JP7085641B2 - アルコラート塩基の存在下でのニコチン酸エチルとn-ビニルピロリドンとの反応によるラセミ体ニコチンの調製方法 - Google Patents

アルコラート塩基の存在下でのニコチン酸エチルとn-ビニルピロリドンとの反応によるラセミ体ニコチンの調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、式I-aで表される鏡像異性体の混合物を、式I-b及び式I-cで表される鏡像異性的に純粋な物質に分離する方法を含む、式I-aの化合物を調製する方法に関する。
Figure 0007085641000001
本発明は、特に、式I-aのニコチンを調製するための、環境にやさしく効率的な方法に関する。ニコチンは、合成中の有害な化学物質の使用を避けて純粋な形で得られる。
本発明はさらに、(R/S)-ニコチン、鏡像異性的に純粋な(R)-ニコチン、及び鏡像異性的に純粋な(S)-ニコチンのラセミ混合物を調製する方法に関し、これらの鏡像異性体は一般的に分離するのが難しい。
ニコチンは、様々な用途で使用される天然のアルカロイドである。特に(S)-ニコチンは、ニコチン乱用及びニコチン依存症を治療するための医薬品有効成分として使用されている。トゥレット症候群、アルツハイマー病、統合失調症、及び神経系の障害に関連するその他の疾患を治療する際の成功がさらに報告されている。一般的な投与方法は、ガム、クリーム、経皮パッチ、錠剤、点鼻薬、及び電気タバコである。
農業においても、アブラムシに対する植物保護剤又は殺虫剤として相当量のニコチンが使用されている。
天然のニコチンはタバコ植物から抽出され、望ましくない有害な不純物を除去するための効率的な精製工程が必要なプロセスである。ニコチンの需要が高まるにつれ、非常に純粋な形で合成ニコチンを調製するためのエコロジカルで経済的な方法を提供する必要性が生じている。
最新技術
ニコチン((S)-3-(1-メチルピロリジン-2-イル)ピリジン)及びその鏡像異性体は、長年、満足のいく方法ではない様々な方法で調製されてきた。既知の合成は、通常、費用がかかり、環境に対して問題があるか、毒性さえある薬剤を使用する。
Pictet A.は、酒石酸を使用して鏡像異性体を分離することを含めて、1904年に既にニコチンの合成を報告している(非特許文献1)。酒石酸はその後数十年間使用されてきた(例えば、Aceto M.D.ら(非特許文献2)を参照。
最近では、Chavdarian C.G.らが光学活性ニコチノイドの合成に関するより近代的なアイデアを開示した(非特許文献3)。
Katsuyama A.らは、ニコチンのラセミ化のためにカリウムtert-ブタノラートを使用してニコチンを合成し、鏡像異性体をさらに分離するための出発物質を調製する方法を報告した(非特許文献4)。
さらに、特許文献1は、5つの異なるステップにわたる合成経路を開示しており、正味収率は37.7%.である。
特許文献2は、溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)中の強塩基として水素化カリウム(KH)又は水素化ナトリウム(NaH)を使用し、ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンを得るニコチンの合成を開示している。(R/S)-ニコチンの収率は約31%である。同様の手順ならびにニコチンの鏡像異性体分離の手順は、Wang J.ら(非特許文献5)、Desai D.ら(非特許文献6)、Aceto M.D.ら(非特許文献7)又はBowman E.R.ら(非特許文献8)に開示されている。
特許文献3では、中間体カリウム1-メチル-3-ニコチノイル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2-オラートへの還流で強塩基(カリウムtert-ブトキシドとして)の存在下での1-メチルピロリジン-2-オンとニコチン酸メチルの縮合を含む合成が記載されており、これは次にR/Sニコチンのラセミ混合物に変換することができる。ジ-パラ-トルオイル-L-酒石酸は、分割剤として機能する。
特許文献4(特許文献5)は、周知の合成経路に依存しており、鏡像異性体を分離するための作用剤としてD-DBTA(酒石酸のD-ジベンゾイルエステル)を開示している。
特許文献6(特許文献7、特許文献8)は、金属水素化物の存在下でのN-ビニローグ-ピロリジノンとニコチン酸エステルの縮合を含む、中間体ミオスミンへの3ステップを含む調製方法を開示している。
ここ数年、開発は主に光学活性鏡像異性体の分割工程の精製及び最適化に重点が置かれていた。しかし、ニコチンのより効率的でよりエコロジカルな合成、ならびに環境にやさしい薬剤及び溶媒の使用に向けた改善が必要である。
欧州特許出願公開第4487172号明細書 国際公開第2017/117575号 米国特許出願公開第2016/0326134号明細書 欧州特許出願公開第2484673号明細書 米国特許第8,378,111号明細書 国際公開第2016/065209号 欧州特許出願公開第3209653号明細書 米国特許第9,556,142号明細書
Berichte der deutschen chemischen Gesellschaft,vol.37,1904,1225-1235頁 J.Med.Chem.,1979,vol.22,174-177 J.Org.Chem.,1982,vol.41,1069-1073 Bull.Spec.CORESTA Symposium,ウィンストン・セーラム,1982、p.15,S05,ISSN0525-6240 Wang J.et al.,E.J Med.Chem.,2017,vol.130,15-25 Desai D.et al.,J.Labeled Compd.Radiopharm,2008,vol.51,226-230 Aceto M.D.et al.,J.Med.Chem.,1979,vol.2,174-177 Bowman E.R.et al.,Synthetic Comm.,1982,vol.12,11,871-879
本発明は、製造された鏡像異性体を分離する特定の手順を含む、ニコチンを調製するための新規な方法を提供する。発明者らは、文献に開示されているものと比較して、容易に入手可能な出発物質に基づくより少ない合成工程、及びより毒性の少ない薬剤を有する方法を見出した。合成全体をワンポット合成として、特に異なる工程で溶媒を変更せずに実行することができる。同時に、収率の向上及び最終的な高純度が確認された。全体的に、この新しい方法は、当技術分野における既知の方法と比較して、経済的にも環境的にも優れている。
第1の態様では、本発明は、式I-aの化合物を調製する方法に関し、その方法は、
Figure 0007085641000002
(i)アルコラート塩基の存在下でニコチン酸エチルとN-ビニルピロリドンを反応させて、3-ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンにする工程;
(ii)3-ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンを酸と反応させてミオスミンにする工程;
(iii)還元剤を使用してミオスミンを還元し、ノルニコチンにする工程;及び
(iv)ノルニコチンをメチル化して式I-aの化合物を得る工程を含む。
さらなる実施形態は従属請求項に開示されており、以下の説明及び実施例から得ることができるが、それらに限定されるものではない。
特に定義しない限り、技術用語及び科学用語は、本発明の分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に開示されるすべての範囲は、そうでないことが明確に定義されていないか、又は文脈から明らかでない限り、「約」という用語によって補足されると見なされるものとする。
本願における物質の量に関連するすべての数又はパーセンテージは、そうでないことが明確に定義されていないか、又は文脈から明らかでない限り、重量%で示されている。
本発明は、ニコチンを便利な方法で製造するための新規な方法を提供する。
さらに、本発明は、さらなる態様において、本発明による方法によって得られる式I-a、式I-b又は式I-cによって表される化合物の医薬製剤における使用に関する。
第1の態様では、本発明は、式I-aの化合物を調製する方法に関し、前記方法は、
Figure 0007085641000003
(i)アルコラート塩基の存在下でニコチン酸エチルとN-ビニルピロリドン(NVP)を反応させて、3-ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンにする工程;
(ii)3-ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンを酸と反応させてミオスミンにする工程;
(iii)還元剤を使用してミオスミンを還元し、ノルニコチンにする工程;及び
(iv)ノルニコチンをメチル化して式Iaの化合物を得る工程を含む。
工程(i)は以下の通りである:
Figure 0007085641000004
工程(i)におけるアルコラート塩基は特に限定されない。それは、1~20個の炭素原子を有するアルコラート(アルコキシドとしても知られる)であってもよく、第一級、第二級又は第三級アルキル、アルケニル及び/又はアルキニルアルコール及び/又は芳香族アルコールから誘導され得る。N-ビニルピロリドンとしての出発物質は中程度の強塩基(典型的なpKa値は20~26、場合によっては35まで)であり、発明者らが予想外に発見したことは、比較的穏やかな塩基性アルコラート(典型的なpKa値は15~17)は、例えばNaHやKHなどのよりアグレッシブな塩基(pKa値は約35)よりも、同じ選択性の化学反応を可能にすることである。特定の実施形態によれば、アルコラート塩基は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、さらに好ましくは1~6個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有するアルキルアルコールであって、アルキルが直鎖でも分岐鎖でもよいアルキルアルコールから誘導される。例えば、それはメタノラート、エタノラート、n-プロパノラート、イソプロパノラート、n-ブタノラート、イソブタノラート、sec-ブタノラート、tert-ブタノラートなど、好ましくはメタノラート及びエタノラート、さらに好ましくはエタノラート(エトキシドとしても知られる)であり得る。アルコラートは適切なカチオンを有してもよく、上記カチオンは特に限定されず、例えば、アルカリ及びアルカリ土類金属カチオン、好ましくはアルカリ金属カチオン、さらに好ましくはLi、Na、K及びそれらの混合物などの一価及び二価カチオンから選択されてもよい。適切な好ましいアルコラートは、好ましくはアルカリ金属アルコラート、好ましくはアルカリ金属エタノラートである。好ましくは、アルカリ金属アルコラートは、ナトリウムエタノラート、カリウムエタノラート、及びそれらの混合物から選択される。一態様では、ナトリウムエタノレートは、特に好ましい適切な塩基であることが見出された。
工程(i)は、特に限定されない適切な溶媒中で行うことができる。特定の実施形態によれば、工程(i)は、芳香族溶媒の存在下で行われる。好ましい芳香族溶媒は、ベンゼン、トルエン、又はそれらの混合物である。本発明の好ましい態様では、トルエンが溶媒として選択される。また、芳香族溶媒と非芳香族溶媒の混合物も使用できる。例えば、芳香族溶媒と15重量%までの少なくとも1種のアルコール、例えば、炭素数1~10の一価アルコール、例えばエタノール、n-プロパノール、及び/又はi-プロパノールなどとの混合物を使用できる。
特定の実施形態によれば、工程(i)で使用される芳香族溶媒は、本発明の方法の工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のすべてに少なくともある程度存在する。
特定の実施形態によれば、工程(i)は、無水条件下で、すなわち水の非存在下で行われる。
特定の実施形態によれば、工程(i)は、50~150℃、好ましくは80~120℃、さらに好ましくは90~110℃、例えば100℃の温度で行われる。
特定の実施形態によれば、アルコラート塩基は、工程(i)において、ニコチン酸エチルよりも過剰に、好ましくはニコチン酸エチル1当量に基づき1.4~2当量で、さらに好ましくは1.5~17当量で、特に好ましくは1.6当量で添加される。特定の実施形態によれば、これに代えて又はこれに加えて、工程(i)においてNVPが、ニコチン酸エチルよりも過剰に、好ましくはニコチン酸エチル1当量に対し1.05~1.4当量で、さらに好ましくは1.1~1.3当量で、特に好ましくは1.2当量で添加される。
工程(ii)は次のとおりである。
Figure 0007085641000005
工程(ii)では、1-ピロリン環が形成され、アミドが脱保護され、ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンが脱炭酸される。
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、酸、好ましくは強酸の存在下で高温で行われる。いくつかの態様において、温度は90~115℃、好ましくは100℃~105℃である。高温では、溶媒の一部、例えば工程(i)の有機溶媒及び例えば酸と共に添加された水の一部を蒸留により除去でき、回収して再利用できることが理解される。また、アセトアルデヒド、エタノール、COガスなどの低沸点成分も除去できる。
この工程において、酸は特に限定されない。特定の実施形態によれば、酸は無機酸、好ましくは鉱酸、さらに好ましくはHCl及び/又はHSO、特に好ましくはHClである。酸は水で希釈することができ、例えばHClaqとして存在する。特定の実施形態によれば、酸は、工程(i)で得られた冷却された、例えば20~40℃、例えば30℃の温度に冷却された溶液に滴加される。特定の実施形態によれば、工程(i)で得られた混合物又はニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オン(任意で上記のような適切な溶媒中)を、酸、好ましくは無機酸、さらに好ましくは鉱酸、さらに好ましくはHCl及び/又はHSO、特に好ましくはHCl、例えばHClaqに滴加する。これにより、収率が向上する。
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、無機酸、特に好ましくはHClaqを用いて、90~115℃、好ましくは100~105℃の温度で行われる。工程(ii)の反応が終了した後、特定の実施形態によれば、溶媒の少なくとも一部を蒸留により除去することができる。
手順(iii)は次のとおりである。
Figure 0007085641000006
工程(iii)では、ミオスミンの1-ピロリン環は、特に限定されない適切な還元剤によって還元される。特定の実施形態によれば、1-ピロリン環の還元は、標準的な方法を使用して行われる。特定の実施形態によれば、工程(iii)は、還元剤としてNaBHを使用して実施される。様々な方法がある中で、発明者らは、本発明のいくつかの態様によれば、特にイソプロパノール中のNaBHが、ワンポット反応の構想に従う機会を提供することを発見した。したがって、この還元剤の使用は、本発明の方法が中間体の精製工程を伴わないワンポットプロセスで行われる場合に特に好ましい。特定の実施形態によれば、反応は、18℃~30℃の温度で、好ましくは20℃~25℃の温度で行われる。
工程(iv)は次のとおりである。
Figure 0007085641000007
工程(iv)で、ピロリジン環はN原子の所で適切なメチル化剤によってメチル化されるが、これも特に限定されない。この工程では、ニコチンをその(R)-及び(S)-鏡像異性体の混合物として形成することができる。
特定の実施形態によれば、工程(iv)は、ギ酸とパラホルムアルデヒド、又はギ酸とホルムアルデヒドを使用して、好ましくは40~95℃、さらに好ましくは60~85℃、さらにより好ましくは60~70℃、さらにより好ましくは65±2℃の温度でさらに実行される。
本発明の一態様は、この工程において反応混合物に追加の溶媒を加える必要がなく、混合物中に既に存在する溶媒の量を増加させず、かつ/又は異なる溶媒を加えないことである。
特定の実施形態によれば、反応は、好ましく高められた温度、室温より高い温度で行われる。望ましい結果を得るために、温度は好ましくは40~95℃、さらに好ましくは60℃~85℃、さらにより好ましくは60℃~70℃、最も好ましくは温度は65℃±2であることが見出された。
特定の実施形態によれば、本方法は、ワンポットプロセスで実施することができる。当然これにより、さらなる分離工程、溶媒、エネルギー及び時間を節約することができる。特に、ワンポットプロセスは、上記の好ましい工程によって達成することができる。驚くべきことに、そのような実施形態では、中間体を精製する工程を伴わずに合成全体をワンポットプロセスとして実施できることが見出された。本発明の特定のさらなる利点は、簡単な反応シーケンスを可能にし、最小限の量及び種類の溶媒を使用するワンポット合成である。特定の実施形態によれば、そのようなワンポットプロセスでは溶媒の取り換えは不要である。
特定の実施形態によれば、式I-aの化合物又は式I-cの化合物、すなわち、ニコチン鏡像異性体の混合物又はエナンチオピュアな(R)型のニコチンを、140~160℃の温度で有機塩基とさらに反応させる。このようにして、得られた混合物の「ラセミ化」を行うことができる、すなわち、ラセミ混合物の方向にシフトさせることができる。特定の実施形態によれば、(R)-ニコチンは、この工程で(S)-ニコチンにシフトすることができる。以下に記載するように、この反応は、形成された混合物、式I-aの化合物を用いて行うことができるが、例えば、ニコチンの鏡像異性体の混合物から(S)-ニコチンを分離した後に得られる本質的に純粋な(R)-ニコチンを用いて行うこともできる。
有機塩基は特に限定されない。それは、1~20個の炭素原子を有するアルコラートであってもよく、第一級、第二級又は第三級アルキル、アルケニル及び/又はアルキニルアルコール及び/又は芳香族アルコールから誘導され得る。特定の実施形態によれば、それは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、さらに好ましくは1~6個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有するアルキルアルコールから誘導され、ここで、アルキルは直鎖又は分岐鎖であり得る。例えば、それは、メタノラート、エタノラート、n-プロパノラート、イソ-プロパノラート、n-ブタノラート、イソ-ブタノラート、sec-ブタノラート、tert-ブタノラートなど、好ましくはブタノラート、さらに好ましくはtert-ブタノラートであってもよい。アルコラートは、特に限定されない適切なカチオンを有してもよく、例えば、アルカリ及びアルカリ土類金属カチオン、好ましくはアルカリ金属カチオン、さらに好ましくはLi、Na、K及びそれらの混合物などの一価及び二価カチオンから選択されてもよい。適切な好ましいアルコラートは、好ましくはアルカリ金属アルコラート、好ましくはアルカリ金属tert-ブタノラートである。好ましくは、アルカリ金属アルコラートは、ナトリウムtert-ブタノラート、カリウムtert-ブタノラート、及びそれらの混合物から選択される。一態様では、カリウムtert-ブタノレートが、この工程において特に好ましい適切な塩基であることが見出された。
有機塩基は、特にワンポットプロセス由来の溶媒がまだ含まれている場合、又は特に限定されない適切な溶媒中である場合、ニートで、すなわち追加の溶媒なしで供給することができる。ベンゼンやトルエンなどの芳香族溶媒が好ましく、トルエンが溶媒として特に好ましい。非芳香族溶媒を含む芳香族溶媒も適している。
本発明の特定の態様によれば、「ラセミ化」は中程度の温度で、すなわちニコチンの還流のために加熱することなく行うことができることが見出された。発明者らは、トルエン中のtert-ブトキシドを使用すると、130~180℃、好ましくは140~170℃、さらに好ましくは140~160℃の温度で(R)-ニコチンを(S)-及び(R)-ニコチンの45:55から55:45混合物にラセミ化できることを発見した。
特定の実施形態によれば、ニコチン鏡像異性体の混合物、例えば、ラセミ体ニコチンは、経済的及び生態学的に有利な薬剤を使用する本発明の方法により分離することができる。したがって、特定の実施形態によれば、本方法は、キラルO,O’-二置換酒石酸、好ましくはジベンゾイル酒石酸又はジトルオイル酒石酸又はそれらの混合物を加えることにより、式I-aの化合物の鏡像異性体を分離することをさらに含む。
式I-aのニコチンは特に限定されず、上記の方法により得ることができる。それは、ニコチンの(R)-及び(S)-鏡像異性体の特に限定されない混合物であり、両方の鏡像異性体が含まれる限り、任意の比率で2つの鏡像異性体を含むことができる。それは、ラセミ混合物、すなわち、50:50のモル比を有する混合物であり得るが、(S)-鏡像異性体:(R)-鏡像異性体の比が、例えば1:99~99:1、例えば10:90~90:10、例えば20:80~80:20、例えば30:70~70:30、例えば40:60~60:40、例えば45:55~55:45、又はこれらの比率の間の他の任意の比率の範囲の混合物であってもよい。本方法は、この混合物からの(S)-鏡像異性体の分離を可能にする。
キラルO,O’-二置換酒石酸は、キラル、すなわち光学活性である限り特に限定されず、エナンチオピュアである必要はない。ヒドロキシ基の酸素上の2つの置換基は特に限定されず、同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態によれば、それらは、1~20個のC原子を有するアルキル基、2~20個のC原子を有するアルケニル及び/又はアルキニル基、6~20個のC原子を有するアリール基;及び/又は、7~20個のC原子を含み、そのいずれもがハロゲン基、ニトロ基、アミン基、エステル基、アミド基などの官能基で置換されていても非置換であってもよく、好ましくはいずれも非置換であるアルキルアリール及び/又はアリールアルキル基から選択される。キラルO,O’-二置換酒石酸における好ましい置換基は、6~20個のC原子を有するアリール基;及び/又は置換されていない7~20個のC原子を有するアルキルアリール及び/又はアリールアルキル基である。
特定の実施形態によれば、キラルO,O’-二置換酒石酸は、O,O’-ジベンゾイル酒石酸及びO,O’-ジトルオイル酒石酸、例えば、O,O’-ジ-o-トルオイル酒石酸、O,O’-ジ-m-トルオイル酒石酸及び/又はO,O’-ジ-p-トルオイル酒石酸、又はそれらの混合物から選択され、好ましくはO,O’-ジベンゾイル酒石酸である。特定の実施形態によれば、それはエタノールを溶媒として添加される。
本方法では、キラルO,O’-二置換酒石酸は、好ましくはL-鏡像異性体を含む。この場合、O,O’-二置換酒石酸は、L-鏡像異性体からなるか、L-鏡像異性体及びD-鏡像異性体を混合物として含むことができる。後者の場合、L-鏡像異性体は、D-鏡像異性体よりも過剰に、例えば、L-鏡像異性体:D-鏡像異性体のモル比が少なくとも80:20で、好ましくは少なくとも90:10で含まれることが好ましく、この比は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の鏡像体過剰率(enantiomeric excess(ee))としても記載され得る。
特定の実施形態によれば、キラルO,O’-二置換酒石酸は、O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸であり、すなわち、100%のeeを有する。特定の実施形態によれば、それはエタノールとして溶媒として添加される。
(R)-及び(S)-ニコチンの分離は、(S)-ニコチンを得る場合、純粋な鏡像異性体、すなわちキラルO,O’-二置換酒石酸のL-鏡像異性体である分離剤を用いて達成できることが見出されているが、驚くべきことに、純粋でない分離剤(分割剤とも呼ばれる)を使用した場合でも、また、キラルO,O’-二置換酒石酸の鏡像異性体の混合物を使用しても同じことが達成され、予想外に分離効果を達成することも判明した。純粋な分離剤/分割剤が利用可能であるとしても、経済的及び生態学的により容易に入手可能な薬剤を、一方の鏡像異性体(例えば、(S)-ニコチン(式I-bの化合物)を得る場合はL-鏡像異性体)が過剰な混合物として使用することには利点がある。
特定の実施形態によれば、O,O’-二置換酒石酸は、L-鏡像異性体及びD-鏡像異性体の混合物であり、L-鏡像異性体は、D-鏡像異性体よりも過剰に含まれ、好ましくは、L-鏡像異性体:D-鏡像異性体のモル比は80:20以上、好ましくは90:10以上である。特定の実施形態によれば、それはエタノールを溶媒として添加される。
特定の実施形態によれば、O,O’-二置換酒石酸は、O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸(L-DBTA)とO,O’-ジベンゾイル-D-酒石酸(D-DBTA)の混合物であり、L-DBTA:D-DBTAのモル比は80:20以上、好ましくは90:10以上である。特定の実施形態によれば、それはエタノールを溶媒として添加される。
本方法において、O,O’-二置換酒石酸を添加するために使用される溶媒は、特に限定されず、O,O’-二置換酒石酸を溶解することができる任意の適切な溶媒であり得る。特定の実施形態によれば、溶媒はエタノールである。分離のために、式I-aの化合物にO,O’-二置換酒石酸を加えることにより得られる混合物を、例えば、一定時間還流させて混合物を反応させることができる。
この工程の後、この反応混合物から式1-bの化合物を得ることができる。式I-bの化合物の取得は、特に限定されず、適切な方法、例えば、得られた(S)-ニコチンの塩を分離剤によって水と共にアルカリ性媒体中で加水分解し、トルエンのような有機溶媒で抽出し、溶媒を蒸留することにより実施することができる。(S)-ニコチンと分離剤との塩を得るために、それを事前に沈殿させ、濾過し、任意にエタノールで洗浄することができる。その中の沈殿、濾過及び洗浄の工程は、繰り返し、例えば2、3、4回以上実施することができる。
本方法の例示的な反応スキームを以下に示す:
Figure 0007085641000008
このスキームによれば、ニコチンの鏡像異性体の混合物は、塩基、例えばEtONaの存在下でのニコチン酸エチルと1-ビニル-2-ピロリドンの縮合から始まるワンポットプロセス(工程1a~d)で合成することができる(工程1a)。HClのような強酸、例えばHClaqの存在下、アミド窒素が脱保護され、脱炭酸が起こる(工程1b)。例えばイソプロパノール中のNaBHで、ピロリン環のピロリジン環への還元が行われ(工程1c)、ギ酸及びパラホルムアルデヒド(工程1d)、又はギ酸及びホルムアルデヒドでのニコチンへのメチル化が続く。ニコチン鏡像異性体のラセミ混合物、例えばラセミ混合物を、L-DBTAのような分割剤で分割して、目的の生成物である(S)-ニコチンを得ることができる(工程2)。得られた(R)-ニコチンは、塩基を用いたラセミ化(工程3)及びさらなる分割工程を経ることにより再利用することができる。
上記の実施形態は、適宜、任意に組み合わせることができる。本発明のさらなる実施形態及び実施は、本発明の実施例に関連する前述又は後述の特徴の明示的に引用されていない組み合わせも含む。特に、当業者はまた、本発明のそれぞれの基本的な形態に対する改善又は補足として単一の態様を追加するであろう。
実施例
次に、本発明を、そのいくつかの実施例を参照して詳細に説明する。しかしながら、これらの例は例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:
ラセミ体ニコチンを調製する一般的な手順1
1.0当量のニコチン酸エチル、トルエン(50.0g又はニコチン酸エチルに関して4.4重量部)及び任意でエタノール(1g、ニコチン酸エチルに関して0.09重量部)、及び1.3当量のナトリウムエトキシドを撹拌しながら80℃~85℃に加熱する。1.2当量の1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)を、無水条件下、1.5~2.0時間の間、80~85℃で反応混合物に加えた。反応は95℃~100℃で3時間行った。その後反応が完了し、反応混合物を2時間蒸留して溶媒の一部(68重量%エタノール及び32重量%トルエンを含む共沸混合物)を除去する。残りの反応混合物をHCl(水溶液、水中に30%;58.0g又は4.4当量)に注ぐ。(「ビニル」成分からの)アセトアルデヒドのような低沸点成分、エタノール及びCOガスを蒸留により除去した。反応温度が105℃に達したら、蒸留を停止し、反応混合物を90℃~94℃の温度で一晩撹拌した。反応の完了後、NaOH(水中に30重量%)を使用して、pHを9.5から10.0の間の値に調整した。イソプロパノール(表1aに示すように29.0g)及び1.0当量(ニコチン酸エチルに対して)のNaBHを1時間で少しずつ反応容器に投入した。反応は約10℃で3時間以上行った(この時点でミオスミンの含有量は3.0重量%未満であった)。ギ酸(HCOOH)を加え、反応混合物を加熱し、ホルムアルデヒド(HCHO)をゆっくりと加え、混合物を60℃で撹拌した。反応が終了した後(この時点でミオスミンの含有量は0.5重量%未満であった)、NaOH(水中に30重量%)を使用して混合物のpHをゆっくりと10.5~11.0の値に調整し、相分離が観察されるまで、55℃で30分間撹拌した。混合物をトルエンで2回抽出した。合わせた有機相を濃縮して粗生成物を得た。表1aに示すように、粗生成物の蒸留により、ラセミ体ニコチンが無色の油として得られた。
ラセミ体ニコチンを調製するための一般的な手順2
1.0当量のニコチン酸エチル、トルエン、1.6当量のナトリウムエトキシド、及び1.2当量の1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)を、無水条件下で約20℃の室温でフラスコに入れた。次に、反応を100℃で3時間行った。反応が完了し、混合物を30℃に冷却した後、HCl(水中に36重量%)を滴加した。アセトアルデヒド(「ビニル」から)、エタノール及びCO2ガスなどの低沸点成分を、トルエン及び水の一部と共に、蒸留により除去した。反応温度が105℃に達したら、蒸留を停止し、反応混合物を100℃~105℃の温度で一晩撹拌した。反応の完了後、NaOH(水中に30重量%)を使用して、pHを9.5~10.5の間の値に調整した。イソプロパノール及び1.0当量(ニコチン酸エチルに対して)のNaBHを反応容器に投入した。反応は室温(約20℃)で3時間以上行った(この時点でミオスミンの含有量は3.0重量%未満であった)。ギ酸(HCOOH)及びパラホルムアルデヒド((HCHO))を加え、混合物を65℃で少なくとも3時間撹拌した。反応が終了した後(この時点でミオスミンの含有量は0.5重量%未満であった)、混合物のpHをNaOH(水中に30重量%)を使用して13~14の値に調整した。すべての無機固体が溶解するまで水を加えた。混合物をトルエンで2回抽出した。合わせた有機相を濃縮して、粗生成物を得た。表1bに示すように、粗生成物の蒸留により、ラセミ体のニコチンが無色の油として得られた。
Figure 0007085641000009
Figure 0007085641000010
すべての場合において、ニコチン酸エチルに関して正確に1.2当量のNVP、ニコチン酸エチルに関して正確に1.6当量のEtONa、及び11.4gのニコチン酸エチルあたり60.0gのトルエンを使用した。
表1bに示す66.0%の収率の一般手順2の7番目のサンプルでは、ニコチン酸エチルとトルエン中のNVPとナトリウムエトキシドとを反応させて得られた混合物を、上記のようにではなくHCl水溶液に滴下したことに注意されたい。
実施例2:分割工程
先の実施例で得られた1.0gのラセミ体ニコチンを、室温でエタノール(1)及び2.2gの酒石酸(DBTA)(1当量)と混合した。混合物を数分間還流し、室温(約20℃)まで冷却した。沈殿が始まり、混合物を20℃で一晩(10~12時間)撹拌した。形成された沈殿物を濾過し、エタノール(2)で洗浄した。粗生成物をエタノール(3)に溶解した。混合物を数分間還流し、室温まで冷却した。沈殿が始まり、混合物を20℃で一晩(10~12時間)撹拌した。沈殿物を濾過し、エタノール(4)で洗浄した。生成物を乾燥させ、純粋な生成物を得た。
実施例1bで生成されたサンプル1の3.2gのニコチン-L-DBTAを、7.2gの水と7.2gのトルエンに懸濁した。アンモニア水(25重量%)を、pHが9.8~10.4になるまで添加した。相を分離し、水相を2.4gのトルエンで2回抽出した。トルエン相を合わせ、トルエンを蒸留により除去した。残留物を真空下で蒸留して、0.93gの純粋な(S)-ニコチンを得た。エナンチオ純度(enantiopurity)はキラルHPLCで測定した。
表2に示すように様々な量を使用して、同様の分割/分離実験を行った。
Figure 0007085641000011
モル等量の分割剤及びラセミ体ニコチンが使用された。エタノールの量は、ラセミ体ニコチンの重量倍として選択される。
さらに、40℃でのシーディング(seeding)により、より高い収率と純度が得られることが見出された。
実施例3
等量のジベンゾイル-D-酒石酸(23.2g)及びラセミ体ニコチン(10.0g)をエタノールに溶解し、1時間撹拌し、15分間還流し、室温に冷却してさらに1時間撹拌した。(R)-ニコチンジベンゾイル-D-酒石酸塩が得られた。イソプロパノール-メタノール混合物(1.0:0.3)で再結晶した後、(R)-ニコチンが得られた。結果を以下の表3に示す。
Figure 0007085641000012
実施例4:ラセミ化工程
実施例2で(S)-ニコチンの分離後に得られたように、母液からリサイクルされたニコチンは(R)-ニコチンが豊富で、通常70:30(R:S)のモル比を示しため、以下で説明するように「ラセミ化」された。
ただし、次の段落で説明するラセミ化手順は、(R)-ニコチン及び(S)-ニコチン(R:Sニコチン)の任意の混合物に適用できる。ニコチンの量は、分析方法(例えば定量的HPLC)で決定するか、上記のようにラセミ体分割実験における純粋な(S)-ニコチン対ニコチン投入量の物質収支で推定する。
分割実験からのすべての母液を収集し、溶媒を真空蒸留によって除去する。NaOH水溶液(30重量%)を加えることにより、残留物をアルカリ性(pHは通常>12)にする。
混合物を、ニコチン投入量に対して7倍量のトルエンで2回抽出する。トルエン相を合わせ、溶媒を周囲圧力下での蒸留により除去する。
次に(ニコチン投入量に関して)5重量%のKO-tBuを加え、混合物を160℃で1時間加熱する。この熱処理後、ニコチンは真空蒸留によって留去される。回収されたニコチンは、90%を超える鏡像体過剰率を示す。すなわち、55:45~45:55の(R)-ニコチン:(S)-ニコチンのモル比を有する。
(R)-及び(S)-ニコチンの混合物は、対応する実施例に開示されている方法を使用して再び分割することができる。

Claims (13)

  1. 式I-aの化合物を調製する方法であって、
    Figure 0007085641000013

    (i)アルコラート塩基の存在下でニコチン酸エチルとN-ビニルピロリドンを反応させて、3-ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンにする工程;
    (ii)3-ニコチノイル-1-ビニルピロリジン-2-オンを酸と反応させてミオスミンにする工程;
    (iii)還元剤を使用してミオスミンを還元し、ノルニコチンにする工程;及び
    (iv)ノルニコチンをメチル化して式Iaの化合物を得る工程
    を含み、
    工程(i)のアルコラート塩基は、ナトリウムエタノラート、カリウムエタノラート、及びそれらの混合物から選択されるアルカリ金属アルコラートであり、
    前記方法はワンポットプロセスで行われる、方法。
  2. 工程(i)は芳香族溶媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 芳香族溶媒は、ベンゼン、トルエン、又はそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(i)において、アルコラート塩基は、ニコチン酸エチル1当量に基づき1.4~2.0当量で添加される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程(ii)は、無機酸を用い、90~115℃の温度で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. 無機酸はHClである、請求項に記載の方法。
  7. 工程(iv)は、ギ酸とパラホルムアルデヒド、又はギ酸とホルムアルデヒドを使用し行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程(iv)は、40~95℃の温度で行われる、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(iii)は、還元剤としてNaBHを用いて行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 式I-aの化合物を140~160℃の温度で有機塩基と反応させる工程をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  11. キラルO,O’-二置換酒石酸を加えることにより、式I-aの化合物の鏡像異性体を分離する工程をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記O,O’-二置換酒石酸はジベンゾイル酒石酸である、請求項11に記載の方法。
  13. ジベンゾイル酒石酸はO,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸である、請求項12に記載の方法。
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Nenajdenko, V. G. et al.,Synthesis and the keto-enol equilibrium of 2-acyl lactams,Russian Chemical Bulletin, International Edition,2003年,52(11), 2473-2482

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