JPH0634931Y2 - 突合せ溶接部の下地処理用研磨材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、突合せ溶接を行う場合に溶接に先立って用い
る下地処理用研磨材に関するものである。

［従来の技術］ 例えば、鋼板と鋼板或は管と管の接合を突合せ溶接にて
行う場合、もしくは外周から管の突合せ溶接を行った既
設管の溶接部に欠陥溝が生じこれを補修溶接する場合、
その開先部或は欠陥溝から錆、塗料などの異物を取除く
作業（以下この作業を下地処理という）を溶接に先立ち
行うことが必要である。これらの異物が溶接箇所に残存
すると、溶接不良や溶接欠陥の原因となる。

従来、このような突合せ溶接部の下地処理においては、
円形の固形研磨材をグラインダに取付け、この研磨材に
て開先部周辺母材の平面部を研磨し、次に円形ワイヤブ
ラシをグラインダに付換えて突合せ部の開先又は欠陥溝
内を研磨することによって、異物を除去するようにして
いた。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記した従来の手段では、下記の如き問
題点があった。

母材の研磨される部分の形状に応じて研磨材の種類を
交換することが必要で、手間がかかる。

突合せ部の開先又は欠陥溝が狭い場合には、通常の幅
の円形ワイヤブラシでは、溝の中に入らず、十分な研磨
が出来ないことがある。

また、この不都合を解消するために幅の狭いワイヤブ
ラシを使用した場合、ワイヤブラシの腰が弱くなって腰
折れ現象が生じ、作業性が悪化する。

この考案はこのような問題点を有利に解決し、同一の研
磨材で、即ち一回の研磨作業で母材の平面部と開先又は
欠陥溝の両方を研磨できると共に、開先又は欠陥溝の幅
の広狭にかかわらず確実な研磨が可能な下地処理用の研
磨材を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するための本考案の研磨材は、突合せ溶
接を行う前の溶接部の下地処理用の研磨材において、少
くとも２個の第１の弾性円形研磨部の間に、幅狭の第２
の円形ブラシ状研磨部を配置してこれらを中心軸に積層
固定して形成したことを構成上の特徴とする。

［作用］ 上記の研磨材を突合せ部に押し付けて研磨すると、第１
の円形研磨部はその弾性によりその母材との接触部位が
たわんで平面部を研磨すると同時に、その第１研磨部の
たわみにより第２のブラシ状研磨部は開先又は欠陥溝内
部に突出し良好な研磨状態が得られる。

［実施例］ 以下図面に基いて実施例を説明する。

第１図は本考案に係る研磨材の一例を示す斜視図であ
り、第２図はその正面図、第３図は第２図のＡ−Ａ断面
図、第４図はＢ−Ｂ断面図である。

図示する如く、研磨材は、２個の比較的幅広（軸方向厚
みが）の第１の弾性円形研磨部１と、これら２個の弾性
研磨部１間に配置した幅狭の第２の円形ブラシ状研磨部
２とから成り、これら研磨部1,2を各中心を通る軸３に
ナット４にて締付け固定し、積層した状態で保持したも
のである。勿論、弾性研磨部１は図示の２個に限らず、
それ以上の数でもよい。

上記弾性研磨部１は、その半径方向にたわみ易い性質を
有する材料から形成することが必要で、例えば短冊状の
研磨布を芯材の周囲に放射状に多数配列して形成したも
の、或はスポンジ状の素材に砥粒を分散付着させたもの
でもよい。

また、前記のブラシ状研磨部２は、研磨対象となる母材
６の溝５に対し十分入り込む程度の幅を有し、材質とし
ては金属製ワイヤブラシ、或はプラスチック製ブラシに
砥粒を分散付着させて形成する。

図示した研磨材を用いて下地処理する場合には、軸３を
例えばグラインダに連結固定し、研磨材を回転駆動しな
がらブラシ状研磨部２が母材８の溝７に当接するように
位置決めし、研磨材を母材に押し付けて作業を開始す
る。このとき円形研磨部１はその弾性により半径方向に
たわんで変形した状態で母材平面部を研磨するが、中間
のブラシ状研磨部２はこの弾性研磨部１の変形により、
相対的に半径方向に突出した形となり、溝５内に侵入し
て効果的な研磨状態を得ることができる。加えてブラシ
状研磨部２は挟持する研磨部１間に保持されるので、腰
折れすることがなく、狭い溝５部分であっても良好な研
磨が遂行される。研磨材はこのようにそれ自体軸３周り
に回転しながら母材の溝５に沿って移動し研磨作業を継
続することになる。

尚、実際には研磨材のサイズや材質等を変えた複数種類
を用意しておき、研磨対象となる開先又は欠陥溝のサイ
ズや形状等に合せて交換するようにすることが便利であ
る。

［考案の効果］ 以上説明したこの考案の研磨材によれば、研磨材をその
都度交換することなく、同一の研磨材で能率良く平面部
及び溝部分を研磨でき、しかも幅の狭い開先又は溝であ
っても良好な状態で研磨することが可能となる。従っ
て、本考案は突合せ溶接部の下地処理用の研磨材として
極めて実用性の高いものといえる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る研磨材の実施例を示す斜視図、
第２図は第１図の研磨材の使用状態を示す側面図、第３
図は第２図のＡ−Ａ断面図、第４図は第２図のＢ−Ｂ断
面図である。 １…第１の円形研磨部、２…第２のブラシ状研磨部、３
…軸、４…ナット、５…狭い溝、６…母材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 迫間 隆司 大阪府大阪市此花区酉島５―11―61 大阪 瓦斯株式会社導管技術センター内 (72)考案者 土谷 雅敏 大阪府大阪市此花区酉島５―11―61 大阪 瓦斯株式会社導管技術センター内 (56)参考文献 実公 昭53−38230（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】突合せ溶接を行う前の溶接部の開先または
   欠陥溝の内部とその近傍の平面部を同時に下地処理する
   下地処理用の研磨材において、 少なくとも２個の第１の弾性円形研磨部の間に、幅狭の
   第２の円形ブラシ状研磨部を配置してこれらを中心軸に
   積層固定して形成したことを特徴とする突合せ溶接部の
   下地処理用研磨材。