JP7090450B2 - 甲殻類用栄養供給資材 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 太平洋セメント株式会社、太平洋セメント研究報告 第173号(2017)、発行日:平成30年2月20日
本発明は、甲殻類用栄養供給資材に関する。
世界人口の増加や気候変動等による農作物の供給不安を背景に、食糧の確保をめぐる環境は厳しさを増している。このような中、水産物の需要は全世界的に増大している。
しかし、世界の漁業生産量は、頭打ちの状態が続いている。特に、海洋において漁獲できる量はすでに限界に達しているといわれている。かかる状況において、水産物の確保の重要な手段として、水産物の養殖に大きな期待がかけられている。
水産物の養殖の中でも、飼料効率(摂取した飼料の単位質量当たりの体重の増加の効率)
が高く、食料としての動物性タンパク質を安定して確保できる手段として、エビの養殖の重要性が高まっている。
東南アジア地域では、造成した大型養殖池に稚エビを放流して、大量の配合飼料を投与し、高密度で飼育する集約的養殖技術が発達している。
しかし、残餌や排泄物等による養殖環境の劣化(例えば、水質の低下、鞭毛藻類の発生等による劣化)や、該劣化によって、エビの成長不良が起こったり、病気の発生とその蔓延によるエビの生存率が低下するという問題がある。
養殖魚の成長を促進し、養殖の生産性を高め、養殖海域の汚染を生じさせない養殖魚用飼料として、特許文献1には、可溶化率50%以上の多孔質ケイ酸カルシウムを主成分とする養殖魚用飼料が記載されている。
また、水質の悪化を抑制し、水棲生物の生存率を向上し、さらには、水棲生物の成長を促進することができる水棲生物の養殖方法として、特許文献2には、養殖の対象である水棲生物を収容した養殖用の水の中に、ケイ酸カルシウムを含む養殖用資材を、時間的間隔を置いて繰り返し供給して、上記水棲生物を養殖することを特徴とする水棲生物の養殖方法が記載されている。
さらに、水質の悪化を抑制し、水棲生物の生存率を向上し、さらには、水棲生物の成長を促進することができる水棲生物養殖用資材として、特許文献3には、ケイ酸カルシウム含有材料、および、炭素含有栄養成分と窒素含有栄養成分のいずれか一方または両方からなる栄養補助材料を組み合わせてなることを特徴とする水棲生物養殖用資材が記載されている。
特開平6-54652号公報 特開2017-163938号公報 特開2017-163945号公報
本発明の目的は、甲殻類の生存率を大きくし、甲殻類のケイ酸含有量(外骨格に含まれるケイ酸の量、及び、外骨格以外の部分(剥き身部分)に含まれるケイ酸の量)を大きくし、さらには、養殖池等の底質を改善することができる甲殻類用栄養供給資材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の粒度分布を有するケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体及び餌料を含む混合物からなる甲殻類用栄養供給資材によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供するものである。
[1] ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体及び餌料を含む混合物からなる甲殻類用栄養供給資材であって、上記ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体が、1mm以下の粒度を有する粉粒体を70質量%以上の含有率で含むことを特徴とする甲殻類用栄養供給資材。
[2] 上記ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体の量が、上記餌料100質量部当たり1~20質量部である前記[1]に記載の甲殻類用栄養供給資材。
[3] 上記ケイ酸カルシウム含有材料が、25質量%未満の可溶化率(ケイ酸の全量中の0.5モル塩酸に可溶なケイ酸の割合)を有する多孔質ケイ酸カルシウム水和物である前記[1]又は[2]に記載の甲殻類用栄養供給資材。
[4] 上記ケイ酸カルシウム含有材料が、トバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、及び、ウォラストナイトからなる群より選ばれる1種以上を含む前記[1]~[3]のいずれかに記載の甲殻類用栄養供給資材。
[5] 前記[1]~[4]のいずれかに記載の甲殻類用栄養供給資材を製造するための方法であって、上記ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体と、上記餌料を混合して、上記混合物を得る混合工程を含むことを特徴とする甲殻類用栄養供給資材の製造方法。
[6] 前記[1]~[4]のいずれかに記載の甲殻類用栄養供給資材を用いた、甲殻類の養殖方法であって、養殖場における水中の甲殻類に対して、水面の上方の地点から、上記甲殻類用栄養供給資材を落下させて供給することを特徴とする甲殻類の養殖方法。
本発明の甲殻類用栄養供給資材によれば、甲殻類の生存率を大きくし、甲殻類のケイ酸含有量を大きくし、さらには、養殖池等の底質を改善することができる。
本発明の甲殻類用栄養供給資材は、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体及び餌料を含む混合物からなる甲殻類用栄養供給資材であって、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体が、1mm以下の粒度を有する粉粒体を70質量%以上の含有率で含むものである。
ケイ酸カルシウム含有材料の例としては、トバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、及び、ウォラストナイト等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トバモライトとは、結晶性のケイ酸カルシウム水和物であり、Ca・(Si18)・4H2O(板状の形態)、Ca・(Si18)(板状の形態)、Ca・(Si18)・8H2O(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
ゾノトライトとは、結晶性のケイ酸カルシウム水和物であり、Ca・(Si17)・(OH)2(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
CSHゲルとは、αCaO・βSiO2・γH2O(ただし、α/β=0.7~2.3、γ/β=1.2~2.7である。)の化学組成を有するものである。具体的には、3CaO・2SiO2・3H2Oの化学組成を有するケイ酸カルシウム水和物等が挙げられる。
フォシャジャイトとは、Ca(SiO(OH)等の化学組成を有するものである。
ジャイロライトとは、(NaCa)Ca14(Si23Al)O60(OH)・14HO等の化学組成を有するものである。
ヒレブランダイトとは、CaSiO(OH)等の化学組成を有するものである。
ウォラストナイトとは、CaO・SiO(繊維状又は柱状の形態)等の化学組成を有するものである。
中でも、入手の容易性および経済性の観点から、トバモライトが好適である。トバモライトとしては、天然の鉱物を用いてもよいが、入手の容易性の観点から、トバモライトを主成分とする軽量気泡コンクリート(ALC)を用いることが好ましい。また、廃材の利用促進の観点から、軽量気泡コンクリートの製造工程や建設現場で発生する軽量気泡コンクリートの端材を用いることが、より好ましい。
ここで、軽量気泡コンクリートとは、トバモライト、および、未反応の珪石からなるものであり、かつ、80体積%程度の空隙率を有するものである。ここで、空隙率とは、コンクリートの全体積中の、空隙の体積の合計の割合をいう。
軽量気泡コンクリート中のトバモライトの割合は、軽量気泡コンクリートの内部の空隙部分を除く固相の全体を100体積%として、通常、65~80体積%程度である。
軽量気泡コンクリートは、例えば、珪石粉末、セメント、生石灰粉末、発泡剤(例えば、アルミニウム粉末)、水等を含む原料(例えば、これらの混合物からなる硬化体)をオートクレーブ養生することによって得ることができる。
ケイ酸カルシウム含有材料は多孔質であることが好ましい。ケイ酸カルシウム含有材料が多孔質であれば、ケイ酸カルシウム含有材料からのケイ酸の溶出量がより大きくなるため、甲殻類用栄養供給資材が甲殻類に摂餌された後、甲殻類に吸収されるケイ酸の量をより大きくすることができる。その結果、甲殻類のケイ酸含有量、及び、生存率をより大きくすることができる。
また、ケイ酸カルシウム含有材料は、25質量%未満(好ましくは24質量%以下、より好ましくは23質量%以下)の可溶化率を有する多孔質ケイ酸カルシウム水和物であることが好ましい。このようなケイ酸カルシウム含有材料であれば、甲殻類の体内において、ケイ酸カルシウム含有材料が完全に分解されにくくなるため、その一部が糞便中に残存した状態で甲殻類から排出される。糞便中にケイ酸カルシウム含有材料が残存することによって、残餌や糞便等の有機物の分解を促進して、養殖池等の甲殻類が生育している場所における底質を改善することができる。
また、ケイ酸カルシウム含有材料は、甲殻類によるケイ酸の吸収容易性の観点からは、10質量%以上(好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%以上)の可溶化率を有する多孔質ケイ酸カルシウム水和物であることが好ましい。
なお、「可溶化率」とは、ケイ酸の全量中の0.5モル塩酸に可溶なケイ酸の割合を意味する。
ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体は、1mm以下の粒度を有する粉粒体を70質量%以上(好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上)の含有率で含むものである。
1mm以下の粒度を有する粉粒体の含有率が70質量%未満であると、ケイ酸カルシウム含有材料からのケイ酸の溶出量が小さくなるため、甲殻類用栄養供給資材が甲殻類に摂餌された後、甲殻類に吸収されるケイ酸の量が小さくなる。その結果、甲殻類のケイ酸含有量、及び、生存率が小さくなる。
なお、本明細書中、粒度の値は、篩の目開き寸法に対応する値である。
餌料としては、特に限定されるものではなく、対象となる甲殻類の種類に応じて、一般的に使用されている餌料を用いればよい。
餌料100質量部当たりの、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体の量は、好ましくは1~20質量部、より好ましくは2~15質量部、さらに好ましくは3~10質量部、特に好ましくは4~8質量部である。該量が1質量部以上であれば、甲殻類のケイ酸含有量、及び、生存率をより大きくすることができる。該量が20質量部を超えると、甲殻類のケイ酸含有量の増加、及び、生存率の増加が頭打ちとなる。
本発明の甲殻類用栄養供給資材の製造方法の一例としては、上述したケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体と、餌料を混合して、混合物を得る混合工程を含む方法が挙げられる。
上記粉粒体と餌料を混合することによって、甲殻類用栄養供給資材の沈降性を向上することができ、沈降した餌料を採餌する習性がある甲殻類に対して、効率的な給餌を行うことができる。また、混合することによって、ケイ酸カルシウム含有材料と餌料が分離することを防ぎ、甲殻類に、餌料と共にケイ酸カルシウム含有材料を採餌させることができる。
なお、ここでの「混合」とは、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体と、餌料とが、均一な組成で存在する状態にするための動作をいう。したがって、餌料の周囲に、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体を付着させてなるものは、ここでの混合物に該当しない。
上記混合工程の後に、混合工程で得られた混合物と、水を混合して、ペーストを得る水添加工程と、該ペーストを材料として、成形及び乾燥を行い、甲殻類用栄養供給資材を得る成形工程を行ってもよい。
上記水添加工程と成形工程を行うことで、甲殻類用栄養供給資材の強度をより向上させて、甲殻類用栄養供給資材が、水中において、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体と餌料に分離することを防ぐことができる。また、成形によって、甲殻類用栄養供給資材の粒度を、任意の粒度(例えば、1~5mmの粒度の物が70質量%以上である粒度分布を有するもの)に調整することができる。
水添加工程において、水の添加量は特に限定されるものではなく、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体の配合割合や、餌料の種類等に応じて適宜定めればよい。例えば、混合物100質量部に対する水の添加量は、好ましくは50~300質量部、より好ましくは80~200質量部、特に好ましくは100~150質量部である。
成形工程における、ペースト(混合物と水を混合してなるもの)の成形手段としては、押出成形機やプレス成形機等が挙げられる。
また、パンペレタイザー等の造粒機を用いて、散水しながら造粒を行うことで、混合物と水の混合と、ペーストの成形を同時に行ってもよい。
さらに、成形工程における造粒性の向上や、甲殻類用栄養供給資材の沈降性及び強度の向上や、水中でのケイ酸カルシウム含有材料と餌料の分離の抑制や、甲殻類用栄養供給資材の大きさの調整をより容易にする等の目的で、成形工程における混合物や水添加工程におけるペーストの粘性を高めて、接着性を向上することができる物質を、成形工程および水添加工程のいずれかにおいて添加してもよい。上記物質の例としては、デンプン、グアガム、コンニャク飛粉等が挙げられる。
乾燥方法としては、例えば、25~100℃(好ましくは40~80℃)の環境下で、1~4時間(好ましくは1.5~3時間)静置する方法等が挙げられる。
また、シリンジ等の押出成形機を用いて成形を行った後、乾燥及び粉砕を行い、篩等を用いて、甲殻類用栄養供給資材の粒度を調整してもよい。
得られた甲殻類用栄養供給資材の粒度は、給餌の対象となる甲殻類の種類や成長の度合いに応じて適宜定めればよいが、通常、1~20mmである。
本発明の甲殻類用栄養供給資材を用いた、甲殻類の養殖方法の一例としては、養殖場における水中の甲殻類に対して、水面の上方の地点から、甲殻類用栄養供給資材を落下させて供給する方法が挙げられる。
供給された甲殻類用栄養供給資材が、エビやカニ等の甲殻類に摂餌されることで、甲殻類にケイ酸が吸収されて、甲殻類の体内のケイ酸含有量(外骨格に含まれるケイ酸の量や、外骨格以外の部分に含まれるケイ酸の量)をより大きくすることができる。これにより、甲殻類の外骨格等の形成を促進させ、甲殻類の成長を促進することができる。また、甲殻類の健全性を向上させて、甲殻類の生存率を大きくすることができる。
また、ケイ酸は、ヒトの骨形成やコラーゲン形成に重要な機能性成分として働くことから、甲殻類のケイ酸含有量(特に、外骨格以外の部分に含まれるケイ酸の量)を大きくすることで、食品としての甲殻類の高付加価値化を図ることができる。
さらに、本発明の甲殻類用栄養供給資材は、餌料と混合することによって、水中で餌料と分離することを防ぎ、蝟集効果のある餌料とともに、より効率的な給餌を行うことができるため、甲殻類にケイ酸を効率的に吸収させることができる。また、水中においてケイ酸を溶出することによって、甲殻類の餌となり得る珪藻の増殖の安定化及び促進を図ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
トバモライトを主成分とする軽量気泡コンクリート(ALC)を粉砕した後、目開き1mmの篩を用いて分級を行い、最大粒度が1mm以下であるケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体を得た。該ケイ酸カルシウム含有材料の可溶化率は21質量%であった。
人工餌料(EP飼料)のペレットを、ミキサーを用いて粉砕してなる粉砕物と、該粉砕物100質量部に対して5質量部となる量のケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体を、合成樹脂製の可撓性の袋に投入し、手を用いて袋内で混合した。次いで、袋内の混合物100質量部に対して、120質量部となる量の水を添加し混合した。
得られた混合物をシリンジに入れた後、パレット(プラスチック製の板)の上に押し出しながら薄く延ばし、次いで、60℃で2時間乾燥を行った。乾燥後の混合物を合成樹脂製の可撓性の袋に入れた後、木槌を用いて粉砕して、粒度が1~20mmである甲殻類用栄養供給資材を得た。
100リットルの飼育用水槽に、深さが5cmとなる量の珪砂を入れた後、さらに、塩分濃度が28mg/リットルであり、水温が28℃である飼育用の水を入れて、平均体重が0.92gであるバナメイエビ100尾を水槽内に入れて、バナメイエビの飼育を行った。
1日当たり、生存しているバナメイエビの合計体重の2質量%となる量の甲殻類用栄養供給資材を、1日2回(1日で給餌される甲殻類用栄誉供給資材の量は、上記合計体重の4質量%となる量)、水面の上方の地点から水中へと落下させることで、給餌を行い、バナメイエビを5週間飼育した。
なお、給餌を行う際に、前に給餌した甲殻類用栄養給資材が残っている場合は、これらの甲殻類用栄養供給資材を取り除いた後、給餌を行った。
また、生存しているバナメイエビの合計体重は、1週間毎に測定し、得られた測定結果に基づいて、1週間毎に、給餌される甲殻類用栄養供給資材の量を修正した。
5週間飼育を行った後の、バナメイエビの生存率、剥き身部分(外骨格以外の部分)及び殻部分(外骨格部分)のケイ酸含有量、並びに、底質(珪砂)のCODsed(化学的酸素供給量)を、以下の方法に従って測定した。
[バナメイエビの生存率]
生存率(%)=[飼育期間終了時に生存しているバナメイエビの尾数]/[飼育開始時のバナメイエビの尾数]×100
[剥き身部分または殻部分のケイ酸含有量]
試料0.2~5gを白金るつぼに入れた後、電気炉を用いて500℃で加熱した。次いで、炭酸ナトリウムを3g加えて、700℃に加熱した電気炉内に入れ、加熱温度を700℃から900℃に上昇させた後、さらに20分間加熱した。加熱後、水を加え、次いで、ホットプレートを用いて、100℃で30分間加熱した後、ろ過を行った。得られたろ液に対して、アジレント・テクノロジー社製のICP発光分析装置(735-ES)を用いて、ICP発光分析法によって、ケイ酸の質量を測定した。得られたケイ酸の質量と試料の質量から、バナメイエビの剥き身部分または殻部分のケイ酸含有量(mg/kg)を算出した。
[底質のCODsed]
「底質調査方法(平成24年8月 環境省 水・大気環境局) 4.4.7 過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODsed)」に記載されている方法に準拠して、底質のCODsedを測定した。なお、CODsedの数値は、小さいほど、底質における残餌や糞尿等の有機物の分解が進んでいることを意味する。
[比較例1]
甲殻類用栄養供給資材の代わりに、人工餌料(EP飼料)のペレット(粒度1~20mm)のみを使用する以外は、実施例1と同様にして、バナメイエビを5週間飼育した。5週間飼育を行った後の、バナメイエビの生存率、剥き身部分(外骨格以外の部分)及び殻部分(外骨格部分)のケイ酸含有量、並びに、底質(珪砂)のCODsed(化学的酸素供給量)を、実施例1と同様にして測定した。
結果を表1に示す。
[比較例2]
ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体として、粒径が1~4mmであるものを使用する以外は、実施例1と同様にして、粒度が1~20mmである甲殻類用栄養供給資材を得た。該甲殻類用栄養供給資材を、実施例1と同様にして水中に落下させたが、該甲殻類用栄養供給資材は、水中において、亀裂が入って、割れや欠けが発生したり、人工餌料とケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体に分離したため、バナメイエビの飼育を中止した。
Figure 0007090450000001
表1から、実施例1(本発明の甲殻類用栄養供給資材を用いて飼育した場合)におけるバナメイエビの生存率(82%)は、比較例1(人工餌料のみを用いて飼育した場合)におけるバナメイエビの生存率(70%)よりも大きいことがわかる。
また、実施例1におけるバナメイエビの剥き身のケイ酸含有量(590mg/kg)および殻部分のケイ酸含有量(450mg/kg)は、各々、比較例1におけるバナメイエビの剥き身のケイ酸含有量(290mg/kg)および殻部分のケイ酸含有量(230mg/kg)よりも大きいことがわかる。
さらに、実施例1における底質のCODsed(1.32mg/g)は、比較例1における底質のCODsed(1.94mg/g)よりも小さく、実施例1では、底質において、残餌や糞便等の有機物が、比較例1と比べて、より分解し除去されていることがわかる。

Claims (6)

  1. ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体及び餌料を含む混合物からなる甲殻類用栄養供給資材であって、
    上記ケイ酸カルシウム含有材料が、10質量%以上、25質量%未満の可溶化率(ケイ酸の全量中の0.5モル塩酸に可溶なケイ酸の割合)を有する多孔質ケイ酸カルシウム水和物であり、
    上記ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体の最大粒度が、1mm以下であることを特徴とする甲殻類用栄養供給資材。
  2. 上記ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体の量が、上記餌料100質量部当たり1~20質量部である請求項1に記載の甲殻類用栄養供給資材。
  3. 上記ケイ酸カルシウム含有材料が、トバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、及び、ウォラストナイトからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1又は2に記載の甲殻類用栄養供給資材。
  4. 上記餌料が、EP飼料である請求項1~3のいずれか1項に記載の甲殻類用栄養供給資材。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の甲殻類用栄養供給資材を製造するための方法であって、
    上記ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体と、上記餌料を混合して、上記混合物を得る混合工程を含むことを特徴とする甲殻類用栄養供給資材の製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の甲殻類用栄養供給資材を用いた、甲殻類の養殖方 法であって、
    養殖場における水中の甲殻類に対して、水面の上方の地点から、上記甲殻類用栄養供給資材を落下させて供給することを特徴とする甲殻類の養殖方法。
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