JP7101129B2 - 移動体用装着装置および圧力容器検査システム - Google Patents

移動体用装着装置および圧力容器検査システム Download PDF

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Description

本発明は、移動体用装着装置および圧力容器検査システムに関する。
原子炉圧力容器は、鉛直方向に立設され両端を閉塞した略円筒状の形状を有している。原子炉圧力容器は、各部を溶接して構成されており、溶接部の欠陥の有無や欠陥の進展状況を把握するために、一定期間毎に溶接部の検査を行っている。この検査を行うため、原子炉圧力容器には、溶接部近傍に軌道が設けられており、この軌道に沿って検査装置を走行させている。
その一例として、下記特許文献1の請求項1には、「原子炉圧力容器の表面に沿つて検査装置等を上下方向及び周方向に走行させるための軌道において、複数の上下方向軌道と、少なくとも1つのリング状の周方向軌道とを一体化した軌道と、前記周方向軌道に前記上下方向軌道と平行に設けられている補強部材とよりなるかご型構造体よりなり、該かご型構造体が前記原子炉圧力容器の外周に配設されているガンマーシールド部材に対して一端が固定された支持部材に径方向熱膨張が吸収されるよう支持され、前記上下方向軌道又は前記補強部材の一端には前記ガンマーシールド部材に一端が固定されている振れ止めが設けてあることを特徴とする原子炉圧力容器表面走行用軌道。」と記載されている。
また、下記特許文献2の要約書には、「[課題]縦方向軌道と周方向軌道とそれらを接続し、検査装置の乗換えを行うためのターンテーブル軌道の構成される原子力圧力容器の検査装置走行用軌道の原子力圧力容器への据付作業は、大型クレーン等の使用を要し大掛かりなものであった。縦方向軌道と周方向軌道を分割することにより、据付作業は容易となるが、縦方向軌道と周方向軌道への検査装置の乗換えができる搬入方法が必要である。[解決手段]上記目的を達成するため、本発明では搬入方法を台車方式とし、回転可能な設定バー、検査装置落下防止用ストッパ、着座検出及び着座検出連絡手段を有する構成とした。本発明によれば、台車方式とすることにより、上下周方向軌道へターンテーブル機能を有する必要が無くなったことから、軌道の構造の簡素化が図れ、据付も容易とすることができる。」と記載されている。
特公平2-2537号公報 特開2007-232418号公報
ところで、上記特許文献1,2には特に記載されていないが、軌道に検査装置を装着する際、通常は作業員が検査装置を手で持ち上げて、軌道にセットしていた。ここで、足場から軌道までの高さが相当に高い場合、例えば2m~4m程度である場合、追加の足場を設置し、二人の作業員が検査装置を手渡しすることによって検査装置を持ち上げていた。しかし、特に追加の足場に立つ側の作業員は、立った状態ではなく中腰のような状態で検査装置を受け取るため、検査装置を保持する力が限定的になり、肉体的負担も大きくなるという問題があった。そこで、その対策として、特許文献1,2の構成に対して、軌道の近傍に常設の巻上機構を追加し、この巻上機構によって検査装置を軌道の高さまで持ち上げることが考えられる。しかし、巻上機構内の潤滑剤等の有機成分が放射線によって劣化し、機能を維持できなくなる可能性が懸念される。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、検査装置等の移動体を効率的に運用できる移動体用装着装置および圧力容器検査システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の移動体用装着装置は、横方向に延設されて移動体を案内する固定軌道に連結される可動軌道と、前記固定軌道に対して着脱可能に構成され、前記可動軌道を、前記移動体とを結合した状態で縦方向に昇降させる昇降装置と、を備え、前記昇降装置は、前記固定軌道に対して着脱可能に構成され、前記可動軌道の縦方向の動きを可能にしつつ前記可動軌道の横方向の動きを規制する第1のガイド部材と、前記第1のガイド部材に装着され、前記可動軌道を吊持する吊持機構と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、移動体を効率的に運用できる。
本発明の一実施形態による圧力容器検査システムの構成を示す模式図である。 固定軌道の要部の模式的な背面図である。 固定軌道の要部の模式的な平面図である。 昇降装置の模式的な三面図である。 本実施形態の要部の斜視図である。 運搬台車、輸送用ケースおよびその収納物の模式的な側面図である。 図6の要部の模式的な部分断面図である。 ユーザが昇降装置を固定軌道に装着する前の、これらの模式的な側面図である。 ユーザが昇降装置を固定軌道に装着した後の、これらの模式的な側面図である。 同模式的な背面図である。 同模式的な平面図である。 ユーザが昇降装置の直下に運搬台車を移動させた状態における圧力容器検査システムの模式的な側面図である。 輸送用ケース側面窓を開けた状態における圧力容器検査システムの模式的な側面図である。 主ガイド部材と副ガイド部材とを連結した状態における圧力容器検査システムの模式的な側面図である。 巻上ワイヤと縦ガイドキャリッジとを連結した状態における圧力容器検査システムの模式的な側面図である。 検査装置およびショート軌道の吊り上げ途中における圧力容器検査システムの模式的な側面図である。 同模式的な背面図である。 ショート軌道等の吊り上げ終了状態における圧力容器検査システムの模式的な側面図である。 同模式的な背面図である。 同模式的な平面図である。 検査処理中における圧力容器検査システムの模式的な背面図である。 同模式的な平面図である。
〈実施形態の構成〉
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態による圧力容器検査システムS(移動体用装着装置)の構成を示す模式図である。
圧力容器検査システムSは、原子炉圧力容器27を検査するものである。原子炉圧力容器27は、複数の金属筒等を溶接して構成されているため、複数の溶接線を有する。図1においては、そのうちの一本である溶接線28(溶接個所)を破線によって示す。この溶接線28は、原子炉圧力容器27の周回方向に沿って形成されている。また、溶接線28の下方には、作業員が通行する足場29が設けられている。足場29から溶接線28までの高さは、例えば2m~4m程度である。
本実施形態の圧力容器検査システムSは、固定軌道1と、検査装置4と、ショート軌道5(可動軌道)と、運搬台車6と、輸送用ケース18と、昇降装置100と、を備えている。固定軌道1は、溶接線28に沿って水平方向に延設された略円環状の金属板である。但し、固定軌道1は、切れ目42を有する。ショート軌道5(可動軌道)は、固定軌道1と同様の断面形状を有し、切れ目42の幅に略等しい幅を有する。従って、ショート軌道5を固定軌道1の切れ目42に嵌めると、固定軌道1と、ショート軌道5とは一体となり、円環状の軌道を構成する。以下、固定軌道1とショート軌道5とを総称して「軌道1,5」と呼ぶことがある。
検査装置4は、溶接線28の健全性を超音波探傷等によって検査する装置であり、軌道1,5に沿って自動走行する。輸送用ケース18は、検査装置4およびショート軌道5を収納するものである。また、運搬台車6は、足場29上で輸送用ケース18を運搬するものである。昇降装置100は、溶接線28の検査開始時に検査装置4およびショート軌道5を輸送用ケース18から固定軌道1の高さまで吊り上げ、検査終了時に検査装置4およびショート軌道5を輸送用ケース18まで吊り降ろす装置である。
(固定軌道1)
図2は、切れ目42の周辺における固定軌道1の要部の模式的な背面図である。切れ目42の左右方向において、固定軌道1の上面には、正面視が略台形状である一対の凹部24が形成されている。詳細は後述するが、これらの凹部24は、昇降装置100(図1参照)を固定軌道1に装着するために形成されている。また、固定軌道1の前面には、凹部24の形成位置から鉛直方向にマーカー線50が描画されている。図2においては、このマーカー線50を破線で示す。このマーカー線50によって、作業員等のユーザは、凹部24の位置を認識しやすくなる。
また、固定軌道1の背面には、水平方向に沿って、歯切りしたラック11が形成されている。検査装置4には、ラック11に噛合するピニオン45(図6参照)が備わっている。検査装置4を固定軌道1に装着した状態では、ピニオン45を回転させることにより、検査装置4を固定軌道1に沿って移動させることができる。
図3は、固定軌道1の要部の模式的な平面図である。
凹部24は、切欠部24bと、嵌合凹部24cとを有する。図2に示したように、凹部24の正面形状は台形状であるが、この正面形状は、切欠部24bの形状である。嵌合凹部24cは、切欠部24bの底面からテーパー状に凹むように形成されている。
(昇降装置100)
図4は、昇降装置100の模式的な三面図である。図4左下の側面視の図において、昇降装置100は、主ガイド部材120(第1のガイド部材)と、吊持機構150と、を備えている。昇降装置100は、さらに副ガイド部材130(第2のガイド部材、図6参照)も備えているが、その詳細については後述する。上述したように、昇降装置100は、検査装置4およびショート軌道5を吊り上げ、または吊り降ろす装置である。主ガイド部材120は、吊り上げ、または吊り降ろしに際してショート軌道5(図1参照)の縦方向の動きを可能にしつつショート軌道5の横方向の動きを規制するものである。また、吊持機構150は、主ガイド部材120に装着され、作業員等のユーザに操作されることによって、ショート軌道5等に対して上方向に吊り上げる力を発生させるものである。また、主ガイド部材120は、固定軌道1(図2参照)に対して着脱可能に構成されている。
より詳細には、主ガイド部材120は、縦桿部122と、横桿部124と、取付爪126(挿入部)と、を備えている。図4右下の背面視の図において、縦桿部122は、縦方向に延びる棹状の部材である。なお、縦桿部122の断面形状は略C字状になっており、開口部122aを後方に向けている。また、横桿部124は、縦桿部122の上端部から左右方向に突出している。
また、図4左上の平面視の図において、横桿部124は、左右端部が後方に向かって折れ曲がり、その先端部には一対の取付爪126が形成されている。また、一対の取付爪126よりもやや中央寄りの位置において、横桿部124から後方に向かって一対の凸部128が突出している。一対の取付爪126は、固定軌道1に形成された凹部24(図2参照)に嵌合することによって、主ガイド部材120と固定軌道1とを結合する。
また、図4左下の側面視の図において、吊持機構150は、プーリー14と、巻上ドラム15と、巻上ハンドル16と、巻上ドラム支持部17と、巻上ワイヤ23(ワイヤ)と、を備えている。プーリー14は、略円板状の部材であり、縦桿部122の上端部に回動自在に装着されている。また、巻上ドラム支持部17は縦桿部122の下端部から前方に突出した棒状の部材である。巻上ドラム支持部17の前端部には、巻上ドラム15が回動自在に装着されている。
巻上ワイヤ23は、プーリー14に掛けられ、一端が巻上ドラム15に結合され、他端にフック44が装着されている。なお、図4右下の背面視の図および左上の平面視の図においては、巻上ワイヤ23およびフック44は省略している。巻上ハンドル16は、巻上ドラム15に装着され、ユーザによって操作される。巻上ハンドル16には、メカニカルブレーキ(図示略)が内蔵されており、メカニカルブレーキに対して所定の操作を行うと、巻上ドラム15の回転を停止・制動させることができる。
図5は、本実施形態の要部の斜視図である。図5に示すように、固定軌道1は、略平板状の断面形状を有するが、上面1a(接触面)および下面1bは二等辺三角形状に形成されている。また、ショート軌道5も固定軌道1と同様の断面形状を有しており、上面5aおよび下面5bは二等辺三角形状に形成されている。また、ショート軌道5の背面には、ラック11と同様のラック12が形成されている。上述したように、凹部24は、固定軌道1を略台形状に切り欠いた切欠部24bと、切欠部24bの底面からテーパー状に凹んだ嵌合凹部24cと、を有している。取付爪126は、凹部24に沿った側面形状および底面形状を有しており、その底部には、嵌合凹部24cと嵌合するようにテーパー状に突出した嵌合凸部126cが形成されている。また、取付爪126の上面126aは、固定軌道1の上面1aと同一の断面形状を有している。
ユーザが主ガイド部材120を手で持ち上げ、取付爪126を凹部24に嵌合させると、固定軌道1の上面1aと、取付爪126の上面126aとが同一直線に沿って同一面を成すように揃う。また、ショート軌道5には、前方に向かって突出する凸部60が装着されている。ショート軌道5を上方向に吊り上げてゆくと、やがて凸部60は凸部128に当接し係止される。この状態で、ショート軌道5の上面5aは、固定軌道1の上面1aと同一直線に沿って同一面を成すように揃い、ショート軌道5の下面5bは固定軌道1の下面1bと同一直線に沿って同一面を成すように揃い、ラック11,12の高さも揃う。
(運搬台車6、輸送用ケース18)
図6は、運搬台車6、輸送用ケース18およびその収納物の模式的な側面図である。
図示のように、運搬台車6は略板状の底板6aを有し、底板6aの下面には車輪20が装着され、底板6aの上面には輸送用ケース18が設置されている。また、底板6aの上面には、上方向に突出する運搬用台車ハンドル21が装着されている。
そして、輸送用ケース18の内部には、検査装置4と、ショート軌道5と、縦ガイドキャリッジ13と、副ガイド部材130と、が収納される。これら構成要素4,5,13,130を総称して、以下「収納物」と呼ぶことがある。ここで、副ガイド部材130とは、主ガイド部材120(図4参照)の縦桿部122と同一の略C字状の断面形状を有する部材である。図示を省略するが、縦桿部122の下端部にはN極が現れるように磁石が埋設されており、副ガイド部材130の上端部にはS極が現れるように他の磁石が埋設されている。従って、主ガイド部材120と副ガイド部材130とは磁力によって吸引させ結合させることができる。
図6において、各収納物は、輸送用ケース18の内部に収納されている際の相対位置、角度、姿勢を保ったまま、鉛直方向に引き出した状態を示している。図示を省略するが、輸送用ケース18の内部には、随所にウレタン製枠が配置されている。ウレタン製枠は、輸送用ケース18の収納物すなわち副ガイド部材130、検査装置4、ショート軌道5、および縦ガイドキャリッジ13を、図示のような相対位置、角度、姿勢にて保持するものである。
すなわち、収納物は、水平方向の動きが規制されるようにウレタン製枠に嵌め込まれている。また、輸送用ケース18を移動する際の振動や衝撃も、ウレタン製枠が吸収し、収納物を保護する。輸送用ケース側面窓19は、矩形状の板であり、輸送用ケース18に対して開閉自在に装着されている。そして、副ガイド部材130を輸送用ケース18に収納した場合には、副ガイド部材130は輸送用ケース側面窓19の奥に位置する。
(ショート軌道5)
図6において、ショート軌道5には、縦ガイドキャリッジ13が固定されている。縦ガイドキャリッジ13は、副ガイド部材130に対して、縦方向の動きを可能にしつつ横方向の動きを規制するように装着されている。縦ガイドキャリッジ13の上端部には、吊り金具40が装着されている。この吊り金具40は、巻上ワイヤ23に装着されたフック44(図4参照)に引っ掛けるものである。
(検査装置4)
また、図6において、検査装置4は、検査装置ガイドローラ8(ガイドローラ)と、検査装置ガイドローラ支持部9と、モータ10と、探触子25と、探傷アーム26と、ピニオン45と、を備えている。探触子25は、原子炉圧力容器27(図1参照)の溶接線28の近傍に接触し、探傷等のために超音波を送受信する。探傷アーム26は、ボールネジ(図示略)と、押し付け機構(図示略)と、を備えている。
探傷アーム26のボールネジは、そのネジ送りによって探触子25を上下方向に変位させる。また、押し付け機構は、空気圧によって探触子25を原子炉圧力容器27に押し付ける。検査装置ガイドローラ8は、ショート軌道5を上下から挟むように配置されている。検査装置ガイドローラ支持部9は、検査装置ガイドローラ8を回動自在に支持する。上述のように、ショート軌道5の上下面は略二等辺三角形状の形状を有している。検査装置ガイドローラ8の周面は、これらショート軌道5の上下面に沿って略M字状に凹んでいる。ピニオン45はショート軌道5のラック12と噛合し、モータ10によって回転駆動される。
図7は、図6の要部の模式的な部分断面図であり、特に副ガイド部材130および縦ガイドキャリッジ13の詳細を示している。また、副ガイド部材130については、図6のVII-VII断面を示す。
上述のように、副ガイド部材130は略C字状の断面形状を有している。すなわち、副ガイド部材130には、略矩形状に切り欠いたガイド溝30と、ガイド溝30から後方に開口する開口部130aと、が形成されている。なお、主ガイド部材120の縦桿部122(図4参照)の断面形状も、副ガイド部材130のものと同様である。
開口部130aには、略直方体ブロック状の縦ガイドキャリッジ13が遊挿されている。縦ガイドキャリッジ13の後端部はショート軌道5に固定され、前端部は略円柱状のガイド溝ローラーシャフト33を回動自在に支持している。ガイド溝ローラーシャフト33の左右端には、略円板状のガイド溝ローラー32が装着されている。これにより、副ガイド部材130は、ショート軌道5および縦ガイドキャリッジ13に対して、縦方向の動きを可能にしつつ横方向の動きを規制するように装着されている。
〈実施形態の動作〉
(昇降装置100の装着)
次に、本実施形態の動作を説明する。
図8は、ユーザ22が昇降装置100を固定軌道1に装着する前の、これらの模式的な側面図である。ユーザ22は、昇降装置100を把持して固定軌道1の前面に立ち、凹部24および取付爪126(図5参照)の位置合わせを行う。そして、ユーザ22が凹部24および取付爪126(図5参照)を嵌合させると、固定軌道1と昇降装置100とが一体化する。なお、昇降装置100は、図示のようにユーザ22が持ち歩くものであるため、例えばアルミニウム合金等、鉄の半分以下の比重を有する材質を主材料として適用すると好ましい。
図9は、ユーザ22が昇降装置100を固定軌道1に装着した後の、これらの模式的な側面図である。また、図10および図11は、これらの模式的な背面図および模式的な平面図である。図10および図11に示すように、取付爪126と凹部24とが嵌合し、固定軌道1と昇降装置100とが一体化している。
(運搬台車6の位置決め)
図12は、ユーザ22が昇降装置100の直下に運搬台車6を移動させた状態における圧力容器検査システムSの模式的な側面図である。
ユーザ22は、主ガイド部材120の縦桿部122と、輸送用ケース18に収納されている副ガイド部材130とが鉛直方向に揃うように、運搬台車6の位置を微調節する。この微調整が終了すると、ユーザ22は、輸送用ケース側面窓19を開く。
(主ガイド部材120と副ガイド部材130の連結)
図13は、輸送用ケース側面窓19(図12参照)を開けた状態における圧力容器検査システムSの模式的な側面図である。輸送用ケース側面窓19を開けることによって、副ガイド部材130の側面が露出し、ユーザ22は、副ガイド部材130の随所を把持できるようになる。そして、ショート軌道5および縦ガイドキャリッジ13に対して、副ガイド部材130は縦方向に沿って自在に変位するため、ユーザ22は軽い力で副ガイド部材130を上下動させることができる。
そして、ユーザ22が副ガイド部材130を把持し、上にスライドさせると、主ガイド部材120および副ガイド部材130に埋設された磁石が相互に吸着し、主ガイド部材120と副ガイド部材130とが結合する。
図14は、主ガイド部材120と副ガイド部材130とを連結した状態における圧力容器検査システムSの模式的な側面図である。
図示のように、主ガイド部材120と副ガイド部材130とは一体化し、一本の縦長部材状になる。
(巻上ワイヤ23と縦ガイドキャリッジ13との連結)
主ガイド部材120と副ガイド部材130との連結が完了すると、ユーザ22は、巻上ワイヤ23の先端のフック44(図4参照)を縦ガイドキャリッジ13の吊り金具40(図7参照)に引っ掛ける。これにより、縦ガイドキャリッジ13と巻上ワイヤ23とが連結する。
図15は、巻上ワイヤ23と縦ガイドキャリッジ13とを連結した状態における圧力容器検査システムSの模式的な側面図である。但し、フック44および吊り金具40については図示を省略している。この状態で、ユーザ22が吊持機構150の巻上ハンドル16を手で回すと、巻上ワイヤ23が巻上ドラム15に巻き取られてゆき、縦ガイドキャリッジ13、ショート軌道5および検査装置4が上方向に吊り上げられてゆく。
(ショート軌道5の吊り上げ)
図16は、検査装置4およびショート軌道5の吊り上げ途中における圧力容器検査システムSの模式的な側面図である。
図示のように、検査装置4、ショート軌道5および縦ガイドキャリッジ13は、副ガイド部材130および主ガイド部材120を順次介して上方向にスライドしてゆく。
図17は、検査装置4およびショート軌道5の吊り上げ途中における圧力容器検査システムSの模式的な背面図である。図示のように、検査装置4に装着されたピニオン45と、ショート軌道5に装着されたラック12は噛合しており、ショート軌道5は上下方向から検査装置ガイドローラ8に挟まれている。このように、検査装置4およびショート軌道5は結合された状態のまま吊り上げられる。
(ショート軌道5の吊り上げ終了/位置固定)
検査装置4およびショート軌道5をさらに吊り上げてゆくと、ショート軌道5に形成された凸部60(図5参照)と、主ガイド部材120の横桿部124に形成された凸部128とが衝合し、検査装置4およびショート軌道5の吊り上げが終了する。
図18は、ショート軌道5等の吊り上げ終了状態における圧力容器検査システムSの模式的な側面図である。図19は同模式的な背面図である。図20は同模式的な平面図である。
図18に示す位置において検査装置4およびショート軌道5の吊り上げが終了すると、ユーザ22は、巻上ハンドル16に装着されているメカニカルブレーキ(図示せず)を操作し、巻上ドラム15の回転を停止・制動する。これにより、ショート軌道5は、図18~図20に示す位置に固定される。また、図19に示すように、固定軌道1およびショート軌道5の高さが揃い、両者に形成されたラック11,12も連続的になるように接続される。
(検査処理)
図21は、検査処理中における圧力容器検査システムSの模式的な背面図である。図22は、同模式的な平面図である。
先に図18~図20において説明したように、固定軌道1の高さとショート軌道5の高さとが同一になると、ラック11,12が連続的になるように接続される。この状態で検査装置4に搭載されたモータ10を回転駆動すると、ピニオン45の回転に伴って、検査装置4が軌道1,5に沿って移動する。
上述のように、検査装置4に搭載された探傷アーム26は押し付け機構を備えており、該押し付け機構は空気圧によって探触子25を原子炉圧力容器27に押し付ける。また、探触子25は超音波を送受信することによって溶接線28(図1参照)付近の探傷等を行う。検査装置4は、固定軌道1およびショート軌道5の任意の位置に移動可能である。そして、検査装置4には、その位置情報を読み取るエンコーダー(図示略)が内蔵されており、これによって固定軌道1上の位置を検出できる。検査装置4が溶接線28に沿って原子炉圧力容器27を1周すると、溶接線28の検査が完了する。
(検査終了後の撤収)
溶接線28の検査が完了すると、検査装置4は、再び図19に示す位置に戻る。ユーザ22は、検査装置4が図19に示す位置に戻ったことを確認すると、巻上ハンドル16に装着されているメカニカルブレーキを解除し、副ガイド部材130および検査装置4を吊り降ろす。その後は、装着時とは逆の操作を行うことにより、検査装置4等を撤収することができる。
〈実施形態の効果〉
以上のように本実施形態の移動体用装着装置(S)は、横方向に延設されて移動体(4)を案内する固定軌道(1)に連結される可動軌道(5)と、固定軌道(1)に対して着脱可能に構成され、可動軌道(5)を、移動体(4)とを結合した状態で縦方向に昇降させる昇降装置(100)と、を備える。
これにより、昇降装置(100)を固定軌道(1)に装着して移動体(4)とともに可動軌道(5)を昇降できるため、移動体(4)を効率的に運用できる。さらに、移動体(4)および可動軌道(5)を固定軌道(1)から取り外した後、昇降装置(100)を固定軌道(1)から取り外せるため、固定軌道(1)の周辺環境によって昇降装置(100)が劣化することを防止できる。
また、昇降装置(100)は、固定軌道(1)に対して着脱可能に構成され、可動軌道(5)の縦方向の動きを可能にしつつ可動軌道(5)の横方向の動きを規制する第1のガイド部材(120)と、第1のガイド部材に装着され、可動軌道を吊持する吊持機構(150)と、を備える。
これにより、第1のガイド部材(120)によって可動軌道(5)の動きをガイドできるため、移動体(4)を一層効率的に運用することができる。
また、移動体用装着装置(S)は、第1のガイド部材(120)の下端に連結され、可動軌道(5)の縦方向の動きを可能にしつつ可動軌道(5)の横方向の動きを規制する第2のガイド部材(130)と、可動軌道(5)と第2のガイド部材(130)とを運搬する運搬台車(6)と、をさらに備え、第2のガイド部材(130)は、運搬台車(6)に積載された状態で第1のガイド部材(120)の下端に連結される。
これにより、第2のガイド部材(130)によって、可動軌道(5)を第1のガイド部材(120)の高さまで、容易に上昇させることができ、移動体(4)を一層効率的に運用することができる。
また、固定軌道(1)は、移動体に接触する接触面(1a)と、接触面から下方向に凹んだ凹部(24)と、を有するものであり、第1のガイド部材(120)は上方向から凹部(24)に挿入される挿入部(126)を有し、固定軌道(1)に対して第1のガイド部材(120)を装着した際、接触面(1a)の高さと挿入部(126)の上面(126a)の高さとが同一になる。
これにより、第1のガイド部材(120)を容易に固定軌道(1)に装着でき、かつ第1のガイド部材(120)が移動体(4)の移動を阻害することを防止できる。
また、吊持機構(150)は、ワイヤ(23)と、第1のガイド部材(120)の上端部に装着されワイヤ(23)が掛けられるプーリー(14)と、第1のガイド部材(120)に装着され、ワイヤ(23)の一端が結合され、ユーザによって回転操作されるとワイヤ(23)を巻き取る巻上ドラム(15)と、ワイヤ(23)の他端に装着されるフック(44)と、を備える。
これにより、ユーザは、移動体(4)および可動軌道(5)を効率的に昇降させることができる。
固定軌道(1)および可動軌道(5)は、平板状の縦長の断面形状を有し側面にラック(11,12)を形成したものであり、移動体(4)は、ラック(11,12)に噛合するピニオン(45)と、ピニオン(45)を回転駆動するモータ(10)と、回転可能に構成され固定軌道(1)および可動軌道(5)を上下から挟むガイドローラ(8)と、を備える。
これにより、移動体(4)は固定軌道(1)および可動軌道(5)を確実に保持し、ラック(11,12)およびピニオン(45)によって、固定軌道(1)および可動軌道(5)の延設方向に移動することができる。
〈変形例〉
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記実施形態においては、移動体の一例として、原子炉圧力容器27の検査装置4を適用した例を説明したが、本発明における「移動体」は検査装置4に限定されるわけではなく、例えば工作機械等であってもよい。
1 固定軌道
1a 上面(接触面)
4 検査装置(移動体)
5 ショート軌道(可動軌道)
6 運搬台車
8 検査装置ガイドローラ(ガイドローラ)
10 モータ
11,12 ラック
14 プーリー
15 巻上ドラム
22 ユーザ
23 巻上ワイヤ(ワイヤ)
24 凹部
27 原子炉圧力容器
28 溶接線(溶接個所)
44 フック
45 ピニオン
100 昇降装置
120 主ガイド部材(第1のガイド部材)
126 取付爪(挿入部)
126a 上面
130 副ガイド部材(第2のガイド部材)
150 吊持機構
S 圧力容器検査システム(移動体用装着装置)

Claims (6)

  1. 横方向に延設されて移動体を案内する固定軌道に連結される可動軌道と、
    前記固定軌道に対して着脱可能に構成され、前記可動軌道を、前記移動体とを結合した状態で縦方向に昇降させる昇降装置と、
    を備え
    前記昇降装置は、
    前記固定軌道に対して着脱可能に構成され、前記可動軌道の縦方向の動きを可能にしつつ前記可動軌道の横方向の動きを規制する第1のガイド部材と、
    前記第1のガイド部材に装着され、前記可動軌道を吊持する吊持機構と、を備える
    ことを特徴とする移動体用装着装置。
  2. 前記第1のガイド部材の下端に連結され、前記可動軌道の縦方向の動きを可能にしつつ前記可動軌道の横方向の動きを規制する第2のガイド部材と、
    前記可動軌道と前記第2のガイド部材とを運搬する運搬台車と、
    をさらに備え、前記第2のガイド部材は、前記運搬台車に積載された状態で前記第1のガイド部材の下端に連結される
    ことを特徴とする請求項に記載の移動体用装着装置。
  3. 前記固定軌道は、前記移動体に接触する接触面と、前記接触面から下方向に凹んだ凹部と、を有するものであり、
    前記第1のガイド部材は上方向から前記凹部に挿入される挿入部を有し、
    前記固定軌道に対して前記第1のガイド部材を装着した際、前記接触面の高さと前記挿入部の上面の高さとが同一になる
    ことを特徴とする請求項に記載の移動体用装着装置。
  4. 前記吊持機構は、
    ワイヤと、
    前記第1のガイド部材の上端部に装着され前記ワイヤが掛けられるプーリーと、
    前記第1のガイド部材に装着され、前記ワイヤの一端が結合され、ユーザによって回転操作されると前記ワイヤを巻き取る巻上ドラムと、
    前記ワイヤの他端に装着されるフックと、
    を備えることを特徴とする請求項に記載の移動体用装着装置。
  5. 前記固定軌道および可動軌道は、平板状の縦長の断面形状を有し側面にラックを形成したものであり、
    前記移動体は、
    前記ラックに噛合するピニオンと、
    前記ピニオンを回転駆動するモータと、
    回転可能に構成され前記固定軌道および可動軌道を上下から挟むガイドローラと、を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の移動体用装着装置。
  6. 横方向に延設されて移動体を案内する固定軌道に連結される可動軌道と、
    前記固定軌道に対して着脱可能に構成され、前記可動軌道を、前記移動体とを結合した状態で縦方向に昇降させる昇降装置と、
    前記固定軌道と、
    前記移動体と、を備え、
    前記固定軌道は、水平方向に沿って溶接個所を有する原子炉圧力容器の、前記溶接個所に沿って延設されたものであり、
    前記移動体は、前記溶接個所を検査する検査装置である
    ことを特徴とする圧力容器検査システム。
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