JP5905176B1 - 回転電機および当該回転電機を用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

回転電機(101)は、6k・n個のティース(15)に第1、第2の電機子巻線(16)、(17)がともに巻回された電機子コイル体(18)を各相Ua、VaおよびWa、6m・n個のティース(15)に第1の電機子巻線(16)のみが巻回された電機子コイル体(18)を各相Ub、VbおよびWb、6m・n個のティース(15)に第2の電機子巻線(17)のみが巻回された電機子コイル体(18)を各相Uc、VcおよびWcとすると、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子(4)の軸心を中心に2n回回転対称に配置されることを特徴とする。

Description

この発明は、回転電機および当該回転電機を用いた電動パワーステアリング装置に関する。
従来、電動パワーステアリング装置などに用いられる回転電機では、トルクの脈動であるトルクリップルの抑制が求められる。そこで、2つの3相の電機子巻線が、固定子鉄心に形成された複数のティースに集中巻で巻回され、2つのインバータから電流位相差が設けられた電流が、それぞれ異なる3相の電機子巻線に供給されて回転駆動される回転電機が知られている。
また、この回転電機については、18n個(nは1以上の整数)のティースを有する固定子および(18n±4n)個の界磁極を有する回転子を備えているもの(例えば、特許文献1および特許文献2参照)および隣接関係にある一対のティースの少なくとも一方のティースに2つ以上の電機子巻線が巻回され、これらの電機子巻線が、それぞれ異なるインバータに接続されるものがある(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第2013/054439号 国際公開第2013/080374号 特開2013−85381号公報
特許文献1および特許文献2における回転電機では、2つのインバータの電流位相差を20°〜40°とすることにより、トルクリップルを低減している。
しかしながら、特許文献1および特許文献2の構成を、6(2m+k)・n個(k、nおよびmは1以上の整数)のティースを有する固定子を備えた回転電機に適用した場合、各電機子巻線の各相は、(2m+k)個のティースを最小単位として周期的に配置された構成になる。このため、2つのインバータから電流位相差を有する電流が、それぞれ異なる電機子巻線に供給された場合、ティースに巻回された電機子巻線によって回転子と固定子との間の空隙に作られる電磁場が、空間的にアンバランスとなる。そして、回転電機の回転子の所望の制御上の周方向位置に対して、回転子と固定子との間の空隙に電磁場成分のずれが生じる。前記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じると、回転電機の固定子鉄心に生じる電磁加振力が増加し、振動および騒音が増加するという課題があった。
また、特許文献3の構成では、2つの電機子巻線の巻数比に応じて、2つのインバータからそれぞれ異なる電機子巻線に供給される電流の電流位相差のばらつきの影響を抑えることにより、回転電機のトルクリップルの増大を抑制している。
しかしながら、特許文献1および特許文献2の構成を、6(2m+k)・n個(k、nおよびmは1以上の整数)のティースを有する固定子を備えた回転電機に適用した場合、各電機子巻線の各相が、(2m+k)個のティースを最小単位として周期的に配置され、隣接関係にある一対のティースの少なくとも一方のティースに2つ以上の電機子巻線が巻回された構成になる。このため、2つのインバータから電流位相差を有する電流が、それぞれ異なる電機子巻線に供給された場合、ティースに巻回された電機子巻線によって回転子と固定子との間の空隙に作られる電磁場が、空間的にアンバランスとなる。そして、特許文献1および特許文献2と同様に、前記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じるため、回転電機の電磁加振力が増加し、振動および騒音が増加するという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、6(2m+k)・n個のティースを有する固定子を備えた回転電機において、回転電機の2つの電機子巻線に供給される電流に電流位相差が生じた場合でも、電機子巻線によって回転子と固定子との間の空隙に作られる電磁場を空間的にバランスさせて、回転電機の振動および騒音の増加を抑制できる回転電機を得ることを目的とする。
この発明に係る回転電機は、6(2m+k)・n個(k、nおよびmは1以上の整数)のティースを有する固定子鉄心および複数のティースにそれぞれ第1の電機子巻線および第2の電機子巻線の少なくとも一方が巻回された複数の電機子コイル体を具備する固定子とを備え、第1の電機子巻線は、第1のインバータから3相の電流を供給され、第2の電機子巻線は、第2のインバータから3相の電流を供給され、複数の電機子コイル体は、それぞれ3相のいずれかの相の電機子コイル体であり、複数の電機子コイル体における6k・n個の電機子コイル体は、6k・n個のティースのそれぞれに第1の電機子巻線および第2の電機子巻線がともに巻回されて3相の各相がそれぞれ2k・n個の電機子コイル体で構成されており、これらの3相の各相の電機子コイル体をそれぞれUa、VaおよびWaとし、複数の電機子コイル体における他の6m・n個の電機子コイル体は、6m・n個のティースのそれぞれに第1の電機子巻線のみが巻回されて3相の各相がそれぞれ2m・n個の電機子コイル体で構成されており、これらの3相の各相の電機子コイル体をそれぞれUb、VbおよびWbとし、複数の電機子コイル体における残りの6m・n個の電機子コイル体は、6m・n個のティースのそれぞれに第2の電機子巻線のみが巻回されて3相の各相がそれぞれ2m・n個の電機子コイル体で構成されており、これらの3相の各相の電機子コイル体をそれぞれUc、VcおよびWcとすると、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置されていることを特徴とする。
上記のように構成された回転電機は、回転電機の2つの電機子巻線に供給される電流に電流位相差が生じた場合でも、電機子巻線によって回転子と固定子との間の空隙に作られる電磁場が空間的にバランスし、回転電機のトルクリップルおよび電磁加振力の増加を抑制できる。よって、回転電機の振動および騒音の増加を抑制できる。
この発明の実施の形態1に係る電動駆動装置の側断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機のY結線の図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機のΔ結線の図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機およびECUの回路図である。 (a)はこの発明の実施の形態1に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT1番、T5番およびT6番のティースのベクトル図、(b)はこの発明の実施の形態1に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT10番、T14番およびT15番のティースのベクトル図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の電機子巻線に流れるV相の電流のベクトル図である。 従来の回転電機の断面図である。 従来の回転電機のY結線の図である。 従来の回転電機のΔ結線の図である。 (a)従来の回転電機の電流位相差が0°の場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)従来の回転電機の電流位相差θ(θ>0°)を有する場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 従来の回転電機の断面図である。 (a)従来の回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)従来の回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)この発明の実施の形態1に係る回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)この発明の実施の形態1に係る回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の電流位相差θとトルク比との関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の電流位相差θとトルクリップル比との関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の電流位相差θと電磁加振力比との関係を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態2に係る回転電機の別の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態3に係る回転電機の断面図である。 (a)はこの発明の実施の形態3に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT1番、T2番およびT9番のティースのベクトル図、(b)はこの発明の実施の形態3に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT10番、T11番およびT18番のティースのベクトル図である。 従来の回転電機の断面図である。 (a)従来の回転電機の電流位相差が0°の場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)従来の回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)この発明の実施の形態3に係る回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 (a)この発明の実施の形態3に係る回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図、(b)T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。 この発明の実施の形態4に係る回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態5に係る回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態5に係る回転電機の電流位相差θとトルク比との関係を示す図である。 この発明の実施の形態5に係る回転電機の巻回数比率と、電流位相差0°の場合によりもトルクが向上する電流位相差θaおよびトルクが最大となる電流位相差θbとの関係を示す図である。 この発明の実施の形態6に係る回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態8に係る回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態8に係る回転電機の別の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態9に係る電動パワーステアリング装置の説明図である。
以下、この発明の各実施の形態の回転電機について、自動車に用いられる回転電機を一例として説明するが、この発明に係る回転電機は、自動車の用途に限らず、他の用途に用いられるものであってもよい。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1に係る回転電機101とECU(Electronic Control Unit)111とが一体となった電動駆動装置100の側断面図である。なお、側断面図とは、回転電機101の軸心を含む平面における断面図である。
この実施の形態1の回転電機101は、円筒形状のフレーム1と、このフレーム1の片側端面にボルト2に固定されたハウジング3と、フレーム1の内壁面に固定された固定子4と、この固定子4の内側に設けられた回転子5と、を備えている。
固定子4は、薄板状の電磁鋼板等の磁性体を積層した固定子鉄心6と、この固定子鉄心6に収められた複数の電機子コイル体18と、を有している。
回転子5は、ハウジング3に嵌着された第1の軸受9およびフレーム1に嵌着された第2の軸受10により両端部が回転自在に支持されたシャフト11と、このシャフト11の外周面に固定された回転子鉄心12と、この回転子鉄心12の外周面に周方向に等分間隔に配置された永久磁石13と、を有している。
ECU111は、フレーム1の壁部50により回転電機101と区画されている。フレーム1のハウジング3と反対側の開口部はヒートシンク51で閉じられている。このヒートシンク51の片面は、有底円筒形状のケース52で覆われている。ヒートシンク51のシャフト11側の面には、凹部53が形成されている。この凹部53は、磁気センサ54を搭載した基板55で覆われている。磁気センサ54は、シャフト11の一端部に固定されたプーリ57と反対側の他端部に固定されたセンサ用永久磁石56に対向している。
ヒートシンク51のシャフト11と反対側の面には、スイッチング素子58が搭載されている。基板55は、支持部59および接続部材60を介して制御基板61と電気的に接続されている。ケース52には、トルクセンサからの情報を受け取る第1のコネクタ62、車速などの自動車の情報を受け取る第2のコネクタ63および電力供給用の電源コネクタ64が設けられている。
図2は、本実施の形態に係る回転電機の断面図である。なお、断面図とは、回転電機101の軸心に直交する平面における断面図である。
回転子鉄心12の外周側には、14個の永久磁石13が周方向に等間隔に接着固定されて、14個の界磁極が構成されている。なお、永久磁石13の外側に永久磁石13の保護と飛散防止用に、ステンレスやアルミニウム等の非磁性材料を円筒状にしたカバーで覆われたものもある。
固定子鉄心6は、円環状のコアバック14と、コアバック14から径方向の内側(磁気的空隙長の方向)に延び周方向に等間隔に形成された18個のティース15とを有している。そして、18個のスロット7が隣り合うティース15の間に形成されている。ティース15には、便宜的に、周方向の配列順で反時計回りに、符号T1〜T18を割り振っている。そして、ティース15には、それぞれ電機子コイル8が少なくとも1個以上巻回されている。
電機子コイル8は、3相の各相をそれぞれ表すU相、V相およびW相に属する電機子コイル8に分類される。U相は、−U11、+U12、+U13、−U14、−U21、−U22、+U23、+U24の8個の電機子コイル8から構成され、V相は、−V11、+V12、+V13、−V14、−V21、−V22、+V23、+V24の8個の電機子コイル8から構成され、W相は、−W11、+W12、+W13、−W14、−W21、−W22、+W23、+W24の8個の電機子コイル8から構成されている。
また、24個の電機子コイル8は、図2に示されるように、T1〜T18番のティース15のそれぞれに対応して、−V11/−V21、−W14、+W24、+U13/+U23、+V12、−V22、−W11/−W21、−U14、+U24、+V13/+V23、+W12、−W22、−U11/−U21、−V14、+V24、+W13/+W23、+U12、−U22の順に並んでいる。ただし、「+」および「−」は、電機子コイル8の互いに異なる巻極性を表し、電機子コイル8に同一方向の電流が流れた場合、電機子コイル8に発生する電磁場方向が、径方向に互いに反対となることを意味する。また、「/」は同じティース15の異なる径方向位置に2個の電機子コイル8が巻回されていることを示している。T1番、T4番、T7番、T10番、T13番、T16番のティース15それぞれには、同じ巻回数の2個の電機子コイル8が巻回されており、他のティース15には1個の電機子コイル8が巻回されている。なお、T1番、T4番、T7番、T10番、T13番、T16番のそれぞれの同じティース15に巻回される2個の電機子コイル8の径方向位置は、図2に限らず、互いに入れ替わっても良い。
図3は、本実施の形態に係る回転電機のY結線の図である。図4は、本実施の形態に係る回転電機のΔ結線の図である。なお、図3および図4において、電機子コイル8の巻極性の表示を省略している。
24個の電機子コイル8は、図3または図4に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心6の外部で結線されて、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17が構成されている。
図3および図4において、第1の電機子巻線16では、U相のU11、U12、U13およびU14の4個の電機子コイル8が順に直列に接続され、V相のV11、V12、V13およびV14の4個の電機子コイル8が順に直列に接続され、W相のW11、W12、W13およびW14の4個の電機子コイル8が順に直列に接続されている。
また、第2の電機子巻線17では、U相のU21、U22、U23およびU24の4個の電機子コイル8が順に直列に接続され、V相のV21、V22、V23およびV24の4個の電機子コイル8が順に直列に接続され、W相のW21、W22、W23およびW24の4個の電機子コイル8が順に直列に接続されている。
図3においては、第1の電機子巻線16では、U11、V11およびW11の一端におけるU1+、V1+およびW1+が、それぞれ端子A1、端子B1および端子C1とされ、U14、V14およびW14の他端におけるU1−、V1−およびW1−が、すべて接続されて中性点N1を構成し、3相の各相の電機子コイル8がY結線で結線されている。
また、第2の電機子巻線17では、U21、V21およびW21の一端におけるU2+、V2+およびW2+が、それぞれ端子A2、端子B2および端子C2とされ、U24、V24およびW24の他端におけるU2−、V2−およびW2−が、すべて接続されて中性点N2を構成し、3相の各相の電機子コイル8がY結線で結線されている。
図4においては、第1の電機子巻線16では、U11の一端におけるU1+およびW14の他端におけるW1−が接続されて端子A1とされ、V11の一端におけるV1+およびU14の他端におけるU1−が接続されて端子B1とされ、W11の一端におけるW1+およびV14の他端におけるV1−が接続されて端子C1とされ、3相の各相の電機子コイル8がΔ結線で結線されている。
また、第2の電機子巻線17では、U21の一端におけるU2+およびW24の他端におけるW2−が接続されて端子A2とされ、V21の一端におけるV2+およびU24の他端におけるU2−が接続されて端子B2とされ、W21の一端におけるW2+およびV24の他端におけるV2−が接続されて端子C2とされ、3相の各相の電機子コイル8がΔ結線で結線されている。
ここで、図2に示されるように、複数の電機子コイル体18における6個の電機子コイル体18は、2個の電機子コイル8が巻回されているT1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番の6個のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8と、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8とがともに巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUa、VaおよびWaとしている。
そして、複数の電機子コイル体18における他の6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT2番、T5番、T8番、T11番、T14番およびT17番の6個の他の一部のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUb、VbおよびWbとしている。
また、複数の電機子コイル体18における残りの6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT3番、T6番、T9番、T12番、T15番およびT18番の6個の残りのティース15のそれぞれに、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUc、VcおよびWcとしている。
そして、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2回回転対称に配置されている。ここで、「2回回転対称に配置」とは、電機子コイル体18を回転子5の軸心を中心に機械角で180°(=360°/2)回転させても、同じ符号のティース15に巻回される電機子コイル体18は、回転前後で同じになることを意味する。
また、18個の電機子コイル体18において、機械角で180°(=360°/2)の範囲にある連続する9個の電機子コイル体18を回転対称の最小単位とすると、回転対称の最小単位が2回周期的に配置されていることになる。
また、ティース15にそれぞれ巻回される電機子コイル体18の巻回数は、すべて等しくなっている。そのため、T1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番のティース15それぞれに巻回されている2個の電機子コイル8の巻回数の合計、すなわち1個の電機子コイル体18の巻回数はすべて同じであり、他のティースそれぞれに巻回されている1個の電機子コイル8、すなわち1個の電機子コイル体18の巻回数はすべて同じである。
図5は実施の形態1における回転電機およびECUの回路図である。図5では、回転電機101については、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17のみを示している。
なお、図5では第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17は、それぞれY結線となっているが、図4に示すようにΔ結線となっていてもよい。
ECU111も簡単のため詳細は省略し、第1のインバータ65及び第2のインバータ66のパワー回路部のみを示す。
ECU111は、第1のインバータ65および第2のインバータ66を備えている。回転電機101の第1の電機子巻線16に、ECU111の第1のインバータ65が接続され、第2の電機子巻線17に、ECU111の第2のインバータ66が接続されている。第1の電機子巻線16は、第1のインバータ65から3相の電流を供給され、第2の電機子巻線17は、第2のインバータ66から3相の電流を供給される。
ECU111には、バッテリ等の電源72から直流電力が供給されている。電源72には、ノイズ除去用コイル73を介して、第1の電源リレー70および第2の電源リレー71が接続されている。
なお、図5では、電源72がECU111の内部にあるかのように描かれているが、実際はバッテリ等の外部の電源72から図1における電源コネクタ64を介して、電力が供給される。
第1の電源リレー70,第2の電源リレー71は、それぞれ2個のMOS-FETで構成され、故障時などは電源リレーを開放して、過大な電流が流れないようにする。
なお、図5では、第1の電源リレー70、第2の電源リレー71は、電源72、ノイズ除去用コイル73、電源リレー70,71の順序で接続されているが、ノイズ除去用コイル73よりも電源72に近い位置に設けられてもよい。
第1のコンデンサ78、第2のコンデンサ79は、平滑コンデンサである。図5ではそれぞれ1個のコンデンサ78,79で構成されているが、複数のコンデンサを並列に接続されたものでもよい。
第1のインバータ65、第2のインバータ66は、それぞれ6個のMOS-FETを用いたブリッジで構成され、第1のインバータ65では、MOS-FET74a、MOS-FET74bが直列接続され、MOS-FET74c、MOS-FET74dが直列接続され、MOS-FET74e、MOS-FET74fが直列接続されて、さらにこの3組のMOS-FETが並列に接続されている。
さらに、下側の3つのMOS-FET74b、MOS-FET74d、MOS-FET74fのGND(グランド)側にはそれぞれシャント抵抗75が1つずつ接続されている。これらシャント抵抗75は、電流値の検出に用いられる。
なお、シャント抵抗75は、3個の例を示したが、2個のシャント抵抗であってもよいし、1個のシャント抵抗であっても電流検出は可能であり、そのような構成であってもよい。
回転電機101側への電流の供給は、MOS-FET74aとMOS-FET74bとの間からバスバー等を通じて回転電機101の端子A1へ、MOS-FET74cとMOS-FET74dとの間からバスバー等を通じて回転電機101の端子B1へ、MOS-FET74eとMOS-FET74fとの間からバスバー等を通じて回転電機101の端子C1へそれぞれ供給される。
第2のインバータ66も第1のインバータ65と同様の構成となっており、第2のインバータ66では、MOS-FET76a、MOS-FET76bが直列接続され、MOS-FET76c、MOS-FET76dが直列接続され、MOS-FET76e、MOS-FET76fが直列接続されて、さらにこの3組のMOS-FETが並列に接続されている。
さらに、下側の3つのMOS-FET76b、MOS-FET76d、MOS-FET76fのGND(グランド)側にはそれぞれシャント抵抗77が1つずつ接続されている。これらシャント抵抗77は、電流値の検出に用いられる。
なお、シャント抵抗77は、3個の例を示したが、2個のシャントであってもよいし、1個のシャントであっても電流検出は可能であるため、そのような構成であってもよい。
回転電機101側への電流の供給は、MOS-FET76aとMOS-FET76bとの間からバスバー等を通じて回転電機101の端子A2へ、MOS-FET76cとMOS-FET76dとの間からバスバー等を通じて回転電機101の端子B2へ、MOS-FET76eとMOS-FET76fとの間からバスバー等を通じて回転電機101の端子C2へそれぞれ供給される。
2台のインバータ65,66において、回転電機101に備えられた回転角度センサ(図示しない)によって検出した回転角度に応じて制御回路(図示しない)が、各MOS-FETに信号を送る。当該信号を受けた各MOS-FETがスイッチングされることによって、各MOS-FETから第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に所望の3相電流が供給される。
なお、回転角度センサはレゾルバやGMRセンサやMRセンサ等が用いられる。
このような構成の回転電機101とすると以下に示すような効果が得られる。
まず、図5では、中性点N1およびN2は電気的に接続されていない構成例を示した。
このように2個の電機子巻線16および17の中性点N1およびN2を電気的に接続しない構成としておけば、回転電機101内部で短絡が生じても電気的に独立した回路であれば、正常なインバータ65および66と電機子巻線16および17との回路でトルクを発生できるので短絡時の影響を低減できるという効果が得られる。
また、図5では、第1のインバータ65と第1の電機子巻線16との間、および第2のインバータ66と第2の電機子巻線17との間にモータリレーのない例を示したが、MOS-FETで構成されたモータリレーを設けてもよい、故障時にはモータリレーを開放することでブレーキトルクを小さくするなどの対策を講じることができる。
図6(a)は、本実施の形態に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT1番、T5番およびT6番のティースのベクトル図である。図6(b)は、本実施の形態に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT10番、T14番およびT15番のティースのベクトル図である。図6(a)および図6(b)は、T1番、T5番およびT6番のティース15と、T10番、T14番およびT15番のティース15との2つ、すなわちティース15を周方向に機械角180°ずつに分けて示している。ここで、V相の電機子コイル8が巻回されたティース15のそれぞれの電気角位相は、電機子コイル8の巻極性が「+」の場合、「−」の巻極性の電機子コイル8に対して電気角で180°ずらされている。
T1番およびT10番、T5番およびT14番並びにT6番およびT15番のティース15の位相は、それぞれ機械角で180°異なるが、電機子コイル8の巻極性を考慮した場合、これらのティース15の位相は、それぞれ電気角で同じとなる。また、T1番およびT5番、T1番およびT6番、T10番およびT14番並びにT10番およびT15番のティース15の位相は、それぞれ電気角で20°異なる。
また、図6(a)および図6(b)において、T1番およびT10番のティースに巻回された電機子コイル体18のVaの電気角位相のそれぞれは、回転対称の最小単位における同じ相の3個の電機子コイル体18であるVa,Vb,Vcの内、小さい方から2番目の大きさの値である。
なお、図6(a)および図6(b)ではV相について示したが、W相およびU相についても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
以上より、本実施の形態の各相のティース15の位相は、機械角180°で同じとなる。つまり、電機子コイル8のUa、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2(=360°/2)回回転対称に配置されている。
また、Ua、VaおよびWaの電気角位相のそれぞれは、回転対称の最小単位における同じ相の3個の電機子コイル体18の内、小さい方から2番目の大きさの値である。
図7は、本実施の形態に係る回転電機の電機子巻線に流れるV相の電流のベクトル図である。第1の電機子巻線16に供給されるV相の電流の位相は、0°を基準に−θ/2°(θ>0°)であり、第2の電機子巻線17に供給されるV相の電流の位相は、0°を基準に+θ/2°である。すなわち、第2のインバータ66から第2の電機子巻線17に供給される電流の位相は、第1のインバータ65から第1の電機子巻線16に供給される電流の位相に対して、電流位相差θ進んでいる。
また、T5番およびT14番のティースに巻回された電機子コイル体18のVbは、それぞれ回転対称の最小単位の同じ相において電気角位相が最も進んだ電機子コイル体18である。T6番およびT15番のティースに巻回された電機子コイル体18のVcは、それぞれ回転対称の単位の同じ相において電気角位相が最も遅れた電機子コイル体18である。
なお、図7ではV相の電流について示したが、W相およびU相の電流についても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
以上より、Ub,VbおよびWbは、それぞれ回転対称の最小単位の同じ相において電気角位相が最も進んだ電機子コイル体18である。また、Uc,VcおよびWcは、それぞれ回転対称の単位の同じ相において電気角位相が最も遅れた電機子コイル体18である。
本実施の形態の効果を説明するために、従来の回転電機の構成例をもとに課題を説明する。図8は、従来の回転電機の断面図である。
電機子コイル808は、3相の各相をそれぞれ表すU相、V相およびW相に属する電機子コイル808に分類される。U相は、−U11、+U12、−U13、+U21、−U22、+U23の6個の電機子コイル808から構成され、V相は、−V11、+V12、−V13、+V21、−V22、+V23の6個の電機子コイル808から構成され、W相は、−W11、+W12、−W13、+W21、−W22、+W23の6個の電機子コイル808から構成されている。
また、18個の電機子コイル808は、図8に示されるように、T1〜T18番のティース15のそれぞれに対応して、−V11、−W22、+W23、+U21、+V12、−V13、−W11、−U22、+U23、+V21、+W12、−W13、−U11、−V22、+V23、+W21、+U12、−U13の順に並んでいる。ただし、「+」および「−」は、電機子コイル808の互いに異なる巻極性を表している。
ここで、18個の電機子コイル808は、図9または図10に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心806の外部で結線されて、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817が構成されている。
図9は、従来の回転電機のY結線の図である。図10は、従来の回転電機のΔ結線の図である。なお、図9および図10において、電機子コイル808の巻極性の表示を省略している。
図9および図10において、第1の電機子巻線816では、U相のU11、U12およびU13の3個の電機子コイル808が順に直列に接続され、V相のV11、V12およびV13の3個の電機子コイル808が順に直列に接続され、W相のW11、W12およびW13の3個の電機子コイル808が順に直列に接続されている。
また、第2の電機子巻線817では、U相のU21、U22およびU23の3個の電機子コイル808が順に直列に接続され、V相のV21、V22およびV23の3個の電機子コイル808が順に直列に接続され、W相のW21、W22およびW23の3個の電機子コイル808が順に直列に接続されている。
図9においては、第1の電機子巻線816では、U11、V11およびW11の一端におけるU1+、V1+およびW1+が、それぞれ端子A1、端子B1および端子C1とされ、U13、V13およびW13の他端におけるU1−、V1−およびW1−が、すべて接続されて中性点N1を構成し、3相の各相の電機子コイル808がY結線で結線されている。
また、第2の電機子巻線817では、U21、V21およびW21の一端におけるU2+、V2+およびW2+が、それぞれ端子A2、端子B2および端子C2とされ、U23、V23およびW23の他端におけるU2−、V2−およびW2−が、すべて接続されて中性点N2を構成し、3相の各相の電機子コイル808がY結線で結線されている。
図10においては、第1の電機子巻線816では、U11の一端におけるU1+およびW13の他端におけるW1−が接続されて端子A1とされ、V11の一端におけるV1+およびU13の他端におけるU1−が接続されて端子B1とされ、W11の一端におけるW1+およびV13の他端におけるV1−が接続されて端子C1とされ、3相の各相の電機子コイル808がΔ結線で結線されている。
また、第2の電機子巻線817では、U21の一端におけるU2+およびW23の他端におけるW2−が接続されて端子A2とされ、V21の一端におけるV2+およびU23の他端におけるU2−が接続されて端子B2とされ、W21の一端におけるW2+およびV23の他端におけるV2−が接続されて端子C2とされ、3相の各相の電機子コイル808がΔ結線で結線されている。
また、従来の回転電機901における電流のベクトルは、図7に示す電流位相ベクトルと同等である。
図11(a)は、従来の回転電機の電流位相差が0°の場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図11(b)は、従来の回転電機のT10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図11(a)において、T1番、T5番およびT6番のティース815に巻回されたV相の電機子コイル808の+V12、−V11および−V13は、第1の電機子巻線816のV相の電機子コイル808のすべてを構成している。
図11(b)において、T10番、T14番およびT15番のティース815に巻回されたV相の電機子コイル808の−V22、+V21および+V23は、第2の電機子巻線817のV相の電機子コイル808のすべてを構成している。
また、図11(a)および図11(b)により、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番およびT10番、T5番およびT14番並びにT6番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルは、それぞれ等しいことがわかる。よって、T1番、T5番およびT6番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T14番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
図12(a)は、従来の回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図12(b)は、従来の回転電機の電流位相差θを有する場合において、T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図12(a)および図12(b)において、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T5番およびT6番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相と、T10番、T14番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相とが異なっている。これは、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808の配置が、図11(a)および図11(b)のように機械角180°で異なる、すなわち回転子805の軸心を中心に2回回転対称になっていないためである。よって、電磁場ベクトルの和の位相が機械角180°で異なるため、従来の回転電機901の電磁場はアンバランスとなる。
なお、図11(a)、図11(b)、図12(a)および図12(b)ではV相について示したが、W相およびU相の電磁場ベクトルについても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
図13は、図8の従来例と異なる構成の従来の回転電機902の断面図である。
電機子コイル808は、3相の各相をそれぞれ表すU相、V相およびW相に属する電機子コイル808に分類される。U相は、−U11、+U12、−U13、−U21、+ U22、+U23の6個の電機子コイル808から構成され、V相は、−V11、+V12、−V13、−V21、+V22、+V23の6個の電機子コイル808から構成され、W相は、−W11、+W12、−W13、−W21、+W22、+W23の6個の電機子コイル808から構成されている。
また、18個の電機子コイル808は、図13に示されるように、T1〜T18番のティース815のそれぞれに対応して、−V11、−W13、+W23、+U22、+V12、−V21、−W11、−U13、+U23、+V22、+W12、−W21、−U11、−V13、+V23、+W22、+U12、−U21の順に並んでいる。ただし、「+」および「−」は、電機子コイル808の互いに異なる巻極性を表している。
ここで、18個の電機子コイル808は、図9または図10に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心806の外部で結線されて、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817が構成されている。第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817のそれぞれの結線は、図9および図10に示されるように、Y結線またはΔ結線で3相の電機子コイル808が結線される。
また、従来の回転電機902の第1および第2の電機子巻線816、817における電流のベクトルは、図7に示す電流位相ベクトルと同等である。
図14(a)は、従来の回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図14(b)は、従来の回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図14(a)において、T1番、T5番およびT6番のティース815に巻回されたV相の電機子コイル808の+V12および−V11は、第1の電機子巻線816のV相の電機子コイル808の一部を構成し、−V21は、第2の電機子巻線817のV相の電機子コイル808の一部を構成している。
図14(b)において、T10番、T14番およびT15番のティース815に巻回されたV相の電機子コイル808の−V13は、第1の電機子巻線816のV相の電機子コイル808の一部を構成し、+V22および+V23は、第2の電機子巻線817のV相の電機子コイル808の一部を構成している。
また、図14(a)および図14(b)により、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番およびT10番、T5番およびT14番並びにT6番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルは、それぞれ等しいことがわかる。よって、T1番、T5番およびT6番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T14番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
図15(a)は、従来の回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図15(b)は、従来の回転電機の電流位相差θを有する場合において、T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図15(a)および図15(b)において、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T5番およびT6番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相と、T10番、T14番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相とが異なっている。これは、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808の配置が、図14(a)および図14(b)のように機械角180°で異なる、すなわち回転子805の軸心を中心に2回回転対称になっていないためである。よって、電磁場ベクトルの和の位相が機械角180°で異なるため、従来の回転電機902の電磁場はアンバランスとなる。
なお、図14(a)、図14(b)、図15(a)および図15(b)ではV相について示したが、W相およびU相の電磁場ベクトルについても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
以上、2つの従来の回転電機901および902の構成例では、電磁場がアンバランスとなることがわかった。
また、図8および図13の2つの従来の回転電機901および902の構成例以外の電機子コイル808の配置でも、18個のティース815と、それぞれのティース815に集中巻で巻回され機械角で180°周期の配置となる18個の電機子コイル808とを有する従来の回転電機901および902では、電磁場がアンバランスとなる。これは、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する各相の電機子コイル808を区別した場合における電機子コイル808の配置が、機械角で180°周期、すなわち回転子805の軸心を中心に2回回転対称でないためである。
以下では、上記の理由について説明する。従来の回転電機901および902では、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する各相の電機子コイル808をそれぞれ同一とした場合における電機子コイル808の配置は、回転子805の軸心を中心に2回回転対称となっている。
また、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流の電流位相差が0°の場合、同じ相の電流の位相が同じであるため、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808は、各相それぞれ同一とみなすことができる。このため、電機子コイル808の配置が2回回転対称となる。よって各相6個の電機子コイル808に発生する電磁場はアンバランスとならない。
一方、第1の電機子巻線816と第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有する場合、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808は、各相それぞれ同一とみなすことができない。このため、6相相当(3相×2つの電流位相)の位相の異なる電流が、それぞれ3個のティース815に巻回される電機子コイル808に供給されることになる。電流位相差θを有する場合には、6相の各相の電流が流れる電機子コイル808の個数である3個を2等分できないため、電機子コイル808の配置が2回回転対称とならない。よって、3相の各相6個の電機子コイル808に発生する電磁場はアンバランスとなる。
なお、アンバランスとなる電磁場の空間次数は、回転子805と固定子804との間の空隙における機械角1周あたりの空間分布において1次となり、2回回転対称で発生する電磁場の空間次数である2次よりも低い。よって、電磁場による振動が大きくなる。
また、上記は18個のティース815の場合について説明したが、18n個(nは1以上の整数)のティース815の場合でも同様の課題があることはいうまでもない。
上記のように、第1の電機子巻線816と第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有する場合、電機子コイル808に発生する電磁場がアンバランスとなるので、従来の回転電機901および902の回転子805の所望の制御上の周方向位置に対して、回転子805と固定子804との間の空隙に電磁場成分のずれが生じる。上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じると、従来の回転電機901および902のトルクリップルおよび固定子鉄心806に生じる電磁加振力が増加し、振動および騒音が増加するという課題があった。
さらに、上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じるため、トルクが低下するという課題があった。
また、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流について、製造誤差やECUへのノイズなどの影響で電流位相差θが生じた場合についても、上記のように電磁場にアンバランスが生じ、従来の回転電機901および902の振動および騒音が増加し、トルクが低下するといった課題があった。
以下では、本実施の形態に係る回転電機101の効果について述べる。
図16(a)は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図16(b)は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図16(a)において、T1番、T5番およびT6番のティース15に巻回されたV相の電機子コイル8の+V12および−V11は、第1の電機子巻線16のV相の電機子コイル8の一部を構成し、−V21および−V22は、第2の電機子巻線17のV相の電機子コイル8の一部を構成している。
図16(b)において、T10番、T14番およびT15番のティース15に巻回されたV相の電機子コイル8の+V13および−V14は、第1の電機子巻線16のV相の電機子コイル8の一部を構成し、+V23および+V24は、第2の電機子巻線17のV相の電機子コイル8の一部を構成している。
また、図16(a)および図16(b)により、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番およびT10番、T5番およびT14番並びにT6番およびT15番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルは、それぞれ等しいことがわかる。よって、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番、T5番およびT6番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T14番およびT15番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
図17(a)は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θを有する場合において、T1番、T5番およびT6番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図17(b)は、実施の形態に係る回転電機の電流位相差θを有する場合において、T10番、T14番およびT15番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図17(a)および図17(b)において、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T5番およびT6番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T14番およびT15番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和とが等しいことがわかる。これは、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に属する電機子コイル体18の配置が、図16(a)および図16(b)のように機械角180°で同じ、すなわち回転子5の軸心を中心に2回回転対称になっているためである。よって、回転電機101の電磁場はアンバランスとならない。
なお、図16(a)、図16(b)、図17(a)および図17(b)ではV相について示したが、W相およびU相の電磁場ベクトルについても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
ここで、従来の回転電機と本実施の形態に係る回転電機との電磁場ベクトル図を比較する。従来の回転電機901および902では、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808の配置は、図11(a)および図11(b)並びに図14(a)および図14(b)に示されるように回転子805の軸心を中心に2回回転対称になっていない。一方、本実施の形態に係る回転電機101では、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に属する電機子コイル体18の配置は、図16(a)および図16(b)に示されるように回転子5の軸心を中心に2回回転対称になっている。
このため、従来の回転電機901および902では、図12(a)および図12(b)並びに図15(a)および図15(b)において、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T5番およびT6番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相と、T10番、T14番およびT15番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相とが異なっている。一方、本実施の形態に係る回転電機101では、図17(a)および図17(b)において、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T5番およびT6番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T14番およびT15番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
したがって、本実施の形態に係る回転電機101は、18n個(nは1以上の整数)のティース15を有する固定子鉄心6および複数のティース15にそれぞれ第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17の少なくとも一方が巻回された複数の電機子コイル体18を具備する固定子4とを備え、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18のそれぞれは、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置されているため、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有する場合でも、電機子コイル8に発生する電磁場がアンバランスとならない。よって、回転電機101の回転子5の所望の制御上の周方向位置に対して、回転子5と固定子4との間の空隙に電磁場成分のずれが生じない。よって、回転電機101のトルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、振動および騒音の増加を抑制できる。
さらに、上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じないため、トルクの低下も抑制できる。
また、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流について、製造誤差やECU111へのノイズなどの影響で電流位相差θが生じた場合についても、上記のように電磁場がアンバランスとならないため、回転電機101の振動および騒音の増加を抑制し、トルクの低下を抑制できる。
また、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18のそれぞれが、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置されていれば、図17(a)および図17(b)に示されるように、Ua、VaおよびWaの電気角位相のそれぞれが小さい方から2番目の大きさの値でなくても、電機子コイル8に発生する電磁場がアンバランスとならない。
一方で、図17(a)および図17(b)と同様に、Ua、VaおよびWaをそれぞれ構成する2n個の電機子コイル8の電気角位相は、電流位相差θによって、θの位相差を生じる。Ua、VaおよびWaをそれぞれ構成する2個の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルだけでバランスするため、Ua、VaおよびWaの電気角位相が、回転対称の最小単位における同じ相の3個の電機子コイル体18の内、小さい方から2番目の大きさの値であれば、回転対称の最小単位において回転子5と固定子4との間の空隙に生ずる電磁場成分のθの位相差によるずれを小さくできる。よって、Ua、VaおよびWaの電気角位相が、小さい方から2番目の大きさにない場合よりも、電流位相差θによるトルクの低下やトルクリップルの増加をさらに抑制できる。
次に、6(2m+k)・n個(k、nおよびmは1以上の整数)のティース15を有する固定子鉄心6の場合において、図17と同様の効果が得られることを説明する。
第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17のそれぞれに属する2個の電機子コイル8がともに巻回されて構成される電機子コイル体18Ua、VaおよびWaは、それぞれ2k・n個からなる6k・n個の電機子コイル体18で構成されている。
そして、第1の電機子巻線16に属する1個の電機子コイル8が巻回されて構成される電機子コイル体18Ub、VbおよびWbは、それぞれ2m・n個からなる6m・n個の電機子コイル体18で構成されている。
また、第2の電機子巻線17に属する1個の電機子コイル8が巻回されて構成される電機子コイル体18Uc、VcおよびWcは、それぞれ2m・n個からなる6m・n個の電機子コイル体18で構成されている。
このような構成であっても、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有する場合には、6相相当(3相×2つの電流位相)の位相の異なる電流が、それぞれ(2m+k)・n個のティース15に巻回される電機子コイル体18に供給されることになる。Ua、VaおよびWaの電機子コイル体18の6相の各相のk・n個を、2k・n個の電機子コイル8にそれぞれ等分することによって、6相の各相の電機子コイル8の個数が(2m+2k)・n個となり、2等分することができる。よってUa、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18のそれぞれを、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置できるため、電機子コイル8に発生する電磁場がアンバランスとならない。よって、回転電機101の回転子5の所望の制御上の周方向位置に対して、回転子5と固定子4との間の空隙に電磁場成分のずれが生じない。よって、回転電機101のトルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、振動および騒音の増加を抑制できる。
さらに、上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じないため、トルクの低下も抑制できる。
また、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流について、製造誤差やECU111へのノイズなどの影響で電流位相差θが生じた場合についても、上記のように電磁場がアンバランスとならないため、回転電機101の振動および騒音の増加を抑制し、トルクの低下を抑制できる。
また、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18のそれぞれが、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置されていれば、図17(a)および図17(b)に示されるように、Ua、VaおよびWaの電気角位相のそれぞれが小さい方から(m+1)番目以上および(m+k)番目以下の大きさの値でなくても、電機子コイル8に発生する電磁場がアンバランスとならない。
一方で、図17(a)および図17(b)と同様に、Ua、VaおよびWaをそれぞれ構成する2n個の電機子コイル8の電気角位相は、電流位相差θによって、θの位相差を生じる。Ua、VaおよびWaをそれぞれ構成する2個の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルだけでバランスするため、Ua、VaおよびWaの電気角位相が、回転対称の最小単位における同じ相の(2m+k)個の電機子コイル体18の内、小さい方から(m+1)番目以上および(m+k)番目以下の大きさの値であれば、回転対称の最小単位において回転子5と固定子4との間の空隙に生ずる電磁場成分のθの位相差によるずれを小さくできる。よって、Ua、VaおよびWaの電気角位相が、小さい方から(m+1)番目以上および(m+k)番目以下の大きさにない場合よりも、電流位相差θによるトルクの低下やトルクリップルの増加をさらに抑制できる。
図18は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θとトルク比との関係を示す図である。図18の横軸は、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差θを表し、図18の縦軸は、電流位相差0°のトルクを100%とした場合のトルク比を表している。図18において、電流位相差θを0°<θ≦53°とすることで、電流位相差が0°の場合よりも回転電機101のトルクを向上できる効果が得られる。より望ましくは、電流位相差θを26.5°付近、すなわち13°≦θ≦41°とすることで、トルクを102%以上に向上する効果が得られる。
これは、第2のインバータ66から第2の電機子巻線17に供給される電流の位相は、第1のインバータ65から第1の電機子巻線16に供給される電流の位相に対して、電流位相差θ進んでおり、Ub,VbおよびWbは、それぞれ回転対称の最小単位の同じ相において電気角位相が最も進んだ電機子コイル体18であり、Uc,VcおよびWcは、それぞれ回転対称の単位の同じ相において電気角位相が最も遅れた電機子コイル体18であることに起因する。この構成によって、図17(a)および図17(b)に示されるように、電流位相差θが0°<θ≦53°の範囲にある場合、電流位相差が0°の場合よりも、電磁場ベクトルの和が大きくなる。よって、図18に示されるようなトルクを向上する効果が得られる。
図19は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θとトルクリップル比との関係を示す図である。図19の横軸は、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差θを表し、図19の縦軸は、電流位相差0°のトルクリップルを100%とした場合のトルクリップル比を表している。図19において、電流位相差θを0°<θ≦60°とすることで、電流位相差が0°の場合よりもトルクリップルを低減できる効果が得られる。より望ましくは、電流位相差θを36°付近、すなわち22°≦θ≦60°とすることで、トルクリップルを50%以下に低減する効果が得られる。
また、図19には図11に示す従来の回転電機902のトルクリップルを記述している。本実施の形態では、同じ電流位相差θにおいて、従来の回転電機902よりもトルクリップルが小さいことがわかる。また、図12と図15とを比較すると、同じ電流位相差θにおいて、従来の回転電機901の電磁場ベクトルの和の位相のずれが、従来の回転電機902よりも大きいため、従来の回転電機901の方が従来の回転電機902よりもトルクリップルが大きくなる。よって、本実施の形態ではトルクリップルを従来の回転電機901および902よりも低減する効果が得られる。
図20は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θと電磁加振力比との関係を示す図である。図20の横軸は、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差θを表し、図20の縦軸は、電流位相差0°の空間次数2次および時間次数2次の電磁加振力を100%とした場合の空間次数2次および時間次数2次の電磁加振力比を表している。図20において、電流位相差θを0°<θ≦60°とすることで、電流位相差が0°の場合よりも固定子鉄心6に生じる電磁加振力を低減できることがわかる。また、電流位相差θを44.0°付近、すなわち24°≦θ≦60°とすることで、固定子鉄心6に生じる空間次数2次および時間次数2次の電磁加振力を50%以下に低減し、電流位相差θが44.0°では、空間次数2次および時間次数2次の電磁加振力をほぼ0にする効果が得られる。
図18から図20までの結果によれば、電流位相差θを0°<θ≦53°とすることにより、トルクを向上しつつ、トルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力を低減でき、回転電機101の振動および騒音を低減することができる。また、さらにトルクを向上しつつもトルクリップル、固定子鉄心6に生じる電磁加振力を低減するには、電流位相差θを26.5°≦θ≦44.0°とすることが望ましい。
また、界磁極を永久磁石13としたが、永久磁石13を用いないリラクタンス型の回転電機でもよいし、回転子鉄心12に巻線を巻回し、電流を通電することで界磁極としてもよい。
また、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18それぞれの巻回数が同じとしたが、それぞれが異なる場合でも、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18のそれぞれを、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置できるため、電機子コイル8に発生する電磁場がアンバランスとならない。よって、本実施の形態と同様に、回転電機101のトルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、振動および騒音の増加を抑制できる。さらに、上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じないため、トルクの低下も抑制できる。
また、Ua、VaおよびWaの電機子コイル体18における2個の電機子コイル8の巻回数が、互いに同じとしたが、互いに異なる場合でも、上記と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態に係る回転電機101は、電機子コイルをティースに集中的に巻回した、いわゆる集中巻である。このため、コイルエンドが小さく、小型であり銅損も小さく低発熱、高効率となるという効果も得られる。
なお、本実施の形態に係る回転電機101では、14個の永久磁石13を有する回転子5および18個のティース15を有する固定子4に限らず、(18−4)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を有する回転子5および18n個のティース15を有する固定子4でも、同様の効果を奏するのは言うまでもない。
また、本実施の形態では、界磁極を(18−4)・n個(nは1以上の整数)、ティース15の個数を18n個としたので、界磁極を(3±1)・n個、ティースの個数を3n個とした場合よりもトルクを向上できる。また、界磁極を(12±2)・n個、ティースの個数を12n個とした場合よりも、空間次数2次の固定子鉄心6に生じる電磁加振力を小さくでき、振動および騒音を低減できるという効果が得られる。
また、本実施の形態に係る回転電機101では、高調波、特にトルクリップルの主成分である6f成分や12f成分の巻線係数が小さいので、トルクリップルを低減できる。
実施の形態2.
図21は、この発明を実施するための実施の形態2に係る回転電機の断面図である。本実施の形態に係る回転電機102の構成は、以下に述べる点で、実施の形態1と異なる。本実施の形態に係る回転電機102では、実施の形態1の14個の永久磁石13を、22個の永久磁石13、すなわち22個の界磁極に替えている。またティース15の個数は、実施の形態1の図2と同数の18個である。
また、図21において、U相は、−U11、−U12、+U13、+U14、−U21、+U22、+U23、−U24の8個の電機子コイル8から構成され、V相は、−V11、−V12、+V13、+V14、−V21、+V22、+V23、−V24の8個の電機子コイル8から構成され、W相は、−W11、−W12、+W13、+W14、−W21、+W22、+W23、−W24の8個の電機子コイル8から構成されている。
また、24個の電機子コイル8は、図21に示されるように、T1〜T18番のティース15のそれぞれに対応して、−V11/−V21、−U24、+U14、+W13/+W23、+V22、−V12、−U11/−U21、−W24、+W14、+V13/+V23、+U12、−U12、−W11/−W21、−V24、+V14、+U13/+U23、+W22、−W12の順に並んでいる。
ここで、24個の電機子コイル8は、実施の形態1の図3または図4に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心6の外部で結線されて、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17が構成されている。第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17のそれぞれの結線は、図3および図4に示されるように、Y結線またはΔ結線で3相の電機子コイル8が結線される。
ここで、図21に示されるように、複数の電機子コイル体18における6個の電機子コイル体18は、2個の電機子コイル8が巻回されているT1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番の6個のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8と、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8とがともに巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUa、VaおよびWaとしている。
そして、複数の電機子コイル体18における他の6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT3番、T6番、T9番、T12番、T15番およびT18番の6個の他の一部のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUb、VbおよびWbとしている。
また、複数の電機子コイル体18における残りの6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT2番、T5番、T8番、T11番、T14番およびT17番の6個の残りのティース15のそれぞれに、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUc、VcおよびWcとしている。
そして、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2回回転対称に配置されている。
以上から、本実施の形態における電機子コイル体18の周方向の配置順は、実施の形態1の図2の配置順を反対方向に並べた順となっている。よって、実施の形態1と反対の時計回りを、電気角位相の正の方向とすれば、図16(a)、図16(b)、図17(a)および図17(b)の電磁場のベクトルも、巻極性が入れ替わる以外は同じになる。
よって、実施の形態1の図17(a)および図17(b)と同様に、本実施の形態において、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有するとき、回転電機102の電磁場はアンバランスとならない。このため、本実施の形態における回転電機102は、実施の形態1に係る回転電機101と同様の効果を奏する。
図22は、本実施の形態に係る別の構成を示す断面図である。本実施の形態に係る回転電機103の構成は、以下に述べる点で、実施の形態1と異なる。本実施の形態に係る回転電機103では、実施の形態1の14個の永久磁石13を、28個の永久磁石13、すなわち28個の界磁極に替えている。また、実施の形態1の18個のティース15を、36個のティース15に替えている。
また、図22において、48個の電機子コイル体18は、T1〜T18番のティース15については、実施の形態1の図2と同じ配置であり、T19〜T36番のティース15については、T1〜T18番のティース15の電機子コイル体18が、機械角180°で回転された配置、すなわち回転子5の軸心を中心に2回回転対称となる配置になっている。よって、本実施の形態に係る回転電機103は、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2回回転対称に配置されている。このため、本実施の形態における回転電機103は、実施の形態1に係る回転電機101と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態に係る回転電機102および103は、電機子コイルをティースに集中的に巻回した、いわゆる集中巻である。このため、コイルエンドが小さく、小型であり銅損も小さく低発熱、高効率となるという効果も得られる。
なお、本実施の形態に係る回転電機102では、22個の永久磁石13を有する回転子5および18個のティース15を有する固定子4に限らず、(18+4)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を有する回転子5および18n個のティース15を有する固定子4でも、同様の効果を奏するのは言うまでもない。
また、本実施の形態では、界磁極を(18+4)・n個(nは1以上の整数)、ティース15の個数を18n個としたので、界磁極を(3±1)・n個、ティースの個数を3n個とした場合よりもトルクを向上できる。また、界磁極を(12±2)・n個、ティースの個数を12n個とした場合よりも、空間次数2次の固定子鉄心6に生じる電磁加振力を小さくでき、振動および騒音を低減できるという効果が得られる。
また、本実施の形態に係る回転電機102および103では、高調波、特にトルクリップルの主成分である6f成分や12f成分の巻線係数が小さいので、トルクリップルを低減できる。
実施の形態3.
図23は、本発明を実施するための実施の形態3における回転電機の構成を示す断面図である。本実施の形態に係る回転電機104の構成は、以下に述べる点で、実施の形態1と異なる。本実施の形態に係る回転電機104では、実施の形態1の14個の永久磁石13を、16個の永久磁石13、すなわち16個の界磁極に替えている。またティース15の個数は、実施の形態1の図2と同数の18個である。
また、図23において、U相は、−U11、+U12、−U13、+U14、−U21、+U22、−U23、+U24の8個の電機子コイル8から構成され、V相は、−V11、+V12、−V13、+V14、−V21、+V22、−V23、+V24の8個の電機子コイル8から構成され、W相は、−W11、+W12、−W13、+W14、−W21、+W22、−W23、+W24の8個の電機子コイル8から構成されている。
また、24個の電機子コイル8は、図23に示されるように、T1〜T18番のティース15のそれぞれに対応して、−V11/−V21、+V22、+W12、−W13/−W23、+W24、+U14、−U11/−U21、+U22、+V12、−V13/−V23、+V24、+W14、−W11/−W21、+W22、+U12、−U13/−U23、+U24、+V14の順に並んでいる。
ここで、24個の電機子コイル8は、実施の形態1の図3または図4に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心6の外部で結線されて、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17が構成されている。第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17のそれぞれの結線は、図3および図4に示されるように、Y結線またはΔ結線で3相の電機子コイル8が結線される。
ここで、図23に示されるように、複数の電機子コイル体18における6個の電機子コイル体18は、2個の電機子コイル8が巻回されているT1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番の6個のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8と、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8とがともに巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUa、VaおよびWaとしている。
そして、複数の電機子コイル体18における他の6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT3番、T6番、T9番、T12番、T15番およびT18番の6個の他の一部のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUb、VbおよびWbとしている。
また、複数の電機子コイル体18における残りの6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT2番、T5番、T8番、T11番、T14番およびT17番の6個の残りのティース15のそれぞれに、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUc、VcおよびWcとしている。
そして、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2回回転対称に配置されている。
図24(a)は、本実施の形態に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT1番、T2番およびT9番のティースのベクトル図である。図24(b)は、本発明の実施の形態に係る回転電機のV相の電機子コイルが巻回されたT10番、T11番およびT18番のティースのベクトル図である。図24(a)および図24(b)は、T1番、T2番およびT9番のティース15と、T10番、T11番およびT18番のティース15との2つ、すなわちティース15を周方向に機械角180°ずつに分けて示している。 ここで、V相の電機子コイル8が巻回されたティース15のそれぞれの電気角位相は、電機子コイル8の巻極性が「+」の場合、「−」の巻極性の電機子コイル8に対して電気角で180°ずらされている。
T1番およびT10番、T2番およびT11番並びにT9番およびT18番のティース15の位相は、それぞれ機械角で180°異なるが、電機子コイル8の巻極性を考慮した場合、これらのティース15の位相は、それぞれ電気角で同じとなる。また、T1番およびT2番、T1番およびT9番、T10番およびT11番並びにT10番およびT18番のティース15の位相は、それぞれ電気角で20°異なる。
また、図24(a)および図24(b)において、T1番およびT10番のティースに巻回された電機子コイル体18のVaの電気角位相のそれぞれは、回転対称の最小単位における同じ相の3個の電機子コイル体18であるVa,Vb,Vcの内、小さい方から2番目の大きさの値である。
なお、図24(a)および図24(b)ではV相について示したが、W相およびU相についても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
以上より、本実施の形態の各相のティース15の位相は、機械角180°で同じとなる。つまり、電機子コイル8のUa、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2(=360°/2)回回転対称に配置されている。
また、Ua、VaおよびWaの電気角位相のそれぞれは、回転対称の最小単位における同じ相の3個の電機子コイル体18の内、小さい方から2番目の大きさの値である。
また、本実施の形態における電流のベクトルは、図7に示す電流位相ベクトルと同等である。
本実施の形態の効果を説明するために、従来の回転電機903の構成例をもとに課題を説明する。図25は、従来の回転電機の断面図である。
電機子コイル808のU相は、−U11、+U12、+U13、+U21、−U22、+U23の6個の電機子コイル808から構成され、V相は、−V11、+V12、+V13、+V21、−V22、+V23の6個の電機子コイル808から構成され、W相は、−W11、+W12、+W13、+W21、−W22、+W23の6個の電機子コイル808から構成されている。
また、18個の電機子コイル808は、図25に示されるように、T1〜T18番のティース815のそれぞれに対応して、−V11、+V21、+W12、−W22、+W23、+U13、−U11、+U21、+V12、−V22、+V23、+W13、−W11、+W21、+U12、−U22、+U23、+V13の順に並んでいる。ただし、「+」および「−」は、電機子コイル808の互いに異なる巻極性を表している。
ここで、18個の電機子コイル808は、図9または図10に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心806の外部で結線されて、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817が構成されている。第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817のそれぞれの結線は、図9および図10に示されるように、Y結線またはΔ結線で3相の電機子コイル808が結線される。
また、従来の回転電機903における電流のベクトルは、図7に示す電流位相ベクトルと同等である。
図26(a)は、従来の回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図26(b)は、従来の回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図26(a)において、T1番、T2番およびT9番のティース815に巻回されたV相の電機子コイル808の+V12および−V11は、第1の電機子巻線816のV相の電機子コイル808の一部を構成し、+V21は、第2の電機子巻線817のV相の電機子コイル808の一部を構成している。
図26(b)において、T10番、T11番およびT18番のティース815に巻回されたV相の電機子コイル808の+V13は、第1の電機子巻線816のV相の電機子コイル808の一部を構成し、−V22および+V23は、第2の電機子巻線817のV相の電機子コイル808の一部を構成している。
また、図26(a)および図26(b)により、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番およびT10番、T2番およびT11番並びにT9番およびT18番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルは、それぞれ等しいことがわかる。よって、T1番、T2番およびT9番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T11番およびT18番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
図27(a)は、従来の回転電機の電流位相差θ(θ>0°)を有する場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図27(b)は、従来の回転電機の電流位相差θ(θ>0°)を有する場合において、T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図27(a)および図27(b)において、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T2番およびT9番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相と、T10番、T11番およびT18番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相とが異なっている。これは、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808の配置が、図26(a)および図26(b)のように機械角180°で異なる、すなわち回転子805の軸心を中心に2回回転対称になっていないためである。よって、電磁場ベクトルの和の位相が機械角180°で異なるため、従来の回転電機903の電磁場はアンバランスとなる。
なお、図26(a)、図26(b)、図27(a)および図27(b)ではV相について示したが、W相およびU相の電磁場ベクトルについても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
以上より、従来の回転電機903の構成例では、電磁場がアンバランスとなることがわかった。また、上記は18個のティース815の場合について説明したが、18n個(nは1以上の整数)のティース815の場合でも同様の課題があることはいうまでもない。
上記のように、第1の電機子巻線816と第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有する場合、電機子コイル808に発生する電磁場がアンバランスとなるので、従来の回転電機903の回転子805の所望の制御上の周方向位置に対して、回転子805と固定子804との間の空隙に電磁場成分のずれが生じる。上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じると、従来の回転電機903のトルクリップルおよび固定子鉄心806に生じる電磁加振力が増加し、振動および騒音が増加するという課題があった。
さらに、上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じるため、トルクが低下するという課題があった。
また、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流について、製造誤差やECUへのノイズなどの影響で電流位相差θが生じた場合についても、上記のように電磁場にアンバランスが生じ、従来の回転電機903の振動および騒音が増加し、トルクが低下するといった課題があった。
以下では、本実施の形態に係る回転電機104の効果について述べる。
図28(a)は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θが0°の場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図28(b)は、T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図28(a)において、T1番、T2番およびT9番のティース15に巻回されたV相の電機子コイル8の+V12および−V11は、第1の電機子巻線16のV相の電機子コイル8の一部を構成し、−V21および+V22は、第2の電機子巻線17のV相の電機子コイル8の一部を構成している。
図28(b)において、T10番、T11番およびT18番のティース15に巻回されたV相の電機子コイル8の−V13および+V14は、第1の電機子巻線16のV相の電機子コイル8の一部を構成し、−V23および+V24は、第2の電機子巻線17のV相の電機子コイル8の一部を構成している。
また、図28(a)および図28(b)により、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番およびT10番、T2番およびT11番並びにT9番およびT18番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルは、それぞれ等しいことがわかる。よって、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差が0°のとき、T1番、T5番およびT6番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T14番およびT15番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
図29(a)は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θ(θ>0°)を有する場合において、T1番、T2番およびT9番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。図29(b)は、実施の形態に係る回転電機の電流位相差θ(θ>0°)を有する場合において、T10番、T11番およびT18番のティースに巻回されたV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトル図である。
図29(a)および図29(b)において、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T2番およびT9番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T11番およびT18番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和とが等しいことがわかる。これは、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に属する電機子コイル体18の配置が、図28(a)および図28(b)のように機械角180°で同じ、すなわち回転子5の軸心を中心に2回回転対称になっているためである。よって、回転電機104の電磁場はアンバランスとならない。
なお、図28(a)、図28(b)、図29(a)および図29(b)ではV相について示したが、W相およびU相の電磁場ベクトルについても、それぞれの位相がV相と電気角で120°異なるだけで、各相内での関係は同様である。
ここで、従来の回転電機と本実施の形態に係る回転電機との電磁場ベクトル図を比較する。従来の回転電機903では、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に属する電機子コイル808の配置は、図26(a)および図26(b)に示されるように回転子805の軸心を中心に2回回転対称になっていない。一方、本実施の形態に係る回転電機104では、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に属する電機子コイル体18の配置は、図28(a)および図28(b)に示されるように回転子5の軸心を中心に2回回転対称になっている。
このため、従来の回転電機903では、図27(a)および図27(b)において、第1の電機子巻線816および第2の電機子巻線817に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T2番およびT9番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相と、T10番、T11番およびT18番のティース815のV相の電機子コイル808に発生する電磁場ベクトルの和の位相とが異なっている。一方、本実施の形態に係る回転電機104では、図29(a)および図29(b)において、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有するとき、T1番、T2番およびT9番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和と、T10番、T11番およびT18番のティース15のV相の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルの和とが等しくなる。
したがって、本実施の形態に係る回転電機104は、実施の形態1と同様に、18n個(nは1以上の整数)のティース15を有する固定子鉄心6および複数のティース15にそれぞれ第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17の少なくとも一方が巻回された複数の電機子コイル体18を具備する固定子4とを備え、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18のそれぞれは、回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置されているため、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有する場合でも、電機子コイル8に発生する電磁場がアンバランスとならない。よって、回転電機104の回転子5の所望の制御上の周方向位置に対して、回転子5と固定子4との間の空隙に電磁場成分のずれが生じない。よって、回転電機104のトルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、振動および騒音の増加を抑制できる。
さらに、上記制御上の周方向位置に対して電磁場成分のずれが生じないため、トルクの低下も抑制できる。
また、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流について、製造誤差やECU111へのノイズなどの影響で電流位相差θが生じた場合についても、上記のように電磁場がアンバランスとならないため、回転電機104の振動および騒音の増加を抑制し、トルクの低下を抑制できる。
また、図29(a)および図29(b)に示されるように、Ua、VaおよびWaをそれぞれ構成する2n個の電機子コイル8の電気角位相は、電流位相差θによって、θの位相差を生じる。Ua、VaおよびWaをそれぞれ構成する2個の電機子コイル8に発生する電磁場ベクトルだけでバランスするため、Ua、VaおよびWaの電気角位相が、回転対称の最小単位における同じ相の3個の電機子コイル体18の内、小さい方から2番目の大きさの値であれば、回転対称の最小単位において回転子5と固定子4との間の空隙に生ずる電磁場成分のθの位相差によるずれを小さくできる。よって、Ua、VaおよびWaの電気角位相が、小さい方から2番目の大きさにない場合よりも、電流位相差θによるトルクの低下やトルクリップルの増加をさらに抑制できる。
また固定子鉄心6が6(2m+k)・n個(k、nおよびmは1以上の整数)のティース15を有する場合においても、実施の形態1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、本実施の形態に係る回転電機104における図28(a)、図28(b)、図29(a)および図29(b)に示したV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトルは、実施の形態1に係る回転電機101における図16(a)、図16(b)、図17(a)および図17(b)に示したV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトルと、V13、V14、V22およびV23の巻極性だけが異なる。したがって、本実施の形態に係る回転電機104は、実施の形態1における図18のトルクと同一の結果となる。よって、実施の形態1の図18と同様に、電流位相差θを0°<θ≦53°とすることで、トルクを向上できる。より望ましくは、電流位相差θを26.5°付近、すなわち13°≦θ≦41°とすることで、トルクを102%以上に向上する効果が得られる。
また、本実施の形態に係る回転電機104は、電機子コイルをティースに集中的に巻回した、いわゆる集中巻であり、コイルエンドが小さく、小型であり銅損も小さく低発熱、高効率となるという効果も得られる。
なお、本実施の形態に係る回転電機104では、実施の形態1に係る回転電機101の16個または20個の永久磁石13を有する回転子5および18個のティース15を有する固定子4に限らず、(18−2)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を有する回転子5および18n個のティース15を有する固定子4でも、同様の効果を奏するのは言うまでもない。
また、本実施の形態では、界磁極を(18−2)・n個(nは1以上の整数)、ティース15の個数を18n個としたので、界磁極を(3±1)・n個、ティースの個数を3n個とした場合、界磁極を(12±2)・n個、ティースの個数を12n個とした場合および界磁極を(18±4)n個(nは自然数)、ティースまたはスロット数を18n個とした場合よりも、巻線係数の基本波成分を大きくできるためトルクを向上できる。
また、本実施の形態に係る回転電機105では、高調波、特にトルクリップルの主成分である6f成分や12f成分の巻線係数が小さいので、トルクリップルを低減できる。
また、界磁極を永久磁石13としたが、永久磁石13を用いないリラクタンス型の回転電機でもよいし、回転子鉄心12に巻線を巻回し、電流を通電することで界磁極としてもよい。
実施の形態4.
図30は、この発明を実施するための実施の形態4に係る回転電機の断面図である。本実施の形態に係る回転電機105の構成は、以下に述べる点で、実施の形態3と異なる。本実施の形態に係る回転電機105では、実施の形態3の16個の永久磁石13を、20個の永久磁石13、すなわち20個の界磁極に替えている。またティース15の個数は、実施の形態3の図23と同数の18個である。
また、図30において、U相は、−U11、+U12、−U13、+U14、−U21、+U22、−U23、+U24の8個の電機子コイル8から構成され、V相は、−V11、+V12、−V13、+V14、−V21、+V22、−V23、+V24の8個の電機子コイル8から構成され、W相は、−W11、+W12、−W13、+W14、−W21、+W22、−W23、+W24の8個の電機子コイル8から構成されている。
また、24個の電機子コイル8は、図30に示されるように、T1〜T18番のティース15のそれぞれに対応して、−V11/−V21、+V12、+U22、−U13/−U23、+U14、+W24、−W11/−W21、+W12、+V22、−V13/−V23、+V14、+U24、−U11/−U21、+U12、+W22、−W13/−W23、+W14、+V24の順に並んでいる。
ここで、24個の電機子コイル8は、実施の形態1の図3または図4に示されるように、それぞれ3相の各相において、固定子鉄心6の外部で結線されて、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17が構成されている。第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17のそれぞれの結線は、図3および図4に示されるように、Y結線またはΔ結線で3相の電機子コイル8が結線される。
ここで、図30に示されるように、複数の電機子コイル体18における6個の電機子コイル体18は、2個の電機子コイル8が巻回されているT1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番の6個のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8と、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8とがともに巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUa、VaおよびWaとしている。
そして、複数の電機子コイル体18における他の6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT2番、T5番、T8番、T11番、T14番およびT17番の6個の他の一部のティース15のそれぞれに、第1の電機子巻線16に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUb、VbおよびWbとしている。
また、複数の電機子コイル体18における残りの6個の電機子コイル体18は、1個の電機子コイル8が巻回されているT3番、T6番、T9番、T12番、T15番およびT18番の6個の残りのティース15のそれぞれに、第2の電機子巻線17に属する電機子コイル8のみが巻回されて、3相の各相がそれぞれ2個からなる6個の電機子コイル体18で構成されている。これらのU相の電機子コイル体18、V相の電機子コイル体18およびW相の電機子コイル体18を、それぞれUc、VcおよびWcとしている。
そして、Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、回転子5の軸心を中心に2回回転対称に配置されている。
以上から、本実施の形態における電機子コイル体18の周方向の配置順は、実施の形態1の図23の配置順を反対方向に並べた順となっている。よって、電気角位相の正の方向を、実施の形態3と反対の時計回りとすれば、図28(a)、図28(b)、図29(a)および図29(b)の電磁場のベクトルも、巻極性が入れ替わる以外は同じになる。
よって、実施の形態1の図29(a)および図29(b)と同様に、本実施の形態において、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流が電流位相差θを有するとき、回転電機105の電磁場はアンバランスとならない。このため、本実施の形態における回転電機105は、実施の形態3に係る回転電機104と同様の効果を奏する。
なお、本実施の形態に係る回転電機105では、16個の永久磁石13を有する回転子5および18個のティース15を有する固定子4に限らず、(18+2)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を有する回転子5および18n個のティース15を有する固定子4でも、同様の効果を奏するのは言うまでもない。
また、本実施の形態では、界磁極を(18+2)・n個(nは1以上の整数)、ティース15の個数を18n個としたので、界磁極を(3±1)・n個、ティースの個数を3n個とした場合、界磁極を(12±2)・n個、ティースの個数を12n個とした場合および界磁極を(18±4)n個(nは自然数)、ティースまたはスロット数を18n個とした場合よりも、巻線係数の基本波成分を大きくできるためトルクを向上できる。
また、本実施の形態に係る回転電機105では、高調波、特にトルクリップルの主成分である6f成分や12f成分の巻線係数が小さいので、トルクリップルを低減できる。
また、界磁極を永久磁石13としたが、永久磁石13を用いないリラクタンス型の回転電機でもよいし、回転子鉄心12に巻線を巻回し、電流を通電することで界磁極としてもよい。
実施の形態5.
図31は、この発明を実施するための実施の形態5に係る回転電機の断面図である。本実施の形態に係る回転電機106では、実施の形態1と同様に、14個の永久磁石13すなわち14個の界磁極を有する回転子5と、18個のティース15を有する固定子4を有している。また、本実施の形態に係る回転電機106の構成は、以下に述べる点で、実施の形態1と異なる。
T1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番のティース15それぞれに巻回されている2個の電機子コイル8の間には、予め定められた体積を有する絶縁部材19が挿入されている。絶縁部材19の径方向の厚みは、絶縁に必要な距離以上の大きさであり、絶縁部材19の周方向の幅は、電機子コイル8が巻回されるティース15の周方向の側面から電機子コイル8の周方向側面まで延びた大きさとなっている。このため、2個の電機子コイル8が、絶縁部材19によって径方向に仕切られている。一方、残りのT2番、T3番、T5番、T6番、T8番、T9番、T11番、T12番、T14番、T15番、T17番およびT18番のティース15に巻回されている電機子コイル8には絶縁部材19が挿入されていない。
なお、絶縁部材19は、上記形状に限らず、2個の電機子コイル8が、絶縁部材19によって径方向に仕切られる形状であればよい。
また、T1番、T4番、T7番、T10番、T13番およびT16番のティース15それぞれに巻回されている2個の電機子コイル8の巻回数の合計、すなわち1個の電機子コイル体18のUa、VaおよびWaの巻回数はすべて同じであり、その巻回数をNt1とする。残りのT2番、T3番、T5番、T6番、T8番、T9番、T11番、T12番、T14番、T15番、T17番およびT18番のティース15それぞれに巻回されている1個の電機子コイル8、すなわち1個の電機子コイル体18のUb、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの巻回数はすべて同じであり、その巻回数をNt2とする。巻回数Nt2は、Nt1より大きく、Nt2とNt1の巻回数比率をtとしたとき、
t=Nt1/ Nt2<1
となっている。
巻回数Nt2がNt1より大きいため、巻回数Nt2=Nt1の場合よりも、回転電機106のトルクをさらに向上できる。
図32は、本実施の形態に係る回転電機の電流位相差θとトルク比との関係を示す図である。図32の横軸は、第1の電機子巻線16および第2の電機子巻線17に供給される電流の電流位相差θを表し、図32の縦軸は、電流位相差0°のトルクを100%とした場合のトルク比を表している。図32において、巻回数比率tが変化すると、電流位相差0°の場合よりもトルクが向上する最大の電流位相差θaが変化し、トルクが最大となる電流位相差θbも変化することがわかる。
そして、図32に示されるように、巻回数比率t<1の場合、すなわち巻回数Nt2がNt1より大きい場合には、前述と同様に、巻回数比率t=1の場合よりも、回転電機106のトルクをさらに向上できることがわかる。
図33は、本実施の形態に係る回転電機の巻回数比率と、電流位相差0°の場合よりもトルクが向上する電流位相差θaおよびトルクが最大となる電流位相差θbとの関係を示す図である。図33の横軸は、巻回数比率tを表し、図33の縦軸は、電流位相差0°の場合よりもトルクが向上する電流位相差θaおよびトルクが最大となる電流位相差θbを表している。図33において、電流位相差θaおよびθbは、巻回数比率tの一次関数の関係となり、
θa=−20t+73[°]
θb=−10t+36.5[°]
となっている。以上より、巻回数比率tが変化しても、電流位相差θを0°<θ≦θa°
とすることで、トルクを向上できる。より望ましくは、電流位相差θをθb付近とすることで、さらにトルクを向上できる効果が得られる。
なお、本実施の形態に係る回転電機106では、実施の形態1に係る回転電機101の14個の永久磁石13を有する回転子5および18個のティース15を有する固定子4に限らず、実施の形態2に係る回転電機102および103を加えた場合における(18±4)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を有する回転子5および18n個のティース15を有する固定子4でも、図32および図33の効果を奏する。
また、図28(a)、図28(b)、図29(a)および図29(b)におけるV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトルは、図16(a)、図16(b)、図17(a)および図17(b)におけるV相の電機子コイルに発生する電磁場のベクトルと、V13、V14、V22およびV23の巻極性だけが異なる。したがって、実施の形態3および4に係る回転電機104および105における(18±2)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を有する回転子5および18n個のティース15を有する固定子4でも、図32および図33の効果を奏する。
実施の形態6.
図34は、この発明を実施するための実施の形態6に係る回転電機の断面図である。本実施の形態に係る回転電機107では、実施の形態5と同様に、14個の永久磁石13すなわち14個の界磁極を有する回転子5と、18個のティース15を有する固定子4を有している。また、本実施の形態に係る回転電機107の構成は、以下に述べる点で、実施の形態5と異なる。
ティース15にそれぞれ巻回される電機子コイル体18の巻回数は、すべて等しくなっている。そのため、Nt2とNt1の巻回数比率はt=1となっている。
また、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18が巻回されたティース15の周方向の幅は、Ua、VaおよびWaの電機子コイル体18が巻回されたティース15よりも大きくなっている。Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18を構成する2個の電機子コイル8の間には、絶縁部材19が挿入されていない。よって、絶縁部材19が挿入されていないスロット7の体積を、絶縁部材19の体積分だけ減らすことができる。このため、スロット7の体積を減らす分だけ、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18が巻回されたティース15の周方向の幅を大きくすることが可能となる。
この構成によって、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18が巻回されたティース15の周方向の幅が、Ua、VaおよびWaの電機子コイル体18が巻回されたティース15よりも大きいため、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18が巻回されたティース15の磁気飽和を緩和することができ、回転電機107のトルクを向上し、トルクリップルを低減することができる。
実施の形態7.
本実施の形態に係る回転電機は、実施の形態5と同様に、14個の永久磁石13すなわち14個の界磁極を有する回転子5と、18個のティース15を有する固定子4を有している。また、本実施の形態に係る回転電機の構成は、以下に述べる点で、実施の形態5と異なる。
ティース15にそれぞれ巻回される電機子コイル体18の巻回数は、すべて等しくなっている。そのため、Nt2とNt1の巻回数比率はt=1となっている。
また、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18の線径は、Ua、VaおよびWaの電機子コイル体18の線径よりも大きくなっている。Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18を構成する2個の電機子コイル8の間には、絶縁部材19が挿入されていない。よって、絶縁部材19が挿入されていないスロット7の体積は、絶縁部材19が挿入されたスロット7の体積より、絶縁部材19の体積分だけ大きい。このため、スロット7の体積が大きい分だけ、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18の線径を大きくすることが可能となる。
この構成によって、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18の線径が、Ua、VaおよびWaの電機子コイル体18の線径よりも大きくなっているため、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの電機子コイル体18の電機子コイル体18の抵抗を低減することができ、回転電機の第1および第2の電機子巻線16および17の抵抗を低減できる。抵抗を低減することができるため、回転電機の電機子コイル8による銅損を低減することができ、回転電機の発熱を低減でき、回転電機の効率およびトルクを向上できる。
実施の形態8.
図35は、この発明を実施するための実施の形態8に係る回転電機の断面図である。
実施の形態1の回転電機101では、回転子鉄心12の表面に永久磁石13を配置した、所謂表面磁石型の回転電機101の例であったが、この実施の形態8の回転電機108では、永久磁石13は、回転子鉄心12に埋設されている。
固定子4の構造は、実施の形態1の回転電機101と同じである。
回転子5は、シャフト11と、このシャフト11の外側の回転子鉄心12と、この回転子鉄心12に断面形状が四角形状で周方向に等間隔に14個埋め込まれた永久磁石13と、を備えている。
一般にこのような磁石埋め込み型の回転電機108は、図2に示した表面磁石型に比べて、等価的なエアギャップが小さく、ギャップの磁束密度が増加するため、トルクリップルや固定子鉄心に生じる電磁加振力が大きく、さらに回転子の偏心などのアンバランスによる電磁力も大きく、電磁的な振動が大きくなるといった課題があった。
さらに電流位相差θを有するとき振動・騒音が大きくなるという課題があった。
しかしながら、実施の形態1〜7で述べた構成により、磁石埋め込み型の回転電機108でも、トルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、振動および騒音の増加を抑制できる回転電機を得られる。
さらに、図35に示す断面形状が四角の永久磁石13を用いることができるため、永久磁石13の加工コストを低減でき、さらに磁石飛散防止のため永久磁石13を覆った金属管が不要となるため回転電機108を低コスト化できるという効果が得られる。
また、図36は、回転子鉄心12に径方向長さが周方向長さに比べて長い永久磁石13が埋め込まれた回転電機109を示す正断面図である。
固定子4の構造は、実施の形態1の回転電機101と同じである。
永久磁石13は、その径方向の長さが周方向の長さに比べて長く、この永久磁石13が周方向に等間隔に14個並んでいる。
永久磁石13の着磁方向は、NとSとがそれぞれN極、S極になるような方向に着磁されている。即ち、隣り合う永久磁石13の向かい合う面が互いに同じ極になるように着磁されている。
このような着磁方向とすることで、磁束を回転子鉄心12に集中させて、磁束密度を高めるという効果が得られる。
また、隣り合う永久磁石13の間には回転子鉄心12が介在する。この回転子鉄心12の固定子4側に対向する面は曲面部20を有し、その曲面部20の形状が隣り合う永久時磁石13間の中間地点において固定子4との空隙長が短くなるような凸形状の曲面を形成している。
このような形状により、空隙に発生する磁束密度の波形を滑らかにできるため、コギングトルクやトルクリップルを小さくすることができる。
さらに、永久磁石13の内径側の端面に接するように非磁性部21を設けている。ここは、空気としてもよいし、樹脂を充填してもよいし、ステンレスやアルミニウムのような非磁性の金属を挿入してもよい。
このようにすることで、永久磁石13の漏れ磁束を低減することができる。
隣り合う永久磁石13の間の回転子鉄心12とシャフト11の外周を囲うように設けられた回転子鉄心12の間に接続部22が設けられている。これは両者を機械的に連結する働きを持っている。
以上より、空隙に発生する磁束密度の波形を滑らかにしてコギングトルクやトルクリップルを低減しつつも、永久磁石13の径方向長さが周方向長さに比べて長いため、磁束を回転子鉄心12に集中させることができ、高トルクとなるといった効果が得られる。
また、図2に示した表面磁石型の回転電機101に比べて、等価的なエアギャップが小さく、ギャップの磁束密度が増加するため、トルクリップルや固定子鉄心に生じる電磁加振力が大きく、さらに回転子の偏心などのアンバランスによる電磁力も大きく、電磁的な振動が大きくなるといった課題があった。
さらに電流位相差θを有するとき振動・騒音が大きくなるという課題があった。
しかしながら、実施の形態1〜7で述べた構成により、回転子鉄心12に径方向長さが周方向長さに比べて長い永久磁石13が埋め込まれた回転電機109でも、平均トルクを向上しながらもトルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、高トルクかつ振動および騒音の増加を抑制できる回転電機を得られる。
実施の形態9.
図37は、この発明を実施するための実施の形態9に係る電動パワーステアリング装置の説明図である。
図37において、シャフト80の一端は、ステアリングシャフト(図示せず)を介してステアリングホイール(図示せず)に接続されている。トルクセンサ81は、シャフト80と同軸に設置されている。
トルクセンサ81のケーブル(図示せず)は、第1のコネクタ82を介してECU111に接続されている。ECU111は、第2のコネクタ82を介して車速などの自動車の情報の電気信号の送信元(図示せず)に接続されている。ECU111は、電源コネクタ88を介してバッテリ(図示せず)やオルタネータ(図示せず)に接続されている。また、ECU111は、回転電機101のギヤボックス84側と反対側に取り付けられている。
回転電機101は、ECU111のインバータと電気的に接続されている。回転電機101は、ラック軸の移動方向イに平行な向きに配置されている。回転電機101は、ECU111側と反対側においてギヤボックス84に設置されている。回転電機101の出力軸(図示せず)は、ギヤボックス84内においてベルト(図示せず)を介してボールネジ(図示せず)に接続されている。
ギヤボックス84に内蔵されたボールネジは、ハウジング85の内部にあるラック軸(図示せず)に接続されており、ボールネジが軸方向に移動することにより、ラック軸を移動方向イに移動させる。シャフト80の他端は、ハウジング85の内部で、ギア(図示せず)を介してラック軸に接続されており、シャフト80の回転方向のトルクが、ラック軸の移動方向イの推力に変換されて伝達される。ラック軸は、タイロッド86に接続されており、ラック軸の移動方向イに平行に移動可能となっている。タイロッド86は、タイヤ(図示せず)に接続されており、タイロッド86の移動方向イの直線運動が、タイヤの旋回運動に変換される。なお、ラックブーツ87は、異物が装置内に侵入しないようにタイロッド86のタイヤ側と反対側に設けられている。
運転者はステアリングホイールを操舵し、そのトルクがステアリングシャフトを介してシャフト80に伝達される。このときトルクセンサ81が検出したトルクは電気信号に変換されケーブルを通じて第1のコネクタ82を介してECU111に伝達される。
一方、車速などの自動車の情報が電気信号に変換され第2のコネクタ82を介してECU111に伝達される。ECU111は、このトルクと車速などの自動車の情報から、必要なアシストトルクを演算し、インバータを通じて回転電機101に電流を供給する。
また、ECU111への電源供給はバッテリやオルタネータから電源コネクタ88を介して送られる。
回転電機101での発生トルクは、ベルトとボールネジが内蔵されたギヤボックス84によって減速され、ハウジング85の内部にあるラック軸を矢印イの方向に動かす推力を発生させ、運転者の操舵力をアシストする。
これにより、タイロッド86が動き、タイヤが転舵して車両を旋回させることができる。
回転電機101のトルクによってアシストされ、運転者は、少ない操舵力で車両を旋回させることができる。
このような電動パワーステアリング装置200においては、回転電機101が発生するコギングトルクやトルクリップルはギヤを介して運転者に伝わるため、良好な操舵感覚を得るためにはコギングトルクやトルクリップルが小さい方が望ましい。
また、回転電機101が動作するときの振動・騒音も小さい方が望ましい。
そこで、実施の形態1〜8で述べた回転電機を搭載すると、各々の実施の形態で述べた効果を得ることができる。
特に、平均トルクを向上しながらもトルクリップルおよび固定子鉄心6に生じる電磁加振力の増加を抑制でき、振動および騒音の増加を抑制することが可能となる。
また、電動パワーステアリング装置200における回転電機は、ラック軸を動かす推力を発生させるため、回転電機は時計回り、反時計周りのどちらにも回転するが、実施の形態1〜8で述べた回転電機では、回転電機の時計回り、反時計周りに対して、どちらもトルクリップルを低減することができる。
また、トルクリップル、コギング、平均トルクの回転方向に対する差を無くすことができる。
以上より、電動パワーステアリング装置200の低振動・低騒音化、高トルク化が図られるといった効果が得られる。
また、図37に示すように、回転電機101は、ラック軸の移動方向(矢印イ)に平行な向きに配置されており、電動パワーステアリング装置200は、大型車に向いているシステムであるが、回転電機101も高出力化が必要であり、高出力化と同時に回転電機101に起因する振動・騒音も増加するという課題があった。さらに、高出力化のために2つのインバータで回転電機101を駆動し、電流位相差θを有する構成とした場合に振動・騒音も増加が課題であった。
しかしながら、実施の形態1〜8で述べた回転電機を適用すればこの課題が解決でき、大型の車両にも電動パワーステアリング装置200が適用でき、燃費を低減できるという効果が得られる。
なお、上記各実施の形態では、固定子4の内側に磁気的空隙を介して回転自在な回転子が配置された回転電機101について説明したが、固定子の外側に磁気的空隙を介して回転自在な回転子が配置された回転電機であっても、この発明は適用できる。
1、801 フレーム、2 ボルト、3 ハウジング、4、804 固定子、5、805 回転子、6、806 固定子鉄心、7、807 スロット、8、808 電機子コイル、9 第1の軸受、10 第2の軸受、11、811 シャフト、12、812 回転子鉄心、13、813 永久磁石、14,814 コアバック、15、815 ティース、16、816 第1の電機子巻線、17、817 第2の電機子巻線、18,818 電機子コイル体、19 絶縁部材、20 曲面部、21 非磁性部、22 接続部、50 壁部、51 ヒートシンク、52 ケース、53 凹部、54 磁気センサ、55 基板、56 センサ用永久磁石、57 プーリ、58 スイッチング素子、59 支持部、60 接続部材、61 制御基板、62 第1のコネクタ、63 第2のコネクタ、64 電源コネクタ、65 第1のインバータ、66 第2のインバータ、70 第1の電源リレー、71 第2の電源リレー、72 電源、73 コイル、74a〜74f、76a〜76f MOS-FET、75、77 シャント抵抗、78 第1のコンデンサ、79 第2のコンデンサ、80 シャフト、81 トルクセンサ、82 第1のコネクタ、83 第2のコネクタ、84 ギヤボックス、85 ハウジング、86 タイロッド、87 ラックブーツ、88 電源コネクタ、100 電動駆動装置、101〜109 回転電機、111 ECU、901〜903 従来の回転電機、200 電動パワーステアリング装置。

Claims (15)

  1. 回転子鉄心およびこの回転子鉄心に設けられた複数の界磁極を具備する回転子と、
    6(2m+k)・n個(k、nおよびmは1以上の整数)のティースを有する固定子鉄心および前記複数のティースにそれぞれ第1の電機子巻線および第2の電機子巻線の少なくとも一方が巻回された複数の電機子コイル体を具備する固定子とを備え、
    前記第1の電機子巻線は、第1のインバータから3相の電流を供給され、
    前記第2の電機子巻線は、第2のインバータから3相の電流を供給され、
    前記複数の電機子コイル体は、それぞれ3相のいずれかの相の電機子コイル体であり、
    前記複数の電機子コイル体における6k・n個の電機子コイル体は、6k・n個の前記ティースのそれぞれに前記第1の電機子巻線および前記第2の電機子巻線がともに巻回されて3相の各相がそれぞれ2k・n個の電機子コイル体で構成されており、これらの3相の各相の電機子コイル体をそれぞれUa、VaおよびWaとし、
    前記複数の電機子コイル体における他の6m・n個の電機子コイル体は、6m・n個の前記ティースのそれぞれに前記第1の電機子巻線のみが巻回されて3相の各相がそれぞれ2m・n個の電機子コイル体で構成されており、これらの3相の各相の電機子コイル体をそれぞれUb、VbおよびWbとし、
    前記複数の電機子コイル体における残りの6m・n個の電機子コイル体は、6m・n個の前記ティースのそれぞれに前記第2の電機子巻線のみが巻回されて3相の各相がそれぞれ2m・n個の電機子コイル体で構成されており、これらの3相の各相の電機子コイル体をそれぞれUc、VcおよびWcとすると、
    Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのそれぞれは、前記回転子の軸心を中心に2n回回転対称に配置されており、
    Ua、VaおよびWaのそれぞれの電気角位相は、前記回転対称の最小単位における同じ相の(2m+k)個の前記電機子コイル体の内、小さい方から(m+1)以上番目および(m+k)以下番目の大きさの値である回転電機。
  2. m=1およびk=1であり、
    Ua、VaおよびWaのそれぞれの電気角位相は、前記回転対称の最小単位における同じ相の3個の前記電機子コイル体の内、小さい方から2番目の大きさの値である請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記第2のインバータから前記第2の電機子巻線に供給される電流の位相は、前記第1のインバータから前記第1の電機子巻線に供給される電流の位相に対して電流位相差θ進んでおり、
    Ub、VbおよびWbは、それぞれ前記回転対称の最小単位の同じ相において電気角位相が最も進んだ前記電機子コイル体であり、
    Uc、VcおよびWcは、それぞれ前記回転対称の最小単位の同じ相において電気角位相が最も遅れた前記電機子コイル体である請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記回転子は、(18±4)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を具備する請求項3に記載の回転電機。
  5. 前記回転子は、(18±2)・n個(nは1以上の整数)の界磁極を具備する請求項3に記載の回転電機。
  6. Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの巻回数は全て等しく、
    前記電流位相差θは、
    0°<θ≦53°
    の関係を満たす請求項4または請求項5に記載の回転電機。
  7. 前記電流位相差θは、
    13°≦θ≦41°
    の関係を満たす請求項6に記載の回転電機。
  8. Ua、Va、Wa、Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの巻回数は全て等しく、
    前記電流位相差θは、
    22°≦θ≦60°
    の関係を満たす請求項4に記載の回転電機。
  9. 前記電流位相差θは、
    24°≦θ≦60°
    の関係を満たす請求項8に記載の回転電機。
  10. Ua、VaおよびWaの巻回数をそれぞれNt1とし、
    Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの巻回数をそれぞれNt
    2とした場合、
    Nt1<Nt2
    の関係にある請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電
    機。
  11. Ua、VaおよびWaの巻回数をそれぞれNt1とし、
    Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの巻回数をそれぞれNt
    2とし、
    巻回数比率を
    t=Nt1/Nt2(ただしt<1)
    とし、
    θa=−20t+73
    とした場合、
    前記電流位相差θは、
    0°<θ≦θa°
    の関係を満たす請求項4または請求項5に記載の回転電機。
  12. Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcのいずれか1つが巻回されるそれぞれの前記ティースの周方向の幅が、Ua、VaおよびWaのいずれか1つが巻回される全ての前記ティースの周方向の幅よりも大きい請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の回転電機。
  13. Ub、Vb、Wb、Uc、VcおよびWcの線径は、それぞれUa、VaおよびWaの全ての線径よりも大きい請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の回転電機。
  14. 前記回転子は、前記回転子鉄心に埋め込まれた複数の永久磁石で形成される界磁極を具備する請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の回転電機。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の回転電機を搭載した電動パワーステアリング装置。
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