JP7097918B2 - シート状デバイス及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、丈夫で柔軟性が高く且つ安定して動作する柔軟な電気製品に適したシート状デバイスを提供することにある。
一見地に係るシート状デバイスは、熱可塑性樹脂を主材とする第1フィルム層と、第1フィルム層に接着され、熱可塑性樹脂よりも伸びる熱可塑性エラストマーを主材とし、20℃における単位長さ当たりの伸びが第1フィルム層よりも大きい第2フィルム層と、第1の変換機能を持つ第1変換部と第2の変換機能を持つ第2変換部とを有し、第1フィルム層に接着している電気回路層とを備えるシート状デバイスである。このシート状デバイスは、第1フィルム層と第1変換部と第2フィルム層が重なっている第1部位、第1フィルム層が存在せずに第2フィルム層が存在する第2部位、及び第1フィルム層と第2変換部と第2フィルム層が重なっている第3部位を有する。このシート状デバイスの第1部位、第2部位及び第3部位が、第2フィルム層の面内の第1方向において順に並べて配置される。このシート状デバイスでは、第1部位、第2部位及び第3部位を含む第1領域は、第1方向に同じ力を加えられたときの20℃における単位長さ当たりの伸びが第1フィルム層の単体の単位長さ当たりの伸びよりも大きくなるように構成されている。
このように構成されているシート状デバイスは、第1フィルム層が第2フィルム層よりも伸びが小さいので、第2フィルム層に電気回路層を直接形成する場合と比較すると、第1フィルム層に電気回路層が接着されることで電気回路層の第1の変換機能と第2の変換機能が第1フィルム層によって、より良く保護され、第1変換部及び第2変換部が安定して動作する。また、第1フィルム層が存在せずに第2フィルム層が存在する第2部位の熱可塑性エラストマーによって第1フィルム層に掛かる応力が緩和されるので、第1フィルム層に接着している電気回路層が保護される。さらに、第1領域の伸びが第1フィルム層の単体の伸びよりも大きくなるように構成されることで、第1領域の伸びが第1フィルム層の単体の伸びと同等に構成された場合よりも、シート状デバイスが周囲の変形に合わせて柔軟に変形できる。その結果、例えば、シート状デバイスをウェアに適用した場合に、ウェアの着心地がよくなる。
上述のシート状デバイスにおいて、第2部位が、実質的に、第1部位及び第3部位の厚みと同じ厚みを有する、ように構成されてもよい。このように構成されたシート状デバイスは、第1部位及び第3部位と第2部位との境界で段差が生じないので、これらの境界が引っかかることで生じる応力の発生が防止され、破損し難くなる。
上述のシート状デバイスは、第2フィルム層に接着され、図柄が表されている加飾層を備えるように構成されてもよい。このように構成されたシート状デバイスでは、加飾層の図柄と第1変換部及び第2変換部との位置関係が固定される。その結果、例えばシート状デバイスをウェアに適用した場合、体の動きによってシート状デバイスが変形しても、加飾層によって第1変換部及び第2変換部の配置場所を的確に特定することができる。
このように構成されているシート状デバイスの製造方法で製造されたシート状デバイスは、第1フィルム層が第2フィルム層よりも伸びが小さいので、第2フィルム層に電気回路層を形成する場合と比較すると、第1フィルム層に電気回路層が接着されることで電気回路層の第1の変換機能と第2の変換機能が第1フィルム層によって、より良く保護され、安定して動作する。また、第1フィルム層が存在せずに第2フィルム層が存在する第2部位の熱可塑性エラストマーによって第1フィルム層に掛かる応力が緩和されるので、第1フィルム層に接着している電気回路層が保護され、安定して動作する。さらに、第1領域の伸びが第1フィルム層の単体の単位長さ当たりの伸びよりも大きくなるように構成されることで、第1フィルム層の単体の単位長さ当たりの伸びと同等の伸びしか得られない場合に比べると、例えばシート状デバイスをウェアに適用した場合、柔軟性が改善されて人体の動きにシート状デバイスがより良くフィットする。その結果、例えば、シート状デバイスをウェアに適用すると、シート状デバイスを含むウェアを着るときの着心地がよくなる。また、保護フィルムで保護された状態で第2フィルム層に凹凸が形成されるので、シート状デバイスの表面の劣化を防止することができる。このようなシート状デバイスの製造方法では、シート状デバイスの表面に熱プレスを行うステップとは異なるステップでシート状デバイスの表面に凹凸を形成する場合に比べ、製造工程のステップ数を減らすことができる。
(1)全体構成
図1及び図2には、第1実施形態に係るシート状デバイス5が組み込まれているリストバンド1が示されている。リストバンド1は、ユーザが手首に巻き付けて使用する装飾品である。リストバンド1の本体部10は、主に、樹脂とエラストマーで構成されており、長手方向に弾性変形できるように構成されている。リストバンド1には、穴に突起を嵌め込んで止める係止部11がある。リストバンド1の穴が間欠に設けられているが、リストバンド1の本体部10が変形するので、リストバンド1は、人の手首にフィットする装着が可能である。このようなフィットする装着には、特に、リストバンド1の長手方向(図3及び図4に示されている第1方向D1)の伸びが重要である。図1に示されているリストバンド1は、脈拍測定装置20とタッチセンサ30とを備えている。この実施形態において、シート状デバイス5は、本体部10とタッチセンサ30で構成されている。
リストバンド1の本体部10には、脈拍測定装置20を収納する収納部13が設けられている。薄く且つ概ね直方体状の外観を呈する脈拍測定装置20は、リストバンド1の側部から収納部13の中に挿入することができる。脈拍測定装置20は、収納部13の中に挿入されることで、タッチセンサ30と接続される。図示を省略しているが、脈拍測定装置20は、タッチセンサ30を挿入して電気的に接続するための挿入部を有する。図1に示されているタッチセンサ30は、0~9の数値を入力するための入力装置である。
ここでは、柔軟な電気製品として、直接身に着けるリストバンド1を例に挙げているが、例えば、本発明に係るシート状デバイスは、衣服などのウェアに装着するものであってもよい。シート状デバイスを衣服に装着する方法には、例えば、衣服に縫い込んだり、衣服に接着したり、衣服に留め具で止めたり、衣服の複数の布の間に挟んだりする方法がある。
(2-1)タッチセンサ30の構成の説明
図3及び図4には、数値の「0」、「1」、「2」、「3」を入力するためのタッチセンサ30の上部31が示されている。図4には、図3のI-I線に沿ってリストバンド1を切断した断面が示されている。図3及び図4において、長手方向が矢印で示されている第1方向D1である。図3及び図4に示されているように、タッチセンサ30は、本体部10の中に埋め込まれて、本体部10と一体化されている。
タッチセンサ30は、第1フィルム層40と電気回路層60とを備えている。本体部10は、第2フィルム層50と加飾層70とを備えている。本発明においてフィルム層とは、薄い膜状の層である。第1フィルム層40の厚さは、例えば、25μmから100μmである。第2フィルム層50の厚さは、例えば、100μmから5mmである。電気回路層60の厚さは、例えば、1μmから50μmである。加飾層70の厚さは、例えば、5μmから100μmである。
第1フィルム層40は、熱可塑性樹脂を主材とする層である。この明細書で「主材とする」とは、その材料が全体の50重量%以上の割合を占めていることをいう。第1フィルム層40は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主材とする。この場合、第1フィルム層40は、ポリエチレンテレフタレートのみで構成されてもよく、充填剤が50重量%以下の割合で添加されてもよい。例えば、90重量%のPETと10重量%の充填剤で第1フィルム層40を構成することができる。充填剤としては、例えば、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機物がある。無機物としては、例えば、タルク、炭素繊維、セラミックがある。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート以外に、例えば、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)がある。
電気回路層60は、第1の変換機能を有する第1変換部61と、第2の変換機能を持つ第2変換部62と、配線69とを有している。本発明における変換機能とは、ある電気的な現象と当該電気的な現象以外の他の物理的な現象との間の変換を行う機能である。この場合の変換機能には、ある電気的な現象を当該電気的な現象以外の他の電気的な現象に変換する機能も含まれる。第1変換部61と第2変換部62は、配線69により電気回路層60の外部に在る外部デバイスと接続される。第1実施形態では、脈拍測定装置20が、配線69により接続される外部デバイスである。電気回路層60は、第1フィルム層40に接着している。第1変換部61は、数値「0」を入力するための第1の変換機能を有し、第2変換部62は、数値「2」を入力するための第2の変換機能を有する。この場合の第1の変換機能及び第2の変換機能は、リストバンド1の装着者の指が第1変換部61または第2変換部62の上の本体部10に接触することによる静電容量の変化を電気信号に変換する機能である。
第1部位L1は、第1フィルム層40と第1変換部61と第2フィルム層50が重なっている部分である。第2部位L2は、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分である。第3部位L3は、第1フィルム層40と第2変換部62と第2フィルム層50が重なっている部分である。これら、第1部位L1、第2部位L2及び第3部位L3は、厚みが実質的に同じになるように構成されている。
加飾層70は、第2フィルム層50の2つの主面のうち、表示部12が配置される側である表側に形成されている。加飾層70には、「0」から「9」までの数値が描かれている。例えば、数値「0」は、第1変換部61と重なる箇所に配置されている。そのため、リストバンド1の装着者は、加飾層70に「0」と描かれている場所を触ることで、タッチセンサ30により脈拍測定装置20に数値「0」を入力することができる。
加飾層70の表面、言い換えると第2フィルム層50の表面には、凹凸71が形成されている。ここでは、加飾層70の表面に凹凸71が形成されている場合について説明しているが、凹凸は、例えば、第2フィルム層50の裏面に形成されてもよい。また、加飾層70の凹凸71を形成しなくてもよい。このリストバンド1では、加飾層70の表面の凹凸71が、装飾として機能するだけでなく、リストバンド1の表裏を識別するための印としても機能する。
脈拍測定装置20は、シート状デバイス5に接続される装置である。脈拍測定装置20は、開口部14を通してリストバンド1の装着者に接触して脈拍を測定する。既に説明したように、この脈拍測定装置20は、測定した1分間の脈拍と時刻を表示部12に表示することができる。脈拍測定装置20は、シート状デバイス5に接続され、シート状デバイス5により「0」から「9」の数値を入力することができる構成になっている。
例えば、脈拍測定装置20が入力を受け付ける状態で、リストバンド1の装着者が、「0」という数字が描かれている場所を指で触ると、脈拍測定装置20には、「0」という数値が入力される。リストバンド1の装着者は、例えば、11時の脈拍を知りたいときには、タッチセンサ30を用いて所定の入力モードに変更した後、「1」、「1」、「0」、「0」の数値を入力する。この4桁の数値の入力後に、リストバンド1は、表示部12が切り替わり、例えば、「11:00」と「68」の表示を行い、11時の脈拍が68回/分であったことをリストバンド1の装着者に知らせる。
シート状デバイス5の中心になるのは、図7に示されている熱プレスのステップである。図7に示されている熱プレスのステップでは、回路フィルム80の両側に、第1のエラストマーフィルム93と第2のエラストマーフィルム94が配置される。
図7に示されている回路フィルム80は、第1フィルム層40と電気回路層60を含むフィルムである。樹脂フィルムに電気回路を形成し、スリット81(図3参照)を形成することにより、回路フィルム80が作成されている。タッチセンサ30として機能する電気回路層60は、例えば、第1フィルム層40に接着した金属箔をエッチングして形成される。または、電気回路層60は、例えば、導電性インキをスクリーン印刷して形成される。または、電気回路層60は、例えば、第1フィルム層40に蒸着した金属膜をエッチングして形成される。スリット81は、例えば、プレス機によって打ち抜くことで形成される。スリット81の第1方向D1の幅は、例えば10mmから500mmである。電気回路層60の形成とスリット81の形成は、いずれが先であってもよい。
まず、図5に示されている転写フィルム91を準備する。転写フィルム91は、キャリアフィルム91aと、トップ層91bと、図柄層91cと、接着層91dとを有する。キャリアフィルム91aには、例えば、25μmから100μmの厚さのPETフィルムが用いられる。なお、キャリアフィルム91aに用いられるフィルムは、PETフィルムに限られるものではなく、他の樹脂フィルムであってもよい。
トップ層91bは、図柄層91cを保護する機能を有しており、図柄層91cの全体を覆っている。トップ層91bが形成されることにより、リストバンド1に高い耐久性が付与されている。トップ層91bの材質としては、例えば、ウレタン系の熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、転写フィルム91は、トップ層91bを設けない構成とすることもできる。
図柄層91cは、図柄が描かれている層である。図柄層91cを構成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、樹脂に添加される顔料又は染料を含むものである。また、図柄層91cは、例えばアルミペースト又はミラーインキを使用して金属調意匠が施されたものであってもよい。
接着層91dに使用される樹脂としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂及び合成ゴムが挙げられる。接着層91dは、熱によって接着性を発現し、加飾層70と第2フィルム層50の接着力を向上させる。
トップ層91bと図柄層91cと接着層91dは、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、又は転写法によって形成される。トップ層は、例えば、1μm~10μmの厚さで形成される。図柄層91cは、例えば、1μm~50μmの厚さで形成される。接着層91dの厚さは、例えば1μm~10μmである。
準備された転写フィルム91は、図6に示されているように、巻回されたロールから巻き出されて供給される。転写フィルム91は、ドラム101の表面を通って送られる。押出機102からフィルム状に押し出された熱可塑性ポリウレタンエラストマー92(TPU92)がドラム101上で転写フィルム91に接着される。TPU92は、接着層91dに接触するように形成される。このように、転写フィルム91とTPU92から第1のエラストマーフィルム93が形成される。
リストバンド1の裏面を形成するための第2のエラストマーフィルム94(図7参照)は、TPUのみからなるフィルムであるので、ここでは形成方法の説明は省略する。
熱プレスを行うステップでは、図7に示されているように、回路フィルム80と、第1のエラストマーフィルム93及び第2のエラストマーフィルム94とを重ねて熱プレスを行う。熱プレスを行う際には、第1型110と第2型120の間に、第1型110に近い側から順に、第1のエラストマーフィルム93、回路フィルム80及び第2のエラストマーフィルム94が配置される。第1型110には、リストバンド1の表面に設けられる凹凸71を形成するための凹凸111が形成されている。ここでは、収納部13を形成するためのスペーサ130が回路フィルム80と一緒に重ねて配置される。スペーサ130の形状は、例えば、脈拍測定装置20の外観を模した形状である。スペーサ130は、第1型110と第2型120を含む金型のスライドコアであってもよい。熱プレスは、例えば、150℃で10分間行われる。
図8に示されているように、熱プレスが終了した後、キャリアフィルム91aの剥離が行われる。図8には、リストバンド1の断面形状が模式的に示されている。熱プレスのときにキャリアフィルム91aの上から第1型110を押し付けることで、リストバンド1に傷がつくなどの熱プレス時の不具合の発生を抑制している。また、熱プレスの終了後に、スペーサ130を除去する。この実施形態では、キャリアフィルム91aを保護フィルムとして使用することで、保護フィルムの使用量の削減を図っている。
第1実施形態では、第1方向D1のみに、第1フィルム層40と第1変換部61と第2フィルム層50が重なっている部分(例えば、第1部位L1)、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分(例えば、第2部位L2)、第1フィルム層40と第2変換部62と第2フィルム層50が重なっている部分(例えば、第3部位L3)が順に配置されている第1領域R1を備えるシート状デバイス5について説明した。しかし、上述のような3つの部分の並びは、複数の方向に対して行われてもよい。
第2実施形態では、図9に示されているように、第1方向D1と、第1方向D1に直交する方向である第2方向D2の2つの方向を考える。
図9には、第2実施形態に係るシート状デバイス6の一部が示されている。図9に示されているシート状デバイス6は、本体部210と発光部220とタッチセンサ230とを有している。図10には、図9のII-II線に沿ってシート状デバイス6を切断した断面が示されており、図11には、図9のIII-III線に沿ってシート状デバイス6を切断した断面が示されている。発光部220及びタッチセンサ230は、第1フィルム層40と電気回路層60とを備えている。発光部220の電気回路層60には、LED素子65が含まれている。図9から図11に示されているように、発光部220及びタッチセンサ230は、本体部210の中に埋め込まれて、本体部210と一体化されている。本体部210は、第2フィルム層50と加飾層70とを備えている。加飾層70の表面には、凹凸71が形成されている。
電気回路層60は、第1の変換機能を有する第1変換部261と、第2の変換機能を持つ第2変換部262と、第3の変換機能を持つ第3変換部263と、配線69とを有している。第1変換部261と第2変換部262と第3変換部263は、配線69により電気回路層60の外部に在る外部デバイスと接続される。
電気回路層60は、第1フィルム層40に接着している。第2実施形態の第1変換部261は、電気を光に変換する第1の変換機能を有している。第2変換部262及び第3変換部263は、シート状デバイス6の装着者の指が第2変換部262または第3変換部263の上の本体部210に接触することによる静電容量の変化を電気信号に変換する機能を有している。
また、第2実施形態では、第2の変換機能及び第3の変換機能が同じ機能である場合について説明しているが、第2の変換機能と第3の変換機能は異なる機能であってもよい。また、第2実施形態では、第1の変換機能が、第2の変換機能及び第3の変換機能と異なる場合について説明したが、第1の変換機能、第2の変換機能及び第3の変換機能が同じものであってもよい。
第2実施形態の第1部位L1は、第1フィルム層40と第1変換部261と第2フィルム層50が重なっている部分である。第2部位L2は、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分である。第3部位L3は、第1フィルム層40と第2変換部262と第2フィルム層50が重なっている部分である。これら、第1部位L1、第2部位L2及び第3部位L3は、厚みが実質的に同じになるように構成されている。第1フィルム層40に第1のスリット281を形成することによって、第2部位L2が設けられる。第1のスリット281は、第1フィルム層40の端部から第2方向D2に沿って延びている。
第2実施形態の第4部位L4は、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分である。第5部位L5は、第1フィルム層40と第3変換部263と第2フィルム層50が重なっている部分である。これら、第1部位L1、第4部位L4及び第5部位L5は、厚みが実質的に同じになるように構成されている。第1フィルム層40に第2のスリット282を形成することによって、第4部位L4が設けられる。第2のスリット282は、第1フィルム層40の端部から第1方向D1に沿って延びている。
第1変換部261に着目すると、一部を除いて第1変換部261の四方に第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分で囲まれている。言い換えると、第1変換部261の周囲の90%以上が、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分で囲まれている。第2変換部262及び第3変換部263についても同様である。このように、第1変換部261の周囲の90%以上が、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分で囲まれていると、第1変換部261の周囲から第1変換部261に応力が伝わり難くなる。第2変換部262及び第3変換部263も、このような効果を同様に奏する。
第2実施形態のシート状デバイス6も、第1実施形態のシート状デバイス5の製造方法と同様に、回路フィルムを形成するステップと、エラストマーフィルムを形成するステップと、熱プレスを行うステップと、保護フィルムであるキャリアフィルムを剥離するステップとを備えて構成することができる。
(5-1)変形例1
上記第1実施形態のシート状デバイス5及び第2実施形態のシート状デバイス6以外に、シート状デバイスは種々の形状を取り得る。他のシート状デバイス7A~7Dの形状の例が図12から図15に示されている。
図12に示されているシート状デバイス7Aは、第1方向D1に帯状に長く延びた本体部310を有する。第1フィルム層40は、S字型と逆S字型をつなぎ合わせた形状をしている。第2フィルム層50は、第1方向D1に沿って延びる帯状の形状をしている。図12に示されているシート状デバイス7Aでは、第1変換部361と第2変換部362を含む領域に第1領域R1が形成されている。シート状デバイス7Aでは、また、別の組の他の変換部363,364を含む領域にも、第1領域R1に相当する領域が形成される。シート状デバイス7Aでは、第1変換部361及び他の変換部363に接続されている配線69と、第2変換部362及び他の変換部364に接続されている配線69を分離することで、第1方向D1においてシート状デバイス7Aが伸縮を繰り返しても配線69が切れにくくなっている。
図13に示されているシート状デバイス7Bは、第1方向D1に長く延びた本体部410を有する。図13に示されている本体部410の状態は、第1方向D1に沿って緩やかに湾曲している。図13の本体部410には、本体部410が湾曲するような力が加わっている。この力を取り除くと、本体部410は、第1方向D1に沿ってまっすぐ延びる形状に戻る。第1フィルム層40は、第1方向に沿って直線状に延びる幹部40aと複数の枝部40bを有している。各枝部40bは、幹部40aと交差する方向、さらに詳しくは幹部40aと直交する方向に延びている。第2フィルム層50は、第1方向D1に沿って延びる帯状の形状をしている。図13に示されているシート状デバイス7Bでは、第1変換部461と第2変換部462を含む領域に第1領域R1が形成されている。シート状デバイス7Bでは、また、別の組の他の変換部463,464を含む領域にも、第1領域R1に相当する領域が形成されている。シート状デバイス7Aでは、第1変換部461及び他の変換部463に接続されている配線69と、第2変換部462及び他の変換部464に接続されている配線69を分離することで、第1方向D1においてシート状デバイス7Bが曲がったり直線状に戻ったりを繰り返しても配線69が切れにくくなっている。
シート状デバイス7Cは、第1方向D1及び第2方向D2だけでなく、円盤状の本体部510が広がる面内方向に対して垂直な方向にも伸縮しやすい構造となっている。このような本体部510が面内方向に対して垂直な方向にも伸縮し易くなっていると、肘、膝、肩などの周囲に対して突出するような動作になる箇所に適用し易くなる。
なお、図14では、シート状デバイス7Cが第1方向D1に第1部位、第2部位及び第3部位が並び、第2方向D2に第1部位、第4部位第5部位が並んでいる。しかし、第1フィルム層40と変換部と第2フィルム層50が重なっている部分、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する部分、第1フィルム層40と他の変換部と第2フィルム層50が重なっている部分が順に配置されている領域は、第1方向D1及び第2方向D2だけでなく、さらに第1方向D1及び第2方向D2以外の方向に沿って並んでいる他の領域を設けてもよい。このような他の領域として、例えば、シート状デバイス7Cでは、第3変換部563と第4変換部564を含む第3領域R3が形成され、また、別の組の第5変換部565と第6変換部566を含む第4領域R4が形成されている。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、回路フィルム80が第2フィルム層50に埋め込まれている場合について説明した。しかし、本発明のシート状デバイスは、回路フィルム80の表面または裏面のいずれか一方のみに第2フィルム層50が形成されてもよい。
(5-3)変形例3
上記第1実施形態及び第2実施形態では、シート状デバイス5,6に加飾層70を設ける場合について説明した。しかし、本発明のシート状デバイスは、加飾層を設けられなくてもよい。
(5-4)変形例4
上記第1実施形態及び第2実施形態では、シート状デバイス5,6に凹凸71が形成される場合について説明した。しかし、本発明のシート状デバイスは、表面に凹凸を設けられなくてもよい。
(5-5)変形例5
上記第1実施形態、第2実施形態及び変形例では、本体部10,210,310,410,510,610が、帯状、長方形のシート状、円盤状である場合について説明した。しかし、本発明に係るシート状デバイスの本体部の形状は、これらの形状に限られるものではない。例えば、手袋のような複雑な形状であってもよい。
(6-1)
以上説明したように、シート状デバイス5,6,7A~7Dでは、第1フィルム層40が第2フィルム層50よりも20℃における単位長さ当たりの伸びが小さい。そのため、第1フィルム層40を用いずに第2フィルム層50に電気回路層60を直接形成する場合と比較すると、第1フィルム層40に電気回路層60が接着されることで、電気回路層60と重なっている部分の第2フィルム層50の伸縮が第1フィルム層40によって抑制される。その結果、電気回路層60の第1変換部61の第1の変換機能と第2変換部62の第2の変換機能が第1フィルム層40によって、より良く保護され、第1変換部61及び第2変換部62が安定して動作する。
また、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する第2部位L2の熱可塑性エラストマーによって第1フィルム層40に掛かる応力が緩和される。その結果、第1フィルム層40に接着している電気回路層60が保護される。
さらに、シート状デバイス5,6,7A~7Dは、20℃において、第1領域R1の単位長さ当たりの伸びが、第1フィルム層40の単体の単位長さ当たりの伸びよりも大きくなるように構成されている。このように構成されたシート状デバイス5,6,7A~7Dは、第1領域R1の伸びが第1フィルム層40の単体の伸びと同等かそれ以下に構成される場合よりも、シート状デバイスが周囲の変形に合わせて柔軟に変形できる。その結果、例えばウェアがこのような第1領域R1を有するシート状デバイス5,6,7A~7Dを含む場合に、ウェアの着心地がよくなる。なお、20℃における単位長さ当たりの伸びで第1領域R1と第1フィルム層40の伸びを比較するのは、シート状デバイスの使用については、室温における伸びが重要であるからである。
上述のシート状デバイス6,7C,7Dは、電気回路層60が、第3の変換機能を持つ第3変換部263,563,663を有し、シート状デバイス6,7C,7Dは、第1フィルム層40が存在せずに第2フィルム層50が存在する第4部位L4、及び第1フィルム層40と第3変換部263,563,663と第2フィルム層50が重なっている第5部位L5を有する。シート状デバイス6では、第1部位L1、第4部位L4及び第5部位L5が、第2フィルム層50の面内の第1方向D1とは異なる第2方向D2において順に並べて配置されている。第1部位L1、第4部位L4及び第5部位L5を含む第2領域R2は、20℃において、第2方向D2に同じ力を加えられたときの単位長さ当たりの伸びが第1フィルム層40の単体の単位長さ当たりの伸びよりも大きい。このように構成されたシート状デバイス6では、第1方向D1だけでなく、第2方向D2においても、第1から第3の変換機能の安定性が向上し、柔軟性が改善される。
(6-3)
上述のシート状デバイス5,6,7A~7Dにおいて、第2部位L2が、実質的に、第1部位L1及び第3部位L3の厚みと同じ厚みを有する、ように構成されている。このように構成されたシート状デバイス5,6,7A~7Dは、第1部位L1及び第3部位L3と第2部位L2との境界で段差が生じないので、これらの境界が引っかかることで生じる応力の発生が防止され、破損し難くなる。
上述のシート状デバイス5,6は、第2フィルム層50に接着され、図柄が表されている加飾層70を備えている。シート状デバイス5,6では、加飾層70の図柄と第1変換部61,261及び第2変換部62,262との位置関係が固定される。その結果、例えばシート状デバイス5,6をウェアに適用した場合、人体の動きによってシート状デバイス5,6が変形しても、加飾層70によって第1変換部61,261及び第2変換部62,262の配置場所を的確に特定することができる。第1変換部61,261及び第2変換部62,262の配置場所が的確に特定できると、シート状デバイス5,6の操作、メンテナンス作業などが行い易くなる。
図5から図8を用いて説明したシート状デバイス5の製造方法は、第1変換部61と第2変換部62とを有する電気回路層60を、熱可塑性樹脂を主材とする第1フィルム層40に接着させて回路フィルム80を形成するステップと、熱可塑性樹脂よりも伸びる熱可塑性エラストマーを主材として20℃において第1フィルム層40よりも伸びる第2フィルム層50、及び保護フィルムであるキャリアフィルム91aを有する第1のエラストマーフィルム93を形成するステップと、回路フィルム80と第1のエラストマーフィルム93とを重ねて熱プレスを行うステップと、キャリアフィルム91aを剥離するステップとを備えている。
熱プレスを行うステップでは、キャリアフィルム91aを介して第2フィルム層50に第1型110を押し付けて第2フィルム層50の表面に凹凸71を形成すると同時に第1フィルム層40と第2フィルム層50とを接着している。
キャリアフィルム91aで保護された状態で第2フィルム層50に凹凸71が形成されるので、シート状デバイス5の表面の劣化を防止することができる。このようなシート状デバイスの製造方法では、シート状デバイス5の表面に熱プレスを行うステップとは異なるステップでシート状デバイス5の表面に凹凸71を形成する場合に比べ、製造工程のステップ数を減らすことができる。
(6-6)
上述のシート状デバイスの製造方法は、キャリアフィルム91aと第2フィルム層50との間に、図柄が表されている加飾層70を形成するステップを備えるように構成されている(図5参照)。このように構成されたシート状デバイスの製造方法では、第1変換部61及び第2変換部62の配置位置と図柄の配置位置との位置合わせが容易に行える。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態並びにそれらの変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
5,6,7A~7D シート状デバイス
40 第1フィルム層
50 第2フィルム層
60 電気回路層
70 加飾層
80 回路フィルム
91 転写フィルム
91a キャリアフィルム
61,261,361,461,561,661 第1変換部
62,262,362,462,562,662 第2変換部
263,563,663 第3変換部
D1 第1方向
D2 第2方向
L1 第1部位
L2 第2部位
L3 第3部位
L4 第4部位
L5 第5部位
R1 第1領域
R2 第2領域
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂を主材とする第1フィルム層と、
前記第1フィルム層に接着され、前記熱可塑性樹脂よりも伸びる熱可塑性エラストマーを主材とし、20℃における単位長さ当たりの伸びが前記第1フィルム層よりも大きい第2フィルム層と、
第1の変換機能を持つ第1変換部と第2の変換機能を持つ第2変換部とを有し、前記第1フィルム層に接着している電気回路層と
を備えるシート状デバイスであって、
前記第1フィルム層と前記第1変換部と前記第2フィルム層が重なっている第1部位、前記第1フィルム層が存在せずに前記第2フィルム層が存在する第2部位、及び前記第1フィルム層と前記第2変換部と前記第2フィルム層が重なっている第3部位を有し、
前記第1部位、前記第2部位及び前記第3部位が、前記第2フィルム層の面内の第1方向において順に並べて配置され、
前記第2部位は、前記第1フィルム層の端部で開口して、前記第1部位と前記第3部位の間を区切るように突出し、
前記第1部位、前記第2部位及び前記第3部位を含む第1領域は、前記第1方向に同じ力を加えられたときの20℃における単位長さ当たりの伸びが前記第1フィルム層の単体の単位長さ当たりの伸びよりも大きい、シート状デバイス。 - 前記電気回路層は、第3の変換機能を持つ第3変換部を有し、
前記第1フィルム層が存在せずに前記第2フィルム層が存在する第4部位、及び前記第1フィルム層と前記第3変換部と前記第2フィルム層が重なっている第5部位を有し、
前記第1部位、前記第4部位及び前記第5部位が、前記第2フィルム層の面内の前記第1方向とは異なる第2方向において順に並べて配置され、
前記第1部位、前記第4部位及び前記第5部位を含む第2領域は、前記第2方向に同じ力を加えられたときの単位長さ当たりの伸びが前記第1フィルム層の単体の単位長さ当たりの伸びよりも大きい、
請求項1に記載のシート状デバイス。 - 前記第2部位は、実質的に、前記第1部位及び前記第3部位の厚みと同じ厚みを有する、
請求項1または請求項2に記載のシート状デバイス。 - 前記第2フィルム層は、表面に凹凸模様を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシート状デバイス。 - 前記第2フィルム層に接着され、図柄が表されている加飾層を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシート状デバイス。
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