JP2019059904A - 合わせガラス用光学フィルム及びそれを用いた合わせガラス - Google Patents

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公彦 金野
Kimihiko Konno
公彦 金野
大谷 紀昭
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Abstract

【課題】表示像が明るいウインドシールド型ヘッドアップディスプレイに適用可能な合わせガラスを提供する。【解決手段】本発明の合わせガラスは、第1のガラス基板と、第1の中間膜と、コレステリック液晶膜と、第2の中間膜と、第2のガラス基板とをこの順に有する合わせガラスであって、波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長400〜680nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ウインドシールド用合わせガラスであって、情報表示パネルとしても用いることができる合わせガラス及びそれに用いる合わせガラス用光学フィルムに関する。
自動車の安全運転支援システムの拡大に伴い、運転中に少ない視線移動ですばやく各種情報をキャッチし、安全運転を支援する目的でヘッドアップディスプレイシステムの自動車への搭載が加速されている。
自動車のヘッドアップディスプレイ(HUD)システムでは、情報をプロジェクターの光でフロントガラスに投影し、ウインドシールドガラスからの反射光がドライバーの目に入り、その情報をドライバーが認識することになる。ところで、プロジェクターの投影光は、フロントガラスの車室内面側、また車室外面側と、2か所で反射するため、その反射光が同じ視線上になければ反射像はいわゆるゴーストを生じることになる。このような、ゴーストをなくすため、自動車のウインドシールドガラスは、その端面上部の厚みが、下部より厚い、いわゆるくさび形状の合わせガラスを用いることが行われる (たとえば特許文献1)。
このような、くさび形のウインドシールガラスを用いると、ゴーストは低減されるが、投影像の輝度は低いという課題は残っていた。輝度向上のため、特定波長を反射するコレステリック液晶を用いたハーフミラー層を設けた光学フィルムまたは光反射層を合わせガラス中に含めて、反射像を見やすくすることが提案されている(特許文献2、3)。
また、ゴーストをなくすためには、くさび形の合わせガラスの中間膜に挟み込むことが提案されている(特許文献2)。さらに、近赤外領域に反射ピークを有するフィルムを組み合わせて、自動車用HUDで反射光の色調補正、あるいは車内の温度上昇抑制することを提案している(特許文献3)。
ところで、光学フィルム、光反射層は、コレステリック液晶を複数層重ねて、可視波長領域の全領域で光反射をするようにしている。このため、製造工程が煩雑となり、生産効率の点で改善が必要であった(特許文献2,3)。
製造工程を単純化するには、コレステリック液晶膜の反射域を可視光領域を含むように、広帯域化すればよい。反射域の広帯域化には以下の3つの手段が公知となっている(非特許文献4)。
1)2種のピッチの液晶フィルムを重ねあわせてアニール処理する。
2)光反応性キラル剤を用いて、液晶膜内で光反応によりピッチを変化させる。
3)2官能の重合性液晶化合物と単官能の重合性キラル剤を光反応させる。
また、上記3)の方法に類する方法として。単官能の重合性液晶と2官能の重合性キラル剤を光反応させる方法が提案されている(特許文献5)。
しかしながら、これらの方法では、1)は製造工程が複雑であること、2)は材料入手が難しいこと、また3)は反射域の広帯域化と同時に、近赤外領域に反射ピークを有するコレステリック液晶膜を同時に作製することは難しいとわかった。
: 特開平2−279437号公報 : 特開2016−153281号公報 : 特開2016−216039号公報 :Y. Harada, et al, J. Mater. Chem. C, 2015, 3, 3790. : 特許第4008358号
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、特定の入射角、反射角でも可視光領域の全域と近赤外線領域を反射する単層のコレステリック液晶膜、前記コレステリック液晶膜を有する光学フィルム、光学フィルムの製造方法、前記光学フィルムを用いた合わせガラス、及び、本発明のコレステリック液晶膜を提供するための組成物を提供することを目的とする。
本発明の組成物は、少なくとも2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに紫外線重合開始剤を含む組成物であって、
前記組成物は、
前記2官能重合性キラル化合物を、前記2官能重合性液晶化合物と前記2官能重合性キラル化合物の合計量を100部とした時、0.5〜5部含み、
前記融点50〜110℃の単官能重合性化合物を、前記2官能重合性液晶化合物と前記 2官能重合性キラル化合物との合計量を100部とした時、1〜50部含み、
紫外線重合開始剤を、前記2官能重合性液晶化合物、前記2官能重合性キラル化合物及び前記融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の総量100部に対して、0.001〜1.0部含むことを特徴とする組成物である。
本発明のコレステリック液晶膜を有する光学フィルムの製造方法は、
少なくとも2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに紫外線重合開始剤を含む組成物を作製する組成物作製工程、
前記組成物を透明基材上に塗布する塗布工程、
乾燥により前記透明基材上にコレステリック液晶膜を形成する液晶膜形成工程、
80〜120℃に加温しながら、照度0.5〜5mW/cm2の紫外線に2分以上さらす加温、低照度紫外線照射工程を含むことを特徴とする製造方法である。
更に本発明のコレステリック液晶膜付き光学フィルムは、
透明基材上にコレステリック液晶膜を有する光学フィルムであって、
前記光学フィルムは、
波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ
波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ
波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする光学フィルムである。
更に本発明の合わせガラスは、
第1のガラス基板、第1の中間膜、コレステリック液晶膜、第2の中間膜、第2のガラス基板とをこの順に有する合わせガラスであって、
波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする合わせガラスである。
また本発明の合わせガラスは、
前記合わせガラス面の垂直面に対して、投影光の入射角をθとした場合、入射角θ、反射角θで測定した反射スペクトルにおいて、
波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする請求項7に記載の合わせガラスである。
また本発明の合わせガラスは、
第1のガラス基板、第1の中間膜、光学フィルム、第2の中間膜、第2のガラス基板とをこの順に有する合わせガラスであって、
波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする合わせガラスである。
ところで、コレステリック液晶膜の反射スペクトルは角度依存性があると知られている。自動車のウインドシールドは車体に対し鉛直でなく傾けて設けられていることが多く、このため合わせガラスに入射する投影光の入射角度に合わせて、キラル化合物の添加量を調整して、その反射スペクトルを調整することが行われている(特許文献2、3)。ここで、いうまでもなく本発明の単層コレステリック液晶膜の反射スペクトルも角度依存性がある。すなわち、本発明で示す特性はHUDの投影光の入射角に応じた特性にすることが肝要である。一例として、投影光の入射角が60°の自動車のウインドシールドに本発明を適応する場合、入射角60°、反射角60°で測定した反射スペクトルにおいて、波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することが必要となる。
本発明のコレステリック液晶膜及び光学フィルムは、可視光領域のほぼ全域を反射し、また、近赤外線を反射する特徴を単層で示す。このような特徴を有するコレステリック液晶膜及び光学フィルムに、プロジェクターで像を投影した場合、その像は明るくなり、視認性が向上する。
また、本発明のコレステリック液晶膜及び光学フィルムを自動車用フロントガラスに貼り付ける、あるいはフロントガラス用合わせガラスに挟み、HUDシステムのスクリーンとして用いた場合、像は明るくなり、車内の温度上昇を抑制できる。
また、上記のコレステリック液晶膜及び光学フィルムに用いる組成物、光学フィルムの製造方法を提供する。
本発明の実施例1の反射スペクトルを示す図である。 比較例1、比較例2、比較例3の反射スペクトルを示す図である。 本発明の実施例2、実施例3、実施例4の反射スペクトルを示す図である。 比較例4、比較例5、比較例6の反射スペクトルを示す図である。
<組成物、コレステリック液晶膜及び光学フィルム>
本発明の組成物は、
少なくとも2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに紫外線重合開始剤を含む組成物であって、
前記組成物は、
前記2官能重合性キラル化合物を、前記2官能重合性液晶化合物と前記2官能重合性キラル化合物の合計量を100部とした時、0.5〜5部含み、
前記融点50〜110℃の単官能重合性化合物を、前記2官能重合性液晶化合物と前記 2官能重合性キラル化合物との合計量を100部とした時、1〜50部含み、
紫外線重合開始剤を、前記2官能重合性液晶化合物、前記2官能重合性キラル化合物及び前記融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の総量100部に対して、0.001〜1.0部含むことを特徴とする組成物である[請求項1]
本発明の発明者は、2官能重合性液晶化合物と2官能重合性キラル化合物に更に、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物を添加した組成物を用いて形成したコレステリック液晶膜、及びコレステリック液晶膜を有する光学フィルムは、単官能重合性化合物を含めないものと比較し、その反射ピークが長波長側に移動することを見出した。この現象について次のように推測、検討した。
即ち、単官能重合性化合物を添加すると、反射ピークが長波長側に移動する原因は、キラル剤の効果が抑制されたためと考えた。したがって、コレステリック液晶膜の厚み方向で、単官能重合性化合物の濃度に傾斜を持たせることができれば、反射域が拡大すると推察した。そして、単官能重合性化合物の濃度に傾斜を持たせる条件を検討し、本発明に至った。
ここで、「融点が50〜110℃の単官能重合性化合物」を「単官能重合性化合物」と記載することもある。また、「コレステリック液晶膜を有する光学フィルム」を単に「光学フィルム」と記載することもある。
硬化後のコレステリック液晶膜の反射波長は、基本的に2官能重合性液晶化合物と2官能重合性キラル化合物との比率により決まる。この反射波長は400nm以上にあることが好ましい。2官能重合性キラル化合物の量は、2官能重合性液晶化合物と前記2官能重合性キラル化合物の合計量を100部とした時、0.5〜5部であることが好ましく、1.5部〜5部がより好ましい。0.5部より少ない場合、波長が400nm以上の可視光領域の反射率が向上しにくくなる。また、5部より多い場合、近赤外領域のピークが680nmより短波長域に現れ、近赤外領域の反射率が低下する。
融点50〜110℃の単官能重合性化合物は、2官能重合性液晶化合物と2官能重合性キラル化合物との合計量を100部として、1〜50部添加することが好ましく、5部〜25部がより好ましい。1部より少ない場合、この組成物を用いて作製したコレステリック液晶膜の可視光領域の反射帯域がブロードにならず、50部より多いと反射率が低下する。この結果、プロジェクターで像を投影した場合視認性が低下する。また、HUDシステムのスクリーンとして用いた場合、像の視認性が低下する。
紫外線重合開始剤は、2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の総量100部に対して、0.001〜1.0部添加することが好ましく、0.01〜0.5部がより好ましい。0.001部より少ないと組成物の硬化が進まず、1.0部より多いと、本発明の組成物を用いて作製したコレステリック液晶膜の可視域(波長400〜660nm)に広帯域の反射特性が現れない。この結果、プロジェクターで像を投影した場合視認性が低下する。また、HUDシステムのスクリーンとして用いた場合、像の視認性が低下する。
本発明の組成物には溶剤を用いることができる。その溶剤として、、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が使用できる。これらの溶剤は、単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。この場合、2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに紫外線重合開始剤を含む全固形分が、溶剤と全固形分の合計量を100部としたとき、10〜40部含むことが好ましく、10〜25部含むことが更に好ましい[請求項2]。この範囲とすることでコレステリック液晶膜を塗布する際の厚みを容易に設定できる。溶剤が10部より少ないとコレステリック液晶膜の厚さが薄くなり、40部より多いと厚くなりやすい。
本発明のコレステリック液晶膜を作製するために用いる組成物は従来公知の材料からなる。すなわち、本発明は、2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点50〜110℃の単官能重合性化合物および紫外線重合開始剤を含む組成物である。
2官能重合性液晶化合物としては、例えば、「液晶の基礎と応用」(松本正一、角田市良 共著;(株)工業調査会)第8章に記載されているような公知の化合物を用いることができる。重合性液晶化合物は、例えば、WO95/22586号パンフレット、特開2000−281629号公報、特開2001−233837号公報、特表2001−519317号公報、特表2002−533742号公報、特開2002−308832号公報、特開2002−265421号公報、特開2005−309255号公報、特開2005−263789号公報、特開2008−291218号公報、特開2008−242349号公報、WO2009/133290号パンフレット等に記載の2官能化合物を挙げることができる。また、市販品を用いることができ、例えば、ADEKA社製の商品名「PLC7700」、DIC社製の商品名「UCL−017A」、BASF社製の商品名「PALIOCOLOR LC242」などが挙げられる。
2官能重合性キラル剤化合物は、上記液晶化合物との相溶性が良好で、かつ、溶剤に溶解可能なものであれば、特に構造についての制限はなく、従来の重合性官能基を有するキラル剤のうち2官能タイプを用いることができる。
上記キラル剤の具体例としては、例えば、WO98/00428号パンフレット、特表平9−506088号公報、特表平10−509726号公報、特開2000−44451号公報、特表2000−506873号公報、特開2003−66214号公報、特開2003−313187号公報、米国特許第6468444号明細書等に記載の2官能化合物を挙げることができる。また、このようなキラル剤としては、市販品を用いることができ、例えば、メルク社製の商品名「S101」、「R811」、「CB15」;BASF社製の商品名「PALIOCOLOR LC756」;ADEKA社製の商品名「CNL715」、「CNL716」等が挙げられる。
単官能重合性化合物は、コレステリック液晶膜の光学特性の点で融点が50〜110℃の化合物が好ましい。融点が50℃より低い場合、硬化処理時に液晶相でなく均一相に至るためか、反射率が低くなる。また、融点が110℃より高い場合、硬化処理時に膜内で重合性化合物が動きにくくなるためか、可視光領域の反射特性が低くなる。例えばADEKA社製の商品名「PLC8100」などを用いることができる。
さらに、紫外線重合開始剤を含める。紫外線重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤が挙げられる。上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等の芳香族ケトン系開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系開始剤;ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール系開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;ベンジル等のベンジル系開始剤;ベンゾイン等のベンゾイン系開始剤;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等のα−ケトール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;カンファーキノン系化合物;ハロゲン化ケトン系化合物;アシルホスフィノキシド系化合物;アシルホスフォナート系化合物等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、市販の光重合開始剤を用いることもでき、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュア(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、イルガキュア(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1)、イルガキュア(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)、イルガキュア(登録商標)907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、イルガキュア(登録商標)500、イルガキュア(登録商標)1000、イルガキュア(登録商標)1700、イルガキュア(登録商標)1800、イルガキュア(登録商標)1850;メルク社製のダロキュア(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン);旭電化工業社製のN−1717;黒金化成社製の2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物には、イソシアネート基を含む化合物を含めてもよい。イソシアネート基を有する化合物を含むことにより、この組成物を用いて作製したコレステリック液晶膜の樹脂フィルムに対する接着性を向上できる。特に、コレステリック液晶膜のPVB(ボリビニルブチラール)を含む樹脂フィルムに対する接着性を向上できる。
イソシアネート基を有する化合物は、コレステリック液晶膜の配向性が乱れない量で添加される。具体的には、イソシアネート基を有する化合物の含有量は、2官能性重合性液晶化合物、2官能重合性キラル剤、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の合計100質量部に対して7質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。また、上記含有量は、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上である。上記含有量とすることで、接着性に優れたコレステリック液晶膜を実現できる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネート化合物及びこれらジイソシアネート化合物の少なくとも一種と多価アルコールとからなるポリイソシアネート化合物、また、これらのジイソシアネート化合物の少なくとも一種から誘導されるイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート化合物等が挙げられる。また、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート等の単官能イソシアネート化合物を用いてもよい。このようなイソシアネート基を含む化合物には、例えば、信越化学工業社製の商品名「KBE9007」、昭和電工社製の商品名「カレンズMOI」、「カレンズAOI」、「カレンズMOI−EG」、東ソー社製の商品名「コロネートL」、「コロネートHL」、「コロネートHX」、「ミリオネートMR−100」等が挙げられる。
イソシアネート基を含む化合物を含む組成物を用いて作製したコレステリック液晶膜をガラス基板に貼り合わせて用いる場合、コレステリック液晶膜の着色を防止するため、特に芳香族環を含まないイソシアネート基を含む化合物、いわゆる無黄変タイプの化合物を用いることが好ましい。
また、本発明の組成物には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、この組成物を用いて作製したコレステリック液晶膜の透明性を向上させることができる。
界面活性剤としては、上記液晶化合物、キラル剤などとの相溶性が良好で、コレステリック液晶膜の配向性を乱さないものであれば、適宜使用可能である。例えば、アクリル系、フッ素系、シリコン系等の化合物が挙げられる。具体的には、ビックケミー社製の表面調整剤:商品名「BYK−UV3500」、「UV3510」、「BYK−350」、「BYK−352」、「BYK−361N」、「BYK−340」、EVONIK社製の商品名「TEGO RAD−2100」、「TEGO RAD−2010」、「TEGO RAD−2011」、ネオス社製の商品名「フタージェント251」、「フタージェント222F」、「フタージェント208G」、「フタージェント228P」等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、コレステリック液晶膜の配向性が乱れない量で添加される。具体的には、上記界面活性剤の含有量は、上記液晶化合物と上記キラル剤との合計100質量部に対して1.0質量部以下であればよいが、好ましくは0.5質量部以下である。また、上記含有量は、0.005質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上である。上記含有量とすることで、透明性に優れたコレステリック液晶膜を実現できる。
また、本発明の組成物には、多官能アクリレート化合物及び多官能チオール化合物を含ませてもよい。これらの化合物を含ませることにより、この組成物を用いて作製したコレステリック液晶膜の基材に対する密着性を向上できるとともに、コレステリック液晶膜の耐熱性を向上できる。
<コレステリック液晶膜を有する光学フィルムの製造方法>
少なくとも2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、紫外線重合開始剤を含む組成物を作製する組成物作製工程、
前記組成物を透明基材上に塗布する塗布工程、
乾燥により前記透明基材上にコレステリック液晶膜を形成する液晶膜形成工程、
80〜120℃に加温しながら、照度0.5〜5mW/cm2の紫外線に2分以上さらす加温、低照度紫外線照射工程により、
コレステリック液晶膜を前記透明基材上に形成する、光学フィルムの製造方法である。
この製造方法により、波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有するコレステリック液晶膜付き光学フィルムが得られる。
本発明者らは、新たな反射波長の広帯域化の手段を検討したところ、2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル剤、融点50〜110℃の単官能重合性化合物及び紫外線重合開始剤を含む組成物を作製し[組成物作製工程]、この組成物を透明基材上に塗布し[塗布工程]、乾燥により透明基材上にコレステリック液晶膜を形成し[液晶膜形成工程]、80〜120℃に加温しながら、照度0.5〜5mW/cm2の紫外線に2分以上さらすこと[加温、低照度紫外線照射工程]により、可視光領域を反射し、近赤外領域に反射ピークを有する固定化されたコレステリック液晶膜を得られることがわかった。特に加温、低照度紫外線照射工程では、加温しながらブラックライトなどを用いて照度0.5〜5mW/cm2の紫外線で硬化処理すれば、可視光領域を反射し、近赤外領域に反射ピークを有するコレステリック液晶膜が得られる。
すなわち、本発明の組成物を80〜120℃に加温しながら、照度0.5〜5.0mW/cm2の紫外線を2分以上さらして、透明基材上にコレステリック液晶膜を形成することで、反射波長が広帯域化できることが分かった。
また、照度0.5〜5.0mW/cm2の紫外線に2分以上さらした後、更に200mJ/cm2以上の紫外線を照射すること[第2紫外線照射工程]が好ましい。これにより更にコレステリック液晶膜の機械特性を改善することができる。[請求項4]。紫外線照射は、照度の大きい紫外線照射装置を用いることが好ましい。
ところで、加温、低照度紫外線照射工程では、緩慢に重合反応が進行する。この反応を阻害しないように酸素フリーの雰囲気で紫外線照射することが好ましい。ここで酸素フリーとは、酸素濃度5%未満の雰囲気とすることが好ましい。このため、窒素など不活性気体を充満あるいは流して酸素濃度を5%未満にした雰囲気中で加温、低照度紫外線照射する、あるいは液晶膜形成工程後に液晶膜上に紫外線を透過するフィルムを被せて加温低照度紫外線照射することが好ましい。
本組成物を80〜120℃に加温しながら、照度0.5〜5mW/cm2の紫外線に2分以上さらす加温、低照度紫外線照射工程により、本発明の反射特性のコレステリック液晶膜が作製されるメカニズムは次のように考えられる。非特許文献4における2官能重合性液晶化合物と単官能重合性キラル剤との反応メカニズムと同様に、2官能重合性液晶化合物と融点が50〜110℃の単官能重合性化合物との反応速度に差が生じ、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物が紫外線照射面から追い出され、結果として膜内で融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の分布が厚み方向で均一にならず、膜厚方向に濃度勾配を生じる。その結果、波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上、440〜660nmの反射率が15〜30%以上のピークを有し、かつ680〜1000nmの反射率が20〜50%のピークを有するコレステリック液晶膜、及びこの液晶膜を用いた光学フィルムが得られたと考えられる。
従って本願の光学フィルムの製造方法によれば、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物が膜厚方向で濃度勾配を生じさせることで、コレステリック液晶膜を多層に積層することなく、1層で可視光領域の全域と近赤外線領域を反射することができる。
従来の硬化条件、10mW/cm2以上の紫外線を照射すると、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物が膜内を移動する時間がなく硬化が進むので、膜厚方向で融点が50〜110℃の単官能重合性化合物に濃度勾配が生じず、結果、波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上、440〜660nmの反射率が15〜30%以上のピークを有し、680〜1000nmの反射率が20〜50%のピークを有するコレステリック液晶膜は得られない。
本発明の光学フィルムを構成する透明基材としては、透光性を有する材料で形成されていれば特に限定されない。上記透明基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、セルロース系樹脂(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、ノルボルネン系樹脂等の樹脂を、フィルム状又はシート状に加工したものを用いることができる。上記樹脂をフィルム状又はシート状に加工する方法としては、押し出し成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法、上記樹脂を溶剤に溶解させてキャスティングする方法等が挙げられる。上記樹脂には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤を添加してもよい。上記透明基材の厚みは、例えば、10〜500μmとすればよい。
<コレステリック液晶膜を有する光学フィルム>
本発明のコレステリック液晶膜、及びコレステリック液晶膜を有する光学フィルムは、波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。
このコレステリック液晶膜、及び光学フィルムを自動車用HUDに用いた場合、ほぼ可視光領域の全体を反射するので、投影像の反射率が向上し、視認性が向上する。また、波長680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有し、近赤外線を反射する特性を有するので、車内の温度上昇を抑制することができる。
コレステリック液晶膜の厚みは2〜10μmが好ましい。このようなコレステリック液晶膜を有する光学フィルムは、可視光領域のほぼ全域を反射し、また、近赤外線を反射する特性を示す。
<合わせガラス>
本発明の合わせガラスは、第1のガラス基板と、第1の中間膜と、コレステリック液晶膜と、第2の中間膜と、第2のガラス基板とをこの順に備える。コレステリック液晶膜として、前述の本発明のコレステリック液晶膜を用いる。
このような合わせガラスを自動車用HUDに用いた場合、ほぼ可視光領域の全体を反射するので、投影像の反射率が向上し、視認性が向上する。また、波長680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有し、近赤外線を反射する特性を有するので、車内の温度上昇を抑制することができる。
自動車用HUDに用いた場合、本発明の合わせガラスの特性は、コレステリック液晶の反射特性に角度依存性があるので、投影光の入射角に応じて調整することが好ましい。
すなわち、合わせガラス面の垂直面に対して投影光の入射角がθの場合、本発明は、第1のガラス基板と、第1の中間膜と、コレステリック液晶膜と、第2の中間膜と、第2のガラス基板とをこの順に有する合わせガラスであって、
入射角θ、反射角θで測定した反射スペクトルにおいて、
波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。ここで、入射角、反射角とは合わせガラス面の垂直面に対する角度である。
更に本発明の合わせガラスは、第1のガラス基板と、第1の中間膜と、光学フィルムと、第2の中間膜と、第2のガラス基板とをこの順に備える。光学フィルムは、透明基材上に本発明のコレステリック液晶膜を有するものを用いる。
このような合わせガラスを自動車用HUDに用いた場合、ほぼ可視光領域の全体を反射するので、投影像の反射率が向上し、視認性が向上する。また、波長680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有し、近赤外線を反射する特性を有するので、車内の温度上昇を抑制することができる。
コレステリック液晶膜或いは光学フィルムと中間膜との接着性を改善するため、コレステリック液晶膜にはイソシアネート基を含む化合物を含めてもよい。また、本発明の合わせガラスは波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有することから、投影情報の輝度が向上する。
さらに、本発明の合わせガラスを形成するためにくさび形の中間膜を用いると、合わせガラスもくさび形となり、本発明のコレステリック液晶膜或いは光学フィルムに投影する像にゴーストが現れにくい。この結果、投影情報にゴーストがなく、輝度が高く、かつ耐衝撃性の高いウインドシールド型ヘッドアップディスプレイに適用可能な合わせガラスを実現できる。
くさび形の中間膜は、透明樹脂から形成されている。上記中間膜は、2枚のガラス基板を接合させる接着層として機能する。従って、上記中間膜を形成する透明樹脂は、接着性を有していれば特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂等を用いることができる。特に、くさび形状に加工したものを用いることが好ましい。このようなくさび形状への加工は、例えば特許文献1に記載の方法などにより行うことができる。
また、上記中間膜には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤等の各種調整剤を含めることができる。 上記中間膜の厚さは特に限定されないが、透明性と合わせガラスにした際の耐貫通性を確保するためには例えば、0.05〜3mmとすればよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に指摘がない場合、下記において、「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
<コレステリック液晶膜の作製>
下記の材料を混合、攪拌して溶解した。
(1)2官能重合性液晶化合物
BASF社製 「Paliocolor LC242」 96.2部
(2)2官能重合性キラル化合物
BASF社製 「Paliocolor LC756」 3.8部
(3)単官能重合性化合物
ADEKA社製 「PLC8100」(融点:65℃) 5.0部
(4)紫外線重合開始剤
BASF社製 「イルガキュア907 」 0.03部
(5)界面活性剤
EVONIK社製 「TegoRad2100」 0.5部
(6)メチルイソブチルケトン 200部
(7)シクロヘキサノン 100部
上記(1)〜(5)の材料を(6)、(7)の混合溶剤に溶解後、孔径1μmのガラス繊維フィルタを通して組成物溶液を得た。
組成物溶液を基材であるPETフィルム(東洋紡績社製 「コスモシャイン A4100」 厚み50μm)にバーコーターを用いて塗布し、110℃で3分、乾燥した。得られた組成物表面にフィルム(中本パックス社製 離型層付きフィルム「NS−38+A」)を被せ、塗布したフィルムを105℃に加温しながら、ブラックライトを光源とし紫外線照度が0.5mW/cm2となるように調整して光量150mJ/cm2の紫外線を照射して5分間さらし、加温、低照度紫外線照射工程を行った。その後、高圧水銀灯を光源とし、光量250mJ/cm2の紫外線を照射して第2紫外線照射工程を経て、厚さ5.4μmのコレステリック液晶膜を有する実施例1の光学フィルムを得た。
(比較例1)
ブラックライトを光源とした加温、低照度紫外線照射工程を行わず、高圧水銀灯を用いて第2紫外線照射工程を2回とし、コレステリック液晶膜の厚さを4.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の光学フィルムを得た。
(比較例2)
加温、低照度紫外線照射工程において、塗布したフィルムを25℃に加温しながら紫外線を照射して5分間さらし、コレステリック液晶膜の厚さを4.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の光学フィルムを得た。
(比較例3)
組成物において、(1)2官能重合性液晶化合物、(2)2官能重合性キラル化合物及び(3)融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の総量105部に対して、(4)紫外線重合開始剤を1.50部使用し、コレステリック液晶膜の厚さを4.1μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の光学フィルムを得た。
実施例1、比較例1〜3の組成物の組成、コレステリック液晶膜、コレステリック液晶膜を有する光学フィル、ムの作製条件、特性を表1に纏めた。
Figure 2019059904
(実施例2)
<コレステリック液晶膜の作製>
下記の材料を混合、攪拌して溶解した。
(1)2官能重合性液晶化合物
BASF社製 「Paliocolor LC242」 96.2部
(2)2官能重合性キラル化合物
BASF社製 「Paliocolor LC756」 3.8部
(3)単官能重合性化合物
ADEKA社製 「PLC8100」(融点:65℃) 10.0部
(4)紫外線重合開始剤
BASF社製 「イルガキュア907 」 0.01部
(5)界面活性剤
EVONIK社製 「TegoRad2100」 0.5部
(6)メチルイソブチルケトン 300部
(7)シクロヘキサノン 100部
上記(1)〜(5)の材料を(6)、(7)の混合溶剤に溶解後、孔径1μmのガラス繊維フィルタを通して組成物溶液を得た。
組成物溶液を基材であるPETフィルム(東洋紡績社製 「コスモシャイン A4100」 厚み50μm)にバーコーターを用いて塗布し、110℃で3分、乾燥した。得られた組成物表面にフィルム(中本パックス社製 離型層付きフィルム「NS−38+A」)を被せ、塗布したフィルムを105℃に加温しながら、ブラックライトを光源とし紫外線照度が1mW/cm2となるように調整して光量300mJ/cm2の紫外線を照射して5分間さらし、加温、低照度紫外線照射工程を行った。その後、高圧水銀灯を光源とし、光量250mJ/cm2の紫外線を照射して第2紫外線照射工程を経て、厚さ4.5μmのコレステリック液晶膜を有する実施例2の光学フィルムを得た。
(実施例3)
(3)単官能重合性化合物を20.0部使用して組成物を作製した後、ブラックライトを光源とし紫外線照度が2mW/cm2となるように調整して光量600mJ/cm2の紫外線を照射する加温、低照度紫外線照射工程を行い、コレステリック液晶膜の厚さを4.8μmとした以外は実施例2と同様にして、実施例3の光学フィルムを得た。
(実施例4)
乾燥後のコレステリック液晶膜の厚さを約1/2の2.4μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4の光学フィルムを得た。
(比較例4)
(3)単官能重合性化合物を20.0部使用して組成物を作製した後、ブラックライトを光源とした加温、低照度紫外線照射工程を行わず、コレステリック液晶膜の厚さを3.6μmとした以外は実施例2と同様にして、比較例4の光学フィルムを得た。
(比較例5)
(3)単官能重合性化合物を20.0部使用して組成物を作製した後、この組成物を使用して乾燥後の厚さが約1/2の2.4μmと薄いコレステリック液晶膜を形成し、塗布したフィルムを125℃に加温しながら、ブラックライトを光源とし紫外線照度が1mW/cm2となるように調整して光量300mJ/cm2の紫外線を照射して5分間さらす加温、低照度紫外線照射工程を行ったこと以外は実施例2と同様にして、比較例5の光学フィルムを得た。
(比較例6)
(3)単官能重合性化合物を用いない(0.0部)組成物を用い、コレステリック液晶膜の厚さを4.1μmとしたこと以外は実施例2と同様にして、比較例6の光学フィルムを得た。
実施例2〜4、比較例4〜6の組成物の組成、コレステリック液晶膜、コレステリック液晶膜を有する光学フィル、ムの作製条件、特性を表2に纏めた。
Figure 2019059904



(実施例5)
<コレステリック液晶膜の作製>
下記の材料を混合、攪拌して溶解した。
(1)2官能重合性液晶化合物
BASF社製 「Paliocolor LC242」 96.2部
(2)2官能重合性キラル化合物
BASF社製 「Paliocolor LC756」 3.8部
(3)単官能重合性化合物
ADEKA社製 「PLC8100」(融点:65℃) 10.0部
(4)紫外線重合開始剤
BASF社製 「イルガキュア907 」 0.01部
(5)界面活性剤
EVONIK社製 「TegoRad2100」 0.5部
(6)メチルイソブチルケトン 300部
(7)シクロヘキサノン 100部
上記(1)〜(4)の材料を(5)、(6)の混合溶剤に溶解後、孔径1μmのガラス繊維フィルタを通して組成物溶液を得た。
組成物溶液を基材であるPETフィルム(東洋紡績社製 「コスモシャイン A4100」 厚み50μm)にバーコーターを用いて塗布し、110℃で3分、乾燥した。得られた組成物表面にフィルム(中本パックス社製 離型層付きフィルム「NS−38+A」)を被せ、塗布したフィルムを105℃に加温しながら、ブラックライトを光源とし紫外線照度が1mW/cm2となるように調整して光量300mJ/cm2の紫外線を照射して5分間さらし、加温、低照度紫外線照射工程を行った。その後、高圧水銀灯を光源とし、光量250mJ/cm2の紫外線を照射して第2紫外線照射工程を経て、厚さ5.9μmのコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを得た。
次にこのコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを使用して実施例5の合わせガラスを作製した。
<合わせガラスの作製>
まず、中間膜に用いるポリビニルブチラールフィルム(積水化学工業社製 「エスレックフィルム」 厚み0.38mm ポリビニルブチラール(PVB)フィルム)に、を2枚用意した。さらに、厚み2mmのフロートガラス板を2枚用意した。
次に、実施例5で作製したコレステリック液晶膜付き光学フィルムを前記2枚のPVBフィルムでくさび形形状となるようにして挟み込み、さらにPVBフィルムの両面に上記2枚のフロートガラスをそれぞれ重ね合わせて積層体を作製した。その後、この積層体をゴムバッグで包み、90℃に加熱したオートクレーブ中で10分間真空脱気して、上記積層体の各層を予備接着した。続いて、予備接着した積層体を室温まで冷却後、ゴムバッグから取り出し、再度、オートクレーブ中で135℃、12kg/cmの圧力下で30分間加熱・加圧し、実施例5の合わせガラスを作製した。
(実施例6)
(3)単官能重合性化合物を20.0部使用して組成物を作製した後、ブラックライトを光源とし紫外線照度が2mW/cm2となるように調整して光量600mJ/cm2の紫外線を照射する加温、低照度紫外線照射工程を行い、コレステリック液晶膜の厚さを6.3μmとした以外は実施例5と同様にして光学フィルムを得た。
次にこのコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを使用して実施例6の合わせガラスを作製した。
(実施例7)
乾燥後のコレステリック液晶膜の厚さを約1/2の3.2μmとしたこと以外は実施例6と同様にして光学フィルムを得た。
次にこのコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを使用して実施例7の合わせガラスを作製した。
(実施例8)
<コレステリック液晶膜の作製>
下記の材料を混合、攪拌して溶解した。
(1)2官能重合性液晶化合物
BASF社製 「Paliocolor LC242」 96.8部
(2)2官能重合性キラル化合物
BASF社製 「Paliocolor LC756」 3.2部
(3)単官能重合性化合物
ADEKA社製 「PLC8100」(融点:65℃) 10.0部
(4)紫外線重合開始剤
BASF社製 「イルガキュア907 」 0.01部
(5)界面活性剤
EVONIK社製 「TegoRad2100」 0.5部
(6)メチルイソブチルケトン 300部
(7)シクロヘキサノン 100部
上記(1)〜(4)の材料を(5)、(6)の混合溶剤に溶解後、孔径1μmのガラス繊維フィルタを通して組成物溶液を得た。
組成物溶液を基材であるPETフィルム(東洋紡績社製 「コスモシャイン A4100」 厚み50μm)にバーコーターを用いて塗布し、110℃で3分、乾燥した。得られた組成物表面にフィルム(中本パックス社製 離型層付きフィルム「NS−38+A」)を被せ、塗布したフィルムを105℃に加温しながら、ブラックライトを光源とし紫外線照度が1mW/cm2となるように調整して光量300mJ/cm2の紫外線を照射して5分間さらし、加温、低照度紫外線照射工程を行った。その後、高圧水銀灯を光源とし、光量250mJ/cm2の紫外線を照射して第2紫外線照射工程を経て、厚さ5.9μmのコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを得た。
次にこのコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを使用して実施例8の合わせガラスを作製した。
<合わせガラスの作製>
まず、中間膜に用いるポリビニルブチラールフィルム(積水化学工業社製 「エスレックフィルム」 厚み0.38mm ポリビニルブチラール(PVB)フィルム)に、特許参考文献1の実施例2記載の方法と同様にして、厚みの傾斜をつけた。これを2枚用意した。さらに、厚み2mmのフロートガラス板を2枚用意した。
次に、実施例8で作製したコレステリック液晶膜付き光学フィルムを前記2枚のPVBフィルムでくさび形形状となるようにして挟み込み、さらにPVBフィルムの両面に上記2枚のフロートガラスをそれぞれ重ね合わせて積層体を作製した。その後、この積層体をゴムバッグで包み、90℃に加熱したオートクレーブ中で10分間真空脱気して、上記積層体の各層を予備接着した。続いて、予備接着した積層体を室温まで冷却後、ゴムバッグから取り出し、再度、オートクレーブ中で135℃、12kg/cmの圧力下で30分間加熱・加圧し、実施例8の合わせガラスを作製した。
(比較例7)
中間膜に用いるポリビニルブチラールフィルム(積水化学工業社製 「エスレックフィルム」厚み0.38mm ポリビニルブチラール(PVB)フィルム)に、を2枚用意した。さらに、厚み2mmのフロートガラス板を2枚用意した。
次に、コレステリック液晶膜付き光学フィルムを用いることなく、前記2枚のPVBフィルムでくさび形形状となるようにして挟み込み、さらにPVBフィルムの両面に上記2枚のフロートガラスをそれぞれ重ね合わせて積層体を作製した。その後、この積層体をゴムバッグで包み、90℃に加熱したオートクレーブ中で10分間真空脱気して、上記積層体の各層を予備接着した。続いて、予備接着した積層体を室温まで冷却後、ゴムバッグから取り出し、再度、オートクレーブ中で135℃、12kg/cmの圧力下で30分間加熱・加圧し、比較例7の合わせガラスを作製した。
(比較例8)
中間膜に用いるポリビニルブチラールフィルム(積水化学工業社製 「エスレックフィルム」 厚み0.38mm ポリビニルブチラール(PVB)フィルム)に、特許参考文献1の実施例2記載の方法と同様にして、厚みの傾斜をつけた。これを2枚用意した。さらに、厚み2mmのフロートガラス板を2枚用意した。
次に、コレステリック液晶膜付き光学フィルムを用いることなく、前記2枚のPVBフィルムでくさび形形状となるようにして挟み込み、さらにPVBフィルムの両面に上記2枚のフロートガラスをそれぞれ重ね合わせて積層体を作製した。その後、この積層体をゴムバッグで包み、90℃に加熱したオートクレーブ中で10分間真空脱気して、上記積層体の各層を予備接着した。続いて、予備接着した積層体を室温まで冷却後、ゴムバッグから取り出し、再度、オートクレーブ中で135℃、12kg/cmの圧力下で30分間加熱・加圧し、比較例7の合わせガラスを作製した。
実施例5〜8、比較例7〜8の組成物の組成、コレステリック液晶膜、コレステリック液晶膜を有する光学フィルム、合わせガラスの作製条件、特性を表3に纏めた。

Figure 2019059904

実施例1〜8および比較例1〜8で作製した光学フィルム、合わせガラスの評価は下記の方法で行った。
<透過率>
日本電色工業社製ヘイズメーター“NDH2000”を用いて測定した。
<コレステリック液晶膜付き光学フィルムのスペクトル、反射率>
日本分光社製の分光光度計“Ubest V570型”(商品名)を用い、日本分光社製の大型積分球“ILN−472型”を組み合わせて反射スペクトルを測定した。スペクトルの測定は、分光光度計用ソフトウエアを用い、測光モード“R%”、レスポンス“Medium”、バンド幅は可視“2.0nm”、近赤外“8.0nm”、走査速度“400nm/min”、データ取り込み間隔“1.0nm”で300〜1000nmの範囲を測定した。
<投影像の輝度>
村上色彩技術研究所製の変角光度計GP200を用い、実施例、比較例で作製した合わせガラスについて入射角2°で入射する光の反射特性を測定し、反射角2°の光強度を相対評価した。求めた相対値を投影像の輝度とした。合わせガラスはくさび形となっているが、光の入射側の端面が薄く、出射側の端面が厚くなるように装置にセットして評価した。
実施例8および比較例8は入射角60°を念頭に作製した。このため、光学フィルム、合わせガラスの評価は下記の方法で行った。
<透過率>
日本電色工業社製ヘイズメーター“NDH2000”を用いて測定した。
<コレステリック液晶膜付き光学フィルムのスペクトル、反射率>
可変角絶対反射率測定装置、島津製の“SolidSpec 3700型”(商品名)を用い、反射スペクトルを測定した。スペクトルの測定は、測定装置用ソフトウエアを用い、入射角60°で走査速度“中速”、データ取り込み間隔“1.0nm”で300〜1000nmの範囲を測定した。
<投影像の輝度>
村上色彩技術研究所製の変角光度計GP200を用い、実施例、比較例で作製した合わせガラスについて入射角60°で入射する光の反射特性を測定し、反射角60°の光強度を相対評価した。求めた相対値を投影像の輝度とした。合わせガラスはくさび形となっているが、光の入射側の端面が薄く、出射側の端面が厚くなるように装置にセットして評価した。
図1〜4に実施例1〜4および比較例1〜6のコレステリック液晶膜付き光学フィルムのスペクトルを示す。得られたスペクトルから、400〜650nm域の平均反射率、440〜660nm域のピーク波長、ピーク反射率、680〜1000nm域のピーク波長、ピーク反射率を求めた。
実施例1で作製した光学フィルム、比較例1〜3で作製した光学フィルムについて、反射スペクトルを各々図1、図2に示した。実施例1の透明基材上にコレステリック液晶膜を有する光学フィルムは、図1に示したように可視光線反射率が波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有する。また近赤外線反射率は波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。
これに対して加温、低照度紫外線照射工程を行わない比較例1、加温、低照度紫外線照射工程は行うものの、温度が25℃と低い比較例2、(4)紫外線重合開始剤の量が多い比較例3では図2に示したように、コレステリック液晶膜中で単官能重合性化合物の厚み方向に濃度勾配を生じないためか、可視光線反射率は波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が13%であり、図2から可視域のピークがブロードとなっていないことがわかる。
実施例2〜4で作製した光学フィルム、比較例4〜6で作製した光学フィルムについて、反射スペクトルを各々図3、図4に示した。実施例2〜4の透明基材上にコレステリック液晶膜を有する光学フィルムは図3に示したように、可視光線反射率が波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有する。また近赤外線反射率は波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。
これに対して加温、低照度紫外線照射工程を行わない比較例4、単官能重合性化合物を使用しない比較例6では、図4に示したようにコレステリック液晶膜中で単官能重合性化合物の厚み方向に濃度勾配を生じないためか、可視光線反射率が波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有しない。また、図4から可視域のピークがブロードとなっていないことがわかる。このような光学フィルムでは、反射光が着色し、投影像の視認性が劣る。また、加温、低照度紫外線照射工程は行うものの、温度が125℃と高い比較例5は、基材上に作製した組成物の乾燥膜が液晶相でなく均一相になったため、可視光線反射率が波長440〜660nmの範囲内に反射率のピークを有さず、図4から明らかに反射ピークはない。
実施例2〜4のフィルムを用いて作製した実施例5〜7の合わせガラスは、可視光線反射率が波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有する。また近赤外線反射率は波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。このため、輝度が30〜34の範囲となっている。他方、本願のコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを使用せず、中間膜にポリビニルブチラールフィルムを用いた比較例7では、可視光線反射率が波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が10%以上とならず、更に近赤外線反射率は波長が680〜1000nmの範囲内に平均反射率20〜50%のピークを有さないため、HUDシステムのスクリーンとして用いた場合視認性が向上せず、また近赤外線を反射しないため車内の温度上昇を抑制できない。さらに、比較例7の輝度は実施例5〜7の約半分と暗い。これらのことから、本発明のフィルムを用いた合わせガラスは、入射角0°のHUDシステムのスクリーンとして好適に使用することができる。
実施例8は、入射角60°として調整したフィルムを用いた合わせガラスである。この合わせガラスは可視光線反射率が波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有する。また近赤外線反射率は波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有する。この結果、輝度が64となっている。
他方、本願のコレステリック液晶膜を有する光学フィルムを使用せず、中間膜にポリビニルブチラールフィルムを用いた比較例8は、可視光線反射率が波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が8%で、波長440〜660nmの範囲内に反射率が8%のピークと、実施例8の約半分と暗い。これらのことから、本発明のフィルムを用いた合わせガラスは、入射角60°のHUDシステムのスクリーンとして好適に使用することができる。
本発明によれば、単純な工程で可視域を広帯域で反射するコレステリック液晶膜を作製できる。また、本発明のコレステリック液晶膜を用いると、表示像の輝度が高く、ウインドシールド型ヘッドアップディスプレイに適用可能な合わせガラスを提供できる。

Claims (9)

  1. 組成物
    少なくとも2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに紫外線重合開始剤を含む組成物であって、
    前記組成物は、
    前記2官能重合性キラル化合物を、前記2官能重合性液晶化合物と前記2官能重合性キラル化合物の合計量を100部とした時、0.5〜5部含み、
    前記融点50〜110℃の単官能重合性化合物を、前記2官能重合性液晶化合物と前記2官能重合性キラル化合物との合計量を100部とした時、1〜50部含み、
    紫外線重合開始剤を、前記2官能重合性液晶化合物、前記2官能重合性キラル化合物及び前記融点が50〜110℃の単官能重合性化合物の総量100部に対して、0.001〜1.0部含むことを特徴とする組成物。
  2. 組成物
    前記組成物は更に溶剤を含み、
    前記2官能重合性液晶化合物、前記2官能重合性キラル化合物、前記融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに前記紫外線重合開始剤を含む全固形分が、前記溶剤と前記全固形分の合計量を100部としたとき10〜40部含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 光学フィルム(コレステリック液晶膜+透明基材)製造方法
    コレステリック液晶膜を有する光学フィルムの製造方法であって、
    少なくとも2官能重合性液晶化合物、2官能重合性キラル化合物、融点が50〜110℃の単官能重合性化合物、さらに紫外線重合開始剤を含む組成物を作製する組成物作製工程、
    前記組成物を透明基材上に塗布する塗布工程、
    乾燥により前記透明基材上にコレステリック液晶膜を形成する液晶膜形成工程、
    80〜120℃に加温しながら、照度0.5〜5.0mW/cm2の紫外線に2分以上さらす加温、低照度紫外線照射工程を含む、光学フィルムの製造方法。
  4. 前記加温、低照度紫外線照射工程の後、更に200mJ/cm2以上の紫外線を照射する第2紫外線照射工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記加温低照度紫外線照射工程が、酸素フリーの雰囲気で行われること特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 光学フィルム(コレステリック液晶膜+透明基材)
    透明基材上にコレステリック液晶膜を有する光学フィルムであって、
    前記光学フィルムは、
    波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ
    波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ
    波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする光学フィルム。
  7. コレステリック液晶膜を有する合わせガラス
    第1のガラス基板、第1の中間膜、コレステリック液晶膜、第2の中間膜、第2のガラス基板をこの順に有する合わせガラスであって、
    波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする合わせガラス。
  8. 前記合わせガラス面の垂直面に対して、投影光の入射角をθとした場合、入射角θ、反射角θで測定した反射スペクトルにおいて、
    波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ
    波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ
    波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする請求項7に記載の合わせガラス。
  9. 光学フィルムを有する合わせガラス
    第1のガラス基板、第1の中間膜、光学フィルム、第2の中間膜、第2のガラス基板とをこの順に有する合わせガラスであって、
    波長400〜650nmの範囲内の平均反射率が14%以上であり、かつ波長440〜660nmの範囲内に反射率が15〜30%のピークを有し、かつ波長が680〜1000nmの範囲内に反射率20〜50%のピークを有することを特徴とする合わせガラス。
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