JP7047691B2 - 食品包装フィルム用接着剤組成物及び食品包装フィルム - Google Patents
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Description
また、昨今のフードロスへの対応として、金属蒸着フィルム等のガスバリア性が高い基材同士を貼り合わせることにより、賞味期間や消費期間を従来より長期間化する取り組みがなされている。しかし、金属蒸着フィルム等のガスバリア性が高い基材同士を貼り合わせると、2液硬化型のウレタン系接着剤では、水分とイソシアネートの反応により発生した炭酸ガスが接着剤層内部に残存し、泡状の外観不良が発生するという課題があった。
また、特許文献3の発明は、レトルト処理前後の接着強度は良好であるが、炭酸ガス発泡によるラミネート外観不良を抑制することはできないという問題があった。
さらに、特許文献4で用いたポリエステルポリオールのガラス転移温度は-25℃程度であるため、食品包装フィルム用途等の軟包装材料として用いるには、耐熱性や耐水性が不十分であった。また、安全性や衛生性の観点から、エポキシ樹脂等を食品用途に用いることは好ましくない。
したがって、本発明の目的は、ガスバリア性の高いフィルム同士をラミネートする場合において、得られるラミネートフィルム積層体が良好な外観を示し、さらに、ラミネートフィルム間の接着性に優れ、加熱殺菌処理(ボイル、レトルト等)後も接着力を保持できる、食品包装フィルム用接着剤組成物及び、該接着剤組成物を用いた積層材を提供することにある。
(1)ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が-20~20℃である。
(2)ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。
(3)ポリエステルポリオール(A)1分子中の水酸基の平均官能基数が2.1~2.7である。
(4)ポリイソシアネート(B)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7である。
前記第1のガスバリア層と前記第2のガスバリア層とを貼り合わせる接着剤層、を有し、前記接着剤層が、〔1〕~〔5〕いずれか1項に記載の食品包装フィルム用接着剤組成物より得られる塗膜にて形成されてなる食品包装フィルム。
(1)ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が-20~20℃である。
(2)ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。
(3)ポリエステルポリオール(A)1分子中の水酸基の平均官能基数が2.1~2.7である。
(4)ポリイソシアネート(B)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7である。
本発明で用いられるポリエステルポリオール(A)は、ガラス転移温度が-20~20℃で、1分子中の水酸基の平均官能基数が2.1~2.7であり、従来公知のポリエステルポリオールから選択することができる。
ポリエステルポリオール(A)は、以下に限定されるものではないが、
例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物(以下、カルボキシル基成分ともいう)と、
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のジオール類若しくはそれらの混合物(以下、水酸基成分ともいう)と、を反応させて得られるポリエステルポリオール;
或いは、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;等が挙げられる。上記カルボキシル基成分及び水酸基成分は、2種以上を併用してもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
なお、本明細書の数平均分子量の値は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用い、溶媒としてテトロヒドロフランを用いて、標準ポリスチレン換算した値を示している。
ポリイソシアネート(B)は、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7であり、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネート(B)としては、以下に限定されるものではないが、周知のジイソシアネートから誘導された化合物である。
例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;
1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
トルエンジイソシアネート、ジフェニニルメタンジイソシアネートのような芳香族系ジイソシアネート;
又は、上記ジイソシアネート(以下、イソシアネート単量体ともいう)から誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。誘導体として好ましくは、ヌレートタイプ、アダクトタイプの誘導体であり、特に好ましくはアダクトタイプである。
好ましくは、多官能化が容易である脂肪族イソシアネート単量体から誘導されたポリイソシアネートであり、より好ましくは、ラミネート物性のバランスが確保しやすいヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう)から誘導されたポリイソシアネートである。
複数のポリイソシアネート成分を用いる場合、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数は、各ポリイソシアネートの平均官能基数とポリイソシアネート全量に対する質量比とから算出することができる。
本発明の食品包装フィルム用接着剤組成物は、前述のとおり、特定のポリエステルポリオール(A)及び特定のポリイソシアネート(B)を含み、ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。当量比(NCO/OH)は、より好ましくは1.8~3であり、特に好ましくは2~3である。
ポリエステルポリオール(A)以外に含有してもよいポリオール成分としては、特に限定されるものではなく、例えばポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオール等を単独で使用、又は2種類以上を併用することができる。
(反応促進剤)
接着剤組成物は、反応促進剤を含有してもよく、反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種又は2種以上の反応促進剤を使用できる。
接着剤組成物は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシランが挙げられる。これらは、各々単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて使用できる。
シランカップリング剤の含有量は、ポリエステルポリオール(A)の固形分100質量部に対し、好ましくは0.1~5質量部であり、より好ましくは0.2~3質量部である。上記範囲とすることで、金属箔に対する接着強度を向上できる。
接着剤組成物は、上記同様に、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、リン酸又はリン酸誘導体を含有してもよい。リン酸又はその誘導体の内、リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、上記のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。リン酸又はその誘導体は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。リン酸又はその誘導体の含有量は、接着剤の固形分を基準として好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.05~5質量%であり、特に好ましくは0.05~1質量%である。
接着剤組成物は、積層体の外観を向上させる目的で、公知のレベリング剤又は消泡剤を含有してもよい。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチン等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、少なくとも2層のガスバリア層を備えた食品包装フィルムのガスバリア層間の接着に用いられるものであり、本発明の食品包装フィルムは、ガスバリア層、接着剤層、ガスバリア層がこの順に積層された包装材料であり、シーラント層を有していてもよい。
即ち、本発明の食品包装フィルムは、第1のガスバリア層と、第2のガスバリア層と、前記第1のガスバリア層と、前記第2のガスバリア層とを貼り合わせる接着剤層と、を有し、前記接着剤層が、本発明の接着剤組成物より得られる塗膜にて形成されてなる包装材料である。
ガスバリア層は、気体、特に炭酸ガスを遮断できる材料であればどのような材料から構成されていてもよい。詳細には、アルミニウム箔等の軟質金属箔の他、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着等の蒸着層;塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層等を使用することができる。第1のガスバリア層と第2のガスバリア層は、各々独立して選択することができる。
接着剤層は、本発明の接着剤組成物により得られる塗膜であり、本発明の接着剤組成物を、第1のガスバリア層の少なくとも一方の面に塗布し乾燥した後に、第2のガスバリア層の少なくとも一方の面と貼り合せることで形成することができる。
例えば、外層側第1のバリア層と第2のバリア層とを本発明の接着剤を用いて積層し、中間積層体を得る。次いで、本発明の接着剤を用いて中間積層体の第2のバリア層面にシーラント層を積層することができる。
あるいは、本発明の接着剤を用いて第2のバリア層とシーラント層とを積層し、中間積層体を得る。次いで、本発明の接着剤を用いて、中間積層体の第2のバリア層と第1のバリア層とを積層することができる。
前者の場合、本発明の接着剤は、第1のバリア層若しくは第2のバリア層いずれか一方の基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、接着剤層に他方の基材を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温~100℃未満で熟成し、接着剤層を硬化するのが好ましい。100℃以上の熟成ではシーラント層が熱収縮することで成型に影響を及ぼす破断伸度や破断応力が低下したり、熱収縮によるカールで成型生産性が低下する場合がある。本発明では、炭酸ガスの発生を抑える観点から、10~40℃での熟成が好ましい。接着剤総量は、1~15g/m2程度であることが好ましい。
後者の場合も同様に、本発明の接着剤は、第1のバリア層若しくは中間積層体の第2のバリア層面のいずれかに塗布すればよい。
溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール等のアルコール類、水等が挙げられる。これら溶剤は単独でも、2種類以上を併用してもよい。
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。水酸基価は次式により求めた。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.05}/S]+D
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
セイコーインスツル社製示差走査熱量計「DSC-6100」を用いて窒素雰囲気下で測定を行った。
昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用い、溶媒としてテトロヒドロフラン、分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
下記式を用いて水酸基の官能基数(f)を算出した。
式:f=Mn/(56100/OHV)
下記式を用いて、NCO/OH比を算出した。
式:(ポリイソシアネート溶液配合量×ポリイソシアネート溶液のNCO%/42)/(ポリエステルポリオール溶液配合量×不揮発分%×f/Mn)
(合成例1:ポリエステルポリオールA-1)
テレフタル酸147.6g、イソフタル酸147.6g、アジピン酸64.9g、ジエチレングリコール39.2g、1,6-ヘキサンジオール115.9g、エチレングリコール45.9g、ネオペンチルグリコール38.5g、トリメチロールプロパン0.4gを仕込み、200~230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.01gを添加して徐々に減圧し、1.0~2.7hPa、230~250℃で6時間加熱し、グリコール成分の一部を留去し、エステル交換反応を行い、Mnが12,000のポリエステルポリオールを得た。
更に、このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分60%に調整し、シランカップリング剤としてγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1%添加してポリエステルポリオールA-1の溶液を得た。
表1に示す仕込み組成(g)になるようにカルボン酸成分と水酸基成分とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、不揮発分60%に調整し、ポリステルポリオールA-2~5、AH-1~3の溶液を得た。いずれのポリオールもMnは12,000であった。
(調整例1:ポリイソシアネート溶液B-1)
イソシアネート基の平均官能基数が5であるイソシアネート基アダクト体(東ソー社製「コロネート2785」ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート)を酢酸エチルにて希釈し、不揮発分70質量%、NCO%が13.5%のポリイソシアネートB-1の溶液を得た。
イソシアネート基の平均官能基数が6であるイソシアネート基アダクト体(旭化成社製「デュラネートMHG80」ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソフォロンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート)を酢酸エチルにて希釈し、不揮発分70質量%、NCO%が13.3%のポリイソシアネートB-2の溶液を得た。
イソシアネート基の平均官能基数が3であるイソシアネート基アダクト体(旭化成社製「デュラネートP301」ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート)を酢酸エチルにて希釈し、不揮発分70質量%、NCO%が11.7%のポリイソシアネートBH-1の溶液を得た。
[実施例1]
ポリオールA-1溶液とポリイソシアネート溶液B-2を、表2に示すNCO/OH比になるように配合し、酢酸エチルにて希釈し、不揮発分30質量%の接着剤溶液を得た。
表2に示した主剤、硬化剤及びNCO/OH比に変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤溶液を得た。
得られた接着剤組成物について、下記の方法で3層積層体を作成した後、得られた各積層体について、接着強度(初期、レトルト殺菌処理試験後)評価、及び炭酸ガス以下の評価を実施した。結果を表2に示す。
第1の透明シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(以下、透明蒸着PET)フィルム(厚さ12μm、表面シリカ蒸着処理面)/第2の透明蒸着PET(厚さ9μm)/未延伸ポリプロピレン(以下、CPP)フィルム(厚さ70μm、表面コロナ放電処理)の3層複合積層体を以下に記載の方法で作成した。
すなわち、第1の透明蒸着PETフィルムに印刷層を設けた後、該印刷層上に接着剤溶液を常温にて透明蒸着PETフィルムに塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面を第2の透明蒸着PETフィルム表面と貼り合せ、中間積層体を得た。さらに、その中間積層体の第2の透明蒸着PETフィルム面に同様に接着剤溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面をCPPフィルムと貼り合せ、40℃で4日間保温し、3層積層体を作製した。
得られた3層積層体について、炭酸ガス発泡の発生度合を目視で確認した。炭酸ガス発泡外観の実用域は、目視で確認できる20μm以上の泡が無いことである。
◎:泡の発生が確認できない(良好)
○:20μm未満の泡のみが発生している(使用可能)
△:20μm以上の泡が一部分に発生している(使用不可)
×:20μm以上の泡が全面に発生している(不良)
《初期》
得られた3層積層体から15mm×300mmの大きさの試験片を作り、引張り試験機を用い、温度20℃、相対湿度65%の条件下で、T型剥離により、剥離速度30cm/分で、第2の透明蒸着PETフィルム/CPPフィルム間のラミネート強度(N/15mm)を測定した。5個の試験片の平均値を初期のラミネート強度とした。ラミネート強度の実用範囲は7N/15mm以上である。
◎:9N/15mm以上(良好)
○:7N/15mm以上、9N/15mm未満(使用可能)
×:7N/15mm未満(使用不可)
得られた3層積層体を使用して、9cm×13cmの大きさのパウチ(CPPフィルム同士が内側に位置する)を作成し、内容物としてケチャップをそれぞれ充填した。得られたパウチを120℃で30分間レトルト殺菌処理した後、内容物を空け、初期と同様にして、第2の透明蒸着PETフィルム/CPPフィルム間の接着強度(N/15mm)を測定し、5個の試験片の平均値を求め、レトルト殺菌処理後のラミネート強度とした。試験後のラミネート強度の実用範囲は5N/15mm以上である。
◎:7N/15mm以上(良好)
○:5N/15mm以上、7N/15mm未満(使用可能)
×:5N/15mm未満(使用不可)
Claims (6)
- ポリエステルポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含有し、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす食品包装フィルム用接着剤組成物。
(1)ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が-20~20℃である。
(2)ポリエステルポリオール(A)の水酸基と、前記ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.6~3である。
(3)ポリエステルポリオール(A)1分子中の水酸基の平均官能基数が2.1~2.7である。
(4)ポリイソシアネート(B)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が4~7である。 - 前記ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が-20~0℃である、請求項1に記載の食品包装フィルム用接着剤組成物。
- 前記ポリイソシアネート(B)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が5~6である、請求項1又は2に記載の食品包装フィルム用接着剤組成物。
- 前記ポリイソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートである、請求項1~3いずれか1項に記載の食品包装フィルム用接着剤組成物。
- 少なくとも2層のガスバリア層を備えた食品包装フィルムのガスバリア層間の接着に用いる、請求項1~4いずれか1項に記載の食品包装フィルム用接着剤組成物。
- 第1のガスバリア層、第2のガスバリア層、及び
前記第1のガスバリア層と前記第2のガスバリア層とを貼り合わせる接着剤層、を有し、
前記接着剤層が、請求項1~5いずれか1項に記載の食品包装フィルム用接着剤組成物より得られる塗膜にて形成されてなる食品包装フィルム。
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