JP7088439B1 - 転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム - Google Patents

転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム Download PDF

Info

Publication number
JP7088439B1
JP7088439B1 JP2022516106A JP2022516106A JP7088439B1 JP 7088439 B1 JP7088439 B1 JP 7088439B1 JP 2022516106 A JP2022516106 A JP 2022516106A JP 2022516106 A JP2022516106 A JP 2022516106A JP 7088439 B1 JP7088439 B1 JP 7088439B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blowing
temperature
converter
value
sublance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022516106A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022124050A1 (ja
Inventor
智裕 杉野
幸雄 ▲高▼橋
勝太 天野
涼 川畑
寛人 加瀬
俊輝 野中
直樹 菊池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JPWO2022124050A1 publication Critical patent/JPWO2022124050A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7088439B1 publication Critical patent/JP7088439B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C5/00Manufacture of carbon-steel, e.g. plain mild steel, medium carbon steel or cast steel or stainless steel
    • C21C5/28Manufacture of steel in the converter
    • C21C5/30Regulating or controlling the blowing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C5/00Manufacture of carbon-steel, e.g. plain mild steel, medium carbon steel or cast steel or stainless steel
    • C21C5/52Manufacture of steel in electric furnaces
    • C21C5/527Charging of the electric furnace
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C5/00Manufacture of carbon-steel, e.g. plain mild steel, medium carbon steel or cast steel or stainless steel
    • C21C5/52Manufacture of steel in electric furnaces
    • C21C2005/5288Measuring or sampling devices

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
  • Analogue/Digital Conversion (AREA)

Abstract

ダイナミック制御での修正により、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分を目標値に的中させることが可能な範囲に、途中サブランス投入時点での溶湯温度を制御するための転炉操業方法を提供する。スタティック制御とダイナミック制御とを用いて、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分を目標値に制御する転炉操業方法において、溶銑の酸素吹錬中、溶湯温度の推定値である吹錬中温度推定値及び溶湯中炭素濃度の推定値である吹錬中炭素濃度推定値を逐次推定し(S-4)、サブランスの投入前の所定の時期(S-5)に、予め定めた途中温度目標値と、サブランス投入時期における溶湯温度の予測値である途中温度予測値との差(途中温度差)を求め(S-6)、求めた途中温度差の絶対値が予め定めた閾値より大きい場合に、サブランス投入前に、転炉内に冷却材または昇熱材を投入し(S-8、S-10)、サブランス投入時期の溶湯温度を制御する。

Description

本発明は、上吹きランスから転炉内の溶銑に酸化性ガスを吹き付けて酸素吹錬し、溶銑から溶鋼を製造する転炉の操業方法に関し、及び、転炉の吹錬制御システムに関する。
溶銑から溶鋼を製造する転炉では、上吹きランスからの酸素吹錬(以下、単に「吹錬」とも記す)により、溶銑を脱炭精錬して溶鋼を製造している。この転炉操業では、酸素吹錬の吹き止め時(終了時)での溶鋼温度や溶鋼成分濃度を目標値に的中させるための吹錬制御方法として、スタティック制御とダイナミック制御とが行われている。このうち、スタティック制御は、吹錬開始前に、当該吹錬で使用する溶銑及び鉄スクラップの情報から、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値とするために必要な供給酸素量を計算するとともに、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値とするための副原料投入量を計算する制御である。
ダイナミック制御は、吹錬途中に転炉内に投入されるサブランス(以下、「途中サブランス」とも記す)によって得られる情報であるサブランス測定値(溶湯温度、または、溶湯温度及び溶湯中炭素濃度の双方)から、供給する酸素量や投入する副原料を適正化して、吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に調整する制御である。途中サブランスの投入は、従来、スタティック制御で求めた供給酸素量から所定量の酸素量が差し引かれた酸素量を供給したタイミングで行われ、サブランス測定値を得ている。
スタティック制御により、途中サブランスでのサブランス測定値と、吹錬吹き止め時の目標溶鋼温度及び目標炭素濃度との乖離が大きくなった場合、ダイナミック制御での修正が困難となる。その結果、吹き止め時の溶鋼温度や溶鋼中の炭素濃度及び/または酸素濃度が目標値から大きく外れる。
吹き止め時の溶鋼温度が目標温度よりも高温となった場合は、炉内への冷却材の投入によって吹錬時間が長くなり、生産性が悪化するとともに、転炉の内張耐火物の溶損が大きくなり、内張耐火物の補修コストが増加する。一方、吹き止め時の溶鋼温度が目標温度よりも低温となった場合は、吹錬を再開し、溶鋼中の鉄(Fe)の燃焼によって温度を上昇させる。吹錬を再開することから、吹き止め時の溶鋼中の酸素含有量が目標値よりも高くなり、溶鋼を脱酸するための金属アルミニウム(Al)の投入量が増えて、製造コストが増加する。この場合、吹錬を再開することで、一般的に、吹き止め時の溶鋼中の炭素含有量は目標値よりも低くなる。
そのため、酸素吹錬の吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分(炭素濃度、酸素濃度)を目標値に的中させる技術が要求されている。
スタティック制御とダイナミック制御とを用いて、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に的中させるためには、ダイナミック制御での修正により、吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を容易に目標値に的中させることが可能な範囲に、途中サブランス投入時点での溶湯温度や溶湯中炭素濃度のサブランス測定値を制御する必要がある。
従来、途中サブランス投入時点の決定方法として、例えば、特許文献1では、ダイナミック制御に必要な時間を吹錬条件から決定し、決定されたダイナミック制御時間で吹き込まれる酸素量を算出し、スタティック制御で求めた酸素量(供給予定量)から算出された前記酸素量を減じた量の酸素量が吹き込まれる時点を、途中サブランスの投入タイミングとして決定している。
また、特許文献2及び特許文献3では、転炉の炉口から観測される発光スペクトル、排ガス流量及び排ガス成分濃度を測定し、炉内の炭素濃度を逐次推定することで、脱炭酸素効率が低下するタイミングを、スタティック制御とダイナミック制御との切り替えタイミング、つまり、途中サブランスの投入タイミングとして決定している。
特開2007-327113号公報 特開2020-105611号公報 国際公開第2019/220800号
しかしながら、特許文献1で開示された方法は、スタティック制御を用いて途中サブランスの測定タイミングを決定しており、外乱により吹錬状況が変化した場合、途中サブランスの測定タイミングも不適切になる。その結果、ダイナミック制御の時間が確保できない、または、途中サブランスの投入から吹錬吹き止めまでに時間を要し、ダイナミック制御の精度が低下する、などの問題が発生するおそれがある。
また、特許文献2、3では、吹錬状況の変化によらず、測定値から逐次算出される計算値に基づいて途中サブランスの投入タイミングが決定される。しかしながら、決定されたタイミングで途中サブランスを投入したとしても、測定される溶湯温度や溶湯中炭素濃度が、その後のダイナミック制御で修正可能な範囲であるとは限らない。
つまり、特許文献1~3は、途中サブランスの投入タイミングを決定するだけであり、ダイナミック制御での修正により、吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を容易に目標値に的中させることが可能な範囲に、途中サブランス投入時点での溶湯温度や溶湯中炭素濃度を制御するという技術思想は開示していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、スタティック制御とダイナミック制御とを用いて吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に制御する転炉操業方法において、ダイナミック制御での修正により、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に的中させることが可能な範囲に、途中サブランス投入時点での溶湯温度を制御することができる、転炉の操業方法を提供することである。また、この転炉の操業方法を行うための、転炉の吹錬制御システムを提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 転炉内の溶銑に酸化性ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する吹錬中に、炉内にサブランスを投入して少なくとも炉内の溶湯の溶湯温度を含むサブランス測定値を実測し、実測したサブランス測定値に基づいて、吹錬吹き止め時までに供給すべき酸素量並びに冷却材または昇熱材の投入要否及び投入量を決定することにより、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分濃度を目標値に制御する転炉の操業方法であって、
サブランス投入時期における溶湯温度の目標値である途中温度目標値を定めるとともに、前記途中温度目標値とサブランス投入時期における溶湯温度の予測値である途中温度予測値との差である途中温度差を、サブランス投入時期よりも前の吹錬中に確認する確認タイミングを定め、
吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の操業条件及び計測値に基づいて、吹錬進行時点における溶湯温度の推定値である吹錬中温度推定値及び溶湯中炭素濃度の推定値である吹錬中炭素濃度推定値を逐次推定するとともに、
吹錬が前記確認タイミングまで進行したら、前記吹錬中温度推定値及び前記吹錬中炭素濃度推定値に基づき前記途中温度差を算出し、
算出された前記途中温度差の絶対値が予め定めた閾値より大きい場合に、前記確認タイミングより後で且つサブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内に冷却材の投入または昇熱材の投入を行なう、転炉の操業方法。
[2] 前記確認タイミングを、前記吹錬中炭素濃度推定値によって定める、上記[1]に記載の転炉の操業方法。
[3] 前記確認タイミングを、前記吹錬中炭素濃度推定値が0.6~1.4質量%となる範囲で定める、上記[2]に記載の転炉の操業方法。
[4] 前記予め定めた閾値が10℃以上の値から選ばれる値である、上記[1]から上記[3]のいずれかに記載の転炉の操業方法。
[5] 前記途中温度差の絶対値が予め定めた閾値より大きい場合に、前記確認タイミングより後で且つサブランス投入の前の吹錬中に投入する冷却材の量または昇熱材の量は、前記吹錬中温度推定値、吹錬吹き止め時の溶鋼温度の目標値及び当該吹錬中に転炉内に投入した生石灰の量のうちの1つまたは2つ以上に基づいて決定する、上記[1]から上記[4]のいずれかに記載の転炉の操業方法。
[6] 吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の前記計測値が、排ガス流量計及び排ガス分析計から得られる計測値のいずれか一方または双方を含む、上記[1]から上記[5]のいずれかに記載の転炉の操業方法。
[7] 吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の前記計測値が、吹錬中の転炉炉口部の光学特性についての計測値であって、スラグ中の酸化鉄の還元反応に由来するスペクトルの発光強度の変化率を含む、上記[1]から上記[6]のいずれかに記載の転炉の操業方法。
[8] 吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の前記計測値が、当該吹錬の原料として用いる溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際に非接触の光学的手法を用いて測定された溶銑温度を含む、上記[1]から上記[7]のいずれかに記載の転炉の操業方法。
[9] 転炉内の溶銑に酸化性ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する吹錬中に、少なくとも炉内の溶湯の溶湯温度を含むサブランス測定値を実測するサブランスと、
吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の操業条件及び計測値に基づいて、吹錬進行時点における溶湯温度の推定値である吹錬中温度推定値及び溶湯中炭素濃度の推定値である吹錬中炭素濃度推定値を逐次推定するとともに、前記サブランスにより実測されたサブランス測定値に基づいて、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分濃度を目標値とするために供給すべき酸素量並びに冷却材または昇熱材の投入要否及び投入量を算出する第1計算機と、
前記第1計算機によって算出された前記酸素量及び前記冷却材または昇熱材の投入量に基づき、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度が目標値になるように、操業条件を制御する操業制御用計算機と、
サブランス投入時期における溶湯温度の目標値である途中温度目標値を設定し、且つ、該途中温度目標値とサブランス投入時期における溶湯温度の予測値である途中温度予測値との差である途中温度差をサブランス投入時期よりも前の吹錬中に確認する確認タイミングを設定するとともに、
前記途中温度目標値と前記途中温度予測値との差である途中温度差を算出し、算出された前記途中温度差の絶対値に基づき、前記確認タイミングより後で且つサブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内に冷却材の投入または昇熱材の投入を行なうか否かを判定する第2計算機と、
冷却材の投入または昇熱材の投入を行なう場合には、冷却材の投入量または昇熱材の投入量を算出する第3計算機と、
を有する、転炉の吹錬制御システム。
[10] 転炉の排ガス処理設備に排ガス流量計及び排ガス分析計を備え、前記排ガス流量計及び前記排ガス分析計で計測された排ガスのデータが前記排ガス流量計及び前記排ガス分析計から前記第1計算機に送信され、前記第1計算機は、送信された排ガスのデータを、吹錬中温度推定値及び吹錬中炭素濃度推定値の逐次推定に利用するように構成されている、上記[9]に記載の転炉の吹錬制御システム。
[11] 転炉の周囲に配置され、転炉と可動式フードとの隙間から炉口燃焼火炎を撮影する分光カメラと、該分光カメラから送られた画像データを取り出し可能に記録するとともに、前記画像データの発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度を算出する画像解析装置とを備え、前記発光強度のデータが前記画像解析装置から前記第1計算機に送信され、前記第1計算機は、送信された発光強度のデータを、吹錬中温度推定値及び吹錬中炭素濃度推定値の逐次推定に利用するように構成されている、上記[9]または上記[10]に記載の転炉の吹錬制御システム。
[12] 転炉での吹錬の原料として用いる溶銑が前記転炉へ装入されている期間中における溶銑の温度を装入時の溶銑温度として光学的に測定する温度計測器を備え、該温度計測器による温度測定値のデータが前記温度計測器から前記第1計算機に送信され、前記第1計算機は、送信された温度測定値のデータを、吹錬中温度推定値及び吹錬中炭素濃度推定値の逐次推定に利用するように構成されている、上記[9]から上記[11]のいずれかに記載の転炉の吹錬制御システム。
本発明によれば、スタティック制御とダイナミック制御とを用いて吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に制御する転炉操業方法において、ダイナミック制御での修正により、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に的中させることが可能な範囲に、途中サブランス投入時点での溶湯温度を制御するようにしたので、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を高い精度で目標値に的中させることができる。
図1は、本発明の実施形態における酸素吹錬の工程に沿って行う吹錬制御システムのフローチャートの一例を示す図である。 図2は、本発明を実施するうえで好適な吹錬制御システムを備えた転炉設備の概略図である。 図3は、溶銑保持容器から転炉に流入する溶銑の温度を測定する概略図である。 図4は、本発明例及び比較例において、途中サブランス投入時点での溶湯温度と溶湯中炭素濃度との関係を示した図である。 図5は、本発明例及び比較例において、吹錬吹き止め時の目標溶鋼温度と、吹錬吹き止め時の実績溶鋼温度との誤差を示す図である。
以下、本発明に係る転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システムについて説明する。
上吹きランスからの酸素吹錬により、溶銑を脱炭精錬して溶鋼を製造する転炉操業では、酸素吹錬の吹き止め時(終了時)での溶鋼温度及び炭素濃度などの溶鋼成分濃度を目標値に制御するために、スタティック制御とダイナミック制御とを組み合わせた吹錬制御が行われている。本発明に係る転炉の操業方法においても、スタティック制御とダイナミック制御とを組み合わせて吹錬を制御する。
スタティック制御は、熱収支計算及び物質収支計算に基づいた数式モデルを用いて、溶鋼温度及び溶鋼成分濃度を目標値に制御するために必要な供給酸素量及び冷却材または昇熱材の投入量を吹錬開始前に決定する。そして、決定された供給酸素量及び冷却材または昇熱材の投入量に基づいて吹錬を開始して進行させ、一定時間吹錬を継続した後(例えば、スタティック制御で計算された供給酸素量の80~90%を吹き込んだ時点など)、炉内にサブランスを投入する。このサブランスを用いて炉内の溶湯の温度、または、炉内の溶湯の温度及び炭素濃度の双方を測定する。吹錬途中に転炉内に投入されるサブランスを、「途中サブランス」ともいう。
ダイナミック制御では、サブランスを用いて測定されたサブランス測定値(溶湯温度、または、溶湯温度及び溶湯中炭素濃度の双方)、並びに、熱収支及び物質収支と反応モデルとに基づいた数式モデルを用いて、スタティック制御で決定した供給酸素量や冷却材または昇熱材の投入量を修正し、吹錬吹き止めまでの供給酸素量及び冷却材または昇熱材の投入量を最終的に決定する。
ここで、「溶湯」とは、溶銑または溶鋼である。溶銑から溶鋼を製造する、転炉での酸素吹錬つまり脱炭精錬では、炉内に装入した溶銑は脱炭反応によって溶鋼に変わる。酸素吹錬の途中で溶銑と溶鋼とを区別して表示することは困難であるので、本明細書では、溶銑と溶鋼とをまとめて溶湯と表示する。溶銑と溶鋼との区別が明確な場合は、「溶銑」または「溶鋼」と表示する。
スタティック制御における熱収支計算の計算式は、例えば、入熱確定項、出熱確定項、冷却項または昇温項、誤差項、及び、オペレーターによる温度補正項によって構成されている。また、送酸量(酸素供給量)の計算式は、例えば、溶銑成分、副原料投入量、吹き止め時の目標溶鋼温度及び目標溶鋼成分によって構成されている。
しかしながら、スタティック制御はあくまで吹錬開始前の情報に基づいて計算を組み立てているので、炉況の変化やランス高さ、送酸量の変動により、二次燃焼率や副原料の歩留まりが変動した場合、スタティック制御に誤差が生じる。つまり、スタティック制御で定めた途中サブランスの投入タイミングは的確でないことが起こり得る。そのため、特許文献2や特許文献3では、転炉排ガスの情報(排ガス流量、排ガス成分)や炉口の分光情報に基づいて吹錬中の溶湯の炭素濃度を逐次推定し、脱炭酸素効率が低下し始めるタイミングで途中サブランスを投入している。ここで、「脱炭酸素効率」とは、炉内に供給した酸素のうちで脱炭反応に寄与した酸素の比率であり、「ランス高さ」とは、上吹きランスの先端から転炉内の溶銑の静止浴面までの距離である。また、「二次燃焼」とは、脱炭反応によって炉内で発生したCOガスが、上吹きランスから供給される酸素によってCOガスに燃焼する現象である。
しかしながら、吹錬吹き止め時に溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度を目標範囲内に制御するためには、吹錬中の炭素濃度推移の推定を用いた制御のみでは不十分である。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、吹錬吹き止め時における溶鋼温度の制御精度が向上しない原因として、途中サブランス投入時点での溶湯温度にばらつきがあることを知見した。特に、溶湯中炭素濃度の逐次推定により得られる、脱炭酸素効率が低下し始めるタイミングで決めた途中サブランスの投入タイミングと、スタティック制御で決定した途中サブランスの投入タイミングとの乖離が大きい場合に、途中サブランス投入時点での溶湯温度のばらつきが大きくなることを知見した。
この途中サブランス投入タイミングでの乖離は、吹き込まれた酸素がスタティック制御で推定した溶湯中成分または副原料との反応に使用されず、例えば、二次燃焼や溶湯中の鉄の燃焼に使用される割合のばらつきが、原因であると考えられる。しかしながら、これらのばらつきをスタティック制御に精度良く反映させることは困難である。
そこで、本発明者らは、吹錬中の溶湯の炭素濃度のみならず、溶湯の温度も逐次推定し、溶湯温度の逐次推定値を利用して途中サブランス投入時点の溶湯温度がダイナミック制御で修正可能な範囲となるように、途中サブランスの投入前に、溶湯温度を調整するアクション(行動、操作)を実施すればよいと考えた。
本発明における溶湯の炭素濃度の逐次推定は、特許文献2や特許文献3に記載の方法が適用できる。即ち、吹錬開始前及び吹錬中の少なくともいずれか一方の溶湯の温度及び成分濃度の計測結果、排ガスの流量及び成分濃度の情報、転炉の炉口部の光学特性に関する情報(炉口分光実績、炉口部光学特性情報)、送酸量及び送酸速度の情報、攪拌用ガス流量の情報、並びに、原料(主原料、副原料)投入量の情報などに基づいて、溶湯中炭素濃度を推定する。ここで、転炉の炉口部の光学特性に関する情報としては、例えば、転炉の炉口から噴き出す炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出したものを用いることができる。
本発明における溶湯温度の逐次推定は、次のようにして行う。まず、溶湯中炭素の燃焼に使用された酸素量を、送酸量や投入した酸化鉄などの酸素インプット量と、排ガス流量及び排ガス成分(COガス濃度、COガス濃度、Oガス濃度など)から得られる酸素アウトプット量とから、炉内酸素収支が最小となるように補正計算をすることで得る。そして、燃焼した溶湯中の炭素量から溶湯中炭素濃度を推定する。その際、計算された炭素濃度の変化を反応熱に変換することで、溶湯温度を推定する。
更に、この溶湯温度の推定計算では、溶銑成分の炭素のみならず、溶銑成分の珪素、マンガン、燐及び鉄と酸素との反応熱のほか、鉄スクラップ及び副原料による吸熱、排ガス流量に応じたガス顕熱、転炉鉄皮温度に応じた放散熱を計算項とする。上記の反応熱は、途中サブランスによる溶湯温度の測定値と計算溶湯温度との誤差が最小となるように、過去の操業結果から重回帰で決定した係数を乗じて補正する。
脱炭酸素効率が低下し始めるタイミングで途中サブランスを投入した場合の溶湯温度と、従来のスタティック制御で計算した途中サブランス投入時点での推定溶湯温度との誤差は、標準偏差1σで19.6℃であった。これに対し、脱炭酸素効率が低下し始めるタイミングで途中サブランスを投入した場合の溶湯温度と、溶湯温度の逐次計算による途中サブランス投入時点での推定溶湯温度との温度誤差は、標準偏差1σで14.4℃となった。つまり、溶湯温度を逐次計算することによって途中サブランスの投入タイミングを決めることで、途中サブランス投入時点での温度推定精度が向上した。
例えば、炉内での生石灰原単位が5~15kg/溶銑-tonのとき、吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度として、目標溶鋼温度±10℃、目標炭素濃度±0.015質量%を目標範囲として設定する。この場合、途中サブランス投入時点での溶湯中炭素濃度が0.1~0.3質量%で、途中サブランス投入時点での溶湯温度が‘吹き止め時の目標温度-35℃’から‘吹き止め時の目標温度-65℃’までの範囲内であるならば、吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度の同時的中率が高位(88%)であることを確認した。
本発明においては、途中サブランス投入時点での溶湯中炭素濃度及び途中サブランス投入時点での溶湯温度を、上記の範囲に設定する。
次に、本発明の実施形態の一例を酸素吹錬の工程に沿って説明する。図1に、酸素吹錬の工程に沿って行う吹錬制御システムのフローチャートの一例を示す。
まず、当該吹錬で使用する、または、使用した溶銑の温度、溶銑装入量、溶銑成分などの溶銑条件を取得する(S-1)。
次いで、当該吹錬において、以下の2点を決定する(S-2)。決定する時期は、下記(2)の確認タイミングの前であるならば、何時でもよいが、時間的な余裕を持たせるという観点から、予定される吹錬時間の1/2程度が進行するまでに決定することが好ましく、吹錬開始の前に決定することがより好ましい。
(1)途中温度目標値の設定;
‘途中温度目標値’とは、途中サブランスの投入時期における溶湯温度の目標値である。
(2)確認タイミングの設定;
‘確認タイミング’とは、吹錬中の途中サブランス投入前の時期に、途中サブランスの投入時期における溶湯温度の目標値である‘途中温度目標値’と、サブランス投入時期における溶湯温度の予測値である‘途中温度予測値’との差である‘途中温度差’を確認するタイミング(時期または時点)である。
上記の‘途中温度目標値’は、吹き止め時の目標溶鋼温度と炉内スラグ量とを考慮して決定することが好ましい。例えば、下記の(1)式のように、吹き止め時の目標溶鋼温度の一次式と、吹錬中に炉内に投入予定の生石灰原単位の多項式とを組み合わせて求めることが好ましい。尚、(1)式は、投入予定の生石灰原単位の多項式との組み合わせであるが、投入予定の生石灰原単位の多項式を、投入予定の生石灰原単位に基づく予定炉内スラグ量の多項式に替えることができる。
途中温度目標値(℃)=吹き止め目標溶鋼温度(℃)-a×W-b×W-c…(1)
ここで、Wは、当該吹錬における生石灰原単位(kg/溶銑-ton)であり、a(℃×溶銑-ton/kg)、b(℃×(溶銑-ton)/kg)、c(℃)は係数である。係数a、係数b、係数cは、過去の操業結果から、吹き止め時の的中率が最も高くなるように回帰計算を用いて設定する。
また、確認タイミングは、例えば、吹錬中に逐次計算される溶湯中炭素濃度の推定値が1.0質量%になったタイミングのように、溶湯中炭素濃度の逐次推定値によって定める。特に、溶湯中炭素濃度の逐次推定値が、0.6~1.4質量%の範囲内のタイミングを確認タイミングとして定めることが好ましい。
溶湯中炭素濃度の逐次推定値が1.4質量%を超えるタイミングを確認タイミングとして定めた場合には、確認タイミングが早すぎて、その後、吹錬状況が変化した場合に対応できないおそれがある。一方、溶湯中炭素濃度の逐次推定値が0.6質量%未満のタイミングを確認タイミングとして定めた場合には、確認タイミングが遅すぎて、確認タイミングから途中サブランス投入までの期間に投入した副原料(冷却材及び昇熱材)の全てが反応する前に、途中サブランスによる測定が行われる可能性があるため、その後に行われるダイナミック制御の精度の低下を招くおそれがある。
吹錬開始後の吹錬中は、転炉排ガスの流量及び成分などの排ガス情報を逐次取得する。同時に、上吹きランスからの送酸量及び送酸速度の送酸情報も逐次取得する(S-3)。
また、吹錬開始後の吹錬中は、熱収支計算及び物質収支計算に基づいた数式モデルを用いて、ステップ(S-1)及びステップ(S-3)で取得した、吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の操業条件及び計測値に基づいて、吹錬進行時点における溶湯温度の逐次推定値である‘吹錬中温度推定値’及び溶湯中炭素濃度の逐次推定値である‘吹錬中炭素濃度推定値’を逐次推定する(S-4)。
吹錬の進行に伴って脱炭反応が進行し、逐次計算される吹錬中炭素濃度推定値が、0.6~1.4質量%の範囲内となる‘確認タイミング’に到る(S-5)。吹錬が確認タイミングまで進行したら、サブランス投入時期における溶湯温度の予測値である‘途中温度予測値’を計算する。この‘途中温度予測値’は、確認タイミングを溶湯中炭素濃度の逐次推定値にて定め、その炭素濃度の値、つまり、‘吹錬中炭素濃度推定値’をC(質量%)とした場合、以下の(2)式で推定される。
途中温度予測値(℃)=T(C)+d×(C-CSL)…(2)
ここで、T(C)は、‘吹錬中炭素濃度推定値’がC(質量%)時点での‘吹錬中温度推定値’(℃)、Cは、確認タイミング時点での‘吹錬中炭素濃度推定値’(質量%)、CSLは、途中サブランス投入予定時点での炭素濃度(質量%)である。dは、溶湯中の炭素の1.0質量%が燃焼したときの溶湯温度上昇率(℃/質量%)であり、過去の転炉吹錬の実績から重回帰で求めた値を用いることが好ましい。
つまり、‘途中温度予測値’は、上記の(2)式に示すように、‘吹錬中温度推定値’及び‘吹錬中炭素濃度推定値’によって求められる。
そして、求めた‘途中温度目標値’と、求めた‘途中温度予測値’とを用いて、上記の‘途中温度差’を算出する(S-6)。
‘途中温度目標値’は(1)式で表され、‘途中温度予測値’は(2)式で表されるので、(1)式及び(2)式から、途中サブランス投入時の‘途中温度予測値’と‘途中温度目標値’との差、つまり、‘途中温度差’が、下記の(3)式で表される。
途中温度差(℃)=途中温度予測値(℃)-途中温度目標値(℃)
=T(C)+d×(C-CSL)-[吹き止め目標溶鋼温度(℃)-a×W-b×W-c]…(3)
(3)式によって算出される‘途中温度差’が0(零)を超える場合は、‘途中温度予測値’が‘途中温度目標値’よりも高く、一方、‘途中温度差’が0(零)未満の場合は、‘途中温度予測値’が‘途中温度目標値’よりも低いことに対応する。
したがって、‘途中温度差’が正数の場合もまた負数の場合も、‘途中温度差’の絶対値が大きい場合は、溶湯温度を修正するアクション(行動、操作)が必要となる。即ち、‘途中温度差’の絶対値が予め定めた閾値より大きい場合、アクション後の‘途中温度予測値’が‘途中温度目標値’に近づくように作用するアクションを採る必要がある。
そこで、‘途中温度差’が予め定めた閾値(正数)よりも大きいか否かを判定する(S-7)。‘途中温度差’が正数であって閾値(正数)を超える場合は、溶湯温度を下げるために冷却材を投入する(S-8)。
‘途中温度差’が予め定めた閾値(正数)以下の場合は、途中温度差’が閾値(負数)よりも更に小さいか否かを判定する(S-9)。‘途中温度差’が負数であって、閾値(負数)よりも更に小さい場合は、溶湯温度を上げるために昇熱材を投入する(S-10)。
‘途中温度差’の絶対値が予め定めた閾値以下の場合には、溶湯温度を調整するためのアクションは実施しない。
例えば、予め定めた閾値を15℃とすると、‘途中温度差’が+15℃を超える場合は、アクション後の‘途中温度予測値’が低下して‘途中温度目標値’に近づくように、スケールや鉄鉱石などの冷却材を炉内に投入して溶湯を冷却する。冷却材の投入量は‘途中温度差’に冷却係数を乗じて決定する。一方、‘途中温度差’が、例えば、-15℃未満の場合は、アクション後の‘途中温度予測値’が上昇して‘途中温度目標値’に近づくように、炭材(含まれる炭素の燃焼によって温度を上昇させる)や、Fe-Si合金(含まれる珪素(Si)の燃焼によって温度を上昇させる)などの昇熱材を炉内に投入して溶湯を昇熱する。昇熱材の投入量は‘途中温度差’に昇熱係数を乗じて決定する。
‘途中温度差’の絶対値として予め定める閾値は、個別の製鋼工場の事情に合わせて適宜定めればよいが、10℃以上の値から選ばれる値であることが好ましい。例えば15℃というように定める。
‘途中温度差’の絶対値が10℃より小さければ、確認タイミングより後で且つサブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内に冷却材の投入または昇熱材の投入を行なわなくても、ダイナミック制御による修正が可能である。したがって、予め定める閾値は10℃以上の値とすればよい。また、‘途中温度差’の絶対値が大きい場合ほど、確認タイミングより後で且つサブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内への冷却材の投入量または昇熱材の投入量を多くすることで、ダイナミック制御での修正量が少なくなり、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に的中させやすくなるので、絶対値の上限は定める必要がない。
その後、溶湯中炭素濃度の逐次推定値である‘吹錬中炭素濃度推定値’に基づいて、脱炭酸素効率が低下し始めるタイミング(後述するように‘吹錬中炭素濃度推定値’がおよそ0.45質量%になった時点)を求め、そのタイミングで途中サブランスを投入する。
途中サブランスの投入後、途中サブランスにより実測されたサブランス測定値に基づき、ダイナミック制御を実施し、ダイナミック制御で示された操作を行なって、酸素吹錬を終了する。
以上の操作を行うことにより、従来よりも途中サブランス投入時点の溶湯温度制御が容易になり、その後のダイナミック制御により、吹き止め時の溶鋼温度を精度良く目標値に制御することが可能になる。
本発明の実施形態において、効果をより一層発現させるためのポイントは、‘吹錬中温度推定値’及び‘吹錬中炭素濃度推定値’の逐次推定をより正確に行なうことである。このため、吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の計測値として、前述した、転炉の排ガス処理設備の煙道に設けた排ガス流量計による排ガス流量の測定値、及び、排ガス分析計による排ガス成分(COガス濃度、COガス濃度、Oガス濃度など)の測定値のいずれか一方または双方を用いることが好ましい。更に、これらと併用して、‘吹錬中温度推定値’及び‘吹錬中炭素濃度推定値’の逐次推定に有用な他の計測値を採用することが好ましい。
例えば、採用する転炉の計測値として、吹錬中の転炉炉口部の光学特性についての計測値であって、スラグ中の酸化鉄の還元反応に由来するスペクトルの発光強度の変化率を採用することが好ましい。この値を採用することにより、吹錬中の溶湯中炭素濃度の逐次推定精度が向上する。具体的には、転炉炉口部の光学特性として、下記の(4)式の反応式に示すスラグ中酸化鉄の還元反応により、脱炭反応に伴って発光される光の波長帯(スペクトル)のうち、例えば、波長550~650nmの波長帯の発光強度の最大値を検出し、この計測値を利用する。
FeO+C→Fe+CO…(4)
送酸脱炭により、溶湯中炭素濃度が臨界炭素濃度付近に達すると、(4)式に示す脱炭反応の効率(脱炭酸素効率)が低下することによって、波長550~650nmの発光強度も低下することが知られている。ここで、‘臨界炭素濃度’とは、送酸脱炭による脱炭反応速度が、酸素の供給速度で律速される状態から溶湯中の炭素の移動(拡散)で律速される状態へと移動する境界での溶湯中炭素濃度である。換言すれば、‘臨界炭素濃度’は、脱炭酸素効率が低下し始める時点での溶湯中炭素濃度である。尚、臨界炭素濃度は、上吹きガス及び底吹きガスによる溶湯の攪拌力と酸化性ガスの流量とによって変化するが、およそ0.45質量%である。
そこで、本発明の実施形態においては、上記波長帯の発光強度の最大値の発光強度変化率を算出し、吹錬中の溶湯中炭素濃度の逐次推定に反映することが好ましい。例えば、発光強度変化率が正値から負値に転じるタイミングを溶湯中炭素濃度が臨界炭素濃度に達するタイミングとして検出することができる。
また、例えば、採用する計測値に、当該吹錬の原料として用いる溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際に非接触の光学的手法を用いて測定された溶銑の温度が含まれることが好ましい。この値を採用することにより、‘吹錬中温度推定値’の逐次推定精度が向上する。
具体的には、‘吹錬中温度推定値’の初期値として、溶銑保持容器から転炉に流入する際に測定された溶銑の温度に基づき定めた値を用いることが好ましい。通常、この初期値として、転炉への装入前に溶銑保持容器内に充填された溶銑に熱電対を浸漬させて測定した温度が用いられる。しかし、溶銑保持容器内の溶銑温度の測定後、転炉装入までの期間に溶銑保持容器内の溶銑の温度は降下し、チャージによってその降下量も異なるので、正確な溶銑温度が初期値として反映されているわけではない。したがって、溶銑が転炉へ装入されている期間中における溶銑の温度を測定し、この温度に基づき定めた値を‘吹錬中温度推定値’の初期値とすることが好ましい。‘吹錬中温度推定値’の初期値は、溶銑保持容器から転炉に流入する際に測定された溶銑の温度をそのまま用いてもよく、また、前チャージの出鋼から今回の溶銑装入までの時間、つまり、空炉時間や、装入される鉄スクラップの量などを考慮して溶銑保持容器から転炉に流入する際に測定された溶銑の温度を補正した値を用いてもよい。
溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際の溶銑温度の測定は、非接触の光学的手法を用いて行なう。この光学的手法としては、具体的には、溶銑から放射される発光スペクトルを測定し、測定された発光スペクトルのなかから選ばれる異なる2波長の放射エネルギー比から溶銑の温度を算出する、いわゆる、2色温度計を用いることが好ましい。溶銑温度を光学的に測定する温度計測器として2色温度計を用いることで、測温対象の放射率が変動する場合であっても、波長の異なる2つの分光放射率の関係が比例関係を保って変動する限りは、2つの分光放射率の比は温度のみに依存し、放射率の変動によらずに正確な温度測定が可能になるからである。
ここで、2色温度計で用いる異なる2波長をλ1及びλ2(λ2>λ1)としたとき、λ1及びλ2が、ともに400nmから1000nmの範囲内にあることが望ましい。λ1及びλ2が400nm未満である場合、波長が短いために通常の分光カメラでは放射エネルギーの検出が難しくなる。一方、λ1及びλ2が1000nmを超える場合には、波長が長いために放射率比変動の影響が大きくなる。更に、λ1とλ2との差の絶対値が50nm以上600nm以下であることが好ましい。λ1とλ2との差の絶対値が50nm未満である場合、λ1とλ2との波長が近いため、通常の分光カメラでは分光が難しくなるので好ましくない。一方、λ1とλ2との差の絶対値が600nmを超える場合には、必然的に片方の波長(λ2)を長波長の範囲から選択していることになり、波長が長いために放射率比変動の影響が大きくなるので好ましくない。
吹錬の原料として用いる溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際に非接触の光学的手法を用いて測定された溶銑の温度を、‘吹錬中温度推定値’の初期値として用いた場合、脱炭酸素効率が低下し始めるタイミングで途中サブランスを投入した場合の溶湯温度と、溶湯温度の逐次計算による途中サブランス投入時点での‘吹錬中温度推定値’との温度誤差は標準偏差1σで12.9℃と低下した。つまり、転炉に流入する際に非接触の光学的手法を用いて測定された溶銑の温度に基づき定めた値を、‘吹錬中温度推定値’の初期値として用いることで、途中サブランス投入時点での温度推定精度が更に向上した。
採用する転炉の計測値として、吹錬中の転炉炉口部の光学特性(スラグ中の酸化鉄の還元反応に由来するスペクトルの発光強度変化率)についての計測値と、当該吹錬の原料として用いる溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際に測定された溶銑温度の双方を含む場合、いずれの測定にも分光カメラで対応することができる。つまり、1基の分光カメラでも双方を測定できる。ここで、分光カメラとは、一般的に、いわゆるサーモビュアのような測定温度の平面イメージに加え、分光データを撮影できるカメラを総称したものである。尚、分光データとは、放射光に含まれる多数の波長を波長毎に分けて採取したデータである。
以下、本発明に係る転炉の操業方法を実施するうえで好適な吹錬制御システムを備えた転炉設備の構成を、図面を参照して説明する。図2に、本発明を実施するうえで好適な転炉設備の概略図を示す。
本発明を実施するうえで好適な転炉設備1は、転炉2と、上吹きランス3と、底吹き羽口4と、サブランス5と、転炉2の周囲に配置され、炉口燃焼火炎18を撮影可能とする分光カメラ7と、該分光カメラ7で撮影された撮影画像を取り出し可能に記録し、該撮影画像を解析する画像解析装置8と、該画像解析装置8で解析されたデータを入力する第1計算機9と、第1計算機9で解析されたデータを入力する操業制御用計算機12と、を有する。
また、第1計算機9で解析されたデータを入力する第2計算機10、及び、第2計算機10で解析されたデータを入力する第3計算機11を有する。第2計算機10で解析されたデータ及び第3計算機11で解析されたデータは、操業制御用計算機12に入力される。第1計算機9、第2計算機10及び第3計算機11は、1つの計算機で構成することもできる。操業制御用計算機12は、第1計算機9及び第3計算機11から入力されたデータに基づき、制御信号を発信する。
更に、操業制御用計算機12から発信された制御信号により、個別に作動可能に構成されるランス高さ制御装置13、サブランス昇降制御装置14、酸化性ガス流量制御装置15、底吹きガス流量制御装置16、及び、副原料投入制御装置17を有する。ランス高さ制御装置13は、上吹きランス3のランス高さを調整するための装置であり、サブランス昇降制御装置14は、サブランス5の下降及び上昇を制御するための装置である。酸化性ガス流量制御装置15は、上吹きランス3から噴射する酸化性ガスの流量を調整し且つ流量を測定するための装置である。底吹きガス流量制御装置16は、底吹き羽口4から吹き込む攪拌用ガスの流量を調整するための装置であり、副原料投入制御装置17は、炉上ホッパー24に収容される副原料の銘柄及び投入量を制御する装置である。
これらの制御装置からは、それぞれの実績値が操業制御用計算機12にフィードバック制御のために入力される。ここで、副原料とは、生石灰などの媒溶剤、鉄鉱石などの冷却材、炭材などの昇熱材の総称である。副原料に対して主原料とは、溶銑及び鉄スクラップである。
また更に、炉口20の上部に設置される排ガス排出用の煙道29には、転炉2から排出される排ガスの流量を測定するための排ガス流量計22、及び、排ガスの組成(COガス、COガス、Oガスなど)を分析するためのガス分析計23が設置されている。排ガス流量計22及びガス分析計23によるそれぞれの測定値は、第1計算機9に入力されている。
本発明で使用する転炉2は、上吹きランス3から、炉内の溶銑6に向けて酸化性ガス噴流19を噴射すると同時に、炉底部の底吹き羽口4から、攪拌用ガスを吹き込むことができる構成になっている。上吹きランス3から吹き付けられる酸化性ガスとしては、純酸素(工業用純酸素)や酸素と不活性ガスとの混合ガスが使用される。通常は、酸化性ガスとして純酸素が使用される。
第1計算機9には、当該吹錬(チャージ)で使用する溶銑6の組成(C、Si、Mn、P、Sなど)、温度、質量、及び、当該吹錬での鉄スクラップの質量(装入量)などのデータが、転炉プロセスコンピューター(図示せず)から入力される。また、第1計算機9には、サブランス5によるサブランス測定値、つまり、溶湯温度の測定値、または、溶湯温度及び溶湯中炭素濃度の双方の測定値が入力される。更に、第1計算機9には、酸素吹錬の吹き止め時(終了時)での溶鋼温度の目標値及び炭素濃度などの溶鋼成分濃度の目標値が転炉プロセスコンピューターから入力される。尚、酸素吹錬の吹き止め時での溶鋼温度の目標値及び炭素濃度などの溶鋼成分濃度の目標値は、直接、第1計算機9に設定することもできる。
第1計算機9は、吹錬開始前に、入力された当該吹錬の吹き止め時での溶鋼温度の目標値及び溶鋼成分濃度の目標値、並びに、入力された溶銑6の組成、温度、質量及び鉄スクラップの質量に基づき、熱収支計算及び物質収支計算に基づいた数式モデルを用いてスタティック制御を実施する。そして、第1計算機9は、吹き止め時での溶鋼温度及び溶鋼成分濃度を目標値に制御するために必要な供給酸素量、媒溶剤投入量及び冷却材または昇熱材の投入量を、スタティック制御のデータとして算出する。つまり、第1計算機9は、吹錬開始前に、スタティック制御を実施する。
第1計算機9によるスタティック制御のデータは、操業制御用計算機12に入力される。操業制御用計算機12は、第1計算機9から入力されたスタティック制御のデータに基づき、ランス高さ制御装置13、酸化性ガス流量制御装置15、底吹きガス流量制御装置16、及び、副原料投入制御装置17のそれぞれに、吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分濃度が目標値になるように制御信号を発信する。このようにして、スタティック制御に基づいた吹錬が開始される。
第1計算機9は、吹錬開始後の吹錬中には、熱収支計算及び物質収支計算に基づいた数式モデルを用いて、吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の操業条件及び計測値に基づいて、吹錬進行の各時点における溶湯温度の逐次推定値である‘吹錬中温度推定値’及び溶湯中炭素濃度の逐次推定値である‘吹錬中炭素濃度推定値’を逐次推定する。
‘吹錬中炭素濃度推定値’を逐次推定する方法としては、例えば、酸化性ガス流量制御装置15から入力される酸化性ガスの供給量と、転炉プロセスコンピューターから入力される酸素吹錬前の溶銑6の炭素濃度と、排ガス流量計22から入力される排ガス流量の測定値及びガス分析計23から入力される排ガス組成の測定値と、を用いて、脱炭反応における炭素及び酸素の物質収支計算を行い、炉内の溶湯の炭素濃度を推定する。
第2計算機10は、前述した‘途中温度目標値’及び‘確認タイミング’を設定する。途中サブランスの投入時期における溶湯温度の目標値である‘途中温度目標値’は、前述した(1)式を用いて算出する。設定する時期は、‘確認タイミング’の前であるならば、何時でもよいが、予定される吹錬時間の1/2程度が進行するまでに決定することが好ましく、吹錬開始の前に決定することがより好ましい。
ここで、‘確認タイミング’とは、前述したように、吹錬中の途中サブランス投入前の時期に、上記の‘途中温度目標値’と、サブランス投入時期における溶湯温度の予測値である‘途中温度予測値’との差である‘途中温度差’を確認するタイミングである。尚、確認タイミングは、第1計算機9によって求められる逐次推定値の‘吹錬中炭素濃度推定値’が、0.6~1.4質量%の範囲内のタイミングを確認タイミングとして定めることが好ましい。
吹錬が進行して、第1計算機9によって逐次算出される‘吹錬中炭素濃度推定値’が前記‘確認タイミング’まで進行したら、この‘吹錬中炭素濃度推定値’の信号を、第1計算機9は第2計算機10に入力する。第1計算機9から‘確認タイミング’が入力されたなら、第2計算機10は、前述した(2)式を用いて‘途中温度予測値’を算出する。そして、算出した‘途中温度予測値’と、既に算出済みの上記‘途中温度目標値’とを用いて、‘途中温度差’を前述した(3)式によって算出する。
第2計算機10は、求めた‘途中温度差’の絶対値に基づいて、サブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内に冷却材の投入または昇熱材の投入を行なうか否かを判定する。具体的には、例えば、‘途中温度差’の絶対値の閾値を15℃に設定し、途中温度差’が+15℃を超える場合は、スケールや鉄鉱石などの冷却材を炉内に投入し、一方、‘途中温度差’が-15℃未満の場合は、炭材やFe-Si合金などの昇熱材を炉内に投入する、と判定する。この場合には、‘途中温度差’の絶対値が15℃以下であれば、冷却材及び昇熱材の投入は実施しない。‘途中温度差’が+15℃を超える正数の場合は冷却材を投入し、‘途中温度差’が-15℃を超える負数の場合は昇熱材を投入するので、その後のサブランス投入時での‘途中温度差’の絶対値は小さくなる。つまり、冷却材または昇熱材の投入により、サブランス投入時点での途中温度目標値と途中温度予測値との差は小さくなる。第2計算機10は、冷却材または昇熱材の投入の有無を、第3計算機11及び操業制御用計算機12に送信する。
第3計算機11は、第2計算機10から冷却材または昇熱材の投入有の信号を入力したなら、冷却材の投入量または昇熱材の投入量を算出する。冷却材及び昇熱材の投入量は、‘途中温度差’の絶対値に基づいて算出する。例えば、冷却材が鉄鉱石であるならば、‘途中温度差’が+15℃超え+20℃以下の場合は2.7kg/溶銑-tonの原単位の冷却材を投入し、‘途中温度差’が+20℃超え+25℃以下の場合は3.6kg/溶銑-tonの原単位の冷却材を投入するなどして、‘途中温度差’が正数の場合には、‘途中温度差’が大きくなるほど、冷却材の投入量を多くする。一方、‘途中温度差’が負数の場合には、‘途中温度差’の絶対値が大きくなるほど、昇熱材の投入量を多くする。
算出された冷却材及び昇熱材の投入量は、第3計算機11から操業制御用計算機12に送信される。第3計算機11から冷却材及び昇熱材の投入量の信号を受けた操業制御用計算機12は、副原料投入制御装置17に所定量の冷却材または昇熱材を炉内に投入するように、制御信号を発信する。この制御信号を受けた副原料投入制御装置17は、炉内に所定量の冷却材または昇熱材を投入する。
その後、第1計算機9によって逐次算出される‘吹錬中炭素濃度推定値’が、脱炭酸素効率が低下し始める炭素濃度(およそ0.45質量%)になったなら、その信号を第1計算機9は操業制御用計算機12に送信する。この信号を受けた操業制御用計算機12はサブランス昇降制御装置14にサブランス投入の制御信号を発信する。この制御信号を受けたサブランス昇降制御装置14は、サブランス5を炉内に投入する。
サブランス5は、溶湯温度を測定するか、または、溶湯温度及び溶湯中炭素濃度の双方を測定する。ここで、溶湯温度は、サブランス5の先端に設置されるサブランスプローブ内の熱電対によって測定される。また、溶湯中炭素濃度は、サブランスプローブ内の溶湯サンプラーで採取された溶湯が溶湯サンプラー内で凝固する際の冷却曲線から求められる。サブランス5によるサブランス測定値、つまり、溶湯温度の測定値、または、溶湯温度及び溶湯中炭素濃度の双方の測定値は、第1計算機9に送信される。
第1計算機9は、サブランス5により実測されたサブランス測定値に基づいて、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分濃度を目標値とするために供給すべき酸素量並びに冷却材または昇熱材の投入要否及び投入量を算出する。つまり、第1計算機9は、サブランス投入後にダイナミック制御を実施する。
第1計算機9によるダイナミック制御の信号は、操業制御用計算機12に送信される。第1計算機9によるダイナミック制御の信号を受信した操業制御用計算機12は、酸化性ガス流量制御装置15に所定量の酸化性ガスを炉内に供給するように、制御信号を発信する。同時に、副原料投入制御装置17に所定量の冷却材または昇熱材を炉内に投入するように、制御信号を発信する。この制御信号を受けた酸化性ガス流量制御装置15は、炉内に所定量の酸素ガスを供給する。また、操業制御用計算機12から制御信号を受けた副原料投入制御装置17は、炉内に所定量の冷却材または昇熱材を投入する。
第1計算機9によるダイナミック制御による酸素量の供給及び冷却材または昇熱材の投入が完了したなら、酸素吹錬を終了する。
上記構成の吹錬制御システムにより、従来よりも途中サブランス投入時点の溶湯温度制御が容易になり、その後のダイナミック制御により、吹き止め時の溶鋼温度を精度良く目標値に制御することが可能になる。
本発明においては、‘吹錬中温度推定値’及び‘吹錬中炭素濃度推定値’の逐次推定をより正確に行なうために、前述したように、吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の計測値として、吹錬中の転炉炉口部の光学特性についての計測値、及び/または、溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際に非接触の光学的手法を用いて測定された溶銑の温度測定値を採用することが好ましい。
本発明で使用する転炉設備1には、転炉炉口部の光学特性についての計測値及び非接触の光学的手法を用いて測定される溶銑の温度測定値を測定するために、図2に示すように、分光カメラ7が備えられている。図2中の符号25は、副原料の投入シュート、符号26は、上吹きランスへの酸化性ガス供給管、符号27は、上吹きランスへの冷却水供給管、符号28は、上吹きランスからの冷却水排出管である。
転炉2の周囲には、転炉の炉口燃焼火炎18の発光スペクトルを測定できる位置に分光カメラ7が取り付けられる。取り付けられた分光カメラ7により、転炉の炉口20と可動式フード21との隙間から見える炉口燃焼火炎18を撮影する。分光カメラ7により撮影された撮影画像(画像データ)は、逐次、画像解析装置8に送信される。画像解析装置8では、送られた撮影画像(画像データ)を記録するとともに、画像データの任意の走査線上を線分析して、発光波長及び波長ごとの発光強度を解析する。
解析された炉口燃焼火炎18の画像データは、その都度、第1計算機9に送信される。第1計算機9は、酸素及び炭素の物質収支計算によって‘吹錬中炭素濃度推定値’の逐次推定を行う際に、画像解析装置8から入力された炉口燃焼火炎18の発光スペクトルの解析画像データを利用して、‘吹錬中炭素濃度推定値’を逐次推定する。これにより、‘吹錬中炭素濃度推定値’の推定精度が向上する。
ここで、「炉口燃焼火炎」とは、転炉2の炉口20から上方の煙道29に向かって吹き出す炉内の火炎を指す。炉口燃焼火炎18の発光スペクトルには、転炉内で脱炭反応によって発生するCOガスや、このCOガスの一部と転炉炉口部分で吸引される空気とが混合して起こる自然発火によって生成するCOガスに関する情報や、炉内の火点から蒸発する鉄原子に由来するFeO*(中間生成物)に関する情報が含まれている。
本発明者らは、この発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、その波長ごとの発光強度をリアルタイムに測定することで、転炉の炉内状況が、リアルタイムに容易に推定できることを確認している。更に、本発明者らは、FeO*の生成時には、この波長域で吸光ピークが認められ、一方、FeO*の消失時には、同じ波長域で発光ピークが認められ、このうち、発光強度がFeO*の消失速度に連動していることを確認している。
監視しているのは、炉内の溶融鉄浴の火点で主に生成するFeO*の電子状態が遷移するときに発せられる或いは吸収される、特定の波長の電磁波である。FeO*は炉内から立ちのぼる火炎と一体になっているので、例えば、脱炭反応が終了に近づいたときはFeO*の発生量及びFeO*の反応量は減るので、この火炎の発光スペクトルを分光すれば、580~620nmの波長の発光強度は減少する。即ち、脱炭反応速度が溶湯中の炭素の物質移動律速になると、FeOの還元よりもFeOの生成が支配的になり、580~620nmの波長の発光強度は急落する。
次に、分光カメラ7で、当該吹錬で使用される溶銑6が、溶銑保持容器30から転炉2に流入する際に、溶銑6の温度を測定する方法を説明する。
図3に、溶銑保持容器から転炉に流入される溶銑の温度を測定する概略図を示す。当該吹錬の原料として用いる溶銑6が溶銑保持容器30から転炉2に流入する際に、溶銑温度を測定する場合、分光カメラ7は、例えば転炉装入側の炉前で、溶銑6が溶銑保持容器30から転炉2へ流入する際の注入流が観測できる場所に設置される。注入流を見上げるような角度で分光カメラ7を設置すると、溶銑装入時の発塵の影響を受けにくく好ましい。分光カメラ7では、溶銑装入開始から終了までの間、予め設定されたサンプリングレート(例えば1秒おき)で2色温度情報が採取される。
分光カメラ7によって採取された2色温度情報は画像解析装置8に送信され、画像解析装置8で溶銑温度が算出される。算出された溶銑温度は第1計算機9に入力され、第1計算機9は、入力された溶銑温度に基づき定めた値を‘吹錬中温度推定値’の初期値として用い、‘吹錬中温度推定値’の逐次計算が行われる。
分光カメラ7で測定される溶銑温度に基づき定めた値を、‘吹錬中温度推定値’の初期値として用いることで、途中サブランス投入時点での温度推定精度がより一層向上する。
分光カメラ7によって2色温度情報を測定する方法としては、分光カメラ7で多数の波長データを採取しておき、得られたデータから画像解析装置8などで任意の2波長のデータを抽出してもよいし、分光カメラ内にバンドパスフィルターを有するカメラであれば、このバンドパスフィルターによって任意の2波長を抽出してもよい。また、分光カメラ7の撮像はCCD素子によって行なうものが多いが、複数のCCD素子を搭載し、各CCD素子が別の波長範囲を測定するものであってもよい。
分光カメラ7は、吹錬中の転炉炉口部の光学特性(スラグ中の酸化鉄の還元反応に由来するスペクトルの発光強度変化率)の計測用と、転炉装入中の溶銑温度の計測用のそれぞれに対し別に備えてもよいし、共用してもよい。共用する場合は、転炉2の炉口20と可動式フード21との隙間から見える炉口燃焼火炎18、及び、溶銑6が溶銑保持容器30から転炉2に流入する際の注入流の両方が観測できる場所に設置する。或いは、溶銑装入中は溶銑6が溶銑保持容器30から転炉2に流入する際の注入流が観測できる場所に設置し、溶銑装入後、吹錬開始前までに転炉2の炉口20と可動式フード21との隙間から見える炉口燃焼火炎18が観測可能な場所に移動できるように、移動手段を設けてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、スタティック制御とダイナミック制御とを用いて吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に制御する転炉操業方法において、ダイナミック制御での修正により、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を目標値に的中させることが可能な範囲に、途中サブランス投入時点での溶湯温度を制御するようにしたので、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼成分を高い精度で目標値に的中させることができる。
溶銑に予め脱硫処理及び脱燐処理を施した後、図2に示す、350トン容量の上底吹き転炉(酸素ガス上吹き、アルゴンガス底吹き)を用いて、300~350トンの溶銑を、スタティック制御、途中サブランス投入、ダイナミック制御によって酸素吹錬し、溶銑を脱炭精錬して溶鋼を製造した。吹き止め時の目標溶鋼温度は各々の吹錬によって異なり、1660~1700℃の範囲であった。各吹錬における吹き止め時の目標溶鋼温度の的中範囲は、目標溶鋼温度±10℃である。吹錬に使用した溶銑の化学成分及び溶銑温度を表1に示す。
Figure 0007088439000001
転炉の排ガス処理設備の煙道に設置された排ガス流量計及び排ガス分析計、並びに、上吹きランスから供給される酸素量及び投入した固体酸素量(鉄鉱石など)の関係から、炉内の酸素収支誤差が最小となるように炉内成分の燃焼量を決定した。得られる炉内成分反応量を反応熱量に変換し、‘吹錬中温度推定値’の逐次算出を行った。また、酸素及び炭素の物質収支計算によって‘吹錬中炭素濃度推定値’の逐次推定を行った。
溶銑を転炉に装入するタイミングで、転炉炉口と溶銑保持容器との間に見える溶銑を分光カメラで撮影した。得られた溶銑の発光スペクトルのうち、波長550nmと850nmとの発光強度から転炉装入時の溶銑温度を算出した。また、吹錬中は、分光カメラにより炉口燃焼火炎の発光スペクトルを撮影し、発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、その波長ごとの発光強度をリアルタイムで測定した。使用した波長は610nmとした。分光カメラは1基の分光カメラを使用し、移動手段を用いて、炉口燃焼火炎、及び、溶銑保持容器から転炉に流入する溶銑の注入流が観測できる場所に設置した。
本発明例では、溶銑を転炉に装入するタイミングで測定した溶銑温度を、‘吹錬中温度推定値’の初期値として用い、‘吹錬中温度推定値’の逐次計算を行った。また、酸素及び炭素の物質収支計算を用いて‘吹錬中炭素濃度推定値’を推定する際に、炉口燃焼火炎の発光スペクトルの解析画像データを併用して、‘吹錬中炭素濃度推定値’の逐次推定を行った。
また、本発明例では、‘吹錬中炭素濃度推定値’が1.2質量%となる時点を‘確認タイミング’として決定し、‘途中温度目標値’を各吹錬の吹き止め時の目標溶鋼温度に応じて、前述した(1)式で求めた。‘途中温度目標値’は、‘吹き止め時の目標溶鋼温度-35℃’から‘吹き止め時の目標溶鋼温度-65℃’までの範囲内であった。
そして、本発明例では、‘吹錬中炭素濃度推定値’が1.2質量%となった時点で、(3)式を用いて‘途中温度差’を求めた。求めた‘途中温度差’が+15℃を超える場合は、途中サブランス投入の前までに、冷却材として鉄鉱石を炉内に投入した。一方、‘途中温度差’が-15℃未満の場合は、途中サブランス投入の前までに、昇熱材として炭材(炭素含有量75質量%以上)を炉内に投入した。
冷却材としての鉄鉱石及び昇熱材としての炭材の投入量は、‘途中温度差’にそれぞれ冷却係数及び昇熱係数を乗じた値を採用した。冷却係数及び昇熱係数は過去の吹錬計算結果から重回帰にてそれぞれ求め、冷却係数は-0.18[(鉄鉱石・kg)/(溶銑・ton×℃)]を使用し、昇熱係数は+0.25[(炭材・kg)/(溶銑・ton×℃)]を使用した。
その後、溶湯中炭素濃度の逐次推定値である‘吹錬中炭素濃度推定値’に基づいて、脱炭酸素効率が低下し始めるタイミング(溶湯中炭素濃度≒0.45質量%)を求め、そのタイミングで途中サブランスを投入した。
途中サブランスの投入後、途中サブランスによる溶湯温度と溶湯中炭素濃度との実測値に基づき、ダイナミック制御を実施し、ダイナミック制御で示された操作を行なって、酸素吹錬を終了した。
一方、比較例は、溶銑を転炉に装入するタイミングで測定した溶銑温度を、‘吹錬中温度推定値’の初期値として利用せず、転炉への装入前に溶銑保持容器内に充填された溶銑に熱電対を浸漬させて測定した溶銑温度を、‘吹錬中温度推定値’の初期値として使用して‘吹錬中温度推定値’の逐次計算を行った。また、炉口燃焼火炎の発光スペクトルの解析画像データを併用せずに、酸素及び炭素の物質収支計算を用いて‘吹錬中炭素濃度推定値’を推定した。
そして、‘吹錬中炭素濃度推定値’が0.45質量%となった時点で、サブランスを投入した。途中サブランスによる溶湯温度と溶湯中炭素濃度との実測値に基づき、ダイナミック制御を実施し、ダイナミック制御で示された操作を行なって、酸素吹錬を終了した。
表2に、本発明例及び比較例の試験条件及び試験結果を示す。
Figure 0007088439000002
本発明例は、吹錬吹き止め時(終点)の的中率が87%と高く、比較例に比べて大幅に吹錬吹き止め時(終点)の的中率を大幅に向上させることが確認できた。
図4は、本発明例及び比較例において、途中サブランス投入時点での溶湯温度と溶湯中炭素濃度との関係を示した図である。図4から明らかなように、本発明例では、途中サブランス投入時点での溶湯温度が、吹き止め時の目標溶鋼温度に対してばらつきが少なくなり、途中サブランス投入時点での溶湯温度が制御されていることが確認できた。
図5は、本発明例及び比較例において、吹錬吹き止め時の目標溶鋼温度と、吹錬吹き止め時の実績溶鋼温度との誤差を示す図である。図5に示すように、本発明によって吹錬吹き止め時の溶鋼温度を目標溶鋼温度に精度良く制御できることが確認できた。
1 転炉設備
2 転炉
3 上吹きランス
4 底吹き羽口
5 サブランス
6 溶銑
7 分光カメラ
8 画像解析装置
9 第1計算機
10 第2計算機
11 第3計算機
12 操業制御用計算機
13 ランス高さ制御装置
14 サブランス昇降制御装置
15 酸化性ガス流量制御装置
16 底吹きガス流量制御装置
17 副原料投入制御装置
18 炉口燃焼火炎
19 酸化性ガス噴流
20 炉口
21 可動式フード
22 排ガス流量計
23 ガス分析計
24 炉上ホッパー
25 副原料の投入シュート
26 上吹きランスへの酸化性ガス供給管
27 上吹きランスへの冷却水供給管
28 上吹きランスからの冷却水排出管
29 煙道
30 溶銑保持容器

Claims (12)

  1. 転炉内の溶銑に酸化性ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する吹錬中に、炉内にサブランスを投入して少なくとも炉内の溶湯の溶湯温度を含むサブランス測定値を実測し、実測したサブランス測定値に基づいて、吹錬吹き止め時までに供給すべき酸素量並びに冷却材または昇熱材の投入要否及び投入量を決定することにより、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分濃度を目標値に制御する転炉の操業方法であって、
    サブランス投入時期における溶湯温度の目標値である途中温度目標値を定めるとともに、前記途中温度目標値とサブランス投入時期における溶湯温度の予測値である途中温度予測値との差である途中温度差を、サブランス投入時期よりも前の吹錬中に確認する確認タイミングを定め、
    吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の操業条件及び計測値に基づいて、吹錬進行時点における溶湯温度の推定値である吹錬中温度推定値及び溶湯中炭素濃度の推定値である吹錬中炭素濃度推定値を逐次推定するとともに、
    吹錬が前記確認タイミングまで進行したら、前記吹錬中温度推定値及び前記吹錬中炭素濃度推定値に基づき前記途中温度差を算出し、
    算出された前記途中温度差の絶対値が予め定めた閾値より大きい場合に、前記確認タイミングより後で且つサブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内に冷却材の投入または昇熱材の投入を行なう、転炉の操業方法。
  2. 前記確認タイミングを、前記吹錬中炭素濃度推定値によって定める、請求項1に記載の転炉の操業方法。
  3. 前記確認タイミングを、前記吹錬中炭素濃度推定値が0.6~1.4質量%となる範囲で定める、請求項2に記載の転炉の操業方法。
  4. 前記予め定めた閾値が10℃以上の値から選ばれる値である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
  5. 前記途中温度差の絶対値が予め定めた閾値より大きい場合に、前記確認タイミングより後で且つサブランス投入の前の吹錬中に投入する冷却材の量または昇熱材の量は、前記吹錬中温度推定値、吹錬吹き止め時の溶鋼温度の目標値及び当該吹錬中に転炉内に投入した生石灰の量のうちの1つまたは2つ以上に基づいて決定する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
  6. 吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の前記計測値が、排ガス流量計及び排ガス分析計から得られる計測値のいずれか一方または双方を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
  7. 吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の前記計測値が、吹錬中の転炉炉口部の光学特性についての計測値であって、スラグ中の酸化鉄の還元反応に由来するスペクトルの発光強度の変化率を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
  8. 吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の前記計測値が、当該吹錬の原料として用いる溶銑が溶銑保持容器から転炉に流入する際に非接触の光学的手法を用いて測定された溶銑温度を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
  9. 転炉内の溶銑に酸化性ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する吹錬中に、少なくとも炉内の溶湯の溶湯温度を含むサブランス測定値を実測するサブランスと、
    吹錬開始時及び吹錬中に得られる転炉の操業条件及び計測値に基づいて、吹錬進行時点における溶湯温度の推定値である吹錬中温度推定値及び溶湯中炭素濃度の推定値である吹錬中炭素濃度推定値を逐次推定するとともに、前記サブランスにより実測されたサブランス測定値に基づいて、吹錬吹き止め時の溶鋼の温度及び成分濃度を目標値とするために供給すべき酸素量並びに冷却材または昇熱材の投入要否及び投入量を算出する第1計算機と、
    前記第1計算機によって算出された前記酸素量及び前記冷却材または昇熱材の投入量に基づき、吹錬吹き止め時の溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度が目標値になるように、操業条件を制御する操業制御用計算機と、
    サブランス投入時期における溶湯温度の目標値である途中温度目標値を設定し、且つ、該途中温度目標値とサブランス投入時期における溶湯温度の予測値である途中温度予測値との差である途中温度差をサブランス投入時期よりも前の吹錬中に確認する確認タイミングを設定するとともに、
    前記途中温度目標値と前記途中温度予測値との差である途中温度差を算出し、算出された前記途中温度差の絶対値に基づき、前記確認タイミングより後で且つサブランス投入よりも前の吹錬中に、転炉内に冷却材の投入または昇熱材の投入を行なうか否かを判定する第2計算機と、
    冷却材の投入または昇熱材の投入を行なう場合には、冷却材の投入量または昇熱材の投入量を算出する第3計算機と、
    を有する、転炉の吹錬制御システム。
  10. 転炉の排ガス処理設備に排ガス流量計及び排ガス分析計を備え、前記排ガス流量計及び前記排ガス分析計で計測された排ガスのデータが前記排ガス流量計及び前記排ガス分析計から前記第1計算機に送信され、前記第1計算機は、送信された排ガスのデータを、吹錬中温度推定値及び吹錬中炭素濃度推定値の逐次推定に利用するように構成されている、請求項9に記載の転炉の吹錬制御システム。
  11. 転炉の周囲に配置され、転炉と可動式フードとの隙間から炉口燃焼火炎を撮影する分光カメラと、該分光カメラから送られた画像データを取り出し可能に記録するとともに、前記画像データの発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度を算出する画像解析装置とを備え、前記発光強度のデータが前記画像解析装置から前記第1計算機に送信され、前記第1計算機は、送信された発光強度のデータを、吹錬中温度推定値及び吹錬中炭素濃度推定値の逐次推定に利用するように構成されている、請求項9または請求項10に記載の転炉の吹錬制御システム。
  12. 転炉での吹錬の原料として用いる溶銑が前記転炉へ装入されている期間中における溶銑の温度を装入時の溶銑温度として光学的に測定する温度計測器を備え、該温度計測器による温度測定値のデータが前記温度計測器から前記第1計算機に送信され、前記第1計算機は、送信された温度測定値のデータを、吹錬中温度推定値及び吹錬中炭素濃度推定値の逐次推定に利用するように構成されている、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御システム。
JP2022516106A 2020-12-11 2021-11-19 転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム Active JP7088439B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020205676 2020-12-11
JP2020205676 2020-12-11
PCT/JP2021/042572 WO2022124050A1 (ja) 2020-12-11 2021-11-19 転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2022124050A1 JPWO2022124050A1 (ja) 2022-06-16
JP7088439B1 true JP7088439B1 (ja) 2022-06-21

Family

ID=81974413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022516106A Active JP7088439B1 (ja) 2020-12-11 2021-11-19 転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP7088439B1 (ja)
KR (1) KR20230098852A (ja)
CN (1) CN116547392A (ja)
TW (1) TWI804075B (ja)
WO (1) WO2022124050A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115369209A (zh) * 2022-07-08 2022-11-22 阳春新钢铁有限责任公司 一种准确控制转炉冶炼过程枪位的操作方法
CN115522011A (zh) * 2022-09-02 2022-12-27 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种调整转炉提温剂焦炭加入时机改善转炉冶炼热平衡的方法
CN115232907B (zh) * 2022-09-23 2022-12-20 北京科技大学 一种转炉炼钢吹氧量的预测方法和系统
CN116067900B (zh) * 2023-03-29 2023-06-16 北京科技大学 火点区自主发光监测熔池温度和成分数据分析方法及装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007327113A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉吹錬制御方法、転炉吹錬制御装置及びコンピュータプログラム
JP2012117090A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉吹錬方法及び転炉吹錬システム
JP2013060659A (ja) * 2011-08-23 2013-04-04 Jfe Steel Corp 転炉での溶銑の脱炭精錬方法
JP2019183222A (ja) * 2018-04-10 2019-10-24 日本製鉄株式会社 T.Fe推定方法、T.Fe制御方法、統計モデル生成方法、転炉吹錬制御装置、統計モデル生成装置、およびプログラム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110809629B (zh) * 2017-06-30 2022-04-05 杰富意钢铁株式会社 转炉操作的监视方法及转炉的操作方法
CN112154218B (zh) 2018-05-14 2022-09-27 杰富意钢铁株式会社 熔融金属成分推断装置、熔融金属成分推断方法和熔融金属的制造方法
JP6954262B2 (ja) 2018-12-28 2021-10-27 Jfeスチール株式会社 転炉の操業方法
CN113512620B (zh) * 2020-04-10 2024-04-26 北京凯德恒源科技发展有限公司 气体分析+副枪的转炉冶炼全过程终点碳动态控制方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007327113A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉吹錬制御方法、転炉吹錬制御装置及びコンピュータプログラム
JP2012117090A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉吹錬方法及び転炉吹錬システム
JP2013060659A (ja) * 2011-08-23 2013-04-04 Jfe Steel Corp 転炉での溶銑の脱炭精錬方法
JP2019183222A (ja) * 2018-04-10 2019-10-24 日本製鉄株式会社 T.Fe推定方法、T.Fe制御方法、統計モデル生成方法、転炉吹錬制御装置、統計モデル生成装置、およびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
KR20230098852A (ko) 2023-07-04
WO2022124050A1 (ja) 2022-06-16
CN116547392A (zh) 2023-08-04
TW202225418A (zh) 2022-07-01
TWI804075B (zh) 2023-06-01
JPWO2022124050A1 (ja) 2022-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7088439B1 (ja) 転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム
JP6685260B2 (ja) 溶鉄の精錬方法及びスラグの組成分析方法
TWI739364B (zh) 轉爐之噴濺預測方法、轉爐之作業方法及轉爐之噴濺預測系統
JP5924186B2 (ja) 転炉での溶銑の脱炭精錬方法
JP5630324B2 (ja) 転炉での溶銑の脱炭精錬方法
JP5678718B2 (ja) 転炉での溶銑の脱炭精錬方法
JPH05263120A (ja) 転炉吹錬制御方法
WO2022004119A1 (ja) 転炉吹錬制御方法及び転炉吹錬制御システム
RU2813298C1 (ru) Способ управления продувкой конвертера и система управления продувкой конвертера
RU2811549C1 (ru) Способ управления продувкой конвертера и система управления продувкой конвертера
TWI840756B (zh) 轉爐之操作方法及熔鋼之製造方法
KR101663949B1 (ko) 전로의 취련 방법
JP7156550B2 (ja) 転炉吹錬制御方法及び転炉吹錬制御システム
JP2621613B2 (ja) 上底吹転炉における終点炭素濃度制御法
JP2023103049A (ja) 転炉の吹錬制御方法
JPH0675037B2 (ja) 溶鉄成分の検出方法およびそれに基づく精錬方法
JPH07118723A (ja) 転炉精錬法
TW201734214A (zh) 熔融生鐵預備處理方法及熔融生鐵預備處理控制裝置
JP2021050415A (ja) 溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法
JPH0219416A (ja) 転炉吹錬方法
JP2897363B2 (ja) 溶銑の製造方法
JPS5928515A (ja) 鋼の精錬方法
JPH05339617A (ja) 転炉吹錬方法
JPH0741813A (ja) 転炉精錬方法
JPH01230987A (ja) 原料予熱温度制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220323

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7088439

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150