JP7091991B2 - 接着剤組成物、それを用いた積層体及び包装材 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ポリオール成分(1)と2種類のポリイソシアネート化合物からなるポリイソシアネート成分(2)とを含有する無溶剤型のラミネート用接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ポリオール成分(1)と3官能ポリイソシアネート化合物を必須とするポリイソシアネート成分(2)とを含有する、分岐点濃度が特定の範囲にあり、水酸基モル数:イソシアネート基モル数=1:1~1:3である無溶剤型ラミネート接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献4にはポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを含み、ポリイソシアネート成分(A)が、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)と、ポリエーテルポリオール(a3)を必須とするポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなる反応性生成物であり、ポリオール成分(B)が、数平均分子量500以上、3000以下のポリエステルジオール(b1)を必須とし、更に数平均分子量50以上、500未満のジオール(b2)又はトリオール(b3)の少なくともいずれか一方を含む接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献5の請求項2には、外装のポリエチレンテレフタレートフィルム層(F1)、印刷インキの乾燥被膜層(P)、コート樹脂の乾燥皮膜層(C)、無溶剤型接着剤層(A)、金属蒸着層又は金属箔(M)、内装プラスチックフィルム層(F2)をこの順に有するプラスチックフィルム積層体が記載されている。
前記ポリイソシアネート成分(A)が、ポリオール成分(X)とジイソシアネート成分との反応生成物である末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)、及び、分子量500以下であるモノアルコール成分とジイソシアネート成分との反応生成物(a2)を含む、接着剤組成物。
前記ポリイソシアネート成分(A)100質量%中における、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートの合計量が、20~40質量%である、〔1〕~〔5〕いずれか1項に記載の接着剤組成物。
分子量500以下であるモノアルコール成分とジイソシアネート成分との反応生成物(a2)を含むことにより、印刷層を有する基材の印刷面とバリア性基材とを接着剤組成物を用いてラミネートした場合においても、高い接着強度を維持するだけでなく、反応生成物(a2)が滑剤と同様の働きをして、接着剤塗工時に良好なレベリング性を発現し、印刷インキ上においても、優れた外観を示すことが可能となる。
ポリイソシアネート成分(A)は、ポリオール成分(X)とジイソシアネート成分との反応生成物である両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)、及び、分子量500以下であるモノアルコール成分と、ジイソシアネート成分との反応生成物(a2)を含む。
本発明のウレタンプレポリマー(a1)は、末端にイソシアネート基を有するものであり、好ましくは、ポリオール成分(X)とジイソシアネート成分とを、ポリオール中の水酸基に対しイソシアネート基過剰の条件下で反応させてなるウレタンプレポリマーである。
本発明のポリオール成分は、特に限定されるものではなく、例えばポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオール等を単独で使用、又は2種類以上を併用することができる。中でも、無溶剤下においてポリイソシアネート成分(A)を得る際に溶融状態での粘度が低いポリオール成分を選択することが好ましい為、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはポリエーテルポリオールを必須とするものである。
ポリエーテルポリオールは、一般にポリエステルポリオールと比較して溶融状態での粘度が低く、無溶剤下でウレタンプレポリマー(a1)を得る際のポリオールとして最適かつ重要な成分である。ポリエーテルポリオールの製造方法は特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られる。 ポリエーテルポリオールの官能基数は限定されないが、2官能の他、3官能以上のものを用いることができ、通常、2官能ポリプロピレングリコール、3官能ポリプロピレングリが好適に用いられる。
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の多価カルボン酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物とが挙げられる。
本発明のジイソシアネート成分、即ち2官能のイソシアネート成分は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう)、トリレンジイソシアネート(以下、TDIともいう)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4’-MDIともいう)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,4’-MDIともいう)、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIともいう)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIともいう)等、を挙げることができる。なお、ジイソシアネート(2官能イソシアネート)を、2官能イソシアネートから誘導されるビュレット体やヌレート体と区別する趣旨で「モノマー」又は「イソシアネートモノマー」と表現することがある。
反応生成物(a2)は、分子量500以下であるモノアルコール成分と、前述のジイソシアネート成分との反応生成物であり、ジイソシアネート成分の1つのイソシアネート基にモノアルコール成分が反応したものと、ジイソシアネート成分の2つのイソシアネート基にモノアルコール成分が反応したものとの混合物である。このような、イソシアネート成分の一部のイソシアネート基と分子量500以下であるモノアルコール成分の水酸基との反応生成物が存在することで、ポリイソシアネート成分(A)の粘度を下げることが可能となり、無溶剤型接着剤組成物として塗工した際に、基材への濡れ性が向上し、良好な外観を得ることができる。
分子量500以下であるモノアルコール成分は、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、ブタン-1-オール、ペンタン-1-オール、ヘキサン-1-オール、ヘプタン-1-オール、オクタン-1-オール、ノナン-1-オール、デカン-1-オール、ウンデカン-1-オール、ドデカン-1-オール、トリデカン-1-オール、テトラデカン-1-オール、ペンタデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール、ヘプタデカン-1-オール、オクタデカン-1-オール、ノナデカン-1-オール、イコサン-1-オール、ヘネイコサン-1-オール、ドコサン-1-オール、トリコサン-1-オール、テトラコサン-1-オール、ペンタコサン-1-オール、ヘキサコサン-1-オール、ヘプタコサン-1-オール、オクタコサン-1-オール、ノナコサン-1-オール、2-メチルプロパン-1-オール、2-エチルヘキサン-1-オール、3-メチルブタン-1-オールなどの第1級アルコール、
プロパン-2-オール、ブタン-2-オール、ペンタン-2-オール、ヘキサン-2-オール、ヘプタン-2-オール、シクロヘキサノールなどの第2級アルコール、
2-メチルプロパン-2-オール、2-メチルブタン-2-オール、2-メチルペンタン-2-オール、2-メチルヘキサン-2-オール、2-メチルヘプタン-2-オール、3-メチルペンタン-3-オール、3-メチルオクタン-3-オールなどの第3級アルコールが挙げられ、中でも、炭素数2~20の1級又は2級アルコールであることが好ましい。
ポリイソシアネート成分(A)100質量%中における、イソシアネートモノマー合計の含有量は20質量%以上40質量%以下が好ましい。より詳細には、ポリイソシアネート成分(A)100質量%中において、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートの合計量が20~40質量%であることが好ましい。
ポリオール成分(B)は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオール等を単独で使用、又は2種類以上を併用することができる。中でも、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選ばれる少なくとも1種が好適に用いられ、より好ましくはポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールを必須として用いることで、十分な接着強度が得られる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸もしくはそれらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンもしくはそれらの混合物と、を反応させて得られるポリエステルポリオール、あるいはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、ヒマシ油等の植物油及び植物油由来のポリエステル化合物を使用することもできる。
また、ポリエステルポリオールとして、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であるポリエステルポリウレタンポリオールを使用することもできる。ポリエステルポリウレタンポリオールは例えば、上述のポリエステルポリオールとポリイソシアネートとをNCO/OHモル比が1未満、好ましくは0.3~0.98となるように配合し、反応させて得られる。ウレタン結合を導入してなるポリエステルポリウレタンポリオールは、凝集力が高く、金属への接着性が優れるため好ましい。
また、上述のポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール中の水酸基の一部に、無水トリメリット酸およびトリメリット酸エステル無水物を反応させてなる反応生成物であってもよい。酸無水物を付加したポリエステルポリオールを用いることにより、密着し難いシート状基材に適用する場合に、密着性を向上できる。付加させる無水トリメリット酸等の使用量は、反応後のポリエステルポリオール100質量%中、0.1~5質量%が好ましい。ポリエステルポリオールとして数平均分子量が上述の範囲内のものを用いることによって、特にポリイソシアネート成分(A)がポリエーテルポリウレタンを含む場合、相溶性が向上し、十分な接着性能を発現できる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、2官能の他、3官能以上のものを用いることができる。また、官能基数の異なるものを複数組み合わせて用いることもできる。ポリエーテルポリオールとしては、数平均分子量が100以上5,000以下のものが好ましい。より好ましくは500以上5,000以下であり、特に好ましくは1,000以上3,000以下である。また、異なる分子量のものを複数組み合わせて用いることもできる。
また、ポリエーテルポリオールとして、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させた反応生成物であるポリエーテルポリウレタンポリオールを使用することもでき、通常、数平均分子量約400~2,000の2官能ポリプロピレングリコールや数平均分子量約400~4,000の3官能ポリプロピレングリコールと、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等のイソシアネート成分とから、ポリエーテルポリウレタンポリオールを合成することができる。中でも、ポリエーテルポリウレタンポリオールの硬化剤成分としてイソシアネート成分としては、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とすることが好ましい。
ポリオール成分(B)は、ポリオール成分(B)は、既述のポリオール成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、その他のポリオール成分を含むことができる。中でも好ましくは、数平均分子量500以上5,000以下のポリエステルポリオールを必須とし、更に、数平均分子量50以上500未満のジオール、数平均分子量50以上500未満のトリオール、及び数平均分子量500以上5,000以下のポリエーテルポリオール、数平均分子量500以下の水酸基を1個持つ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種をふくむものである。
数平均分子量50以上500未満のジオール、数平均分子量50以上500未満のトリオール、及び数平均分子量500以上5,000以下のポリエーテルポリオール、数平均分子量500以下の水酸基を1個持つ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことで、高湿度下における強度が向上する。より好ましくは、数平均分子量50以上500未満のジオール、及び数平均分子量500以上5,000以下のポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである。
本発明の接着剤組成物は、ポリオール成分(B)中の水酸基モル数を100モルとした場合、ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基のモル数が、好ましくは100モル以上300モル以下であり、より好ましくは100モル以上200モル以下であり、特に好ましくは100モル以上150モル以下である。上記範囲内にあることで、高湿度下でエージングしても、良好な接着力を発現できる。
なお、本発明において、混合した直後とは、均一混合後1分以内であることを意味し、溶融粘度はB型粘度計により求めた値を示す。60℃における溶融粘度が5,000mPa・s超では、塗工が困難になり良好な作業性を確保することが難しく、塗工温度が60℃以下になると良好な塗装外観が得られない可能性がある。一方、60℃における溶融粘度が50mPa・s未満では、初期凝集力が弱いために十分な接着性能が得られなかったり、基材に接着剤組成物を塗工する際に塗膜の厚みが均一にならず外観不良を生じたり、反りが発生する場合がある。
本発明の積層体は、前述の接着剤組成物を用いて、少なくとも2つのシート状基材を積層してなる。具体的には、第1のシート状基材と第2のシート状基材の間に、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を有するものであり、詳細には、本発明の接着剤組成物を第1のシート状基材に塗布して接着剤層を形成し、前記接着剤層に第2のシート状基材を重ね合わせ、両シート状基材の間に位置する前記接着剤層を硬化したものである。例えば、接着剤組成物を、ロールコーター塗工方式で第1のシート状基材に塗布し、次いで、乾燥工程を経ることなく、第2のシート状基材を貼り合わせる方法が挙げられる。塗工条件は、通常のロールコーターにおいては、30℃~90℃に加熱した状態で、接着剤の配合液粘度が40℃で300~3000mPa・s程度が好ましい。また塗布量は、0.5~5g/m2が好ましく、より好ましくは0.5~3g/m2程度である。
本発明の接着剤組成物が無溶剤型である場合、ラミネートした後、常温または加温下で12~72時間経過することで接着剤組成物の硬化反応が進行し、実用物性を発現する。
前記第1のシート状基材は、基材上に、印刷インキをグラビア又はフレキソ印刷して印刷インキ層を設けたものを用いてもよく、この場合であっても良好なラミネート外観を呈することができる。前述の印刷インキとしては、制限なく用いることができ、溶剤型、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキ等を使用することができる。
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次の(式1)により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
(式1)
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容積比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価は次の(式2)により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)
(式2):酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
200mLの三角フラスコに試料約1gを量り採り、これに0.5Nジ-n-ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.25N塩酸溶液で滴定した。NCO含有率(質量%)は以下の(式3)によって求めた。
(式3):NCO(質量%)={(b-a)×4.202×F×0.25}/S
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.25N塩酸溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.25N塩酸溶液の消費量(ml)
F:0.25N塩酸溶液の力価
数平均分子量(Mn)の測定は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフランを用い、ポリスチレン換算した値を用いた。
(合成例101)ポリイソシアネート成分A-(1)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール(以下、PPG-400という)300部、数平均分子量約2,000のポリプロピレングリコール(以下、PPG-2000という)300部、グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量約400のトリオール(以下、PPG-400-3官能という)40部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4’-MDIという)800部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が12.4%、4,4’-MDI(以下、MDIモノマーともいう)含有率が20.9%の、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(以下、ポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂ともいう)((a1)に相当する)を得た。
次に、分子量約60のモノアルコールであるイソプロピルアルコール50部を添加して、60℃で1時間加熱して、残存したMDIモノマーを、イソプロピルアルコールと反応させ、モノアルコール成分とポリイソシアネート成分との反応生成物((a2)に相当する)を得た。このポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂と、モノアルコール成分とポリイソシアネート成分との反応生成物との混合物に、ポリイソシアネート成分として、4,4’-MDIを150部、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,4’-MDIという)を150部、ポリメリックMDIと4,4’-MDIの混合物であるクルードMDI(以下、クルードMDIという)650部を加え、30分間撹拌して、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)と、分子量500以下であるモノアルコール成分とイソシアネート成分との反応生成物(a2)とを含むポリイソシアネート成分A-(1)を得た。
表1に示す原料の種類及び配合量に変更した以外は、合成例101と同様にして、ポリイソシアネート成分A-(2)~(7)を得た。
残存MDIモノマーとイソプロピルアルコールとの反応生成物を得る工程を実施しない以外は、合成例101と同様にして、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)を含み、数平均分子量500以下であるモノアルコール成分とイソシアネート成分との反応生成物(a2)を含まない、ポリイソシアネート成分A-(8)を得た。
PPG-400:数平均分子量約400のポリプロピレングリコール
PPG-2000:数平均分子量約2,000のポリプロピレングリコール
PPG-400-3官能:グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量約400のトリオール
PPG-1000-3官能:グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量約1,000のトリオール
ポリエステルポリオール1:アジピン酸304部、イソフタル酸115部、ネオペンチルグリコール75部、ジエチレングリコール305部の反応生成物である数平均分子量約1,400のポリエステルポリオール
4,4’-MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
2,4’-MDI:2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
TDI:トリレンジイソシアネート
XDI:キシリレンジイソシアネート
クルードMDI:ポリメリックMDIと4,4’-MDIとの混合物
HDI3量体:ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体
イソプロピルアルコール:分子量60のモノアルコール
ベンジルアルコール:分子量108のモノアルコール
ステアリルアルコール:分子量270のモノアルコール
[ポリエステルポリオールの合成]
(合成例201)ポリエステルポリオール(b1)-1
テレフタル酸(以下、TPAという)115部、アジピン酸(以下、ADAという)304部、ジエチレングリコール(以下、DEGという)305部、ネオペンチルグリコール(以下、NPGという)75部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が10.0(mgKOH/g)以下になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価135(mgKOH/g)、数平均分子量約800の、両末端に水酸基を有するポリエステルジオール樹脂であるポリエステルポリオール(b1)-1を得た。
表2に示す組成に変更した以外は、合成例201と同様にして、両末端に水酸基を有するポリエステルジオール樹脂であるポリエステルポリオール(b1)-2~(b1)-5を得た。
(合成例301)ポリエーテルポリオール(b2)
PPG-400を330部、PPG-2000を190部、PPG-400-3官能を330部、4,4’-MDIを130部、反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、IRにてイソシアネート基の消失を確認して、ポリエーテルポリウレタン樹脂であるポリエーテルポリオール(b2)を得た。
IPA:イソフタル酸
TPA:テレフタル酸
ADA:アジピン酸
EG:エチレングリコール
1,6HD:1,6-ヘキサンジオール
DEG:ジエチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
PPG-400:数平均分子量約400のポリプロピレングリコール
PPG-2000:数平均分子量約2,000のポリプロピレングリコール
PPG-400-3官能:グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量約400のトリオール
4,4’-MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
(配合例401)
合成例201で得たポリエステルジオール(b1)-1を94部、2-メチル-1,3-プロパンジオールを6部にて混合し、ポリオール成分B-(1)を得た。
表4に示す組成に変更した以外は、配合例401と同様にして、ポリオール成分B-(2)~(8)を得た。表4に示すB-(6)は、ひまし油単独で、B-(8)は、ポリエーテルポリウレタン樹脂であるポリエーテルポリオール(b2)単独で、ポリオール成分(B)として使用した。
[実施例1]
(製造例501:接着剤組成物AD1)
ポリイソシアネート成分A-(1)75部と、ポリオール成分B-(4)100部とを40℃で混合し、無溶剤型の接着剤組成物AD1を得た。なお、前記接着剤組成物AD1は、ポリオール成分(B)中の水酸基100モルに対し、ポリイソシアネート成分(A)由来のイソシアネート基を130モル含有する。
水酸基100モルに対するイソシアネート基のモル量は、以下のようにして求める。
水酸基100モルに対するイソシアネート基のモル量=[イソシアネート基(eq.)/水酸基(eq.)]×100
イソシアネート基(eq.)=ポリイソシアネート成分(A)のNCO基含有率(質量%)/(42×100)
水酸基(eq.)=水酸基価(mgKOH/g)/56100
イソシアネートモノマー含有率(%)
=(イソシアネートモノマーのピーク面積の合計/全ピークの合計面積)×100
(製造例502~521:接着剤組成物AD2~AD21)
表5に示す組成に従って、製造例501と同様にして、接着剤組成物AD2~AD21を得た。ポリオール成分(B)中の水酸基100モルに対する、ポリイソシアネート成分(A)由来のイソシアネート基量、及び、接着剤組成物100質量%中に含まれるイソシアネートモノマーの合計含有率について、表5に示す。
得られた接着剤組成物について積層体を作製して、下記の方法に従い、積層体の接着強度及びラミネート外観を評価した。結果を表5に示す。
ウレタン型ラミネートインキ(Dynastar;東洋インキ(株)製)を離合社製ザーンカップ#3で14秒(25℃)に調整し、版深30μmグラビア版を備えたグラビア印刷機によって、印刷速度50m/分で、第1のシート状基材であるコロナ処理PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡エステルフィルムE5100#12)に印刷し、60℃のオーブンを通過させることで乾燥ないし硬化させ、PETフィルム上に印刷層を形成した。次に、無溶剤テストコーターを用い、PETフィルムに印刷された印刷層の表面に、無溶剤型の接着剤組成物AD1を、温度50℃、湿度60%RHの環境下で、塗工速度200m/分にて塗布し(塗布量:2g/m2)、この塗布面に第2のシート状基材であるアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、VMCPPという。厚さ:25μm)の蒸着面を重ね、プレ積層体を得た。次に、プレ積層体を30℃、65%RHの環境下にて1日間エージングを行い、接着剤層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/VMCPPの構成である積層体を作製した。
得られた積層体を長さ300mm、幅15mmに切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、剥離速度300mm/分の剥離速度で引張り、15mm幅でPET/VMCPP間のT型剥離強度(N)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求め以下の基準にて評価した。
5:接着力が1.5N以上(非常に良好)
4:接着力が1.0N以上、1.5N未満(良好)
3:接着力が0.6N以上、1.0N未満(使用可能)
2:接着力が0.3N以上0.6N未満(使用不可)
1:接着力が0.3N未満(不良)
PET側からインキ層及び接着剤層を透して蒸着面を目視観察し、以下の基準にて評価した。
5:蒸着面に、ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様がなく、接着剤層が均一である(非常に良好)
4:蒸着面に、小さな斑点状の模様はないが、ゆず肌状の模様が僅かに存在する(良好)
3:蒸着面に、小さな斑点状の模様はないが、ゆず肌状の模様が多数存在する(使用可能)
2:蒸着面に、ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様が僅かに存在する(使用不可)
1:蒸着面に、ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様が多数存在する(不良)
また、組成物中のイソシアネートモノマー含有率が15%以下である場合に、特に良好なラミネート外観を示した。これは、イソシアネートモノマー含有率が低い方が、フィルム塗工時及びエージング中に起こるイソシアネートモノマーと大気中の水分との反応で生じる炭酸ガス発泡による気泡状のラミネート外観不良が起こりにくいことに起因すると推察される。
Claims (17)
- ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを含む接着剤組成物であって、
前記ポリイソシアネート成分(A)が、ポリオール成分(X)とジイソシアネート成分との反応生成物である末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)、及び、分子量500以下であるモノアルコール成分とジイソシアネート成分との反応生成物(a2)を含む、接着剤組成物。 - 前記ポリオール成分(X)がポリエーテルポリオールを含有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記ポリオール成分(X)中のポリエーテルポリオールの含有率が、70~100質量%である、請求項2に記載の接着剤組成物。
- 前記ジイソシアネート成分が、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を必須とする、請求項1~3いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記ジイソシアネート成分が、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含有する、請求項1~4いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記ポリイソシアネート成分(A)が、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記ポリイソシアネート成分(A)100質量%中における、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートの合計量が、20~40質量%である、請求項1~5いずれか1項に記載の接着剤組成物。 - 前記モノアルコール成分が、炭素数2~20の、1級又は2級アルコールである、請求項1~6いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記モノアルコール成分の分子量が、200以下である、請求項1~7いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記ポリイソシアネート成分(A)におけるイソシアネート基含有率が、18~22質量%である、請求項1~8いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記ポリオール成分(B)が、ポリエステルポリオールを含有する、請求項1~9いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記ポリエステルポリオールの数平均分子量が1,000~3,000である、請求項10に記載の接着剤組成物。
- 接着剤組成物における、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートの含有率が16%以下である、請求項1~11いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 無溶剤型である、請求項1~12いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 包装材形成用ラミネート用接着剤である、請求項1~13いずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 請求項1~14いずれか1項に記載の接着剤組成物が、少なくとも2つのシート状基材の間に積層された積層体。
- 請求項1~14いずれか1項に記載の接着剤組成物を第1のシート状基材に塗布して接着剤層を形成し、前記接着剤層に第2のシート状基材を重ね合わせた後、前記接着剤層を硬化する積層体の製造方法。
- 請求項15に記載の積層体からなる包装材。
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