JP2006337837A - 光射出方向制御フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光透過帯11と遮光帯12とが交互に配されている防眩層10を備えており、遮光帯12のピッチが100μm以下である光射出方向制御フィルム1。
【選択図】 図1
Description
本発明者等の知見では、例えば一画素のサイズが300μmである標準的な液晶画面上に、従来のルーバーを備えた光射出方向制御フィルム(遮光帯のピッチが120〜200μm程度)を配する場合、モアレ縞の発生を防止するためには、ルーバーが延びる方向を、表示画面における画素の並び方向に対して20°以上傾けることが好ましいが、この傾きが15°以上になると画像のゆがみが顕著に認識される。
前記遮光帯の幅が7μm以下であることが好ましい。
前記防眩層の厚さが200μm以下であることが好ましい。
図1、2は本発明の光射出方向制御フィルムの第一の実施形態を示したもので、図1は斜視図、図2は図1中のII−II線に沿う断面図である。なお、図面は覗き見防止体の一部を拡大して模式的に示している。
本実施形態の光射出方向制御フィルム1は、光透過帯11と遮光帯12とが交互に配されている防眩層10と、該防眩層10の表面上の全面に設けられた第1の透明保護層13と、該防眩層10の裏面上の全面に設けられた第2の透明保護層14とからなっている。
光射出方向制御フィルム1の全体の平面形状は、例えば矩形であるが、適用する表示画面の形状に応じて適宜変更できる。
本実施形態における遮光帯12のピッチPは、Y方向における光透過帯11の幅W1と遮光帯12の幅W2の合計値となる。
なお、本発明における「光線透過率」の値は、光源としてJIS Z 8720に規定されるD65を用い、光源から出射された検査光の強度を受光センサーで測定する装置において、前記検査光の光路上に被測定物が無い状態での受光センサーの出力値をA、検査光の光路上に被測定物をセットし、被測定物を透過した透過光が受光センサーで受光される状態での出力値をBとするとき、光線透過率=(B/A)×100(単位;%)で求められる値とする。
防眩層10において、光透過帯11をなしている樹脂材料と、遮光帯12の基材としての樹脂材料とは同じであってもよく、異なっていてもよいが、光透過帯11と遮光帯12との接着性の点からは両者が同じであることが好ましい。
また、遮光帯12の色調は、防眩層10(光射出方向制御フィルム1)を見たときに認識される色調を構成するので意匠性も考慮して設計することが好ましい。
遮光帯12のZ方向における幅W2が、例えば7μm以下と小さくても良好な遮光性を得るために、着色剤として、特にカーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックの添加量は、樹脂基材100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。カーボンブラックの添加量が上記範囲より少ないと十分な遮光性が得られず、上記範囲を超えると加工性の悪化が著しくなる。
光射出方向制御フィルム1における遮光帯12のピッチPが、表示画面における画素サイズ(画素を区切っているブラックマトリクスのピッチ)と同程度である場合、遮光帯12が延びる方向(X)方向を、ブラックマトリクスが延びる方向に対して大きく傾けないとモアレ縞が認識されてしまう。遮光帯12のピッチPを、画素サイズ(画素を区切っているブラックマトリクスのピッチ)の1/3以下とすれば、遮光帯12が延びる方向(X方向)の、ブラックマトリクスが延びる方向に対する傾きが15°未満と小さくても、モアレ縞を防止することができる。
例えばカーナビゲーションシステムのモニター画面として標準的な、一画素のサイズが300μmである液晶表示画面に適用される光射出方向制御フィルム1の場合は、遮光帯12のピッチPが100μm以下であれば、遮光帯12が延びる方向(X方向)の、液晶表示画面においてブラックマトリクスが延びる方向に対する傾きが15°未満の範囲で、モアレ縞の発生を防止することができる。
一画素のサイズが300μmよりも小さい場合は、それに応じて遮光帯12のピッチPをさらに小さく設計する。
遮光帯12の幅W2は小さいほど好ましいが、製造上の限界から下限値は1μm程度である。
X方向に垂直な面(Y−Z面、図2における紙面)内における視野角θは、防眩層10の厚さTとY方向における光透過帯11の幅W1によって決まる。防眩層10の厚さTが小さいほど視野角θは大きくなり、光透過帯11の幅W1が大きいほど視野角θは大きくなる。
したがって、防眩層10の厚さは、遮光帯12のピッチPと遮光帯12の幅W2の好ましい範囲をも考慮して、所望の視野角θが得られるように設計することが好ましい。
例えば、遮光帯12のピッチPが100μmで、遮光帯12の幅W2が7μmの場合に、防眩層10の厚さTが200μm以下であれば90°以上の視野角θが得られる。
防眩層10の厚さTの下限値は、好ましい視野角θの範囲を考慮して設定される。
光射出方向制御フィルムにおける視野角θは、小さ過ぎると表示画面を見づらくなり、大きすぎると、表示画面への外光の入射を防止する機能や、表示画面の画像が他のガラス等へ映り込むのを防止する機能が低下する。一般的に、光射出方向制御フィルムにおける好ましい視野角θの範囲は45〜90°程度が好ましく、より好ましくは60〜80°である。
特に遮光帯12の構成材料からなる第2のシートを、W2が例えば7μm以下の薄さで形成する方法の例としては、遮光帯12の構成材料を適宜の溶剤に溶かして液状とし、これを、別途用意したプラスチック基材上に塗布し、乾燥して薄膜状のシートに成形する方法が好ましい。このようにして得られた薄膜状の第2のシートを、前記第1のシート上に転写する方法で、第1のシートと第2のシートとを交互に積層させる。
従来のカレンダ成形による方法では、シートの膜厚を15μm程度までしか薄くすることができなかったが、上記の方法によれば1μm程度の薄さにまで成形することが可能である。
光射出方向制御フィルム1において、第1の透明保護層13および第2の透明保護層14それぞれを構成している樹脂材料、および光透過帯11をなしている樹脂材料は、互いに同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。第1の透明保護層13および第2の透明保護層14の材料は、透明性と耐熱性の点からポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、シクロオレフィンポリマー)、セルロース系樹脂が好ましく、中でもポリカーボネート、およびポリエステル樹脂がより好ましい。
第1の透明保護層13のZ方向における厚さは、薄すぎると十分な保護機能が得られず、厚いほど光線透過率が低下するので、0.01〜0.5mm程度が好ましく、0.1〜0.2mm程度がより好ましい。
第2の透明保護層14のZ方向における厚さは、薄すぎると取り扱い性が悪く、光射出方向制御フィルム1の製造時の作業性に問題が生じる。また、厚いほど光線透過率が低下するので、0.01〜0.5mm程度が好ましく、0.1〜0.2mm程度がより好ましい。
例えば、防眩層10の表面に接着剤を塗布し、第1の透明保護層13の材料からなるシートを貼り合わせた後、接着剤を硬化させる方法でもよい。第2の透明保護層14も同様にして防眩層10の裏面に接着一体化することができ、これにより光射出方向制御フィルム1が得られる。
このとき用いる接着剤は硬化後における光線透過率が高いものが好ましい。具体的には、硬化後の接着剤層の単体における光線透率が65%以上であるものが好ましく、80%以上がより好ましい。
かかる接着剤としては、硬化後に透明性を有する、熱硬化型接着剤、多液反応型接着剤、紫外線硬化型接着剤等が挙げられ、具体的にはエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メラミン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等を好適に用いることができる。
また、遮光帯12の幅W2を上記の範囲に小さく形成することができるので、遮光帯12のピッチを小さく抑えつつ、光透過帯11の幅W1と遮光帯12の幅W2の比(W1/W2)を大きくして防眩層10における光の透過率を大きくできる。
また防眩層10の厚さTを上記の範囲に小さく形成することができるので、遮光帯12のピッチを小さく抑えつつ、所望の大きさの視野角θを達成することができる。
したがって、本実施形態の光射出方向制御フィルム1によれば、画像のゆがみを生じることなく、モアレ縞の発生を防止できるとともに、視野角を適切な範囲に制御して、表示画面の良好な視認性を確保しつつ、画像の映り込みや、外光が表示画面に当たることによる画像視認性の低下を防止することができる。
上記実施形態の変形例として、図示していないが、第1の透明保護層14と反対側の最外層として粘着層を設けてもよい。この場合、第2の透明保護層14を設けず、防眩層10の裏面上の全面に直接粘着層を設けることができる。
該粘着層の材料としては、表示画面に対して再剥離可能に接着できる程度の粘着力を有するものであればよく、透明性が高いものが好ましい。また表示画面から剥離したときに糊残りが少ないものが好ましい。例えば、粘着層は再剥離可能な粘着剤として市販されている材料からなる層や、エラストマー(低架橋密度品のゲル状物質を含む)からなり表面(表示画面との接着面)を鏡面加工した層であることが好ましい。前記再剥離可能な粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。前記エラストマーの具体例としては、シリコーンゴム、シリコーンゲル、ウレタンゴム、ウレタンゲル等が挙げられる。これらの中でも、糊残りが少なく、透明性が高い点でシリコーンゴムが特に好ましい。
本例のように、光射出方向制御フィルム1の裏面に粘着層を設ける場合には、該粘着層と光射出方向制御フィルム1との積層物における光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
(実施例1)
図1,2に示す構成の光射出方向制御フィルム1を製造した。
まず、光透過帯11として透明シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE153U)からなる厚さが75μmの第1のシートを用意した。
これとは別に、遮光帯12として透明シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE153U)にカーボンブラックを添加した黒色材料からなる厚さが5μmの第2のシートを用意した。該第2のシートの作製は以下の方法で行った。まず芳香族系溶剤に上記透明シリコーンゴム100質量部と、カーボンブラック10質量部を溶解させて塗布液を調製した。この塗布液をシート状基材の上に塗布した後、乾燥させることによって、膜厚5μmの黒色層を形成した。この黒色層を第2のシートとして用いた。
次いで、該ブロック体をシート表面に垂直な切断面で、厚さ180μmにスライスすることにより防眩層10を作製した。
続いて、得られた防眩層10の両面に熱硬化型接着剤(信越化学工業社製、商品名;KE1825)を塗布した厚さ100μmのポリカーボネートシート(第1および第2の透明保護層13,14)を貼り合わせ熱硬化させることにより、光射出方向制御フィルム1を作製した。
本実施例の光射出方向制御フィルム1ついて、測定角度を変化させながら、すなわち図1,2のY−Z平面内においてZ方向と受光器の光軸とのなす角度を変化させながら、光線透過率を測定した。その結果を図3に実線で示す。この図の結果に示されるように、本実施例の光射出方向制御フィルム1の視野角θは80°であり、Z方向における光線透過率は79%であった。
本実施例の光射出方向制御フィルム1を、一画素のサイズが300μmである液晶表示画面上に、観察者が表示画面をみたときの画面内における水平方向(ブラックマトリクスの延長方向)と図1,2のX方向とのなす角度が10°となるように貼り付けた。画面を目視にて観察したところ、モアレ縞の発生は見られず、画像のゆがみも生じなかった。
実施例1において、遮光帯12の幅を変更して光射出方向制御フィルム1を製造した。
すなわち、第2のシートをカレンダ成形により作製し、その厚さを15μmとした意外は実施例1と同様にして光射出方向制御フィルム1を作製した。
本実施例の光射出方向制御フィルム1を、実施例1と同様に一画素のサイズが300μmである液晶表示画面上に、観察者が表示画面をみたときの画面内における水平方向(ブラックマトリクスの延長方向)と図1,2のX方向とのなす角度が10°となるように貼り付けた。画面を目視にて観察したところ、モアレ縞の発生は見られず、画像のゆがみも生じなかった。
10 防眩層
11 光透過帯
12 遮光帯
Claims (3)
- 光透過帯と遮光帯とが交互に配されている防眩層を備えた光射出方向制御フィルムであって、
前記遮光帯のピッチが100μm以下であることを特徴とする光射出方向制御フィルム。 - 前記遮光帯の幅が7μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光射出方向制御フィルム。
- 前記防眩層の厚さが200μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光射出方向制御フィルム。
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