JP5320093B2 - 医療用マニピュレータ - Google Patents

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本発明は、腹腔鏡下手術で用いられる医療用マニピュレータに関する。
腹腔鏡下手術においては、患者の腹部等に小さな孔をいくつかあけて内視鏡、マニピュレータ(又は鉗子)等を挿入し、術者が内視鏡の映像をモニタで見ながら手術を行っている。このような腹腔鏡下手術は、開腹を必要としないため患者への負担が少なく、術後の回復や退院までの日数が大幅に低減されることから、適用分野の拡大が期待されている。
一方、腹腔鏡下手術で用いるマニピュレータには、患部の位置及び大きさに応じて迅速且つ適切な手技が可能であることが望まれており、しかも患部切除、縫合及び結紮等の様々な手技が行われる。これを実現するため、操作の自由度が高くしかも簡便に操作することのできるマニピュレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
これらのマニピュレータでは、動力伝達機構としてワイヤ・プーリ機構が適用されている。ワイヤ・プーリ機構は、簡便であって動力伝達効率が高いためである。
米国特許第6,889,116号明細書
軟性鏡下・腹腔鏡下手術に用いられている従来の一般的な鉗子では、先端動作部に加わる外力や把持する把持力等は、直接的ではないが、鉗子本体を介して手元に反作用として伝わることから、操作者はこれらの力をある程度は感じ取ることができ、適度によい操作性が得られる。しかしながら、従来の鉗子は自由度が少なく(例えば1自由度である。)、組織を把持する方向や切断する方向、縫合針の刺入方向が限られていて不便であると共に、操作に熟練性が要求される。
より高い自由度を得るためには、例えば、マスタ・スレーブ方式の遠隔操作型手術ロボットを適用することが考えられる。該ロボットは、高い自由度を有すると共に、患部に対して任意の方向からのアプローチが可能で、操作性に優れるという利点があるものの、先端動作部に加わる外力や把持力等はマスタ側には伝わらない。
マスタ・スレーブ方式のロボットにおいて、マスタ側で力感覚を得るためには、高感度な力覚センサシステムや高速なサンプリングタイムを有する計算機システムによる高度なバイラテラル制御が必須となり、高価で複雑なシステムとなる。また、バイラテラル制御は実用に値する十分な性能が得られていないのが現状である。
それに対して、本出願人によってすでに提案されている多自由度鉗子、すなわち、先端動作部に関節を備え、操作部の指令に基づいてモータ制御により各関節を駆動する多自由度鉗子は、操作部(操作ハンドル)と作業部(先端関節部)が一体化されているため、従来の鉗子と同様に先端動作部に作用する外力や把持力等が、直接ではないが、多自由度鉗子本体を介して操作部側に伝わる。従って、操作者はこれらの力をある程度は感じ取ることができる。しかしながら、このような多自由度鉗子においてもさらに力を感じ取ることのできる多自由度鉗子の要望があり、特に把持力について力を感じ取ることのできる多自由度鉗子が望まれている。
このような把持力を感じ取ることのできる多自由度鉗子においても、前記の特許文献1及び特許文献2と同様にワイヤ・プーリ機構を適用することが考えられる。
ところが、マニピュレータの先端動作部は、腹腔内に挿入されることから極めて小さく、適用されるワイヤ・プーリ機構では、プーリ径が相当に小径となり、しかもプーリ間隔が短くなって、摩耗や屈曲等に起因するワイヤの負荷が増大することが想定される。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ワイヤに加わる負荷を可及的に減少させることを可能にするマニピュレータを提供することを目的とする。
本発明に係る医療用マニピュレータは、基端側に設けられ、進退する駆動部材と、前記駆動部材に一部が接続された環状の可撓性部材と、駆動部材より先端側に設けられたアイドル円柱体と、前記アイドル円柱体より先端側で、進退可能に設けられた受動円柱体と、前記アイドル円柱体と前記受動円柱体との間に設けられたガイド円柱体と、前記受動円柱体に連結されたエンドエフェクタとを含むエンドエフェクタ駆動機構を有し、前記可撓性部材は、前記アイドル円柱体の両側方を通り、前記ガイド円柱体と前記受動円柱体との間で交差し、前記ガイド円柱体の両側方を軸方向にずれた位置で通り、前記受動円柱体に巻き掛けられ、前記ガイド円柱体から前記受動円柱体に向かう方向をZ方向とし、前記可撓性部材は、往路側及び復路側とも前記ガイド円柱体と前記受動円柱体との間でZ方向に延在するように、前記ガイド円柱体の軸と前記受動円柱体の軸はZ方向から見て非平行に形成されていることを特徴とする。
これによって、前記可撓性部材が、前記受動円柱体の側面と、前記ガイド円柱体の側面とを直線的に経由することによって、前記可撓性部材と前記受動円柱体及び前記ガイド円柱体との間に生じる摩擦を減少させることができる。
この場合、前記受動円柱体の側面に、前記可撓性部材を周方向に案内する受動円柱体溝部が設けられていてもよい。これによって、前記可撓性部材が、前記受動円柱体の側面上を横滑りすることによる摩擦を減少させることができる。
前記ガイド円柱体は、前記可撓性部材の往路側及び復路側のいずれか一方を案内する第1層ガイドプーリと、前記第1層ガイドプーリに対して軸方向にΔだけずれた位置で他方を案内する第2層ガイドプーリとを有し、前記受動円柱体における前記可撓性部材の巻き掛け両端面は、前記ガイド円柱体の軸方向に関してΔだけずれていてもよい。これにより、可撓性部材が配設される経路がより適切になる。また、第1層ガイドプーリ及び第2層ガイドプーリによれば、可撓性部材の往路側と復路側とを逆方向に移動させることができる。
この場合、前記アイドル円柱体は、同軸上の第1層アイドル円柱体と第2層アイドル円柱体の2枚が並列して構成してもよい。第1層アイドルプーリ及び第2層アイドルプーリによれば、受動ワイヤの往路側と復路側とを逆方向に移動させることができる。
この場合、前記可撓性部材は1本の線材からなり、前記駆動部材に対する接続部以外の箇所で、両端が固定されることにより環状となっていてもよい。前記可撓性部材が環状であることから、左右2本存在することで、掛かる負荷が略等分される。これによって、前記可撓性部材は、より狭径でよく、且つ十分な可撓性を確保することが可能となる。
この場合、前記駆動部材は、人手によって操作する入力部に対して機械的に接続されていてもよい。非弾性な個体である機械部品を使用することによって、張力等による不可避な部材の伸縮を可及的に減少させることが可能となる。
前記エンドエフェクタ駆動機構を第1エンドエフェクタ駆動機構とし、前記駆動部材、前記可撓性部材、前記アイドル円柱体、前記受動円柱体、前記ガイド円柱体に相当する部材を備える第2エンドエフェクタ駆動機構と、前記第1エンドエフェクタ駆動機構の前記駆動部材と前記第2エンドエフェクタの前記駆動部材を逆方向に進退させる駆動部材進退機構と、前記第2エンドエフェクタ駆動機構で、前記受動円柱体よりも先端側の折り返し円柱体とを有し、前記第2エンドエフェクタ駆動機構で、前記可撓性部材は、前記第2エンドエフェクタ機構の前記受動円柱体と前記折り返し円柱体とにわたって巻き掛けられ、前記第2エンドエフェクタ駆動機構の前記ガイド円柱体の軸と前記受動円柱体の軸は平行であってもよい。これにより、エンドエフェクタについていずれか一方に向かう動作を第1エンドエフェクタ駆動機構による直接的な駆動とし、他方に向かう動作を第2エンドエフェクタ駆動機構による直接的な駆動とすることができる。
前記第1エンドエフェクタ駆動機構の前記受動円柱体は、前記エンドエフェクタを駆動させるロッドに回転自在に軸支されたプーリであり、前記第2エンドエフェクタ駆動機構の前記受動円柱体は、前記ロッドに対して一体化して形成されていてもよい。第2エンドエフェクタ駆動機構の受動円柱体に対して、第2受動ワイヤは相対的な動作をしないことから、該受動円柱体はロッドに対して一体化するとよい。
前記エンドエフェクタは、開閉可能なグリッパであって、前記第1エンドエフェクタ駆動機構における前記可撓性部材は、前記グリッパが閉じるときに張力が高くなり、前記第2エンドエフェクタ駆動機構における前記可撓性部材は、前記グリッパが開くときに張力が高くなってもよい。
この場合、前記第2エンドエフェクタ駆動機構に対して巻き掛けられた可撓性部材が張力の高い状態で動くこと、すなわち摩擦の発生し易い状態で動くことはほとんどない。従って、受動円柱体をロッドに一体化するのに好適である。
本発明に係る医療用マニピュレータによれば、ワイヤとプーリの溝部の側壁との間に生じる摩擦を可及的に減少させることで、ワイヤの摩擦による摩耗や損傷を低減させることができるという効果を達成することができる。
医療用マニピュレータの側面図である。 医療用マニピュレータの平面図である。 先端動作部を立体的に示した模式構造図である。 先端動作部を平面的に示した模式図である。 第1エンドエフェクタ駆動機構の一部を示す構造図である。 先端動作部のアイドルプーリ及びガイドプーリの拡大斜視図である。 第1エンドエフェクタ駆動機構及び第2エンドエフェクタ駆動機構の拡大斜視図である。 先端動作部の分解斜視図である。 先端動作部で、グリッパを閉じた状態の断面側面図である。 先端動作部で、グリッパを開いた状態の断面側面図である。 先端動作部で、ロール軸を一方向へ動作させたときの断面平面図である。 第1エンドエフェクタ駆動機構及び第2エンドエフェクタ駆動機構の側面図である。 Z2方向から見た伝達部材の断面図である。 第1エンドエフェクタ駆動機構の一部拡大側面図である。 変形例に係る先端動作部を平面的に示した模式図である。 直動ロッドが適用された先端動作部を平面的に示した模式図である。 変形例におけるZ2方向から見た伝達部材の断面図である。 別の変形例におけるZ2方向から見た伝達部材の断面図である。 作業部をロボットアームの先端に接続した手術用ロボットシステムの概略斜視図である。
以下、本発明に係る医療用マニピュレータについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図19を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る医療用マニピュレータ10は、医療用のマニピュレータシステムの一部であり、コントローラ45に接続されている。
コントローラ45は、医療用マニピュレータ10の電気的な制御をする部分であり、グリップハンドル26の下端部から延在するケーブル62に対してコネクタを介して接続されている。コントローラ45は、医療用マニピュレータ10を独立的に複数台同時に制御することができる。もちろん、1台の医療用マニピュレータ10を制御するコントローラを用いてもよい。
医療用マニピュレータ10は、先端動作部12aに生体の一部又は湾曲針等を把持して所定の処置を行うためのものであり、通常、把持鉗子やニードルドライバ(持針器)等とも呼ばれる。
図1及び図2に示すように、医療用マニピュレータ10は、人手によって把持及び操作される操作部14と、該操作部14に固定された作業部16とを有する。操作部14と作業部16とは一体構成であるが、条件に応じて分離可能な構成にしてもよい。
以下の説明では、図1及び図2における幅方向をX方向、高さ方向をY方向、及び連結シャフト48の延在方向をZ方向と規定する。また、先端側から見て右方をX1方向、左方をX2方向、上方向をY1方向、下方向をY2方向、前方をZ1方向、後方をZ2方向と規定する。さらに、特に断りのない限り、これらの方向の記載は医療用マニピュレータ10が中立姿勢である場合を基準として表すものとする。これらの方向は説明の便宜上のものであり、医療用マニピュレータ10は任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることはもちろんである。
作業部16は、作業を行う先端動作部12aと、該先端動作部12aと操作部14とを連接する長尺で中空の連結シャフト48とを有する。先端動作部12a及び連結シャフト48は細径に構成されており、患者の腹部等に設けられた円筒形状のトラカール20から体腔22内に挿入可能であり、複合入力部34の操作により体腔22内において患部切除、把持、縫合及び結紮等の様々な手技を行うことができる。
操作部14は、人手によって把持されるグリップハンドル26と、該グリップハンドル26の上部から延在するブリッジ28と、該ブリッジ28の先端に接続されたアクチュエータブロック30とトリガレバー(入力部)32を有する。
図1に示すように、操作部14のグリップハンドル26は、ブリッジ28の端部からY2方向に向かって延在しており、人手によって把持されるのに適した長さであり、複合入力部34を有する。
グリップハンドル26の下端には、コントローラ45に接続されるケーブル62が設けられている。グリップハンドル26とケーブル62とは一体的に接続されている。グリップハンドル26とケーブル62とはコネクタにより接続されていてもよい。
複合入力部34は、先端動作部12aに対してロール方向(軸回転方向)及びヨー方向(左右方向)の回転指令を与える複合的な入力手段であり、例えば横方向に動作する第1入力手段34aによってヨー方向指示を行い、軸回転に動作する第2入力手段34bによってロール方向指示を行うことができる。トリガレバー32は、先端動作部12aのエンドエフェクタ104(図1参照)の開閉指令を与える入力手段である。エンドエフェクタ104は種々の形式があるが、医療用マニピュレータ10では開閉可能なグリッパを設けている。
複合入力部34には操作量を検出する入力センサが設けられており、検出した動作信号(例えばアナログ信号)をコントローラ45に供給する。
トリガレバー32は、ブリッジ28のやや下方に設けられたレバーであり、人差し指による操作が容易な位置に設けられている。トリガレバー32は、アクチュエータブロック30に対して第1リンク64及び第2リンク66によって接続されており、グリップハンドル26に対して進退するように構成されている。第1リンク64はブリッジ28の一部に対して軸支されて揺動可能であり、Y2方向端にトリガレバー32が設けられている。第2リンク66は、アクチュエータブロック30からZ2方向に突出し、第1リンク64の長孔64aに係合し、トリガレバー32の操作によって長孔64aの長尺方向に進退可能である。
トリガレバー32の人手による操作は機械的に伝達されてエンドエフェクタ104の開閉が行われる。トリガレバー32とエンドエフェクタ104との間で、人手による操作を機械的に伝達する手段である第1リンク64、第2リンク66、後述する第1エンドエフェクタ駆動機構260a及び第2エンドエフェクタ駆動機構260b等は操作伝達部を形成している。
ここで機械的とはワイヤ、チェーン、タイミングベルト、リンク、ロッド、ギア等を介して駆動する方式であり、主に、動力伝達方向に非弾性な個体の機械部品を介して駆動する方式である。ワイヤやチェーン等は、張力により不可避的な多少の伸びが発生する場合があるが、これらは非弾性な個体の機械部品とし、以下も同様とする。
図1に示すように、アクチュエータブロック30には先端動作部12aが有する3自由度のうち2自由度の機構に対応してモータ(姿勢軸アクチュエータ)40、41が連結シャフト48の延在方向に沿って並列して設けられている。モータ40、41は、先端動作部12aのロール方向及びヨー方向の動作に対応する。モータ40、41は小型、細径であって、アクチュエータブロック30はコンパクトな扁平形状に構成されている。モータ40、41は、操作部14の操作に基づき、コントローラ45の作用下に回転をする。
モータ40、41には、回転角度を検出することのできる角度センサ(図示せず)が設けられており、検出した角度信号はコントローラ45に供給される。角度センサとしては、例えばロータリエンコーダが用いられる。
アクチュエータブロック30には、モータ40、41の駆動軸に接続されているプーリ50a、50bが設けられている。
図3に示すように、プーリ50a、プーリ50bには、ワイヤ52、ワイヤ54が巻き掛けられており、連結シャフト48の中空部分48a(図8参照)を通って先端動作部12aまで延在している。ワイヤ52、ワイヤ54はそれぞれ同種、同径のものを用いることができる。
操作部14における複合入力部34、トリガレバー32の位置、形態や操作方法などは、本構成に限定されない。例えば、複合入力部34の代わりに、操作ローラやボタン、ジョイスティックなどを設けてもよく、操作しやすい位置や方法を適宜選択して設計すればよい。
次に、先端動作部12aについて説明する。先ず、先端動作部12aにおけるエンドエフェクタ104を開閉させる基本的な構成である第1エンドエフェクタ駆動機構260a及び第2エンドエフェクタ駆動機構260bについて説明する。
図4に示すように、先端動作部12aには、伝達部材152、ワイヤ56a(駆動部材)、受動ワイヤ252a、アイドルプーリ140a、ガイドプーリ142a及び受動プーリ(受動円柱体)156を含む第1エンドエフェクタ駆動機構260aと、これに対応した第2エンドエフェクタ駆動機構260bが設けられている。
第1エンドエフェクタ駆動機構260aにおける構成要素には符号にaを付し、第2エンドエフェクタ駆動機構260bにおける構成要素には符号にbを付して区別する。第1エンドエフェクタ駆動機構260aにおける構成要素と第2エンドエフェクタ駆動機構260bにおける構成要素で同じ機能のものについては、煩雑とならないよう、代表的に第1エンドエフェクタ駆動機構260aについてのみ説明する場合がある。
図4においては、理解が容易となるように第1エンドエフェクタ駆動機構260aと第2エンドエフェクタ駆動機構260bを紙面上で並列して示すが、実際の医療用マニピュレータ10に適用する場合には、図3に示すように、各プーリの軸方向(つまりY方向)に並列させている。
図4に示すように、ワイヤ56aにおける一方の端部は、ターミナル250aによって受動ワイヤ(可撓性部材)252aの両端部に接続されている。受動ワイヤ252aは、一部がワイヤ56aに接続された環状の可撓性部材であり、ワイヤ以外にもロープ、樹脂線、ピアノ線及びチェーン等を用いることができる。ここで、環状とは広義であり、必ずしも全長にわたって可撓性部材が適用されている必要はなく、少なくとも各プーリに巻き掛けられる箇所が可撓性部材であればよく、直線部は剛体で接続されていてもよいことはもちろんである。受動ワイヤ252aは、ワイヤ56aの一部であってもよい。
図5及び図6に示すように、先端動作部12aでは、アイドルプーリ140a及び140bは、それぞれ同軸上でY1方向の第1層アイドルプーリ(第1層アイドル円柱体)232a及び232bとY2方向の第2層アイドルプーリ(第2層アイドル円柱体)234a及び234bとを有する。
また、ガイドプーリ142a及び142bは、それぞれ同軸上でY1方向の第1層ガイドプーリ(第1層ガイド円柱体)236a及び236bとY2方向の第2層ガイドプーリ(第2層ガイド円柱体)238a及び238bとを有する。このような構成により、対のプーリ同士が逆方向に回転可能であり、動作がスムーズである。なお、これらの名称は説明の便宜上、区別しているものである。また、アイドルプーリ140a及びガイドプーリ142aの側面には、受動ワイヤ252aを巻き掛けるための溝部が形成されており、第1層アイドルプーリ232aの溝部を、第1層アイドルプーリ溝部232cと称し、第1層アイドルプーリ232bの溝部を、第1層アイドルプーリ溝部232dと称し、以下同様とする。
図7のZ2方向端で、受動ワイヤ252aの一方(以下、識別の都合上、往路線253aとも呼ぶ。)は、第1層アイドルプーリ232aのX1方向面及びZ1方向面に接し、第1層ガイドプーリ236aのZ2方向面及びX2方向面に接して受動プーリ156のX2方向面に達し、Z1方向の面に半回転巻き付けられて、該受動プーリ156のX1方向面に至る。受動ワイヤ252bでも同様に、受動円柱体155及び折り返しプーリ350のX2方向面に達し、Z1方向の面に半回転巻き付けられて、該受動円柱体155のX1方向面に達し、Z2方向の面をY2方向へ斜行しながら半回転巻き付けられて、該受動円柱体155のX2方向面に至るものを、往路線254aとも呼ぶ。
図7のZ2方向端で、受動ワイヤ252aの他方(以下、識別の都合上、復路線253bとも呼ぶ。)は、第2層アイドルプーリ234aのX2方向面及びZ1方向面に接し、第2層ガイドプーリ238aのZ2方向面及びX1方向面に接して、受動プーリ156のX1方向面に至る。受動ワイヤ252bでも同様に、受動円柱体155及び折り返しプーリ350のX1方向面に達し、Z1方向の面に半回転巻き付けられて、該受動円柱体155のX2方向面に至るものを、復路線254bとも呼ぶ。
つまり、受動ワイヤ252aは、アイドルプーリ140aより基端側に位置するターミナル250aを基点及び終点とする一巡経路を構成しており、アイドルプーリ140aとガイドプーリ142aとの間で交差して、略8字形状をなしている(図3参照)。これにより、ターミナル250a及び受動ワイヤ252aは、ワイヤ56aを介してトリガレバー32に対して機械的に接続されていることになる。
ここで機械的とは、前記のように、動力伝達方向に非弾性な個体の機械部品を介して駆動する方式である。例えば、ワイヤ56は可撓性部材であるが、エンドエフェクタ104を閉じる動作に関してはトリガレバー32でZ2方向に引かれ、ほとんど弾性変形することがなく、又は動作に支障のない範囲での不可避的弾性変形であり、機械的接続手段となっている。
また、ここでいう受動ワイヤ252aは、アイドルプーリ140aとガイドプーリ142aとの間における交差とは、平面視上で交差していることであり、当然に、Y方向にはずれが生じる。また、ガイドプーリ142aは、第1層ガイドプーリ236aと第2層ガイドプーリ238bから構成されることから、往路線253aと復路線253bとの間には必然的にY方向のずれが生じ得る。
図6に示すように、往路線253aは復路線253bに対してY1側にずれているものとし、そのY方向ずれ量Δ(図12及び図14参照)は、受動ワイヤ252aの径よりもやや大きい。ガイドプーリ142aを基準とすると、往路線253aは復路線253bよりもΔだけY1方向にずれた位置からZ方向の受動プーリ156に向かって延出することになる(図14参照)。
ワイヤ56a(図3参照)をZ2方向に引き寄せると、平面視で、第1層アイドルプーリ232a及び第2層ガイドプーリ238aは反時計方向に回転し、第2層アイドルプーリ234a及び第1層ガイドプーリ236aは時計方向に回転する。このように、アイドルプーリ140a及びガイドプーリ142aは、それぞれ同軸上で2枚のプーリが並列する構成であることから、当接する受動ワイヤ252aの動きに従って逆方向に回転可能であり、動作がスムーズである。
第2エンドエフェクタ駆動機構260bは、第1エンドエフェクタ駆動機構260aにおける受動ワイヤ252a、アイドルプーリ140a、ガイドプーリ142a、受動プーリ156に相当する受動ワイヤ252b、アイドルプーリ140b、ガイドプーリ142b及び受動円柱体155を有すると共に、折り返しプーリ350を有する。折り返しプーリ350は、受動円柱体155よりもZ1側に設けられている。受動円柱体155はY方向を基準軸とし、受動プーリ156はY軸に対して傾斜して伝達部材152に設けられており、該伝達部材152と共にZ方向に移動可能である。折り返しプーリ350は、伝達部材152に対して、Z方向に相対的に移動可能に設けられている。これらの折り返しプーリ350、受動円柱体155、受動プーリ156及び伝達部材152の詳細な構成については後述する(図12〜図14参照)。
図7に示すように折り返しプーリ350は、同軸上でY1方向の第1層折り返しプーリ(第1層折り返し円柱体)360とY2方向の第2層折り返しプーリ(第2層折り返し円柱体)362とを有する。第1層折り返しプーリ360及び第2層折り返しプーリ362の側面には、第1層アイドルプーリ232a等と同様に、第1層折り返しプーリ溝部360c及び第2層折り返しプーリ溝部362cを有してもよい。
また、図7のZ2方向端で、受動ワイヤ252bの一方は、第1層アイドルプーリ232bのX1方向面及びZ1方向面に接し、第1層ガイドプーリ236bのZ2方向面及びX2方向面に接し、受動円柱体155のX2方向面に至る。該受動ワイヤ252bは、そのままZ1方向に向かって延在し、第1層折り返しプーリ360のX2方向面に達し、該第1層折り返しプーリ360のZ1方向の面に半回転巻き付けられてZ2方向に折り返す。該受動ワイヤ252bは、そのままZ2方向に向かって延在し、受動円柱体155のX1方向面に達し、該受動円柱体155のZ2方向の面に半回転巻き付けられながら、Y2方向へ斜行して、Z1方向に折り返し、第2層折り返しプーリ362のX2方向面に至る。
図7のZ2方向端で、受動ワイヤ252bの他方は、第2層アイドルプーリ234bのX2方向面及びZ1方向面に接し、第2層ガイドプーリ238bのZ2方向面及びX1方向面に接し、受動円柱体155のX1方向面に至る。該受動ワイヤ252bは、そのままZ1方向に向かって延在し、第2層折り返しプーリ362のX1方向面に達してから、Z1方向の面に半回転巻き付けられて、該第2層折り返しプーリ362のX2方向面に至る。このように、受動ワイヤ252bについても、受動ワイヤ252aと同様に、ターミナル250bを基点及び終点とする一巡の経路を構成しており、ワイヤ56bを介してトリガレバー32に対して機械的に接続されていることになる。
図3及び図4に示すように、第2リンク66は、ターミナル249a(または溶接や貫通孔等)を介して、ワイヤ56aの端部と、駆動側連結ワイヤ(駆動側連結可撓性部材)322の端部とに接続されている。
駆動側連結ワイヤ322は、駆動部材進退機構である駆動側連結プーリ(回転操作子)324に巻き掛けられており、一方の端部は前述の通りターミナル249aを介して、ワイヤ56a及び第2リンク66の端部に接続され、他方の端部はターミナル249bを介して、ワイヤ56bの端部に接続されている。なお、図4の仮想線で示したように、トリガレバー32を、駆動側連結プーリ324の代わりに、駆動部材進退機構として用いてもよい。
このような構成によれば、ワイヤ56aとワイヤ56bとを簡便に逆方向に進退させることができ、トリガレバー32を引き寄せる操作をすると、ターミナル249aも一体的に引き寄せられて、伝達部材152をZ2方向に移動させることができる。また、トリガレバー32を押し出す操作をすると、ターミナル249bが一体的に引き寄せられ、折り返しプーリ350は位置が固定されていることにより、受動円柱体155及び伝達部材152をZ1方向に移動させることができる。エンドエフェクタ104は、このような伝達部材152の進退動作に基づいて開閉する。
なお、アイドルプーリ140a、ガイドプーリ142a、受動円柱体155、受動プーリ156、及び折り返しプーリ350は略同径であり、受動ワイヤ252aが適度に屈曲しないように、レイアウト上、可能な範囲で大径にしている。ターミナル250aは、受動ワイヤ252aが過度に屈曲しないように、アイドルプーリ140aよりも適度に離れた位置に設けられており、受動ワイヤ252aの両端部はターミナル250aを頂部として鋭角を形成している。アイドルプーリ140aとガイドプーリ142aとの間は狭く、例えば、受動ワイヤ252aの幅と略等しい隙間が形成されている。
図6に示すように、内寄りの2つの第2層アイドルプーリ234a、と第1層アイドルプーリ232bは一体構成で中央共通アイドルプーリ430を構成していてもよい。内寄りの2つの第2層ガイドプーリ238aと第1層ガイドプーリ236aは一体構成で中央共通ガイドプーリ432を構成していてもよい。
すなわち、ターミナル250aとターミナル250b(図4参照)は、逆方向に同じ距離だけ移動するのであるから、図6の各矢印で示すような動作が発生し、第2層アイドルプーリ234aと第1層アイドルプーリ232bは同方向(図6では時計方向)に同じ角度だけ回転し、第2層ガイドプーリ238aと第1層ガイドプーリ236bは同方向(図6では反時計方向)に同じ角度だけ回転する。従って、これらの部材は別部材とする必要はなく、一体的な中央共通アイドルプーリ430及び中央共通ガイドプーリ432を構成することにより、簡便構成となる。図6では、理解が容易なように、第2層ガイドプーリ238aと第1層ガイドプーリ236bとの距離、及び第2層アイドルプーリ234aと第1層アイドルプーリ232bとの距離をやや離して示しているが、両者の距離は実質的にゼロでもよい。
次に、先端動作部12aの全体的な構成について説明する。
図8、図9及び図10に示すように、先端動作部12aは、ワイヤ受動部100と、複合機構部102と、エンドエフェクタ104とを有し、Y方向の第1回転軸Oyを中心にして、それよりも先の部分がヨー方向に回動する第1自由度と、第2回転軸Orを中心にしてロール方向に回動する第2自由度と、第3回転軸Ogを中心として先端のエンドエフェクタ104を開閉させる第3自由度とを有する合計3自由度の機構となっている。
第1自由度の機構である第1回転軸Oyは、連結シャフト48の基端側から先端側に延在する軸線Cと非平行に回動可能に設定するとよい。第2自由度の機構である第2回転軸Orは先端動作部12における先端部(つまりエンドエフェクタ104)の延在方向の軸線を中心として回動可能な機構とし、先端部をロール回転可能に設定するとよい。
第1自由度の機構(つまりヨー方向)は、例えば±90°又はそれ以上の稼動範囲を有する。第2自由度の機構(つまりロール方向)は、例えば±180°又はそれ以上の稼動範囲を有する。第3自由度の機構(つまりエンドエフェクタ104)は、例えばそれぞれ40°又はそれ以上開くことができる。
エンドエフェクタ104は、手術において実際の作業を行う部分であり、第1回転軸Oy及び第2回転軸Orは、作業を行い易いようにエンドエフェクタ104の姿勢を変えるためのものである。一般に、エンドエフェクタ104を開閉させる第3自由度に係る機構部はグリッパ(又はグリッパ軸)とも呼ばれ、ヨー方向に回動する第1自由度に係る機構部はヨー軸とも呼ばれ、ロール方向に回動する第2自由度に係る機構部はロール軸とも呼ばれる。
図8に示すように、ワイヤ受動部100は、一対の舌片部58の間に設けられており、ワイヤ52、ワイヤ54のそれぞれの往復動作を回転動作に変換して複合機構部102に伝達する部分である。ワイヤ受動部100は、軸孔60a、60aに挿入される軸110と、軸孔60b、60bに挿入される軸112とを有する。軸110及び112は、軸孔60a、60bに対して、例えば圧入若しくは溶接により固定される。軸112は第1回転軸Oyの軸上に配置される。
軸112のY方向両端には、Y方向に対称形状の歯車体126及び歯車体130が設けられている。歯車体126は、筒体132と、該筒体132の上部に同心状に設けられた歯車134とを有する。歯車体130は、歯車体126とほぼ同形状であって、該歯車体126に対してY方向に反転に配置されている。歯車体130は、筒体136と、該筒体136の下部に同心状に設けられた歯車138とを有する。歯車134及び歯車138は、後述するギア体146のフェイスギア165の上端部及び下端部に噛合する。
筒体136は筒体132と略同径、同形状である。筒体132及び筒体136には、ワイヤ52及び54が所定の固定手段によって一部が固定されて巻き掛けられている(図3参照)。
ワイヤ52及び54を回転動作させることにより、歯車体126及び歯車体130を軸112に対して回転させることができる(図3参照)。歯車体126と歯車体130を同方向に同速度で回転させると、ギア体146は軸112を基準として揺動し、ヨー方向動作が行われる。歯車体126と歯車体130を逆方向に同速度で回転させると、ギア体146は第2回転軸Orを基準として回転し、ロール回転動作が行われる。歯車体126と歯車体130を異なる速度で回転させると、ギア体146は、ヨー方向動作とロール回転動作の複合動作が行われる。つまり、歯車体126、歯車体130及びギア体146は差動機構を構成している。
ヨー軸、ロール軸の駆動機構は、必ずしも作動機構である必要はなく、主軸部材144にプーリが一体化された構成によるヨー軸動作とピニオンギア1個とフェイスギア1個の組み合わせによるロール軸動作でもよい。
軸110の略中央部には一対のアイドルプーリ(アイドル円柱体)140aが回転自在に軸支されており、軸112の略中央部には一対のガイドプーリ(ガイド円柱体)142aが回転自在に軸支されている。アイドルプーリ140aは、ガイドプーリ142aに巻きかける受動ワイヤ252aの巻き掛け角度を常に一定(両側合わせて約180°)に保つためにある。また、アイドルプーリ140a及びガイドプーリ142aは、受動ワイヤ252a(図4参照)に対するすべり、及び摩擦による摩耗を低減するために、表面を滑らかにし、又は摩擦の少ない材質を用いるとよい。
軸112における、歯車体126とガイドプーリ142aとの間、及びガイドプーリ142bと歯車体130との間には主軸部材144が回転自在に軸支されている。主軸部材144は、複合機構部102に向けて突出する筒部を有する。主軸部材144の軸心部には方形の孔144aが設けられており、筒部にはピン352が挿入及び固定される径方向の軸孔354が設けられている。ピン352は、軸孔354を通って伝達部材152の長孔356に挿入(圧入)される(図12参照)。主軸部材144のZ2方向端部には、ガイドプーリ142a及び142bのY方向両面を保持すると共に軸112が挿通する孔を有する2枚の補助板144bが設けられている。補助板144bはZ1方向に向かって幅広となる山型であって、糸等の異物の侵入を防止する。
なお、図3に示すように、アイドルプーリ140a及び140bと、ガイドプーリ142a及び142bの回転軸は、それぞれ同軸上に配置するとよい。つまり、アイドルプーリ140a及び140bは軸110に共通的に軸支することができ、ガイドプーリ142aと142bは軸112に共通的に軸支することができる。ガイドプーリ142aとガイドプーリ142bを同軸構成とすることにより、ヨー軸動作機構が簡便になる。
複合機構部102は、エンドエフェクタ104の開閉動作機構と、該エンドエフェクタ104の姿勢を変化させる複合的な機構部である。
複合機構部102は、主軸部材144の筒部周面に対して回転自在に嵌挿されたギア体146と主軸部材144の先端に設けられたナット体148と、Z2方向端部が孔144aに挿入され、伝達部材152と、該伝達部材152のZ2方向端部に、ピン154で回転自在に軸支されている受動プーリ156と、受動板158と、円筒状のカバー160と、該ピン352で回転自在に軸支されている折り返しプーリ350とを有する。伝達部材152のZ2方向端部は、受動プーリ156に対する摺動性をあげるためにコの字状をしており、Z2方向に向かって長く突出している。
主軸部材144におけるギア体146と当接する部分には、樹脂製のスラスト軸受部材144cが設けられている。ナット体148におけるギア体146と当接する部分には、樹脂製のスラスト軸受部材148aが設けられている。スラスト軸受部材144c及び148aは低摩擦材であって、当接部分の摩擦及びトルクを低減すると共に、フェイスギア165に負荷が直接的にかかることを防止する。スラスト軸受部材144c及び148aは、いわゆるすべり軸受であるが、転がり軸受を設けてもよい。これにより、エンドエフェクタ104を強く閉じた場合や開いた場合、すなわちギア体146が主軸部材144に強く当接する場合でも、ロール軸動作をスムーズに行うことができる。軸孔354は、孔144aを経由して主軸部材144の筒部を貫通している。孔144aは、伝達部材152、受動円柱体155、受動プーリ156、及び折り返しプーリ350が挿入可能な高さを有する。
ギア体146は、段付き筒形状であって、Z2方向の大径部162と、Z1方向の小径部164と、大径部162のZ2方向端面に設けられたフェイスギア165とを有する。フェイスギア165は、歯車134及び歯車138に噛合する。ギア体146は、ナット体148によって主軸部材144から抜けることが防止されている。主軸部材144の筒部外周には、ナット体148が螺合するねじが設けてある。
伝達部材152は、作業部16の軸心よりY1方向にややオフセットした位置に設けられるが、Z1方向先端に設けられた突起174だけは軸心に配置させるとよい。もちろん、伝達部材152は中心に配置してもよい。
受動板158は、Z2方向の凹部166と、該凹部166の底面に設けられた係合部168と、X方向両面にそれぞれ設けられた軸方向のリブ170と、X方向に対称位置に2つ設けられたリンク孔172とを有する。係合部168は、伝達部材152の先端に設けられたきのこ状の突起174に係合する形状である。この係合により、受動板158と伝達部材152は、相対的なロール軸の回転が可能になる。受動板158の幅はカバー160の内径に略等しい。
カバー160は、複合機構部102のほぼ全体を覆う大きさであり、複合機構部102及びエンドエフェクタ104に異物(生体組織、薬剤、糸等)が入り込むことが防止される。カバー160の内面には、受動板158の2つのリブ170が嵌る軸方向の2本の溝175が対向する向きに設けられている。溝175にリブ170が嵌ることにより受動板158が軸方向にガイドされる。受動板158の係合部168には突起174が係合することから、受動円柱体155及び受動プーリ156は孔144a内において、受動板158及び伝達部材152と共に軸方向に進退可能であると共に、伝達部材152を基準としてロール回転が可能である。カバー160は、ギア体146の大径部162に対して螺入、圧入等の手段により固定されている。
次に、エンドエフェクタ104は、一対のエンドエフェクタ部材308と、ピン196とを有する。ピン196は第3回転軸Ogの軸上に配置される。
先端動作部12aのエンドエフェクタ104は、一対のグリッパ302が動作をするいわゆる両開き型である。エンドエフェクタ104は、カバー160に対して一体構成のグリッパベース304と、該グリッパベース304に設けられたピン196を基準にして動作する一対のエンドエフェクタ部材308と、一対のグリッパリンク220とを有する。
各エンドエフェクタ部材308は、L字形状であって、Z1方向に延在するグリッパ302と、該グリッパ302に対して略35°に曲がって延在するレバー部310とを有する。L字形状の屈曲部には、孔216が設けられ、レバー部310の端部近傍には孔218が設けられている。孔216にピン196が挿入されることにより一対のエンドエフェクタ部材308は第3回転軸Ogを中心として揺動自在となる。
各エンドエフェクタ部材308は側方の1つのグリッパリンク220によって、受動板158のピン224に連接されている。エンドエフェクタ104の受動板158ではリンク孔172が図8のX方向に対称位置に2つ設けられており、一対のグリッパリンク220は側面視で交差する配置である。
このような先端動作部12aでは、一対のグリッパ302を対向する位置に配置することで、力のバランスを良好にし、不用意にモーメント荷重などを掛かるのを防ぐことができる。
図9及び図10から明らかなように、一対のエンドエフェクタ部材308は、伝達部材152の動作に対して基本的に同期駆動されるため、中心軸に対して左右対称に開閉することが可能である。
図11に示すように、ヨー軸動作をする場合、ガイドプーリ142a及びガイドプーリ142bの軸(図3参照)を中心にして、それよりも先端の複合機構部102及びエンドエフェクタ104がヨー方向に揺動する。先端動作部12aは、先端動作部12aと同様に非干渉機構であることから、ヨー軸動作をしてもエンドエフェクタ104の開度が変化することはなく、逆にエンドエフェクタ104の開度を変化させてもヨー軸が動作することはない。エンドエフェクタ104とロール軸の関係についても同様である。
また、エンドエフェクタ104はトリガレバー32に対して機械的に直接接続されていることから、強い把持力が得られると共に、エンドエフェクタ104に加わる力はトリガレバー32に伝達される。
先端動作部12aにおけるエンドエフェクタ104の把持及び開き動作時のワイヤ駆動比は1:1であり、バランスがよい。
次に、伝達部材152及び該伝達部材152に設けられる受動プーリ156、受動円柱体155及び折り返しプーリ350の構成について説明する。
図7及び図12に示すように、伝達部材152はY方向に薄く、Z方向に長い板体をベースに構成されており、前記のピン154、受動円柱体155、受動プーリ156、突起174、ピン352及び長孔356を備える。受動プーリ156の側面には、受動ワイヤ252aを周方向に案内する溝部(受動円柱体溝部)156cが設けられている。
突起174は、Z1方向端部に設けられ、先端の円柱形状部が受動板158の係合部168に係合するきのこ形状である。この係合により、伝達部材152はZ方向の進退動作を受動板158に伝達可能であると共に、該受動板158はロール軸方向の回転が可能となっている。
長孔356は、伝達部材152の略中央部に設けられ、Z方向に長く、Y方向に連通する孔であり、ピン352が挿通している。前記の通りピン352は、主軸部材144(図8参照)における筒部の軸孔354に圧入され、折り返しプーリ350を軸支している。折り返しプーリ350は、主軸部材144の孔144a内において、伝達部材152のY2方向側面に接し、ピン352に回転自在に軸支されている。つまり、ピン352及び折り返しプーリ350は位置が固定されている。
受動円柱体155は、伝達部材152のZ2方向端部近傍におけるY2方向側面において、該伝達部材152に対して一体化して突出形成されており、受動ワイヤ252bが2巻き可能な幅を有する。受動円柱体155を受動プーリ156のように回転自在構成としないのは、該受動円柱体155に接する箇所において、受動ワイヤ252bが、該受動円柱体155との間に強い摩擦力を生じた状態で移動をすることがほとんどないためである。すなわち、該受動円柱体155に強い摩擦力が生じるのは、エンドエフェクタ104が開いた状態のときであるが、その状態でヨー軸動作をすることは、ほとんどないと考えてよい。
図12及び図13に示すように、伝達部材152は、さらに、Z方向近傍端部において受動プーリ156が配置されるプーリ溝270と、該プーリ溝270内で受動プーリ156を軸支するピン154とを有する。ピン154は、斜穴272に圧入されている。プーリ溝270は、受動プーリ156よりも僅かに広幅であって、受動ワイヤ252aが通過可能となる程度に、Z2方向面に開口すると共に伝達部材152に対してX1方向面からX2方向面に連通しているが、その連通する向きは、X方向に対してやや傾斜している。図13から明らかなように、プーリ溝270は適度に狭く形成されていることから、受動ワイヤ252aは受動プーリ156の周面から抜け落ちることはないが、溝部156cが設けられていることにより、受動ワイヤ252aがプーリ溝270の壁面に摺接することなく、しかも安定する。
斜穴272及びピン154は、プーリ溝270の上下面に対して直交する向きであって、Y方向軸(換言すれば、ガイドプーリ142aが軸支される軸112の方向)を基準としてXY平面内で傾斜している。斜穴272は、Y1方向面にのみ開口する有底穴であるが、連通孔としてもよい。受動円柱体155は、設計条件によっては回転体としてもよいが、Y方向軸を基準に回転させる必要があることから、その回転支軸は斜めの軸Jを基準とするピン154と共通化することは困難である。前記のようにこの部分で受動ワイヤ252bは、該受動円柱体155との間に強い摩擦力を生じた状態で移動することがほとんどないため、結局、受動円柱体155は伝達部材152に対して一体化することが望ましい。
図13に示すように、伝達部材152をZ2方向側から見たとき、ピン154の軸Jは、反時計方向にやや傾斜しており、ピン154及び受動プーリ156もこれに応じて傾斜している。従って、受動プーリ156のX1方向側端面は、X2方向側端面よりもY2方向にずれていることになり、そのずれ量はΔである。該Δは、前記の通りガイドプーリ142aにおける往路線253aと復路線253bとのY方向についての差である。換言すれば、受動プーリ156における受動ワイヤ252aを巻き掛けるX方向両端面は、Y方向(ガイド円柱体142aの軸方向)に関してΔだけずれている。
そうすると、図14に示すように、往路線253aは、ガイドプーリ142aにおける第2層ガイドプーリ238aから真っ直ぐにZ1方向に延出して受動プーリ156のX1方向面に至り、復路線253bは、ガイドプーリ142aにおける第1層ガイドプーリ236aから真っ直ぐにZ1方向に延出して受動プーリ156のX2方向面に至る。従って、往路線253a及び復路線253bは、伝達部材152のプーリ溝270の壁端部に当接することなく、しかも、受動プーリ156の溝部156cに対してその溝の延在方向に真っ直ぐ案内され、いずれの角部にも当たることがない。往路線253a及び復路線253bからなる受動ワイヤ252aは、受動プーリ156によって半回転巻き取られ、この間にY方向の高さがΔだけ変位することになり、いずれの角部にも摺接することなく送り出されることになる。
仮に、軸JがY軸方向を指向し、プーリ溝270がXZ平面に平行な形状で、受動プーリ156がXZ平面で回転するものとすると、受動ワイヤ252aは、プーリ溝270のZ2方向の壁端部や、受動プーリ156の溝部156cを形成する壁部や、ガイドプーリ142aの溝部236cを形成する壁部等の角部に当接する。また、マニピュレータ10は腹腔鏡下手術で用いられることから、先端動作部12aは非常に小さく、図12及び図14に示すように、軸112と軸Jとの幅Wも小さい。伝達部材152はZ方向に変位することからZ2方向よりに最大変位したときに幅Wは相当に小さくなり、受動ワイヤ252aの傾斜角度がある程度大きくなり、上記角部との当接する角度も大きくなる。従って、そのまま駆動すると受動ワイヤ252aは該角部に摺接し、摩擦(摩耗及び損傷等を含む。)が発生することが理解されよう。
本実施の形態に係る医療用マニピュレータ10では、ピン154の軸Jは、ガイドプーリ142aが軸支される軸112の方向に対して非平行であって、受動ワイヤ252aは、往路線253a及び復路線253bともガイドプーリ142aと受動プーリ156との間で真っ直ぐZ方向に延在していることから、このような摺接による摩擦が発生することがなく、受動ワイヤ252a、受動プーリ156及び伝達部材152の寿命が向上する。
また、本実施の形態に係る医療用マニピュレータ10が特に有効となる状況は、エンドエフェクタ104の把持状態におけるヨー軸動作時である。このような場合、受動ワイヤ252aは、基本的には動くことはないが、張力の高い状態で受動プーリ156を回転させると共に、ガイドプーリ142aに対しても、相対的に移動することになる。よって、仮に、軸JがY軸方向を指向し、プーリ溝270がXZ平面に平行な形状で、受動プーリ156がXZ平面で回転するものとすると、受動ワイヤ252aが、プーリ溝270のZ2方向の壁端部や、受動プーリ156の溝部156cを形成する壁部や、ガイドプーリ142aの溝部236cを形成する壁部等の角部に当接するため、受動ワイヤ252aは該角部に摺接し、摩擦(摩耗及び損傷等を含む。)が発生することが理解されよう。
なお、受動ワイヤ252bについては、図12に示すように、受動円柱体155のZ2側面においてY方向にΔ1だけずれて巻かれている。該Δ1は、ガイドプーリ142bにおける往路線254aと復路線254bとのY方向についての差である。受動ワイヤ252bは、受動ワイヤ252aと同様に、基本的には動くことはないが、受動円柱体155に対して相対的に移動することになる。ただし、受動ワイヤ252bが張力の高い状態、すなわちエンドエフェクタ104を開く方向に強く押し付けた状態でヨー軸動作を行うことはあまりないため、摺動が生じても、受動ワイヤ252bに摩擦(摩耗及び損傷等を含む。)が生じない程度であることから、受動プーリ156のように斜軸化する必要はなく、伝達部材152と一体化して形成されてもよい。
次に、先端動作部12aの変形例としての先端動作部12bを図15に示す。
図15に示すように、先端動作部12bは、前記の先端動作部12a(図4参照)と比較して第1エンドエフェクタ駆動機構260aを有している点で共通するが、第2エンドエフェクタ駆動機構260bが省略された構成となっている。先端動作部12bについて、先端動作部12aと同一の構成要素については同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
先端動作部12bは、前記の両開き型のエンドエフェクタ104に代えて片開き式のエンドエフェクタ300が設けられている。エンドエフェクタ300は、固定のグリッパ202とピン196を中心として軸開閉動作をするグリッパ212と、伝達部材152をZ1方向に弾性付勢するスプリング312とを有している。グリッパ212は、伝達部材152が進退することにともなってグリッパリンク220を介して開閉駆動される。すなわち、トリガレバー32をZ2方向に引くと第1エンドエフェクタ駆動機構260aによって伝達部材152もZ2方向に変位し、グリッパ212は図15における反時計方向に回動してエンドエフェクタ300が閉動作をする。一方、トリガレバー32を開放すると、伝達部材152はスプリング312の付勢によってZ1方向に変位し、エンドエフェクタ300は開状態に復帰する。また、トリガレバー32はZ1方向に復帰する。
この先端動作部12bにおいても、受動プーリ156の軸Jは、ガイドプーリ142aの軸112に対して傾斜して設定されており、受動プーリ156とガイドプーリ142aとの間で往路線253a及び復路線253bは、真っ直ぐにZ方向に張られており、受動プーリ156の溝部156cの壁部等の角部に摺接することがない。
第1エンドエフェクタ駆動機構260a及び第2エンドエフェクタ駆動機構260bにおけるワイヤ56a及び56b(図4参照)は、図16に示すように、直動ロッド326a及び326bで置きかえてもよい。一般にロッドの方がワイヤより剛性が高いため、直動動作のみの部分は、ロッドを用いることにより大きな把持力を得られ、しかも長寿命である。
駆動側連結ワイヤ322は、駆動側連結プーリ324を省略し、ワイヤ56a及び56bや図16に示す直動ロッド326a及び326bは、トリガレバー32に直接的に接続されていてもよい。ワイヤ56a及び56bや図16に示す直動ロッド326a及び326bの途中には、過荷重の印加を防止する荷重リミッタが設けられていてもよい。
変形例としては、図17に示すように、受動円柱体155は、伝達部材152のZ2方向端部近傍におけるY2方向側面に接し、該伝達部材152に一体化して形成されたピン157aに軸支されて、回転自在に形成されてもよい。ピン157aの軸J2は、伝達部材152をZ2方向側から見たとき、時計方向にやや傾斜しており、ピン157a及び受動円柱体155もこれに応じて傾斜している。この際、受動円柱体155は、受動ワイヤ52bが1巻き可能な幅を有し、軸J2の抜け止め159も有する。従って、受動円柱体155のX1方向側端面は、X2方向側端面よりもY1方向にずれていることになり、そのずれ量は、図12に示したものと同様にΔ1である。該Δ1は、前記の通りガイドプーリ142bにおける往路線254aと復路線254bとのY方向についての差であるが(図12参照)、換言すれば、受動円柱体155における受動ワイヤ252bを巻き掛けるX方向両端面は、図17に示すように、Y方向(ガイド円柱体142bの軸方向)に関してΔ1だけずれている。なお、受動円柱体155は、受動プーリ156等と同様に、溝部155cを有してもよい。これによって、受動ワイヤ252bが張力の高い状態、すなわちエンドエフェクタ104を開く方向に強く押し付けた状態でヨー軸動作を行う場合(例えば、エンドエフェクタ104で生体組織を押し広げながら、その向きを変えるようなレアケースにおいて)に生じる摺動による摩擦(摩耗及び損傷等を含む。)を減少させることができる。
別の変形例としては、図18に示すように、受動円柱体155は、伝達部材152のZ2方向端部近傍におけるY2方向側面に接し、Y方向に設けられたピン157bによって、回転自在に形成されてもよい。この際、受動円柱体155は、受動ワイヤ252bが2巻き可能な幅を有する。これによって、摺動による摩擦(摩耗及び損傷等を含む。)を減少させることができ、且つ先の変形例の場合と比べて、構成が簡便となる。
上記実施例は、例えば図19に示すような手術用ロボットシステム700に適用してもよい。
手術用ロボットシステム700は、多関節型のロボットアーム702と、コンソール704とを有し、作業部16はロボットアーム702の先端に接続されている。ロボットアーム702の先端には前記の医療用マニピュレータ10と同じ機構が設けられている。ロボットアーム702は、作業部16を移動させる手段であればよく、据置型に限らず、例えば自律移動型でもよい。コンソール704は、テーブル型、制御盤型等の構成を採りうる。
ロボットアーム702は、独立的な6以上の関節(回転軸やスライド軸等)を有すると、作業部16の位置及び向きを任意に設定できて好適である。先端の医療用マニピュレータ10は、ロボットアーム702の先端部708と一体化している。医療用マニピュレータ10は、前記のトリガレバー32の代わりにモータ(人手によって操作する入力部に連動するアクチュエータ)42を有し、該モータ42がワイヤ56a,56bを駆動する。
ロボットアーム702は、コンソール704の作用下に動作し、プログラムによる自動動作や、コンソール704に設けられたジョイスティック706に倣った操作、及びこれらの複合的な動作をする構成にしてもよい。作業部16には、前記の先端動作部12が設けられている。
コンソール704には、操作指令部としての2つのジョイスティック706と、モニタ710が設けられている。図示を省略するが、2つのジョイスティック706により、2台のロボットアーム702を個別に操作が可能である。2つのジョイスティック706は、両手で操作しやすい位置に設けられている。モニタ710には、軟性鏡による画像等の情報が表示される。
ジョイスティック706は、上下動作、左右動作、捻り動作、及び傾動動作が可能であり、これらの動作に応じてロボットアーム702を動かすことができる。ジョイスティック706はマスターアームであってもよい。ロボットアーム702とコンソール704との間の通信手段は、有線、無線、ネットワーク又はこれらの組合わせでよい。
ジョイスティック706には、トリガレバー32が設けられており、該トリガレバー32を操作することによりモータ42を駆動可能である。
本発明に係る医療用マニピュレータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…医療用マニピュレータ 12、12a、12b…先端動作部
14…操作部 16…作業部
32…トリガレバー 40、41、42…モータ
48…連結シャフト 52、54、56…ワイヤ
104、300…エンドエフェクタ 140a、140b…アイドルプーリ
142a、142b…ガイドプーリ 152…伝達部材
154、157a、157b、196、224、352…ピン
155…受動円柱体 156…受動プーリ
156c…溝部(受動円柱体溝部) 158…受動板
160…カバー 202、212、302…グリッパ
232a、232b…第1層アイドルプーリ
232c、232d…第1層アイドルプーリ溝部
234a、234b…第2層アイドルプーリ
236a、236b…第1層ガイドプーリ
238a、238b…第2層ガイドプーリ
252a、252b…受動ワイヤ
260a、260b…エンドエフェクタ駆動機構
312…スプリング 322…駆動側連結ワイヤ
324…駆動側連結プーリ 350…折り返しプーリ
356…長孔 360…第1層折り返しプーリ
362…第2層折り返しプーリ

Claims (9)

  1. 基端側に設けられ、進退する駆動部材と、
    前記駆動部材に一部が接続された環状の可撓性部材と、
    駆動部材より先端側に設けられたアイドル円柱体と、
    前記アイドル円柱体より先端側で、進退可能に設けられた受動円柱体と、
    前記アイドル円柱体と前記受動円柱体との間に設けられたガイド円柱体と、
    前記受動円柱体に連結されたエンドエフェクタと、
    を含むエンドエフェクタ駆動機構を有し、
    前記可撓性部材は、前記アイドル円柱体の両側方を通り、前記ガイド円柱体と前記受動円柱体との間で交差し、前記ガイド円柱体の両側方を軸方向にずれた位置で通り、前記受動円柱体に巻き掛けられ、
    前記ガイド円柱体から前記受動円柱体に向かう方向をZ方向とし、
    前記可撓性部材は、往路側及び復路側とも前記ガイド円柱体と前記受動円柱体との間でZ方向に延在するように、前記ガイド円柱体の軸と前記受動円柱体の軸はZ方向から見て非平行に形成されていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  2. 請求項1記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記受動円柱体の側面に、前記可撓性部材を周方向に案内する受動円柱体溝部が設けられていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  3. 請求項1又は2記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記ガイド円柱体は、前記可撓性部材の往路側及び復路側のいずれか一方を案内する第1層ガイドプーリと、前記第1層ガイドプーリに対して軸方向にΔだけずれた位置で他方を案内する第2層ガイドプーリとを有し、
    前記受動円柱体における前記可撓性部材の巻き掛け両端面は、前記ガイド円柱体の軸方向に関してΔだけずれていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記アイドル円柱体は、同軸上の第1層アイドルプーリと第2層アイドルプーリの2枚が並列して構成されることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記可撓性部材は1本の線材からなり、前記駆動部材に対する接続部以外の箇所で、両端が固定されることにより環状となっていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記駆動部材は、人手によって操作する入力部に対して機械的に接続されていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記エンドエフェクタ駆動機構を第1エンドエフェクタ駆動機構とし、
    前記駆動部材、前記可撓性部材、前記アイドル円柱体、前記受動円柱体、前記ガイド円柱体に相当する部材を備える第2エンドエフェクタ駆動機構と、
    前記第1エンドエフェクタ駆動機構の前記駆動部材と前記第2エンドエフェクタ駆動機構の前記駆動部材を逆方向に進退させる駆動部材進退機構と、
    前記第2エンドエフェクタ駆動機構で、前記受動円柱体よりも先端側の折り返し円柱体と、
    を有し、
    前記第2エンドエフェクタ駆動機構で、前記可撓性部材は、前記第2エンドエフェクタ駆動機構の前記受動円柱体と前記折り返し円柱体とにわたって巻き掛けられ、前記第2エンドエフェクタ駆動機構の前記ガイド円柱体の軸と前記受動円柱体の軸は平行であることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  8. 請求項7記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記第1エンドエフェクタ駆動機構の前記受動円柱体は、前記エンドエフェクタを駆動させる伝達部材に回転自在に軸支されたプーリであり、
    前記第2エンドエフェクタ駆動機構の前記受動円柱体は、前記伝達部材に対して一体化して形成されていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  9. 請求項8記載の医療用マニピュレータにおいて、
    前記エンドエフェクタは、開閉可能なグリッパであって、
    前記第1エンドエフェクタ駆動機構における前記可撓性部材は、前記グリッパが閉じるときに張力が高くなり、
    前記第2エンドエフェクタ駆動機構における前記可撓性部材は、前記グリッパが開くときに張力が高くなることを特徴とする医療用マニピュレータ。
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