JP7105231B2 - 視野角制御体及びその製造方法、並びに視野角制御画像表示体 - Google Patents

視野角制御体及びその製造方法、並びに視野角制御画像表示体 Download PDF

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Description

本発明は、画像表示装置等によって表示される画像の視野角を制御する視野角制御体及びその製造方法、並びに、視野角制御体を備えた視野角制御画像表示体に関する。
本願は、2017年6月5日に、日本に出願された特願2017-110880号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
情報を表示すると共に入力するための装置として、タッチパネル付きの画像表示装置を備えた情報入出力機器が広く普及している。この情報入出力機器においては、画像表示装置に表示される画像に秘匿情報が含まれることがあるため、画像表示装置の表示面には、手前側からの視認性を損なうことなく、左右側及び向かい側からの覗き見を防止するためのシート状の視野角制御体が設けられている。
覗き見防止用の視野角制御体としては、光透過帯と遮光帯とが交互に設けられたルーバー層と、ルーバー層の一方の面に設けられた透明保護層と、前記ルーバー層の他方の面に設けられた透明性の粘着層とが積層された積層体が知られている(特許文献1)。また、視野角を制御するルーバー層においては、遮光帯を傾けて光の出射方向を調整するものが知られている(特許文献2)。
特開2007-212507号公報 特開昭62-249102号公報
しかし、画像表示装置の表示面に、特許文献1,2に記載されているような視野角制御体を設けると、表示面端部領域にて表示された画像の視認性が低下することがある。特に、近年では画像表示装置の表示面が大型化される傾向にあり、大型の表示面の場合には端部領域に表示された画像の視認性低下が顕著である。
本発明は、画像表示装置等の画像表示体により表示された画像を覗き見されても画像が視認されにくい覗き見防止性を有しながらも、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性を確保できる視野角制御体及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、覗き見防止性を有すると共に、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性が確保されている視野角制御画像表示体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]光透過帯と遮光帯とが交互に複数設けられているルーバー層を備えるシート状の視野角制御体であって、
前記視野角制御体の面方向に沿った方向Aにおける視野角制御体の一方の端部を含む第1端部領域と、前記方向Aにおける視野角制御体の他方の端部を含む第2端部領域と、前記第1端部領域及び前記第2端部領域の間に形成された中央領域とを有し、
前記第1端部領域及び前記第2端部領域に設けられた遮光帯は、光出射側が前記中央領域に近づくように前記視野角制御体の表面に対して傾斜し、下記のように規定される設置角について、前記第1端部領域及び前記第2端部領域に設けられた遮光帯の設置角が、前記中央領域に設けられた遮光帯の設置角よりも大きい、視野角制御体。
設置角:視野角制御体表面の垂直方向に対する遮光帯の角度であって、0°以上90°未満の範囲の角度である。
[2]前記視野角制御体が平面視で長方形であり、前記方向Aが視野角制御体の長手方向である、[1]に記載の視野角制御体。
[3]前記第1端部領域及び前記第2端部領域に設けられた遮光帯の設置角が1°以上20°以下であり、前記中央領域に設けられた遮光帯の設置角が0°以上4°未満である、[1]又は[2]に記載の視野角制御体。
[4]前記第1端部領域と前記中央領域との間に第1中間領域を有すると共に、前記第2端部領域と前記中央領域との間に第2中間領域を有し、前記第1中間領域は、遮光帯の設置角が前記第1端部領域に設けられた遮光帯の設置角よりも小さく且つ前記中央領域に設けられた遮光帯の設置角よりも大きく、前記第2中間領域は、遮光帯の設置角が前記第2端部領域に設けられた遮光帯の設置角よりも小さく且つ前記中央領域に設けられた遮光帯の設置角よりも大きい、[1]又は[2]に記載の視野角制御体。
[5]前記第1端部領域及び前記第2端部領域に設けられた遮光帯の設置角が10°以上20°以下であり、前記第1中間領域及び前記第2中間領域に設けられた遮光帯の設置角が1°以上10°未満であり、前記中央領域に設けられた遮光帯の設置角が0°以上4°未満である、[4]に記載の視野角制御体。
[6]互いに隣接する領域の遮光帯の設置角の差が0°超7.5°以下である、[1]~[5]のいずれか一に記載の視野角制御体。
[7]前記方向Aにおける視野角制御体の中央から端部に向うにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなっている、[1]~[6]のいずれか一に記載の視野角制御体。
[8]光透過帯用シートと遮光帯用シートとを交互に複数積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体を加圧してブロック体を形成するブロック体形成工程と、下記のように規定される切断角が0°以上20°以下になる範囲で前記ブロック体を切断してルーバー層を形成する切断工程とを有し、
前記切断工程では、第1切断領域、第2切断領域、及び前記第1切断領域と前記第2切断領域との間に配した第3切断領域を形成し、且つ、前記第3切断領域の切断角を、前記第1切断領域及び前記第2切断領域の切断角よりも小さくする、視野角制御体の製造方法。
切断角:光透過帯用シート表面及び遮光帯用シート表面の垂直方向に対する、切断面の任意の点における接平面の角度であって、0°以上90°未満の範囲の角度である。
[9]前記切断工程では、切断面が曲面になるようにブロック体を切断する、[8]に記載の視野角制御体の製造方法。
[10]前記曲面の曲率半径を200mm以上2000mm以下にする、[9]に記載の視野角制御体の製造方法。
[11]前記切断工程では、前記第1切断領域及び前記第2切断領域の切断角を1°以上20°以下とし、前記第3切断領域の切断角を0°以上4°未満とする、[8]~[10]のいずれか一に記載の視野角制御体の製造方法。
[12]前記切断工程では、前記第1切断領域と前記第3切断領域との間に第4切断領域を形成すると共に、前記第2切断領域と前記第3切断領域との間に第5切断領域を形成し、
前記第4切断領域の切断角を、前記第1切断領域の切断角より小さく且つ前記第3切断領域の切断角より大きくし、前記第5切断領域の切断角を、前記第2切断領域の切断角より小さく且つ前記第3切断領域の切断角より大きくする、[8]~[11]のいずれか一に記載の視野角制御体の製造方法。
[13]前記切断工程では、前記第1切断領域及び前記第2切断領域の切断角を10°以上20°以下とし、前記第3切断領域の切断角を0°以上4°未満とし、前記第4切断領域及び前記第5切断領域の切断角を1°以上10°未満とする、[12]に記載の視野角制御体の製造方法。
[14]画像表示体と、前記画像表示体の画像表示面に設けられた[1]~[7]のいずれか一に記載の視野角制御体とを備える、視野角制御画像表示体。
[15]前記画像表示体に秘匿情報が表示され、前記秘匿情報の表示に前記視野角制御体の中央領域が重ねられている、[14]に記載の視野角制御画像表示体。
[1] 複数の光透過帯と複数の遮光帯とが交互に設けられているルーバー層を備える視野角制御体であって、
前記複数の光透過帯と前記複数の遮光帯とが交互に設けられている方向Aにおける視野角制御体の一方の端部を含む第1端部領域と、前記方向Aにおける視野角制御体の他方の端部を含む第2端部領域と、前記第1端部領域及び前記第2端部領域の間の中央領域とを有し、
前記第1端部領域に設けられた前記複数の遮光帯のうち少なくとも一部及び前記第2端部領域に設けられた前記複数の遮光帯のうち少なくとも一部は、前記遮光帯の光出射側が前記中央領域側に傾斜し、
前記第1端部領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値A及び前記第2端部領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値Bが、前記中央領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値Cよりも大きく、
前記設置角が、前記視野角制御体の厚さ方向と、前記遮光帯の光入射側から光出射側に向かう方向に引いた中心線とがなす鋭角であり、
前記平均値A、前記平均値B、及び前記平均値Cが、それぞれ独立に0°以上90°未満である、視野角制御体。
[2] 前記視野角制御体が平面視で長方形であり、前記方向Aが視野角制御体の長手方向である、[1]に記載の視野角制御体。
[3] 前記平均値A及び前記平均値Bがそれぞれ独立に1°以上20°以下であり、前記平均値Cが0°以上4°未満である、[1]又は[2]に記載の視野角制御体。
[4] 前記第1端部領域と前記中央領域との間に第1中間領域、及び前記第2端部領域と前記中央領域との間に第2中間領域を有し、前記第1中間領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値Dが前記平均値Aよりも小さく且つ前記平均値Cよりも大きく、前記第2中間領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値Eが前記平均値Bよりも小さく且つ前記平均値Cよりも大きい、[1]又は[2]に記載の視野角制御体。
[5] 前記平均値A及び前記平均値Bがそれぞれ独立に10°以上20°以下であり、前記平均値D及び前記平均値Eがそれぞれ独立に1°以上10°未満であり、前記平均値Cが0°以上4°未満である、[4]に記載の視野角制御体。
[6] 前記平均値Aと、前記平均値Cとの差が0°超7.5°以下であり、
前記平均値Cと、前記平均値Bとの差が0°超7.5°以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の視野角制御体。
[7] 前記方向Aに沿って視野角制御体の中央から端部に向かうにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなっている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の視野角制御体。
[8] 前記中央領域の幅が、視野角制御体の長手方向の全長に対し、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがより好ましい、[1]~[7]のいずれか一項に記載の視野角制御体。
[9] 前記第1端部領域の幅及び第2端部領域の幅が、視野角制御体の長手方向の全長に対して、10%以上40%以下であることが好ましく、20%以上35%以下であることがより好ましい、[1]~[8]のいずれか一項に記載の視野角制御体。
[10] 複数の光透過帯用シートと複数の遮光帯用シートとを交互に積層して積層体を形成することと、前記積層体を加圧してブロック体を形成することと、前記ブロック体を切断してルーバー層を形成することとを有し、
前記ルーバー層を形成することは、第3切断領域の切断角cを、第1切断領域の切断角a及び第2切断領域の切断角bよりも小さくするように前記ブロック体を切断することを含み、
前記第3切断領域は、前記第1切断領域及び前記第2切断領域の間に位置し、
前記切断角aが、前記ブロック体の厚さ方向と、前記第1切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角であり、
前記切断角bが、前記ブロック体の厚さ方向と、前記第2切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角であり、
前記切断角cが、前記ブロック体の厚さ方向と、前記第3切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角であり、
前記切断角a、前記切断角b、及び前記切断角cが、それぞれ独立に0°以上90°未満である、視野角制御体の製造方法。
[11] 前記ルーバー層を形成することは、切断面が曲面になるようにブロック体を切断することを含む、[10]に記載の視野角制御体の製造方法。
[12] 前記曲面の曲率半径が200mm以上2000mm以下である、[11]に記載の視野角制御体の製造方法。
[13] 前記ルーバー層を形成することにおいては、前記切断角a及び前記切断角bが、それぞれ独立に1°以上20°以下であり、前記切断角cが0°以上4°未満である、[10]~[12]のいずれか一項に記載の視野角制御体の製造方法。
[14] 前記ルーバー層を形成することにおいては、前記第1切断領域と前記第3切断領域との間に第4切断領域を形成すること、及び前記第2切断領域と前記第3切断領域との間に第5切断領域を形成すること、をさらに含み、
前記第4切断領域の切断角dが、前記切断角aより小さく且つ前記切断角cより大きく、前記第5切断領域の切断角eが、前記切断角bより小さく且つ前記切断角cより大きい、[10]~[13]のいずれか一項に記載の視野角制御体の製造方法。
[15] 前記ルーバー層を形成することにおいては、前記切断角a及び前記切断角bが、それぞれ独立に10°以上20°以下であり、前記切断角cが0°以上4°未満であり、前記切断角d及び前記切断角eが、それぞれ独立に1°以上10°未満である、[14]に記載の視野角制御体の製造方法。
[16] 画像表示体と、前記画像表示体の画像表示面に設けられた請求項[1]~[9]のいずれか一項に記載の視野角制御体とを備える、視野角制御画像表示体。
[17] 前記画像表示体に秘匿情報が表示され、前記秘匿情報が表示される領域に前記視野角制御体の中央領域が重ねられている、[16]に記載の視野角制御画像表示体。
本態様の視野角制御体においては、視野角制御体全体にわたって光透過帯の幅が同一とされていることが好ましい。
本態様の視野角制御体においては、ルーバー層の厚さが一定とされていることが好ましい。
本態様の視野角制御体は、前記ルーバー層の光出射側の面に設けられた第1透明保護層と、前記ルーバー層の光入射側の面に設けられた第2透明保護層とをさらに備えることが好ましい。
本態様の視野角制御体の製造方法においては、前記光透過帯用シートの厚さを一定とすることが好ましい。
本態様の視野角制御体の製造方法においては、ルーバー層の厚さが一定になるようにブロック体を切断することが好ましい。
本態様の視野角制御体の製造方法は、前記ルーバー層の光出射側の面に第1透明保護層を積層する第1透明保護層積層工程と、前記ルーバー層の光入射側の面に第2透明保護層を積層する第2透明保護層積層工程とをさらに有することが好ましい。
本発明の視野角制御体は、画像表示体により表示された画像を覗き見されても画像が視認されにくい覗き見防止性を有しながらも、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性を確保できる。
本発明の視野角制御体の製造方法によれば、上記の効果を有する視野角制御体を容易に製造できる。
本発明の視野角制御画像表示体は、覗き見防止性を有する共に、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性が確保されている。
本発明の第1実施形態の視野角制御体を示す概略断面図である。 第1実施形態の視野角制御体の製造方法を説明する模式図である。 本発明の第2実施形態の視野角制御体を示す概略断面図である。 第2実施形態の視野角制御体の製造方法を説明する模式図である。 本発明の第3実施形態の視野角制御体を示す概略断面図である。 第3実施形態の視野角制御体の製造方法を説明する模式図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の視野角制御体について説明する。
図1に、本実施形態の視野角制御体を示す。本実施形態の視野角制御体1は、平面視で長方形のシート状であり、光透過帯11と遮光帯12とが交互に複数設けられているルーバー層10と、ルーバー層10の一方の面の全体に設けられた第1透明保護層20と、ルーバー層10の他方の面の全面に設けられた第2透明保護層30とを備える。前記視野角制御体1は、画像表示体の画像表示面に設けられ、覗き見防止体として好適に使用される。
視野角制御体1においては、第2透明保護層30が光入射側、すなわち画像表示体側に配置され、第1透明保護層20が光出射側に配置される。
本実施形態では、長方形の視野角制御体1の長手方向をX方向(図1においては紙面の左右方向)、視野角制御体1の短手方向(図1においては紙面の垂直方向)をY方向、視野角制御体1の表面の垂直方向(すなわち視野角制御体1の厚さ方向)をZ方向とする。
なお、本実施形態における長方形は、外形の概略形状が長方形になっていればよい。例えば、長方形の直角の角の少なくとも1つが隅切り加工されてもよい。また、長方形の周縁のいずれかの部分に切り欠きが形成されてもよいし、長方形の辺から部分的に突出する突出部が形成されてもよい。また、長方形の辺が部分的に非直線状(例えば、曲線状、ジグザグ状等)になっていてもよい。
視野角制御体1の全体における光透過率は45%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましい。具体的には、45%以上100%以下が好ましく、55%以上100%以下がより好ましい。前記光透過率の上限は高い方が好ましいが、充分な覗き見防止性を確保するためには80%程度が限界である。
本明細書における光透過率の値は、光源としてJIS Z 8720に規定されるD65を用い、光源から出射された検査光の強度を受光センサーで測定する装置において、前記検査光の光路上に被測定物が無い状態での受光センサーの出力値をA、検査光の光路上に被測定物をセットし、被測定物を透過した透過光が受光センサーで受光される状態での出力値をBとするとき、光透過率=(B/A)×100(単位;%)で求められる値とする。
本実施形態の視野角制御体1においては、視野角制御体1の長手方向の一方の端部を含む第1端部領域1aと、視野角制御体1の長手方向の他方の端部を含む第2端部領域1bと、第1端部領域1a及び第2端部領域1bの間に形成された中央領域1cとを有する。
後述するように、第1端部領域1a及び第2端部領域1bと、中央領域1cとでは、ルーバー層10を構成する遮光帯12の設置角が異なっている。本実施形態にて示されるように、第1端部領域1a、第2端部領域1b及び中央領域1cは、各々、平面視で四角形であることが好ましい。
中央領域1cの幅Wは、視野角制御体1の使用対象物に応じて異なるが、多くの使用対象物においては、視野角制御体1の長手方向の全長に対し、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがより好ましい。中央領域1cの幅Wが前記範囲にあれば、本実施形態の視野角制御体1が覗き見防止体として好適なものとなると共に、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性をより高めることができる。
第1端部領域1aの幅W及び第2端部領域1bの幅Wは、視野角制御体1の長手方向の全長に対して、10%以上40%以下であることが好ましく、20%以上35%以下であることがより好ましい。
第1端部領域1aの幅Wと第2端部領域1bの幅Wとは同一でも異なってもよいが、通常は、同一である。第1端部領域1a及び第2端部領域1bの幅W,Wが同一である場合、視野角制御体1の長手方向の全長に対する第1端部領域1a又は第2端部領域1bの幅の割合(%)は、(100-中央領域1cの幅Wの割合(%))/2の式より求められる。
ここでいう、各領域の幅W,W,Wとは、視野角制御体1の長手方向における各領域の長さのことである。
また、本実施形態においては、遮光帯12の設置角が漸次変化しており、領域の区分が容易ではないため、例えば、中央付近の領域において、視野角制御体1の長手方向の長さの80%の領域を中央領域1cとし、残りの領域のうち、視野角制御体1の長手方向の長さの10%の領域を第1端部領域1aとし、視野角制御体1の長手方向の長さの10%の領域を第2端部領域1bとするなど、領域の幅を適宜決定してもよい。
なお、本明細書において、微細な「長さ」、「厚さ」、及び「幅」は、任意の10箇所について長さ、厚さ、又は幅を測定顕微鏡によって測定し、その測定値を平均した値である。
視野角制御体1の長手方向の長さは制限されず、例えば、120mm以上1500mm以下とされる。本発明の視野角制御体の効果は、表示面が大きい画像表示体に対して特に有用である。そのため、視野角制御体1は、その長手方向の長さが、例えば、250mm以上のものが有用であり、300mm以上のものが特に有用である。実用上、視野角制御体1の長手方向の長さは、600mm以下であることが好ましく、500mm以下であることがより好ましい。具体的には、視野角制御体1の長手方向の長さは、250mm以上600mm以下が好ましく、300mm以上500mm以下がより好ましい。視野角制御体1の短手方向の長さは、50mm以上であることが好ましく、150mm以上であることがより好ましく、175mm以上であることがさらに好ましい。一方、実用上、視野角制御体1の短手方向の長さは、1000mm以下であることが好ましく、500mm以下であることがより好ましく、300mm以下であることがさらに好ましい。具体的には、視野角制御体1の短手方向の長さは、50mm以上1000mm以下が好ましく、150mm以上500mm以下がより好ましく、175mm以上300mm以下がさらに好ましい。
(ルーバー層)
ルーバー層10は、直線状の光透過帯11と、直線状の遮光帯12とを各々複数含み、光透過帯11と遮光帯12とが交互に繰り返し配置されている。本実施形態においては、光透過帯11及び遮光帯12がY方向に沿って形成されている。
本実施形態において、各光透過帯11の幅及び各遮光帯12の幅は共に、それらの長さ方向において一定とされている。ここでいう「一定」とは、幅の設計値±5%以内の範囲も含む。また、全ての光透過帯11の幅は同一とされ、全ての遮光帯12の幅は同一とされている。但し、本発明における幅の「同一」は、若干の相違を許容する。光透過帯11においては、最も中央に位置する光透過帯11の幅に対して±10%以内の範囲も「同一」に含まれ、遮光帯12においては、最も中央に位置する遮光帯12の幅に対して±10%以内の範囲も「同一」に含まれる。また、「幅」とは、ルーバー層10の光出射側の面における光透過帯11又は遮光帯12のX方向の長さのことである。
ルーバー層10において覗き見防止と表示画面の視認性とを両立させる観点からは、複数の光透過帯11の幅の平均値は50μm以上200μm以下であることが好ましく、100μm以上150μm以下であることがより好ましい。同様の理由から、複数の遮光帯12の幅の平均値は1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
複数の光透過帯11のそれぞれの幅は50μm以上200μm以下であることが好ましく、100μm以上150μm以下であることがより好ましい。同様の理由から、複数の遮光帯12のそれぞれの幅は1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
本実施形態におけるルーバー層10の厚さは一定にされている。ここでいう「一定」とは、厚さの設計値±5%以内の範囲も含む。また、「厚さ」とは、ルーバー層10のZ方向の長さのことである。ルーバー層10の厚さは、視野角制御体1又はルーバー層10の単体の断面写真にて計測することで求めることができ、10か所以上計測して得た値の平均値である。
ルーバー層10の厚さは、100μm以上5000μm以下が好ましく、120μm以上1000μm以下がより好ましく、150μm以上500μm以下がさらに好ましい。
ルーバー層10の厚さが前記範囲内であれば、視野角を容易に調整でき、また、容易に作製できる。
本実施形態におけるルーバー層10においては、遮光帯12が、視野角制御体1の長手方向(X方向)の中央から端部に向うにつれて設置角が漸次大きくなるように設けられている。したがって、第1端部領域1a、第2端部領域1b及び中央領域1cの各領域内においても、遮光帯12の設置角が一定ではなく、漸次変化している。ここで、設置角とは、視野角制御体1の表面の垂直方向(Z方向)と、遮光帯12の光入射側から光出射側に向かう方向に引いた中心線とがなす鋭角(但し、0°以上90°未満の範囲)のことである。遮光帯12の光入射側から光出射側に向かう方向に引いた中心線は、遮光帯12をY方向からみたときの形状が四角形の場合は、上辺の中点と下辺の中点を通る線のことを意味する。
第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12のうち少なくとも一部及び第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12のうち少なくとも一部は、遮光帯の光出射側が前記中央領域側に傾斜している。第1端部領域1aにおいて、光出射側が中央領域側に傾斜している遮光帯の割合は、第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12の総数に対し、90~100%が好ましく、95~100%がより好ましい。第2端部領域1bにおいて、光出射側が中央領域側に傾斜している遮光帯の割合は、第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12の総数に対し、90~100%が好ましく、95~100%がより好ましい。さらに、第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は、中央領域1cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも大きくなっている。
本実施形態において、第1端部領域1aに設けられた遮光帯12及び第2端部領域1bに設けられた遮光帯12は、各々、光出射側が光入射側よりも中央領域1cに近づくように視野角制御体1の表面に対して傾斜している。さらに、第1端部領域1a及び第2端部領域1bに設けられた遮光帯12の設置角はそれぞれ、中央領域1cに設けられた遮光帯12のそれぞれの設置角よりも大きくなっている。
なお、図1は、本態様の視野角制御体の概略図であり、光透過帯11及び遮光帯12の数を少なく記載しており、また、第1端部領域1a及び第2端部領域1bに設けられた遮光帯12の設置角を大きめに記載している。
第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は、0°以上90°未満であることが好ましく、1°以上20°以下であることがより好ましい。第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値が前記下限値以上であれば、第1端部領域1a及び第2端部領域1bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、第1端部領域1a及び第2端部領域1bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
第1端部領域1aにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値と第2端部領域1bにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値は同一であってもよいし、異なってもよい。
中央領域1cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は、0°以上4°未満であることが好ましい。中央領域1cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値が前記上限値未満であれば、覗き見防止性がより高くなる。上述したように、本態様では、中央領域1cにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも、第1端部領域1aにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域1bにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値が大きい。例えば、中央領域1cにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値が2°の場合には、第1端部領域1aにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域1bにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値は2°より大きい角度となる。
第1端部領域1aにおける設置角の平均値と中央領域1cにおける設置角の平均値との差、及び、第2端部領域1bにおける設置角の平均値と中央領域1cにおける設置角の平均値との差は、各々、0°超7.5°以下であることが好ましく、1°以上5°以下であることがより好ましく、1°以上2.5°以下であることがさらに好ましい。遮光帯12の設置角の平均値が大きくなる程、光透過率が低下する。そのため、前記設置角の差が大きいと、互いに隣接する領域間の光透過率の差が大きくなり、視覚的には濃淡の差が大きく見え、視野角制御体1の見栄えが損なわれる。前記設置角の平均値の差が前記上限値以下であれば、互いに隣接する領域間の光透過率の差が小さくなり、視覚的な濃淡の差も小さくなる。
遮光帯12の設置角は、視野角制御体1又はルーバー層10の単体の断面写真において、ルーバー層10の光出射側の表面を基準とし、遮光帯12の光入射側から光射出側へ向かう方向に引いた中心線と視野角制御体1の表面の垂直方向とのなす鋭角としてデジタルプロトラクターを用いて計測できる。
複数の遮光帯12の設置角の平均値は、上記設置角の測定方法により複数の遮光帯12の設置角をそれぞれ測定し、得られた値を平均した値である。
第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12の設置角及び第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ、1°以上20°以下であることが好ましい。第1端部領域1aに設けられた複数の遮光帯12の設置角及び第2端部領域1bに設けられた複数の遮光帯12の設置角がそれぞれ前記下限値以上であれば、第1端部領域1a及び第2端部領域1bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、第1端部領域1a及び第2端部領域1bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
中央領域1cに設けられた複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ、0°以上4°未満であることが好ましい。中央領域1cに設けられた複数の遮光帯12の設置角がそれぞれ前記上限値未満であれば、覗き見防止性がより高くなる。上述したように、本態様では、中央領域1cにおける複数の複数の遮光帯12のそれぞれの設置角よりも、第1端部領域1aにおける複数の遮光帯12のそれぞれの設置角及び第2端部領域1bにおける複数の遮光帯12のそれぞれの設置角が大きい。例えば、中央領域1cにおける複数の遮光帯12の設置角がそれぞれ2°の場合には、第1端部領域1a及び第2端部領域1bにおける複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ2°より大きい角度となる。
[光透過帯]
光透過帯11を構成する材料としては、目的の可視光の波長を透過させる樹脂材料が用いられる。光透過帯11を透過する光の波長は可視光の全範囲380nm以上830nm以下であってもよいし、その一部であってもよい。
光透過帯11を構成する樹脂材料としては、透明性が高い熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が使用され、例えば、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらのなかでもシリコーン樹脂が好ましく、柔軟性、耐熱性及び透明性が高い点でシリコーンゴムがより好ましい。
シリコーンゴムとしては、例えば、分子鎖末端がヒドロキシシリル基又はビニルシリル基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンと有機過酸化物とからなる、一般にミラブルゴムと呼ばれるシリコーンゴム組成物;分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なくとも2個有するジオルガノポリシロキサンに、分子中にケイ素原子に結合した水素原子(すなわちSiH結合)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒を配合した、いわゆる付加反応型のオルガノシリコーンゴム組成物等が挙げられる。
光透過帯11は、Z方向に沿って光透過帯11のみに対して光を入射させたときの光透過率が75%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。具体的には、75%以上100%以下が好ましく、85%以上100%以下がより好ましい。
[遮光帯]
遮光帯12を構成する材料としては、光透過帯11を構成する樹脂材料を基材とし、これに顔料や染料等の着色剤を添加した着色樹脂が使用される。
遮光帯12に含まれる樹脂材料は、光透過帯11に含まれる樹脂材料と同等のものを使用することができる。遮光帯12に含まれる樹脂材料は、光透過帯11に含まれる樹脂材料と同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。光透過帯11と遮光帯12との接着性が高くなる点からは、遮光帯12に含まれる樹脂材料は、光透過帯11に含まれる樹脂材料と同一であることが好ましい。
遮光帯12の色調は、遮光帯12において好ましい遮光性が得られればよく、例えば黒、赤、黄、緑、青、水色等とすることができる。遮光帯12の色調は、着色剤の種類及び添加量によって調整できる。
遮光帯12の色調は、ルーバー層10を見たときに認識される色調を構成するため、視野角制御体1の意匠性も考慮して設計することが好ましい。
遮光帯12は、X方向に沿って遮光帯12のみに対して光を入射させたときの光透過率が40%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。具体的には、0%以上40%以下が好ましく、0%以上10%以下がより好ましい。このような光透過率であれば、充分な遮光性を有する。
遮光帯12に含まれる着色剤の具体例としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、黄色酸化鉄、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー等の一般的な有機顔料あるいは無機顔料が挙げられる。着色剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤として黒色顔料を用いない場合には、遮光性を確保するために白色顔料を併用することが好ましい。
(第1透明保護層、第2透明保護層)
第1透明保護層20及び第2透明保護層30は、透明樹脂材料から構成された層であり、ルーバー層10の光出射側の面に設けられてルーバー層10の保護層として機能する。
第1透明保護層20及び第2透明保護層30は、Z方向に沿って光を入射させたときの光透過率が75%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。具体的には、75%以上100%以下が好ましく、85%以上100%以下がより好ましい。
第1透明保護層20及び第2透明保護層30を構成する透明樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、シクロオレフィンポリマー)、セルロース系樹脂等が挙げられる。これら透明樹脂材料のなかでも、透明性及び耐熱性が高いことから、ポリカーボネート又はポリエステル樹脂が好ましい。
透明樹脂材料は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第1透明保護層20及び第2透明保護層30の厚さは、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.2mm以下であることがより好ましい。第1透明保護層20及び第2透明保護層30の厚さが前記下限値以上であれば、ルーバー層10を充分に保護でき、前記上限値以下であれば、充分な光透過率を確保できる。
第1透明保護層20と第2透明保護層30とは同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
(視野角制御体の製造方法)
本実施形態の視野角制御体1は、ルーバー層形成工程と第1透明保護層積層工程と第2透明保護層積層工程とを有する方法により製造することができる。さらに、ルーバー層形成工程は、積層体形成工程とブロック体形成工程と切断工程とを有する。
[積層体形成工程]
積層体形成工程は、複数の光透過帯用シートと複数の遮光帯用シートとをそれぞれ交互に積層して積層体を形成する工程である。
光透過帯用シートは、光透過帯11を構成する樹脂材料をシート状に成形することにより製造することができる。遮光帯用シートは、遮光帯12を構成する樹脂材料をシート状に成形することにより製造することができる。光透過帯用シート及び遮光帯用シートは、各々、一定厚さになるように成形される。樹脂材料をシート状に成形する成形方法としては、例えば、押出成形、カレンダ成形、プレス成形等を適用することができる。
積層体の形成では、複数の光透過帯用シートと複数の遮光帯用シートとを1枚ずつ順次交互に積層して積層体を形成してもよいし、複数の光透過帯用シートと複数の遮光帯用シートとを交互に積層した積層ユニットをあらかじめ複数作製した後にこれらを積層してもよい。
また、光透過帯用シートと遮光帯用シートとは接着剤を用いて接着してもよい。
[ブロック体形成工程]
ブロック体形成工程は、前記積層体を加圧してブロック体を形成する工程である。
積層体の加圧では、例えば、ロール又はプレス機等を使用することができる。加圧の際には、シート同士の接着力を高めるために加熱することが好ましい。加熱温度は、使用する材料に応じて適宜選択される。加熱温度が高すぎると、シートの厚さの均一性が損なわれ、加熱温度が低すぎると、シート同士の接着力が弱くなることがある。
[切断工程]
切断工程は、切断角が0°以上90°未満になるように前記ブロック体を切断する切断工程である。ここで、切断角とは、ブロック体の厚さ方向と、各切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角(但し、0°以上90°未満の範囲)のことである。すなわち、切断角とは、ブロック体の厚さ方向に引いた線Lから前記接平面に対して垂線を引いたときの、線Lと垂線との交点、線Lと前記接平面との交点、及び垂線と前記接平面との交点を頂点とする三角形における、線Lと前記接平面とがなす鋭角のことである。任意の点とは、切断領域における切断面上の点であれば、中心点以外の点でもよい。ブロック体の厚さとは、ブロック体を構成する複数の光透過帯用シート及び複数の遮光帯用シートを積層した方向を意味する。切断角は、切断領域ごとにデジタルプロトラクターを用いることにより測定できる。
本実施形態における切断工程では、図2に示すように、切断角が漸次変化する曲面の切断面が形成されるようにブロック体100を切断してシート状のルーバー層10を切り出す。その際に、切断角が0°以上20°以下になるようにブロック体100を切断する。
切断角が20°以下であれば。得られるルーバー層10において覗き見防止性を充分に確保できる。また、本実施形態では、ルーバー層10の厚さが一定になるようにブロック体100を切断する。
切断方法としては、例えば、光透過帯用シート110及び遮光帯用シート120の両方が露出したブロック体100の一表面から、目的の曲面状の切断面が得られるように湾曲した切断刃を切り込んで、光透過帯用シート110及び遮光帯用シート120を同時に切断する方法が挙げられる。
また、他の切断方法として、光透過帯用シート110のみ又は遮光帯用シート120のみが露出したブロック体100の一表面から切断刃を切り込み、切断面が曲面になるように切断刃又はブロック体100を移動させて、光透過帯用シート110と遮光帯用シート120を交互に切断していく方法を適用することもできる。
本実施形態のように、切断面が曲面になるようにブロック体100を切断して得たルーバー層10は湾曲状のシートであるが、前記シートは樹脂製であり且つ薄いものであるため、可撓性が高い。そのため、得られた湾曲状シートを平面上に置いた際には、平面に沿って密着する。
本実施形態においては、切り出した湾曲状シートを平面状にすると、遮光帯が傾き、中央から端部に向うにつれて遮光帯の傾きが漸次大きくなるシートになる。したがって、上記のように切断面を曲面状にした場合には、切断角が大きい第1切断領域101a及び第2切断領域101bと、これら領域に挟まれると共に切断角が第1切断領域101a及び第2切断領域101bの切断角よりも小さい第3切断領域101cとを形成することができる。第1切断領域101aは、上記の第1端部領域1aに対応する領域になり、第2切断領域101bは、上記の第2端部領域1bに対応する領域になり、第3切断領域101cは、上記の中央領域1cに対応する領域になる。よって、上記切断工程によって本実施形態におけるルーバー層10が得られる。
前記切断工程においては、第1切断領域101a及び第2切断領域101bの切断角を1°以上20°以下の範囲で変化させると共に第3切断領域101cの切断角を0°以上4°未満の範囲で変化させることが好ましい。各切断領域の切断角を前記範囲にすれば、遮光帯の設置角を容易に目的の角度にすることができる。特に、第1切断領域101a及び第2切断領域101bの切断角を前記下限値以上にすれば、第1端部領域1a及び第2端部領域1bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下にすれば、第1端部領域1a及び第2端部領域1bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
前記切断工程により形成される曲面状の切断面は、円柱の側面様であることが好ましい。
本実施形態のように、切断面が曲面になるようにブロック体100を切断する際には、前記曲面の曲率半径を200mm以上2000mm以下にすることが好ましく、500mm以上1700mm以下にすることがより好ましい。前記曲面をこのような曲率半径とすれば、切断角を容易に前記好ましい範囲にすることができ、目的とするルーバー層10を容易に得ることができる。具体的には、曲面の曲率半径を前記下限値以上にすれば、第1端部領域及び第2端部領域における画像の視認性を充分に確保でき、前記上限値以下にすれば、覗き見防止性を充分に確保できる。
[第1透明保護層積層工程]
第1透明保護層積層工程は、切断工程によって得られたルーバー層の光出射側の面に第1透明保護層を積層する工程である。
第1透明保護層を積層する方法としては、例えば、第1透明保護層を構成する材料をあらかじめシート状に成形し、得られた透明シートを、ルーバー層の一方の面に貼着する方法が挙げられる。透明シートの貼着の際には、接着剤を使用してもよいし、接着剤を使用せずに熱圧着してもよい。
接着剤を使用する場合、接着剤としては、硬化後における光透過率が高いものが好ましい。具体的には、硬化後の接着剤層単体における光透過率が好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上になるものが使用される。具体的には、65%以上100%以下が好ましく、80%以上100%以下がより好ましい。
このような接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メラミン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。また、接着剤は、熱硬化型接着剤、多液反応型接着剤、紫外線硬化型接着剤等のいずれであってもよい。
[第2透明保護層積層工程]
第2透明保護層積層工程は、切断工程によって得られたルーバー層の光入射側の面に第2透明保護層を積層する工程である。
第2透明保護層をルーバー層に積層する方法は、第1透明保護層をルーバー層に積層する方法と同様である。
(視野角制御画像表示体)
本実施形態の視野角制御画像表示体は、画像表示体と、前記画像表示体の画像表示面に設けられた上記視野角制御体とを備える。視野角制御体の大きさ及び形状は、画像表示体の表示面に対応する大きさ及び形状とすることが好ましい。
画像表示体としては、液晶表示装置又は有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の、映像信号を表示する画像表示装置が挙げられる。通常、画像表示装置の表示面(画面)は、使用者に対して左右方向が長手方向となる長方形である。そのため、長方形である本実施形態の視野角制御体は、その長手方向が画像表示装置の表示面の長手方向に沿うように配置される。
画像表示体は、紙又はプラスチックシートに印刷された印刷物であってもよい。印刷物の形状は特に制限されないが、本実施形態の視野角制御体は、長方形の印刷物の場合に適している。
画像表示体の表示面が長方形である場合、その長手方向の長さが250mm以上のものが有用であり、300mm以上のものが特に有用である。実用上、画像表示体の表示面の長手方向の長さは、600mm以下であることが好ましく、450mm以下であることがより好ましい。具体的には、画像表示体の表示面の長手方向の長さは、250mm以上600mm以下が好ましく、300mm以上500mm以下がより好ましい。画像表示体の表示面の短手方向の長さは、50mm以上であることが好ましく、150mm以上であることがより好ましく、175mm以上であることがさらに好ましい。一方、実用上、画像表示体の表示面の短手方向の長さは、1000mm以下であることが好ましく、500mm以下であることがより好ましく、300mm以下であることがさらに好ましい。具体的には、画像表示体の表示面の短手方向の長さは、50mm以上1000mm以下が好ましく、150mm以上500mm以下がより好ましく、175mm以上300mm以下がさらに好ましい。
本実施形態の視野角制御体は、特に、タッチセンサ付きの画像表示装置を備えた情報入出力機器に好適に使用される。情報入出力機器においては、秘匿情報を表示及び入力することが多く、覗き見防止が求められることが多いためである。
本実施形態の視野角制御体の中央領域は、視野角が狭くなるように制御されており、覗き見防止性が特に高い領域である。そのため、視野角制御体の中央領域は、秘匿情報が表示される領域に重ねられることが好ましい。
秘匿情報が表示される領域の幅は、画像表示体の幅方向の長さに対して、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがより好ましい。
秘匿情報が表示される領域の幅は、視野角制御体の中央領域の幅に対して、10%以上100%以下であることが好ましく、10%以上90%以下であることがより好ましい。
情報入出力機器においては、通常、秘匿情報は、画像表示体の表示面の中央付近に表示されることが多い。そのため、本実施形態の視野角制御体を画像表示体の表示面に設けた際には、秘匿情報の表示に視野角制御体の中央領域を容易に重ねることができ、秘匿情報の覗き見を防止することができる。
従来の視野角制御体を画像表示体表示面に設けた場合には、中央領域の正面に位置する使用者に対し、表示面の長手方向の端部領域に表示された画像が、ルーバー層による視野角制御の視野角範囲内に入らないことがある。そのため、中央領域の正面に位置する使用者にとっては、表示面の端部領域に表示された画像を視認しにくい。しかし、本実施形態の視野角制御体では、第1端部領域及び第2端部領域の遮光帯が中央領域側に傾いており、光の出射方向が使用者側に向くように調整されている。そのため、中央領域の正面に位置する使用者が、表示面の端部領域に表示された画像を見た際、その画像は視野角制御による視野角範囲内に入るため、容易に視認できる。しかも、第1端部領域及び第2端部領域においても視野角が狭くなるように制御されているから、覗き見防止性は確保されている。
特に本実施形態の視野角制御体は、その長手方向の中央から端部に向うにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなっているため、全ての光透過帯の光出射方向を使用者に向けやすい。そのため、覗き見防止性と端部領域に表示された画像の視認性とをより両立しやすくなっている。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の視野角制御体について説明する。
図3に、本実施形態の視野角制御体を示す。本実施形態の視野角制御体2は、ルーバー層の形態が異なること以外は第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態において使用されるルーバー層40は、第1端部領域2aに設けられた複数の遮光帯12の設置角、第2端部領域2bに設けられた複数の遮光帯12の設置角、及び、中央領域2cに設けられた複数の遮光帯12の設置角が、各々、各領域内で一定とされている。
第1端部領域2a及び第2端部領域2bに設けられた遮光帯12の設置角が、中央領域2cに設けられた遮光帯12の設置角よりも大きいことは第1実施形態におけるルーバー層10と同様である。第1端部領域2aにおける設置角と第2端部領域2bにおける設置角は同一であってもよいし、異なってもよい。
本実施形態におけるルーバー層40において、その厚さ、光透過帯11の幅、光透過帯11を構成する材料、遮光帯12の設置角、遮光帯12の幅、遮光帯12を構成する材料については、第1実施形態におけるルーバー層10と同様である。
本実施形態の視野角制御体2を製造する第1製造例について説明する。
視野角制御体2を製造する第1製造例は、切断工程が異なること以外は第1実施形態と同様である。
すなわち、本製造例における切断工程では、図4に示すように、切断角が各々一定の第1切断領域102a、第2切断領域102b及び第3切断領域102cに分け、切断面が凹状であると共に3つの平面が形成されるようにブロック体100を切断してシート状のルーバー層40を切り出す。
第1切断領域102aは上記第1端部領域2aに対応し、第2切断領域102bは第2端部領域2bに対応し、第3切断領域102cは上記中央領域2cに対応する。
本実施形態において、遮光帯12の設置角を目的の角度にするため、第1切断領域102a及び第2切断領域102bの切断角を1°以上20°以下で一定にすると共に第3切断領域102cの切断角を0°以上4°未満で一定にすることが好ましい。さらには、第1切断領域102a及び第2切断領域102bの切断角を10°以上20°以下で一定にすると共に第3切断領域102cの切断角を0°以上4°未満で一定にすることがより好ましい。第1切断領域102a及び第2切断領域102bの切断角を前記下限値以上にすれば、第1端部領域2a及び第2端部領域2bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下にすれば、第1端部領域2a及び第2端部領域2bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
なお、本態様では、各領域の切断角が前記範囲であっても、第3切断領域102cにおける切断角よりも、第1切断領域102a及び第2切断領域102bの切断角が大きい。
切断方法は、例えば、光透過帯用シート110及び遮光帯用シート120の両方が露出したブロック体100の一表面から、目的の屈曲した切断面が得られるように切断刃を切り込んで、光透過帯用シート110及び遮光帯用シート120を同時に切断する方法が挙げられる。
また、他の切断方法として、光透過帯用シート110のみ又は遮光帯用シート120のみが露出したブロック体100の一表面から切断刃を切り込み、目的の屈曲した切断面が得られるように切断刃又はブロック体100を移動させて、光透過帯用シート110と遮光帯用シート120を交互に切断する方法を適用することもできる。
第1製造例において、切断面が屈曲した3つの平面になるようにブロック体100を切断して得たルーバー層は屈曲したシートであるが、前記シートは樹脂製であり且つ薄いものであるため、可撓性が高い。そのため、得られたシートを平面上に置いた際には、平面に沿って密着する。
平面状になったシートにおいては、上述したように、第1切断領域102aが上記の第1端部領域2aに対応し、第2切断領域102bが上記の第2端部領域2bに対応し、第3切断領域102cが上記の中央領域2cに対応したものになる。したがって、上記切断工程によって本実施形態におけるルーバー層40が得られる。
本実施形態の視野角制御体2を製造する第2製造例について説明する。
視野角制御体2を製造する第2製造例は、積層ユニット形成工程と積層体形成工程とブロック体形成工程と切断工程と第1透明保護層積層工程と第2透明保護層積層工程とを有する方法である。本例におけるブロック体形成工程、第1透明保護層積層工程及び第2透明保護層積層工程は、第1実施形態の視野角制御体1の製造方法におけるブロック体形成工程、第1透明保護層積層工程及び第2透明保護層積層工程と同様である。
積層ユニット形成工程は、光透過帯用シートと遮光帯用シートとを交互に複数積層して形成した積層ユニット作製用積層体を形成し、積層ユニット作製用積層体を加圧して積層ユニット作製用ブロック体を形成し、遮光帯の設置角が目的の角度になるように積層ユニット作製用ブロック体を切断して積層ユニットを作製する工程である。
積層ユニット作製用積層体を作製する際の、光透過帯用シートと遮光帯用シートとの積層は、第1実施形態の製造方法における積層体形成工程と同様である。
積層ユニット作製用積層体の加圧方法は、第1実施形態におけるブロック体形成工程と同様である。
積層ユニット作製用ブロック体の切断では、切断の角度等を調整するなどして、第1積層ユニットと第2積層ユニットと第3積層ユニットを作製する。
第1積層ユニットの作製では、上記第1端部領域2aにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが複数積層されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
第2積層ユニットの作製では、上記第2端部領域2bにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが複数積層されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
第3積層ユニットの作製では、上記中央領域2cにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが複数積層されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
本例における積層体形成工程は、積層ユニット形成工程によって得られた第1積層ユニットと第2積層ユニットと第3積層ユニットとを積層して積層体を形成する工程である。
前記工程では、第1積層ユニットと第2積層ユニットとの間に第3積層ユニットが配されるように各積層ユニットを積層する。
本例における切断工程は、ブロック体形成工程によって得られたブロック体を切断してルーバー層を得る工程である。
切断工程における切断方法としては、例えば、光透過帯用シート及び遮光帯用シートの両方が露出したブロック体の一表面から、前記表面に対して垂直に切断刃を切り込んで、光透過帯用シート及び遮光帯用シートを同時に切断する方法が挙げられる。
また、他の切断方法として、光透過帯用シートのみ又は遮光帯用シートのみが露出したブロック体の一表面から垂直に切断刃を切り込み、切断刃又はブロック体を移動させて、光透過帯用シートと遮光帯用シートを交互に切断する方法が挙げられる。
本実施形態の視野角制御体の使用形態は第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態の視野角制御体を画像表示体表示面に設けることにより、覗き見防止性を確保できる。また、本実施形態においても、第1端部領域及び第2端部領域における遮光帯が中央領域側に傾斜しており、光の出射方向が使用者側に向くように調整されている。そのため、中央領域の正面に位置する使用者が、表示面の端部領域に表示された画像を見た際、その画像は視野角制御の視野角範囲内に入るため、容易に視認できる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態の視野角制御体について説明する。
図5に、本実施形態の視野角制御体を示す。本実施形態の視野角制御体3は、ルーバー層の形態が異なること以外は第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態において使用されるルーバー層50は、第1端部領域3a、第2端部領域3b及び中央領域3cに加え、第1端部領域3aと中央領域3cとの間に第1中間領域3dを有すると共に第2端部領域3bと中央領域3cとの間に第2中間領域3eを有する。
第1中間領域3dに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は、第1端部領域3aに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも小さく且つ中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも大きくされている。第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は、第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも小さく且つ中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも大きくされている。
本実施形態において、第1中間領域3dに設けられた複数の遮光帯12のそれぞれの設置角は、第1端部領域3aに設けられた複数の遮光帯12のそれぞれの設置角よりも小さく、且つ中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12のそれぞれの設置角よりも大きくされている。第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12のそれぞれの設置角は、第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12のそれぞれの設置角よりも小さく、且つ中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12のそれぞれの設置角よりも大きくされている。
本実施形態において、第1端部領域3aに設けられた複数の遮光帯12の設置角、第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角、中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角、第1中間領域3dに設けられた複数の遮光帯12の設置角、第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12の設置角は、各々、各領域内で一定とされている。第1端部領域3a及び第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角が、中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角よりも大きいことは第1実施形態におけるルーバー層10と同様である。
本実施形態におけるルーバー層50において、その厚さ、光透過帯11の幅、光透過帯11を構成する材料、遮光帯12の幅、遮光帯12を構成する材料についても、第1実施形態におけるルーバー層10と同様である。
中央領域3cの幅Wは、視野角制御体3の使用対象物に応じて異なるが、多くの使用対象物においては、視野角制御体3の長手方向の全長に対し、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがより好ましい。中央領域3cの幅Wが前記範囲にあれば、本実施形態の視野角制御体3が覗き見防止体として好適なものとなると共に、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性をより高めることができる。
第1中間領域3dの幅W及び第2中間領域3eの幅Wは、視野角制御体3の使用対象物に応じて異なるが、多くの使用対象物においては、視野角制御体3の長手方向の全長に対し、5%以上20%以下であることが好ましく、10%以上17.5%以下であることがより好ましい。第1中間領域3dの幅W及び第2中間領域3eの幅Wが前記下限値以上であれば、隣接する領域間の光透過率の差を小さくでき、視覚的な濃淡の差を小さくできる。第1中間領域3dの幅W及び第2中間領域3eの幅Wが前記上限値以下であれば、覗き見防止性と端部領域に表示された画像の視認性を充分に確保できる。
第1端部領域3aの幅W及び第2端部領域3bの幅Wは、視野角制御体3の長手方向の全長に対して、5%以上20%以下であることが好ましく、10%以上17.5%以下であることがより好ましい。
第1端部領域3aの幅Wと第2端部領域3bの幅Wとは同一でも異なってもよいが、通常は、同一である。第1中間領域3dの幅Wと第2中間領域3eの幅Wとは同一でも異なってもよいが、通常は、同一である。
第1端部領域3a及び第2端部領域3bの幅W,Wが同一である場合、視野角制御体3の長手方向の全長に対する第1端部領域3a又は第2端部領域3bの幅の割合(%)は、(100-中央領域3cの幅Wの割合(%)-第1中間領域3dの幅Wの割合(%)-第2中間領域3eの幅Wの割合(%))/2の式より求められる。
ここでいう、各領域の幅W,W,W,W,Wとは、視野角制御体3の長手方向における各領域の長さのことである。
第1端部領域3aに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は10°以上20°以下であることが好ましい。第1端部領域3aに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値が前記下限値以上であれば、第1端部領域3a及び第2端部領域3bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、第1端部領域3a及び第2端部領域3bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
第1中間領域3dに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値及び第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は1°以上10°未満であることが好ましい。第1中間領域3d及び第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値が前記下限値以上であれば、第1中間領域3d及び第2中間領域3eの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値は、0°以上4°未満であることが好ましい。中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角の平均値が前記上限値未満であれば、覗き見防止性がより高くなる。上述したように、本態様では、中央領域3cにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値よりも、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値が大きい。例えば、中央領域3cにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値が2°の場合には、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおける複数の遮光帯12の設置角の平均値は2°より大きい角度となる。
第1端部領域3aにおける設置角の平均値と第2端部領域3bにおける設置角の平均値は同一であってもよいし、異なってもよい。第1中間領域3dにおける設置角の平均値と第2中間領域3eにおける設置角の平均値は同一であってもよいし、異なってもよい。
第1端部領域3a及び第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ10°以上20°以下であることが好ましい。第1端部領域3a及び第2端部領域3bに設けられた複数の遮光帯12の設置角がそれぞれ前記下限値以上であれば、第1端部領域3a及び第2端部領域3bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、第1端部領域3a及び第2端部領域3bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
第1中間領域3d及び第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ1°以上10°未満であることが好ましい。第1中間領域3d及び第2中間領域3eに設けられた複数の遮光帯12の設置角がそれぞれ前記下限値以上であれば、第1中間領域3d及び第2中間領域3eの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ、0°以上4°未満であることが好ましい。中央領域3cに設けられた複数の遮光帯12の設置角それぞれが前記上限値未満であれば、覗き見防止性がより高くなる。上述したように、本態様では、中央領域3cにおける複数の遮光帯12のそれぞれの設置角よりも、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおける複数の遮光帯12のそれぞれの設置角が大きい。例えば、中央領域3cにおける複数の遮光帯12の設置角がそれぞれ2°の場合には、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおける複数の遮光帯12の設置角はそれぞれ2°より大きい角度となる。
第1端部領域3aにおける設置角の平均値と第1中間領域3dにおける設置角の平均値との差、第1中間領域3dにおける設置角の平均値と中央領域3cにおける設置角の平均値との差、第2端部領域3bにおける設置角の平均値と第2中間領域3eにおける設置角の平均値との差、第2中間領域3eにおける設置角の平均値と中央領域3cにおける設置角の平均値との差は、各々、0°超7.5°以下であることが好ましく、1°以上5°以下であることがより好ましく、1°以上2.5°以下であることがさらに好ましい。前記設置角の平均値の差が前記下限値以上であれば、第1端部領域3a、第2端部領域3b、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおける画像の視認性がより高くなる。一方、前記設置角の差が前記上限値以下であれば、互いに隣接する領域間の光透過率の差が小さくなり、視覚的な濃淡の差も小さくなる。
本実施形態の視野角制御体3を製造する第3製造例について説明する。
視野角制御体3を製造する第3製造例は、切断工程が異なること以外は第1実施形態と同様である。
すなわち、本製造例における切断工程では、図6に示すように、切断角が各々一定の第1切断領域103a、第2切断領域103b、第3切断領域103c、第4切断領域103d及び第5切断領域103eに分け、切断面が凹状であると共に5つの平面が形成されるようにブロック体100を切断してシート状のルーバー層50を切り出す。
第1切断領域103aは上記第1端部領域3aに対応し、第2切断領域103bは第2端部領域3bに対応し、第3切断領域103cは上記中央領域3cに対応し、第4切断領域103dは上記第1中間領域3dに対応し、第5切断領域103eは上記第2中間領域3eに対応する。
遮光帯12の設置角を目的の角度にするため、第1切断領域103a及び第2切断領域103bの切断角を10°以上20°以下の範囲で一定にし、第3切断領域103cの切断角を0°以上4°未満の範囲で一定にし、第4切断領域103d及び第5切断領域103eの切断角を1°以上10°未満の範囲で一定にすることが好ましい。特に、第1切断領域103a及び第2切断領域103bの切断角を前記下限値以上にすれば、第1端部領域3a及び第2端部領域3bの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下にすれば、第1端部領域3a及び第2端部領域3bにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。第1中間領域3d及び第2中間領域3eの切断角を前記下限値以上にすれば、第1中間領域3d及び第2中間領域3eの視野範囲を使用者側に集中させることができ、覗き見防止性がより高くなり、前記上限値以下にすれば、第1中間領域3d及び第2中間領域3eにおいて光透過帯11及び遮光帯12を形成しやすくなる。
切断方法としては、第2実施形態におけるブロック体の切断方法と同様の方法を適用できる。
第3製造例において、切断面が屈曲した5つの平面になるようにブロック体100を切断して得たルーバー層は屈曲したシートであるが、前記シートは樹脂製であり且つ薄いものであるため、可撓性が高い。そのため、得られたシートを平面上に置いた際には、平面に沿って密着する。
平面状になったシートにおいては、上述したように、第1切断領域103aが上記の第1端部領域3aに対応し、第2切断領域103bが上記の第2端部領域3bに対応し、第3切断領域103cが上記の中央領域3cに対応し、第4切断領域103dが上記の第1中間領域3dに対応し、第5切断領域103eが上記の第2中間領域3eに対応したものになる。したがって、上記切断工程によって本実施形態におけるルーバー層50が得られる。
本実施形態の視野角制御体3を製造する第4製造例について説明する。
視野角制御体3を製造する第4製造例は、積層ユニット形成工程と積層体形成工程とブロック体形成工程と切断工程と第1透明保護層積層工程と第2透明保護層積層工程とを有する方法である。本例におけるブロック体形成工程、第1透明保護層積層工程及び第2透明保護層積層工程は、第1実施形態の視野角制御体1の製造方法におけるブロック体形成工程、第1透明保護層積層工程及び第2透明保護層積層工程と同様である。
積層ユニット形成工程は、光透過帯用シートと遮光帯用シートとを交互に複数積層して形成した積層ユニット作製用積層体を形成し、積層ユニット作製用積層体を加圧して積層ユニット作製用ブロック体を形成し、遮光帯の設置角が目的の角度になるように積層ユニット作製用ブロック体を切断して積層ユニットを作製する工程である。
積層ユニット作製用積層体を作製する際の、光透過帯用シートと遮光帯用シートとの積層は、第1実施形態の製造方法における積層体形成工程と同様である。
積層ユニット作製用積層体の加圧方法は、第1実施形態におけるブロック体形成工程と同様である。
積層ユニット作製用ブロック体の切断では、切断の角度等を調整するなどして、第1積層ユニットと第2積層ユニットと第3積層ユニットと第4積層ユニットと第5積層ユニットを作製する。
第1積層ユニットの作製では、上記第1端部領域3aにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが配置されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
第2積層ユニットの作製では、上記第2端部領域3bにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが配置されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
第3積層ユニットの作製では、上記中央領域3cにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが配置されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
第4積層ユニットの作製では、上記第1中間領域3dにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが配置されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
第5積層ユニットの作製では、上記第2中間領域3eにおける遮光帯の設置角に対応する角度で光透過帯用シートと遮光帯用シートが配置されたユニットが形成されるように積層ユニット作製用ブロック体を切断する。
本例における積層体形成工程は、積層ユニット形成工程によって得られた第1積層ユニットと第2積層ユニットと第3積層ユニットと第4積層ユニットと第5積層ユニットとを積層して積層体を形成する工程である。前記工程では、第1積層ユニットと第3積層ユニットとの間に第4積層ユニットが配され、第4積層ユニットと第5積層ユニットとの間に第3積層ユニットが配され、第3積層ユニットと第2積層ユニットとの間に第5積層ユニットが配されるように各積層ユニットを積層する。
本例における切断工程は、ブロック体形成工程によって得られたブロック体を切断してルーバー層を得る工程である。
切断工程における切断方法としては、例えば、光透過帯用シート及び遮光帯用シートの両方が露出したブロック体の一表面から、前記表面に対して垂直に切断刃を切り込んで、光透過帯用シート及び遮光帯用シートを同時に切断する方法が挙げられる。
また、他の切断方法として、光透過帯用シートのみ又は遮光帯用シートのみが露出したブロック体の一表面から垂直に切断刃を切り込み、切断刃又はブロック体を移動させて、光透過帯用シートと遮光帯用シートを交互に切断する方法が挙げられる。
本実施形態の視野角制御体の使用形態は第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態の視野角制御体を画像表示体の表示面に設けることにより、覗き見防止性を確保できる。また、本実施形態においても、第1端部領域及び第2端部領域における遮光帯が中央領域側に傾斜しており、光の出射方向が使用者側に向くように調整されている。そのため、中央領域の正面に位置する使用者が、表示面の端部領域に表示された画像を見た際に、その画像は視野角制御の視野角範囲内に入るため、容易に視認できる。
さらに、本実施形態においては、視野角制御体が中間領域を有することによって、第2実施形態の視野角制御体に比べて、遮光帯の設置角を細やかに調整でき、互いに隣接する領域の遮光帯の設置角の差を容易に小さくできる。
近年、画像表示装置の表示面が大型化する傾向にあり、表示面に視野角制御体を設けた場合には、表示面の端部領域に表示される画像の視認性が低くなる傾向にある。しかし、視野角を細やかに調整でき且つ隣接する領域の遮光帯の設置角の差を容易に小さくできる本実施形態の視野角制御体を用いれば、大型表示面の画像表示装置に使用しても覗き見防止性と端部領域の視認性とを容易に両立できる。
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、光透過帯及び遮光帯はY方向に沿って形成されなくてもよく、Y方向に対して斜めに形成されていてもよい。光透過帯及び遮光帯がY方向に対して斜めに形成される場合、その傾斜角は、例えば、Y方向に対して1°以上20°以下とされる。視野角制御体を液晶表示装置の表面に設けた場合には、Y方向に対して斜めに形成された光透過帯及び遮光帯を用いると、干渉縞の発生を容易に抑制することができる。
光透過帯及び遮光帯をY方向に対して斜めに形成した場合には、各領域の形状が台形又は平行四辺形になる。
また、上記実施形態のように、光透過帯及び遮光帯はY方向に沿って形成されている場合には、干渉縞の発生を防止するために、液晶表示装置の画面の短手方向(Y方向)に対して、光透過帯及び遮光帯が斜めに配置されるように視野角制御体を画面に設けてもよい。その場合の傾斜角も、例えば、Y方向に対して1°以上20°以下とされる。
上記第1実施形態においては、視野角制御体の全体にわたって遮光帯の設置角が漸次変化し、第2実施形態及び第3実施形態においては、各領域内で遮光帯の設置角が一定とされている。しかし、本発明においては、遮光帯の設置角が漸次変化する領域と、遮光帯の設置角が一定の領域とが混在してもよい。例えば、第1実施形態の第1端部領域及び第2端部領域において、遮光帯の設置角が一定とされてもよい。第2実施形態の第1端部領域及び第2端部領域において、中央領域から離間するにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなってもよい。同様に、第3実施形態の第1端部領域及び第2端部領域において、中央領域から離間するにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなってもよい。また、第3実施形態の第1中間領域及び第2中間領域において、中央領域から離間するにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなってもよい。
また、第3実施形態の第1中間領域及び第2中間領域は、さらに複数の領域に分割され、分割された各領域内で遮光帯の設置角が異なってもよい。ただし、その場合でも、中央領域に近い領域に設けられた遮光帯の設置角よりも、中央領域から遠い領域に設けられた遮光帯の設置角が大きくされる。分割された各領域内の遮光帯の設置角は一定でもよいし、漸次変化してもよい。
本発明において、視野角制御体は平面視で長方形でなくてもよく、例えば、正方形でもよいし、他の形状(菱形、四角形以外の多角形、真円、楕円等)であってもよい。しかし、通常、画像表示装置の画面は長方形であるから、それに対応して、本発明の視野角制御体は上記実施形態のように長方形のものが好適である。
視野角制御体が平面視で長方形でない場合、第1端部領域は、視野角制御体の面方向に沿った任意の一方向Aにおける視野角制御体の一方の端部を含む領域であり、第2端部領域は、前記方向Aにおける視野角制御体の他方の端部を含む領域である。中央領域は、第1端部領域と第2端部領域との間の領域である。方向Aは視野角制御体の形状又は画像表示体の形状等によって適宜決定され、例えば、光遮光帯及び遮光帯の長手方向に対して垂直方向を方向Aとすることができる。
本発明の視野角制御体は、光出射側の透明保護層の面及び光入射側の透明保護層の面の少なくとも一方に貼着層が設けられていてもよい。この貼着層は、透明性が高い粘着剤又は接着剤により構成された層であり、画像表示体、タッチパネル等の被着体に視野角制御体を固定するための層である。
貼着層は、Z方向に沿って光を入射させたときの光透過率が75%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。具体的には、75%以上100%以下が好ましく、85%以上100%以下がより好ましい。
貼着層が粘着剤で構成される場合、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を使用できる。また、粘着剤としてエラストマーを使用することができる。エラストマーの具体例としては、シリコーンゴム、シリコーンゲル、ウレタンゴム、ウレタンゲル等が挙げられ、これらの中でも、糊残りが少なく、透明性が高い点でシリコーンゴムが好ましい。
粘着剤は再剥離性のものでもよい。再剥離性粘着剤としては、透明なものであれば市販のものを制限なく使用できる。
粘着剤がエラストマーからなる場合には、貼着層の表面が鏡面加工されることで再剥離性が得られる。
貼着層が接着剤で構成される場合、接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等を使用できる。これら接着剤のなかでも、接着力が高いことから、アクリル系接着剤が好ましい。
粘着剤及び接着剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
貼着層を積層する方法としては、例えば、離型シート表面に貼着剤を塗工して貼着層を形成した後、その貼着層を透明保護層に貼合して積層する方法が挙げられる。また、貼着層を積層する他の方法として、透明保護層に貼着層形成用貼着剤を直接塗工して貼着層を形成し、必要に応じて貼着層に離型シートを積層する方法が挙げられる。
また、本発明の視野角制御体は、第1透明保護層及び第2透明保護層の少なくとも一方を備えず、その代わりに、貼着層を備えてもよい。すなわち、ルーバー層の光出射側の面に第1透明保護層が設けられていると共に光入射側の面に貼着層が設けられた視野角制御体、ルーバー層の光出射側の面に貼着層が設けられていると共に光入射側の面に第2透明保護層が設けられた視野角制御体であってもよい。
また、本発明においては、第1透明保護層及び貼着層の少なくとも一方を有していなくてもよい。
本発明の視野角制御体を、タッチセンサ付きの画像表示装置を備えた情報入出力機器に使用する場合、通常、視野角制御体は画像表示装置とタッチパネルとの間に配置される。
前記情報入出力機器を作製する際には、視野角制御体を画像表示体に取り付けた後に視野角制御体にタッチパネルを取り付けてもよいし、視野角制御体をタッチパネルに取り付けた後に視野角制御体に画像表示体を取り付けてもよい。
取り付けに際しては、視野角制御体に設けた貼着層を使用してもよいし、使用しなくてもよい。
以下に実施例を示すが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す構成の視野角制御体を製造した。
まず、透明シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE153U)からなる厚さ200μmの光透過帯用シートを用意した。
これとは別に、透明シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE153U)100質量部に対してカーボンブラックを15質量部添加した材料からなる厚さ20μmの遮光帯用シートを用意した。
光透過帯用シートと遮光帯用シートとを交互に複数積層して積層体を形成した後、その積層体を加熱しながら加圧して、これら複数のシートが一体化したブロック体を得た。
次いで、前記ブロック体を、各シート表面に対して切断角が5°、切断面の曲率半径が1240mm、且つ、厚さが360μmになるようにスライスしてルーバー層10を得た。
次いで、得られたルーバー層10の光出射側になる面に、熱硬化型接着剤(信越化学工業社製、商品名;KE1825)を塗布したポリカーボネートシート(第1透明保護層20)を貼り合わせ、接着剤を熱硬化させた。
次いで、得られたルーバー層10の光入射側になる面に、熱硬化型接着剤(信越化学工業社製、商品名;KE1825)を塗布したポリカーボネートシート(第2透明保護層30)を貼り合わせ、接着剤を熱硬化させた。これにより、平面視の形状が長方形で、長手方向の長さが340mm、短手方向の長さが200mmの視野角制御体を得た。
得られた視野角制御体を、画像が全面に印刷された紙面の上に置き、目視によって、覗き見防止性と、表示面端部領域の画像の視認性とを観察し、評価した。その際、目と紙面との距離を300mmとした。
本例の視野角制御体は、中央領域だけでなく端部領域においても覗き見防止性を有しており、しかも、表示面端部領域の画像を充分に視認することができた。
(比較例1)
実施例1におけるブロック体を、各シート表面に対して垂直に、すなわち切断角が0°になるように且つ厚さが360μmになるようにスライスしてルーバー層を得た。それ以外は実施例1と同様にして視野角制御体を得た。
本例の視野角制御体についても実施例1と同様に、覗き見防止性と、表示面端部領域の画像の視認性とを目視観察し、評価した。
本例の視野角制御体は、中央領域及び端部領域において覗き見防止性を有していたが、表示面端部領域の画像を視認することができなかった。
本発明の視野角制御体は、画像表示体により表示された画像を覗き見されても画像が視認されにくい覗き見防止性を有しながらも、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性を確保できる。
本発明の視野角制御体の製造方法によれば、上記の効果を有する視野角制御体を容易に製造できる。
本発明の視野角制御画像表示体は、覗き見防止性を有する共に、画像表示体表示面の端部領域に表示された画像の視認性が確保されている。
1,2,3 視野角制御体
1a,2a,3a 第1端部領域
1b,2b,3b 第2端部領域
1c,2c,3c 中央領域
3d 第1中間領域
3e 第2中間領域
10,40,50 ルーバー層
11 光透過帯
12 遮光帯
20 第1透明保護層
30 第2透明保護層
100 ブロック体
101a,102a,103a 第1切断領域
101b,102b,103b 第2切断領域
101c,102c,103c 第3切断領域
103d 第4切断領域
103e 第5切断領域
110 光透過帯用シート
120 遮光帯用シート

Claims (11)

  1. 複数の光透過帯と複数の遮光帯とが交互に設けられているルーバー層を備えるシート状の視野角制御体であって、
    前記シート状の視野角制御体の平面視で、前記光透過帯と前記遮光帯とは一方向に沿ってそれぞれ直線状に形成されており、
    前記複数の光透過帯の幅の平均値は50μm以上200μm以下であり、
    前記ルーバー層の厚さが100μm以上500μm以下であり、
    前記複数の光透過帯と前記複数の遮光帯とが交互に設けられている方向Aにおける視野角制御体の一方の端部を含む第1端部領域と、前記方向Aにおける視野角制御体の他方の端部を含む第2端部領域と、前記第1端部領域及び前記第2端部領域の間の中央領域とを有し、
    前記第1端部領域に設けられた前記複数の遮光帯のうち少なくとも一部及び前記第2端部領域に設けられた前記複数の遮光帯のうち少なくとも一部は、前記遮光帯の光出射側が前記中央領域側に傾斜し、
    前記第1端部領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値A及び前記第2端部領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値Bが、前記中央領域に設けられた前記複数の遮光帯の設置角の平均値Cよりも大きく、
    前記設置角が、前記視野角制御体の厚さ方向と、前記遮光帯の光入射側から光出射側に向かう方向に引いた中心線とがなす鋭角であり、
    前記平均値A、前記平均値B、及び前記平均値Cが、それぞれ独立に0°以上90°未満であり、
    前記視野角制御体は平面視で長方形であり、前記方向Aが視野角制御体の長手方向であり、前記第1端部領域の幅及び前記第2端部領域の幅は、前記視野角制御体の長手方向の全長に対して、10%以上40%以下であり、
    前記平均値Aと、前記平均値Cとの差が0°超7.5°以下であり、
    前記平均値Cと、前記平均値Bとの差が0°超7.5°以下である、視野角制御体。
  2. 前記平均値A及び前記平均値Bがそれぞれ独立に1°以上20°以下であり、前記平均値Cが0°以上4°未満である、請求項1記載の視野角制御体。
  3. 前記方向Aに沿って視野角制御体の中央から端部に向かうにつれて遮光帯の設置角が漸次大きくなっている、請求項1又は2に記載の視野角制御体。
  4. 複数の光透過帯用シートと複数の遮光帯用シートとを交互に積層して積層体を形成することと、前記積層体を加圧してブロック体を形成することと、前記ブロック体を切断してルーバー層を形成することとを有し、
    前記ルーバー層を形成することは、第3切断領域の切断角cを、第1切断領域の切断角a及び第2切断領域の切断角bよりも小さくするように前記ブロック体を切断することを含み、
    前記第3切断領域は、前記第1切断領域及び前記第2切断領域の間に位置し、
    前記切断角aが、前記ブロック体の厚さ方向と、前記第1切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角であり、
    前記切断角bが、前記ブロック体の厚さ方向と、前記第2切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角であり、
    前記切断角cが、前記ブロック体の厚さ方向と、前記第3切断領域における切断面の任意の点における接平面とがなす鋭角であり、
    前記切断角a、前記切断角b、及び前記切断角cが、それぞれ独立に0°以上90°未満である、視野角制御体の製造方法。
  5. 前記ルーバー層を形成することは、切断面が曲面になるようにブロック体を切断することを含む、請求項に記載の視野角制御体の製造方法。
  6. 前記曲面の曲率半径が200mm以上2000mm以下である、請求項に記載の視野角制御体の製造方法。
  7. 前記ルーバー層を形成することにおいては、前記切断角a及び前記切断角bが、それぞれ独立に1°以上20°以下であり、前記切断角cが0°以上4°未満である、請求項のいずれか一項に記載の視野角制御体の製造方法。
  8. 前記ルーバー層を形成することにおいては、前記第1切断領域と前記第3切断領域との間に第4切断領域を形成すること、及び前記第2切断領域と前記第3切断領域との間に第5切断領域を形成すること、をさらに含み、
    前記第4切断領域の切断角dが、前記切断角aより小さく且つ前記切断角cより大きく、前記第5切断領域の切断角eが、前記切断角bより小さく且つ前記切断角cより大きい、請求項のいずれか一項に記載の視野角制御体の製造方法。
  9. 前記ルーバー層を形成することにおいては、前記切断角a及び前記切断角bが、それぞれ独立に10°以上20°以下であり、前記切断角cが0°以上4°未満であり、前記切断角d及び前記切断角eが、それぞれ独立に1°以上10°未満である、請求項に記載の視野角制御体の製造方法。
  10. 画像表示体と、前記画像表示体の画像表示面に設けられた請求項1~のいずれか一項に記載の視野角制御体とを備える、視野角制御画像表示体。
  11. 前記画像表示体に秘匿情報が表示され、前記秘匿情報が表示される領域に前記視野角制御体の中央領域が重ねられている、請求項10に記載の視野角制御画像表示体。
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