JP7085693B2 - 被膜除去装置、被膜除去方法、および接合装置 - Google Patents

被膜除去装置、被膜除去方法、および接合装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えばマッシュシーム溶接のように二枚の金属板の端部を重ね合わせて接合するのに先立って、接合部分に形成されている表面被膜を除去する技術に関する。
マッシュシーム溶接は、例えば特許文献1に記載されるように、二枚の金属板の端部を重ね合わせ、その重ね合わせた部分を一対の電極輪で加圧し、溶接電流を流しながら連続的に溶接をした後に、一対の圧下ロールにより重ね合わせた段差の平坦化を図る。
金属板の表面には、酸化スケール、めっき膜、塗装等の絶縁性の被膜が存在し得る。絶縁性の表面被膜(以下、単に表面被膜)が存在する金属板を安定してマッシュシーム溶接するには、表面被膜を除去する必要がある。例えば、特許文献1には、表面被膜を除去する機能を備えた溶接装置が提案されている。特許文献1の装置は、表面被膜を除去する回転工具としてのブラシを備えており、このブラシはシリンダで昇降が可能とされている。
特開2001-150145号公報
特許文献1の装置は、ブラシが昇降可能であるから、接合対象である金属板に対して適切な位置にブラシを置いて表面被膜を除去できる。しかし、金属板の端部がうねるなどして変形している場合には、ブラシと金属板との接触状態が不均一になる。そうすると、ある部分では表面被膜を除去できるのに、他の部分では表面被膜の除去が不十分であるということが生じ得る。
そこで本発明は、端部がうねるなどして変形している金属板であっても、表面被膜を安定して除去できる除去装置、除去方法、およびこの除去装置を備える接合装置を提供することを目的とする。
本発明に係る被膜除去装置は、回転軸に支持される回転体からなり、接合対象の表裏に形成される表面被膜を除去する一対の研削材と、一対の研削材により表面被膜が除去される接合対象を表裏から挟んで接合対象に対して移動しながら加圧する一対の加圧体と、を備え、研削材および加圧体のそれぞれの接合対象に接触する外端が、回転軸の方向に並んで配置される。
本発明は、接合対象の表裏に形成される表面被膜を、表裏のそれぞれに設けられる一対の回転体からなる研削材の回転により除去する方法であって、研削材の回転の軸方向に研削材と並んで、かつ表裏のそれぞれに配置される一対の加圧体により接合対象を表裏から挟んで接合対象に対して移動しながら加圧して、一対の研削材により表面被膜を除去する。
本発明は、第1接合対象と第2接合対象の端部同士を重ね合わせて接合する接合装置であって、重ね合わされる第1接合対象と第2接合対象のそれぞれの表裏に形成される表面被膜を除去する被膜除去部と、表面被膜が除去された第1接合対象と第2接合対象の端部同士を重ね合わせた状態で接合する接合部と、を備える。
本発明における被膜除去部は、第1接合対象と第2接合対象のそれぞれの表裏に形成される表面被膜を除去する一対の研削材と、研削材により表面被膜が除去される第1接合対象と第2接合対象のそれぞれを表裏から挟んで加圧する一対の加圧体と、を備える。
本発明に係る被膜除去によれば、一対の研削材により表面被膜を除去する際に、一対の加圧体により接合対象を表裏から加圧するので、接合対象がうねるなどして変形していても、少なくとも加圧時の加圧部位においては変形が低減され、研削材に対する接合対象の相対的な位置を一定に保つことができる。これにより、研削材に加わる接合対象からの反力を均等にできるので、表面被膜を安定して除去できる。
また、本発明に係る被膜除去によれば、研削材および加圧体が回転軸の方向に並んで配置される構成より、研削材の外端と加圧体の外端とを回転軸の方向に近接させることができる。そうすると、接合対象において加圧体により変形が矯正された箇所のすぐそばを研削材により研削することができるので、接合対象から表面被膜を安定して除去することができる。
本発明の第1実施形態に係る接合装置の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。 第1実施形態に係る表面被膜除去部の概略構成を示す正面図である。 第1実施形態に係る表面被膜除去部の概略構成を示す側面図である。 第1実施形態に係る表面被膜除去部の動作を示し、(a)は表面被膜を除去しない待機状態を示し、(b)は表面被膜を除去する作業状態を示し、(c)は鋼板に対向するブラシロールの先端部分の移動軌跡を示している。 (a)~(c)は、第1実施形態に係る表面被膜除去部における接合対象の変形を矯正する過程を示している。 第1実施形態に係る接合装置における各工程を示す部分正面図であり、(a)は被膜除去工程を示し、(b)はせん断工程を示し、(c)は溶接工程を示し、(d)は圧下工程を示す。 図6に続き、(a)は冷却工程を示し、(b)は加熱工程を示し、(c)は空冷工程を示す。 第1実施形態の接合装置が往路を移動する過程を示し、(a)は溶接装置が後退位置にいるときを示し、(b)は被膜除去工程のときの位置を示し、(c)は切断工程のときの位置を示す。 図8に引き続いて、接合装置が復路を移動する過程を示し、(a)溶接工程及び圧下工程のときの位置を示し、(b)は冷却工程のときの位置を示し、(c)は加熱工程のときの位置を示し、(d)は後退位置に戻ったときを示している。 第1実施形態の変形例における一対の押えロールの位置関係を示す図である。 図10に示す押えロールの位置関係を採用することによる得られる効果を説明する図であり、(a)は図10のA-A断面に対応し、(b)は図10のB-B断面に対応し、(c)は図10のC-C断面に対応する。 (a)および(b)は、第1実施形態におけるブラシロールの摩耗に対応する第1手段を説明する図である。 (a)~(c)は、第1実施形態におけるブラシロールの摩耗に対応する第2手段を説明する図である。 図13(c)に示す構造を具体的に示す図である。 本発明の変形例における加圧体としての押えロールの代替手段を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る接合装置に採用される偏心構造を含む被膜除去部の一部を示す縦断面図である。 図16のXVII-XVII線矢視図である。 初期線材丈のブラシロールに対して押えロールを偏心回転させた様子を示す模式図である。 ブラシロールの摩耗量に応じて押えロールを偏心回転させた様子を示す模式図である。 鋼板とブラシロールのブラシとの接触箇所における突出量を示す模式図である。 第2実施形態の偏心構造により、摩耗による線材丈の減少に対して突出量が維持されることを説明するためのグラフである。 第2実施形態の偏心構造により、ブラシロールの使用可能期間が延びることを説明するための模式図である。 ブラシロールの摩耗量の計測結果に応じて自動的に偏心軸を回転させるための構成を示す模式図である。 突出量を一定に維持するための偏心軸回転角度の計算の一例を示すグラフである。 第2実施形態の被膜除去部を用いる被膜除去工程に関し、ブラシロールの摩耗量に応じた回転角度に偏心軸を回転させるステップを含む突出量調整のための手順の一例を示すフローチャートである。
〔第1実施形態〕
本発明の好ましい一実施形態に係る接合装置1を、図面を参照しながら説明する。
接合装置1は、接合対象である鋼板S(図1(b))が搬送される搬送路P1(図1(b))の途中に備えられ、鋼板Sと鋼板Sの端部どうしを溶接により接合する。接合装置1は、接合される鋼板Sの端部がうねるなどして変形していても被膜を安定して除去できる被膜除去部60を備えている。
以下、接合装置1の構成、動作を順に説明した後に、接合装置1が奏する効果に言及する。
[接合装置1の構成]
接合装置1は、図1に示すように、マッシュシーム溶接(mash seam welding,JIS Z 3001)を担う溶接部20と、溶接部20で溶接された部分を加圧する圧下部30と、を備えている。この溶接部分は先行鋼板S1(図2)の後端と後行鋼板S2(図2)の先端が重ね合わされた部分を含み、溶接部分以外に比べると肉厚な段差をなしており、圧下部30はこの段差を他の部分と概ね同じ肉厚になるまで押し潰して平坦化の程度を改善する。
また、接合装置1は、圧下部30で圧下された溶接部分に向けて噴霧水を供給する冷却部40と、噴霧水が供給された溶接部分を加熱する加熱部50と、を備えている。
さらに、接合装置1は、溶接前に接合対象である鋼板Sの表面の主に酸化スケールを除去する被膜除去部60と、被膜除去部60により酸化スケールなどの表面被膜が除去された鋼板Sの端部をせん断により切除する切断部90と、を備えている。
加えて、接合装置1は、溶接部20、圧下部30、冷却部40、加熱部50、被膜除去部60および切断部90の動作を制御する制御装置1Aを備えている。
溶接部20、圧下部30、冷却部40、加熱部50、被膜除去部60および切断部90は、移動フレーム10に支持されている。移動フレーム10は、予め定められた鋼板Sの搬送路P1に対して、搬送路P1の方向とは直交する方向へ往復移動し、溶接部20、圧下部30、冷却部40、加熱部50、被膜除去部60および切断部90も、この往復移動に伴って搬送路P1に対して同様に往復移動する。
[移動フレーム10]
移動フレーム10は、図1(a)に示すように、側面視した形状がC型の形状を有しており、側面視における一方端に高さ方向Hに沿う接続端11Aが設けられ、他方端には開口11Bが設けられる。なお、高さ方向Hは鉛直方向vと一致する。
移動フレーム10は、図1(b)に示すように、開口11Bが搬送路P1を向いて配置される。なお、移動フレーム10において、開口11Bが設けられる側を前方(F)、接続端11Aが設けられる側を後方(B)と定義する。
移動フレーム10は、接続端11Aに繋がり前方(F)に向けて延びる上下一対の支持台12A,12Bを備えている。支持台12A,12Bは、高さ方向Hに所定の間隔を隔てて長さ方向Lに沿って設けられる。支持台12Aは上方に、支持台12Bは下方に配置される。なお、長さ方向Lは水平方向hと一致する。
支持台12Bは、移動フレーム10を移動させるのに必要な複数の車輪13,13…を、下面14の側に備えている。車輪13は、図示を省略する駆動源により正転又は逆転することにより、移動フレーム10を往復移動させることができる。車輪13はあくまで一例であり、他に例えばリニアガイドを移動手段として利用できる。リニアガイドによれば、移動フレーム10の移動がより円滑でかつ移動フレーム10の上下方向の位置が安定しやすいという利点がある。
支持台12Aと支持台12Bの間に前方側から加熱部50、被膜除去部60、冷却部40、圧下部30、溶接部20および切断部90がこの順に設けられている。
移動フレーム10は、少なくとも、搬送路P1から退避する位置(図1,図8(a):後退位置)と、移動フレーム10に支持される切断部90が搬送路P1に達し、鋼板Sを完全に切断可能な位置(図8(c):前進位置)と、の間を往復移動する。移動フレーム10が往復移動する方向は、鋼板Sの溶接方向と同じである。移動フレーム10は多少前進位置を通り越してしまっても、後方に移動して鋼板Sの切断時に位置調整すればよい。後退位置に置かれる移動フレーム10よりも前方側に鋼板Sが搬送される搬送路P1が配置される。移動フレーム10が往復移動することにより、鋼板Sは移動フレーム10の支持台12Aと支持台12Bの間を相対的に進退移動する。この支持台12Aと支持台12Bの間を鋼板Sが移動する経路を移動路P2と称する。移動路P2と搬送路P1は直交している。
移動フレーム10は、搬送路P1から退避した位置において、鋼板Sが搬送されてくるまで後退位置で待機している。
移動フレーム10は、鋼板Sが搬送されてくると、後退位置から前進位置まで移動する。移動フレーム10が後退位置から前進位置まで移動する往路において、被膜除去部60により鋼板Sの表面被膜を除去するとともに、切断部90による鋼板Sの切断が行われる。詳しくは後述するが、この往路の動作が図8(a),(b),(c)に示されている。
移動フレーム10は、往路を移動して前進位置まで達すると、今度は後退位置まで戻る復路を移動する。この復路において、溶接部20、圧下部30、冷却部40および加熱部50を機能させることにより、溶接、溶接部分の平坦化および溶接部分の熱処理が連続的に行われる。以下、往路で機能する被膜除去部60、切断部90について説明した後に、復路で機能する溶接部20~加熱部50について説明する。
[被膜除去部60]
被膜除去部60は、鋼板Sの溶接が予定される部分の表面被膜を除去する。被膜除去部60は、溶接が予定される部分がうねるなどして変形していても、被膜除去時には変形を平坦にするための加圧材としての押えロール62A,62Bを備えることで、安定した表面被膜の除去を実現する。
被膜除去部60は、図1(a)、図2および図3に示すように、上下で一対の研削材としてのブラシロール61A,61Bと、ブラシロール61A,61Bのそれぞれを支持する支持ブラケット64A,64Bと、を備える。ブラシロール61A,61Bは、支持ブラケット64A,64Bに回転可能に支持され、回転駆動力が付与される主軸63A,63Bに固定される。ブラシロール61A,61Bは、支持ブラケット64A,64Bに内蔵される図示しない主軸ベアリングにより主軸63A,63Bを中心に回転可能に支持される。ここでは具体的な図示を省略するが、押えロール62A,62Bは、主軸ベアリングを包囲するように支持ブラケット64A,64Bに設けられているボス(固定軸)に、別のベアリングを介して支持される。そのため、押えロール62A,62Bは、ブラシロール61A,61Bと同軸上に、主軸63A,63Bに空転するように取り付けられる。上記の主軸ベアリングおよび別のベアリングとしては、例えば、図16および図17に示す軸受B1および軸受B3を採用することができる。
本明細書において「空転」は、ブラシロール61A,61Bの回転軸と押えロール62A,62Bとの間に軸受が介在していたり、あるいは図示しないクラッチ機構を採用したりすることで、押えロール62A,62Bが、ブラシロール61A,61Bの回転に追従することなく、鋼板Sを間に挟んで加圧しながら、鋼板Sとの摩擦により、移動フレーム10の長さ方向Lへの移動に伴い、鋼板S上を回転しつつ移動フレーム10と同じ方向に移動することを意味する。つまり、押えロール62A,62Bは、ブラシロール61A,61Bの回転に対して切り離されている。
本実施形態は、図1(b)および図2に示すように、上下で一対のブラシロール61A,61Bが、搬送路P1の方向に間隔をあけて二組並んで設けられている。図2に示すように、搬送路P1の上流側αに設けられるブラシロール61A,61Bは、溶接の対象となる一方の鋼板Sの表面被膜を除去し、搬送路P1の下流側βに設けられるブラシロール61A,61Bは、溶接の対象となる他方の鋼板S(S2)の表面被膜を除去する。なお、一方の鋼板S(S1)は、他方の鋼板S(S2)よりも先行して接合装置1に搬送されるので、先行鋼板S1と称され、他方の鋼板Sは、一方の鋼板Sの後に続いて接合装置1に搬送されるので、後行鋼板S2と称される。なお、両者を区別する必要がないときは鋼板Sと総称する。
ブラシロール61Aとブラシロール61Bは、図1(a)に示すように、移動路P2を挟んで高さ方向Hの上下に互いに対向して配置されている。ブラシロール61Aとブラシロール61Bは、長さ方向Lおよび幅方向Wの位置が一致するように配置されている。
ブラシロール61A,61Bは、それぞれの外周面が鋼板Sの上面および下面に接触しながら回転駆動することにより表面被膜を削り取るなどして除去する。ブラシロール61A,61Bは、図2および図3に示すように、ロール状の部材の外周に複数本のワイヤが植えられた形態をなしている。ブラシロール61A,61Bの回転駆動は、駆動源(モータ)の動力による。表面被膜を除去することができる限り、被膜を除去する研削材の具体的な手段は任意であり、ブラシロール61A,61Bの代わりに、例えば硬質な砥粒が外周面に集積される研削砥石、硬い不織布を用いた弾性を有する工具などが適用される。
移動路P2よりも上方に配置されるブラシロール61Aは、油圧シリンダ65Aに支持されており、移動路P2に対して昇降する。ブラシロール61Aを支持する支持ブラケット64Aには、油圧シリンダ65Aのピストンロッドが連結される。
移動路P2よりも下方に配置されるブラシロール61Bは、油圧シリンダ65Bに支持されており、ブラシロール61Aと同様に、移動路P2に対して昇降することができる。ブラシロール61Bを支持する支持ブラケット64Bには、油圧シリンダ65Bのピストンロッドが連結される。なお、後述する溶接部20の電極輪21A,21Bおよび圧下部30の圧下ロール31A,31Bについても、ここで説明した昇降の関係が当てはまる。
ブラシロール61A,61Bにより表面被膜を除去する際には、ブラシロール61A,61Bを昇降させることにより、ブラシロール61Aとブラシロール61Bを鋼板Sに適切な圧力をもって接触させる。
ブラシロール61A,61Bは、図2に示すように、先行鋼板S1の後端BEから所定の間隔をあけた領域を除去の対象とするとともに、後行鋼板S2の先端FEから所定の間隔をあけた領域を除去の対象とする。先行鋼板S1および後行鋼板S2をともに、被膜除去の対象領域内に切断面が位置するように、切断部90により切断する。これにより、先行鋼板S1の切断面よりも後端側と後行鋼板S2の切断面よりも先端側が取り除かれる。
本実施形態においては、図1、図2および図3に示すように、ブラシロール61A,61Bのそれぞれに対応する押えロール62A,62Bを備えている。押えロール62A,62Bは鋼板Sに対して長さ方向Lに移動すると共に、ブラシロール61A,61Bで表面被膜を研削により除去する部分に隣接する箇所を上下方向から加圧することで、仮に鋼板Sの当該部分がうねるなどして変形していても被膜除去時には平坦化できる。押えロール62A,62Bは、移動フレーム10における長さ方向Lの所定の位置に固定されている。そのため、押えロール62A,62Bは、ブラシロール61A,61Bが表面被膜を除去する際に、接触する鋼板S上を、移動フレーム10が長さ方向Lに移動する速度と同等の周速で回転しながら移動する。
押えロール62A,62Bは、図2および図3に示すように、ブラシロール61A,61Bと微小な間隔を空けて、主軸63A,63Bの方向である幅方向Wに並んでいる。より具体的には、ブラシロール61A.61Bおよび押えロール62A.62Bのそれぞれの鋼板Sに接触する外端E1,E2が、主軸63A,63Bの方向に並んで配置される。ブラシロール61A,61Bが鋼板Sに接触する位置の出来るだけ近くで押えロール62A,62Bにより鋼板Sを加圧して鋼板Sのうねり等の変形を矯正すると、ブラシロール61A,61Bにより鋼板Sから表面被膜をより十分に安定して除去することができる。そのため、押えロール62Aとブラシロール61Aとが幅方向Wにおいて近接して配置され、同様に、押えロール62Bとブラシロール61Bとが幅方向Wにおいて近接して配置されている。
また、押えロール62A,62Bは、移動フレーム10においてブラシロール61A,61Bよりも幅方向Wの内側に設けられている。
幅方向Wの「内側」は、先行鋼板S1に対応する押えロール62A,62Bに関しては後行鋼板S2側を言い、後行鋼板S2に対応する押えロール62A,62Bに関しては先行鋼板S1側を言う。押えロール62A,62Bが幅方向Wの内側に設けられるのは、特に後行鋼板S2の先端又は先行鋼板S1の後端が幅方向Wにうねる場合に、鋼板Sの先端又は後端側ほど鋼板Sの変形が大きくなるので、ブラシロール61A,61Bよりも鋼板Sの端部側を加圧することにより、鋼板Sの変形をより十分に平坦化できるためである。
本実施形態において、押えロール62A,62Bは、ブラシロール61A,61Bよりも径が小さい。これは、表面被膜を除去する際に、ブラシロール61A,61Bの先端が撓んで鋼板Sに接触することによりブラシロール61A,61B外周のワイヤ等の反発力を利用することができ、より確実に被膜除去できるためである。ブラシロール61A,61Bの径と押えロール62A,62Bの径との差は、例えば数mmである。押えロール62A,62Bの径がブラシロール61A,61Bの径に対して小さいとしても、例えば図5を参照して後述するように、押えロール62A,62Bの間に鋼板Sを加圧することで鋼板Sの平坦化を図りながら、ブラシロール61A,61Bにより鋼板Sの両面の表面被膜を安定して除去することができる。
押えロール62A,62Bの材質はその目的を達成できる限り任意であり、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料などから選択される。また、押えロール62A,62Bは単体として構成できるが、複数の部材を組み合わせて構成することもできる。例えば、円板状の部材の周囲に円環状の部材を嵌合して押えロール62A,62Bを構成できる。この場合、円板状の部材と円環状の部材を異なる材質で構成できる。
被膜除去部60は、ブラシロール61A,61Bを回転駆動するための以下の構成を備えている。以下の構成はあくまで一例であり、他の構成によってブラシロール61A,61Bを回転駆動させることもできる。
被膜除去部60は、ブラシロール61A,61Bなどの駆動源であるモータ66A,66Bと、モータ66A,66Bの出力軸67A,67Bに固定される第1プーリ68A,68Bと、第1プーリ68A,68Bに対応する第2プーリ69A,69Bと、を備える。第1プーリ68A,68Bと第2プーリ69A,69Bには第1伝導ベルト73A,73Bが掛け回されており、出力軸67A,67Bの回転駆動力が第1プーリ68A,68Bから第2プーリ69A,69Bに伝達される。
被膜除去部60は、第2プーリ69A,69Bが固定される回転軸75A,75Bと、第2プーリ69A,69Bより幅方向Wの外側において回転軸75A,75Bに固定される第3プーリ71A,71Bと、第3プーリ71A,71Bに対応する第4プーリ72A,72Bと、を備えている。第3プーリ71A,71Bと第4プーリ72A,72Bには第2伝導ベルト74A,74Bが掛け回されており、かつ、第4プーリ72A,72Bが主軸63A,63Bに固定されている。したがって、第2プーリ69A,69Bに伝達された回転駆動力は、主軸63A,63Bを介してブラシロール61A,61Bに伝達される。
被膜除去部60は、ブラシロール61A,61Bにより表面被膜を除去する際に、その研削部分の冷却および潤滑のために、冷却水を供給することができる。この場合、図2および図3に示すように、冷却水が周囲に飛散するのを防ぐために、防水カバー76A,76Bを設けることができる。防水カバー76A,76Bは上下に分割されているために、防水カバー76Aと防水カバー76Bの間に、防水カーテン77A,77Bを設けることにより、冷却水が周囲に飛散するのをより効果的に防ぐことができる。
被膜除去部60において、ブラシロール61A,61Bと押えロール62A,62Bは、表面被膜を除去しないときには、図4(a)に示すように、鋼板Sから離れた待機位置におり、表面被膜を除去するときには、図4(b)に示すように、鋼板Sに接する作業位置に移動する。ブラシロール61A,61Bは鋼板Sに対して相対的に移動しながら昇降するため、ブラシロールの先端部分は図4(c)に示すような移動軌跡となる。図4(c)に示される相対的な移動は、水平方向hおよび鉛直方向vの双方の移動である。
作業位置において、ブラシロール61A,61Bはモータ66A,66Bを駆動源として回転駆動される。長さ方向Lに移動される移動フレーム10に対して相対的に鋼板Sが図4(b)の向きDSに移動するものとすると、ブラシロール61A,61Bは向きD61に回転する。
前述したように、押えロール62A,62Bは、主軸63A,63Bに空転するように取り付けられている。したがって、作業位置において、押えロール62A,62Bは鋼板Sを加圧しつつ鋼板Sの移動の向きDSに追従して向きD62に回転する。
図5を参照して、作業位置において、鋼板Sが押えロール62A,62Bの間を通過する過程の挙動を説明する。
図5(a)は、鋼板Sが押えロール62A,62Bの間に進入しようとしている様子を示している。鋼板Sは、端部がうねって変形している。ところが、押えロール62A,62Bの間に進入すると、図5(b)に示すように、押えロール62A,62Bで加圧されるので押えロール62A,62Bの間の部分およびその近傍は平坦FLになる。図5(c)に示すように、鋼板Sに対して移動フレーム10がさらに送られることで鋼板Sが押えロール62A,62Bの間を抜けるまで、変形している鋼板Sは平坦FLな部分が鋼板Sの後端BEまで連続的に移動する。
以上の通りであり、鋼板Sが変形していても、押えロール62A,62Bにより押圧されることにより平坦FLとなるので、この平坦FLな領域においては、ブラシロール61A,61Bに対する相対的な位置が一定になる。つまり、押えロール62A,62Bにより、ブラシロール61A,61Bと鋼板Sとが位置決めされる。したがって、ブラシロール61A,61Bにより表面被膜を安定して除去できる。これにより、ブラシロール61A,61Bは鋼板Sに均等な力で接触できるので、表面被膜を安定して除去できる。これに対して、変形したままでブラシロール61A,61Bにより表面被膜を除去しようとしても、ブラシロール61A,61Bが強く接したところの表面被膜は容易に除去されるが弱く接したところの表面被膜は除去が不十分というように、表面被膜の除去の程度が安定しない。
[切断部90]
切断部90は、被膜除去部60により表面被膜が除去された先行鋼板S1および後行鋼板S2の、前述した所定領域を切断して取り除く。
切断部90は、図1(a)に示すように、図示を省略する駆動源によりそれぞれが昇降する上下で一対のせん断刃91A,91Bを備える。
本実施形態は、図1(b)および図6(b)に示すように、上下で一対のせん断刃91A,91Bが、搬送路P1の方向に間隔をあけて二つ並んで設けられている。図6(b)に示すように、搬送路P1の上流側αに設けられるせん断刃91A,91Bは、先行鋼板S1を切断の対象とし、搬送路P1の下流側βに設けられるせん断刃91A,91Bは、後行鋼板S2を切断の対象とする。
せん断刃91Aとせん断刃91Bは、図1(a)に示すように、移動路P2を挟んで高さ方向Hの上下に互いに対向して配置されている。せん断刃91Aとせん断刃91Aは、長さ方向Lが一致するように配置されている。
[溶接部20]
次に、復路で機能する溶接部20について説明する。
溶接部20は、図1(a)および図6(c)に示すように、上下で一対の電極輪21A,21Bと、電極輪21A,21Bのそれぞれを回転可能に支持する支持ロッド22A,22Bと、を備える。
電極輪21Aと電極輪21Bは、移動路P2を挟んで高さ方向Hの上下に互いに対向して配置されている。電極輪21Aと電極輪21Bは、長さ方向Lおよび幅方向Wの位置が一致するように配置されている。
移動路P2よりも上方に配置される電極輪21Aは、油圧シリンダ23に支持されており、移動路P2に対して昇降する。電極輪21Aを支持する支持ロッド22Aは、油圧シリンダ23のピストン24に繋がるピストンロッドを構成する。
電極輪21A,21Bにより鋼板Sを溶接する際には、電極輪21Aを降下させることにより、電極輪21Aと電極輪21Bを鋼板Sに適切な圧力をもって接触させる。
移動路P2よりも下方に配置される電極輪21Bは、支持台12Bに固定される支持ロッド22Bに支持されている。
[圧下部30]
次に、圧下部30について説明する。
圧下部30は、図1(a)に示すように、溶接部20の前方(F)の側に隣接して設けられており、溶接部20で溶接された鋼板Sの溶接部分を圧下して平坦化する。ここで行われる塑性加工はスウェージング(Swaging)と称される。
圧下部30は、図1(a)および図6(d)に示すように、上下で一対の圧下ロール31A,31Bと、圧下ロール31A,31Bのそれぞれを回転可能に支持する支持ロッド32A,32Bと、を備える。なお、図6および図7において、溶接部分は黒塗りで示されている。
圧下ロール31Aと圧下ロール31Bは、移動路P2を挟んで高さ方向Hの上下に互いに対向して配置されている。圧下ロール31Aと圧下ロール31Bは、長さ方向Lおよび幅方向Wの位置が一致するように配置されている。
移動路P2よりも上方に配置される圧下ロール31Aは、油圧シリンダ33に支持されており、移動路P2に対して昇降する。圧下ロール31Aを支持する支持ロッド32Aは、油圧シリンダ33のピストン34に繋がるピストンロッドを構成する。圧下ロール31A,31Bにより溶接部分に圧力を加える際には、圧下ロール31Aを降下させることにより、圧下ロール31Aと圧下ロール31Bを鋼板Sの溶接部分に適切な圧力を加える。
移動路P2よりも下方に配置される圧下ロール31Bは、支持台12Bに固定される支持ロッド32Bに支持されている。この支持ロッド32Bの伸縮動作により圧下ロール31Bが移動路P2に対して昇降してもよい。
溶接部20により圧延された部分の表面温度は例えば1300℃を超える温度になるが、圧下部30が接することにより当該部分の温度は例えば900℃以下まで下がり、その後、復熱により温度が上昇する。
[冷却部40]
次に、冷却部40について説明する。
冷却部40は、図1および図7(a)に示すように、散水ノズル41から圧下部30により平坦化された溶接部分の上面および下面の両方に向けて冷却水CWを供給する。この冷却水CWの供給により、溶接部分は急冷され、焼入れされる。
この冷却水CWは、好ましくは粒状として供給される。粒状としては、粒径の小さいミスト状、ミスと状よりも粒径の大きいシャワー状があるが、ミスト状の冷却水であることが好ましい。理由は以下の通りである。つまり、冷却水をミスト状にすることで使用する水量を少なくする。これにより、水処理の設備を小さくかつ簡単なものにでき、さらに、水量が少なくなることで、圧下部30に及ぶ冷却水の量も少なくなる、という効果が奏されるからである。
ここに示す例では、冷却部40は移動路P2を挟む上方および下方に設けられているが、これは一例にすぎず、十分な冷却能が得られる限り、移動路P2よりも上方だけ又は下方だけに設けることもできる。移動路P2に沿って一つ又は三つ以上の冷却部40を設けることもできる。また、ここでは冷却媒体として冷却水CWの例を示したが、十分な冷却能が得られるのであれば他の冷却媒体、例えばエアを用いることもできる。
[加熱部50]
次に、加熱部50について説明する。
加熱部50は、図1および図7(b)に示すように、冷却部40からの冷却水の供給により焼入れされた溶接部分をヒータ51により加熱して、焼戻しする。
焼戻しの作用を発揮できる限り、加熱部50が溶接部分を加熱する機構は問わない。例えば、電熱線を用いるヒータ、火炎を用いるヒータ、IH(Induction Heating;誘導加熱)を用いるヒータなどが適用される。
この中で、IHヒータは、電磁コイルから発生させる電磁界を鋼板Sの溶接部分に印加することにより、誘導されたうず電流を溶接部分に流す。鋼板Sは電気的な抵抗を持っているので、流れる電流により溶接部分は発熱する。このように、加熱部50としてIHヒータを用いると、鋼板Sの急速な加熱を実現しやすい。焼戻しについて詳しくは後述する。
図7(c)に示すように鋼板Sが加熱部50を通過すると、鋼板Sは周囲の空気により室温まで空冷される。溶接部分で繋がった先行鋼板S1と後行鋼板S2は一体の鋼板Sとして、例えば次の圧延に供される。
ここでは、加熱部50を鋼板Sの下方だけに設けたが、鋼板Sの上方および下方の両方に設けることもできる。
[溶接手順]
次に、接合装置1を用いて先行鋼板S1と後行鋼板S2を溶接する手順を、さらに図8および図9を参照して説明する。なお、図8は接合装置1が往路を移動する過程を示し、図9は接合装置1が復路を移動する過程を示している。
今、図8(a)に示すように、後退位置で接合装置1が待機しているのに対して、先行鋼板S1および後行鋼板S2のそれぞれが所定の位置まで搬送される。そうすると、図6(a)に示すように、先行鋼板S1および後行鋼板S2は、それぞれクランプ79,79により挟み込まれ、搬送路P1を搬送されている時における鋼板Sの高さ位置よりも数十mm押し下げられた状態で、位置が固定される。固定が完了すると、接合装置1は往路の移動を始める。往路においては、溶接部20および圧下部30は先行鋼板S1および後行鋼板S2に接触しないように離れている。また、冷却部40からの冷却水の供給は停止されているとともに、加熱部50も未だ加熱状態にない。
接合装置1の移動フレーム10が往路の移動を進めると、図6(a)および図8(b)に示すように、被膜除去部60が鋼板S(先行鋼板S1,後行鋼板S2)に達し、さらに鋼板Sを通過するので、鋼板Sの表面被膜が除去される。
この表面被膜の除去の際には、図4(b)および図6(a)に示すように、押えロール62A,62Bが鋼板Sの先端部を表裏から加圧するので、仮に当該先端部がうねるなどして変形していたとしても、押えロール62A,62Bの間およびその近傍ではブラシロール61A,61Bと鋼板Sとの相対的位置を一定に保つように変形が少なくとも加圧時には矯正される。
さらに接合装置1が往路の移動を進め前進位置に達すると、図6(b)および図8(c)に示すように、切断部90が鋼板S(先行鋼板S1,後行鋼板S2)に達する。次いで、せん断刃91Aを降下させるとともにせん断刃91Bを上昇させて、先行鋼板S1と後行鋼板S2のそれぞれを切断する。
以上で往路における手順を終えるので、接合装置1は次に復路を移動する。接合装置1が往路を移動する際には、溶接部20および圧下部30は先行鋼板S1および後行鋼板S2に接触するように準備がなされ、冷却部40から冷却水の噴霧が行われる。
接合装置1が復路の移動を開始すると、鋼板Sは切断部90を抜け出た後に、図9(a)に示すように、溶接部20および圧下部30を順に通過する。先行鋼板S1と後行鋼板S2は、溶接部20を通過することで図6(c)に示すように溶接される。次いで、圧下部30を通過することで図6(d)に示すように溶接部分が他の部分と概ね同じ程度の肉厚まで平坦化される。
圧下部30により押し潰された溶接部分は、図9(b)に示すように、冷却部40まで達すると、ミスト状として供給される冷却水CWが付着するので急冷される。この急冷により、溶接部分は焼入れされる。
接合装置1が復路の移動を進めると、図9(c)に示すように、鋼板Sは加熱部50の上を通過する過程で所定の温度まで加熱されることで、焼入れされた溶接部分は焼戻しがなされる。
接合装置1が復路の移動をさらに進めると、図9(d)に示すように、接合装置1は後退位置まで戻り、先行鋼板S1と後行鋼板S2を溶接する一連の手順が完了する。そうすると、先行鋼板S1と後行鋼板S2が繋がった鋼板Sは次工程に向けて搬送される。
[効 果]
以下、本実施形態に係る接合装置1が奏する効果を説明する。
接合装置1によれば、ブラシロール61A,61Bのように軟質な研削材のみを鋼板Sに押し当てたとしても解消することが難しい、うねりなどの変形が鋼板Sに存在するとしても、表面被膜を除去する際に、押えロール62A,62Bにより鋼板Sを表裏から加圧することで、加圧時の加圧部位においては変形が解消され、ブラシロール61A,61Bに対する鋼板Sの相対的な位置を一定に保つことができる。その結果、ブラシロール61A,61Bに加わる鋼板Sからの反力が均等になるので、表面被膜を鋼板Sから安定して除去できる。
また、接合装置1は、表裏から鋼板Sを押さえるのに回転体である押えロール62A,62Bを用い、しかもこの回転体は主軸63A,63Bに対して空転可能に支持されているので、接触する鋼板Sの移動に追従して回転する。したがって、鋼板Sの移動に伴って鋼板Sから押えロール62A,62Bが受ける負荷を小さくできる。また、押えロール62A,62Bを回転するための駆動源を必要としないので、接合装置1が占めるスペースを削減できるとともに、そのコストを低減できる。
また、接合装置1は、ブラシロール61A,61Bと押えロール62A,62Bを主軸63A,63Bに同軸上に配置している。したがって、ブラシロール61A,61Bと押えロール62A,62Bのそれぞれを、1つの油圧シリンダ65A,65Bで昇降させることができるので、接合装置1が占めるスペースを削減できるとともに、そのコストを低減できる。
本実施形態では、鋼板Sの搬送路P1(図1)の方向に対して直交する方向に鋼板Sをブラシロール61A,61Bが回転しながら移動することで、鋼板Sの幅の一端から他端までに亘り表面被膜を除去するのであって、回転しながら移動するブラシロール61A,61Bに対して、対応する押えロール62A,62Bは、ブラシロール61A,61Bの回転軸である主軸63A,63Bの方向(幅方向W)に近接した状態に並んで配置される。
こうした本実施形態の被膜除去部とは異なり、鋼板Sの表裏に、主軸63A,63Bの方向に対して直交した方向(長さ方向L)に沿って設置された一対の研削ロールが、主軸63A,63Bの方向に対して直交した軸線の周りに回転しながら鋼板Sを研削する構成(比較例)を想定するならば、鋼板Sの幅全域に亘る研削ロールの軸長の分、被膜除去部が大型化する上、研削ロールの軸長が長いほど、研削ロールの軸方向において研削の度合がばらつきやすい。研削ロールに加えて、鋼板Sを加圧する一対の加圧ロールが研削ロールに対して平行に設置されるならば、被膜除去部が鋼板Sの搬送方向にも大型化し、また、加圧ロールの軸方向において加圧の度合もばらつきやすい。
本実施形態のように、回転しながら鋼板Sを横断しつつ研削するブラシロール61A,61Bに対して、対応する押えロール62A,62Bが、主軸63A,63Bの方向(幅方向W)に並んで配置される構成によれば、鋼板Sにおける表面被膜の除去範囲の幅に相応の薄いブラシロール61A,61Bと、同等に薄い押えロール62A,62Bとを採用することができ、しかも、ブラシロール61A,61Bと押えロール62A,62Bとを主軸63Aの方向(幅方向W)に近づけて配置できる。したがって、上記比較例に対し、被膜除去部60が占めるスペースを長さ方向Lにも幅方向Wにも削減しつつ、鋼板Sの幅の全域に亘り均一にブラシロール61A,62Aおよび押えロール62A,62Bを接触させながら、表面被膜を鋼板Sから安定して除去することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に置き換えたりすることができる。以下、いくつかの例を示す。
[押えロール62A,62Bの位置ずれ配置]
本発明において、図10に示すように、押えロール62Aと押えロール62Bの位置を、鋼板Sの移動方向DS(長さ方向L)にずらして配置することができる。しかも、被膜除去時に、上側に位置する押えロール62Aの最下点の高さが、下側に位置する押えロール62Bの最上点の高さ以下になるように配置する。つまり、鋼板Sのおもて側の押えロール62Aによる圧下位置が鋼板Sの高さ位置PLを越える(鋼板Sの上面US以下)とともに、鋼板Sのうら側の押えロール62Bの圧下位置が鋼板Sの高さ位置PLを越えて(鋼板Sの下面LS以上)配置される。なお、上面US、下面LSは、平坦な鋼板Sが搬送路P1を搬送され、クランプ79により挟み込まれ固定されたときの鋼板Sの上面と下面とを想定している。また、圧下位置は、押えロール62Aにおいてはその下端、押えロール62Bにおいてはその上端で定義される。
図10に示すように、ブラシロール61A,61Bは押えロール62A,62Bと同軸上に配置されているものとする。
押えロール62A,62Bを以上のように配置することにより、以下説明するように、変形に対する表面被膜の除去能力を向上できる。
以上のように配置される押えロール62A,62Bの間を鋼板Sが通過するときに、図10に示すように、鋼板Sは押えロール62Aと押えロール62Bのそれぞれに接する範囲が湾曲する。したがって、平坦FLとされた前述の実施形態に比べてブラシロール61A,61Bと鋼板Sの接触する面積が増えることにより、表面被膜の除去能力が向上する。
また、図10に示すように、被膜除去時に上側の押えロール62Aの最下点の高さが下側の押えロール62Bの最上点の高さ以下になるように、押えロール62Aと押えロール62Bとが移動方向DS(長さ方向L)にずらして(シフトして)配置されると、図11(a)~(c)に示すように、ブラシロール61A,61Bとクランプ79,79との間で鋼板Sがうねって変形している場合でも、鋼板Sに対してブラシロール61A,61Bを十分に押し当てて研削することができる。この場合、鋼板Sとブラシロール61A,61Bとが重複している上下方向の寸法の大小によって、表面被膜を除去できる程度が定まる。重複している上下方向の寸法が大きいほど、ブラシロール61A,61Bに設けられたワイヤ等が鋼板Sに強く押し付けられて研削が行われるためである。つまり、図11(a)において、鋼板Sが下側のブラシロール61Bと重複する寸法が小さいので、この部分の表面被膜の除去が不十分になるおそれがある。
なお、図11には、図10のA-A断面、B-B断面およびC-C断面の中で、ブラシロール61A,61Bおよび押えロール62A,62Bの先端部分のみが示されている。また、図11においては鋼板Sが上に凸となるうねりが生じた例を示しているが、鋼板Sが下に凸となるうねりが生じると、図11に示されるのとは上下が反転した挙動を示す。さらに、図11(a)~(c)において、図中の横方向に延びる二つの破線がそれぞれ高さ位置PL(図10)を示している。
以上より、図11に示すように、クランプ79で固定された鋼板Sの基準となる高さである高さ位置PLを中心として、鋼板Sの位置を上側(図11(a))にあるいは下側(図11(c))に変化させることで、ブラシロール61A,61Bと鋼板Sとの接触状態を安定化させることができる。高さ位置PLは、配置された鋼板Sの厚み方向における中央を示し、長さ方向Lにわたって存在する。具体的には、図11(b)の位置に対して、図11(a)に示すように、うら側の押えロール62Bを鋼板Sの裏面(下面)より上に移動させると、押えロール62Bにより上向きに湾曲した鋼板Sについては、ブラシロール61A,61Bと重複する領域が均衡する。同様に、押えロール62Aにより下向きに湾曲した鋼板Sについては、図11(c)に示すように、おもて側の押えロール62Aを鋼板Sの表面(上面)より下に移動させると、ブラシロール61A,61Bと重複する領域が均衡する。
よって、被膜除去時に上側の押えロール62Aの最下点の高さが下側の押えロール62Bの最下点の高さ以下となるように、上側の押えロール62Aと下側の押えロール62Bとが長さ方向Lにシフトして配置されることにより、により、クランプ79と押えロール62A,62Bとの間で鋼板Sが上に凸にうねっている場合でも下に凸にうねっている場合でも、ブラシロール61A,61Bが鋼板Sと接触する領域の中で、鋼板Sと平行に接触する部分を形成しやすくなる。したがって、鋼板Sの表裏における表面被膜をむらなく除去できる。
なお、おもて側の押えロール62Aとうら側の押えロール62Bの何れか一方だけで鋼板Sを湾曲させても、前述の実施形態に比べてブラシロール61A,61Bと接触する面積を増やすことができる。
[ブラシロール61A,61Bの摩耗対応]
鋼板Sの表面被膜を除去する時間に比例して、ブラシロール61A,61Bは摩耗する。摩耗量が増えるとブラシロール61A,61Bが小径になって、表面被膜を除去するのに必要な力で鋼板Sに対してブラシロール61A,61Bを接触させることができなくなる。このブラシロール61A,61Bの摩耗に対応して、押えロール62A,62Bの径を小さくすることができる。押えロール62A,62Bの小径化の手段としては、以下の第1手段~第4手段がある。
第1手段:押えロール62A,62Bの切削
第1手段は、押えロール62A,62Bの表面を切削するというものである。図12を参照してその一例を説明する。
第1手段は、図12に示すように、押えロール62A,62Bの先端面を切削する工具、例えばナールカッターまたはローレットカッターと称される切削工具81を、押えロール62A,62Bの先端面に対向して設ける。通常、切削工具81は図12(a)、(b)に示すように、押えロール62A,62Bの先端面から離れている。
第1手段としての被膜除去装置は、切削工具81に加え、ブラシロール61A,61Bの摩耗量をそれぞれ検出するセンサ、例えば光電センサ83と、光電センサ83により得られた情報に基づき、切削工具81にブラシロール61A,61Bを切削するよう指示する制御部86(図12(a))とを備えている。光電センサ83は、一例として発光素子83Aと受光素子83Bを備えている。発光素子83Aと受光素子83Bは、図12(a)に示すように、ブラシロール61A,61Bの摩耗量が少ないときには、発光素子83Aからの検査光DLがブラシロール61Aに遮られることで、受光素子83Bが検査光DLを受光できない。ところが、ブラシロール61A,61Bの摩耗量が多くなり、例えばブラシロール61A,61Bの先端面が押えロール62A,62Bの先端面と同等の高さになると、図12(b)に示すように、発光素子83Aからの検査光DLがブラシロール61Aを通過するので、受光素子83Bは検査光DLを受光する。
光電センサ83は、ブラシロール61A,61Bの摩耗状態を示す情報を取得する摩耗状態情報取得部に相当する。ここでは、ブラシロール61A,61Bの摩耗量が使用限界に達したこと(摩耗状態)を示す情報が、検査光DLに相当する。こうした光電センサ83に代えて、巻尺、レーザを利用した変位計等を用いてブラシロール61A,61Bの摩耗量を取得することができる。
あるいは、ブラシロール61A,61Bの摩耗量が増え、それに伴い押えロール62A,62Bの外端からのブラシロール61A,61Bの突出量が減少することでモータ66A,66Bの出力軸67A,67Bのトルクが減少するため、モータ66A,66Bから取得したトルクをブラシロール61A,61Bの摩耗量に変換してもよい。この場合は、摩耗状態情報取得部としてのモータ66A,66Bの出力トルクが、ブラシロール61A,61Bの摩耗状態を示す情報に相当する。
受光素子83Bにより受光した検査光DLは切削開始の信号となる。検査光DLに基づいて、制御部86から切削を開始する指令が発せられると、図12(d)に示すように、図示しない駆動機構により切削工具81がブラシロール61Aの先端面に接するように下りてきて先端部を切削する。その後、制御部86から切削を終了する指令が発せられると、切削工具81は所定量の切削を終え、駆動機構により先と同じ位置に上がる。
その後、図12(c)に示すように、光電センサ83の位置をそれまでよりも下げて、ブラシロール61Aの摩耗の検出を行う。
上記光電センサ83の代わりに、摩耗量を計測するセンサを設け、計測された摩耗量が所定値になると切削を開始するようにしてもよい。
以上の一連の手順は、ブラシロール61A,61Bにより表面被膜の除去を行っている過程で実行できる。この場合、切削工具81により押えロール62Aを切削するときには、表面被膜の除去作業は一時的に中断される。
押えロール62A,62Bを切削工具81で切削するには、押えロール62A,62Bが回転するのを止める必要がある。そのために、例えば押えロール62A,62Bと主軸63A,63Bの間に、一方の向きへの回転を許容するが、逆向きへの回転を阻止する機構、例えばラチェットを介在させることができる。回転が止められた向きにモータ66A,66Bからの駆動力により回転駆動させながら、切削工具81で切削する。
ラチェットの他に、押えロール62A,62Bと主軸63A,63Bの間にキー溝を設けておき、押えロール62A,62Bを切削する際にはこのキー溝にキーを差し込んで、押えロール62A,62Bの回転を止めることができる。接合装置1の運転時にはキー溝からキーを取り除く。
押えロール62A,62Bの切削量は、例えば以下のようにして制御できる。
図12に示すように、切削工具81と同期して移動する接触センサ84を設け、接触センサ84がブラシロール61A,61Bに接触したら切削工具81による切削を終了する。
第2手段:押えロール62A,62Bの複数層化
第2手段は、押えロール62A,62Bを複数の部材から構成しておき、ブラシロール61A,61Bの摩耗量に応じて、最外層にあたる部材を取り除くというものである。
その一例として、図13(a)に示すように、押えロール62A(62B)を円板状の第1部材62A1と、第1部材62A1の外周に嵌合される円環状の第2部材62A2とに分割可能に構成する。ブラシロール61A,61Bの摩耗量が増えて所定値に達すると、例えばロボットアーム(図示しない)により、最外層にあたる第2部材62A2(外周側の層)を取り外して、第1部材62A1(内周側の層)だけから押えロール62A(62B)を構成する。ここでは、押えロール62A(62B)を2層構造とする例を示したが、3層以上の構造とすることもできる。
第3手段:押えロール62A,62Bの交換
第3手段は、押えロール62A,62Bを径の小さいものと交換するというものである。
その一例として、図13(b)に示すように、当初は半径R1の押えロール62A(62B)を用いていたのに対して、ブラシロール61A(61B)の摩耗量が増えて所定値に達すると、半径R2(R1>R2)の押えロール62A(62B)に交換する。以後も同様に、摩耗量に応じて径の小さい押えロール62A(62B)に交換することもできる。
なお、図13(a)に示したようにブラシロール61A,61Bの摩耗量に応じて押えロール62A,62Bの最外層を取り除くことも、図13(b)に示した小径の押えロールへの交換に相当する。図13(a)に示した複数層化の手法によれば、径の異なる複数の押えロール62Aを用意しておき、摩耗量が大きくなるほど、より径の小さな押えロール62Aに交換していく場合とは異なり、押えロール62A,62Bをブラシロール61A,61B等に対して分解したり、組戻したりする必要がない。
第4手段:押えロール62A,62Bの位置変更
第4手段は、押えロール62A,62Bの鋼板Sに対する位置を変えるというものである。
その一例として、図13(c)に示すように、当初はブラシロール61A(61B)の軸線と押えロール62A(62B)の軸線とが一致するように配置されている(図13(c)の左側)。ところが、ブラシロール61A(61B)の摩耗量が増えて所定値に達すると、図13(c)の右側に示すように、シリンダ等の昇降機構によりブラシロール61Aの回転軸C61の位置を押えロール62Aの回転軸C62の位置に対して相対的に下げる。同様に、図13(c)では図示していない押えロール62Bおよびブラシロール61Bについても、シリンダ等の昇降機構によりブラシロール61Bの摩耗量が増えて所定値に達すると、ブラシロール61Bの回転軸の位置を押えロール62Bの回転軸の位置に対して相対的に上げる。 第4手段は、図14に示すように、ブラシロール61A,61Bに対して、押えロール62A,62Bが油圧シリンダ621等により独立して(相対的に)昇降できることを前提とする。この場合、押えロール62A,62Bは、ブラシロール61A,61Bの回転軸C61とは別の軸C62に支持されている。押えロール62Aの軸C62は、ブラケット622を介して油圧シリンダ621のピストンに結合し、押えロール62Bの軸C62も同様に、ブラケット622を介して油圧シリンダ621のピストンに結合している。
[押えロール62A,62Bの代替手段]
接合装置1においては、鋼板Sの変形を加圧により矯正するために押えロール62A,62Bを用いているが、鋼板Sの変形を矯正することができる限り、本発明における加圧体の構成は任意である。
加圧体の一例として、図15に示すように、鋼板Sの表裏にそれぞれ設置される無限軌道85を用いることができる。各無限軌道85は、一対の遊動輪85Aと、一対の遊動輪85Aの間に配置され、鋼板Sを加圧しつつ回転する複数の転輪85Bと、遊動輪85Aおよび転輪85Bを取り囲む無端状の履帯85Cと、を備えている。
複数の転輪85Bのうちの少なくとも1つ(例えば、図15の中央の転輪85B)の軸と、図示を省略したブラシロールの回転軸とが、図15の紙面に対して直交する方向に並んでいる。
この無限軌道85は、駆動力を要することなく、無限軌道85が設けられた移動フレーム10に対する鋼板Sの相対的な移動にともなって回動する。
無限軌道85は、押えロール62A,62Bと比べると、鋼板Sの変形を矯正できる範囲を鋼板Sの移動方向(図15の左右方向)に拡大することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図16~図25を参照し、本発明の第2実施形態に係る被膜除去部60-2について説明する。被膜除去部60-2は、ブラシロール61A,61Bに対して偏心した偏心軸102を含む偏心構造を備えている。被膜除去部60-2によれば、図12、図13(a)および(b)に示した例とは異なり、ブラシロール61A,61Bの摩耗量に応じて押えロール62A,62Bの径を小さくすることなく、ブラシロール61A,61Bに安定した研削力を得ることができる。
被膜除去部60-2は、第1実施形態の被膜除去部60に代えて接合装置1(図1)に採用することができる。その場合、被膜除去部60-2は、移動フレーム10(図1)に設けられた支持体100に設置されている。
図16には、被膜除去部60-2の一部として、図2に破線で示す範囲が示されている。第2実施形態の被膜除去部60-2も、図2に示す第1実施形態の被膜除去部60がそうであるように、鋼板Sの表裏の表面皮膜を除去する一対のブラシロール61A,61Bと、鋼板Sを表裏から挟んで鋼板Sに対して移動しながら加圧する一対の押えロール62A,62Bと、を備えている。第1実施形態の被膜除去部60と同様に、被膜除去部60-2には、先行鋼板S1(図2)の後端部と後行鋼板S2(図2)の先端部とを同時に被膜除去するため、2組のブラシロール61A,61Bが備えられるとともに、同じく2組の押えロール62A,62Bが備えられている。
[被膜処理部の構成]
以下、第2実施形態の被膜除去部60-2が、第1実施形態の被膜除去部60と相違する事項を中心に説明する。第1実施形態に対応する構成要素には同じ符号を与えている。被膜除去部60-2には、上述した第1実施形態の種々の変形例(例えば、図10および図11)を適用することができる。
被膜除去部60-2は、図16および図17に示すように、ブラシロール61Aと、押えロール62Aと、ブラシロール61Aの主軸63A(回転軸)に対して偏心し、支持体100に固定されている固定軸としての固定ボス101に回転可能に支持される偏心軸102と、偏心軸102を所定の回転角度に調整可能な角度調整機構103とを備えている。
ブラシロール61Aは、密集した多数の線材(図17)が外周部に設けられたディスク104と、ディスク104が固定される主軸63Aとを有した回転体である。図示しないモータから、図示しないベルトおよびプーリを介して主軸63Aに回転駆動力が伝達されると、主軸63Aと一体のディスク104も主軸63Aを中心に回転する。
ブラシロール61Aの線材群には、鋼板Sからの被膜除去に必要な剛性を満足するように、線材の材質、密度、丈等が適切に設定されている。線材の材質は、例えば、ナイロン等の樹脂や、鋼等の金属であり、鋼板Sをはじめとする被膜除去対象(接合対象)に応じて適宜に選択することができる。線材は、砥粒を含んでいてもよい。
線材の基端から先端までの長さのことを「線材丈」と称し、摩耗していない初期状態の線材丈のことを「初期線材丈」と称するものとする。
押えロール62Aは、偏心軸102の軸線X1を中心に回転可能に、偏心軸102を介して固定ボス101に支持されている。
偏心軸102(ブッシュ)は、主軸63Aおよび固定ボス101の軸線X0に対して、所定の偏心量yだけ偏心している。
ブラシロール61A、押えロール62A、および偏心軸102は、固定ボス101の内側に主軸63Aが配置され、固定ボス101の外側に偏心軸102およびディスク状の押えロール62Aが配置された状態に、支持体100に一体に組み付けられている。
図16に示すように、ブラシロール61Aのディスク104、押えロール62A、および支持体100は、主軸63Aの方向に隣接している。
ブラシロール61Aおよび押えロール62Aのそれぞれの鋼板Sに接触する外端E1,E2が、主軸63Aの方向に並んで配置されることは、第1実施形態(図2)と同様である。
被膜除去部60-2に備わる下側のブラシロール61Bおよび押えロール62B等の図示は省略するが、上側の構造と同様に構成することができる。
被膜除去部60-2は、主軸63A、固定ボス101、偏心軸102、および押えロール62A,62Bのそれぞれの間に介在する複数の軸受B1~B3を備えている。そのため、主軸63Aを有したブラシロール61A、偏心軸102、および押えロール62Aはそれぞれ互いから切り離されている。
具体的には、主軸63Aと固定ボス101との間には、ボールベアリングである第1軸受B1が配置されている。固定ボス101と偏心軸102との間には、滑り軸受である第2軸受B2が配置されている。偏心軸102と押えロール62Aとの間には、ボールベアリングである第3軸受B3が配置されている。
なお、第1~第3軸受B1~B3にはそれぞれ、荷重要件等を考慮して適宜な軸受を採用することができる。
偏心軸102は、偏心した軸線X1を中心に固定ボス101に対して回転可能であり、この偏心軸102を中心に押えロール62A,62Bが回転可能である。
角度調整機構103は、例えば偏心軸102へ回転駆動力を伝達可能な伝達機構107と、伝達機構107の動作を規制可能なブレーキ機構108とを備えている。
伝達機構107は、一例として、スプロケット、チェーン、およびスプロケットに取り付けられたハンドルを含む。ブレーキ機構108は、一例として、スプロケットに係脱可能な爪を含む。
伝達機構107は、ハンドルに代えてモータを備えていてもよい。その他、偏心軸102を回転させて所定の回転角度に調整可能な適宜な構成を角度調整機構103に採用することができる。
ハンドル等を回転させることで回転駆動力が伝達機構107を介して偏心軸102に伝達されると、偏心軸102が軸線X0の周りに回転する。所定の回転角度まで偏心軸102を回転させた後、ブレーキ機構108を作動させると、偏心軸102の回転が規制される。
偏心軸102を所定の回転角度に調整すると、図18に示すように、ブラシロール61Aに対する押えロール62Aの角度位相を変化させて、鋼板Sに接触する箇所における押えロール62A,62Bからのブラシロール61A,61Bの突出量yを自在に調整することができる。突出量yは、図20に示すように、ブラシロール61Aの鋼板Sに接触する箇所におけるブラシロール61Aの外端と押えロール62Aの外端との距離に相当する。
図18では、ブラシロール61Aの摩耗を考慮していないため、図18(a)~(c)にそれぞれ示すブラシロール61Aのそれぞれの径d1は同一である。
軸線X1を中心とする偏心軸102の回転角度をθと称し、図18(a)のように、突出量が最小のyとなるときにθが0°であるとする。
ブラシロール61Aが摩耗せず、径が一定であるならば、回転角度θを0°から180°まで変化させるにつれて、突出量がy,y,yと次第に増加し、180°のときに最大となる。回転角度θが0°のときの主軸63Aから、ブラシロール61Aにおける鋼板Sの接触箇所までの長さと、回転角度θが180°のときの主軸63Aから、ブラシロール61Aにおける鋼板Sの接触箇所までの長さとの差は、偏心量y(偏心半径)の2倍に相当する(2y)。180°を超えて360°(0°)までの間は、突出量は次第に減少する。
[被膜処理部による作用効果]
実際には、ブラシロール61Aを使用した被膜除去時間に比例してブラシロール61Aの摩耗が進行するため、線材丈の減少に伴い、図19に示すように、ブラシロール61Aの径が、d,d,dのように変化する(d>d>d)。こうしたブラシロール61Aの径の変化に対応させて、偏心軸102の回転角度を変化させるならば、図19に示すように、突出量yを一定に維持することができる。
偏心軸102の回転により突出量を一定値y以上に維持することにより、突出量に相応の研削力にて安定して表面被膜の除去を行うことができる。
図19に一点鎖線でブラシロール61Aの主軸63Aの軸線X0の高さを示しているように、ブラシロール61Aの径が変化しても、被膜除去時には、油圧シリンダ65A(図2)を含む昇降機構により支持体100全体が昇降されるため、ブラシロール61Aおよび押えロール62Aを鋼板Sに押し当てることができる。
第1実施形態のようにブラシロール61Aおよび押えロール62Aのいずれも、共通の軸である主軸63Aを中心に回転する場合は、ブラシロール61Aの摩耗によりブラシロール61Aの径が次第に減少するのに伴い、突出量yも減少する。ブラシロール61Aの線材の近傍で押えロール62Aにより鋼板Sを加圧しつつ、鋼板Sに押し付けられて撓んだ状態の線材により鋼板Sを研削するため、表面皮膜の除去に必要な研削力を線材に確保する必要性から、突出量yには使用上の適切な範囲がある。突出量yが当該範囲の下限(例えば1mm)を下回ると、図12や図13等にそれぞれ示したような手法により、ブラシロール61A,61Bの径が摩耗により減少した分、押えロール62A,62Bの径を小さくすることで突出量yを増加させて、必要な研削力を得るための突出量yにまで戻すことは可能である。
一方、本実施形態のように主軸63Aに対して偏心した偏心軸102を中心に押えロール62Aが回転可能であり、摩耗量に応じた回転角度に偏心軸102を調整するならば、摩耗量が2yの範囲内に留まるうちは、摩耗量にかかわらず、突出量yを変動させずに一定に維持することができる。180°のとき突出量がyに維持されるとすれば、ブラシロール61Aの初期線材丈は、少なくともy+2yである。
偏心軸102の回転角度が0°の状態からブラシロール61Aの使用を開始したならば、適宜な頻度により、角度調整機構103を用いて偏心軸102の回転角度を調整しながら、180°に到達するまで同一のブラシロール61Aの使用を継続することができる。その間、突出量yを一定以上の値に保つことでブラシロール61Aに安定した研削力を得ることができる。
回転角度を180°に維持したまま、それ以降もブラシロール61Aの使用を継続すると、突出量yは減少する。しかし、突出量yが使用限界に達して必要な切削力が得られなくなるまでは、同一のブラシロール61Aの使用を継続することができる。突出量yが使用限界に達すると、線材の寿命が尽きるから、ブラシロール61Aの交換が必要となる。
偏心軸102の回転角度の調整により、ブラシロール61Aの線材が摩耗しても突出量yが変化しないならば、摩耗により突出量yが減少する場合とは違い、突出量yが最小の時でも必要な研削力を得るために線材の全長(初期線材丈)を短く抑えて剛性を確保しなくともよい。そのため、初期丈の長い線材をブラシロール61Aに採用することができる。そうすると、摩耗の進行により線材丈が短くなり、偏心軸102を180°まで回転させた状態でも必要な研削力が得られなくなる使用限界に至るまでの摩耗量を大きく取ることができるから、線材の寿命により交換に至るまでのブラシロール61Aの使用期間を延ばすことができる。
[被膜処理部の運用例]
図21に、ブラシロール61Aと押えロール62Aとが同じ主軸63Aを中心に回転する場合(#1)と、本実施形態のようにブラシロール61Aに対して押えロール62Aが偏心した状態で回転する場合(#2)とのそれぞれにおける被膜除去部の運用例を示している。上述したように、#2では、#1と比べて長い初期線材丈のブラシロール61Aが採用されている。#1では、初期線材丈が一例として20mmのブラシロール61Aが使用され、#2では、初期線材丈が一例として25mmのブラシロール61Aが使用されるものとする。なお、突出量yが長いほど、線材が鋼板Sに当たる領域の面積が広いので、鋼板Sの表面の高さがばらついていても、研削力を安定させることができる。
以下、ブラシロール61Aおよび押えロール62Aを例に取り説明するが、ブラシロール61Bおよび押えロール62Bについても同様である。
#1の場合は、突出量y01からブラシロール61Aの使用を開始すると、摩耗により線材丈が減少するのに伴い、突出量yも減少する。突出量yが使用限界まで減少したならば、上述した種々の手法により押えロール62Aの径を小さくすることで突出量をyに戻し(破線参照)、ブラシロール61Aの使用を再開する。その後、摩耗により突出量yが使用限界まで減少したならば、線材の寿命が尽きるので、ブラシロール61Aを交換する。
一方、#2の場合は、摩耗により線材丈が初期状態から次第に減少するのは#1と同じであるが、偏心軸102の回転角度の調整によって突出量yが一定に維持されるので、#1とは異なり、押えロール62Aの径を小さくする処理が必要ない。そのため、より径の小さな押えロール62Aへの交換等の作業を行うことなく、同一のブラシロール61Aを継続して使用することができる。押えロール62Aの交換に伴う分解、組戻し等の作業が生じず、また、交換作業による被膜除去工程を含む製造工程の中断を避けることができるので、生産性を向上させることができる。
加えて、#2の初期線材丈が#1の初期線材丈と比べて長いことにより、同一の使用条件下において使用開始から線材の寿命が尽きるまでのブラシロール61Aの使用可能期間を#1に対して大幅に延長することができる。
図22は、上記の#1および#2の場合毎に、3つのブラシロール61Aの運用例を示している。1日あたりの被膜除去処理の回数等の使用条件は#1および#2のいずれも同一であるものとする。また、3つのブラシロールにそれぞれ、a,b,cの符号を与えている。
上段に示す#1の場合、aのブラシロール61Aの使用を開始し、摩耗により突出量yが使用限界に達すれば、aからbにブラシロール61Aを交換する。なお、ブラシロール61Aを交換する際には、線材群の先端を平坦に整えて鋼板Sに当たり易くする面出し作業が行われる。bについて突出量yが使用限界に達すれば、さらにcへと交換する。cについても突出量yが使用限界に達すれば、より小さな径の押えロール62Aに交換するステップSt0を挟んで、aの2度目の使用を再開する。その後は、上記と同様に、突出量yの使用限界への到達に伴い、b,cと順次交換しながら、被膜除去処理をおこなう。ここでは、2度目の使用による摩耗により、a~cのいずれの線材も寿命が尽きるので、新しいブラシロール61Aを入手する必要がある。
次に、#2の場合、#1とは異なり、突出量yを戻すための押えロール62Aの交換作業が必要ない。そのため、図22の下段に示すように、aのブラシロール61Aの使用を開始したならば、摩耗により、線材丈が初期丈から次第に減少する間に亘り、偏心軸102を回転させることで突出量yを維持しながら、線材の寿命が尽きるまでaの使用を継続することができる。偏心軸102を回転させる処理は、例えば、移動フレーム10を搬送路P1(図1)から退避させている間、あるいは、待機位置に移動フレーム10が停止している間に行うことができるから、必ずしも、接合装置1による接合工程を中断する必要がない。
aの線材の寿命が尽きた後は、b,cへと順次交換し、a~cの全ての寿命が尽きたならば新しいブラシロール61Aを入手する必要がある。
図22に示す運用例によれば、a~cを合わせた連続使用可能期間で比べても、#2は、#1と比べて大幅に長い使用可能期間を実現することができる。
[被膜処理部の変形例]
被膜除去部60-2は、図23に示すように、追加の構成要素として、ブラシロール61Aの摩耗量を示す情報を取得する摩耗量取得部112と、当該情報を用いて、摩耗量に応じた偏心軸102の回転角度θを取得する角度取得部113とを備えていることが好ましい。
摩耗量取得部112は、例えば、レーザを利用した変位計に相当する。その他、摩耗量取得部112は、図12に示した光電センサ83であってもよく、あるいは、ブラシロール61Aを駆動するモータ66Aであってもよい。モータ66Aを用いる場合は、モータ66Aから取得したトルクをブラシロール61Aの摩耗量に変換することができる。
角度取得部113は、ブラシロール61Aの摩耗量に応じた回転角度θを演算等により取得する。
例えば図24に計算例を示すように、偏心軸102の回転角度θと、鋼板Sにブラシロール61Aの外端E1が接触する箇所における所定径の押えロール62Aの外端E2の高さとの間には所定の関係がある。ここで言う外端E2の高さは、θが0°のときの外端E2の位置を基準として、この基準位置(0)から法線方向に、鋼板Sから離れる側へ(押えロール62Aの例で言えば上方へ)測ったときの高さに相当する。ブラシロール61Aおよび押えロール62Aのそれぞれの径、並びに偏心量y、突出量yを制御装置1Aの記憶部に記憶しておけば、角度取得部113は、当該記憶部に記憶された情報と、摩耗量取得部112により得られた情報が示す摩耗量とに基づいて、外端E1,E2の間に一定の距離(突出量y)を与える回転角度θを算出することができる。
摩耗量取得部112および角度取得部113により得られる回転角度θを偏心軸102に与えることによれば、ブラシロール61Aに一定の突出量yを確実に与えることができる。
偏心軸102の回転動作は、上述した角度調整機構103を用いて行うことができる他、図23に示すように、偏心軸制御装置114により制御される偏心軸回転装置115を通じて行うこともできる。
偏心軸回転装置115は、偏心軸102に連結されたスプロケット等に設けられたモータ、および電磁ブレーキ等を含む。
偏心軸制御装置114は、摩耗量取得部112により得られた回転角度θを示す制御指令を偏心軸回転装置115に与える。制御指令により、偏心軸回転装置115は、電磁ブレーキを解除して偏心軸102を回転角度θに回転駆動した後、電磁ブレーキを作動させて偏心軸102の回転を規制する。
[摩耗量に応じた回転角度に偏心軸を調整する手順]
図25を参照し、被膜除去部60-2により行われる被膜除去工程に関し、偏心軸102を調整するための手順の一例を説明する。
押えロール62Aにより鋼板Sを加圧しつつブラシロール61Aにより鋼板Sを研削する被膜除去のステップSt1は、上述した被膜除去の工程と同様にして所定のサイクルで行われる。
制御装置1A(図1)により、例えば、被膜除去部60-2による研削回数が規定の回に達したり、あるいは、研削距離が規定のkmに達したりしたならば(St2でYes)、例えば、レーザ変位計等の摩耗量取得部112、あるいは巻尺等を用いてブラシロール61Aの摩耗量を示す情報を取得する(St3)。
当該情報が示す摩耗量が規定値に達していたならば(St4でYes)、角度取得部113により、当該摩耗量と、ブラシロール61Aおよび押えロール62Aのそれぞれの径、並びに偏心量y、突出量yを用いた演算処理等によって回転角度θを導く(St5)。
偏心軸102を回転角度θに調整するにあたり、偏心軸制御装置114は、偏心軸回転装置115にブレーキ開(St6)、偏心軸の回転(St7)、およびブレーキ閉(St8)の制御指令を順次与える。偏心軸102の回転角度の調整は、被膜除去部60-2による被膜除去の処理が行われていない時に行われる。
その他、偏心軸102の回転角度の調整は、角度調整機構103のハンドルに付された目盛を利用して、ハンドルを手動で回転させることで行ってもよい。
以上で説明した第2実施形態の被膜除去部60-2によれば、ブラシロール61A,61Bの摩耗が進行した際に、押えロール62A,62Bの径を小さくするための押えロール62Aの交換等の作業を行うことなく、摩耗量に応じた回転角度θに偏心軸102を回転させることで、突出量yを一定に維持しながら、安定した研削力にて鋼板Sの表面被膜の除去を行うことができる。
被膜除去部60-2によれば、ブラシロール61A,61Bの摩耗量に追従させた突出量yの制御を、押えロール62Aを主軸63Aに対して偏心させた構造により実現しているので、ブラシロール61A,61Bを昇降させる油圧シリンダ65A,65Bとは別途、押えロール62Aを昇降させる油圧シリンダ621(図14)等を装備する必要がない。つまり、被膜除去部60-2によれば、シリンダ等の装備により主軸63A,63Bの方向に大型化するのを避けながら、ブラシロール61Aの摩耗量にかかわらず、安定した研削力を保持することができる。
[接合装置の種別]
以上の各実施形態においては、マッシュシーム溶接を行う接合装置1を例にして説明したが、本発明が適用される接合方法はこれに限らない。一対の鋼板S、その他の金属板の端部同士を重ね合わせて接合する際に、表面被膜を除去する必要のある接合方法に広く適用できる。具体的な一例として、摩擦攪拌接合(FSW:Friction Stir Welding)が該当する。
1 接合装置
1A 制御装置
10 移動フレーム
11A 接続端
11B 開口
12A,12B 支持台
13 車輪
14 下面
20 溶接部
21A,21B 電極輪
22A,22B 支持ロッド
23 油圧シリンダ
24 ピストン
30 圧下部
31A,31B 圧下ロール
32A,32B 支持ロッド
33 油圧シリンダ
34 ピストン
40 冷却部
41 散水ノズル
50 加熱部
51 ヒータ
60,60-2 被膜除去部(被膜除去装置)
61A,61B ブラシロール(研削材、回転体)
62A,62B 押えロール(加圧材、回転体)
63A,63B 主軸(回転軸)
64A,64B 支持ブラケット(支持体)
65A,65B 油圧シリンダ
66A,66B モータ
67A,67B 出力軸
68A,68B 第1プーリ
69A,69B 第2プーリ
71A,71B 第3プーリ
72A,72B 第4プーリ
73A,73B 第1伝導ベルト
74A,74B 第2伝導ベルト
75A,75B 回転軸
76A,76B 防水カバー
77A,77B 防水カーテン
79 クランプ
81 切削工具
83 光電センサ(摩耗状態情報取得部)
85 無限軌道(加圧体)
86 制御部
90 切断部
91A,91B せん断刃
100 支持体
101 固定ボス
102 偏心軸
103 角度調整機構
107 伝達機構
108 ブレーキ機構
621 油圧シリンダ(昇降機構)
B1 第1軸受
B2 第2軸受
B3 第3軸受
C61 回転軸
C62 回転軸(軸)
E1,E2 外端
X0,X1 軸線
y 突出量
偏心量

Claims (15)

  1. 回転軸に支持される回転体からなり、接合対象の表裏に形成される表面被膜を除去する一対の研削材と、
    一対の前記研削材により前記表面被膜が除去される前記接合対象を表裏から挟んで前記接合対象に対して移動しながら加圧する一対の加圧体と、を備え、
    前記研削材および前記加圧体のそれぞれの前記接合対象に接触する外端が、前記回転軸の方向に並んで配置される、
    被膜除去装置。
  2. 前記研削材は、駆動源により回転駆動され、
    前記加圧体は、前記研削材の回転に対して空転する回転体である、
    請求項1に記載の被膜除去装置。
  3. 前記加圧体は、前記回転軸を回転可能に支持する支持体に軸受を介して支持される、
    請求項2に記載の被膜除去装置。
  4. 前記回転軸に対して偏心し、前記支持体に備わる固定軸に回転可能に支持される偏心軸と、
    前記偏心軸を所定の回転角度に調整可能な角度調整機構と、を備え、
    前記加圧体は、前記偏心軸を中心に回転可能に、前記偏心軸を介して前記固定軸に支持される、
    請求項3に記載の被膜除去装置。
  5. 前記研削材の摩耗量を示す情報を取得する摩耗量取得部と、
    前記摩耗量に応じた前記偏心軸の前記回転角度を取得する角度取得部と、を備える、
    請求項4に記載の被膜除去装置。
  6. 前記加圧体は、前記研削材の前記回転軸とは別の軸に支持される回転体からなり、前記研削材に対して相対的に昇降可能である、
    請求項1または請求項2に記載の被膜除去装置。
  7. 前記接合対象のおもて側に配置される前記研削材および前記加圧体と、前記接合対象のうら側に配置される前記研削材および前記加圧体とは、
    それぞれの前記回転軸が水平方向にずれて配置されており、かつ被膜除去時に、
    前記おもて側の前記加圧体の最下点の高さが前記うら側の前記加圧体の最上点の高さ以下に配置される、
    請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の被膜除去装置。
  8. 回転体からなる前記加圧体の外周を切削する切削工具と、
    前記研削材の摩耗状態を示す情報を取得する摩耗状態情報取得部と、
    前記摩耗状態情報取得部により得られた前記情報に基づき、前記切削工具に前記加圧体を切削するよう指示する制御部と、を備える、
    請求項3~請求項5、請求項7のいずれか一項に記載の被膜除去装置。
  9. 前記加圧体は、内周側の層と、外周側の層とを含む複数の層に分割可能に構成される、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の被膜除去装置。
  10. 接合対象の表裏に形成される表面被膜を、前記表裏のそれぞれに配置される一対の回転体からなる研削材の回転により除去する方法であって、
    前記研削材の回転の軸方向に前記研削材と並んで、かつ前記表裏のそれぞれに配置される一対の加圧体により前記接合対象を前記表裏から挟んで前記接合対象に対して移動しながら加圧して、一対の前記研削材により前記表面被膜を除去する、
    被膜除去方法。
  11. 前記加圧体は回転体からなり、
    前記加圧体は、前記接合対象の相対的な移動に追従して、前記接合対象が相対的に移動する向きに、前記研削材の回転に対して空転する、
    請求項10に記載の被膜除去方法。
  12. 前記研削材および前記加圧体は共通する回転軸または別々の軸に支持される回転体からなり、
    前記接合対象のおもて側に配置される前記加圧体において前記接合対象を下向きに湾曲させる、又は、
    前記接合対象のうら側に配置される前記加圧体において前記接合対象を上向きに湾曲させる、
    請求項10または請求項11に記載の被膜除去方法。
  13. 前記加圧体は、前記研削材の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心に回転可能であり、
    前記研削材の摩耗量を示す情報を用いて前記偏心軸を所定の回転角度に制御する、
    請求項11に記載の被膜除去方法。
  14. 前記加圧体は、前記研削材の前記回転軸とは別の軸に支持される回転体からなり、前記研削材に対して相対的に昇降可能であり、
    前記研削材の摩耗量が所定値に達すると、
    前記接合対象のおもて側に配置される前記加圧体の軸を前記研削材の前記回転軸に対して昇降機構により引き上げ、前記接合対象のうら側に配置される前記加圧体の軸を前記研削材の前記回転軸に対して昇降機構により引き下げる、
    請求項12または請求項13に記載の被膜除去方法。
  15. 請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の被膜除去装置と、
    前記表面被膜が除去され重ね合わされた前記接合対象を接合する接合機と、を備える接合装置。
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