JPS6322259B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は管を検査する配管用検査機に関するも
のである。

高速増殖炉の原子炉容器に液体金属ナトリウム
の冷却媒体を流す配管は、原子炉運転開始後に検
査（供用期間中検査）（以下ISIと略す）を行う必
要がある。しかし、原子炉近傍は高放射線雰囲気
のため、原子炉容器に連通している配管を人間が
直接ISIを行うことはできない。そのため従来で
は、配管に沿うレールを設け、該レールに走行台
車を設置すると共に該台車にISIを行うセンサと
該センサを前記配管の周方向に回動させる装置を
載置してこれらを遠隔操作していた。このような
従来例を第１図及び第２図を参照しながら説明す
る。

すなわち原子炉１の下部の保護容器２に連通す
る配管３及び該配管３の保護管４が設けられる。
該保護管４は孔を有し、該孔の外側からレール５
が該配管３と保護管４の間を通つて保護容器２に
至るまで設けられる。該レール５には走行台車６
が往復動自在に設置され、該走行台車６には超音
波探傷を行うUTセンサ７とその周方向走行台車
８ａと該周方向走行台車８ａの周方向のガイドレ
ール８ｂ，８ｃ及び駆動装置９が載置されてい
る。周方向走行台車８ａ、ガイドレール８ｂ，８
ｃは、その内側に位置する配管３の径に対応する
弧状であり、周方向走行台車８ａにはUTセンサ
及びその作業を監視するテレビカメラ用フアイバ
１０が設けられており、この例ではこのUTセン
サを配管３の周方向に回動して超音波探傷するこ
とにより前述のISIを行う。また、ガイドレール
８ｂは走行台車６に固定され、ガイドレール８ｃ
はガイドレール８ｂに摺動自在に嵌合すると共に
前記周方向走行台車８ａはガイドレール８ｂ，８
ｃにそれぞれ摺動自在に嵌合している。また、周
方向走行台車８ａ、ガイドレール８ｃをそれぞれ
回動させる駆動装置９が走行台車６に設けられ
る。このような装置構成において、走行台車６を
外部より前記保護管４の孔を通して挿入し、配管
３の検査を行う部分、例えば管の溶接部分の位置
において、ガイドレール８ｃを摺動させ、ガイド
レール８ｂ，８ｃをリング状に形成し、このガイ
ドレール８ｂ及び８ｃに案内されて、前記周方向
走行台車８ａが摺動する。摺動する周方向走行台
車８ａはUTセンサを管３に押し付けて超音波探
傷を行う。しかし、このように構成された装置に
おいては、前記ガイドレール８ｂ，８ｃはリング
状になるものの相互になんら固定されていないの
で、力学的に弱く、該ガイドレール８ｂ，８ｃに
より形成される円形の軌道を摺動する走行台車８
ａのUTセンサを管３に押し付ける際生ずる応力
に抗するために余分な厚肉の部材を用いなければ
ならない。更に周方向走行台車８ａ、ガイドレー
ル８ｂ，８ｃは、配管３の管径に応じた弧状のも
のとしなければならないため、検査対象の管径毎
にそれらを準備する必要があるなど煩雑である。
また、周方向走行台車８ａ、ガイドレール８ｂ，
８ｃは配管３の管径より大型にする必要もあり、
それらの装置を検査対象箇所に持ち込む搬入路も
複雑化するため、ISIを行う装置全体も大型とな
るが、一方では原子炉・保護容器の近傍の容積が
制限を受けるため、それらの装置を設置する作業
が困難となつたり、装置全体の重量増加などによ
り歪化して耐震性低下、解折複雑となるなど原子
炉の信頼性が低下する虞があつた。本発明はほぼ
水平な配管を検査する配管用検査機を小型・軽量
であつて、異つた管径にも用いることのできるよ
うにすることを目的とするものであつて、その要
旨とするところはほぼ水平な管の上方を該管に沿
つて移動可能な走行台車にケーブルを介して該管
の側方へ昇降自在に懸架される本体と、該本体の
前記管に向い合う面に設けられると共にその上下
にローラの配置された検査器と、前記本体に設け
られて前記本体を前記管に押圧する力を付与する
スプロケツトにより往復動する上部チエーンと、
前記本体の下面にその後端部が回動装置を介して
支持されると共に管の下側に沿つてのみ屈曲する
とともに前記上部チエーンと係合するためのフツ
クをその先端に有する下部チエーンとを有するこ
とを特徴とする。

以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第３図〜第７図は本発明に係る配管用検査機を
原子炉のISIに適用した場合の一実施例を示して
いる。ほぼ水平な管１１は冷却装置から原子炉の
保護容器に連通すると共に、その中に冷却媒体を
通している。該管１１の上方で該管に沿うレール
（図示省略）に走行台車（図示省略）が往復動自
在に設けられ、該走行台車に本体１２がケーブル
１３を介して昇降自在に懸架され、また、走行台
車にはケーブル１３を巻回する装置が設けられ
る。該本体１２の管１１と向う面（前面）には、
超音波探傷を行うUTセンサ１４と、該UTセン
サの上下にはローラ１５が配置される。また、本
体１２の上面には本実施例では２連の上部チエー
ン１６を巻き掛ける２個のスプロケツト１７が設
けられ、前方に位置する管１１の上側に該上部チ
エーン１６を案内するガイド１８が設けられる。
該２連の上部チエーン１６の端部は連結棒１９，
２０によつて連結され、そのうち先端部に位置す
る連結棒２０は後述する下部チエーンのフツクと
係止することができる。更に前記本体１２の後面
には該チエーン１６を収納するバケツト２１が設
けられる。また、本体１２の内部には前記UTセ
ンサ１４の作動装置、前記ローラ１５の駆動装
置、前記スプロケツトの駆動装置、更には検査状
態を監視するテレビカメラ及び計測制御装置など
を内蔵している。更に本体１２の底面にはリンク
２２が回動自在に設けられ、該リンク２２にはピ
ン２７を介して上部チエーン１６と対応する２連
の下部チエーン２３の後端が支持されている。リ
ンク２２には下部チエーン２３を回動させる駆動
装置２４が設けられる。一般にチエーンはチエー
ンを構成するリンクが自由に回動するため全体と
して自由に屈曲することができるが、当該下部チ
エーン２３はチエーンを構成するリンクにストツ
パ部を形成してリンクが通常のものの半分しか回
動せず、全体として片方向には屈曲するものの、
逆方向には屈曲しないチエーンとなつている。該
下部チエーン２３は前記本体１２の前方には屈曲
するが後方には屈曲しないように設置するので、
前記リンク２２に設けられた回動装置２４を作動
させて該下部チエーン２３の後端部を前方に向け
て回動させると、全体として該下部チエーン２３
は回動する。２連の下部チエーン２３にはその先
端に連結棒２５が設けられると共に前記上部チエ
ーン１６を係止できるようフツク２６を設ける。

このようにして構成される配管用検査機は次の
ようにして使用することができる。すなわち配管
１１の所定の検査すべき位置、例えば配管の溶接
線部分に本体を搬入するまでは、走行台車の巻回
装置で本体を管１１の上方まで引き上げ、更に上
部チエーン１６はバケツト２１内に収納され、そ
の先端はガイド１８上に位置している。下部チエ
ーン２３は回動装置２４によりピン２７を中心に
本体１２の前面側に跳ね上げられている。そのた
め搬入状態では非常にコンパクトになつている
（第６図参照）。次に管の検査すべき位置の上方に
走行台車が停止すると、跳ね上げられていた下部
チエーン２３は回動装置２４により回動させられ
垂れ下がつた状態となる（第４図２点鎖線部分参
照）。その後、走行台車のケーブル巻回装置を動
作させ、本体１２を管１１の側方に位置するまで
降下させる。この作業は本体１２に内蔵されてい
るテレビカメラにより位置確認しながら行う。引
き続き、スプロケツト１７を正転させて上部チエ
ーン１６をガイド１８に沿わせて送り出す。ガイ
ド１８は上部チエーン１６を管１１の上側に案内
し、案内された上部チエーン１６は上側半周に沿
うとともに管の裏側まで垂れ下がる。一方、本体
１２の下方に垂れ下がつていた下部チエーン２３
は駆動装置２４によりピン２７を中心として前方
に位置する管１１に当接するまで回動する。回動
する下部チエーン２３の先端に設けられたフツク
２６は前記垂れ下がつたチエーン１６と交錯す
る。その後、前記上部チエーン１６をスプロケツ
ト１７を逆転させて巻き戻す。すると該上部チエ
ーン１６の先端に設けられた連結棒２５は、前記
下部チエーン２３の先端のフツク２６と係止し、
更にチエーンを巻き戻すと、第７図に示すように
上部チエーン１６、下部チエーン２３で管１１を
抱持する状態となる。この状態では本体１２は管
１１に引き寄せられてローラ１５が管１１に密着
し、スプロケツト１７はこの状態を維持するよう
ロツクされる。引き続きUTセンサ１４がその作
動装置により管１１側へ張り出され、一定の押付
け力で密着される。そして、走行台車の巻回装置
によりケーブル１３を緩めて本体１２と走行台車
との力の伝達を断ち、管１１に密着したローラ１
５を駆動装置により回転させ、検査装置全体を管
１１の周に沿わせて移動させる。その移動と同時
に管１１に押付けられたUTセンサは管１１の第
５図に示す溶接線部分ａの軸方向往復動して超音
波探傷を行う。この超音波探傷を管１１の周方向
一回転行つた後は、前述した連続行程を逆に行つ
て第６図に示す搬入状態となつてこの溶接線部分
のISIは終了し、次の溶接線部分へ走行台車によ
つて運ばれる。また次の溶接線部分へ移動する際
は、ローラ１５やUTセンサ１４の管１１への密
着が解除され、本体１２が管１１の側方をすべら
せるようにして移動することもできる。

このようにして使用される配管用検査機は次の
ような利点がある。すなわち、 上部チエーンと下部チエーン相互間をフツク
によつて係止することにより管１１の全周を抱
持しているため、UTセンサなどの押し付けに
より生ずる応力は、上部チエーン及び下部チエ
ーンに分散・均一に加わるため、それらの剛性
はそれほど高いものではなくて良い。

上部チエーンはバケツト内に収納でき、下部
チエーンは本体の前面に跳ね上げられてコンパ
クトな状態で搬入することができ、かつ、軽量
であるため、装置全体及び搬入路等も小型化す
る。そのため当該配管用検査機を原子炉のISI
に利用する場合耐震性低下や解折複雑の問題も
起らず、原子炉の信頼性を高めることができ
る。

管の管径に装置の形状が依存しないため、異
つた管径に対しても共通して同一の装置が使用
できるため種々の検査機を準備する必要もな
い。また、本発明に係る配管用検査機の一部の
部品を交換するだけで、自動溶接装置、特に配
管保修用として好適なものとすることも可能で
ある。

以上実施例に基づいて詳細に説明してきたよう
に、本発明によれば、高い剛性を必要としないた
め小型・軽量で汎用性に豊む配管用検査機を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来例に係り、第１図は原
子炉にISI配管用検査機を装着した状態を表わす
図、第２図は第１図中２点鎖線部を拡大して示
す図、第３図〜第７図は本発明の配管用検査機に
係り、第３図はその正面図、第４図はその側面
図、第５図はその背面を表わす図、第６図はその
搬入状態を表わす図、第７図は管に当該配管用検
査機が装着した状態を表わす図である。 図面中、１１は管、１２は本体、１３はケーブ
ル、１４はUTセンサ、１５はローラ、１６は上
部チエーン、１７はスプロケツト、１８はガイ
ド、１９，２０は連結棒、２１はバケツト、２２
はリンク、２３は下部チエーン、２４は駆動装
置、２５は連結棒、２６はフツク、２７はピン、
ａは溶接線部分である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ほぼ水平な管の上方を該管に沿つて移動可能
   な走行台車にケーブルを介して該管の側方へ昇降
   自在に懸架される本体と、該本体の前記管に向い
   合う面に設けられると共にその上下にローラの配
   置された検査器と、前記本体に設けられて前記本
   体を前記管に押圧する力を付与するスプロケツト
   により往復動する上部チエーンと、前記本体の下
   面にその後端部が回動装置を介して支持されると
   共に管の下側に沿つてのみ屈曲するとともに前記
   上部チエーンと係合するためのフツクをその先端
   に有する下部チエーンとを有することを特徴とす
   る配管用検査機。