換されケーブル(図示せず)を通じて第1のコネクタ82を介してECU101に伝達される。
一方、車速などの自動車の情報が電気信号に変換され第2のコネクタ82を介してECU101に伝達される。ECUは、このトルクと車速などの自動車の情報から、必要なアシストトルクを演算し、インバータを通じて電動機100に電流を供給する。
電動機100は、ラック軸の移動方向イに平行な向きに配置されている。
また、ECU101への電源供給はバッテリやオルタネータから電源コネクタ88を介して送られる。
電動機100での発生トルクは、ベルト(図示せず)とボールネジ(図示せず)が内蔵されたギヤボックス84によって減速され、ハウジング85の内部にあるラック軸(図示せず)を矢印イの方向に動かす推力を発生させ、運転者の操舵力をアシストする。
これにより、タイロッド86が動き、タイヤが転舵して車両を旋回させることができる。
電動機100のトルクによってアシストされ、運転者は、少ない操舵力で車両を旋回させることができる。なお、ラックブーツ89は、異物が装置内に侵入しないように設けられている。
また、電動機100が動作するときの振動・騒音も小さい方が望ましい。
そこで、実施の形態1〜8で述べた電動機100を搭載すると、各々の実施の形態で述べた効果を得ることができる。
特に、平均トルクを向上しながらもコギングトルクやトルクリップルを低減し、低振動・低騒音化と高トルク化の両立が可能となる。
また、電動パワーステアリング装置における電動機100は、ラック軸を動かす推力を発生させるため、電動機は時計回り、反時計周りのどちらにも回転するが、実施の形態1〜4で述べた電動機100では、電動機の時計回り、反時計周りに対して、どちらもトルクリップルを低減することができる。
また、トルクリップル、コギング、平均トルクの回転方向に対する差を無くすことができる。
以上より、電動パワーステアリングの低振動・低騒音化、高トルク化が図られるといった効果が得られる。
しかしながら、実施の形態1〜8で述べた電動機100を適用すればこの課題が解決でき、大型の車両にも電動パワーステアリング装置が適用でき、燃費を低減できるという効果が得られる。
Claims (24)
- 円環状のシートコアバック部、このシートコアバック部から周方向に間隔を空けて径方向に延びたシートティース部を有する複数のコアシートが積層された固定子鉄心と、この固定子鉄心に巻装された電機子巻線と、を有する固定子と、
この固定子と磁気的空隙を介して配置された回転子と、を備え、
前記コアシートの少なくとも1枚は、隣接した前記シートティース部の先端部間に前記シートティース部同士を連結した磁性体のシート連結部を有する閉口コアシートである、電動機であって、
前記閉口コアシートの少なくとも1枚は、前記シートコアバック部及び前記シートティース部の少なくとも一方に、トルクリップルを低減するためのトルクリップル調整磁気飽和部を有し、
積層された前記コアシートの全数のうちの一部が、前記トルクリップル調整磁気飽和部を有する前記閉口コアシートである電動機。 - 前記トルクリップル調整磁気飽和部は、切り欠き部により形成されている請求項1に記載の電動機。
- 前記切り欠き部は、前記シートコアバック部の外周部に設けられている請求項2に記載の電動機。
- 前記切り欠き部は、前記シートコアバック部の内周部に設けられている請求項2に記載の電動機。
- 前記切り欠き部は、前記シートティース部に設けられている請求項2に記載の電動機。
- 前記トルクリップル調整磁気飽和部は、穴部により形成されている請求項1に記載の電動機。
- 前記トルクリップル調整磁気飽和部は、前記閉口コアシートの前記シートコアバック部の径方向の幅寸法を、前記トルクリップル調整磁気飽和部を有しない前記コアシートの前記シートコアバック部の径方向の幅寸法よりも小さくすることで形成されている請求項1に記載の電動機。
- 前記トルクリップル調整磁気飽和部は、前記閉口コアシートの前記シートティース部の周方向の幅寸法を、前記トルクリップル調整磁気飽和部を有しない前記コアシートの前記シートティース部の周方向の幅寸法よりも小さくすることで形成されている請求項1に記載の電動機。
- 前記閉口コアシートの前記シートコアバック部の前記トルクリップル調整磁気飽和部の径方向の幅寸法をb、前記コアシートの前記シートコアバック部の径方向の幅寸法をaとしたとき、(b/a)>0.5である請求項1〜8の何れか1項に記載の電動機。
- 前記閉口コアシートの前記シートティース部の前記トルクリップル調整磁気飽和部の周方向の幅寸法をb、前記コアシートの前記シートティース部の周方向の幅寸法をaとしたとき、(b/a)>0.5である請求項1〜9の何れか1項に記載の電動機。
- 前記トルクリップル調整磁気飽和部は、トルクリップル調整磁気飽和部を有しない前記コアシートと比較して磁気特性が低い磁気特性低下部により形成されている請求項1に記載の電動機。
- 前記閉口コアシートの前記シートコアバック部の径方向の幅寸法は、トルクリップル調整磁気飽和部を有しない前記コアシートの前記シートコアバック部の径方向の幅寸法に等しく、
前記閉口コアシートの前記シートティース部の周方向の幅寸法は、トルクリップル調整磁気飽和部を有しない前記コアシートの前記シートティース部の周方向の幅寸法に等しい請求項11に記載の電動機。 - 前記磁気特性低下部は、複数の前記閉口コアシートを互いに積層方向にカシメにより締結することで形成されている請求項12に記載の電動機。
- 前記トルクリップル調整磁気飽和部の磁束密度は、1.65[T]以上である請求項1〜13の何れか1項に記載の電動機。
- 前記トルクリップル調整磁気飽和部の磁束密度は、1.75[T]以下である請求項1〜13の何れか1項に記載の電動機。
- 前記回転子の極数をP、mをPの約数を除く1以上の整数であり、前記トルクリップル調整磁気飽和部は、同じ形状で周方向に等間隔でm個設けられている請求項1〜15の何れか1項に記載の電動機。
- 複数の前記トルクリップル調整磁気飽和部を有する前記閉口コアシート及び各複数の前記トルクリップル調整磁気飽和部のそれぞれの形状は、前記固定子の中心に対して回転対称かつ、前記中心を通る1つの直線に対して線対称な形状である請求項1〜16の何れか1項に記載の電動機。
- 前記固定子は、前記閉口コアシートと、隣接した前記シートティース部の先端部間が開口した開口コアシートとが積層されて構成されている請求項1〜17の何れか1項に記載の電動機。
- 前記閉口コアシートのみに前記トルクリップル調整磁気飽和部が設けられている請求項18に記載の電動機。
- 前記閉口コアシートは、全数に前記トルクリップル調整磁気飽和部が設けられている請求項18または19に記載の電動機。
- 前記回転子は、回転子鉄心と、回転子鉄心の内部に周方向に沿って間隔を空けて埋設された永久磁石と、を有する請求項1〜20の何れか1項に記載の電動機。
- 前記回転子は、極数が14、前記固定子は、前記シートティース部が積層されて構成されたティースの数が18で、前記ティースに導線が巻回された集中巻である請求項1〜21の何れか1項に記載の電動機。
- 前記電機子巻線は、第1のU相巻線部と、第1のV相巻線部と、第1のW相巻線部と、第2のU相巻線部と第2のV相巻線部と第2のW相巻線部を有し、
前記第1のU相巻線部、前記第1のV相巻線部及び前記第1のW相巻線部は、第1のインバータに接続され,
前記第2のU相巻線部、前記第2のV相巻線部及び前記第2のW相巻線部は、第2のインバータに接続される請求項1〜22の何れか1項に記載の電動機。 - 前記電動機は、電動パワーステアリング装置に用いられている請求項1〜23の何れか1項に記載の電動機。
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