JP6941311B2 - 配線基板及び配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板及び配線基板の製造方法 Download PDF

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Description

この出願は、2019年2月12日に出願した日本国特願2019−022726号および日本国特願2019−022729号、ならびに、2019年12月26に出願した日本国特願2019−237529号および日本国特願2019−237549号のそれぞれに基づくとともに、それぞれの優先権を主張するものであり、それぞれの全体の内容は、参照によって、ここに引用される。
本開示の実施形態は、伸縮性を有する基材と、配線とを備える配線基板及びその製造方法に関する。
近年、伸縮性などの変形性を有する電子デバイスの研究がおこなわれている。例えば、伸縮性を有する基材に伸縮性を有する銀配線を形成したものや、伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成したものが知られている(例えばJP2013−187308A)。また、JP2007−281406Aは、この種の電子デバイスの製造方法を開示している。特許文献2の製造方法は、予め伸長させた状態の基材に回路を設け、回路を形成した後に基材を弛緩させる、という工程を採用している。
伸縮性を有する配線基板では、通常、配線と、電子部品に代表される被接続部材の端子部とが典型的には接続部によって接続される。この構成において、電子部品の様に被接続部材がほとんど伸縮しない場合には、配線基板およびそれに設けられた配線は伸縮するため、被接続部材と配線とが接続される接続部や接続部と接続する配線の端部に応力が集中し易い。そのため接続部において被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が生じることがあった。
また、配線が伸縮する際に、配線の端部や分岐部、方向転換部の一部においては応力が集中し断線することがあった。
以上から、本開示の目的は、基材の伸縮により、応力が集中することがある配線の一部、あるいは配線に接続される接続部において、接続剥がれや断線を抑制することができる、配線基板、および配線基板の製造方法を提供することである。
本開示は、配線基板であって、第1面及び第1面の反対側に位置する第2面を含み伸縮性を有する基材と、基材の第1面側に位置する配線と、基材の伸縮を抑制する複数の第1伸縮抑制部材と、複数の第1伸縮抑制部材を固定する第2伸縮抑制部材とを備え、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合に、配線の少なくとも一部は、複数の第1伸縮抑制部材に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している配線基板である。
上記配線基板において、第2伸縮抑制部材は第1伸縮抑制部材であってもよい。
上記配線基板において、配線基板に搭載される被接続部材を有し、第2伸縮抑制部材は被接続部材であってもよい。
本開示は、配線基板であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み伸縮性を有する基材と、基材の第1面側に位置する配線と、基材の伸縮を抑制する第1伸縮抑制部材と、を備え、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合に、配線の少なくとも一部は、第1伸縮抑制部材に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している配線基板である。
上記配線基板において、配線の少なくとも一部が、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合における、配線の端部、配線の分岐部、配線の方向転換部のうちの少なくともいずれかであってもよい。
上記配線基板において、配線基板に搭載される被接続部材を有し、被接続部材と配線との間に位置し被接続部材と配線とを電気的に接続する接続部をさらに備え、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合に、接続部のうち少なくとも1つは伸縮抑制領域のうち第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在していてもよい。
上記配線基板において、第1伸縮抑制部材を複数備え、複数の第1伸縮抑制部材は配線の延びる方向に隣り合っていてもよい。
上記配線基板において、さらに支持基板を備え、第1伸縮抑制部材は基材に支持基板を介して間接的に接していてもよい。
上記配線基板において、第1伸縮抑制部材の少なくとも1つは、基材を貫通していてもよい。
上記配線基板において、基材は、配線が延びる方向に並ぶ複数の山部を含んでいてもよい。
上記配線基板において、配線は、配線が延びる方向に並ぶ複数の山部を含んでいてもよい。
本開示は、上記配線基板に被接続部材を接続してなるデバイスである。
本開示は、上記デバイスを有する電子製品である。
本開示は、伸縮性を有する基材に張力を加えて基材を伸長させる伸長工程と、伸長工程によって伸長した状態の基材の第1面側に、第1伸縮抑制部材を基材の伸縮を抑制するために設けるとともに、配線基板に搭載される被接続部材に接続される配線を設ける設置工程と、基材から張力を取り除く収縮工程と、を備え、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合に、配線の少なくとも一部は、第1伸縮抑制部材に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している配線基板の製造方法である。
本開示は、伸縮性を有する基材に張力を加えて基材を伸長させる伸長工程と、伸長工程によって伸長した状態の基材の第1面側に、配線基板に搭載される被接続部材に接続される配線を設ける第1設置工程と、基材から張力を取り除く収縮工程と、収縮工程で張力を取り除いた基材に第1伸縮抑制部材を基材の伸縮を抑制するために設ける第2設置工程と、を備え、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合に、配線の少なくとも一部は、第1伸縮抑制部材に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している配線基板の製造方法である。
本開示は、第1面及び第1面の反対側に位置する第2面を含み、第1面、第2面及び内部のうちの少なくともいずれかに第1伸縮抑制部材が設けられた伸縮性を有する基材に張力を加えて基材を伸長させる伸長工程と、伸長工程によって伸長した状態の基材の第1面側に配線基板に搭載される被接続部材に接続される配線を設ける設置工程と、基材から張力を取り除く収縮工程と、を備え、第1面の法線方向に沿って基材を見た場合に、配線の少なくとも一部は、第1伸縮抑制部材に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している配線基板の製造方法である。
また、他の開示は、配線基板であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、前記基材の前記第1面側に位置し、前記配線基板に搭載される電子部品に接続される配線と、前記基材を補強する補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記電子部品から突出するように延びる第1補強部材を含み、前記配線は、前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記第1補強部材と前記電子部品とを仮想的に結ぶ少なくともいずれかの直線に対して交差する、配線基板である。
他の開示にかかる配線基板は、前記第1面と前記配線との間に位置し、前記配線を支持する支持基板を更に備えてもよい。
また、他の開示は、配線基板であって、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第1面および前記第2面に沿った面方向のうち少なくとも第1方向に伸縮性を有する基材と、前記第1面側に位置し、前記配線基板に搭載される少なくとも1つの電子部品に接続される配線と、前記電子部品に対して前記面方向に離れて位置し、前記基材を補強する補強部材と、を備え、前記補強部材の少なくとも一部は、前記第1方向における前記電子部品の第1端部の位置から前記第1方向において前記第1端部に対向する第2端部の位置まで少なくとも延びており、前記補強部材は、前記第1面の法線方向から見た場合に前記電子部品を囲む形状を有する、配線基板である。
本開示によれば、例えば、基材の伸縮により、配線の一部や配線に接続される接続部等において、接続剥がれや断線を抑制することができる、配線基板、および配線基板の製造方法を提供することができる。
本開示に係る配線基板の第1実施形態を説明する平面図。 図1aのA−A断面図。 図1aのB−B断面図。 図1aのC−C断面の拡大断面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図4aのA−A断面図。 図4aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図8aのA−A断面図。 図8aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図9aのA−A断面図。 図9aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図10aのA−A断面図。 図10aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図11aのA−A断面図。 図11aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図12aのA−A断面図。 図12aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図13aのA−A断面図。 図13aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図14aのA−A断面図。 図14aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の実施形態における伸縮抑制部材を説明する平面図。 図15aのA−A断面図。 図15aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第2実施形態を説明する平面図。 図16aのA−A断面図。 図16aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第2実施形態における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態を説明する平面図。 図18aのA−A断面図。 図18aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態における被接続部材と伸縮抑制部材との接続を説明する平面図。 図19aのA−A断面図。 図19aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態における被接続部材と伸縮抑制部材との接続を説明する平面図。 図20aのA−A断面図。 図20aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態における被接続部材と伸縮抑制部材との接続を説明する平面図。 図21aのA−A断面図。 図21aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の例を説明する平面図。 図22aのA−A断面図。 図22aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態を説明する平面図。 図23aのA−A断面図。 図23aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態の変形例における伸縮抑制部材の位置を説明する図23aのA−Aに相当する断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態の変形例における伸縮抑制部材の位置を説明する図23aのB−Bに相当する断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態の変形例における伸縮抑制部材の位置を説明する図23aのA−Aに相当する断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態の変形例における伸縮抑制部材の位置を説明する図23aのB−Bに相当する断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態の変形例における伸縮抑制部材の位置を説明する図23aのA−Aに相当する断面図。 本開示に係る配線基板の第4実施形態の変形例における伸縮抑制部材の位置を説明する図23aのB−Bに相当する断面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態の変形例における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図25aのA−A断面図。 図25aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第2実施形態の変形例における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図26aのA−A断面図。 図26aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の変形例における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図27aのA−A断面図。 図27aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の変形例における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図28aのA−A断面図。 図28aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の変形例における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図29aのA−A断面図。 図29aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の変形例における伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図30aのA−A断面図。 図30aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の例における変形例において伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図31aのA−A断面図。 図31aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の例における変形例において伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図32aのA−A断面図。 図32aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の例における変形例において伸縮抑制部材の形状を説明する平面図。 図33aのA−A断面図。 図33aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の好ましい形態の一例を説明する平面図。 図34aのE−E断面図。 図34aのF−F断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第1変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第1変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第1変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第1変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第2変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第2変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の製造方法の第2変形例を説明する断面図。 本開示に係る配線基板の配線の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の実施例を説明する平面図。 図39aのA−A断面図。 図39aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板における配線を説明する平面図。 図40aの拡大模式図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態の他の変形例を説明する平面図。 図41aのA−A断面図。 図41aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態の他の変形例を説明する平面図。 図42aのA−A断面図。 図42aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の拡張形態を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の拡張形態を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態の他の変形例を説明する平面図。 図45aのA−A断面図。 図45aのB−B断面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態の他の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第1実施形態の他の変形例を説明する平面図。 図47aのE−E断面図。 図47aのF−F断面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の第3実施形態の他の変形例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の実施例を説明する平面図。 本開示に係る配線基板の実施例を説明する平面図。 図54aのA−A断面図。 図54aのB−B断面図。 本開示に係る他の実施形態に係る配線基板を示す平面図である。 図55の配線基板を線II−IIに沿って切断した場合を示す断面図である。 図56に示す配線基板を拡大して示す断面図である。 図57Aの拡大図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55に示す配線基板の製造方法を説明するための図である。 図55に示す配線基板の製造方法を説明するための図である。 図55に示す配線基板の製造方法を説明するための図である。 図55に示す配線基板の製造方法を説明するための図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す断面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図55の配線基板の製造方法の一変形例を説明するための図である。 図55の配線基板の製造方法の一変形例を説明するための図である。 図55の配線基板の製造方法の一変形例を説明するための図である。 図55の配線基板の製造方法の一変形例を説明するための図である。 図55の配線基板の一変形例を示す平面図である。 本開示に係るさらに他の実施形態に係る配線基板を示す平面図である。 図76の配線基板を線II−IIに沿って切断した場合を示す断面図である。 図76の配線基板の一変形例を示す平面図である。 図76の配線基板の一変形例を示す平面図である。
以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」などの用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基材」は、基板、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本明細書において用いられる「接する」という用語は、直接的に接すること及び間接的に接することを含む概念であり、例えば直接的に接することだけを特定する場合には、明示的に「直接的に接する」という表現が用いられる。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、本開示の配線基板について説明する。
(配線基板)
まず、本実施形態に係る配線基板10について説明する。図1aは配線基板10を示す平面図であり、そのA−Aに沿って切断した場合の断面図を図1bに、B−Bに沿って切断した場合の断面図を図1cに示す。
配線基板10は、基材20、配線52、第1伸縮抑制部材31、および第2伸縮抑制部材32を備える。以下、配線基板10の各構成要素について説明する。以降各図において、作用効果を認識し易くする目的で被接続部材51を図示する場合がある。しかしながら被接続部材51は配線基板10の必須の構成要素ではない。以下第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32とをまとめて伸縮抑制部材30と表現する場合もある。
〔基材〕
基材20は、伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。基材20の厚さは、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。基材20の厚さを10μm以上にすることにより、基材20の耐久性を確保することができる。また、基材20の厚さを10mm以下にすることにより、配線基板10の装着快適性を確保することができる。なお、基材20の厚さを小さくしすぎると、基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
なお、基材20の伸縮性とは、基材20が伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の基材20の状態である。本実施形態において、伸縮可能な基材は、好ましくは、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができ、より好ましくは20%以上伸長することができ、更に好ましくは75%以上伸長することができる。このような能力を有する基材20を用いることにより、配線基板10が全体に伸縮性を有することができる。
さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板10を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
また、非伸長状態にある基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。基材20の形状変化は、例えば面積比で20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。形状変化の小さい基材20を用いることにより、後述する蛇腹形状部の形成が容易になる。
基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、基材20の弾性係数を挙げることができる。基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する基材20を用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、基材20の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。基材20の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
基材20の第1の弾性係数を算出する方法としては、基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の第1の弾性係数を算出する方法として、基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本開示における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m又はPa・mである。基材20の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。
基材20を構成する材料の例としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。また、基材20の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2−BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、基材20がシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、基材20の材料として好ましい。
〔配線〕
配線52は、基材20の第1面21側に位置し、配線基板10に搭載される被接続部材51に接続部51aを介して接続される、導電性を有する部材である。例えば図1bに示すように、配線52の端部が、接続部51aを介して被接続部材51に接続されている。図1bに示す例では、被接続部材51に対して両側(図1bにおける左右)のそれぞれに、複数の配線52が設けられるが、配線52の数は特に限定されるものではない。
また配線52には、分岐部や方向転換部、配線の幅が変化する配線幅変化部等の配線の平面視上の外形が配線の延伸方向において変化する箇所が設けられていてもよい。図40aおよびbは説明のために配線52の端部52t、分岐部52b、および方向転換部52hを表した模式図である。図40aにおける端部52t、分岐部52b、および方向転換部52h部分を拡大した模式図を図40bに示す。配線52の端部52tは配線の一端であり、通常は該端部52tにおいては接続部51aを介して被接続部材51に接続される。接続部51aを介して被接続部材51に接続されていなくても構わない。配線の分岐部52bは、配線が分岐する部分である。分岐の角度や分岐部52bに接続される各配線52の幅などは任意である。配線の方向転換部52hは配線の方向が転換される部分である。方向の転換角度は図40aおよびbにおいては90°であるが、これに限らず転換角度任意である。また図40aおよびbにおいては直角に方向転換しているがこれに限らない。方向転換部は円弧の一部であっても、様々な半径の円弧の一部が連続してものであっても良い。一番小さな円弧の半径が配線幅の20倍以下であれば方向転換部52hである。
後述するように、一実施形態では、配線52が、引張によって伸長した状態の基材20に設けられる。この場合、基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線52は、図2に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部57を有するようになる。図2は図1aのC−C断面を示す模式的に表した拡大図である。理解を助けるために、C−C断面には本来現れず背後に存在する伸縮抑制部材30も図示している。
蛇腹形状部57は、基材20の第1面21の法線方向における山部及び谷部を含む。図2において、符号53は、配線52の表面に現れる山部を表し、符号54は、配線52の裏面に現れる山部を表す。また、符号55は、配線52の表面に現れる谷部を表し、符号56は、配線52の裏面に現れる谷部を表す。表面とは、配線52の面のうち基材20から遠い側に位置する面であり、裏面とは、配線52の面のうち基材20に近い側に位置する面である。また、図2において、符号26及び27は、基材20の第1面21に現れる山部及び谷部を表す。第1面21に山部26及び谷部27が現れるように基材20が変形することにより、配線52が蛇腹状に変形して蛇腹形状部57を有するようになる。基材20の第1面21の山部26が、配線52の蛇腹形状部57の山部53、54に対応し、基材20の第1面21の谷部27が、配線52の蛇腹形状部57の谷部55、56に対応している。
以下の説明において、蛇腹形状部57の山部及び谷部が繰り返し現れる方向、すなわち配線基板10の伸縮方向のことを、第1方向D1とも称する。図2に示す例において、配線52は、第1方向D1に平行に延びている。ここで、配線52は、被接続部材51及び伸縮抑制部材30に対し、第1方向D1でずれた位置に、蛇腹形状部57を有する。また、基材20は、第1方向D1に平行な長辺を含む長方形の形状を有している。図示はしないが、配線基板10は、第1方向D1とは異なる方向に延びる配線52を含んでいてもよい。また、図示はしないが、基材20が長方形の形状を有する場合に、長辺が延びる方向が第1方向D1とは異なっていてもよい。なお、図2においては、蛇腹形状部57の複数の山部及び谷部が一定の周期で並ぶ例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、蛇腹形状部57の複数の山部及び谷部は、第1方向D1に沿って不規則に並んでいてもよい。例えば、第1方向D1において隣り合う2つの山部の間の間隔が一定でなくてもよい。
上記の通り、基材20は、配線52が延びる方向(第1方向D1)に並ぶ複数の山部を含むものであり、また配線52は、配線52が延びる方向に並ぶ複数の山部を含むものである。すなわち基材20、および配線52には蛇腹形状部57が形成されている。
図2において、符号S1は、配線52の表面における蛇腹形状部57の、基材20の法線方向における振幅を表す。振幅S1は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S1を10μm以上とすることにより、基材20の伸張に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S1は、例えば500μm以下であってもよい。
振幅S1は、例えば、配線52の長さ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部53と谷部55との間の、第1面21の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「配線52の長さ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部53と谷部55との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部53と谷部55との間の距離を測定してもよい。後述する振幅S2、S3の算出方法も同様である。
図2において、符号S2は、配線52の裏面における蛇腹形状部57の振幅を表す。振幅S2は、振幅S1と同様に、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、振幅S2は、例えば500μm以下であってもよい。また、図2において、符号S3は、蛇腹形状部57に重なる部分において基材20の第1面21に現れる山部26及び谷部27の振幅を表す。図2に示すように配線52の裏面が基材20の第1面21上に位置している場合、基材20の第1面21の山部26及び谷部27の振幅S3は、配線52の裏面における蛇腹形状部57の振幅S2に等しい。
なお、図2においては、基材20の第2面22には蛇腹形状部が現れない例を示したが、これに限られることはなく、基材20の第2面22にも蛇腹形状部が現れていてもよい。第2面22の山部は、第1面21の谷部27に重なる位置に現れ、第2面22の谷部は、第1面21の山部26に重なる位置に現れていても良いし、基材20の第2面22の山部及び谷部の位置は、第1面21の谷部27及び山部26に重なっていなくてもよい。また、基材20の第2面22の山部及び谷部の数又は周期は、第1面21の山部26及び谷部27の数又は周期と同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、基材20の第2面22に現れる山部及び谷部の振幅は、第1面21の振幅S3と同一であってもよく、異なっていてもよい。基材20の厚さが小さい場合、第1面21の振幅S3に対する第2面22の振幅の比率が大きくなり易い。
配線52の材料としては、蛇腹形状部57の解消及び生成を利用して基材20の伸張及び収縮に追従することができる材料であればよい。配線52の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52に用いられる材料自体が伸縮性を有する場合、材料の伸縮性は、例えば、基材20の伸縮性と同様である。配線52に用いられ得る、それ自体が伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。
好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
配線52の厚さは、基材20の伸縮に耐え得る厚さであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。
例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚さは、25nm以上50μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚さは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線52の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法、メッキ法、特にCuメッキ法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
また、基材20上または後述する支持基板40上及びこれら基材20または支持基板40に設けられた配線52には、基材20または支持基板40と配線52とを一体的に覆う絶縁膜が設けられてもよい。ただし、絶縁膜は、配線52における被接続部材51との接続部分上には設けられない。このような絶縁膜は、熱硬化性の絶縁樹脂等を加熱硬化することで構成され得る。絶縁膜の厚さは、例えば0.1μm以上500μm以下でもよい。また、絶縁膜の形成は、スクリーン印刷等で行われてもよい。また、接続部51aは、例えば導電性接着剤から構成されてもよいし、半田材料で形成されてもよいし、被接続部材51と一体の端子であってもよい。
蛇腹形状部57が配線52に形成されていることの利点について説明する。上述のように、基材20は、10MPa以下の弾性係数を有する。このため、配線基板10に引張応力を加えた場合、基材20は、弾性変形によって伸長することができる。ここで、仮に配線52も同様に弾性変形によって伸長すると、配線52の全長が増加し、配線52の断面積が減少するので、配線52の抵抗値が増加してしまう。また、配線52の弾性変形に起因して配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことも考えられる。
これに対して、本実施形態においては、基材20が蛇腹形状部57を有しているため、配線52も蛇腹形状部57を有している。このため、基材20が伸張する際、配線52は、蛇腹形状部57の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板10の伸張に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
ところで、配線52の山部53、54の高さ及び谷部55、56の深さは、基材20の厚さのばらつきや、基材20に設けられる配線52の分布密度の差などに起因して、位置によってばらつくことがある。山部53、54の高さ及び谷部55、56の深さが位置によってばらつくと、配線52に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きくなり、配線52が破損してしまうことが考えられる。また、山部53、54の高さ及び谷部55、56の深さのばらつきが大きい場合であっても、小さい場合であっても、被接続部材51と配線52とが接続される接続部51aや接続部51aに接続される配線52の端部に応力が集中し易くなり、接続部51aや配線52の端部において被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することがあった。また、配線が伸縮する際に、配線の分岐部や方向転換部等の配線の平面視上の外形が配線の延伸方向において変化する箇所においては応力が集中し断線することがあった。
ここで本実施形態によれば、図1a〜cに示す例のように、基材20に第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32(伸縮抑制部材30)を設けることにより、図40aおよびbのように基材20における配線52の端部52t、分岐部52b、あるいは方向転換部52h等の配線の平面視上の外形が配線の延伸方向において変化する箇所の変形を制御、特に緩和することが可能となる。これにより、配線52の端部52tに位置する接続部において被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線を抑制したり配線の分岐部や方向転換部等の配線の平面視上の外形が配線の延伸方向において変化する箇所における断線を抑制したりすることができる。
〔第1伸縮抑制部材および第2伸縮抑制部材(伸縮抑制部材)〕
本開示に係る配線基板は、図1a〜cに示す例のように、第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32を備える。第2伸縮抑制部材32は複数の第1伸縮抑制部材31を固定するものである。ここで、固定するとは、相互の位置関係が変化することを抑制するという意味である。すなわち第2伸縮抑制部材32は、複数の第1伸縮抑制部材31の相互の位置関係が変化することを抑制するものである。複数の第1伸縮抑制部材31は第2伸縮抑制部材32により相互に接続されていることが好ましいが、これに限らない。
第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32、すなわち伸縮抑制部材30は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有してもよい。第1伸縮抑制部材31の弾性係数と第2伸縮抑制部材32の弾性係数とは同じであっても良く異なっていても良く以下の通り適宜定めることができる。以下の説明において、第1伸縮抑制部材31の弾性係数と第2伸縮抑制部材32の弾性係数とは特に区別せずに伸縮抑制部材30の弾性係数と称し、これを第2の弾性係数とも称する。第2の弾性係数は、例えば0.1GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは0.1GPa以上100GPa以下である。このような伸縮抑制部材30を基材20に設けることにより、後述する伸縮抑制領域70における伸縮を抑制することができる。これにより、基材20を、伸縮が生じやすい部分と、伸縮が生じにくい部分すなわち伸縮抑制領域70とに区画することができる。第2の弾性係数が低すぎると、伸縮の制御がし難い場合がある。また、第2の弾性係数が高すぎると、基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊が伸縮抑制部材30に起こる場合がある。第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1.1倍以上1000000倍以下であってもよく、より好ましくは100000倍以下である。
伸縮抑制部材30の第2の弾性係数を算出する方法は、伸縮抑制部材30の形態に応じて適宜定められる。例えば、伸縮抑制部材30の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の基材20の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数についても同様である。例えば、伸縮抑制部材30又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、伸縮抑制部材30又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
本開示の効果を効果的に得るためには、伸縮抑制部材30の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数よりも大きいことが好ましい。この場合、伸縮抑制部材30を構成する材料として、金属材料を用いることができる。金属材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属材料として、半田材料が用いられてもよい。また、伸縮抑制部材30を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーや、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系又はシリコーン系等のオリゴマー、ポリマーなどを用いてもよい。伸縮抑制部材30を構成する材料がこれらの樹脂である場合、伸縮抑制部材30は、透明性を有していてもよい。また、伸縮抑制部材30は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、伸縮抑制部材30は黒色であってもよい。また、伸縮抑制部材30の色と基材20の色とが同一であってもよい。伸縮抑制部材30の厚さは、本実施の形態において、例えば1μm以上1mm以下である。
伸縮抑制部材30の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数以下である場合における伸縮抑制部材30の第2の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、1MPa以下であってもよい。伸縮抑制部材30の第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
伸縮抑制部材30の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数以下の場合、伸縮抑制部材30を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。この場合、伸縮抑制部材30の厚さは、本実施の形態において、例えば1μm以上100μm以下である。しかし、後述する基材20を貫通する形態や図19a〜図21c、図27a〜図29cに例示したような構造であるときは、伸縮抑制部材30の厚さが数mm、例えば1mm以上5mm以下となる場合もある。
伸縮抑制部材30の特性を、弾性係数に替えて曲げ剛性によって表してもよい。伸縮抑制部材30の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって伸縮抑制部材30を切断した場合の断面に基づいて算出される。伸縮抑制部材30の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1.1倍以上であってもよく、より好ましくは2倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。
若しくは、伸縮抑制部材30の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性以下であってもよい。例えば、伸縮抑制部材30の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
〔伸縮抑制部材の第1変形例〕
後述する第1実施形態(図4参照)の様に、第2伸縮抑制部材32が被接続部材51ではない形態においては、被接続部材51は基材20の伸縮の抑制に主要因としては寄与しないため、伸縮抑制部材30と被接続部材51との接続の方法は任意である。例えば被接続部材51は接着剤Boにより基材20に固定されていてもよい。このように接着剤Boを別途有し、被接続部材51が伸縮抑制部材30により基材20に固定されるのではない場合には、伸縮抑制部材30は基材20の伸縮を抑制できればよいため、基材20の厚さ方向(第1面21に垂直な方向)における伸縮抑制部材30の位置は任意とすることができる。
図8a〜cに示す形態においては図4a〜cなどに示した形態と同様に、基材20の第1面21の表面上に伸縮抑制部材30が形成されている。図8a〜cに示す形態が図4などに示した形態と異なる点は、伸縮抑制部材30と被接続部材51とが直接的には接して(接続されて)いない点であり、図8a〜cにおいては少なくとも伸縮抑制部材30あるいは基材20のいずれか一方と被接続部材51とを接続するために別途接着剤Boを有している。基材20の第1面21の表面上に形成された伸縮抑制部材30により基材20の伸縮が抑制され、平面視上各第1伸縮抑制部材31に外接し、かつ第1伸縮抑制部材31をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域を良好に確保することができる。そしてそのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができ、あるいは配線の分岐部や方向転換部における断線を抑制することができる。
図9a〜cに示す形態においては、基材20の第1面21に設けられた凹部に伸縮抑制部材30が設けられている。また図10a〜cに示す形態においては、伸縮抑制部材30が基材20の内部に設けられ、基材20から外部に露出しない状態となっている。また図11a〜cに示す形態においては、伸縮抑制部材30が基材20の第2面22の表面上に設けられている。図示しないが基材20の第2面22に設けられた凹部に伸縮抑制部材30が設けられていてもよい。
図9cに示す形態においても図8a〜cに示す形態と同様に、伸縮抑制部材30と被接続部材51とが直接的に接続されて(接触して)おらず、少なくとも伸縮抑制部材30あるいは基材20のいずれか一方と被接続部材51とを接続するために別途接着剤Boを有している。図10a〜cおよび図11a〜cに示す形態においても図8a〜cに示す形態と同様に、伸縮抑制部材30と被接続部材51とが直接的に接続されて(接触して)おらず、基材20と被接続部材51とを接続するために別途接着剤Boを有している。
図8a〜図11cに示すいずれの形態においても、基材20の厚さ方向のいずれかの位置に形成された伸縮抑制部材30により基材20の伸縮が抑制され、平面視上各第1伸縮抑制部材31に外接し、かつ第1伸縮抑制部材31をその周長が最短となるように囲う仮想の領域内部である伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域を良好に確保することができる。そしてそのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができ、あるいは配線の分岐部や方向転換部等の配線の平面視上の外形が配線の延伸方向において変化する箇所における断線を抑制することができる。
〔伸縮抑制部材の第2変形例〕
上記図8a〜図11cにより、伸縮抑制部材30は基材20の厚さ方向の任意の位置に形成し得ることを説明した。このことからすれば、基材20の厚さ方向における伸縮抑制部材30の形成位置、あるいは伸縮抑制部材30の材料によっては、図12a〜図15cに示す様に、平面視上、配線52や接続部51aと伸縮抑制部材30とが重なっていても構わない。
平面視上、配線52や接続部51aと伸縮抑制部材30とが重なっていても、伸縮抑制部材30が基材20の内部に設けられている場合(図14a〜c)、伸縮抑制部材30が基材20の第2面22の表面上(図15a〜c)、あるいは第2面22に設けられた凹部(図示なし)に設けられていれば、伸縮抑制部材30が導電性を有する材料であっても適用可能である。
一方図12a〜c、図13a〜cに示す形態においては、伸縮抑制部材30と配線52とが接触するため、伸縮抑制部材30が導電性を有さない材料からなる場合のみ適用することができる。図12bおよびc、図13bおよびcの断面図に示す様に、平面視上、配線52や接続部51aと伸縮抑制部材30とが重なる部分については、導電性を有さない伸縮抑制部材30上に配線52が形成される。図12a〜cに示す形態においては、基材20の第1面21の表面上に形成された伸縮抑制部材30上に乗り上げる様に配線52が形成されており、換言すれば伸縮抑制部材30は、配線52よりも基材20の第1面21側に位置している。
上記説明した、平面視上、配線52や接続部51aと伸縮抑制部材30とが重なっている形態においては、接続部51aが伸縮抑制領域70の内部に存在することのみならず、平面視上接続部51aのすぐ近傍に、あるいは重なって伸縮抑制部材30が存在するため、接続部51a部分における基材20の伸縮はほぼ皆無となると考えられる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生をより確実に抑制することができる。
さらに配線52は、図13a〜c、図14a〜cおよび図15a〜cのように、平面視上、伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域を経て、伸縮抑制部材30と重なる領域にある配線の端部52tに形成された接続部51aに至ることになる。すなわち配線52は、伸縮抑制領域70外の伸縮が抑制されない領域から、平面視上、伸縮抑制領域70内の伸縮抑制部材30と重なる伸縮がほぼ皆無となる領域に急激に遷移するのではなく、途中に伸縮抑制領域70内で伸縮抑制部材30と重ならない伸縮が抑制される領域を経ることになる。これにより配線52は、応力が集中すると考えられる、伸縮が抑制されない領域と伸縮がほぼ皆無となる領域との境界を通ることなく、両者の間にある伸縮が抑制される領域を経ることとなるため、すなわち断線を抑制することができる。
第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32、すなわち伸縮抑制部材30の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。また、基材20上または支持基板40上にスピンコート法などの印刷法等により全面に有機層などの樹脂膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により樹脂膜をパターニングする方法が挙げられる。また、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により伸縮抑制部材30の材料をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。印刷法としては、スクリーン印刷や、ディスペンサによる印刷が用いられ得る。基材20上または支持基板40上に電子部品等の部品が実装された後においては、ディスペンサによる印刷の方が効率的に伸縮抑制部材30を形成し得る。
なお、伸縮抑制部材30の上記記載については、後述の伸縮抑制部材130、230においても同様である。
〔被接続部材〕
本開示の配線基板10においては、後述する第3実施形態を除き被接続部材51は必須の構成要素ではない。しかし本開示を実施するにあたり、後述する第1実施形態〜第3実施形態に係る配線基板10のうち、いずれの形態が適当であるかについては、被接続部材51の伸縮性などにも依存するため、以下被接続部材51について説明する。
被接続部材51は、被接続部材51と配線52との間に位置する接続部51aにより配線52に電気的に接続されている。図1a〜cに示す例において、接続部51aは、被接続部材51の下面、すなわち被接続部材51における基材20の第1面21側を向く面と、基材20、特に基材20上の配線52の表面と、の間に位置する。なお、配線52の表面とは、配線52の面のうち基材20から遠い側に位置する面である。また図1aにおいては、被接続部材51の下方に位置する一部の配線52や伸縮抑制部材30は、本来平面図には現れないものであるが、本開示の理解を容易にするため被接続部材51を透過させ図示している。以降の平面図についても同様である。
この例においては、接続部51aは、被接続部材51の下面に接続されるとともに、配線52の表面に接続される。しかしながら、図1に示す例に代えて、接続部51aは、被接続部材51の側面に位置してもよい。また、接続部51aは、配線52の側面に接続されてもよい。
被接続部材51は、配線基板10において基材20に設けられた配線52と電気的に接続されるものであれば特に限定されない。典型的には電子部品を挙げることができ、このような電子部品は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。被接続部材51の他の例として、電気配線に係るケーブル、その接続部としてのコネクタ、更には上記電子部品あるいは上記コネクタなどを収容するケースなどを挙げることができる。
電子部品の例としては、トランジスタ、LSI(Large−Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチなどを挙げることができる。電子部品の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。このような電子部品は、その多くは伸縮し難い被接続部材51であるということができる。
電気配線に係るケーブルの例としては、フレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuits))を挙げることができる。上記の通り本開示に係る基材20は伸縮性を有するものであるため、配線基板10は、伸縮し難い被接続部材51あるいは伸縮抑制部材30が設けられた部分およびその周辺を除き伸縮性を有する。すなわち、本開示に係る配線基板10はその大部分において伸縮性を有し、そのため通常は曲げに対しても柔軟であるため、外部と電気的に接続する場合には、同様に曲げに対して柔軟であるFPCを好適に用いることができる。FPCに代表されるような電気配線に係るケーブルは、本開示に係る配線基板10と同様に曲げに対しても柔軟ではあるものの伸縮し難い被接続部材51であるということができる。
上記コネクタとしては、一例として、各種嵌合タイプのコネクタやFPC用のコネクタなど各種周知のコネクタを挙げることができる。また複数回の抜き差し可能なコネクタのみならず、接続後の分離を予定していないいわゆる直付けタイプのコネクタも含まれる。このようなコネクタは、抜き差し可能なコネクタであれば伸縮し難い被接続部材51であるということができ、また一部の直付けタイプのコネクタについては伸縮し易い被接続部材51であるということができるものもある。
また上記ケースとしては、一例として、上記電子部品やコネクタなどを保護するために、端子部あるいは端子部が存在する部分を除き電子部品やコネクタなどを覆うケースを挙げることができる。本説明に係るケースとは上記のみならず、複数の上記電子部品を組み合わせてモジュールとして一体化されたものや、電子部品などを保護するために端子部あるいは端子部が存在する部分を除き樹脂等で覆う様な形態も含まれるものとする。このようなケースは、その多くは伸縮し難い被接続部材51であるということができる。
以上のように、本開示の配線基板10に被接続部材51を接続した部材を、配線基板を用いたデバイスと称する。さらに、当該デバイスを具備する電子製品を、デバイスを有する電子製品と称する。
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態について、図1a〜c、および図3〜図7を用いて説明する。
第1実施形態に係る配線基板10は上述の通り、第1面21及びその反対側に位置する第2面22を含み伸縮性を有する基材20と、基材20の第1面21側に位置する配線52と、基材20の伸縮を抑制する複数の第1伸縮抑制部材31と、複数の第1伸縮抑制部材31を固定する第2伸縮抑制部材32とを備えている。上述の通り、被接続部材51は配線基板10の必須の構成要素ではない。しかし、特に効果面については、被接続部材51が存在しているものとして説明した方が理解が容易であるため、以下の説明において適宜被接続部材51も含めて説明する場合もある。
第1実施形態に係る配線基板10においては、複数の第1伸縮抑制部材31が第2伸縮抑制部材32により固定されてなす伸縮抑制部材30は1つのみ存在している。以下、第1実施形態に係る第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32、すなわち伸縮抑制部材30について説明する。
〔第1実施形態に係る伸縮抑制部材〕
第1伸縮抑制部材31は、基材20の伸縮を抑制するために配線基板10に設けられた部材である。図1aは平面図を、図1aにおけるA−A断面およびB−B断面をそれぞれ図1bおよび図1cに示す。
図1に示す例において、伸縮抑制部材30は、基材20の第1面21上に位置し、通常扁平状である。図1に示す第1実施形態に係る伸縮抑制部材30は、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合(「平面視」と表現する場合もある)に、1つの閉図形をなしている。換言すれば第1実施形態に係る伸縮抑制部材30においては、相互に接続されていない、あるいは相互に接触していない複数の伸縮抑制部材30は存在しないと言うことができる。図1aにおいては、被接続部材51の4隅付近を含む様に相互に独立して4箇所に配されている第1伸縮抑制部材31が略X字形状の第2伸縮抑制部材32により相互に連結されることにより固定され、1つの伸縮抑制部材30をなしている。換言すれば伸縮抑制部材30は、平面視上(図1a)1つの閉図形をなしている。
図1bに示すA−A断面、および図1cに示すB−B断面からも明らかな様に、伸縮抑制部材30は、被接続部材51を基材20に固定する接着剤の役目も果たしている。
上記説明において、伸縮抑制部材30は1つのみである点を強調しているが、これは後述する第2実施形態との差異を明確とするためである。後述する、第1実施形態に係る配線基板10の効果を得ながら、本開示の第1実施形態の実施を回避するために、実質的にはほとんど意味をなさない伸縮抑制部材を追加することで伸縮抑制部材30を形式的に複数としたとしても、後述の本開示の第1実施形態に係る効果を得られるものであれは、本開示の第1実施形態に当然に含まれる。
また上記説明において、第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32とを区別して説明しているが、第1実施形態においては両者を明確に区別することは重要ではない。例えば、伸縮を抑制する複数の第1伸縮抑制部材を固定する第2伸縮抑制部材についても伸縮を抑制する効果の一端を担っている。そのため第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32との区別は明確ではないが、両者を明確に区別する意味もなく、第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32とを併せて伸縮抑制部材30と考えればよい。
すなわち第1実施形態においては、第2伸縮抑制部材は第1伸縮抑制部材であると表現することもできる。
このことからすれば第1実施形態に係る配線基板10は、第1面21及びその反対側に位置する第2面22を含み伸縮性を有する基材20と、基材20の第1面21側に位置する配線52と、基材20の伸縮を抑制する第1伸縮抑制部材31とを備えている、と表現することもできる。
伸縮抑制部材30の材料について、第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32とは異なる材料であっても良く、また同じ材料であってもよい。さらに、第1伸縮抑制部材31、あるいは第2伸縮抑制部材32の各々の各1つについても、複数の異なる材料から構成されていても良く、また単一の材料から構成されていてもよい。換言すれば伸縮抑制部材30は、複数の異なる材料からなるものであっても良く、単一の材料からなるものであってよい。
第1面の法線方向に沿って基材20を見た場合に(すなわち平面視において)、第1伸縮抑制部材31に外接し、かつ第1伸縮抑制部材31をその周長が最短となるように囲う仮想の領域(以下「伸縮抑制領域」ともいう)の内部においては、伸縮抑制部材30により基材20の伸縮が抑制される。伸縮抑制領域は、図1aなどにおいて、70で示される破線により囲まれる領域である。
そして第1実施形態に係る配線基板10においては、配線52の少なくとも一部は、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に存在している。
伸縮抑制領域の内部であっても伸縮抑制領域の外周に近い領域については、伸縮抑制領域外の近傍における基材20の伸縮の影響を受け、多少は伸縮する可能性がある。そのため、伸縮抑制領域の内部においては伸縮抑制領域の外周から遠い領域、すなわち伸縮抑制領域の中心に近い領域の方が基材20の伸縮の影響を受け難い。伸縮抑制領域の中における基材20の伸縮の程度、その分布などは、基材20の材料、伸縮の度合い、伸縮抑制部材30の位置や形状などに依存すると考えられ、定量化は困難である。
上記からすれば配線52の少なくとも一部は、基材20の伸縮が抑制される伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に存在していることが好ましく、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域における中心により近い領域に位置することがより好ましい。配線52が少なくとも伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に存在していれば、被接続部材51と配線52との間に位置し、被接続部材51と配線52とを電気的に接続する接続部51aのうち少なくとも1つを伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材131と重ならない領域に存在させることが可能となる。
上記の通り、配線基板10に搭載される被接続部材51をさらに有する場合には、被接続部材51と配線52との間に位置し、被接続部材51と配線52とを電気的に接続する接続部51aをさらに備え、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(平面視上)、接続部51aのうち少なくとも1つは伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に存在していることが好ましい。
上記の通り、接続部51aが伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に存在していれば、接続部51aが位置する伸縮抑制領域70の内部は基材20の伸縮が抑制されるため、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との相対位置が変化し難い。そのため接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
第1実施形態においては、被接続部材51とは別途に第2伸縮抑制部材32が存在し、被接続部材51に依存せず伸縮抑制部材30(第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32)のみによって伸縮抑制機能を得ることができるため、被接続部材51は、伸縮し難い部材に限定されることなく伸縮し易い部材であってもよい。
平面視上、伸縮抑制部材30は被接続部材51から突出していても良く、また突出しておらず伸縮抑制部材30のすべてが被接続部材51と重なっていても良い。換言すれば、配線基板10に搭載される被接続部材51は、平面視上伸縮抑制領域70から突出するものであっても良く、突出せずに被接続部材51の全てが伸縮抑制領域70の内部に収まるものであってもよい。図1aにおいては、被接続部材51について、平面視上伸縮抑制領域70から突出する例を被接続部材51Lとして、全てが伸縮抑制領域70の内部に収まる例を被接続部材51Sとして例示しており、以降の各図においても同様である。
被接続部材51から伸縮抑制部材30が突出している場合には、被接続部材51に比して伸縮抑制領域70を広めに設定することができるため、伸縮抑制領域の外周から遠い領域、すなわち基材20の伸縮の影響をより受け難い領域に接続部51aを配置することが容易になる。また後述の様に、伸縮抑制部材30を被接続部材51の側面にまで、あるいは更に被接続部材51の上面にまで回り込む様に形成することが可能となるため、伸縮抑制部材30と被接続部材51との接続をより強固なものとすることが可能となる。
被接続部材51から伸縮抑制部材30が突出しておらず、伸縮抑制部材30のすべてが被接続部材51と重なっている場合には、被接続部材51に比して伸縮抑制領域70が狭めに設定されるため、伸縮抑制領域70ではない領域、すなわち基材20の伸縮が抑制されない領域を広く設定することができる。これにより配線基板10が伸縮性を有することの利点をより発揮することができる。被接続部材51から伸縮抑制部材30が突出している場合と比較するならば、伸縮抑制部材30の平面視上の面積を少なくすることができ、配線基板10全体として軽量なものとすることができる。
いずれの形態であっても伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に配線52を、より好ましくは接続部51aを設けることができ、あるいは配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けることができ、本開示の上記効果を得ることできる。
図1aにおいては、被接続部材51の4隅付近を含む様に相互に独立して4箇所に配されている第1伸縮抑制部材31が略X字形状の第2伸縮抑制部材32により相互に連結されることにより固定され、1つの伸縮抑制部材30をなしている例であった。しかしこれに限らず、伸縮抑制部材30は、平面視上1つの閉図形をなしており、それにより定まる伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に配線52の少なくとも一部が存在していれば上記例に限らない。例えば図3に示す様に、4つの第1伸縮抑制部材31が略ロ字形状、換言すると矩形枠形状の第2伸縮抑制部材32により相互に連結されることにより固定され、1つの伸縮抑制部材30をなしていても良い。さらに図4a〜c、および図5に示す様な伸縮抑制部材30の平面視上の形状も考えられる。各図において、伸縮抑制領域70は図示の通りである。
上記図1a〜、および図3a〜図5においては、伸縮抑制部材30の平面視における外形形状は線分により囲まれた閉図形であった。しかしこれに限らず、伸縮抑制部材30の平面視における外形形状は、図6および図7に示す様に曲線により囲まれるものであっても構わない。さらに上記図1a〜c、および図3a〜図7に示す例においては、伸縮抑制部材30の平面視における外形形状は対称性を有するものであるが、対称性を有さないものであって構わない。伸縮抑制部材30の形状について、上記以外にも多種多様な平面視形状が考えられる。第1実施形態においては、伸縮抑制部材30が平面視上1つの閉図形をなしており、それにより定まる伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に配線52の少なくとも一部が存在していれば、どのような平面視形状であっても下記効果を得ることができる。すなわち、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できる、あるいは配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる、という効果を得ることができる。
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態について、図16a〜c、および図17を用いて説明する。
第2実施形態に係る配線基板110は上述の通り、第1面21及びその反対側に位置する第2面22を含み伸縮性を有する基材20と、基材20の第1面21側に位置する配線52と、基材20の伸縮を抑制する複数の第1伸縮抑制部材131と、複数の第1伸縮抑制部材131を固定する第2伸縮抑制部材132とを備えている。上述の通り、被接続部材51は配線基板110の必須の構成要素ではない。しかし、特に効果面については、被接続部材51が存在しているものとして説明した方が理解が容易であるため、以下の説明において適宜被接続部材51も含めて説明する場合もある。
第2実施形態に係る配線基板110においては、複数の第1伸縮抑制部材131が第2伸縮抑制部材132により固定されてなす伸縮抑制部材130が2以上存在している点において上記第1実施形態と異なっている。以下、第2実施形態に係る第1伸縮抑制部材131および第2伸縮抑制部材132、すなわち伸縮抑制部材130について説明する。
〔第2実施形態に係る伸縮抑制部材〕
第2実施形態に係る伸縮抑制部材130は、上記の通り、複数の第1伸縮抑制部材131が第2伸縮抑制部材132により固定されてなるものである。伸縮抑制部材130は、基材20の伸縮を抑制するために配線基板110に設けられた部材である。図16aは平面図を、図16aにおけるA−A断面およびB−B断面をそれぞれ図16bおよび図16cに示す。
図16に示す例において、伸縮抑制部材130は、基材20の第1面21上に位置し、通常扁平状である。図16に示す第2実施形態に係る伸縮抑制部材130は、相互に直接連結されていない2以上の伸縮抑制部材130−1、130−2、・・・からなる。第2実施形態に係る伸縮抑制部材130は、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(平面視において)、2以上の閉図形からなっている。
図16bに示すA−A断面、および図16cに示すB−B断面からも明らかな様に、伸縮抑制部材130は、被接続部材51を基材20に固定する接着剤の役目も果たしている。
図16aにおいては、被接続部材51の4隅付近を含む様に相互に独立して4箇所に配されている第1伸縮抑制部材131のうち、左側の2つ(131−1)が図示における縦方向の第2伸縮抑制部材132−1により相互に連結され一方の伸縮抑制部材130−1をなしており、右側の2つ(131−2)が図示における縦方向の第2伸縮抑制部材132−2により相互に連結され他方の伸縮抑制部材130−2をなしている。そして一方の伸縮抑制部材130−1と他方の伸縮抑制部材130−2とは相互に直接連結されておらず互いに独立している。すなわち図16に示す第2実施形態に係る伸縮抑制部材130は、相互に直接連結されていない2つの伸縮抑制部材130−1、130−2からなる。図16の例において伸縮抑制部材130は、相互に直接連結されていない2つの伸縮抑制部材130−1、130−2からなるが、相互に直接連結されていない3以上の伸縮抑制部材130−1、130−2、・・・からなっていてもよい。
2以上の伸縮抑制部材130は、相互に異なる材料からなるものであっても良いし、同一の材料からなるものであってよい。また伸縮抑制部材130の各々の材料について、第1伸縮抑制部材131と第2伸縮抑制部材132とは、複数の異なる材料からなるものであっても良く、単一の材料からなるものであってよい。さらに、第1伸縮抑制部材131、あるいは第2伸縮抑制部材132の各々の各1つについても、複数の異なる材料から構成されていても良く、また単一の材料から構成されていてもよい。換言すれば第2実施形態に係る伸縮抑制部材130は、複数の異なる材料からなるものであっても良く、単一の材料からなるものであってよい。
第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(すなわち平面視において)、2以上の伸縮抑制部材130の各々について、1つの伸縮抑制部材130に係る第1伸縮抑制部材131に外接し、かつ第1伸縮抑制部材131をその周長が最短となるように囲う仮想の領域を個別伸縮抑制領域71とする。そうすると2以上の伸縮抑制部材130と同数の個別伸縮抑制領域71が設定される。図16aにおいては、相互に直接連結されていない2つの伸縮抑制部材130−1、130−2により設定される2つの個別伸縮抑制領域71を71−1、および71−2として示している。各個別伸縮抑制領域71の内部においては、対応する伸縮抑制部材130により基材20の伸縮が抑制される。上記にように設定される複数の個別伸縮抑制領域71の集合を伸縮抑制領域70とする。
ここで配線52の少なくとも一部は、複数の個別伸縮抑制領域71の集合である伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材131と重ならない領域のいずれかに存在していることが好ましい。
上記好ましい形態であれば、被接続部材51と52配線との間に位置し、被接続部材51と配線52とを電気的に接続する接続部51aのうち少なくとも1つを伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材131と重ならない領域に存在させることが可能となる。
上記の通り、配線基板110に搭載される被接続部材51をさらに有する場合には、被接続部材51と配線52との間に位置し、被接続部材51と配線52とを電気的に接続する接続部51aをさらに備え、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(平面視上)、接続部51aのうち少なくとも1つは伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材131と重ならない領域に存在していることが好ましい。
上記の通り、接続部51aが伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材131と重ならない領域に存在していれば、接続部51aが位置する伸縮抑制領域70すなわち各個別伸縮抑制領域71の内部は基材20の伸縮が抑制されるため、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との相対位置が変化し難い。そのため接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる(図40aおよびb参照)。
次に、被接続部材51が伸縮し易い部材であり、かつ複数の伸縮抑制部材130が配線の延びる方向すなわち伸縮方向D1に隣り合っている場合において、更に得ることができる効果について説明する。
図16aにおいては、2つの伸縮抑制部材130−1、および130−2が配線の延びる方向に隣り合っている。該2つの伸縮抑制部材130−1、および130−2の間(図16aの配線基板110おける左右方向の中央付近)には、伸縮抑制領域70ではない領域、すなわち伸縮が抑制されない領域が存在する。被接続部材51が伸縮し易い部材である場合には、該伸縮が抑制されない領域において、被接続部材51は2つの伸縮抑制部材130−1、130−2に阻害されることなく伸縮することが可能である。そのため配線基板110は、平面視上被接続部材51が存在する領域においてもある程度の伸縮性を有することができ、すなわち第1実施形態より高い伸縮性を有するものとすることができる。高い伸縮性を有する配線基板110は、例えば身体に対して適用した場合には良好な装着感を得ることができる。
さらに、被接続部材51が伸縮し易く、かつ曲げに対する柔軟性がある部材である場合においては、第1実施形態すなわち第1方向D1すなわち配線基板110の伸縮方向においては伸縮抑制部材30が分離していない形態に比べ、高い柔軟性を持つことができ、この場合にも例えば身体に対して適用した場合には良好な装着感を得ることができる。
平面視上、伸縮抑制部材130は各々被接続部材51から突出していても良く、また突出しておらず伸縮抑制部材130のすべてが被接続部材51と重なっていても良い。図16aにおいては、被接続部材51を51Sで示す形状とすれば伸縮抑制部材130は被接続部材51Sから突出しており、被接続部材51を51Lで示す形状とすれば伸縮抑制部材130は被接続部材51Lから突出しておらず、伸縮抑制部材130のすべてが被接続部材51Lと重なっている。次に説明する図17においても同様である。
第2実施形態のおける伸縮抑制部材130の平面視上の形状は図16aの例に限らない。例えば図17に示す様な平面視の形状も考えられる。さらに第1実施形態において説明した様に、伸縮抑制部材130の平面視上の形状は、曲線により囲まれる閉図形であっても構わない。また、各伸縮抑制部材130の分布が対称性を有さないものであってもよく、また各伸縮抑制部材130は対称性を有さない閉図形であって構わない。各伸縮抑制部材130の分布および形状について、上記以外にも多種多様な平面視形状が考えられる。各伸縮抑制部材130が平面視上1つの閉図形をなしており、それにより定まる各個別伸縮抑制領域71(伸縮抑制領域70)のうち、第1伸縮抑制部材131と重ならない領域のいずれかに配線52の少なくとも一部が存在していれば、各伸縮抑制部材130がどのような平面視形状であっても、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという上記効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
(第3実施形態)
以下、本開示の第3実施形態について、図18a〜cを用いて説明する。
第3実施形態に係る配線基板210は、第1実施形態と同様に、第1面21及びその反対側に位置する第2面22を含み伸縮性を有する基材20と、基材20の第1面21側に位置する配線52と、基材20の伸縮を抑制する複数の第1伸縮抑制部材231と、複数の第1伸縮抑制部材231を固定する第2伸縮抑制部材232とを備え、第3実施形態においてはさらに配線基板210に搭載される被接続部材51を有している。そして第3実施形態における被接続部材51は伸縮し難い部材であることが好ましい。
第3実施形態に係る配線基板210においては、被接続部材51を有し、第2伸縮抑制部材232が被接続部材51である点において上記第1実施形態と異なっている。以下、第3実施形態に係る第1伸縮抑制部材231および第2伸縮抑制部材232、すなわち伸縮抑制部材230について説明する。
〔第3実施形態に係る伸縮抑制部材〕
第3実施形態に係る伸縮抑制部材230は、上記の通り、複数の第1伸縮抑制部材231が第2伸縮抑制部材232により固定されてなるものであり、被接続部材51が第2伸縮抑制部材232の役目を果たしている。すなわち第3実施形態においては第2伸縮抑制部材232は被接続部材51であるということができる。伸縮抑制部材230は、基材20の伸縮を抑制するために配線基板210に設けられた部材である。図18aは平面図を、図18aにおけるA−A断面およびB−B断面をそれぞれ図18bおよび図18cに示す。
図18に示す例において、第1伸縮抑制部材231は、基材20の第1面21上に位置している。第1伸縮抑制部材231は通常扁平状である。図18a〜cに示す第3実施形態に係る伸縮抑制部材230は、相互に直接連結されていない2以上の伸縮抑制部材230−1、230−2、・・・からなる。第3実施形態に係る伸縮抑制部材230は、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(平面視において)、2以上の閉図形からなっている。
図18cに示すB−B断面からも明らかな様に、第1伸縮抑制部材231は、被接続部材51を基材20に固定する接着剤の役目も果たしている。
図18aにおいては、被接続部材51の4隅付近を含む様に4箇所に配されている第1伸縮抑制部材231は、相互に直接連結されておらず互いに独立している。すなわち図18に示す第3実施形態に係る第1伸縮抑制部材231は、相互に直接連結されていない4つの第1伸縮抑制部材231−1、231−2、231−3、231−4からなっている。
そして第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(平面視において)、2以上の第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と接触しあるいは重なっている。そうすることで、第1伸縮抑制部材231と被接続部材51とを直接的に、あるいは接着剤などを介して間接的に接続する際に、両者間を剛性高く接続することが可能となる。
図18aにおいては、第1伸縮抑制部材231−1は被接続部材51と接続されており、第1伸縮抑制部材231−2は被接続部材51と接続されており、第1伸縮抑制部材231−3は被接続部材51と接続されており、第1伸縮抑制部材231−4は被接続部材51と接続されている。また4つの第1伸縮抑制部材231−1、231−2、231−3、231−4は、相互に重なっておらず、すなわち相互に直接連結されていない。
ここで、4つの第1伸縮抑制部材231−1、231−2、231−3、231−4は、被接続部材51を介して相互に接続され、該接続により4つの第1伸縮抑制部材231相互の位置関係が変化することが抑制されている。すなわち被接続部材51は複数の第1伸縮抑制部材231を固定している。そうすると第3実施形態においては、第2伸縮抑制部材232は被接続部材51であるということができる。
図18a〜cの例においては、伸縮抑制部材230は4つの第1伸縮抑制部材231からなるものであるが、これに限らず相互に直接連結されていない2以上の任意の自然数個の第1伸縮抑制部材231からなるものであってもよい。第1伸縮抑制部材231の平面視上の分布および各形状は任意であり、すなわち被接続部材51を介して相互に接続された第1伸縮抑制部材231および被接続部材51とからなる伸縮抑制部材230の形状は任意である。第1伸縮抑制部材231が平面視上被接続部材51から突出するか否かも各任意である。これらの形態であれば、接続剥がれや断線の発生を抑制できるという上記効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
2以上の第1伸縮抑制部材231は、相互に異なる材料からなるものであっても良いし、同一の材料からなるものであってよい。また伸縮抑制部材230を構成する各第1伸縮抑制部材231の各々は、複数の異なる材料からなるものであっても良く、単一の材料からなるものであってよい。
上記の通り、平面視において、2以上の第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と接触しあるいは重なっていることにより、第1伸縮抑制部材231と被接続部材51との間を剛性高く接続することが可能となっている。ここで上記の通り、第3実施形態における被接続部材51は伸縮し難い部材であることが好ましい。そうすると、2以上の第1伸縮抑制部材231は各々、伸縮し難い部材からなる被接続部材51に剛性高く接続されることにより、結果的に2以上の第1伸縮抑制部材231は伸縮し難い部材からなる被接続部材51を介して相互に剛性高く接続されることとなる。その結果、相互に直接連結されていない2以上の第1伸縮抑制部材231の集合からなる第3実施形態に係る伸縮抑制部材230は、全体としてある程度の剛性を持つ1つの部材と考えることができる。第3実施形態に係る被接続部材51は、第2伸縮抑制部材232として機能し、それゆえ伸縮し難い部材からなることが好ましい。
第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(すなわち平面視において)、第1伸縮抑制部材231に外接し、かつ第1伸縮抑制部材231をその周長が最短となるように囲う仮想の領域を伸縮抑制領域72とする。伸縮抑制領域72は図18aにおいて符号72で示す領域である。該伸縮抑制領域72においては、伸縮抑制部材230により基材20の伸縮が抑制される。そのため第3実施形態に係る配線基板210においては、配線52の少なくとも一部は、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に存在していることが好ましい。
上記の通り、第3実施形態に係る伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に存在している配線52についても、第1実施形態に係る伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に存在している配線52と同様の効果を得ることができる。すなわち配線52の少なくとも一部が位置する伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域は基材20の伸縮が抑制されるため、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との相対位置が変化し難い。そのため接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる(図40aおよびb参照)。
さらに、被接続部材51が伸縮し難いが曲げに対する柔軟性がある部材である場合においては、第1実施形態すなわち第1方向D1すなわち配線基板210の伸縮方向においては伸縮抑制部材30が分離していない形態に比べ、高い柔軟性を持つことができ、例えば身体に対して適用した場合には良好な装着感を得ることができる。
上述の通り、平面視において2以上の第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と接触しあるいは重なっている。図18aのB−B断面として図18cに示す様に、平面視上各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と重なっており、各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51の下面とのみ接触している。しかし各第1伸縮抑制部材231と被接続部材51とを剛性高く接続することができればこれに限らない、例えば図19aのB−B断面として図19cに示す様に、平面視上各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と重なっており、各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51の下面の他側面においても接触している。図19a〜cの形態例においては図18a〜cの形態例に対し、各第1伸縮抑制部材231と被接続部材51との接続において特に伸縮方向D1について一層剛性高く接続することができる。
また、図20aのB−B断面として図20cに示す様に、平面視上各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と重ならず接触しており、すなわち各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51の側面とのみ接触していてもよい。更に、図21aのB−B断面として図21cに示す様に、平面視上各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51と重なっており、各第1伸縮抑制部材231は各々被接続部材51の上面および側面とで接触していてもよい。この場合、第1伸縮抑制部材231が被接続部材51の上面を全て覆うものであってもよい。その場合には各第1伸縮抑制部材231は被接続部材51の上面において相互に接続され、結果的に1つの伸縮抑制部材230と考えることができるため、第1実施形態の1形態と考えることもできる。
伸縮抑制領域72を良好に確保するために、第1伸縮抑制部材231(伸縮抑制部材230)と被接続部材51との相対位置、および第1伸縮抑制部材231と基材20との相対位置がともに変動しないことが前提となる。第3実施形態においては、被接続部材51は第1伸縮抑制部材231を介して基材20に固定されていることとなる。これはすなわち、第1伸縮抑制部材231が被接続部材51を基材20に固定する接着剤の役割も兼ねていると考えることができる。しかしこれに限らず、第3実施形態においても第1伸縮抑制部材231とは別途に、被接続部材51を基材20に固定するための接着剤Boを有していても良い。
第3実施形態の以上の説明に用いた各図(図18a〜図21c)、および後述する図27a〜図30cにおいては、平面視上、第1伸縮抑制部材231は被接続部材51から突出していた。しかしこれに限らず、第1伸縮抑制部材231が被接続部材51から突出しておらず、第1伸縮抑制部材231のすべてが被接続部材51と重なっていても良い。
図22aおよび図22cに示す通り、第1伸縮抑制部材231が被接続部材51から突出しておらず、第1伸縮抑制部材231のすべてが被接続部材51と重なっており、また第1伸縮抑制部材231は基材20を貫通していない。この形態においても当然に配線52の少なくとも一部を伸縮抑制領域72うち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に存在させることが可能である。そのため上記第3実施形態に係る効果と同様の下記効果を得ることができる。すなわち、配線52の少なくとも一部が位置する伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域は基材20の伸縮が抑制されるため、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との相対位置が変化し難い。そのため接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
(第4実施形態)
以下、本開示の第4実施形態について、図23a〜cを用いて説明する。
第4実施形態に係る配線基板310は、基材20、伸縮抑制部材30、支持基板40、被接続部材51、配線52を備える。そして、伸縮抑制部材30は、基材20に支持基板40を介して間接的に接する。図23aは第4実施形態に係る配線基板310を示す平面図であり、そのA−Aに沿って切断した場合の断面図を図23bに、B−Bに沿って切断した場合の断面図を図23cに示す。
支持基板40は、基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された板状の部材である。支持基板40は、基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図23a〜cに示す例において、支持基板40は、その第1面41側において被接続部材51、配線52及び伸縮抑制部材30を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20の第1面に接合されている。例えば、基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層が設けられていてもよい。この場合、接着層を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層の厚さは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。また、図示はしないが、被接着表面を分子修飾させて、分子接着結合させる方法によって支持基板40の第2面42が基材20の第1面21に接合されていてもよい。この場合、基材20と支持基板40との間に接着層が設けられていなくてもよい。
また、本実施形態においては、基材20に張力を加えて伸長させて、このように伸長させた基材20に、被接続部材51、配線52及び伸縮抑制部材30を支持した支持基板40が接合される。支持基板40と接合された基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、支持基板40及び配線52に蛇腹形状部57が形成される。支持基板40の特性や寸法は、このような蛇腹形状部57が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、支持基板40の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する。
支持基板40の第3の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。また、支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以上50000倍以下であってもよく、好ましくは1000倍以上10000倍以下である。このように支持基板40の第3の弾性係数を設定することにより、蛇腹形状部57の周期が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、蛇腹形状部57において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。
なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、伸縮抑制部材30の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、被接続部材51及び配線52に対する伸縮抑制部材30の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、また基材20の割れや折れが発生し易くなる。
また、支持基板40の厚さは、例えば500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚さが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚さが大きすぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、目標の基材20の伸縮が得られなくなる。
支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を用いることができる。その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の第3の弾性係数を算出する方法は、前述の基材20に係る第1の弾性係数を算出する方法と同様である。
(第4実施形態の変形例)
図24aおよびbに示す第4実施形態の変形例では、配線基板310が、基材20、伸縮抑制部材30、支持基板40、被接続部材51、配線52を備えるが、伸縮抑制部材30の位置が図23a〜cに示す例とは異なる。図24aは図23bに相当する位置の断面図であり、図24bは図23cに相当する位置の断面図である。詳しくは、支持基板40は、基材20の第1面21及び第1面21上に設けられた伸縮抑制部材30上に設けられている。支持基板40は、その第1面41側において被接続部材51及び配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20の第1面21及び伸縮抑制部材30に接合されている。
また、図24cおよびdに示すように、配線基板310が、基材20、伸縮抑制部材30、支持基板40、被接続部材51、配線52を備える場合においては、伸縮抑制部材30が基材20の内部に設けられ、基材20から外部に露出しない状態になっていてもよい。図24cは図23bに相当する位置の断面図であり、図24dは図23cに相当する位置の断面図である。ここで、図24cおよびdに示す配線基板310が、伸長させた基材20に配線52を設けた後、基材20を弛緩させることで形成される場合には、基材20の第1面21、および第2面22の少なくともいずれか一方における、第1方向D1と直交する方向において、平面視で伸縮抑制部材30と隣接する部分、および対向する部分に、山部及び谷部を含む蛇腹形状部が形成され得る。
また、第1面21又は第2面22に予め伸縮抑制部材30が設けられた基材20を伸長させて、配線52を設けた後、弛緩させた場合にも、基材20の第1面21、および第2面22の少なくともいずれか一方における、第1方向D1と直交する方向において、平面視で伸縮抑制部材30と隣接する部分に、山部及び谷部を含む蛇腹形状部が形成され得る。
さらに、図24eおよびfに示すように、伸縮抑制部材30は基材20の第2面22側に位置してもよい。図24eは図23bに相当する位置の断面図であり、図24fは図23cに相当する位置の断面図である。
上記形態においても、被接続部材51は配線基板310の必須の構成要素ではない。すなわち、被接続部材51が搭載されていない状態の支持基板40が基材20に貼り合わされてもよい。また、配線基板310は、被接続部材51が搭載されていない状態で出荷されてもよい。
(第1実施形態の変形例)
次に上記第1実施形態の変形例について図25a〜cを用いて説明する。
図25a〜cに示す通り、伸縮抑制部材30は、基材20を貫通して配置されていても構わない。貫通して配置されることにより、基材20に対し伸縮抑制部材30をより強固に配置することができる。図25a〜cの例示では図25cに示す通り、貫通して配置される伸縮抑制部材30は、基材20の第2面22付近部分がそれより第1面21側の部分より太く形成されており、貫通部分が第1面21側(図25cにおける上方向)に抜けて基材20から伸縮抑制部材30が分離してしまうことを予防している。すなわち図25a〜cに例示の形態においては、伸縮抑制部材30は基材20に対しより強固に配置されている。この貫通形態においても、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという上記効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる(図40aおよびb参照)。
(第1実施形態の他の変形例)
上記図8a〜図15cにより、伸縮抑制部材30すなわち第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32は、基材20の厚さ方向の任意の位置に形成し得ることを説明した。図8a〜図15cの各例においてはいずれも、第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32とを基材20の厚さ方向の同じ位置に形成した形態であった。しかしこれに限らず、第1伸縮抑制部材31と第2伸縮抑制部材32とを基材20の厚さ方向の異なる位置に形成してもよい。
図41a〜cに示す例においては、第1伸縮抑制部材31を基材20の第1面21側の表面に配し、第2伸縮抑制部材32を基材20の第2面22側の表面に配し、第1伸縮抑制部材31が基材20を貫通し第2伸縮抑制部材32に接続されている例である。この形態においても、第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32、すなわち伸縮抑制部材30により基材20の伸縮が抑制され、平面視上各第1伸縮抑制部材31に外接し、かつ第1伸縮抑制部材31をその周長が最短となるように囲う仮想の領域内部である伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域を良好に確保することができる。そしてそのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができ、あるいは配線の分岐部や方向転換部における断線を抑制することができる。
同様に図42a〜cに示す例においては、第1伸縮抑制部材31を基材20の第2面22側の表面に配し、第2伸縮抑制部材32を基材20の第1面21側にはあるものの基材20の第1面21とは接触せずに被接続部材51における基材20の第1面21と対向する面(図42b、図42cにおける下面)の表面に配し、第1伸縮抑制部材31が基材20を貫通し第2伸縮抑制部材32に接続されている例である。この形態においても、第1伸縮抑制部材31および第2伸縮抑制部材32、すなわち伸縮抑制部材30により基材20の伸縮が抑制され、平面視上各第1伸縮抑制部材31に外接し、かつ第1伸縮抑制部材31をその周長が最短となるように囲う仮想の領域内部である伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域を良好に確保することができる。そしてそのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができ、あるいは配線の分岐部や方向転換部における断線を抑制することができる。
伸縮方向と直交する方向における柔軟性があまり必要でない場合などは、図45a〜cおよび図46に示す様に、伸縮方向と直交する方向に分離した複数の第1伸縮抑制部材31が第2伸縮抑制部材32によって相互に接続されるような伸縮抑制部材30の平面視形状としても良い。図45a〜cおよび図46においては、伸縮抑制部材30は配線基板10の伸縮方向において分離していないのみならず、伸縮方向と直交する方向においても分離していない。すなわち伸縮抑制部材30は各部がすべて相互に連結され(分離した部分はなく)一体となっている。
この形態においては、伸縮抑制部材30は一体となっているため、伸縮抑制領域の内部における基材20の伸縮をより確実に抑制することができ、接続剥がれや断線の発生をより確実に抑制することができる。
次に配線基板の好ましい一例として、被接続部材51がフレキシブルプリント基板(FPC)である場合の形態について図47a〜cを参照して説明する。図47aは平面図を示し、そのE−E断面を図47bに、F−F断面を図47cに示す。図47bに示す様に、配線基板の上面側(基材20の第1面21側)にフレキシブルプリント基板60が接続されている。フレキシブルプリント基板60は、FPC配線62が表裏からFPC絶縁層61で挟み込まれている。FPC配線62は、配線基板の配線52と電気的に接続される部分(いわゆる端子部)のみFPC絶縁層61から露出しており、異方性導電フィルムなどからなる接続部51aと電気的に接続されている。
該好ましい一例における配線基板の伸縮方向(第1方向D1)と、配線52が延びる方向とは同じである。図47aに示す通り、該好ましい一例において、伸縮抑制部材30は平面視上コの字形状となっており、第1方向D1に相互に分離していない。そのため上述の様に、被接続部材51すなわちフレキシブルプリント基板60が伸縮し難い部材である場合のみならず仮に伸縮し易い部材である場合においても、伸縮抑制部材30により伸縮抑制領域70の内部は基材20の伸縮が抑制される。そのため該好ましい一例においてはフレキシブルプリント基板60が仮に伸縮し易い部材であったとしても接続剥がれや断線の発生を抑制すること、および配線基板210が伸縮性を有することの利点を発揮することを両立させることができ好ましい。
また、上記好ましい一例において別途接着剤Boを有し、少なくとも伸縮抑制部材30あるいは基材20のいずれか一方と被接続部材51とが接着剤Boにより接続されていてもよい。この場合には伸縮抑制部材30は、基材20の第1面21に設けられた凹部、基材20の内部、基材20の第2面22の表面上、基材20の第2面22に設けられた凹部のいずれかに設けることができる。
また、上記好ましい一例において別途接着剤Boを有し、平面視上、配線52や接続部51aと伸縮抑制部材30とが重なっていても構わない。この場合においても伸縮抑制部材30は、基材20の第1面21に設けられた凹部、基材20の内部、基材20の第2面22の表面上、基材20の第2面22に設けられた凹部のいずれかに設けることができる。
(第2実施形態の変形例)
次に上記第2実施形態の変形例について図26a〜cを用いて説明する。
図26a〜cに示す通り、第1伸縮抑制部材131(伸縮抑制部材130)は、基材20を貫通して配置されていても構わない。貫通して配置されることにより、基材20に対し第1伸縮抑制部材131をより強固に配置することができる。図26a〜cの例示では図26cに示す通り、貫通して配置される第1伸縮抑制部材131は、基材20の第2面22付近部分がそれより第1面21側の部分より太く形成されており、貫通部分が第1面21側(図26cにおける上方向)に抜けて基材20から第1伸縮抑制部材131が分離してしまうことを予防している。すなわち図26a〜cに例示の形態においては、第1伸縮抑制部材131は基材20に対しより強固に配置されている。この貫通形態においても、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという上記効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
(第3実施形態の変形例)
上記第3実施形態における第1伸縮抑制部材231の各形態においても、第1伸縮抑制部材231は、基材20を貫通して配置されていても構わない。図19a〜cに示した形態において、第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通して配置された一例を図27a〜cに示す。貫通して配置することにより、基材20に対し第1伸縮抑制部材231をより強固に配置することができる。図27a〜cの例示では図27cに示す通り、貫通して配置される第1伸縮抑制部材231は、基材20の第2面22付近部分がそれより第1面21側の部分より太く形成されており、貫通部分が第1面21側(図27cにおける上方向)に抜けて基材20から第1伸縮抑制部材231が分離してしまうことを予防している。すなわち図27a〜cに例示の形態においては、第1伸縮抑制部材231は基材20に対しより強固に配置されている。この貫通形態においても、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという上記効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
上記第3実施形態の変形例において、第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通する形態は上記に限らず様々な形態が考えられる。図28aのB−B断面として図28cに示す様に、第1伸縮抑制部材231が基材20をかしめる様な形態で貫通していても良い。図28a〜cの形態おいては図27a〜cの形態に対し、第1伸縮抑制部材231を基材20に更に強固に配置することができ、特に伸縮方向D1について一層強固に配置することができる。この形態においても第3実施形態に係る上記効果を得ることができる。
また、図29aのB−B断面として図29cに示す様に、第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通するねじ留めにより基材20に配置されていても良い。この形態ではねじ留めに用いられるねじ部材231nも第1伸縮抑制部材231の一部と考えることができる。この形態においては、基材20に対し被接続部材51をねじ留めにより容易に固定することができる。また接続部51aにおける、被接続部材51の接続端子部との接続が好ましくは接着によらない単なる接触であれば、一度基材20に対し固定された被接続部材51についてねじを緩めることにより容易に取り外すことができる。複数の被接続部材51について、その外形や接続端子部位置などを共通化しておけば、被接続部材51を容易に交換することができる。被接続部材51が電子部品などであれば、それが故障などで交換が必要となった場合、あるいは異なる機能を有する他の電子部品に交換するような場合には特に有用である。この形態においても第3実施形態に係る上記効果を得ることができる。
また、伸縮抑制部材230が、被接続部材51を内包するケースの様な形態である場合について図30a〜cを参照して説明する。図30aは平面図を、図30aにおけるA−A断面およびB−B断面をそれぞれ図30bおよび図30cに示す。
図30aのB−B断面として図30cに示す様に、伸縮抑制部材230が、基材20の第1面21側の上ケース230tと、第2面22側の下ケース230bと、および第1面21の法線方向すなわち基材20を貫通する方向の側面ケース230sとからなる1つのケース230kの形態をなしている。この形態において被接続部材51は1つのケース230k内に包含されているようなイメージである。
ケース230kは全体として通常は伸縮し難いものであるため、上ケース230t、下ケース230b、および側面ケース230sはいずれも通常は伸縮し難い部材である。この形態例においては、第1伸縮抑制部材231に相当する側面ケース230sが相互に直接連結されていなかったとしても、それらは上ケース230tや下ケース230bを介して連結されている。そして上述の通り、上ケース230tや下ケース230bは通常伸縮し難いものである。従って基材20を貫通する側面ケース230sを第1伸縮抑制部材231と、上ケース230tや下ケース230bを第2伸縮抑制部材232と見なすことができ、図30の形態は第3実施形態の1形態ということができる。以上より、図30a〜cの形態においては、平面視上、側面ケース230sに外接し、かつ側面ケース230sをその周長が最短となるように囲う仮想の領域について伸縮抑制領域72とすることができる。
図30a〜cの形態においても、図30aおよび図30bに示す通り、平面視上配線52の少なくとも一部は伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に存在している。そして配線52の少なくとも一部が存在する伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域は基材20の伸縮が抑制されるため、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との相対位置が変化し難い。そのため接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという効果を得ることができる。また、伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
本形態においては上記の通り、被接続部材51は1つのケース230k内に包含されているようなイメージである。そのため電子部品などに代表される被接続部材51をケースにより保護することができる。本開示に係る配線基板210は、好適には身体に対し適用することも想定されるため、ケース230kにより電子部品などの被接続部材51が保護される本形態は好ましい実施形態の一つである。
また通常、ケース230kは、側面ケース230sを介した上ケース230tと下ケース230bとの着脱が容易な様に設計されている。上ケース230tと下ケース230bとの着脱が容易であるため、基材20に対し、側面ケース230sを介した上ケース230tと下ケース230bとの着脱が容易である。そして、例えば上ケース230tに包含されている被接続部材51についても、基材20に対し着脱が容易であるという利点もある。
図30a〜cの形態においては、ケース230kは全体として通常は伸縮し難いものであるため、その場合にはケース230k内に包含される被接続部材51については伸縮し難い部材であることを要さない。
反対に、被接続部材51が伸縮し難い部材である場合には、仮にケース230kが全体として伸縮し難いものでない場合であっても、伸縮し難い部材である被接続部材51が、例えば上ケース230tに固定されていることにより上ケース230tが伸縮し難い部材として機能することとなる。そのため上記、ケース230kが全体として伸縮し難いものである場合と同様の上記効果を得ることができる。
第3実施形態の以上の説明に用いた各図(図18a〜図21c、図27a〜29c)においては、平面視上、第1伸縮抑制部材231は被接続部材51から突出していた。しかしこれに限らず、第1伸縮抑制部材231が被接続部材51から突出しておらず、第1伸縮抑制部材231のすべてが被接続部材51と重なっていても良い。
図22aおよび図22cに示す形態は、第1伸縮抑制部材231が被接続部材51から突出しておらず、第1伸縮抑制部材231のすべてが被接続部材51と重なっており、また第1伸縮抑制部材231は基材20を貫通していない形態である。
図22a〜cの形態において、第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通するものであっても構わない。第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通して配置された一例を図31a〜cに示す。貫通して配置することにより、基材20に対し第1伸縮抑制部材231をより強固に配置することができる。図31a〜cの例示では図31cに示す通り、貫通して配置される第1伸縮抑制部材231は、基材20の第2面22付近部分がそれより第1面21側の部分より太く形成されており、貫通部分が第1面21側(図31cにおける上方向)に抜けて基材20から第1伸縮抑制部材231が分離してしまうことを予防している。すなわち図31a〜cに例示の形態においては、第1伸縮抑制部材231は基材20に対しより強固に配置されている。この貫通形態においても第3実施形態に係る上記効果を得ることができる。
第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通する形態は図31a〜cの形態に限らず様々な形態が考えられる。図32aのB−B断面として図32cに示す様に、第1伸縮抑制部材231が基材20をかしめる様な形態で貫通していても良い。図32a〜cの形態おいては図21a〜cの形態に対し、第1伸縮抑制部材231を基材20に更に強固に配置することができ、特に伸縮方向D1について一層強固に配置することができる。この形態においても第3実施形態に係る上記効果を得ることができる。
また、図33aのB−B断面として図33cに示す様に、第1伸縮抑制部材231が基材20を貫通するねじ留めにより基材20に配置されていても良い。この形態では、ねじ留めに用いられるねじ部材231nも第1伸縮抑制部材231の一部と考えることができる。この形態においては、基材20に対し被接続部材51をねじ留めにより容易に固定することができる。また接続部51aにおける、被接続部材51の接続端子部との接続が好ましくは接着によらない単なる接触であれば、一度基材20に対し固定された被接続部材51についてねじを緩めることにより容易に取り外すことができる。複数の被接続部材51について、その外形や接続端子部位置などを共通化しておけば、被接続部材51を容易に交換することができる。被接続部材51が電子部品などであれば、それが故障などで交換が必要となった場合、あるいは異なる機能を有する他の電子部品に交換するような場合には特に有用である。この形態においても第3実施形態に係る上記効果を得ることができる。
図18a〜cにおいては、第1伸縮抑制部材231は平面視上、被接続部材51の4隅付近を含む様に相互に独立して4箇所に配され、各形状は長方形として示されている。しかし第1伸縮抑制部材231の各形状は長方形である必要はなく正方形であっても良く、矩形である必要もないため、円(図48)、楕円(図49)、その他任意多角形、それらの角に丸みを帯びた図形、その他任意の閉図形であって良い。
上記の通り、被接続部材51が伸縮し難い部材である場合には、伸縮抑制部材30が第1方向D1すなわち配線基板10の伸縮方向において分離している形態であっても伸縮抑制領域の内部は基材20の伸縮が抑制されるため、接続剥がれや断線が発生を抑制することができる。すなわち伸縮抑制部材30は、相互に接触していない少なくとも2つの領域に分離していてもよい。
図18a〜c等においては、伸縮抑制部材30はいずれも、相互に接触していない4つの領域に分離している。しかしこれに限定されることなく、図50に示す様に相互に接触していない8つの領域に分離していても良いし、図51に示す様に相互に接触していない2つの領域に分離していても良いし、図示しないが2以上の自然数個の領域に分離していても良い。各伸縮抑制部材30の平面視上の形状は任意であり、平面視上被接続部材51から突出するか否かも各任意である。これらの形態であれば、接続剥がれや断線の発生を抑制すること、および配線基板10が伸縮性を有することの利点を発揮することを両立させることができる。
ところで図51に示す形態においては、被接続部材51が基材20の様に伸縮し易い部材であってもよい。第1方向D1すなわち配線基板10の伸縮方向においては伸縮抑制部材30が分離していないため、被接続部材51が伸縮し易い部材であったとしても、伸縮抑制部材30により伸縮抑制領域の内部は基材20の伸縮が抑制されるからである。そのため本形態においては、被接続部材51が伸縮し易い部材であっても接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。また本形態の他の一例としては図52に示す形態であっても良い。この形態においても伸縮抑制部材30は第1方向D1において分離していないため、図51に示す形態と同様な効果をより確実に得ることができる。
被接続部材51が伸縮し易い部材である場合における図51および図52に示す形態においては、平面視上第1方向D1すなわち配線基板10の伸縮方向と直交する方向(図51、図52における上下方向)において、複数の伸縮抑制部材30は相互に分離している。そのため伸縮方向と直交する方向においては、伸縮を抑制する効果は期待できない。しかし、伸縮方向と直交する方向については、配線基板10として伸縮性を有する必要はなく、伸縮抑制部材30が存在しないため柔軟性が期待でき、配線基板10を人の身体の一部に取り付けるような用途などにおいては好ましい場合もある。
上記図51、および図52に示す形態において、伸縮方向と直交する方向における柔軟性があまり必要でない場合などは、図45a〜cおよび図46に示す様に、伸縮方向と直交する方向に分離した複数の伸縮抑制部材30が相互に接続されるような伸縮抑制部材30の平面視形状としても良い。図45a〜cおよび図46においては、伸縮抑制部材30は配線基板10の伸縮方向において分離していないのみならず、伸縮方向と直交する方向においても分離していない。すなわち伸縮抑制部材30はすべて相互に連結され(分離した部分はなく)一体となっている。
この形態においては、伸縮抑制部材30は一体となっているため、伸縮抑制領域の内部における基材20の伸縮をより確実に抑制することができ、接続剥がれや断線の発生をより確実に抑制することができる。
図18a〜c等の各図において、相互に接触していない少なくとも2つの領域に分離している伸縮抑制部材30において、配線52は、隣り合う伸縮抑制部材30の間を通っている。換言すれば、伸縮抑制領域の内外を画定する仮想の閉図形と配線52とが交差している。そのため、基材20が伸縮自在である伸縮抑制領域の外部の配線52が、伸縮抑制領域の内外を画定する仮想の閉図形と交差して、伸縮抑制領域の内部にまで延在することができ、配線52と被接続部材51とを接続する接続部51aを伸縮抑制領域の内部とすることができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。
図18a〜c等の各図において、相互に接触していない少なくとも2つの領域に分離している各伸縮抑制部材30は、配線52の延びる方向すなわち第1方向D1に隣り合っている。図18a〜c等は、被接続部材51が伸縮し難い部材である場合の形態であるため、配線52の延びる方向(第1方向D1)に隣り合っている各伸縮抑制部材30は相互の相対位置の変化が抑制され、すなわち伸縮抑制領域を良好に確保することができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。
さらに、被接続部材51が伸縮し難いが曲げに対する柔軟性がある部材である場合においては、図51および図52に示す形態すなわち第1方向D1すなわち配線基板10の伸縮方向においては伸縮抑制部材30が分離していない形態に比べ、高い柔軟性を持つことができる。
図51、図52の各図においては、平面視における伸縮抑制部材30の形状は、配線52の延びる方向(第1方向D1)に直交する方向の長さより、配線52の延びる方向に平行な方向の長さの方が長いものとなっている。すなわち図51、図52の様に伸縮抑制部材30の形状が長方形、あるいはその角が丸みを帯びたものである場合には、その長辺が配線52の延びる方向と平行になっている。また図49の様に矩形状ではないために長辺、短辺を観念し難い場合には、伸縮抑制部材30に外接し、かつ配線52の延びる方向と平行な辺を持つ長方形を仮想し、その仮想の長方形において、長辺が配線52の延びる方向と平行になっている。
この形態においては、特に被接続部材51が伸縮し易い部材である場合であってもて適用可能な図51、図52に示す形態においては、配線52の延びる方向(第1方向D1)について基材20の伸縮を効果的に抑制することができ、すなわち伸縮抑制領域を良好に確保することができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。
(配線基板の好ましい形態の一例)
次に本開示に係る配線基板の好ましい形態の一例として、伸縮抑制部材230がケース230kであり、被接続部材51が電子部品51dである場合の形態について図34a〜cを参照して説明する。ケース230kは、基材20の第1面21側の上ケース230tと、第2面22側の下ケース230bと、および第1面21の法線方向すなわち基材20を貫通する方向の側面ケース230sとからなっている。図34aは平面図を示し、そのE−E断面を図34bに、F−F断面を図34cに示す。図34bに示す様に、配線基板410の上面側(基材20の第1面21側)に電子部品51dが格納された上ケース230tが設けられている。上ケース230tの下面側(配線基板410と対向する側)の接続部51aと対向する部分には、上ケース230tを貫通する導電材料が設けられ、接続部51aと電子部品51dとを電気的に接続している。
図34b、および図34cに示す様に、ケース230kの側面を構成する側面ケース230sは、その一部が基材20を貫通してケース230kの下面を構成する下ケース230bと接続される。上ケース230tと側面ケース230sとは着脱可能な機構および寸法で設計されており、着脱時以外は両者は固定されている。また下ケース230bと側面ケース230sとは固定されているものとする。上ケース230t、下ケース230b、および側面ケース230sはいずれも伸縮し難い部材で形成されている。そのため配線基板410が伸縮方向D1に伸縮したとしても、上ケース230t、および下ケース230bにより固定された側面ケース230sは、上ケース230t、および下ケース230bに対し変位しない。そのため基材20を貫通する側面ケース230sは配線基板410の伸縮を抑制する機能を発揮し、すなわちケース230kは全体として伸縮抑制部材230として機能している。この例においては、側面ケース230sを第1伸縮抑制部材231と、上ケース230tや下ケース230bを第2伸縮抑制部材232と見なすことができる。
図34aに示す様に、平面視上、4箇所の部分からなる側面ケース230sは各L字型であり、上ケース230tの4隅に各外接する様に設けられている。そして4箇所の部分からなる側面ケース230sに外接し、かつ該4箇所の側面ケース230sをその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域72は図示の通りとなる。そして6本の配線52少なくとも一部はいずれも伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231すなわち側面ケース230sと重ならない領域に存在している。伸縮抑制領域72のうち、第1伸縮抑制部材231と重ならない領域は基材20の伸縮が抑制されるため、接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との相対位置が変化し難い。そのため接続部51aにおいて被接続部材51と配線52との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線が発生することを抑制できるという効果を得ることができる。
本好ましい形態の一例においては、電子部品51dはケース230k内に格納されているため電子部品51dをケース230kにより保護することができる。そのため本好ましい形態の一例に係る配線基板410は、好適には身体に対し適用することができる。身体に適用した場合においては、外部との接触や、汚れ、雨などから電子部品51d保護することができる。
また、電子部品51dを格納した上ケース230tと、側面ケース230sとは着脱可能である。そのため例えば、電子部品51dが故障した際に同機能の電子部品51dに交換する際や、異なる機能を得るために異なる機能を有する電子部品51dに交換する際などは、電子部品51dを格納したケース230kごと容易に交換することができる。
以上いくつかの実施形態およびそれらの変形形態などにより様々な形態を例示してきた。本開示の主要な形態は以上の通りある。しかしながら、上記各形態の考えを拡張するならば、伸縮抑制部材30の近傍領域においては伸縮が抑制されていることを利用して、以下のような形態も考えられる。
図43に示した例においては、平面視において、第1方向(伸縮方向)D1と直交する方向に離間した、2つの伸縮抑制部材30により挟まれた領域に、配線の分岐部52b、および方向転換部52hが存在している例である。該第1方向(伸縮方向)D1と直交する方向に離間した、2つの伸縮抑制部材30により挟まれた領域は、第1方向(伸縮方向)D1については伸縮が抑制されている。伸縮が抑制される程度は、伸縮抑制部材30が離間して配置される方向と伸縮方向との関係に大きく依存することから、ここでは偏伸縮抑制領域とする。図43の例においては、2つの伸縮抑制部材30により挟まれた領域を偏伸縮抑制領域とすることができる。配線の分岐部52b、および方向転換部52hは該偏伸縮抑制領域に存在するため、断線の発生を抑制できると考えられる。偏伸縮抑制領域においては、伸縮方向における中心に近い部分ほど伸縮が抑制される。そのため伸縮方向と直交する方向に離間し、伸縮方向には同位置にある同形状の2つの伸縮抑制部材30による図43の例においては、伸縮方向における伸縮抑制部材30の中心付近に伸縮から保護される対象(配線の分岐部52b、および方向転換部52h)を配置することが好ましい。仮に2つの伸縮抑制部材30が離間する方向と伸縮方向とが近ければ偏伸縮抑制領域は存在しないと考えられる。
さらに拡張するならば、図44に示す形態も考えられる。図44の形態においては、伸縮方向に長い伸縮抑制部材30が1つのみ存在している。この形態においても伸縮抑制部材30に対し、伸縮方向と直交する方向における近傍領域においては伸縮が抑制されるため、やはり偏伸縮抑制領域を観念することができる。図44の形態は該偏伸縮抑制領域に配線の分岐部52b、および方向転換部52hが存在している例である。図44の例においても、伸縮方向における伸縮抑制部材30の中心付近に伸縮から保護される対象(配線の分岐部52b、および方向転換部52h)を配置することが好ましい。
配線基板の用途は、上述のデバイスや電子製品として、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施形態による配線基板を用いて構成する。配線基板は伸張することができるので、例えば配線基板を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板が伸張した場合に配線52の抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。
それらのデバイスや製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、家電製品、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、ラケット、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、自動車内装、シート、インパネ、ベビーカー、ドローン、車椅子、タイヤ、首輪、リード、ハプティクスデバイス、ランチョンマット、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、付け爪、時計、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
(配線基板の製造方法)
以下、図35a〜dを参照して、配線基板10の製造方法について説明する。なお図35a〜dは、図4aのA−A断面に相当する部分の模式断面図であり、図4bに相当する断面図である。
まず、図35aに示すように、伸縮性を有する基材20を準備する基材準備工程を実施する。続いて、図35bに示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる伸長工程を実施する。続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に伸縮抑制部材30を設け、さらに、図35cに示すように、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に、配線52を設ける設置工程を実施する。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、図35dにおいて矢印LTで示すように、基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。また必要に応じ図35cのように被接続部材51を実装する工程を含んでいても良いが、被接続部材51を実装する工程はこれに限らず収縮工程の後であってもよい場合もある。
以上に説明した本実施形態においては、図4aの平面図に示す通り、第1面21の法線方向に沿って20基材を見た場合に(平面視上)、配線52の少なくとも一部は、伸縮抑制部材30に外接し、かつ伸縮抑制部材30をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に存在している。そのため、配線52と被接続部材51とを接続する接続部51aを伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に配置することができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。また、伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる(図40参照)。
(配線基板の製造方法の第1変形例)
以下においては、配線基板10の製造方法の第1変形例を図36a〜dを参照しつつ説明する。なお図36a〜dは、図27aのA−A断面に相当する部分の模式断面図であり、図27bに相当する断面図である。
この変形例では、まず、図36aに示すように、伸縮性を有する基材20を準備する基材準備工程を実施する。続いて、図36bに示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる伸長工程を実施する。続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に、配線52を設ける第1設置工程を実施する。
その後、図36cに示すように、基材20から引張応力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、矢印LTに示すように基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。その後、図36dに示すように、引張応力Tを取り除いた状態の基材20の第1面21に、伸縮抑制部材30を設ける第2設置工程を実施する。その後、必要に応じ図36dのように被接続部材51を実装する工程を含んでいても良い。このような工程で製造された配線基板10では、伸縮抑制部材30が、基材20の第1面21の山部53が形成された領域に位置し得る。この製造方法においても、伸縮抑制部材30を設けることにより伸縮抑制領域70が画定される。
以上に説明した本実施形態においては、図27aの平面図に示す通り、第1面21の法線方向に沿って20基材を見た場合に(平面視上)、配線52の少なくとも一部は、伸縮抑制部材30に外接し、かつ伸縮抑制部材30をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に存在している。そのため、配線52と被接続部材51とを接続する接続部51aを伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に配置することができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。また、伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
(配線基板の製造方法の第2変形例)
以下においては、配線基板10の製造方法の第2変形例を図37a〜cを参照しつつ説明する。なお図37a〜cは、図24aのA−A断面に相当する部分の模式断面図である。
この変形例ではまず、第1面21及び第1面21の反対側に位置する第2面22を含み、第1面21、第2面22及び内部のうちの少なくともいずれかに伸縮抑制部材30が設けられた、伸縮性を有する基材20を準備する。図37aにおいては伸縮抑制部材30は第1面21に設けられている。次に図37bに示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる伸長工程を実施する。続いて、伸長工程によって伸長した状態の基材20の第1面21側に、配線基板10に搭載される被接続部材51に接続される配線52を設ける設置工程を実施する。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、図37cにおいて矢印LTで示すように、基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。なお図示しないが、必要に応じ設置工程以降に被接続部材51を実装する工程を含んでいても良い。
以上に説明した本実施形態においては、図24aの平面図に示す通り、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に(平面視上)、配線52の少なくとも一部は、伸縮抑制部材30に外接し、かつ伸縮抑制部材30をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に存在している。そのため、配線52と被接続部材51とを接続する接続部51aを伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に配置することができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。また、伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる(図40aおよびb参照)。
なお、上述した実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。また、上述の実施形態及び変形例では、基材20及び配線52が蛇腹形状部57を有することで、伸縮可能になっている構成を説明した。しかしながら、伸縮抑制部材30は、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に伸縮性の銀配線が設けられる伸縮性基板や、伸縮性を有する基材に平面視において図38に示す様な馬蹄形の配線52を形成した伸縮性基板においても適用されてもよい。これらのタイプの伸縮性基板に伸縮抑制部材30を設けた場合にも、配線52の少なくとも一部を伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に配置することができる。そのため接続部51aにおいて被接続部材と配線との電気的な接続が損なわれる、接続剥がれや断線の発生を抑制することができる。また、伸縮抑制領域70のうち、第1伸縮抑制部材31と重ならない領域に、配線の分岐部52bあるいは配線の方向転換部52hが設けられている場合においては、該分岐部52bあるいは方向転換部52hにおける断線を抑制することができる。
なお、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に伸縮性の銀配線が設けられる伸縮性基板や、伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成した伸縮性基板は、例えば、何ら伸長させない基材に、伸縮性の銀配線又は馬蹄形の配線を形成した後、部品及び伸縮抑制部材30を設けることで作製されてもよいが、その製造方法は特に限られるものではない。
また、上述した実施形態では、配線52が第1方向D1に平行に延びる例を示したが、配線52に、第1方向D1に平行に延びるものと、第1方向D1に交差する方向に延びるものとが含まれてもよい。そして、第1方向D1に交差する方向に延びる配線52の少なくとも一部が、第1面21の法線方向に沿って20基材を見た場合に(平面視上)、伸縮抑制部材30に外接し、かつ伸縮抑制部材30をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域70のうち、伸縮抑制部材30と重ならない領域に設けられていてもよい。
<実施例>
次に、以上に説明した本開示(図1a〜図34c)の一部を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
配線基板510として、図39a〜cに示すような、基材20の第1面21に配線52、伸縮抑制部材30(第1伸縮抑制部材31、第2伸縮抑制部材32)及び被接続部材51が設けられたものを作製した。図39aは実施例に係る配線基板510を示す平面図であり、そのA−Aに沿って切断した場合の断面図を図39bに、B−Bに沿って切断した場合の断面図を図39cに示す。配線52、伸縮抑制部材30及び被接続部材51は、支持基板40に設けられた状態で、接着層を介して基材20に貼り合わせた。
基材20は、2液付加縮合のポリジメルシロキサン(以下、PDMSと称する)を、厚さが1.5mmとなるように硬化させて形成した。基材20の弾性係数は、0.05MPaとした。支持基板40を基材20に貼り合わせるための接着層としては、粘着シート8146(3M社製)を用いた。
支持基板40は、厚さ1μmのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムであり、弾性係数は、2.2GPaとした。配線52はCuであり、支持基板40に蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィでパターニングして形成した。配線幅は、200μmとし、隣り合う配線の間の間隔は、400μmとした。また、配線52の形成後、配線52及び支持基板40を一体的に覆う絶縁膜を形成した。なお、配線52の被接続部材51との接続部分は絶縁膜で覆わないようにした。絶縁膜は、熱硬化性絶縁樹脂をスクリーン印刷で配線52及び支持基板40上に印刷した後、加熱して硬化させることで形成した。絶縁膜の厚さは、配線52上で50μm程度となるように設定した。
配線52と被接続部材51とを接続するための接続部51aは、導電性接着剤(化研テック社製のCL−3160)をスクリーン印刷にて配線52の端部に形成した。そして、被接続部材51は、接続部51aに半田付けした。また、伸縮抑制部材30は、熱硬化性エポキシ樹脂をディスペンサで所定の位置に塗布して、熱硬化させることで形成した。伸縮抑制部材30は平面視で、被接続部材51の四隅において配線52が延びる方向すなわち配線基板510の伸縮方向(第1方向D1)およびにそれに直交する方向にいずれについても、伸縮抑制部材30が被接続部材51から2mm突出するように形成した。
そして、基材20を第1方向D1に1.5倍、1軸伸長させた状態で、上述のように配線52及び被接続部材51等が支持された支持基板40を基材20に接着層を介して貼り合わせ、これにより、実施例に係る配線基板510を作製した。
(評価)
この実施例に係る配線基板510を、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させたが、配線52は断線しなかった。なお、実施例に係る配線基板510において伸縮抑制部材30を設けない比較例を製作し、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させた場合には、接続部51aにおいて接続剥がれが生じていた。この結果から、伸縮抑制部材30の有用性、すなわち本実施例に係る配線基板510の有用性が確認された。
(実施例2)
実施例2では、図53に示すような伸縮抑制部材30(第1伸縮抑制部材31、第2伸縮抑制部材32)が基材20の内部に埋設された配線基板510−2を作製した。詳しくは、隣り合う第1伸縮抑制部材31の互いに向き合う面の間の距離Wに対する、第1伸縮抑制部材31の外周縁から第2伸縮抑制部材32の外周縁までの第1方向D1又は平面視上でこれに直交する方向での距離Lを変化させた3種類の伸縮抑制部材30を備える配線基板510−2を作製した。以下、3種類の配線基板510−2をそれぞれ、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3と呼ぶ。なお、説明の便宜上、図53においては、伸縮抑制部材30が実線で示されている。
各実施例では、伸縮抑制部材30がポリイミドフィルム(宇部興産社製、ユーピレックス、厚さ125μmのフィルム)から切り出された。そして、基材20は、液状の2液付加縮合のポリジメチルシロキサン(PDMS−1、弾性率0.02MPa)で伸縮抑制部材30を埋設しつつ当該樹脂を硬化することで形成され、その厚さは1mmである。
距離Wは、各実施例で共通であり、12mmである。
また、第1方向D1で隣り合う第1伸縮抑制部材31の外側端部間距離Xは、15.6mmであり、平面視上で第1方向D1と直交する方向で隣り合う第1伸縮抑制部材31の外側端部間距離Yは、15.6mmである。
実施例2−1は、距離L/距離Wが、0.15となるように形成された。
実施例2−2は、距離L/距離Wが、0.25となるように形成された。
実施例2−3は、距離L/距離Wが、0.50となるように形成された。
(評価)
比較例として、距離Lが0となる矩形の伸縮抑制部材を備える配線基板が用意された。
そして、伸縮抑制部材の平面視上の中心から第1方向D1に70mmおよび伸縮抑制部材の平面視上の中心から第1方向D1に直交する方向に70mm、の範囲で規定される、各実施例および比較例のそれぞれの基材上の矩形領域(図53のAR)において、0.5mmピッチの格子状の目盛りを付けた。
そして、比較例を、第1方向D1および平面視上でこれに直交する方向の2軸方向で、150%伸長させ、基材上の目盛りの伸長後の位置を特定した。
その後、各実施例を、比較例を伸長させた際の力と同じ力で伸長させ、各実施例の基材20上の目盛りの伸長後の位置を特定した。そして、比較例の基材上の目盛りの伸長後の位置に対する、各実施例の基材20上の目盛りの伸長後の位置の割合を求めることで、各実施例についての比較例に対する伸長率を特定した。なお、目盛りの伸長後の位置は、ニコン社製のCNC画像測定機“NEVIX VMR−H330”を用いて特定した。
以下の表1は、各実施例についての比較例に対する伸長率を示している。
Figure 0006941311
以上の実施例2では、第2伸縮抑制部材32が第1伸縮抑制部材31に対して大きく奥まって位置する程、伸縮抑制部材30による基材20の伸長抑制効果が高いことが確認された。
(実施例3)
配線基板610として、図54a〜cに示すような、基材20の第1面21に配線52、伸縮抑制部材30及び被接続部材51が設けられたものを作製した。図54aは実施例に係る配線基板610を示す平面図であり、そのA−Aに沿って切断した場合の断面図を図54bに、B−Bに沿って切断した場合の断面図を図54cに示す。配線52、伸縮抑制部材30及び被接続部材51は、支持基板40に設けられた状態で、接着層を介して基材20に貼り合わせた。
基材20は、2液付加縮合のポリジメルシロキサン(以下、PDMSと称する)を、厚さが1.5mmとなるように硬化させて形成した。基材20の弾性係数は、0.05MPaとした。支持基板40を基材20に貼り合わせるための接着層としては、粘着シート8146(3M社製)を用いた。
支持基板40は、厚さ1μmのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムであり、弾性係数は、2.2GPaとした。配線52はCuであり、支持基板40に蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィでパターニングして形成した。配線幅は、200μmとし、隣り合う配線の間の間隔は、400μmとした。また、配線52の形成後、配線52及び支持基板40を一体的に覆う絶縁膜を形成した。なお、配線52の被接続部材51との接続部分は絶縁膜で覆わないようにした。絶縁膜は、熱硬化性絶縁樹脂をスクリーン印刷で配線52及び支持基板40上に印刷した後、加熱して硬化させることで形成した。絶縁膜の厚さは、配線52上で50μm程度となるように設定した。
配線52と被接続部材51とを接続するための接続部51aは、導電性接着剤(化研テック社製のCL−3160)をスクリーン印刷にて配線52の端部に形成した。そして、被接続部材51は、接続部51aに半田付けした。また、伸縮抑制部材30は、熱硬化性エポキシ樹脂をディスペンサで所定の位置に塗布して、熱硬化させることで形成した。伸縮抑制部材30は平面視で、被接続部材51の四隅において配線52が延びる方向すなわち配線基板310の伸縮方向(第1方向D1)およびにそれに直交する方向にいずれについても、被接続部材51が伸縮抑制部材30から2mm突出するように形成した。
そして、基材20を第1方向D1に1.5倍、1軸伸長させた状態で、上述のように配線52及び被接続部材51等が支持された支持基板40を基材20に接着層を介して貼り合わせ、これにより、実施例に係る配線基板310を作製した。
(評価)
この実施例に係る配線基板610を、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させたが、配線52は断線しなかった。なお、実施例に係る配線基板310において伸縮抑制部材30を設けない比較例を製作し、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させた場合には、接続部51aにおいて接続剥がれが生じていた。この結果から、伸縮抑制部材30の有用性が確認された。
(他の実施形態)
以下、本開示の他の実施形態に係る配線基板ついてさらに説明する。
(配線基板)
まず、本実施形態に係る配線基板710について説明する。図55及び図56はそれぞれ、配線基板710を示す平面図及び断面図である。図56に示す断面図は、図55の配線基板710を線II−IIに沿って切断した場合の図である。
配線基板710は、基材20、電子部品51、配線52、補強部材30を備える。以下、配線基板710の各構成要素について説明する。なお、本実施形態では、上述の実施形態において「伸縮抑制部材30」と称していた構成のことを、補強部材30と称している。また、上述実施形態において「被接続部材51」と称して構成が、電子部品51になっている。
〔基材〕
基材20は、伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、電子部品51及び配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。基材20の厚みは、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。基材20の厚みを10μm以上にすることにより、基材20の耐久性を確保することができる。また、基材20の厚みを10mm以下にすることにより、配線基板710の装着快適性を確保することができる。なお、基材20の厚みを小さくしすぎると、基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
なお、基材20の伸縮性とは、基材20が伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の基材20の状態である。本実施形態において、伸縮可能な基材は、好ましくは、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができ、より好ましくは20%以上伸長することができ、更に好ましくは75%以上伸長することができる。このような能力を有する基材20を用いることにより、配線基板710が全体に伸縮性を有することができる。さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板710を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
また、非伸長状態にある基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。基材20の形状変化は、例えば面積比で20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。形状変化の小さい基材20を用いることにより、後述する蛇腹形状部の形成が容易になる。
基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、基材20の弾性係数を挙げることができる。基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する基材20を用いることにより、配線基板710全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、基材20の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。基材20の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
基材20の第1の弾性係数を算出する方法としては、基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板710から基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板710を構成する前の基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の第1の弾性係数を算出する方法として、基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m又はPa・mである。基材20の断面二次モーメントは、配線基板710の伸縮方向に直交する平面によって、基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。
基材20を構成する材料の例としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。また、基材20の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2−BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、基材20がシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、基材20の材料として好ましい。
〔電子部品〕
電子部品51は、電子部品51と配線52との間に位置する接続部51aにより配線52に接続されている。図56に示す例において、接続部51aは、電子部品51の下面、言い換えると電子部品51における基材20の第1面21側を向く面と、基材20、特に基材20上の配線52の表面と、の間に位置する。なお、配線52の表面とは、配線52の面のうち基材20から遠い側に位置する面である。
この例においては、接続部51aは、電子部品51の下面に接続されるとともに、配線52の表面に接続される。しかしながら、図56に示す例に代えて、接続部51aは、電子部品51の側面に位置してもよい。また、接続部51aは、配線52の側面に接続されてもよい。このような電子部品51は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。
電子部品51の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。電子部品51の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。
〔配線〕
配線52は、電子部品51の接続部51aに接続された、導電性を有する部材である。例えば図56に示すように、配線52の端側の部分が、電子部品51の接続部51aに接続されている。図55に示す例では、電子部品51に対して両側のそれぞれに、複数の配線52が設けられるが、配線52の数は特に限定されるものではない。
後述するように、一実施形態では、配線52が、引張によって伸長した状態の基材20に設けられる。この場合、基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線52は、図57Aに示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部57を有するようになる。
蛇腹形状部57は、基材20の第1面21の法線方向における山部及び谷部を含む。図57Aにおいて、符号53は、配線52の表面に現れる山部を表し、符号54は、配線52の裏面に現れる山部を表す。また、符号55は、配線52の表面に現れる谷部を表し、符号56は、配線52の裏面に現れる谷部を表す。表面とは、配線52の面のうち基材20から遠い側に位置する面であり、裏面とは、配線52の面のうち基材20に近い側に位置する面である。また、図57Aにおいて、符号26及び27は、基材20の第1面21に現れる山部及び谷部を表す。第1面21に山部26及び谷部27が現れるように基材20が変形することにより、配線52が蛇腹状に変形して蛇腹形状部57を有するようになる。基材20の第1面21の山部26が、配線52の蛇腹形状部57の山部53,54に対応し、基材20の第1面21の谷部27が、配線52の蛇腹形状部57の谷部55,56に対応している。
以下の説明において、蛇腹形状部57の山部及び谷部が繰り返し現れる方向のことを、第1方向D1とも称する。図57Aに示す例において、配線52は、第1方向D1に平行に延びている。ここで、配線52は、電子部品51及び補強部材30に対し、第1方向D1でずれた位置に、蛇腹形状部57を有する。また、基材20は、第1方向D1に平行な長辺を含む長方形の形状を有している。図示はしないが、配線基板710は、第1方向D1とは異なる方向に延びる配線52を含んでいてもよい。また、図示はしないが、基材20が長方形の形状を有する場合に、長辺が延びる方向が第1方向D1とは異なっていてもよい。なお、図57Aにおいては、蛇腹形状部57の複数の山部及び谷部が一定の周期で並ぶ例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、蛇腹形状部57の複数の山部及び谷部は、第1方向D1に沿って不規則に並んでいてもよい。例えば、第1方向D1において隣り合う2つの山部の間の間隔が一定でなくてもよい。
図57Aにおいて、符号S1は、配線52の表面における蛇腹形状部57の、基材20の法線方向における振幅を表す。振幅S1は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S1を10μm以上とすることにより、基材20の伸張に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S1は、例えば500μm以下であってもよい。
振幅S1は、例えば、配線52の長さ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部53と谷部55との間の、第1面21の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「配線52の長さ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部53と谷部55との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部53と谷部55との間の距離を測定してもよい。後述する振幅S2、S3、S4の算出方法も同様である。
図57Aにおいて、符号S2は、配線52の裏面における蛇腹形状部57の振幅を表す。振幅S2は、振幅S1と同様に、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、振幅S2は、例えば500μm以下であってもよい。また、図57Aにおいて、符号S3は、蛇腹形状部57に重なる部分において基材20の第1面21に現れる山部26及び谷部27の振幅を表す。図57Aに示すように配線52の裏面が基材20の第1面21上に位置している場合、基材20の第1面21の山部26及び谷部27の振幅S3は、配線52の裏面における蛇腹形状部57の振幅S2に等しい。
なお、図57Aにおいては、基材20の第2面22には蛇腹形状部が現れない例を示したが、これに限られることはない。図58Aに示すように、基材20の第2面22にも蛇腹形状部が現れていてもよい。図58Aにおいて、符号28及び29は、基材20の第2面22に現れる山部及び谷部を表す。図58Aに示す例において、第2面22の山部28は、第1面21の谷部27に重なる位置に現れ、第2面22の谷部29は、第1面21の山部26に重なる位置に現れている。なお、図示はしないが、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の位置は、第1面21の谷部27及び山部26に重なっていなくてもよい。また、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の数又は周期は、第1面21の山部26及び谷部27の数又は周期と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の周期が、第1面21の山部26及び谷部27の周期よりも大きくてもよい。この場合、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の周期は、第1面21の山部26及び谷部27の周期の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「基材20の第2面22の山部28及び谷部29の周期が、第1面21の山部26及び谷部27の周期よりも大きい」とは、基材20の第2面22に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図58Aにおいて、符号S4は、蛇腹形状部57に重なる部分において基材20の第2面22に現れる山部28及び谷部29の振幅を表す。第2面22の振幅S4は、第1面21の振幅S3と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2面22の振幅S4が、第1面21の振幅S3よりも小さくてもよい。例えば、第2面22の振幅S4が、第1面21の振幅S3の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、第2面22の振幅S4は、第1面21の振幅S3の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。基材20の厚みが小さい場合、第1面21の振幅S3に対する第2面22の振幅S4の比率が大きくなり易い。なお、「基材20の第2面22の山部28及び谷部29の振幅が、第1面21の山部26及び谷部27の振幅よりも小さい」とは、基材20の第2面22に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
また、図58Aにおいては、第2面22の山部28及び谷部29の位置が、第1面21の谷部27及び山部26の位置に一致する例を示したが、これに限られることはない。
配線52の材料としては、蛇腹形状部57の解消及び生成を利用して基材20の伸張及び収縮に追従することができる材料であればよい。配線52の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52に用いられる材料自体が伸縮性を有する場合、材料の伸縮性は、例えば、基材20の伸縮性と同様である。配線52に用いられ得る、それ自体が伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。導電性粒子としては、配線に使用できるものであればよく、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子が挙げられる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
配線52の厚みは、基材20の伸縮に耐え得る厚みであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。
例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚みは、25nm以上50μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚みは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線52の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法、メッキ法、特にCuメッキ法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
また、基材20上または後述する支持基板40上及びこれら基材20または支持基板40に設けられた配線52には、基材20または支持基板40と配線52とを一体的に覆う絶縁膜が設けられてもよい。ただし、絶縁膜は、配線52における電子部品51との接続部分上には設けられない。このような絶縁膜は、熱硬化性の絶縁樹脂等を加熱硬化することで構成され得る。絶縁膜の厚さは、例えば0.1μm以上500μm以下でもよい。また、絶縁膜の形成は、スクリーン印刷等で行われてもよい。また、接続部51aは、例えば導電性接着剤から構成されてもよいし、半田材料で形成されてもよいし、電子部品51と一体の端子であってもよい。
蛇腹形状部57が配線52に形成されていることの利点について説明する。上述のように、基材20は、10MPa以下の弾性係数を有する。このため、配線基板710に引張応力を加えた場合、基材20は、弾性変形によって伸長することができる。ここで、仮に配線52も同様に弾性変形によって伸長すると、配線52の全長が増加し、配線52の断面積が減少するので、配線52の抵抗値が増加してしまう。また、配線52の弾性変形に起因して配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことも考えられる。
これに対して、本実施形態においては、配線52が蛇腹形状部57を有している。このため、基材20が伸張する際、配線52は、蛇腹形状部57の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板710の伸張に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
ところで、配線52の山部53,54の高さ及び谷部55,56の深さは、基材20の厚みのばらつきや、基材20に設けられる配線52の分布密度の差などに起因して、位置によってばらつくことがある。山部53,54の高さ及び谷部55,56の深さが位置によってばらつくと、配線52に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きくなり、配線52が破損してしまうことが考えられる。また、山部53,54の高さ及び谷部55,56の深さのばらつきが大きい場合であっても、小さい場合であっても、配線52における電子部品51の周囲に位置する部分は、伸縮時に大きい応力が生じ易く、また、電子部品51の下方に巻き込まれ易くなり、破損のリスクが高くなり得る。
ここで本実施形態によれば、基材20に補強部材30を設けることにより、基材20における電子部品51の周囲の部分の変形を制御、特に緩和することが可能となる。これにより、配線52に局所的に大きい応力が生じることや、配線52が電子部品51の下方に巻き込まれることを抑制することができる。
〔補強部材〕
補強部材30は、基材20を補強することで、基材20の変形を緩和するために配線基板710に設けられた機構である。図55及び図56に示す例において、補強部材30は、基材20の第1面21の法線方向で、第1面21と電子部品51の下面との間に位置する。補強部材30は扁平状である。また、補強部材30は、その一部で、配線52における電子部品51に近接する部分を覆っている。図55及び図56に示す補強部材30は、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に、電子部品51から突出するように延び且つ基材20に接する第1補強部材31と、電子部品51の周囲に位置し且つ基材20に接する第2補強部材32と、を含んでいる。
図55及び図56に示す例では、第1補強部材31は、第2補強部材32から延びており、第2補強部材32は、平面視で矩形枠状であり、平面視で矩形状の電子部品51の四辺の周囲の全域に位置している。
以下の説明において、第1補強部材31及び第2補強部材32に共通する事項に関して説明する場合は、「補強部材31,32」と表記することもある。
図55に示す例では、補強部材30が4つの第1補強部材31を含み、各第1補強部材31は、平面視で矩形状の第2補強部材32の四隅のそれぞれから突出するように延びる。詳しくは、各第1補強部材31は、第1方向D1及び平面視で第1方向D1に直交する方向の両方において、第2補強部材32の四隅のそれぞれから延び広がっている。第1補強部材31の形状は特に限定されるものではないが、図55に示す例では、平面視で矩形状である。第1補強部材31の四辺のうちの互いに対向する一方の一対の辺は、第1方向D1に平行となっており、他方の一対の辺は、第1方向D1に直交する方向に平行となっている。
ここで、図55に示すように、つまり第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に、本実施形態では、配線52が、第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ少なくともいずれかの直線に対して交差する。詳しくは、図55において、第1方向D1で電子部品51の一方側、言い換える左側においては、左上側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L1に対して配線52が交差するとともに、左下側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L2に対して配線52が交差している。また、第1方向D1で電子部品51の他方側、言い換える右側においては、右上側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L3に対して配線52が交差するとともに、右下側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L4に対して配線52が交差している。そして、この例では、第1方向D1に直交する方向で隣り合う第1補強部材31の間を配線52が通っている。
なお、図55に示す例では、配線52が直線L1〜L4に交差する例を示したが、この図示例においては、第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L1〜L4とは異なる無数の直線に対し、配線52が交差することは言うまでもない。
図56及び図57Aに示すように、本実施形態では、第1補強部材31が、第2補強部材32を介して電子部品51及び接続部51aのうちの少なくともいずれかに接するとともに、基材20に接する。この例では、第2補強部材32が、その一部を電子部品51の下方に進入させ、電子部品51の下面及び接続部51aの側面に接するため、第1補強部材31は、第2補強部材32を介して電子部品51及び接続部51aの両方に接することになる。より詳しくは、第2補強部材32が、硬化によって電子部品51の下面及び接続部51aの側面に結合していることで、第1補強部材31は、第2補強部材32を介して電子部品51及び接続部51aの両方に結合するとともに、基材20にも結合した状態になっている。
なお、図56及び図57Aに示す例では、補強部材30が、その第2補強部材32の一部を電子部品51の下面の一部の下方に進入させるが、補強部材30は、電子部品51の下面の全体の下方に位置していてもよい。
本実施形態においては、上述のような第1補強部材31と配線52との位置関係、及び、第1補強部材31と電子部品51又は接続部51aとの位置関係を定めることにより、基材20が直線L1に対して交差する方向に縮もうとする場合に、直線L1の両端に位置する第1補強部材31と電子部品51とに応力が集中することで、基材20における直線L1よりも電子部品51側の部分での収縮が緩和される。また、基材20が直線L1に対して交差する方向に伸びようとする場合に、直線L1の両端に位置する第1補強部材31と電子部品51とが、基材20の伸びに対する抗力を基材20に付与する。これにより、基材20における電子部品51の周囲の部分の変形が緩和されることで、基材20上の配線52における電子部品51の周囲の部分に局所的に大きい応力が生じることや、配線52が電子部品51の下方に巻き込まれることを抑制することができる。
特に本実施形態では、隣り合う第1補強部材31の間を配線52が通る。この場合、基材20が直線L1に対して交差する方向に縮もうとする際に、配線52の両側に位置する第1補強部材31の先端に応力が集中することで、基材20における、隣り合う第1補強部材31で挟まれる部分の収縮が緩和される。また、基材20が直線L1に対して交差する方向に伸びようとする場合に、配線52の両側に位置する第1補強部材31が、基材20の伸びに対する抗力を基材20に付与する。これにより、基材20における電子部品51の周囲の部分の変形が広範囲で緩和されることで、配線52を効果的に保護できる。
ここで、第1補強部材31を第1伸縮抑制部材と想定し、電子部品51を第2伸縮抑制部材と想定すると、本実施の形態においては、“第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に、配線52の少なくとも一部は、複数の第1伸縮抑制部材(第1補強部材31)に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している”と言える。
また、第1補強部材31を第1伸縮抑制部材と想定し、第2補強部材52を第2伸縮抑制部材と想定すると、本実施の形態においては、“第1面21の法線方向に沿って基材20を見た場合に、配線52の少なくとも一部は、複数の第1伸縮抑制部材(第1補強部材31)に外接し、かつ第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している”と言える。
なお、図55の例では、左上側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L1に対して配線52が交差するとともに、左下側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L2に対して配線52が交差する。しかしながら、例えば、左下側に位置する第1補強部材31を設けずに、左上側に位置する第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ直線L1に対して配線52が交差するだけであっても、配線52は効果的に保護される。左上側に位置する第1補強部材31を設けずに、左下側に位置する第1補強部材31のみを設けた場合でも、配線52は効果的に保護される。このことは、図55において、第1方向D1で右側に位置する第1補強部材31の場合も同様である。
なお、図55及び図56に示す例では、第1補強部材31が連続して、第2補強部材32から延びるが、第1補強部材31は、配線52が延びる方向、つまり第1方向D1で分断されていてもよい。
また、図57Aに示すように、本例では、電子部品51及び補強部材30は、基材20において、配線52の蛇腹形状部57に対し、第1方向D1でずれた位置に設けられる。後述するように、基材20に張力を加えて伸長させた状態で、電子部品51及び補強部材30を設ける場合には、張力を取り除いた後の基材20の第1面21又は配線52における、電子部品51及び補強部材30が位置する部分、および、第1方向D1と直交する方向において、平面視で第1補強部材31と隣接する部分に、蛇腹形状部57の山部及び谷部よりも周期が大きく且つ振幅が小さい、図57Bに示すような山部71,81及び谷部72,82が形成される場合がある。すなわち、基材20における配線52が位置する部分、及び電子部品51と補強部材30とが位置する部分、及び、第1方向D1と直交する方向において、平面視で第1補強部材31と隣接する部分を含む領域のそれぞれに、山部及び谷部が形成される場合がある。このような山部71,81及び谷部72,82は、電子部品51に近づくに従い、次第に周期が大きくなり且つ振幅が小さくなる傾向がある。なお、基材20に張力を加えて伸長させた状態で電子部品51及び補強部材30を設けた場合においては、基材20の第1面21及び配線52における電子部品51及び補強部材30が位置する部分等に、山部及び谷部が形成されない場合もあり得る。一方で、基材20に張力を加えて伸長させた状態で、電子部品51及び配線52を設けた後、張力を取り除いて、補強部材30を設ける場合には、基材20の第1面21及び配線52における補強部材30が位置する部分等に、蛇腹形状部57の山部及び谷部と同じ周期及び振幅の山部及び谷部が形成される場合もある。
また、基材20に張力を加えて伸長させた状態で、電子部品51及び補強部材30を設け、その後、張力を取り除いた場合には、図58Bに示すように、基材20における電子部品51及び補強部材30が位置する部分は伸び状態になっており、基材20における配線52に蛇腹形状部57が設けられる部分よりも、厚みが小さくなる場合がある。このような厚みの減少分が比較的大きくなる場合には、図58Bに示すように、例えばゴム材料90を塗工して、基材20の厚みを均一化するのが良い。
また、図示はしないが、配線基板710は、補強部材31,32のうち基材20とは反対側の面に位置する粘着層を更に備えていてもよい。粘着層は、配線基板710を人の身体などの対象物に貼付するために設けられるものである。粘着層は、配線52のうち基材20とは反対側の面、電子部品51のうち基材20とは反対側の面などに位置していてもよい。
粘着層を構成する材料としては、一般的な粘着剤を用いることができ、配線基板710の用途等に応じて適宜選択される。例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
粘着層の厚みは、粘着層が伸縮可能であり、且つ配線基板710を対象物に貼付可能であるよう、伸縮性回路基材の用途等に応じて適宜選択される。粘着層の厚みは、例えば10μm以上100μm以下の範囲内である。
補強部材31,32は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有してもよい。補強部材31,32の弾性係数は、例えば0.1GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは0.1GPa以上100GPa以下である。このような補強部材31,32を基材20に設けることにより、基材20のうち補強部材31,32と重なる部分が伸縮することを抑制することができる。これにより、基材20を、伸縮が生じやすい部分と、伸縮が生じにくい部分とに区画することができる。補強部材31,32の弾性係数が低すぎると、伸縮の制御がしにくい場合がある。また、補強部材31,32の弾性係数が高すぎると、基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊が補強部材31,32に起こる場合がある。補強部材31,32の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1.1倍以上1000000倍以下であってもよく、より好ましくは100000倍以下である。以下の説明において、補強部材31,32の弾性係数のことを、第2の弾性係数とも称する。なお、「重なる」とは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に2つの構成要素が重なることを意味している。
補強部材31,32の第2の弾性係数を算出する方法は、補強部材31,32の形態に応じて適宜定められる。例えば、補強部材31,32の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の基材20の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数も同様である。例えば、補強部材31,32又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、補強部材31,32又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
補強部材31,32の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数よりも大きい場合、補強部材31,32を構成する材料として、金属材料を用いることができる。金属材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属材料として、半田材料が用いられてもよい。また、補強部材31,32を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーや、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系又はシリコーン系等のオリゴマー、ポリマーなどを用いてもよい。補強部材31,32を構成する材料がこれらの樹脂である場合、補強部材31,32は、透明性を有していてもよい。また、補強部材31,32は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、補強部材31,32は黒色であってもよい。また、補強部材31,32の色と基材20の色とが同一であってもよい。補強部材31,32の厚みは、本実施の形態において、例えば1μm以上100μm以下である。しかし、後述する図60や図61のような構造であるときは、補強部材31,32の厚みが数mm、例えば1mm以上5mm以下となる場合もある。
若しくは、補強部材31,32の第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数以下であってもよい。補強部材31,32の第2の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、1MPa以下であってもよい。補強部材31,32の第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
補強部材31,32の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数以下の場合、補強部材31,32を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。この場合、補強部材31,32の厚みは、本実施の形態において、例えば1μm以上100μm以下である。しかし、後述する図60や図61のような構造であるときは、補強部材31,32の厚みが数mm、例えば1mm以上5mm以下となる場合もある。
なお、第1補強部材31の弾性係数と第2補強部材32の弾性係数とは、同一であってもよい。この場合、第1補強部材31及び第2補強部材32を同一の工程で同時に形成することができるので、補強部材31,32の形成工程が簡便になる。また、第1補強部材31の弾性係数と第2補強部材32の弾性係数とは、異なっていてもよい。この場合、第1補強部材31の弾性係数が、第2補強部材32の弾性係数よりも高いことが好ましい。
第1補強部材31の材料や厚みと第2補強部材32の材料や厚みとは、同一であってもよい。この場合、補強部材31,32の形成工程が簡便になる。また、第1補強部材31の材料や厚みと第2補強部材32の材料や厚みとは、異なっていてもよい。
補強部材31,32の特性を、弾性係数に替えて曲げ剛性によって表してもよい。補強部材31,32の断面二次モーメントは、配線基板710の伸縮方向に直交する平面によって補強部材31,32を切断した場合の断面に基づいて算出される。補強部材31,32の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1.1倍以上であってもよく、より好ましくは2倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。
若しくは、補強部材31,32の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性以下であってもよい。例えば、補強部材31,32の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
補強部材31,32の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。また、基材20上または後述する支持基板40上に、例えばCuの配線52と、Cuの第1補強部材31の一部とを形成し、その後、Cuの第1補強部材31の一部上にメタルマスク印刷により半田材料で第1補強部材31の他の一部を形成してもよい。ここで、半田材料でなる第1補強部材31は、配線52上に形成される電子部品51との接続のための半田材料でなる接続部51aと同時に形成されてもよい。そして、その後、半田材料を溶かすためのリフロー時に、半田材料でなる第1補強部材31が、Cuの第1補強部材31の表面に濡れ広がるようにしてもよい。また、基材20上または支持基板40上にスピンコート法などの印刷法等により全面に有機層などの樹脂膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により樹脂膜をパターニングする方法が挙げられる。また、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により補強部材31,32の材料をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。印刷法としては、スクリーン印刷や、ディスペンサによる印刷が用いられ得る。基材20上または支持基板40上に電子部品等の部品が実装された後においては、ディスペンサによる印刷の方が効率的に補強部材31,32を形成し得る。
(配線基板の製造方法)
以下、図59a〜dを参照して、配線基板710の製造方法について説明する。
まず、図59aに示すように、伸縮性を有する基材20を準備する基材準備工程を実施する。続いて、図59bに示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる伸長工程を実施する。続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21に、電子部品51及び配線52を設ける工程を実施する。さらに、図59cに示すように、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21に、第1補強部材31及び第2補強部材32を含む補強部材30を設ける工程を実施する。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、図59dにおいて矢印Cで示すように、基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。
伸縮性を有する配線基板では、通常、配線と電子部品とが接続される。この構成では、基材の伸縮により、配線が、電子部品の下方、言い換えると電子部品の基材側に巻き込まれることがある。また、配線に局所的に大きい応力が生じたりすることがある。
以上に説明した本実施形態においては、配線基板710上の配線52が、第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ少なくともいずれかの直線に対して交差するようになっている。これにより、基材20における電子部品51の周囲の部分の変形が緩和されることで、基材20上の配線52における電子部品51の周囲の部分に局所的に大きい応力が生じることや、配線52が電子部品51の下方に巻き込まれることを抑制することができる。
配線基板710の用途としては、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施形態による配線基板710を用いて構成する。配線基板710は伸張することができるので、例えば配線基板710を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板710を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板710が伸張した場合に配線52の抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板710の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板710は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、家電製品、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、ラケット、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、自動車内装、シート、インパネ、ベビーカー、ドローン、車椅子、タイヤ、首輪、リード、ハプティクスデバイス、ランチョンマット、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、付け爪、時計、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(補強部材の変形例)
以下、補強部材30のいくつかの変形例について説明する。まず、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32の断面構造及び平面視形状の変形例について、図60乃至図73Dを参照してそれぞれ説明する。
〔断面構造の第1変形例〕
図60に示す変形例では、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32が、基材20の第1面21の法線方向で、第1面21から電子部品51を越えるように延びる。そして、第1補強部材31の表面及び第2補強部材32の表面は、基材20の第1面21の法線方向で電子部品51の表面と同じ位置または電子部品51の表面を越えない位置に位置する。なお、表面とは、第1補強部材31の面、第2補強部材32の面、電子部品51の面のそれぞれのうち基材20から遠い側に位置する面である。また、図示例では、第1補強部材31の表面及び第2補強部材32の表面が連続している。
なお、図60に示す変形例において、第1補強部材31の厚みと第2補強部材32の厚みは互いに異なっていてもよい。例えば、第1補強部材31の厚みよりも第2補強部材32の厚みが小さくもよい。また、第1補強部材31の厚みは一定でなくてもよいし、第2補強部材32の厚みは一定でなくてもよい。例えば、第1補強部材31の厚みは、電子部品51から離れるに従い小さくなってもよい。また、第1補強部材31の表面及び第2補強部材32の表面は、電子部品51の表面と裏面との間に位置してもよい。
〔断面構造の第2変形例〕
図61に示す変形例では、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32が、基材20の第1面21の法線方向で、第1面21から電子部品51を越えるように延びる。そして、第1補強部材31の表面及び第2補強部材32の表面は、基材20の第1面21の法線方向で電子部品51の表面を越えている。そして、第1補強部材31の表面及び第2補強部材32の表面は連続している。また、第2補強部材32は、電子部品51の周囲に位置するとともに、電子部品51の表面上にも位置している。
なお、図61に示す変形例において、第1補強部材31の厚みと第2補強部材32の厚みは互いに異なっていてもよい。例えば、第1補強部材31の厚みよりも第2補強部材32の厚みが小さくもよい。また、第1補強部材31の厚みは一定でなくてもよいし、第2補強部材32の厚みは一定でなくてもよい。例えば、第1補強部材31の厚みは、電子部品51から離れるに従い小さくなってもよい。また、第1補強部材31の表面は、電子部品51の表面と裏面との間に位置してもよい。
〔断面構造の第3変形例〕
図62Aに示す変形例では、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32が、配線52よりも基材20の第1面21側に位置する。より具体的には、第1補強部材31及び第2補強部材32は、配線52と基材20との間に位置していてもよい。この場合、第1補強部材31及び第2補強部材32は、基材20の第1面21上に位置していてもよく、若しくは、基材20の第1面21に設けられた凹部に位置していてもよい。また、図62Dに示すように、配線52の一部が第1補強部材31及び第2補強部材32上に乗り上がるように形成されることで、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32が、配線52よりも基材20の第1面21側に位置してもよい。
また、図62Bに示すように、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32は、基材20の内部に設けられ、基材20から外部に露出しない状態になっていてもよい。また、図62Cに示すように、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32は、基材20の第2面22側に位置してもよい。基材20に張力を加えて伸長させた状態で、電子部品51及び配線52を第1面21に設け、補強部材30を第2面22に設け、その後、張力を取り除いた場合には、配線52における電子部品51が位置しない部分であって法線方向で補強部材30と重ならない部分に蛇腹形状部57(図57A参照)が形成され得る。この際、基材20の第2面22における補強部材30が位置する部分には、蛇腹形状部57の山部及び谷部よりも周期が大きく且つ振幅が小さい山部及び谷部が形成される場合がある。
〔断面構造の第4変形例〕
図63に示す変形例では、配線基板710が、基材20、補強部材30、支持基板40、電子部品51、配線52を備える。そして、補強部材30は、基材20に支持基板40を介して間接的に接する。
支持基板40は、基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された板状の部材である。支持基板40は、基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図63に示す例において、支持基板40は、その第1面41側において電子部品51、配線52及び補強部材30を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20の第1面に接合されている。例えば、基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層が設けられていてもよい。この場合、接着層を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。また、図示はしないが、非接着表面を分子修飾させて、分子接着結合させる方法によって支持基板40の第2面42が基材20の第1面21に接合されていてもよい。この場合、基材20と支持基板40との間に接着層が設けられていなくてもよい。
また、本変形例においては、基材20に張力を加えて伸長させて、このように伸長させた基材20に、電子部品51、配線52及び補強部材30を支持した支持基板40が接合される。支持基板40と接合された基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、支持基板40及び配線52に蛇腹形状部57が形成される。支持基板40の特性や寸法は、このような蛇腹形状部57が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、支持基板40の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する。
支持基板40の第3の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。また、支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以上50000倍以下であってもよく、好ましくは1000倍以上10000倍以下である。このように支持基板40の第3の弾性係数を設定することにより、蛇腹形状部57の周期が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、蛇腹形状部57において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。
なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、補強部材31,32の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、電子部品51及び配線52に対する補強部材31,32の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、また基材20の割れや折れが発生し易くなる。
また、支持基板40の厚みは、例えば500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚みが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みが大きすぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、目標の基材20の伸縮が得られなくなる。
支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を用いることができる。その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の第3の弾性係数を算出する方法は、基材20の場合と同様である。
〔断面構造の第5変形例〕
図64Aに示す変形例では、配線基板710が、基材20、補強部材30、支持基板40、電子部品51、配線52を備えるが、支持基板40の位置が図63に示す例とは異なる。詳しくは、支持基板40は、基材20の第1面21及び第1面21上に設けられた補強部材30上に設けられている。支持基板40は、その第1面41側において電子部品51及び配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20の第1面21及び補強部材30に接合されている。
また、図64Bに示すように、配線基板710が、基材20、補強部材30、支持基板40、電子部品51、配線52を備える場合においては、補強部材30が基材20の内部に設けられ、基材20から外部に露出しない状態になっていてもよい。ここで、図64Bに示す配線基板710が、伸長させた基材20に配線52を設けた後、基材20を弛緩させることで形成される場合には、基材20の第1面21及び/又は第2面22における、第1方向D1と直交する方向において、平面視で第1補強部材31と隣接する部分、及び、補強部材30と対向する部分に、山部及び谷部を含む蛇腹形状部が形成され得る。
また、第1面21又は第2面22に予め補強部材30が設けられた基材20を伸長させて、配線52を設けた後、弛緩させた場合にも、基材20の第1面21及び/又は第2面22における、第1方向D1と直交する方向において、平面視で第1補強部材31と隣接する部分に、山部及び谷部を含む蛇腹形状部が形成され得る。また、図64Cに示すように、補強部材30の第1補強部材31及び第2補強部材32は、基材20の第2面22側に位置してもよい。
〔平面視形状の第1変形例〕
図65に示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側に設けられる平面視矩形状の1つの第1補強部材31と、第1方向D1で電子部品51の他方側に設けられる平面視矩形状の1つの第1補強部材31と、これらに接続される第2補強部材32と、で構成される。平面視で第1方向D1に直交する方向に関しては、2つの第1補強部材31は、電子部品51を挟んで一方側と他方側とに位置するが、2つの第1補強部材31は、平面視で第1方向D1に直交する方向に関して同じ側に位置してもよい。
〔平面視形状の第2変形例〕
図66に示す変形例では、補強部材30において、平面視で矩形状の第2補強部材32の四隅のそれぞれに、第2補強部材32の四辺のうちの第1方向D1に平行な辺部の延長線上に延びる第1補強部材31と、第2補強部材32の四辺のうちの第1方向D1に直交する方向に平行な辺部の延長線上に延びる第1補強部材31とが接続される。なお、本例においては、第1方向D1に直交する方向に平行な辺部の延長線上に延びる第1補強部材31が設けられてなくもよい。
〔平面視形状の第3変形例〕
図67に示す変形例では、図55に示した補強部材30において、第2補強部材32が設けられていない。この例では、第1補強部材31が、電子部品51及び接続部51aのうちの少なくともいずれかに直接的に接するとともに、基材20に接することになる。
〔平面視形状の第4変形例〕
図68に示す変形例では、図66に示した補強部材30において、第2補強部材32が設けられていない。
〔平面視形状の第5変形例〕
図69に示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1及び平面視で第1方向D1に直交する方向の両方に交差する方向に延びる第1補強部材31を備えている。第1補強部材31は、電子部品51の四隅から突出するように延びている。この例では、第1補強部材31が、第1方向D1及び平面視で第1方向D1に直交する方向の両方に対して45度をなすが、このような角度は特に限定されるものではない。また、この例では、補強部材30が第2補強部材32を備えないが、補強部材30は第2補強部材32を備えてもよい。
〔平面視形状の第6変形例〕
図70に示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側及び他方側のそれぞれに、一対の第1補強部材31を備える。一対の第1補強部材31の間には、配線52が通る。そして、各第1補強部材31は、第1方向D1に沿って延びる本体31Aと、本体31Aから配線52側に凸となる凸部31Bとを有している。
〔平面視形状の第7変形例〕
図71に示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側及び他方側のそれぞれにおいて、矩形状の電子部品51の一辺部から突出するように延びる3つ以上の第1補強部材31を備えている。
〔平面視形状の第8変形例〕
図72に示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側に設けられる一つの第1補強部材31と、第1方向D1で電子部品51の他方側に設けられる一つの第1補強部材31とを備える。第1補強部材31は、第1方向D1で一方側又は他方側を向く電子部品51の一辺部から突出するように延びる。この例では、第1補強部材31が、第1方向D1で一方側又は他方側を向く電子部品51の一辺部の両端の間から延びている。
〔平面視形状の第9変形例〕
図73Aに示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側に設けられる一つの第1補強部材31と、第1方向D1で電子部品51の他方側に設けられる一つの第1補強部材31とを備える。第1補強部材31は、第1方向D1で一方側又は他方側を向く電子部品51の一辺部から突出するように延びる。この例では、第1補強部材31が、第1方向D1で一方側又は他方側を向く電子部品51の一辺部の端部から延びている。
〔平面視形状の第10変形例〕
図73Bに示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側に設けられる二つの第1補強部材31と、第1方向D1で電子部品51の他方側に設けられる二つの第1補強部材31とを備える。第1補強部材31は、第1方向D1で一方側又は他方側を向く電子部品51の一辺部から突出するように延びる。この例では、第1方向D1の一方側の2つの第1補強部材31が、第1方向D1で一方側を向く電子部品51の一辺部の両端部から延びている。また、第1方向D1の他方側の2つの第1補強部材31が、第1方向D1で他方側を向く電子部品51の一辺部の両端部から延びている。
〔平面視形状の第11変形例〕
図73Cに示す変形例では、補強部材30が、第1方向D1で電子部品51の一方側に設けられる二つの第1補強部材31と、第1方向D1で電子部品51の他方側に設けられる二つの第1補強部材31とを備える。また、補強部材30は、第1方向D1の一方側の二つの第1補強部材31の間に位置する第2補強部材32と、第1方向D1の他方側の二つの第1補強部材31の間に位置する第2補強部材32とをさらに備えている。
〔平面視形状の第12変形例〕
図73Dに示す変形例では、補強部材30が、図73Cに示した例と同様の第1補強部材31と第2補強部材32とを備えるが、各第1補強部材31が第1方向D1と直交する方向で電子部品51から外側に延び出している。
(配線基板の他の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、配線基板710が、基材20の第1面21側に搭載された電子部品51を備える例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、配線基板710は、電子部品51を備えていなくてもよい。例えば、電子部品51が搭載されていない状態の基材20に蛇腹形状部57が生じていてもよい。また、電子部品51が搭載されていない状態の支持基板40が基材20に貼り合されてもよい。また、配線基板710は、電子部品51が搭載されていない状態で出荷されてもよい。
(配線基板の製造方法の変形例)
以下においては、配線基板710の製造方法の変形例を図74a〜dを参照しつつ説明する。
この変形例では、まず、図74aに示すように、伸縮性を有する基材20を準備する基材準備工程を実施する。続いて、図74bに示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる伸長工程を実施する。続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21に、電子部品51及び配線52を設ける第1設置工程を実施する。
その後、図74cに示すように、基材20から引張応力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、矢印Cに示すように基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。その後、図74dに示すように、引張応力Tを取り除いた状態の基材20の第1面21に、第1補強部材31及び第2補強部材32を含む補強部材30を設ける第2設置工程を実施する。このような工程で製造された配線基板710では、補強部材30が、基材20の第1面21の山部53が形成された領域に位置し得る。
なお、配線基板710は、基材20を伸長させた後、補強部材30、配線52、電子部品51をこの順で設け、その後、伸長状態を解除することにより、作製されてもよい。
なお、上述した実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。また、上述の実施形態及び変形例では、基材20及び配線52が蛇腹形状部57を有することで、伸縮可能になっている構成を説明した。しかしながら、補強部材30は、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に伸縮性の銀配線が設けられる伸縮性基板や、伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成した伸縮性基板においても適用されてもよい。これらのタイプの伸縮性基板に補強部材30を設けた場合にも、基材上の配線が電子部品の下方に巻き込まれたり、配線に局所的に大きい応力が生じたりすることを抑制できる。
なお、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に伸縮性の銀配線が設けられる伸縮性基板や、伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成した伸縮性基板は、例えば、何ら伸長させない基材に、伸縮性の銀配線又は馬蹄形の配線を形成した後、部品及び補強部材30を設けることで作製されてもよいが、その製造方法は特に限られるものではない。
また、上述した実施形態では、配線52が第1方向D1に平行に延びる例を示したが、図75に示すように、配線52に、第1方向D1に平行に延びるものと、第1方向D1に交差する方向に延びるものとが含まれてもよい。そして、第1方向D1に交差する方向に延びる配線52が、第1補強部材31と電子部品51とを仮想的に結ぶ少なくともいずれかの直線に対して交差するように配線基板が構成されてもよい。この際に、第1方向D1に交差する方向に延びる配線52上に蛇腹形状部が形成されてもよい。このような配線基板は、一例として、基材20を第1方向D1とこれに交差する方向の2軸方向に伸長させ、この状態で、配線52等を形成することで形成されてもよい。なお、互いに異なる方向に延びる配線52は、図示の例に限られるものではない。
<実施例>
次に、図55〜図75に係る本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
配線基板710として、図73Bに示すような、基材20の第1面21に配線52、補強部材30及び電子部品51が設けられたものを作製した。配線52、補強部材30及び電子部品51は、支持基板40に設けられた状態で、接着層を介して基材20に貼り合わせた。
基材20は、2液付加縮合のポリジメルシロキサン(以下、PDMSと称する)を、厚さが1.5mmとなるように硬化させて形成した。基材20の弾性係数は、0.05MPaとした。支持基板40を基材20に貼り合わせるための接着層としては、粘着シート8146(3M社製)を用いた。
支持基板40は、厚さ1μmのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムであり、弾性係数は、2.2GPaとした。配線52はCuであり、支持基板40に蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィでパターニングして形成した。配線幅は、200μmとし、隣り合う配線の間の間隔は、400μmとした。また、配線52の形成後、配線52及び支持基板40を一体的に覆う絶縁膜を形成した。なお、配線52の電子部品51との接続部分は絶縁膜で覆わないようにした。絶縁膜は、熱硬化性絶縁樹脂をスクリーン印刷で配線52及び支持基板40上に印刷した後、加熱して硬化させることで形成した。絶縁膜の厚さは、配線52上で50μm程度となるように設定した。
配線52と電子部品51とを接続するための接続部51aは、導電性接着剤(化研テック社製のCL−3160)をスクリーン印刷にて配線52の端部に形成した。そして、電子部品51は、接続部51aに半田付けした。また、補強部材30は、熱硬化性エポキシ樹脂をディスペンサで所定の位置に塗布して、熱硬化させることで形成した。補強部材30は第1補強部材31のみを有し、平面視で、第1補強部材31が電子部品51から2mm突出するように形成され、隣り合う第1補強部材31の間には、2mmの隙間を設定した。
そして、基材20を第1方向D1に1.5倍、1軸伸長させた状態で、上述のように配線52及び電子部品51等が支持された支持基板40を基材20に接着層を介して貼り合わせ、これにより、実施例1に係る配線基板710を作製した。
この実施例1に係る配線基板710を、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させたが、配線52は断線しなかった。なお、実施例1に係る配線基板710において補強部材30を設けない比較例を製作し、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させた場合には、電子部品51の周囲において配線52の断線が生じていた。この結果から、補強部材30の有用性が確認された。
(実施例2)
配線基板710として、図73Cに示すような、基材20の第1面21に配線52、補強部材30及び電子部品51が設けられたものを作製した。実施例2は、実施例1で説明した材料と同じ材料及び同じ製造手順で作製されたが、補強部材30の形状が、実施例1と異なる。
この実施例2に係る配線基板710も、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させたが、配線52は断線しなかった。
(実施例3)
配線基板710として、図73Dに示すような、基材20の第1面21に配線52、補強部材30及び電子部品51が設けられたものを作製した。実施例3は、実施例1で説明した材料と同じ材料及び同じ製造手順で作製されたが、補強部材30の形状が、実施例1と異なる。なお、第1補強部材31は、第1方向D1で電子部品51から2mm突出するが、第1方向D1に直交する方向での、隣り合う第1補強部材31の間の距離は、4mmとした。
この実施例3に係る配線基板710も、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させたが、配線52は断線しなかった。
(実施例4)
配線基板710として、図75に示すような、基材20の第1面21に配線52、補強部材30及び電子部品51が設けられたものを作製した。実施例4は、実施例1で説明した材料と同じ材料を用い、製造手順も基本的に実施例1と同様であるが、基材20を2軸方向に伸長させて配線52を設ける点は実施例1と異なっており、また、補強部材30の形状も、実施例1と異なる。
この実施例4に係る配線基板710も、第1方向D1に1万回、1.3倍伸長させたが、配線52は断線しなかった。
(さらに他の実施形態)
以下、本開示のさらに他の実施形態に係る配線基板ついてさらに説明する。
図76は、本実施形態による配線基板810を示す平面図である。図77は、図76の配線基板810を線II−IIに沿って切断した場合の断面図である。なお、本実施形態においても、上述の実施形態において「伸縮抑制部材30」と称していた構成のことを、補強部材30と称している。また、上述実施形態において「被接続部材51」と称して構成が、電子部品51になっている。
図76に示す形態では、補強部材30が、基材20を補強することで配線基板10の伸縮にともなう接続部51aの応力を緩和させるために配線基板10に設けられる。補強部材30は、電子部品51に対して面方向に離れて位置している。補強部材30の少なくとも一部は、電子部品51の第1端部511の位置から第2端部512の位置まで少なくとも延びている。
図76に示す例において、補強部材30は、電子部品51の第1端部511よりも第1方向D1における第1端部511側から、電子部品51の第2端部512よりも第1方向D1における第2端部512側まで連続して設けられている。
また、図76に示す例において、補強部材30は、第1面21の法線方向から見た場合、すなわち、平面視において、電子部品51を囲む形状を有する。より詳しくは、補強部材30は、平面視において電子部品51の全周を囲む円形状を有する。また、補強部材30は、配線52上または第1面21上に位置する。
電子部品51と補強部材30との面方向における離間距離としては、基材20の伸縮にともなって配線52と電子部品51との接続部51aに作用する応力を緩和させるために好適な距離を採用することができる。例えば、電子部品51と補強部材30との面方向における離間距離は、0.1mm以上且つ5mm以下である。
補強部材30は、基材20の弾性係数よりも大きい弾性係数を有してもよい。補強部材30の弾性係数は、例えば10GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは1GPa以上300GPa以下である。補強部材30の弾性係数が低すぎると、基材20の伸縮を制御しにくい場合がある。また、補強部材30の弾性係数が高すぎると、基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊が補強部材30に起こる場合がある。補強部材30の弾性係数は、基材20の弾性係数の1.1倍以上1000000倍以下であってもよく、より好ましくは10倍以上300000倍以下である。
このような補強部材30を基材20に設けることにより、基材20のうちの伸縮抑制領域Aが伸縮することを抑制することができる。伸縮抑制領域Aとは、基材20のうち、補強部材30が延びている方向に交差する方向において補強部材30に隣接する領域であって、電子部品51が位置する領域を含む領域をいう。図76に示す例において、伸縮抑制領域Aは、補強部材30で囲まれた領域である。
JP2013−187308AおよびJP2007−281406Aにおいては、配線基板の伸縮にともなって配線と電子部品との接続部に作用する応力を緩和させることについて、何ら有効な提案がなされていないのが実情であった。
伸縮抑制領域Aの伸縮を抑制することにより、配線基板10の伸縮にともなって配線52と電子部品51との接続部51aに作用する応力を緩和させることができる。接続部51aに作用する応力を緩和させることで、配線52の断線および配線52と電子部品51との接続不良を防止することができる。
また、電子部品51の全周を囲むように補強部材30を設けることにより、基材20が面方向のうち複数の方向に伸縮する場合においても、各方向への伸縮にともなって配線52と電子部品51との接続部51aに作用する応力を効果的に緩和することができる。
以下、図76の配線基板810の変形例を説明する。
(第1変形例)
図76の例では、補強部材30が平面視において電子部品51の全周を囲む円形状を有する配線基板810の例について説明した。これに対して、図78に示すように、補強部材30は、平面視において電子部品51の全周を囲む矩形状を有していてもよい。
(第2変形例)
また、図79に示すように、補強部材30は、平面視において電子部品51を部分的に囲む形状を有していてもよい。図79に示す例において、補強部材30は、配線52上の部分が欠落した略矩形状を有している。
以上、本開示に係る配線基板および配線基板の製造方法について、実施形態を示しながら各説明してきた。しかし本開示は、上記実施形態あるいはその説明に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。

Claims (20)

  1. 配線基板であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
    前記基材の前記第1面側に位置する配線と、
    前記基材の伸縮を抑制する複数の第1伸縮抑制部材と、
    前記複数の第1伸縮抑制部材を固定する第2伸縮抑制部材と、
    前記第1面と前記配線との間に位置し、前記配線を支持する板状の支持基板と、を備え、
    前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記配線の少なくとも一部は、前記複数の第1伸縮抑制部材に外接し、かつ前記第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、前記第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在しており、
    前記支持基板の弾性係数は、前記基材の弾性係数の100倍以上である、配線基板。
  2. 前記支持基板は、前記第1面、前記第1伸縮抑制部材及び前記第2伸縮抑制部材上に設けられている、請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記支持基板を前記第1面に接合する接着層が前記支持基板と前記第1面との間に設けられている、請求項1に記載の配線基板。
  4. 前記第2伸縮抑制部材は前記第1伸縮抑制部材である、請求項1に記載の配線基板。
  5. 前記配線基板に搭載される被接続部材を有し、
    前記第2伸縮抑制部材は前記被接続部材である、請求項1に記載の配線基板。
  6. 配線基板であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
    前記基材の前記第1面側に位置する配線と、
    前記基材の伸縮を抑制する第1伸縮抑制部材と、
    前記第1面と前記配線との間に位置し、前記配線を支持する板状の支持基板と、を備え、
    前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記配線の少なくとも一部は、前記第1伸縮抑制部材に外接し、かつ前記第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、前記第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在しており、
    前記支持基板の弾性係数は、前記基材の弾性係数の100倍以上である、配線基板。
  7. 前記配線の少なくとも一部が、前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合における、配線の端部、配線の分岐部、配線の方向転換部のうちの少なくともいずれかである、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の配線基板。
  8. 前記配線基板に搭載される被接続部材を有し、
    前記被接続部材と前記配線との間に位置し、前記被接続部材と前記配線とを電気的に接続する接続部をさらに備え、
    前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記接続部のうち少なくとも1つは前記伸縮抑制領域のうち、前記第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線基板。
  9. 前記第1伸縮抑制部材を複数備え、複数の前記第1伸縮抑制部材は、前記配線の延びる方向に隣り合っている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の配線基板。
  10. 前記第1伸縮抑制部材は、前記基材に前記支持基板を介して間接的に接している、請求項1に記載の配線基板。
  11. 前記第1伸縮抑制部材の少なくとも1つは、前記基材を貫通している、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の配線基板。
  12. 前記基材は、前記配線が延びる方向に並ぶ複数の山部を含む、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の配線基板。
  13. 前記配線は、前記配線が延びる方向に並ぶ複数の山部を含む、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の配線基板。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の配線基板に被接続部材を接続してなるデバイス。
  15. 請求項14に記載のデバイスを有する電子製品。
  16. 配線基板の製造方法であって、
    伸縮性を有する基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
    前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に、第1伸縮抑制部材を前記基材の伸縮を抑制するために設けるとともに、前記配線基板に搭載される被接続部材に接続される配線を設ける設置工程と、
    前記基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備え、
    前記設置工程では、前記配線を支持した板状の支持基板を前記基材に設けることで、前記配線が前記基材の第1面側に設けられ、かつ前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記配線の少なくとも一部は、前記第1伸縮抑制部材に外接し、かつ前記第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、前記第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している、配線基板の製造方法。
  17. 配線基板の製造方法であって、
    伸縮性を有する基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
    前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に、前記配線基板に搭載される被接続部材に接続される配線を設ける第1設置工程と、
    前記基材から前記張力を取り除く収縮工程と、
    前記収縮工程で前記張力を取り除いた前記基材に、第1伸縮抑制部材を前記基材の伸縮を抑制するために設ける第2設置工程と、を備え、
    前記第1設置工程では、前記配線を支持した板状の支持基板を前記基材に設けることで、前記配線が前記基材の第1面側に設けられ、かつ前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記配線の少なくとも一部は、前記第1伸縮抑制部材に外接し、かつ前記第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、前記第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している、配線基板の製造方法。
  18. 配線基板の製造方法であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、前記第1面、前記第2面及び内部のうちの少なくともいずれかに第1伸縮抑制部材が設けられた、伸縮性を有する基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
    前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に、前記配線基板に搭載される被接続部材に接続される配線を設ける設置工程と、
    前記基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備え、
    前記設置工程では、前記配線を支持した板状の支持基板を前記基材に設けることで、前記配線が前記基材の第1面側に設けられ、かつ前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記配線の少なくとも一部は、前記第1伸縮抑制部材に外接し、かつ前記第1伸縮抑制部材をその周長が最短となるように囲う仮想の領域である伸縮抑制領域のうち、前記第1伸縮抑制部材と重ならない領域に存在している、配線基板の製造方法。
  19. 配線基板であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
    前記基材の前記第1面側に位置し、前記配線基板に搭載される電子部品に接続される配線と、
    前記基材を補強する補強部材と、
    前記第1面と前記配線との間に位置し、前記配線を支持する板状の支持基板と、を備え、
    前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記補強部材は、前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記電子部品から突出するように延びる第1補強部材を含み、
    前記配線は、前記第1面の法線方向に沿って前記基材を見た場合に、前記第1補強部材と前記電子部品とを仮想的に結ぶ少なくともいずれかの直線に対して交差し、
    前記支持基板の弾性係数は、前記基材の弾性係数の100倍以上である、配線基板。
  20. 配線基板であって、
    第1面および前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第1面および前記第2面に沿った面方向のうち少なくとも第1方向に伸縮性を有する基材と、
    前記第1面側に位置し、前記配線基板に搭載される少なくとも1つの電子部品に接続される配線と、
    前記電子部品に対して前記面方向に離れて位置し、前記基材を補強する補強部材と、
    前記第1面と前記配線との間に位置し、前記配線を支持する板状の支持基板と、を備え、
    前記支持基板が前記基材の前記第1面に接合され、
    前記補強部材の少なくとも一部は、前記第1方向における前記電子部品の第1端部の位置から前記第1方向において前記第1端部に対向する第2端部の位置まで少なくとも延びており、
    前記補強部材は、前記第1面の法線方向から見た場合に前記電子部品を囲む形状を有し、
    前記支持基板の弾性係数は、前記基材の弾性係数の100倍以上である、配線基板。
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