以下、本発明に係る果菜収穫装置について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
[1.本実施形態の構成]
図1に示すように、本実施形態に係る果菜収穫装置10は、枝12から延びる果梗14の先端に形成された果菜16を収穫するための装置である。ここでは、図1の紙面上、略水平に延びるアーム18から果菜16に向かう方向をX方向、図1の上方をZ方向、図1の紙面に直交する方向をY方向として、果菜収穫装置10の構成を説明する。また、果梗14には、該果梗14の他の部分と比較して切り離しが容易な離層20が形成されている。なお、果菜16は、離層20を有する果梗14の先端に生る果物や野菜であればよい。このような果菜16として、例えば、トマトがある。
果菜収穫装置10は、不図示の車両等の移動体に設けられたロボットアーム22(移動機構、回転機構)と、ロボットアーム22の先端に取り付けられた収穫ハンド24とを備える。ロボットアーム22は、複数のアーム18と関節26とから構成される多関節型のロボットアームである。ロボットアーム22は、移動体に設けられた制御手段の制御によって、移動体に対して所望の方向に回転、旋回又は揺動が可能である。収穫ハンド24は、ロボットアーム22のエンドエフェクタであって、後述する手法によって果菜16を収穫する。
収穫ハンド24は、ロボットアーム22の先端側のアーム18に装着されたハンド基部28と、該ハンド基部28に支持され、且つ、果菜16を保持可能な保持部30と、ハンド基部28に支持され、且つ、果梗14に当接可能な指部32とを有する。
ハンド基部28は、図1の側面視で、アーム18の先端に装着された略矩形状の枠部材である。ハンド基部28において、アーム18に取り付けられる部分(図1の右側部分)は、果菜16から離間するハンド基部28の基端部28aである。また、ハンド基部28において、果菜16側の部分(図1の左側部分)は、保持部30が取り付けられるハンド基部28の先端部28bである。保持部30は、該保持部30の長手方向(図1ではX方向)の軸回りに、ハンド基部28に対して相対回転可能に取り付けられている。ハンド基部28の上側部分は、ハンド基部28の基端部28aから先端部28bに向かって斜め下方に傾斜するように形成された上端部28cである。ハンド基部28の上端部28cには、指部32が取り付けられている。
さらに、ハンド基部28には、果菜16に向かって指部32を進退させるための進退機構34と、ハンド基部28に対して保持部30を長手方向の軸回りに相対回転可能な回転フリー状態、又は、ハンド基部28に対して保持部30を相対回転不能に固定する回転ロック状態に切り替え可能なロック機構36とが設けられている。
保持部30は、該保持部30の長手方向の軸がアーム18の軸と略同軸となるように、ハンド基部28の先端部28bに相対回転可能に取り付けられている。具体的に、保持部30は、ハンド基部28の先端部28bを貫通し且つアーム18の軸と略同軸(図1ではX方向)に延びる円筒状の軸部材38と、ハンド基部28の内方で軸部材38の一端に略同軸に連結される円環状の第1プレート40と、ハンド基部28の先端部28bの果菜16側で軸部材38の他端に略同軸に連結される円環状の第2プレート42と、第2プレート42から果菜16側に延びる吸着パッド44とを有する。
この場合、軸部材38の外周面とハンド基部28の先端部28bとの間には、不図示の軸受が介挿されている。また、軸部材38は、第1プレート40と第2プレート42とによって、X方向に狭持されている。従って、保持部30は、軸部材38を中心として、ハンド基部28に対して軸部材38の軸回り(保持部30の長手方向の軸回り)に相対回転可能である。
また、吸着パッド44は、第2プレート42の内周側、軸部材38の内周部及び第1プレート40の内周側と連通している。第1プレート40の内周側は、不図示の吸引チューブを介して吸引ポンプと接続されている。吸引ポンプが駆動すると、吸着パッド44周辺の空気は、第2プレート42、軸部材38、第1プレート40、吸引チューブ及び吸引ポンプを介して排気される。これにより、吸着パッド44に負圧が発生し、該吸着パッド44により果菜16を吸着することが可能となる。
ロック機構36は、ハンド基部28の下側部分(下端部28d)から下方に延びるステー46と、ハンド基部28の下端部28dの下方でステー46によって支持され、X方向に延びるアクチュエータ48と、アクチュエータ48におけるベローズ状の駆動部48aに連結され、ハンド基部28の下端部28dを貫通してハンド基部28の内方に挿入されるリンク部材50と、ハンド基部28の下端部28dでY方向に延び、リンク部材50を支持する軸部材52と、リンク部材50の先端部に連結され、第1プレート40と対向するロック部54とを有する。
ロック部54は、第1プレート40に対応する円弧状の板状部材である。図2に示すように、第1プレート40の円環部分には、所定角度間隔で複数の歯40aが形成されている。ロック部54の第1プレート40側には、第1プレート40の複数の歯40aに対応して、所定角度間隔で複数の歯54aが形成されている。
図2に示すように、アクチュエータ48の駆動部48aがX方向に伸長している状態では、第1プレート40とロック部54とが離間している。従って、保持部30は、回転フリー状態にある。一方、図3に示すように、アクチュエータ48の駆動部48aがX方向に沿ってアーム18側に後退すると、リンク部材50が軸部材52を中心に回動し、ロック部54が第1プレート40に近接する。これにより、ロック部54の複数の歯54aと、第1プレート40の複数の歯40aとが噛み合い、保持部30は、回転ロック状態に切り替わる。従って、アクチュエータ48の駆動によって、図2の回転フリー状態と図3の回転ロック状態とに保持部30を切り替えることができる。なお、図1は、保持部30が回転ロック状態である場合を図示している。
進退機構34は、ハンド基部28の内方に配設されたモータ等の駆動源56と、ハンド基部28の内方で駆動源56の駆動によって回転するピニオン58と、ピニオン58に噛み合うラック60とを有する。ラック60は、ハンド基部28の上端部28cに沿って、ハンド基部28の基端部28a側から先端部28b側に向かい、斜め下方に傾斜するように配設されている。ラック60の上面は、指部32の基端部62に固定されている。指部32の基端部62は、底面にラック60が取り付けられたプレートである。基端部62の底面には、ラック60と略平行に延びるガイドレール64が取り付けられている。また、基端部62の底面において、ガイドレール64の両端には、ストッパ66が取り付けられている。一方、ハンド基部28の上端部28cには、ガイドレール64に係合するガイドブロック68が配設されている。従って、駆動源56の駆動により、ピニオン58が回転すると、ラック60が取り付けられた指部32の基端部62は、ガイドレール64の案内作用下に、2つのストッパ66間で変位する。
指部32は、図1及び図4~図6に示すように、基端部62と、基端部62に固定され、且つ、果菜16に接触可能な接触部70と、基端部62に接続され、且つ、果梗14への指部32の当接を検出する検出手段72とを有する。接触部70及び検出手段72は、基端部62の果菜16側に配設されている。
基端部62の果菜16側には、接触部70を固定するためのブロック状の固定部74が設けられている。接触部70は、固定部74からX方向(接触部70の長手方向)に延びている。具体的に、接触部70は、固定部74の上端部及び下端部からX方向に延びる2つの延出部70a、70bと、2つの延出部70a、70bの先端部を連結する連結部70cとから構成される。従って、2つの延出部70a、70bの間には、隙間が形成されている。この場合、上側の延出部70aは、X方向に沿って段差状に延びている。そのため、2つの延出部70a、70bの間には、Z方向に広幅の第1隙間76aと、該第1隙間76aに連なり且つ第1隙間76aよりも狭幅の第2隙間76bとが形成されている。
検出手段72は、第1隙間76a及び第2隙間76bに配置され、図6の平面視で接触部70からY方向(接触部70の長手方向に対する交差方向)に突出し、果梗14に接触可能な突出部78と、突出部78が果梗14に接触してY方向に変位した際に、突出部78のY方向への運動を他の方向への運動に変換するカム機構80と、該他の方向への運動に基づき、果梗14への指部32(接触部70及び突出部78)の当接を検出する検出部82とを有する。
具体的に、突出部78は、第1隙間76a側の基端部78aと、基端部78aから連結部70cに向かって拡開する扇状の検知レバー78bとから構成される。基端部78aには、Z方向に延びる回転軸84(第1軸)が連結されている。回転軸84の一端(上端)は、上側の延出部70aを貫通している。また、回転軸84の他端(下端)は、下側の延出部70bに配設されたスラストベアリング等の軸受86に軸支されている。一方、検知レバー78bの先端部には、Y方向に沿って円弧状に形成された挿通孔88が設けられている。挿通孔88には、Z方向に延び且つ2つの延出部70a、70bに支持されるピン部材90が挿通している。従って、検知レバー78bがY方向から果梗14等に接触した場合、突出部78は、回転軸84を中心にY方向に回動(回転)する。この場合、ピン部材90及び挿通孔88は、突出部78の回転範囲を規制する。なお、図6の平面視で、接触部70の中心軸と突出部78(検知レバー78b)の中心軸とが重なり合っている場合、挿通孔88は、検知レバー78bの中心軸に対して略対称に形成されている。
カム機構80は、突出部78のY方向への回転運動(第1回転運動)をZ方向(回転軸84の軸方向)への直線運動に変換する第1変換部92と、直線運動を回転軸94(第2軸)を中心とする回転運動(第2回転運動)に変換する第2変換部96とを有する。
具体的に、突出部78の基端部78aにおける固定部74側には、図7に示すように、V字状のカム部92aが形成されている。すなわち、突出部78の基端部78aにおける固定部74側を上方からV字状に凹ませることにより、カム部92aが形成される。カム部92aには、Z方向に延びるピン部材92bが上方から接触している。ピン部材92bは、上側の延出部70aをZ方向に貫通し、該延出部70aに配設されたブッシュ92cによってZ方向に変位可能に支持されている。図4~図7に示すように、ピン部材92bの一端(下端部)は、円弧状に形成され、カム部92aに接触している。ピン部材92bの他端(上端部)は、略T字状のリンク部材98に接触している。そして、カム部92a、ピン部材92b及びブッシュ92cによって第1変換部92が構成される。
図6の平面視及び図7の背面視で、接触部70及び検知レバー78bの各中心軸が重なり合うときのピン部材92bの位置を中立位置と定義すると、該中立位置では、ピン部材92bは、カム部92aにおけるV字の谷底部分に当接する。従って、ピン部材92bは、中立位置では、Z方向に沿った最も低い位置に配置される。一方、検知レバー78bが果梗14等によりY方向に押圧され、該検知レバー78bがY方向に回転した場合、カム部92aのピン部材92bとの接触部分が変位する。これにより、ピン部材92bは、カム部92aによって上方に変位する。図7では、中立位置(図7の中心の図)に対して検知レバー78bが右側から押された場合(図7の左側の図)と、左側から押された場合(図7の右側の図)とで、ピン部材92bがZ方向に変位することを概略的に図示している。
リンク部材98は、X方向に延びる延出部98aと、延出部98aの中央部分から下方に延びる支持部98bとから構成される。延出部98aの一端は、ピン部材92bの他端に接触している。延出部98aの他端は、固定部74に配置された検出部82に接触している。支持部98bは、Y方向に延びる回転軸94に軸支されている。すなわち、回転軸94は、固定部74に支持されており、支持部98bは、軸受100を介して回転軸94に軸支されている。リンク部材98、回転軸94及び軸受100によって第2変換部96が構成される。
検出部82は、本体部82aとレバー82bとを有するリミットスイッチであり、接触部70及び突出部78よりも果菜16から離間するように固定部74に配置されている。レバー82bの先端は、リンク部材98の他端によって上方から押圧可能に接触している。ここで、検知レバー78bの回動によってピン部材92bが上方に移動した場合、該ピン部材92bがリンク部材98の一端を上方に押圧するので、リンク部材98は、回転軸94を中心として、検出部82側に回動する。これにより、リンク部材98の他端が検出部82のレバー82bを下方に押圧し、検出部82の本体部82aは、リンク部材98の他端からレバー82bへの荷重に応じた検出信号、すなわち、果梗14への指部32の当接を検出した旨の信号を出力する。なお、検出部82は、リミットスイッチに限定されることはなく、リンク部材98の他端からの荷重に応じた検出信号を出力可能なセンサ(スイッチ)であればよい。
また、固定部74と支持部98bとの間には、リンク部の他端がレバー82bを押圧する際の荷重を調整するためのスプリング102(荷重調整部)が設けられている。
[2.本実施形態の動作]
次に、本実施形態に係る果菜収穫装置10の動作について、図1~図9を参照しながら説明する。
先ず、図2及び図8に示すように、ロック機構36によって保持部30を回転フリー状態とし、且つ、進退機構34によって指部32をハンド基部28の基端部28a側に退避させた状態で、制御手段によってロボットアーム22を動作させ、果菜収穫装置10を果菜16に近接させる。
次に、ロボットアーム22をさらに動作させて、保持部30の吸着パッド44を果菜16の側面に接触させる。この状態で吸引ポンプを駆動することにより、吸着パッド44に負圧を発生させ、該吸着パッド44で果菜16を保持させる。
次に、進退機構34の駆動源56を駆動させ、ピニオン58を回転させる。これにより、ラック60は、ピニオン58の回転運動を直線運動に変換し、果梗14に向かって指部32を進行させる。この結果、接触部70の下側部分が果菜16の果梗14側(上側部分)に接触する。なお、この状態では、突出部78は、果梗14に接触していない。
次に、接触部70が果菜16の上側部分に倣うように指部32をさらに進行させ、図9の側面視で、果梗14と接触部70及び突出部78とが交差した場合、駆動源56によるラック60の回転を停止させる。
次に、制御手段は、図9の紙面の奥側に接触部70及び突出部78が変位するように、アーム18を軸回りに回動させる。この場合、保持部30が回転フリー状態であるため、ハンド基部28及び指部32は、アーム18と一体に保持部30の軸回りに回動する。
これにより、果梗14に向かって接触部70及び突出部78が相対的に変位し、突出部78の検知レバー78bが果梗14に接触する。検知レバー78bは、果梗14からの押圧力を受け、回転軸84を中心にY方向に回転する。
検知レバー78bの回転に伴い、ピン部材92bに接触するカム部92aの高さが変化するため、第1変換部92は、検知レバー78bの回転運動をピン部材92bのZ方向への直線運動に変換する。これにより、ピン部材92bは、検知レバー78bの回転量に応じた移動量だけ上方に移動し、リンク部材98の延出部98aの一端を上方に押圧する。
この結果、リンク部材98が回転軸94を中心に検出部82側に回動し、延出部98aの他端は、検出部82のレバー82bを下方に押圧する。検出部82の本体部82aは、延出部98aの他端からレバー82bへの荷重に応じた検出信号、すなわち、検知レバー78bの果梗14への接触を検出した旨の信号(検出信号)を外部に出力する。出力された検出信号は、制御手段とロック機構36とに供給される。このように、本実施形態では、保持部30の軸回りに収穫ハンド24を回動させて、接触部70を徐々に果梗14に近づけることにより、果菜16の形状及び大きさにバラツキがあったり、又は、アーム18の位置決め誤差が存在する場合でも、該接触部70を果梗14に確実に接触させることができる。
ロック機構36のアクチュエータ48は、検出部82からの検出信号を受け、駆動部48aを動作させる。これにより、図1及び図3に示すように、軸部材52を中心にリンク部材50が回動し、ロック部54の複数の歯54aと第1プレート40の複数の歯40aとが噛み合う。この結果、保持部30は、回転ロック状態に至る。なお、上記の説明では、アーム18を軸回りに回動させながら、回転フリー状態から回転ロック状態に移行させる。なお、本実施形態において、制御手段は、検出信号の供給を受けて、回転フリー状態から回転ロック状態への移行中、アーム18の軸回りの回動を一時的に停止させることも可能である。
回転ロック状態への移行後、制御手段がアーム18を軸回りにさらに回動させると、果菜16と、果菜16を保持する保持部30、ハンド基部28、及び、果梗14に接触する指部32を含む収穫ハンド24とは、アーム18と一体に保持部30の軸回りに回動する。
これにより、接触部70が果梗14に向かって変位するので、果梗14は、接触部70からの押圧力を受ける。この結果、離層20が折れ、果菜16が枝12から分離するので、果菜16を収穫することができる。その後、駆動源56を駆動させてピニオン58を回転させることで、ラック60を介して指部32を果梗14から後退させる。
[3.変形例]
次に、本実施形態に係る果菜収穫装置10の変形例(第1変形例、第2変形例)について、図10~図15Bを参照しながら説明する。
第1変形例では、図10及び図11Bに示すように、突出部78の検知レバー78bが、接触部70の先端部側を上方から覆うように、扇状に拡開している点で、図1~図9に示す構成(以下、本実施形態の構成ともいう。)とは異なる。従って、第1変形例において、接触部70は、X方向に沿って延びる棒状部材として構成される。
図11Aは、本実施形態の構成での接触部70及び突出部78の一部正面図を示し、図11Bは、第1変形例での接触部70及び突出部78の一部正面図を示す。第1変形例では、本実施形態の構成と比較して、検知レバー78bのY方向の側面の面積が広く、且つ、突出部78から下方への接触部70の突出量(段差)が小さい。これにより、検知レバー78bが果梗14に接触した際の検出精度を向上させることができる。従って、第1変形例では、突出部78が果梗14に接触し、一方で、接触部70の底面部分が果菜16に接触する。
第2変形例では、図12~図15Bに示すように、突出部78が四節の平行リンク機構を構成する点で、本実施形態の構成及び第1変形例の構成とは異なる。第2変形例では、下側の延出部70bがX方向に延びている。延出部70bの上面の中央部には、上方に突出し、且つ、X方向に延びる延出部70aが設けられている。
一方、突出部78は、下側の延出部70bの回転軸84側で、該回転軸84に軸支される扇状の第1回動部78cを有する。第1回動部78cは、回転軸84に軸支される基端部と、基端部の上側部分と下側部分とからX方向に扇状にそれぞれ突出する突出部分とから構成される。2つの突出部分の隙間には、上側の延出部70aの側方で、該延出部70aに沿ってX方向にそれぞれ延出する2つの連結部材78dの一端部が挿入されている。2つの連結部材78dの一端部は、第1回動部78cの2つの突出部分をZ方向に貫通する円柱状の2つの支持部78eに支持されている。
上側の延出部70aの先端部と下側の延出部70bの先端部との間には、Z方向に貫通する軸部78fに軸支される扇状の第2回動部78gが設けられている。図12、図13A及び図14Aに示すように、下側の延出部70bの先端部は、上側の延出部70aの先端部よりもX方向に突出している。そのため、第2回動部78gは、下側の延出部70bの上方で、上側の延出部70aからX方向に突出するように、軸部78fに軸支されている。第2回動部78gは、軸部78fに軸支される基端部と、基端部からX方向に扇状に突出する突出部分とから構成される。突出部分には、上方に突出する円柱状の2つの支持部78hが設けられている。2つの支持部78hは、2つの連結部材78dの他端部を支持する。
従って、第2変形例において、突出部78は、第1回動部78c、2つの連結部材78d、2つの支持部78e、軸部78f、第2回動部78g及び2つの支持部78hによって構成される。また、図13B及び図14Bで模式的に示すように、突出部78は、X方向に延びる2つの連結部材78d等によって四節の平行リンク機構を構成する。
ここで、図12、図13A、図13B及び図15Aに示すように、突出部78が果梗14に接触していない状態では、2つの連結部材78dは、延出部70aを中心として略対称に配置される。
これに対して、図14Aに示すように、例えば、一方の連結部材78dが果梗14に接触し、該果梗14から矢印で示す方向に押圧された場合、第1回動部78cが回転軸84を中心にY方向に回動すると共に、第2回動部78gが軸部78fを中心にY方向に回動する。これにより、図14B及び図15Bに示すように、他方の連結部材78dは、Y方向に変位する。このようなY方向の変位は、前述したカム機構80(図1、図4、図5、図8及び図9参照)でZ方向への運動に変換されるので、検出部82は、突出部78(一方の連結部材78d)の果梗14への接触を好適に検出することができる。
ところで、本実施形態の構成及び第1変形例の構成は、図10~図11Bに示すように、X方向に沿って突出部78が扇状に拡開する。そのため、接触部70に対する突出部78のY方向への変位量(ストローク)は、該突出部78の先端部に行くほど大きくなる。すなわち、本実施形態の構成及び第1変形例の構成では、果梗14に対する突出部78の接触位置によって、該突出部78のY方向へのストロークが異なることになる。
これに対して、第2変形例の構成では、図12~図15Bに示すように、突出部78が四節の平行リンク機構であるため、突出部78のY方向へのストロークは、果梗14との接触位置に関わりなく略一定となる。これにより、適切なストローク値に予め設定することで、接触部70に対する突出部78のY方向への突出量を小さくすることができる。この結果、突出部78と果梗14との接触の検出精度を高めつつ、突出部78の存在が果菜16の収穫の妨げになることを回避することができる。
[4.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る果菜収穫装置10は、果梗14の先端に形成された果菜16を収穫するための装置であって、ハンド基部28、該ハンド基部28に支持され且つ果菜16を保持する保持部30、及び、ハンド基部28に支持され且つ果梗14に当接可能な指部32を有する収穫ハンド24と、果梗14に当接した指部32が果梗14を押圧するように収穫ハンド24を移動させるロボットアーム22(移動機構)とを備える。
指部32は、基端部62と、基端部62に固定され且つ果菜16に接触可能な接触部70と、基端部62に接続され且つ果梗14への指部32の当接を検出する検出手段72とを有する。この場合、検出手段72は、接触部70の長手方向(X方向)に対する交差方向(Y方向)に突出し、果梗14に接触可能な突出部78と、突出部78が果梗14に接触してY方向に変位した際に、突出部78のY方向への運動を他の方向(Z方向)への運動に変換するカム機構80と、Z方向への運動に基づき、果梗14への指部32の当接を検出する検出部82とを有する。
この構成によれば、指部32の一部である突出部78は、接触部70に対してY方向に突出し、カム機構80を介して検出部82と連動している。これにより、果梗14に対して突出部78がどの方向から接触しても、カム機構80によってZ方向への運動に変換される。従って、1つの検出部82で指部32の果梗14への接触を確実に検出することが可能となる。この結果、装置の小型化及び低コスト化を実現することができる。
また、果菜16と接触する接触部70は、検出手段72と連動しておらず、基端部62に固定されている。これにより、接触部70が果菜16や果梗14に接触した際、果菜16や果梗14から接触部70が外れて果菜16の収穫が困難になることを回避することができる。さらに、接触部70と果菜16との摩擦等によって検出部82が誤検出することを回避することができる。
ここで、検出部82は、接触部70、突出部78及びカム機構80よりも果菜16から離間して設けられている。これにより、離層20を含む果梗14と接触する接触部70及び突出部78周辺の構成をコンパクトにすることができる。
また、接触部70は、基端部62からX方向に延び、検出部82は、基端部62の固定部74に配置されている。これにより、検出部82の誤検出の防止と、接触部70及び突出部78周辺の構成のコンパクト化とを共に実現することができる。
さらに、突出部78は、果梗14と接触した際、X方向及びY方向に略直交する基端部62側の回転軸84(第1軸)を中心としてY方向に回転する。また、カム機構80は、突出部78のY方向への回転運動(第1回転運動)を回転軸84の軸方向(Z方向)への直線運動に変換する第1変換部92と、直線運動を回転軸84とは異なる回転軸94(第2軸)を中心とした回転運動(第2回転運動)に変換する第2変換部96とを有する。検出部82は、第2変換部96からの回転運動による荷重を受けて、果梗14への指部32の当接を検出するリミットスイッチである。これにより、果梗14への指部32(接触部70、突出部78)の当接を効率よく且つ確実に検出することができる。
また、荷重を調整するためのスプリング102(荷重調整部)を第2変換部96に設けることにより、適切な範囲の荷重で検出部82を押圧することができるので、検出部82の検出精度を向上させると共に、カム機構80を構成するピン部材92bを中立位置に容易に復帰させることができる。すなわち、荷重が小さすぎる場合には、(1)突出部78が果梗14に接触していないのに検出部82が誤検出する、(2)収穫ハンド24の姿勢によっては、収穫ハンド24を構成する部品の自重で検出部82が誤検出する、(3)ピン部材92bを中立位置に復帰させることができない、という不具合が生じる可能性がある。一方、荷重が大きすぎる場合には、突出部78が離層20に接触しているにも関わらず、検出部82が検出しないという不具合が生じる可能性がある。
また、ロボットアーム22は、指部32が果梗14に当接した際に、保持部30の軸回りに該収穫ハンド24を回転させることで、果梗14を指部32で押圧させる回転機構である。これにより、枝12から果菜16を効率よく分離することが可能となる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。